赤沢「えっ、恒一くんって演劇部に入部したの?」(229)

綾野「と言うより、厳密には私が無理矢理入れさせたんだけどね」

赤沢「…何で」

綾野「え?だって、少しでも榊原くんのそばにいたいから」

赤沢「え…綾野さんって恒一くんの事好きなの?」

綾野「えっ、何で分かったの?」

赤沢「……何となく」

綾野「女の勘ってやつ?」

赤沢「…まあね」

綾野「私、榊原くんとロミオとジュリエットしたい!」

赤沢「ふーん…。て言うか、恒一くんのどこが好きなわけ?」

綾野「んー…ぜ、全部かな//」

赤沢「そう?何かナヨナヨしてない?」

綾野「な、ナヨナヨなんかしてないよ!」

赤沢「何か頼りなさそう」

綾野「そんな事ないもん!この前だって私を助けてくれたし!」

えっ今ここ以外に立ってた?

なるほど

赤沢「まぁ…私には関係ないから別にいいんだけどね」

ガラッ

恒一「ここが演劇部の部室かな?」

綾野「あっ!榊原くん!」

赤沢「入部したんですってね。一応、歓迎しとくわ」

恒一「よ、よろしくね」

綾野「さぁさぁ、榊原くん、どうぞこちらへ!」

恒一「ありがとう、綾野さん」

後輩「新しく入部した人って、赤沢先輩たちのクラスメイトですか?」

赤沢「ええ、そうよ」

綾野「わ、私としてはクラスメイト以上の関係になりたいな、なんて…やだもぉ!」

バシバシッ

後輩「先輩痛いんで叩かないでください」

赤沢「それじゃあ早速会議するわよ。恒一くんも座って」

恒一「会議?」

赤沢「今年の文化祭でやる演目を決めるの」

ちょっと聞きたいんだが、演劇部って赤沢と綾野以外で誰かいるの?

いない者にされる以前の話

赤沢「とりあえず、みんな何をやりたいか意見を出し合いましょう」

綾野「はいはい!私はロミジュリやりたい!」

赤沢「わかったわかった…ったく」カキカキ

後輩「私はキャッツやりたいキャッツ」

赤沢「本格的ね…てかそれ私たちで出来るのかしら…」カキカキ

綾野「榊原くんは何かやりたい演目あるの?」

恒一「そうだなぁ………蒲田行進曲…とか?」

赤沢「なかなか渋いわね」カキカキ

恒一「赤沢さんの意見はないの?」

赤沢「そうね…私はオリジナルがやりたいわ。自分たちで脚本も一から手がけるのよ」

恒一「オリジナルか…それもいいね」

赤沢「その場合、私は学園青春モノをやりたいわね」

綾野「学園青春ラブストーリー…?」

赤沢「いや誰もラブストーリーとは言ってないんだけど」

後輩「いいですねっ!」

恒一「うん、僕もいいと思うよ」

綾野「榊原くんが賛成なら、私も賛成!」

赤沢「じゃあ、この線で行きましょう」

後輩「ストーリーはどうします?登場人物とか?」

綾野「ストーリーは恋愛モノで確定として…」

赤沢「だから……ハァ。もうそれでいいわ。恋愛モノね。はいはい」

綾野「ねぇねぇ、こんなのどうかな?」

赤沢「ん?」

綾野「とある中学にある日転校生がやって来て…」

赤沢「……ま、良いんじゃない?」

恒一「うん。何かその主人公、僕と被るところがあるし、共感できるなぁ」

綾野「でしょでしょ?」

赤沢(つか恒一くんそのものじゃない)

綾野「それでね、その転校生にクラスメイトの女の子が一目惚れするわけよ」

後輩「ふんふん」

綾野「でも、そこにクラスを牛耳ってる意地の悪い女が行く手を阻むのよ!」

赤沢(なぜ私を見ながらそれを言う…)

