恒一「赤沢さんが股間に握手を求めてくる」 (109)

やれやれ

赤沢「握手しましょう、恒一くん」

恒一「握手?」

赤沢「ええ。死者の手は冷たいと言われているの」

恒一「へぇ……」

赤沢「だから、それを確認するための、握手」

恒一「分かった。何か緊張するよ、もし僕の手が冷た――って赤沢さん!?」

赤沢「?」

恒一「いやいや、不思議そうな顔するのやめてよ!」

赤沢「……恒一くん、あなたもしかして……死者、なの?」

恒一「違うけど」

赤沢「それなら何故握手を嫌がるの? おかしいじゃない」

恒一「握手なんだよね? 今からするのは」

赤沢「さっきからそう言っているでしょ? 変な恒一くん」

恒一「分かった。なんかごめん、ちょっと勘違いしてたみたいだ」

赤沢「勘違い? どんな?」

恒一「いや、何でもないんだ。流石に言うのも恥ずかしいし」

赤沢「そう? じゃあ改めて握手」スッ

恒一「うん……ってやっぱり!?」ササッ

赤沢「……恒一くん?」

恒一「そんなキツイ目で見たって駄目だってば!! 何考えてるんだよ、赤沢さんは!?」

赤沢「何って、だから握手だけど」

恒一「僕の手はそんなところにないよ!!」

赤沢「ごめんなさい、恒一くん。あなたの言ってることがよく分からない」

恒一「それを言いたいのはこっちだよ!!」

赤沢「何かお互いの認識に齟齬が発生しているようね、一度確認しましょう」

恒一「そうだね、本気でそうすべきだよ」

赤沢「私達の通う夜見北中の3年3組には『現象』と呼ばれるものがある。ここまではいい?」

恒一「いいよ」

赤沢「その『現象』とはクラスに死者が紛れこむことであり、死者の手は冷たいと言われている」

恒一「そこも大丈夫」

赤沢「今年は無い年だと思われていた。でも恒一くんが転校してきたことで事情が変わった。これは?」

恒一「それも分かる」

赤沢「そして対策係の私としては、転校生である恒一くん、あなたを調べない訳にはいかない。これはどうかしら?」

恒一「それも理解できるよ」

赤沢「そうよね、だから私は死者の手は冷たいという噂を元に、あなたの手の冷たさを確かめようとした」

恒一「うん、分かる」

赤沢「……? おかしいわね。どうにも認識の齟齬は発生していないみたいだけど」

恒一「問題は寧ろそこからだよ!!」

ID変わったけど同じです
今更ですが場面は最初の病室ということで

赤沢「……そこから? もうこの後はただ私と恒一くんが握手をするだけなんだけど」

恒一「だから、その握手だってば!」

赤沢「……あっ、そういうこと」

恒一「分かってくれた?」

赤沢「ごめんなさい、私が間違ってたわ」

恒一「いや、分かってくれたならいいよ」

赤沢「三神先生から聞いたわ。恒一くんのお父様はインドに行っているのよね」

恒一「えっ? そうだけどそれが今なにか関係――」

赤沢「確か握手で右手を出すのは失礼って文化だったわね、ごめんなさい、じゃあ左手で」

恒一「そんなことに拘ってる訳じゃないってば! しかもインドで出しちゃ駄目なのは左手だよ!!」

恒一「そっちがそのつもりならはっきり言うよ。もう恥ずかしがっていても仕方ない」

赤沢「ええ、そうして貰えるかしら」

恒一「何で! 赤沢さんは! 僕のズボンのチャックに手を伸ばすんだよ!!」

赤沢「」

桜木「」

風見「」

恒一「えっ、何この空気。まるで僕が悪いみたいな……」

桜木「さっ、榊原くんっ!!」ジーッ

恒一「えっと、はい。桜木さん、だっけ」

桜木「最近テレビでやってるの見ました! そういうのってセクハラって言うんですよ!!」ジーッ

恒一「えっ?」

桜木「女の子に、そんな……ズボンのチャックがどうとか……///」ジーッ

恒一(この人さっきからどこ見て喋ってるんだよ……)

風見「ゆかりの言う通りだよ」

桜木「風見くん」

風見「なにかな、ゆかり」

桜木「名前で呼ぶのやめてください。セクハラです」

風見「」

恒一(気胸が再発しそう。この人達もう帰ってくれないかな)

