郁乃「やっぱり末原ちゃんを大将に起用してよかったで・・・」 (44)

ID:ui8wgvXjOの代行

では投下します

いくのんー

・・・・・・・・・約一年半程前・・・

ガチャ
郁乃「お呼びでしょうか善野さん」

善野「よく来たな郁乃・・・早速だがあんたに頼みがあるんや」

郁乃「何でしょう」

善野「あんたに姫松の監督をやってもらおうと思うてな」

えっ最初からやるんかい

郁乃「善野さんの頼みなら断る理由などありません」

善野「そうかやってくれるか」

郁乃「ただ・・・」

善野「ただ・・・何や」

郁乃「姫松を全国屈指の強豪校に育て上げた名将善野監督の代わりが務まるとはとても・・・」

善野「相変わらずめんどくさいヤツやな」

善野「ところで姫松で気になる選手はおるか?」

郁乃「そうですね・・・やはり愛宕洋榎さんですね」

善野「彼女なら間違いなく立派なエースになるで」

4

郁乃「彼女をスカウトしたのはあなただと聞きましたが・・・」

善野「そうや・・・ミドルの活躍で獲得を決めたんやけど・・・「一緒の学校に行くのを決めた友達がいます」言うから」

善野「まとめて引っ張ってきたんや」

郁乃「・・・さすがの手腕ですね」

善野「ところがその中にも姫松の柱になりそうな人材がおったんやで」

郁乃「その人物とは一体・・・」

善野「それはな・・・」

・・・・・・・・・・・・準決勝大将戦前半終了後・・・

絹恵「善野監督が倒れたですって!?」

漫「末原先輩に知らせた方がいいでしょうか・・・」

由子「ダメなのよー」

洋榎「そうや・・・恭子が動揺してまう・・・」

郁乃「(善野さん・・・末原ちゃん・・・)」

大将戦は壮絶を極め・・・
意識が朦朧とする恭子の前に・・・
夢か幻か善野監督の姿が・・・

善野「恭子・・・恭子や・・・」

恭子「善野監督どうしたんですか・・・」

善野「いや・・・最後に恭子に会いたくなってな」

恭子「縁起でもない事言わないで下さいよ・・・」

恭子「それより善野監督・・・」

善野「何や」

恭子「これから姫松にシード権を・・・いや・・・優勝を持って帰りますよ」

善野「・・・それならもうええんや・・・」

恭子「ええっ!?」

4

善野「これ以上無理をするとあんたの心と体が持たん・・・あんたが倒れたら悲しむ人がいる事を忘れたらあかんで・・・」

恭子「・・・・・・」

善野「だからもう休んで・・・ここで諦めてもみんなは文句言わんで・・・あんたは昔から私の言うこときくええ子やったろ・・・」

恭子「・・・すみません善野監督・・・それだけはきくわけにはいきません・・・」

恭子「私はここまで何一つチームに貢献できず二回戦でも足を引っ張りました・・・」

善野「・・・・・・」

恭子「しかし今度は私がチームを決勝に・・・いや優勝の手助けをしたいんです・・・」

善野「・・・変わったな」

恭子「えっ・・・」

善野「あんたは昔はすぐ弱気になり・・・すぐ泣き・・・すぐ諦める子やった・・・」

恭子「・・・・・・」

善野「「弱虫で泣き虫の恭子」と呼ばれた事もあったな・・・」

恭子「昔の事じゃないですか」

善野「教え子の成長が見られて思い残す事はないかもしれん・・・」

恭子「善野監督・・・まさか・・・」

善野「あー・・・もうこんな時間や・・・みんな待っとるからもう行きーな」

恭子「はい・・・行ってきます」

善野「(恭子・・・達者でな・・・)」

・・・・・・・・・・・・

恭子「・・・・・・」ゴゴゴゴゴゴ

咲「(・・・これは・・・)」ブルルッ

ネリー「(ほぼ失われていた闘気が前以上に・・・)」ビクッ

爽「(どこにまだそんな力が・・・)」ゾクッ

郁乃「やっぱり末原ちゃんを大将に起用してよかったで・・・」

・・・・・・・・・・・・

ガチャッ
恭子「ただいま戻りました」

洋榎「・・・恭子・・・実は・・・」

郁乃「・・・善野さんが・・・」

恭子「・・・いいえ…言わないで下さい・・・」

恭子「・・・おかしいですね・・・この部屋は雨漏りでもしてるんでしょうか・・・」ポタッポタッ

5人「・・・・・・・・・」

恭子「す・・・すみません善野監督・・・やっぱり私は「弱虫で泣き虫の恭子」のままでした・・・」ポロポロ

郁乃「・・・それは違うと思うで末原ちゃん・・・」

恭子「えっ・・・」グスン

郁乃「大切な人がいなくなるかもしれなくて悲しくて泣くのは・・・決して弱虫や泣き虫の涙じゃないで・・・」

郁乃「だから・・・泣きたかったら・・・思いきり泣けばええねん」

恭子「・・・・・・」プルプルプルプル

ザーザーザー

その日姫松の控え室に大雨が降った・・・

・・・・・・・・・・・・その日の夜中

恭子「神様・・・私の寿命を半分差し上げますからどうか・・・善野監督を・・・」

善野「ダメに決まっとるやろ・・・」

神様「そんな願いはきくわけにはいかん」

恭子「善野監督・・・とどなたですか・・・」

善野「だれでもええやろ」

善野「そんな事より恭子・・・これから私の最後の言葉を伝える・・・」

恭子「そんな・・・最後だなんて・・・」

善野「ええから黙って聞け」

恭子「はい・・・」

神様「善野・・・そろそろ時間が・・・」

善野「お前も黙っとれ」

善野「恭子・・・あんたには無限の可能性がある」
恭子「・・・・・・」

善野「例えば私や郁乃を超える指導者にもなれる」

恭子「(・・・二人とも私には出来過ぎた・・・)」

善野「だが・・・その可能性が花開くかはあんた自身にかかっとる」

恭子「・・・肝に命じます」

善野「そうか・・・」

恭子「私からもいいですか」

善野「な・・・何や」

恭子「善野監督お疲れ様でした・・・そして今までありがとうございした」

恭子「・・・あれ・・・善野監督・・・」

・・・・・・・・・・・・

神様「頭を上げてあんたがいなかったら驚くんじゃないか?」

善野「あれ以上あの場にいたら私が泣いてまうわ」

神様「格好つけちゃつて」

善野「やっぱり教え子の前では格好よくありたいやろ」

・・・・・・・・・・・・
結局あれは本当に善野監督だったか・・・
夢か幻だったとしても私は・・・
善野監督とその言葉は忘れない・・・
そして・・・

・・・・・・・・・・・・

実況「遂に姫松が前監督時代以来の決勝に戻ってきました!恩師に捧げる優勝なるか!」

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