兄「いや~、やっと実家に着いた」妹「……」(191)

兄「お、ただいま」

妹「……おかえり」ボソッ

兄「よっと、母さんいる?」

妹「……お母さん、お兄ちゃん帰ってきたよ」

母「あらあらあらあら、お帰りなさい。外雪すごかったでしょ?」ドタドタ

兄「うん。荷物ここでいい?」

母「またあんた、そんなとこ置いたら邪魔でしょうが。自分の部屋に持って行きなさい!」

兄「後でな」

母「今!」

兄「……わかったよ」スタスタ

妹「……」フイッ

母「……お兄ちゃん帰ってきたね」ニヤッ

妹「!!」ビク

妹「べ、別に、知らないし!!」タッタッタ

母「ふふっ」


母「ちょっと!どこ行くのよ」

妹「じ、自分の部屋!!」

母「あ、じゃあついでにお兄ちゃんにご飯もうすぐできるから荷物整理したら下りてきなさいって伝えてくれないかしら?」

妹「そ、そんなの、自分で言えばいいじゃん!」

母「いいじゃないの。二階上がるついでなんだから。ね!?頼んだわよ!!」ドタドタ

妹「もー!なんで私が!!言わないからね!!」

妹「……」

妹「……もーっ!!」タッタッタッタ

兄「明日の朝は雪かき確定だなこの降り方だと」ハァ

母「お父さんも腰が辛いだろうから、男手が帰ってきて助かるわ~」

兄「はいはい……どうせ俺は雪かきをする機械ですよっと」

兄「妹はいつも手伝ってるのか?」

妹「……暇だったら」

兄「そうかー手伝うだけ偉いぞ」


母「さっきもお兄ちゃんが帰ってくるからって駐車場から玄関前まで雪かきしていたもんね」ニヤ

妹「う、うるさい……」モジ

兄「よっと……いたた、バスにずっと座ってたから腰がいてぇ……」トントン

兄「雪で到着時間2時間も延びるとか、参ったよ……」

妹「お、お兄ちゃん」コンコン

兄「ん?なんだ?」

妹「お母さんが、ご飯もうすぐできるって……」

兄「おーう、わかった。じゃあ下りるか」

妹「……」

ガチャ

妹「……」フイッ

兄「いやー、久しぶりだなあ。母さんの料理」スタスタ

妹「……今日、肉じゃがだって」トントン

兄「マジで!?よっしゃ!!」トントン

妹「……」トントン

兄「うわーかなり腹減ってきた!」

母「あ、きたきた。ほらあんた、お皿運んで!」

妹「なんで私ばっかり」

母「お兄ちゃん帰ってきたばっかりで疲れてるんだから!!ほら!」

妹「……もー」

兄「いいよ、俺も運ぶって、そのくらい」

母「まっ、何よ?なんか大人になった?」ニヤッ

兄「……やめろ、恥ずかしい」

母「ふふふっ」ニヤニヤ

妹「……」ジーッ

兄「な、なんだよ」

妹「べ、別に!」フイッ

兄「ん?……あ、これも運んじゃっていいの?」

母「あ、それちょっと待って!今盛り付けするから」

兄「ほい」

妹「……」

母「はー、できたできた。お兄ちゃんも妹ちゃんも、手ぇ洗ったわよね?」

妹「うん」

兄「あっ、やべ」

母「ちょっともう!そんな手でお皿運んだの!?さっき大人になったってのは間違いね、ほんとにもう!」

兄「ごめんごめん」スタッ

妹「……」クスッ

母「……はぁー、やっぱり家族皆揃うといいわね」

妹「……いただきます」

母「ね、お兄ちゃん帰ってきてよかったわね。アルバイトあるかもとか言ってたから」

妹「……うん」

母「……ふふっ」ニヤッ

妹「な、なによ!!」カァ

母「赤い赤い。ほんとにこの子ったら、いつまで経ってもお兄ちゃん離れしないんだから」

妹「う、うるさいなーもーぅ!!」

兄「手ぇ冷たっ!ひぃ~こたつこたつ!」ドタドタ

母「走らないの!」

兄「ふぅ~……あ、そういえば父さんは?」

母「……」
妹「……」

兄「……えっ?なに?……なにこの空気」

母「あの人は……逝ってしまったの」

兄「……はっ?え、いやっ、何言ってんの?」

母「……うぅっ」

父「おーい」

母「あ、なんだ。帰ってきてたのね」

父「今帰ったとこだ。おっ!兄!おかえり!」

兄「……な、なんだよ!まじ焦った。ビビったぁ……」

妹「騙されないでしょ、普通」

兄「う、うるせぇな」

父「え?なになに、何の話?お父さんも混ぜて」

母「ほら、もう食べましょ」

兄「そうだな、腹ペコだ」

妹「うん」

父「ちょっと、何この疎外感。これにはさすがのパパ遺憾、なんつって!」ニヤッ

母「さっさとコートかけてお風呂はいってきてくださいな」

父「ちょっとママぁ!なんでそんな言葉遣いなのぉ!?」

母「お兄ちゃん、妹ちゃん、どう?おいしい?」

兄「ああ、うまい」
妹「うん」

父「ちょっと!?」
父「……ま、いいか。あ、そうだ兄!」

兄「ん?」

父「父さん風呂入ってくるから上がったら酒のもう!酒!!」

兄「あ、おう、わかった」

父「やったー!すぐ入ってくる!!」ドタドタ

兄「……相変わらずだな」
母「……ふふふっ」

兄「ふぁー、食った食った」ゴロン
母「食べたら運ぶ」

兄「待ってくれよ……一休みくらい」

母「そう言ってあんたいっつも寝ちゃうでしょうが!風邪引くわよ!」

兄「大丈夫だって」

母「ほら!早く!妹ちゃんを見習いなさい!」

妹「……」スタスタ

兄「ああもう、わかったよ」スクッ
母「あ、ついでにお父さんのお酒準備しといてあげて。多分もうすぐ上がってくるから」

兄「へいへい、って、どれにすりゃいいんだ?」

母「あー、一番高そうなやつ。お父さん張り切って買ってたのよ。あんたと飲む!って」

兄「……そ、そうか」テレッ

妹「……」モゾッ
母「あら珍しい。今日は自分の部屋にいかないの?いつもは食べたらすぐ行くのに」ニヤニヤ

妹「み、見たいテレビがあんの」

母「へーぇ、ふーん」
妹「もー!そんなんじゃないの!!」

兄「これでいいかな」

母「うん、ありがと」

兄「おっ、この番組やってるじゃん。好きなんだよね」モゾッ

妹「……」

母(なるほどね……そういうことね)