恒一「どうしたら」

赤沢「?」

恒一「どうしたら、帰ってくれますか」

赤沢「それは勿論、握手して死者かどうかを……」

恒一「……」ガチャガチャ ボロン

赤沢「Oh...Extra Fancy」

桜木「な、何やってるんですか!? 榊原くん///」ジーッ

風見「」

恒一「さあ! はやく握手!」

恒一(僕は病室で一体何をやってるんだろう……死にたい)

赤沢「ごほん、じゃあ失礼して……」ギュッ

恒一「あっ、本当にするんだ」

赤沢「えっ?」

恒一「いや、何だかんだでここまでのは悪質なジョークなのかもしれないという一縷の希望が」

赤沢「? よく分からない。やっぱり急に現象とかの話を聞かせて混乱させちゃったかしら?」

恒一「いや、もういいんだ……別にどうだって」

桜木「あの……榊原くん……」

恒一「……なに?」

桜木「その、こんなことを聞いて気を悪くしたら申し訳ないんですけど」

恒一「別に、もう何もかも今更だよ」

桜木「そ、そうですか。こほん、では遠慮なく」

恒一「うん」

桜木「は、生えてないのは、そういう現象か何かですか!?」

恒一「手術前に剃られただけだよ!! 普段はもっと……普通に生えてるよ」

桜木「せっ、セクハラはやめてください!///」

恒一(……もう訳が分からないよ、父さん)

