恒一「7人の魔女?」 (98)

恒一「はぁ、体力落ちてるなあ。リハビリもっとちゃんとしないと、少し走っただけで疲れがたまるよ」

見崎「ねえ、榊原くん。これ見て」

恒一「どうしたの?このノート」

見崎「隠れてる時に見つけた」

恒一「なんで校庭でかくれんぼしてるのに旧校舎の元三年三組に隠れるのさ」※おに

見崎「別にいいじゃない。見つかったんだし」※被発見者1号

恒一「まあそれはそうだけど」

勅使河原(それを一番最初に見つけるお前の方がやべえよ)※被発見者2号

望月(レーダーでもついてんのかよ)※被発見者3号

見崎「面白いこと書いてあるよ」ペラ

恒一「どれどれ……“7人の魔女”?」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1379898697

Anotherは平和時空
7人の魔女は話の都合上、少し設定を変えます

恒一「“毎年、三年三組の7人に魔女の力が宿る”」

見崎「“入れ替わり、思念、虜、予知、……”」ペラ

恒一「あれ、このノート途中で途切れてるね」

望月「上巻って書いてあるんだから下巻もあるんじゃないかな」

勅使河原「なんか面白そうだな。探してみようぜ、行くぞ望月!」ガシッ

望月「わっ、ちょっとっ」

恒一「あっ、おい待てよ……行っちゃった」

見崎「行かないの?」

恒一「うーん、確かに珍しい七不思議だけどさ、実際のところ信憑性が全く無い。第一ウチのクラスにそんな力を持ってる人なんか見たことないじゃないか」

見崎「隠してるんじゃないかな」

恒一「でも、女子16人の内7人が誰一人としてボロを出さないというのは考えづらいよ」

見崎「あっ、“力が宿る”としか書いてないし、まだ力が覚醒してないのかも」

恒一「あはは、なんか漫画みたいだね。そういうことも書いてないのかな………あ」ペラペラペラ

見崎「どうしたの?」

恒一「……“魔女は魔法をかけたい相手の唇にキスをすることで力を発動する”って書いてある」

見崎「キス?」

恒一「…………キス、って書いてあるね」

見崎「…………」



恒一「…………」

見崎「…………キス、してみる?榊原くん」

恒一「えぇっ!?」

見崎「榊原くんは信じていないみたいだけど、それなら嘘だってことを証明するために実験してみればいいじゃない」

恒一「いや、でもそんなの……」

見崎「ごめんなさい。榊原くんはわたしなんかとじゃ嫌だよね」

恒一「そういう訳じゃなくてっ」

見崎「他の人に頼んでくるね」クルッ

恒一「待って見崎!」ガシッ

見崎「なあに?榊原くん」

恒一「……ぼくとキスしよう」

見崎(チョロい)

見崎「じゃあ、榊原くんの方からお願い」

恒一「う、うん。じゃあ……いくよ」

見崎「……うん」


恒一「…………ん」チュッ

見崎「んっ………」

恒一「ん………っ……はぁっ……はぁ……(かつてないほど緊張した……)」

見崎「…………ふぅ……」

恒一「……えっと、その、うん……(今更だけど何やってるんだぼくは)」

見崎「…………」

恒一「あっ、そうだ。何か変化ある?」

見崎「特に、何も」

恒一「ぼくも特に何か変わったとは……。やっぱりデタラメだったんじゃないかな」

見崎「ふぅん、つまんない」

恒一「七不思議ってそんなものだよ」

見崎(入れ替わりとかやってみたかったなあ)

恒一「ぼくは他のみんなを探しに行ってくるから待ってて(恥ずかしすぎてこれ以上顔見てられないよ)」※おに

見崎「榊原くん……!」

恒一「なに?」

見崎「さっきの……ファーストキスだったから」

恒一「うぐっ、ぼ、ぼくもだよ」タッタッタ


見崎(勢いで色々やってしまった……)



見崎(次は既成事実かな)