父「上がったぞー」

母「箸とお皿は自分で持ってきてね」

父「はいはい~」

TV「押すなよ!?絶対押すなよ!?…………押せよ!!!!」

兄「あははっ」

父「おっ、準備してくれたのか!気が効くねぇ俺の息子は!」

兄「母さんに頼まれたんだけどな」

父「そうか!母さんありがとな!」

母「いいわよ、そのくらい」

兄「あ、注ぐよ」

父「お、おう、そうか?悪いな、へへっ」

兄「よっと」トクトクトク

父「お~とっとっと、はいストップ。ほら、次は俺が注ぐから」

兄「ん、わかった。……はいストップ」

父「どうだ?ん?それで?」

兄「ん?」

父「あっちでの生活はどうなんだ?彼女の一つや二つでもできたか?」ニヤニヤ

妹「!!」

兄「一つや二つってなんだよ……」

兄「まあ、ぼちぼちだよ」

父「ぼちぼちってなんだ。勉強はちゃんとやってるか?」

妹「ちょ、ちょっと」

父「ん?」 兄「ん?」

妹「あ、いや……なんでもない。テレビに言っただけ」

父「そうか、あんまり近くで見るなよ、目が悪くなるから」

妹「……うん」

兄「勉強もやってるよ。あ、それで父さんの会社の人に話が聞きたいんだけど……」

父「ん?誰だ?」

兄「ほら、あの……」

妹「……」

母「お母さんが聞いといてあげるわよ、心配しなくても」

妹「!!」ビクッ

母「ま、お兄ちゃんのことだから心配ないと思うけど、ふふっ」

妹「べ、別に、勝手にすれば」

ごめん飯食ってくる
作って食って片してだから結構時間かかると思う


兄「ふぅ~、テレビも終わったし二階に上がるか」

母「お兄ちゃん、お風呂入っちゃいなさいよ」

兄「あぁ、荷物の整理がまだちょっと残ってるから、それ終わってから入るよ」

母「あら、そう?じゃああんた先入っちゃいなさい」

妹「うん」

兄「さて、と」スタスタ

妹「お母さん、アイスある?」

母「あー、どうだったかしら。まだあると思うけど、あのソーダのやつが」

妹「お風呂上がったら食べるから食べないでね」

母「誰も食べないわよ、あんたのために買ってるんだから」

妹「……ならいいけど」

母「いいからさっささっさと入っちゃいなさい」

妹「うん」スタスタ

兄「あー疲れた。予想以上に時間かかった」シャクシャク
母「あら、お疲れ様……って、あんたそれ」

兄「ああ、なんか汗かいたから冷たいもの食いたくなって」

母「……知ーらない」フイッ
兄「ん?なに?」

妹「……あ!お兄ちゃん!!それ!!」

兄「えっ?これ、お前のか?やべ、食っちまった」

妹「……もー!お母さん!!」
母「知らないわよ、気づいたら食べてたんだから」

兄「悪りぃ悪りぃ。でもほら、これ。棒二つついてるやつだから。こうすれば」パキッ

妹「……お、お兄ちゃんの食べさしなんていらない!」

兄「なんで?まだ食ってない部分だぞ?」

妹「いい!!」

母「あーあ、仕方ないわねぇ、もう。ほら、これで近くのコンビニで買ってらっしゃい。お兄ちゃんと二人で」

兄「え?俺も?」
母「こんな夜に妹一人で行かせる気?あんたが食べたのに?」

兄「……わ、わかったよ」
妹「え、うぁ……」

妹「お、お母さん、私のマフラーどこ」

母「タンスの上に無かったら知らないわよ」

妹「あ、あった」

母「……あんた、ただのコンビニにそんなにおめかしして行くの?」