赤沢「恒一くん?」ニギニギ

恒一「なに?」

赤沢「恒一くんの手、すごく温かい。やっぱりあなたは死者じゃない」スリスリ

恒一「社会的には死者も同然だけどね」

それから一年、結局は誰かが命を落とすということもないまま卒業式を目前に迎えた。

後から聞いた話では『現象』で死者が紛れ込んで云々というのは、やはり赤沢さん達のデマだったらしい。

かと言って『現象』そのもの自体が全くのデタラメかと言えば、そう言う訳でもないらしく……。



桜木「榊原くん! あのっ、今日もお願いしていいですか?」

恒一「いいよ別に」

桜木「ありがとうございます! じゃあ何時も通り、こう私の喉を突く感じでお願いしますっ」

恒一「分かった」グッグッ

桜木「うぅ……榊原くんのカサで、喉を突き破られて死んじゃうよぉ……」

風見「」

図書室の司書をやっていた千曳という人に後から聞いた話では、

夜見北中3年3組には、確かに『現象』と呼ばれるものが存在している。

それは――――



小椋「処女膜のカタキっ!!」ペロペロペロ

恒一「うっ……ブリッジしながらの小椋さんのフェラやばい……」

>>74
>小椋「処女膜のカタキっ!!」ペロペロペロ

>恒一「うっ……ブリッジしながらの小椋さんのフェラやばい……」

ブリッジwwwwww

女子が異常なまでに男子の下半身に興味を持ってしまうというものだ。

発症すると平気で支離滅裂な言動を行うようになってしまうのだとか。

不幸中の幸いは、発症した女子が何かしらの形で満足すれば元に戻るということだろうか。ただその間の記憶は残ったまま。

そう言う意味ではあの病室の日、満足して冷静になった赤沢さんと桜木さんと接するのは、何とも気まずかった。

「どうやら今年はある年みたいね」とファサっと髪を掻き上げ冷静さを装いながらも、顔中真っ赤の赤沢さん。

俯きながら「責任」という言葉をぶつぶつ呟く桜木さんは少し怖かった。隣で風見くんは白目を剥いていた。

それに元に戻ると言っても一時的なものでしかなく、

再び発症しては奇行に出て、満足したらそれを思い返して恥ずかしがる。

そんなことを繰り返しながら、ようやくもうすぐ卒業式。




小椋「あ、あたし、もしかしてまた……」

恒一「あー、うん……その、言い難いんだけど、またブリッジしながら」

小椋「」

卒業したら東京に戻るつもりだったけど、それも出来そうになかった。
というのも……


桜木「……榊原くん?」

恒一「なにかな、桜木さん」

桜木「もうすぐ、卒業ですね」

恒一「うん、そうだね」

桜木「卒業したら高校生です」

恒一「う、うん」

桜木「榊原くんは勉強出来るから、やっぱり西高を受験するんですよね」

恒一「えっ、いや、僕は……」

桜木「私もそこを受験するんです。ふふっ、同じクラスになれるといいですね」

恒一「僕は、その、東京に戻るつもりなんだけど」

桜木「? 春休みの話ですか?」

恒一「いや、受験で」

桜木「?? あの、前に言ったと思うんですが、私は家の事情で東京に進学するのは難しいんです」

恒一「う、うん。聞いたかも」

桜木「ですよね、よかった。言い忘れちゃったのかなって。だから榊原くんが東京に行っちゃうと、私達離れ離れなんですよ?」

恒一「そ、そうだね、でも前から決めてたことで――」

桜木「榊原くん」

恒一「……桜木さん? そんな風に傘を反対にして持ったら危ないよ?」

桜木「別に何も危なくなんかないですよ」

恒一「そんなことないよ。先が尖ってるし、ほ、ほら、桜木さんの喉に刺さっちゃうかも」

桜木「ふふっ、そんなことある訳ないじゃないですか。榊原くんは少し心配症過ぎます―――でも」

恒一「で、でも?」

桜木「何かショックなことがあったら、落ち込んで頭がガクって下がっちゃうかも。そしたら……確かに刺さっちゃいますね」

恒一「」

桜木「すみません、縁起でもないですよね、こんな話。ところで榊原くんって、どこに進学するんでしたっけ?」

恒一「……西高です」

桜木「そうなんですか、ふふっ、嬉しいです。また、一緒ですね?」



桜木さんが、正直怖いというのもある。
でも、なにより―――

赤沢「ついに卒業かぁ……」

恒一「うん、そうだね」

赤沢「それにしても」

恒一「えっ?」

赤沢「恒一くんが急に西高に進学するって言い出した時は、本当に驚いた」

恒一「……まあ、色々とあって」

赤沢「色々、ねぇ……。あーあ、せっかく東京の私立とか色々調べたりしたのになー」

恒一「なんか、ごめん」

赤沢「ふふっ、謝らないでよ、冗談だから。それに」

恒一「それに?」

赤沢「東京の高校に進学すること、最初は親も認めてくれてたんだけど」

恒一「うん」

赤沢「最近になって、『やっぱり泉美を一人で東京にやるのは心配だ!』って言い出しちゃって」

恒一「そ、そうなんだ」

赤沢「それで結局こっちの高校を受験しないといけなくなったから、まあ結果的には良かったのかも」

恒一「そっ、か……」

赤沢「そう。それで、実は今日まで恒一くんに黙ってたことがあるんだけど」

恒一「な、なんだろう」

赤沢「実は私も、西高を受験することにしたから」

恒一「えっ?」

赤沢「……なに、その反応」

恒一「いや、名前忘れたけど何とかって女子高に行くんだとばかり」

赤沢「ああ、あれ。確かに両親はそこに通えーってうるさいんだけどね」

恒一「うん」

赤沢「東京に行かない代わりに、高校は好きなところ受けさせてって言ったら許してくれたの」

恒一「そっか」

赤沢「そう。それに西高自体、レベルは高い訳だしね」

恒一「まあ、そうだね」

赤沢「……というか、恒一くん?」

赤沢「余り嬉しそうじゃない気がするんだけど、私の気のせいかしら?」

恒一「ははは……」

赤沢「なにその愛想笑い……そんなことないよ、ぐらい言いなさいよ」

恒一「ソンナコトナイヨ」

赤沢「なにそれ……むか……ふふっ。こんなやり取り、前にもしたわね」



今日で夜見北中を卒業する。
高校生活には少し……いや、かなり不安なこともあるけれど―――。

赤沢「恒一くん、握手しましょう」

恒一「……えっ? ここで?」

赤沢「? って、こ、恒一くんのバカっ! そ、そういう意味じゃないわよっ!!」

恒一「そ、そうだよね、ごめん。今まで赤沢さんが『握手』って言い出す時は大体――」

赤沢「そ、それはもう忘れてよ! 私だって恥ずかしいんだから」

恒一「ごめん」

赤沢「もう……こほん。それじゃあ改めて」

恒一「うん」

赤沢「一年間だったけど、今までありがとう」スッ

恒一「こちらこそ」スッ

赤沢「それから、また三年間よろしくね、恒一くん?」ギュッ


―――それでもきっと、赤沢さんと一緒なら。


おわり

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