見崎 鳴 【能力:────】

ガサガサ

赤沢「あの邪気眼めえ……よくも恒一くんのファーストキスをっ」

杉浦「よく堪えたわね、泉美」

赤沢「わたしたちのプランのためには仕方ないわよ」

小椋「見崎さんに実験と称したキスを許したことで、わたしたちもそれを踏襲することができる!」

江藤「ファーストキスが榊原くんとかあ、えへへ」

綾野「待っててね、こういっちゃんっ!」

小椋「そしてあわよくば虜の能力が覚醒すれば……」

有田「榊原くんとの肉欲にまみれた爛れた生活が!」

多々良「虜の能力は私が……」

桜木「いえわたしが……!」



斯くして三年三組の女子生徒の間で、榊原恒一の唇を巡った熾烈な競争の火蓋が切られた。

赤沢「恒一くん!」

恒一「ん、どうしたの?」

赤沢「あの、勅使河原が言ってたノートのことなんだけど……」

小椋「くらえっ」ドカッ

赤沢「きゃあっ!」

小椋「ごめーん、ちょっと手が滑っちゃったあ」

赤沢「あんた今くらえっって言ったじゃない!」

恒一「大丈夫?怪我ない?」サッ

赤沢「あ、うん、大丈夫」カアア

キーンコーン カーンコーン

恒一「予鈴だ。次の授業行こうか」

赤沢「ええ、一緒に行きましょ(まだチャンスはあるわよ)」ギュッ

小椋「ぐぬぬ……」


中尾「…………」

水野「お前大丈夫か?顔色悪いぞ」

中尾「ひぃっ!急に後ろに立つな」

水野「お、おう。悪かった」



最初は正攻法で恒一に頼んでキスをしようとしていた女子生徒たちであったが、もしも自分より先に虜の魔女が恒一とキスをした場合、その時点で残された者たちはキスのチャンスがなくなってしまうことに気づいた彼女たちは、互いに牽制と妨害を繰り返した。