妹「!! べ、別に普通じゃん」
母「誰もあんたなんか見ないわよ?こんな夜のコンビニで」

妹「い、いいじゃん!!どんなかっこしようと勝手でしょ!?うるさいな!」

母「はいはいごめんなさいね」

兄「おーい、準備できたかー?って、すごいおしゃれして行くんだな」

妹「えっ、い、いいじゃん別に。……関係ないし」

母「ほーら、ね」ニヤニヤ

妹「あーもう!!うるさいの!!」

兄「まあいいけど。んじゃいってきまーす」

母「気をつけなさいよー!寄り道せずに早く帰ってくるのよ!」

兄「わかってるってー」

兄「コンビニまで歩いて15分くらいか。うぉ~寒っ!!」サクサク

妹「……」サクサク

兄「うわ~、懐かしいなー!この道!よく二人で歩いたよなー」

妹「……う、うん」

兄「母さん達の帰りが遅くなる時に、学校から帰ったらテーブルの上にお金が置いてあってな」

妹「そういう時は、いっつもコンビニだったね」

兄「ははっ、一番近いからな。でもなんかワクワクしたよな」

妹「わかるかも。二人で何買うか話しながら歩いてたし。たかがコンビニなのに」

兄「そうだったそうだった。お前いっつも餡まん買ってたな」

妹「い、いいじゃん別に。甘くて好きなんだもん」

兄「まだ好きなのか?餡まん」ニヤッ

妹「ばかにすんなっ」ペシッ

兄「いてっ」

兄「着いたー」ウィーン

妹「あったか……」

兄「アイスアイスっと……いや待て、アイスっておかしいだろ」

妹「寒いし」

兄「だよな、もう身体冷え切ってるし。何か他のにしようぜ」

妹「……うん」

兄「何がいい?」

妹「餡まん」

兄「でた」

妹「うっさい」

兄「まあいいや。俺ピザまんにしよっと」

妹「……待っとく」

兄「おう」

兄「……ほい、餡まん。ちょっと行儀悪いけど人いないし帰りながら食うか」

妹「うん」

兄「俺のピザまんはっと……おー、あったけー」

妹「見て、息白い」ハァ

兄「ほんとだ」ハァ

兄「……」モグモグ

妹「……」モグモグ

兄「ほいこれ、一切れあげる」

妹「……ん、じゃあ私も」

兄「おっ、サンキュー。……んっ、餡まんも結構うまいな」

妹「今度からは餡まんを買うように」

兄「なんでだよ」

妹「いいじゃん、おいしいんだし」サクサク

兄「好きなの買わせろよ」サクサク

兄「はー、食った食った」

妹「はやっ」

兄「俺の胃袋は宇宙だ」

妹「なつかしっ」

兄「よく見てたな、あれも」

妹「カレーの辛さ感じない敵との話が好き」

兄「あったあった!なつかしー!俺はかき氷の冷たさを感じないやつだな」

妹「シュウマイとかもあったよね」

兄「やば、見たくなってきた」

妹「ビデオないよ」

兄「借りに行くか。今日はちょっと夜更かししようぜ」
妹「なんで私も」

兄「いいじゃん、一緒に見ようぜ」

妹「……ま、まあ、いいけど」

兄「はい決まり。まあでも一旦帰るか」

妹「……うん」


母「おかえり、ちゃんと買えた?冷凍庫入れとかないと溶けるわよ」

兄「はいこれお釣り。ああ、寒かったから肉まんにしたよ」

母「あら、そうなの?」

兄「帰りながら食っちまった」

母「ゴミとか捨ててないわよね?」

兄「まさか」

母「っそ。じゃあ早くお風呂入っちゃいなさい。風邪引くわよ」

兄「ほい」

母「妹ちゃんは?身体冷えてない?コンポタならあるけど」

