梓「ムギ先輩を餌付けしたら懐かれた」 (22)

梓「はい、どうぞ。あ~ん」

紬「あ~ん」パクッ

梓「…」

紬「うん、美味しい♪」

梓「あげてるのムギ先輩が持ってきたケーキなんですけどね」

律「この餌付けシーンも見慣れたなぁ」

澪「あぁ、最初見たときはドキっとしたけど」

唯「うんうん。すっかり軽音部の風物詩だね」

梓「最初はムギ先輩がショートケーキかチョコケーキかを選べなくて、私のを一口あげたのがきっかけでしたが…」

律「まさか一年以上続くとはなぁ…」

紬「♪」ニコニコ

澪「そして餌付けされた後のムギはとても機嫌がいい…って聞いてないか」

紬「♪」ニコニコ

-次の日の朝-

紬「あ、唯ちゃん。…それに憂ちゃん。おはよう」

憂「おはようございます、紬さん」

唯「ムギちゃん、おはよう! 朝に会うなんて珍しいね」

紬「うん。唯ちゃん達、いつもはもう少し遅いものね」

唯「せっかくだし一緒に学校へいこっか」

紬「…お誘いは嬉しいんだけど…」

憂「何かあるんですか?」

紬「うん。梓ちゃんのところへ行きたから。またね」ダッ

---

唯「行っちゃった…」

憂「紬さん、ほんと梓ちゃんにべったりだね」

唯「そうだね。…ちょっと寂しいけど仕方ないよね…」

憂「じゃあ私達も手を繋いでいこっか」

唯「そうだね、憂」ギュッ

憂「♪」

---

梓(ふぅ…最近冷えてきたなぁ)

梓(こんなときに…)

紬「梓ちゃん、おはよう」

梓「あ、ムギ先輩、おはようございます。…ってまたですか」

紬「えへへ、きちゃった」

梓「全然通学路違うのに…」

紬「もしかして迷惑だった」ショボーン

梓「違います。ほら」ナデナデ

紬「あ…♪」

梓「…」ナデナデ

紬「…♪」

梓「さ、いきましょうか」

紬「うん♪」

梓「最近冷えてきましたね」

紬「そうね。風邪をひかないように気をつけなくちゃ」

梓「そうですね…」

紬「…」

梓「ムギ先輩?」

紬「どうにかして梓ちゃんを暖めてあげられないかなと思ったんだけど…」

梓「あぁ、抱きついたら歩けませんし…手でも繋ぎましょうか」

紬「…♪」ギュッ

梓「…」ギュッ

紬「ふふふ~ん♪」

梓「楽しそうですね」

紬「梓ちゃんの役に立てて嬉しいの」

梓「そうですか」

紬「…♪」

---

梓「校門に着きましたね」

紬「うん」

梓「あ、そうだ、今日はクッキーを持ってきたんです」

紬「クッキー?」

梓「はい。どうぞ、あ~ん」

紬「あ~ん」パクッ

梓「どうですか?」

紬「さっくり♪」

梓「それならよかったです…」

純「あ、梓とムギ先輩」

紬「あら、純ちゃん」

梓「あ、純」

純「おはようございます」

紬「おはよう、純ちゃん、じゃあ私は行くね」

純「あ、はい」

梓「おはよう、純」

純「うん、おはよ。ムギ先輩相変わらず梓に懐いてるねー」

梓「うん」

純「でも大変じゃない? ムギ先輩結構目立つし」

梓「そうでもないよ。結構気を使ってくれるし」

純「そうなの?」

純「うん」

純「ねぇ、梓にとってムギ先輩ってペットみたいな感じ?」

梓「ペット?」

純「だって食べ物あげて懐いてるし…」

梓「うーん。ペットだなんて考えたこともなかった」

純「ないんだ?」

梓「うん。ほら純、そろそろ行こう」

純「そーだね」

-昼-

梓「はい、どうぞ。あ~ん」

紬「あ~ん」パクッ

梓「どうですか?」

紬「うん、美味しいっ!」

梓「といってもムギ先輩のお弁当ですけどね」

紬「うふふ♪」

唯「この光景も見慣れたね」

純「はい」

憂「おかげでお姉ちゃんたちとお弁当食べられて私は嬉しいです」

唯「うい~」ダキッ

憂「お姉ちゃーん」ダキッ

律「漫才姉妹は放っておくとして」

唯「むむむ」

憂「むむっ」

澪「まぁ、こうやってみんなでお弁当食べるのもいいな」

唯「あ、澪ちゃんの卵焼きちょうだい」

澪「いいぞ」

唯「わ~い。…うん、美味しい。ほら憂も、あ~ん」

憂「あ~ん……うん。美味しいです、澪さん」

澪「作ってくれたのはマ…お母さんだけどな」

紬「梓ちゃん、お茶をどうぞ」

梓「ありがとうございます」

純「あ、ムギ先輩、ムギ先輩」

紬「なぁに、純ちゃん」

純「以前ゴーヤチャンプル食べてみたいって言ってましたよね」

紬「うん。あの苦いゴーヤさんと卵を炒めたらどんな感じになるのか気になってたの」

純「実は今日持ってきたんですけど…」

紬「もらっていいの?」

純「どうぞ」

梓「じゃあ、ムギ先輩、あ~ん」

紬「あ~ん」

純「なんで梓がやるのさ」

梓「だってムギ先輩に食べさせてあげるのは私の仕事だし…。それでどうですか、ムギ先輩」

紬「うん。ちょっと変わってるけど美味しい! ありがとう、純ちゃん♪」ニコッ

純「まぁ、いっか」

-翌日の朝-

憂「凄い雨だったね」

梓「うん」

純「って梓、体操服じゃん」

梓「うん。傘忘れて濡れちゃったから着替えたんだ」

憂「災難だったね、梓ちゃん。あれ…」

梓「どうしたの、憂?」

憂「梓ちゃん、いつもより髪がさらさらみたい」

梓「あ、それはムギ先輩に濡れた髪をトリートメントしてもらったから」

純「でもよくトリートメント用の道具なんて持ってきてたね?」

梓「うん。私が傘を忘れるかもしれないからって持ってきたんだって」

憂「それは…」

純「すごいね…」

梓「やっぱり2人もそう思う?」

純「そう思うって?」

梓「ムギ先輩が私のこと気にしすぎてるって…」

憂「私は梓ちゃん達が納得してるならそれでいいと思うよ」

純「うん、私も。見ていてドキっとすることはあるけどさ」

梓「そっか…2人ともありがとう」

純「でもさ、ムギ先輩たち来年で卒業じゃん」

梓「うん」

純「ムギ先輩だけ梓のためにこっちに残ったりしそうじゃない?」

梓「そんなこと…あるかも」

純・憂「…否定できないんだ」

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