そして、誰一人としてキスが成功しない状況に焦れた女子生徒らは遂にゲリラ戦を開始した。


多々良「榊原くん(振り向いた瞬間に……)」トントン

恒一「ん、なに?」クルッ

多々良「んっ……きゃあっ」ゲシッ

藤巻「おっーと、足が滑ったわー」

多々良「今スライディングしてきたじゃない!」


綾野「こういっちゃーん!」ダダダッ

恒一「わあっ」

綾野「ちゅーしてー!」ダダダッ

有田「させるかぁ!」ドゴッ

綾野「ぐはっ」


桜木「榊原くん、目元に何かついてる」

恒一「え、ホント?」ゴシゴシ

桜木「あ、こすらないでください。目に傷がついちゃいますよ」

恒一「どの辺かな?」

桜木「わたしがとりますから、目瞑っていてください」

恒一「うん」

桜木「それじゃ……ん(嘘吐いてごめんなさい)……いたっ」ゴツンッ

江藤「いったあーい」ヒリヒリ

佐藤「ふあぁん」ヒリヒリ

桜木「ちょっと、何で二人が割り込んでくるんですか!?」

江藤「だってチャンスだったんだもん」

佐藤「ケチー」


見崎「もうとれてるよ」

恒一「ホント?ありがとう」

情報戦も行われた。


勅使河原「なあ、サカキどこにいるか知らねえか?」

望月「理科準備室にいるってさっき誰かが」

前島「俺は職員室って聞いたぞ」

風間「体育館じゃなかったのかい?」

勅使河原「どこにいるんだよっ!」

恒一「誰探してるの?」

風間って誰だww

ー1週間後


恒一「はぁ……」

望月「大丈夫?疲れてるみたいだね」

勅使河原「女子も最近ピリピリしてるよな」

望月「どうしたんだろうね」

恒一「そういえば勅使河原、あのノートどうしたんだよ」

勅使河原「ん、ああ、あれか。いつの間にかどっかにいっちまった」

恒一「飽きるの早すぎだろ」

勅使河原「だって結局下巻も見つからなかったしよ」

望月「まあ、あんな中途半端なものじゃね」

恒一「そうだね。それじゃ、今日はぼく先に帰るから」

勅使河原「何か用事でもあるのか?」

恒一「一応、風邪薬と怜子さん……三神先生に栄養ドリンクとか買ってきてって頼まれてたからちょっと薬局に寄るんだ」

勅使河原「栄養ドリンクって、三神先生もアラサーだもんな」

望月「ぶち殺すぞテメエ」

勅使河原「ひぃっ、いや、とても30歳近くには見えないよな、ははは……」

望月「三神先生に今度何かスタミナつくものつくってきてあげようかな」

恒一「きっと喜ぶよ。それじゃ、また明日」

勅使河原「おう、じゃあな」

望月「うん、またね」

>>16
予測変換ミスったわ
風間→風見で

ー帰り道


恒一「ドリンク剤もダースで買うと重いな」ガチャガチャ

「…………」コソコソ

恒一「今日は早く寝よう」

「…………」コソコソ

恒一「ん?」クルッ

「っ…………」ササッ

恒一「気のせいかな?………んぐっ」ガシッ

「…………」グググッ

恒一「んんん………(これは……麻酔か?意識が……)」パタリ


「……ターゲットを確保、運ぶわよ。ごめんね恒一くん」

「みんなまだ唇に触れちゃだめだからね」

「わかってるって」

「だったら他のところは触ってもいいんですよね。ゲヘへ」

「ぶん殴るわよ」

────────
──────
────
──


恒一「──────ぅん、ふわぁ」

恒一「あれ、ここどこだ?そしてなんでぼくは椅子に縛り付けられてるんだ!?」

「ごめんなさい、恒一くん」カツン

恒一「その声……赤沢さん?」

赤沢「ええ」

綾野「あたしたちもいるよー!」ゾロゾロ

有田「いるよー」ゾロゾロ

恒一「えっ、なにどういうこと!?」

赤沢「このノート見たことあるでしょ?」

恒一「えっと、7人の魔女のことが書いてあるやつだよね」

赤沢「そう。それで私もこれが本当のことか調べる義務があるの、対策係として!」

杉浦(そんな今とってつけたように……)

赤沢「恒一くんには協力者としてここに来てもらったの」

杉浦(正確には拉致ね)

擬音とか///とかの使い方いまいちわからないので要所は簡易的な地の文を入れることにします

恒一「もしかしてぼくは実験台……」

小椋「クラスの女子ほとんどとキスができるのよ。嬉しくないの?」

恒一「そういう訳じゃないけどさ。ぼくじゃなくても他にいい男子は……」

赤沢「私たちにだってファーストキスの相手を選ぶ権利はあるわ!」

杉浦(榊原くんの権利は無視してるけどね)

桜木「見崎さんとはキスしたんですよね?」

恒一「なんで知ってるの!?」

赤沢「まあいいじゃない。それに実験は同じ条件でしないといけないでしょ?」

恒一「うーん、確かにそうだけど……」

赤沢「覚悟を決めなさい」

恒一「…………わかった。協力するよ」



変化しない状況に終止符を打つために、女子生徒らの間で妥協案が取り交わされた。
榊原恒一と全員がキスできることを保証して、たとえ途中で虜の魔法にかかったとしても残りの者とのキスを続行する。
尚、この間、榊原恒一は拘束されているので脱走はできない。

赤沢「順番は公平に決めたわ」

杉浦「それぞれの持ち時間は15秒。唇に触れた瞬間から測定を始めるわね」

赤沢「それじゃ、最初は……」

綾野「はいはーいっ!、トップバッター綾野彩いきまーす!」

恒一「よ、よろしく」

綾野「よいしょっと」ストン

恒一「え?そこに座るの?」

綾野「この体勢の方がキ、キキキキスしやすいでしょ?」カアア

恒一「まあ、そうだけど(そこに乗られると色々とヤバイ)」



※恒一は後ろ手に椅子に縛られていてそこに対面座位の様に乗っている状況です

金木×松井カップルもいるんだろうか


綾野「えへへ、なんだか照れちゃうね」

かわいい、素直にそう思った。

ぼくの膝の上に座った綾野さんは顔を真っ赤にして、上目遣いでこちらの様子を窺ってくる。

どうしたらいいかわからず宙をさまよっていた手はぼくの制服の胸元にたどり着き、キュッと握った。

緊張で目が泳いで、綾野さんの足が視界に入った。
腰かけた時に制服が少し捲れて、白いふとももが露になっている。
指を這わせれば、健康的に張った瑞々しい肌はしっかりと押し返してくるだろう。