妹「……ん、じゃあ飲む」

母「はーい」ドタドタ

兄「ふぅ~、温もった~」パサパサ

妹「んっゴホッゴホッ!」ブホッ
母「服くらい着てでてきなさいよみっともない!」

兄「ズボンは履いてるからいいだろ別に」ワシャワシャ

母「もー、風邪引いても知らないわよ!」

兄「このくらいで引かないって。父さんは?」

母「もう寝たわよ。明日も早いみたいだし」

兄「ふーん。あ、そういえばまた出るから」

母「え!?どこに!?」

兄「いや、妹とビデオ借りに……」

母「明日にしなさいそんなの!!」

兄「えー、どうしても今見たいんだけど」

母「明日にしなさい!!」

兄「……わかったよ。仕方ない、明日にするか」

妹「えっ? あ、うん」

母「全くもう!何時だと……」ブツブツ

兄「あ~でももう完全に夜更かしするモードになっちゃってるよ」

妹「……」

兄「なんかこのまま寝るのもったいないな」

妹「……うん」

兄「よしっ、ゲームするか!俺の部屋で」

妹「えっ?」

兄「ん?嫌か?久しぶりにやろうと思ったんだけど」

妹「でもお兄ちゃんがたくさん持っていったからうち64しかないよ」

兄「え、まじ?……ま、なんかあるだろ」

妹「マリカーがいい」

兄「おっ、いいな。でもお前強いよな確か」

妹「うん」

兄「……ま、いいや」

プ、プ、プ、パーデッティウ ヤヒー

兄「うわっ、スタートダッシュミスった」

妹「……最下位じゃん」カチャカチャ

兄「こっからだよ、こっから」

兄「……赤の甲羅こい!ってバナナかよ!」

妹「……」カチャカチャ

兄「うわ、お前緑甲羅でガードとかずるいぞ。ってうわ!誰だこんなとこにバナナしかけたやつ!」

妹「私」

兄「くそっ!くそっ!」

妹「やった、一位」

兄「はやっ!俺まだ半周くらい残ってるぞ!?」

妹「順位変わってないじゃん」

兄「クソゲーだな」

妹「」クスクス

兄「笑うな」

兄「はぁ~……それにしてもお前あんな可愛い服持ってたんだな」

妹「!?」ドキッ

妹「か、かわいくないよ、別に」

兄「そうかー?いやー、なんか年月の流れを感じたね」

妹「なにそれどういう意味」

兄「いやお前近所のバーゲンで買った服ばっかだったじゃん」

妹「それ小学生くらいの時なんだけど……」

兄「あれ?お前今いくつだっけ?」

妹「17」

兄「え、えぇ!?嘘だろ!?高二かよ!!」

妹「……失礼すぎ」

兄「まじで?まじかよ」

兄「な、なんだ……じゃあもう一緒に寝るとか言ってられる歳じゃねぇんだな」

妹「えっ?い、一緒にって……」

兄「いや、昔よく一緒に寝てただろ?ほら、どっちかが眠くなるまでポケモン縛りでしりとりとか」

妹「そ、そうだね……」

兄「やっぱ、実家に帰るとそういうの思い出すよなー。当時の雰囲気っていうか、
  そういうのは俺らが歳とってもここには残り続けるっていうかさ、
  ついそんなのにやられちゃうんだよな」

妹「べ、別にいいよ、私は」

兄「ん?何が?」

妹「だ、だから……久しぶりなんだし、一緒に寝ても……」

兄「……いやいやいや。恥ずかしいだろう」

妹「……別に、恥ずかしくないもん」

兄「……はぁ、こりゃ歳は17でも中身は小学生だな」

妹「むかっ」

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