心を決めたのか、ぼくと視線を合わせると小さく頷いた。

息を止め、胸元を握りしめ、ギュッと閉じた目蓋からは微かに涙を滲ませて、ゆっくりと顔を近づけてきた。

>>24
いない見崎とレズップル除いた13人
というかいても書ききれないと思う
とりあえず人気のありそうなキャラは書くただしクオリティに差が出る



綾野「──────んっ」


唇と唇が一瞬触れる。そして、離れた。


綾野「……あはは……はは……こういっちゃんと、キス、しちゃった……」

力無く笑う。興奮と混乱で上手く思考が整理できてないみたいだ。落ち着けるために頭を撫でてあげたいけれど、生憎と両手は縛られている。

綾野「……こういっちゃんとキスしちゃったあ~」

唇を指でなぞり、夢心地に繰り返す。

綾野「ふわああぁん、こういっちゃん大好きだよぉ~」

とうとう泣き出してしまった。そのまま抱きついてくる。
椅子が後ろに傾きかけたけれど、力の入らない足でなんとか踏ん張った。

赤沢「……13……14……15!ほら綾野15秒経ったわよ。離れなさいっ」

綾野「やだー、離れたくないー」ギュー

小椋「彩っ、ズルいよ。次がつかえてるんだから早く退いて」グイグイ

杉浦「榊原くん、何か変わったことはある?」

赤沢「そうだった!恒一くん、魔法は?急に綾野のこと好きになっちゃってたりしない!?」

恒一「うーん、特に変化という変化は……(そりゃああんなキスすれば少しくらい心境の変化はあるけど……)」

杉浦「とりあえず綾野は魔女じゃないみたいね」

赤沢「ええ、先にキスしたのは羨ましいけどよかったわ。それじゃ次の人いきましょ」

杉浦「多々良さんだったかしら」

多々良「はいっ(よーし、私も……)」



綾野 彩 【能力:────】


多々良「よろしく、榊原くん」

綾野さんと同じ様にぼくの膝に静かに座る。

学年でも屈指の美少女、多々良恵。
普段はあまり話すことはないから、こうして近くにいるのは今が平静とは違う状況なのだということを改めて感じてしまう。

長い黒髪を指で後ろにかき分ける。柑橘系の爽やかな香りが小さな風にのって鼻腔をくすぐった。
きっちりとした制服の着こなしや乱れたスカートを直す所作はとても自然で、彼女が清楚だ可憐だと男子の間で話題になるのも頷ける。

綾野さんに比べると冷静に見えるけれど、その白いうなじは朱に染まっていて、やはり緊張しているのだとわかる。

多々良「キス、するよ」

そう言って、両手をぼくの頬に添える。
顔を挟まれるとどうしても視線が前に固定される。

無言で合図をして目を閉じた後は互いの距離を埋めるだけ。


多々良「すぅ──────んっ」

唇が触れる。そして離れ─────ない。

一瞬パニックになった。多々良さんはその唇を離すことなく、両手でぼくの顔をホールドし続ける。

目を開けると丁度彼女もこちらに薄目を開いた。
このまま、と言っているようで、ぼくもそれを了解して再び瞼を下ろす。

15秒をこれほど長く感じたことはない。体感時間を目一杯引き伸ばして、相手の体温を感じる。
合わせるだけだった唇を何度も角度や深さを組み替えた。

多々良「んっ……んん……」

時間が経つにつれて彼女の両手に力が入り、顔を圧迫する。それがこの時間のタイムリミットを知らせる。


多々良さんはたっぷり15秒を使いきると、名残惜しそうに唇を話した。

多々良「ぷはっ…はぁ、はぁ……ふふふ」

赤沢「多々良さんやるわね……」

恒一「ぷはっ……はぁ……はぁ」“初めてこんなに長いキスした……まあまだ三回目なんだけど”

多々良「むぅ、私はファーストキスだったんだけど」

恒一「ん?」

多々良「あれ?」

恒一「今ぼくキスの回数口に出したっけ」

多々良「ううん、だけどなんか聞こえたような……」“えっ何、どういうこと?”

恒一「頭の中に声が聞こえる……もしかしてテレパシー……」

多々良「ええっ、ホント!?」

恒一「もう一回……多々良さん、今からぼくの言う言葉が聞こえたら口に出してみて」

多々良「うん」

恒一“多々良さんの生活には関係のないこと……じゃあ、スティーヴン・キング、『キャリー』1974年”

多々良「スティーヴン……キング、『キャリー』……1974年」

恒一「本物だ……!」

赤沢「ってことはこのノートに書いてあることは本当だったってこと!?」

恒一「信じられない……けど実際に起こってる」

小椋「実際のところ、榊原くんとキスできればどっちだってよかったからね……」

多々良「じゃあ、私、“思念”の魔女ってこと?」

恒一「みたいだね」

多々良「やったあっ!」

杉浦「まあ、このリスト通りだとしたら……」

赤沢「“虜”の能力も実在する……!」

女子(虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい虜こい)


多々良“これがあればいつでもどこでも榊原くんとお喋りできるね!”

恒一“そうだね。これからもよろしく”



多々良 恵 【能力: 思念 】

今日はここまで次はもうちょっと書きためてくる

実を言うとまだ誰にするか決めてない能力もある
キスのネタが尽きてまう…

突然申し訳ありませんがこのSSは一度打ち切らせてもらいます
近日中にこれとは違うのを書くので許してください

それぞれのプロットはできてる
一人書きあがるごとに投下していく

綾野「ねえねえ、あたしも15秒やらなかったから能力が出なかったんじゃないかな?」

赤沢「むぅ……確かにその可能性はあるわね」

綾野「じゃあさ、もう一回いいでしょ?」

杉浦「榊原くんはいい?」

恒一「ぼくはいいけど(なんか深みに嵌まっていく……)」

綾野「やたっ!」

有田「彩ずるーい!」


綾野「おりゃっ」

綾野さんは勢いよくぼくの膝の上にとび乗ると、さっきよりも密着してきた。
先程から硬度を増しきているぼくのアレに綾野さんのお尻が当たりそうで怖い。

テイク2ということで、綾野さんは緊張が解けたのかとてもニコニコとしている。やっぱり元気な笑顔の方が彼女らしい。

だけどスカートの捲れ具合も更にすごいことになっている。何がとは言わないけど、見えてしまいそうでヤバイ。

綾野「こういっちゃん……」

ゆっくりと唇が合わさる。一瞬で離れたさっきとは違い、溶接されたようにしっかりとくっつきその柔らかさを感じる。

綾野「ん……はむ……んん……」

胸元を握っていた手は首に回され、更に接合を深くした。

綾野「………んはっ……はぁ……」

ぐっと押し付けていた唇が離れる。


綾野「えへへ、セカンドキスもこういっちゃんとだね」

自分の言葉にむず痒そうに身体を揺する。

綾野「ねえ、こういっちゃん。あたしキス下手じゃなかった?」

熟した林檎の様に頬を紅潮させて、上目遣いで心配そうに訊いてきた。

恒一「ぼくもそんなに経験ある訳じゃないし、上手い下手の違いはよくわからないけど……綾野さんとのキスはよかったよ」

綾野「えへへ、よかった」

赤沢「ということで綾野に変化はなかったから、15秒っていう時間は関係ないみたいね」

江藤「彩ばっかり二回もずるーい」

綾野「一回目ほんのちょっとだったからいいじゃんっ」

多々良“榊原くん聞こえますかー?”

恒一“うん、聞こえてるよ”

小椋「わたしもあんなにするのか……」ドキドキ

多々良“私とのキスはどうでした?”

恒一“た、多々良さんとのキスもよかったよ”

赤沢「それじゃあ、じゃんじゃん回していきましょう」

多々良“あんまり節操ないことしちゃヤだよ”

恒一“この状況で言われても……”

杉浦「次は私だったかしら」

多々良“榊原くんはやっぱり胸が大きい方がいいの?”

恒一“そ、それは……”

赤沢「ええ、そうよ」

多々良“やっぱりそうなの!?”

恒一“今のは違うって!”

恒一(まずいな、完全に能力を使いこなしてる。下手に物事を考えていられなくなるな……)

杉浦「それじゃ、よろしくね。榊原くん」


杉浦さんがぼくの膝の上に座る。
正直なところ、ぼくは彼女には好ましく思われていないと思っていたのだけれど。

眼鏡の奥の高圧的な眼差しがぼくを射竦める。

ぐっ……やっぱり実際はどうなんだろう。ぼくにも少し苦手意識があるんだろうか。

杉浦さんはポケットに手を突っ込んだまま、何の関心も持ってない様に唇を合わせた。

杉浦「ん」

事務的。そう言っても差し支えないほどの淡白なキス。こちらが目を瞑る暇もなかった。


杉浦「うーん。何も起きないわね」

ぼくにも変化はない。あくまでも何の感慨もない呟き。これで実験は終わりかと思われた。


杉浦「あと10秒残ってるわね」

恒一「えっ?」

言うや否や、再びくちづける。

杉浦「ん………れろっ……」

恒一「んんんっ!?」

唇をこじ開け、舌が入ってきた。
反射的に引いた頭は両手で掴まれ戻される。

歯茎をなぞり、頬の内側を這わせ、下を絡めとられる。
経験したことのない感覚に脊髄に電流が疾った。


「………ぁ……んふ……はむ……ちゅる……」

初めて聞く彼女の甘い声と跳ねる水音が耳朶を打つ。

為されるがままに呆然としてその深いキスを受け入れていたけれど、高まる興奮は今まで必死に冷静たらんと押し止めていた思考を次第に俗なものへと変えていく。

思わず、本能が反応してその豊満な身体を求めようとした。が、ロープに阻まれ椅子がきしんだだけだった。

杉浦「………んちゅ………ふぅ……」

と、そこで接続が切れた。杉浦さんは、荒れた呼吸を整えながら陶然とした笑みを浮かべた。

杉浦「ここまでやっても何も変わらないということは、やっぱり私は魔女じゃなかったのね」

いえ、十分魔女ですよ。

杉浦「すぅっごくよかったよ、榊原くん」

…………エロいです。

綾野「わあ……」

赤沢「多佳子すごい……」

小椋「舌入ってたよね……」

多々良“榊原くんっ、あとでもう一回キスしよう、ディープで!”

杉浦「せっかく15秒与えられてるんだからその間は好きにしていいのよ」

赤沢「な、なるほど」

恒一「ねえ、ちょっとっ」

杉浦「なに?」

恒一「もう逃げないからさ、このロープ解いてくれないかな」

恒一(杉浦さんのでもう完全にアレが……)ギンギン

小椋「うーん、どうする?」

杉浦「逃げないならいいんじゃない。彼も逃げた時、次の日から学校でどんな目に遭うか想像できないほどバカじゃないでしょう」

恒一(想像が当たって欲しくはないな……)ゾクッ

赤沢「そうね、解いてあげましょう。その方がシチュエーションの幅が広がるし」シュルシュル

恒一(助かった……早く戻さないと)

恒一(それにしてもさっきのでまだ頭がぼーっとする)


杉浦「榊原くんから冷静な思考力と理性を少しだけ奪ったわ。これなら多少の無茶も通るでしょう」

赤沢「そういう目論見があったのね」

桜木「元々こちらの言うことを断るとは思わないけど……」

赤沢「優しさにつけこんでいるようでちょっと罪悪感がわくわね……」

杉浦「今は忘れなさい。こうでもしないと私たちは見崎さんとスタートラインを揃えることができないのよ」

綾野「次は誰?」

小椋「わたしよ」

小椋(うわーうわーうわードキドキするよー)


小椋さんがぼくの膝の上にちょこんと座る。
身長は152cmとクラスでは鳴と同率で一番小さく、膝に座って尚、視線の高さは数cmしか変わらない。かわいい。

鳴を人形と喩えるなら、小椋さんは小動物の様な可愛らしさがある。

小椋「……ね、ねえ。わたし重くない?」

かなり軽いです。いや、これはさっきの杉浦さんが重いと言っている訳ではなく、そもそも杉浦さんは身体の一部に大分蓄えこんでいるから……。確かに小椋さんはそんなに胸が大きい訳ではないし、それを気にしているという噂も聞いたことはあったけれど、どちらかと言うと彼女はそれを恥じらっている姿が可愛くて……。

恒一「全然重くないよ。大丈夫だから気にしないで」

小椋「よかった」

恒一「この体勢でいいの?」

ぼくとしてはアレが今元に戻ったばかりだから、この体勢でさっきの様なことになるのが不安だったし、せっかく解放されているのだから一応提案してみる。


小椋「そ、そのことなんだけど……」

見る間に顔が赤くなっていく。消え入りそうな声で言った。

小椋「……抱っこして欲しい」

……クリティカルダメージを喰らった。
こんな頼み方をされて断る訳にはいかない。お尻に手を回して持ち上げる。小椋さんも力を調節してるから、本当に重くない。

小椋「ふにゃー」

今のはぼくのイメージである。だけど、肩に頭を寝かせ、そんな声が聞こえてきそうなほど蕩けた表情をしている。
学校ではキリッとした表情が目立ち、男子にはつっけんどんな態度でいることが多いから、そのギャップもかわいい。猫っぽいな。

恒一「どうして抱っこなの?」

小椋「え、えっとそれは……深い意味はなくて……」

気になったので尋ねてみた。赤面してもぞもぞと動いていたけれど、観念してぼくだけに聞こえるように耳元で小さく言った。

小椋「……ちょっと甘えてみたかったから」

なんだろう。今、かわいい娘を持つ父親の気持ちがわかった気がするな。


小椋「じゃあ、いくよ」

顔を近づける。

小椋「ん」

軽いキス。それが限界だったみたいだ。綾野さんと親友なだけあって似てるな。

小椋「もっかい」

もう一度。また、すぐに離れる。あまり長いのは精神的にもたないらしい。

小椋「……もう一回」

一度は短い。けれど15秒を無駄にしないように啄む様に何度も唇を合わせる。

小椋「ん……」

最後はゴソゴソともがいて下りると、ありがと、と小さく言ってどこかへ走っていった。

恒一「小椋さんも魔女じゃなかったみたいだね」

赤沢「そうみたいね」

恒一「小椋さん、どうしちゃったのかな」

江藤「恥ずかしくて逃げただけだから気にしなくていいよ」

綾野「あたしが探しに行ってくるよ」

恒一「そっか、嫌だったとかじゃなくてよかったよ」

赤沢(能力なんてなくていいから恒一くんと結婚したい)モゾモゾ

佐藤「次は珊ちゃんだよ」

渡辺「私か……」

渡辺(なんでも言っていいんだよね。それじゃ……)

恒一「小椋さんも魔女じゃなかったみたいだね」

赤沢「そうみたいね」

恒一「小椋さん、どうしちゃったのかな」

江藤「恥ずかしくて逃げただけだから気にしなくていいよ」

綾野「あたしが探しに行ってくるよ」

恒一「そっか、嫌だったとかじゃなくてよかったよ」

赤沢(能力なんてなくていいから恒一くんと結婚したい)モゾモゾ

佐藤「次は珊ちゃんだよ」

渡辺「私か……」

渡辺(なんでも言っていいんだよね。それじゃ……)



小椋 由美 【能力:────】


床に腰を下ろす。さっきまでリノリウムだったのにカーペットが敷いてある。準備がいいな。

渡辺さんは少し前の方にこちらに背を向けて座っている。ぼくは後ろから彼女のお腹に手を回し、引き寄せて腕の中に収めた。

バンドのベーシストも務める渡辺さんはどちらかというとカッコいい印象だった。だけど、今の彼女は耳まで真っ赤に染め、肩を縮こまらせ、膝を擦り合わせてとても女の子らしい。
……なんとなくいじめたくなってきたな。

恒一「かわいいよ、珊」

渡辺「っ~~~~~」

耳元で囁くとジタバタと悶えたが、きつく抱きしめて落ち着かせた。

ウェーブのかかった黒髪に鼻をうずめる。香水も使ってそうな大人な雰囲気の持ち主だけれど、キツイ匂いはなく女の子らしいシャンプーのしっとりとした香りがする。

再びもがいてくるが、そこでぼくは動きを止めた。しばらく、呼吸音も発さないほどの待機モード。

恒一「────────」

渡辺「……?………?」

焦れた渡辺さんが恥ずかしがりながらも、チラチラとこちらの様子を窺ってくる。


更に意地悪がしたくなってきた。よし、くすぐってみよう。
有利な位置関係を活かして、彼女の脇を指でくすぐる。

渡辺「きゃっ!?あはははは、やめてっあは、ちょっと、あはははははは」

ひとしきりくすぐってからやめると、息を荒くしていた渡辺さんは脱力して、背中をぼくに預けてきた。

渡辺「はぁ…はぁ……はぁ……もぅ……」

首を捻って、恨めしそうに見上げてくる彼女にそっと顔を近づけ、くちづける。

渡辺「ん……」

空虚だった両手は互いの掌を重ね、指を絡めた。

気を張らない自然体でのキス。不思議と気持ちが通いあっているような気がした。

しかし、なかなか途切れないでいたキスの途中で彼女は突然顔をしかめ、離れた。

渡辺「なんでっ……!」

そう言って身体を反転させると、今度は真正面からキスをしてくる。もう一度顔を離した時、彼女は泣きそうな顔をしていた。

渡辺「なんで……?」

恒一「どうしたの?渡辺さん」

渡辺「……榊原くんとキスしてるのに……他の女の子とキスしてる風景ばかり頭の中に浮かぶの」

恒一「それは……」

恒一(確かに何度も他人がキスしてるのを見せつけられていれば、そういうイメージが頭に根付いてしまうというのも有り得ない話ではない………いや、待てよ……?)

恒一「そのイメージ、誰とキスをしてたの」

渡辺「ゆかりとか、悠とか……」

恒一「まだぼくがキスしてない人たちだ」

渡辺「もしかして……」

恒一「うん、未来予知かもしれない」

恒一「そんなに鮮明に浮かんでくるなら、能力と考えた方がいい」

渡辺「確かに、くっきりとしてた」

恒一「もう一回、いいかな」チュッ

渡辺「ぁっ……」

恒一「何が見えた?」

渡辺「和江に……」

恒一「佐藤さんか、それならやっぱり間違いないかもしれない。キスすると少し先の未来が見えるみたいだね」

渡辺「そうなんだ……」

恒一「元気ないね。すごい能力なのに」

渡辺「何回キスしても女の子とキスしてるイメージばかり見せられたってね」

恒一「ん?それは君が他の女の子とキスしてるの?」

渡辺「そうだけど」

恒一「ぼくじゃなくて?(自分で言うのもなんかな……)」

渡辺「うん」

恒一「もう一回」チュッ

渡辺「ん………柿沼さんと」

恒一「ふむ、ぼくは君が第三者の視点からイメージを視てるのかと思ってたけど、もしかしたら、それはぼくの未来を見てるのかもしれない。つまりキスした相手の視点からの未来を」

渡辺「なるほど、だから私が女子なんかとキスを……」

恒一「なんかごめんね、嫌な思いさせて」

渡辺「……じゃあ、責任とってよ」グイッ

恒一「んっ!?」チュッ

渡辺「んっ……はむ……ちゅ……ぁん……んふ……ぁ……んん……」

渡辺「はぁ…はぁ……流石だね。何度も未来を視たけど、今日ここじゃない未来でも女子とキスばかりしてたよ」

恒一「……ごめんね(なんかあまり聞きたくなかった未来だ)」

渡辺「だけど、最後に視た未来。榊原くんが私のバンドのライブ見に来てた」

恒一「ホント?じゃあ、それは喜んで叶えさせてもらうよ」

渡辺「今度チケット渡すから」

恒一「うん、楽しみにしてる」



渡辺 珊 【能力: 未来予知 】

すまぬ今日はここまでで

残り5人一気に投下するのと少しずつだとどっちがいいですかね
遅筆なのと下書きに書き足しながらだから時間かかるのよね

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