赤沢「まあ多少引っかかる点はあるけど、所詮中学生の演劇だし、そんなもんでいっか…」

後輩「じゃあ次は配役ですね!」

綾野「転校生は恒一くんで決まりね!」

恒一「えっ」

綾野「ん?」

恒一「突然名前で呼ばれてびっくりしたよ」

綾野(やば…名前で呼んじゃった…//)

綾野「こ、これからは恒一くんって呼んでいい?こういっちゃんとか」

恒一「まあ、それは別にいいけど」

綾野「うんっ//」

綾野「そしてヒロイン役は…わ、わわわ、わた…」

赤沢「私、ヒロインやりたい」

綾野「…え?」

赤沢「そりゃ私だって憎まれ役は避けたいから」

綾野「だ、ダメ!ヒロインは私なの!!」

後輩「まあまあ。公平にクジで決めましょうよ」

恒一「うん、それが妥当だと思うよ」

綾野「くっ…」

赤沢「ふんっ」

後輩「それじゃあ割り箸の赤い印が付いてる方が当たりになってますんで」

赤沢「私はこっち」

綾野「じゃあ私はこっちね」

後輩「じゃあ引いてください」

恒一「ゴクッ」

綾野(天よ地よ、花よ鳥よ風よ月よ、生きとし生けるすべての者よ、私に恒一くんを与えたまえ!!)

綾野「いざっ!勝負!」


赤沢「…はずれ」

綾野「やった…!!私がヒロイン!!」

恒一「よかったね、綾野さん」ニコッ

綾野「う、うん!//」

綾野(いやぁ~!こういっちゃんの笑顔きゃわわわ~!!)



赤沢「…」

赤沢「今日はここまでにして、もう帰りましょうか」

後輩「そうですね、もう下校時間ですし」

綾野「あ、恒一くん、途中まで一緒に帰ろうよ」

恒一「いいよ」

赤沢「…」

恒一「それにしても赤沢さんが意地悪な女役とは…」

綾野「ぴったしだよね」

恒一「いや、そこまでは…」

綾野「恒一くん」

恒一「ん?」

綾野「…」チュッ

恒一「ッ!?」

綾野「…え、演劇の予行演習だからっ!」

恒一「綾野さん…」

綾野「じゃあねっ!」タタタッ

ババア「ゆっくりして行きなさい。他に誰もいないからねぇ」

恒一「はい」



恒一(ここに立ってれば…)

鳴「あら、榊原くん。また来たの?」

恒一(ほら来た)

恒一「うん。ちょっと相談したいことがあって」

鳴「相談?」

恒一「実は今日、演劇部に入ったんだ」

鳴「へぇ…そうなんだ」(美術部じゃないのか…残念)

恒一「でさ、文化祭に向けて学園恋愛モノやることに決まって」

鳴「そうなんだ」

恒一「しかも僕が主人公になっちゃって」

鳴「すごいじゃない」

恒一「でも自信ないんだよなぁ」

鳴「練習してみる?」

恒一「え?」

鳴「私で練習してみる?」

恒一「れ、練習って…何の?」

鳴「だから、恋愛の」

恒一「え…それどう言う…」

鳴「私を抱きしめてみれば?」

恒一「いやそれは…」

鳴「いいから」

恒一「…こ、こう?」

鳴「もっと強く」

恒一「こう?」

鳴「うん…」

恒一「も、もういいかな?何か恥ずかしくなってきた」

鳴「じゃあ次は…」

恒一「見崎さん?目を瞑って何を待機してるの…?」

鳴「…わかるでしょ?榊原くん」

恒一「だ、ダメだよ…キスは流石に」

鳴「さっき綾野さんとしてたくせに?」

恒一「み、見てたの!?」

鳴「偶然ね」

恒一(恥ずかしい…)

鳴「はたから見たらまるで恋人同士みたいだったわよ?」

恒一「あ、あれはただの練習というか…」

鳴「そう…。じゃあこれも練習の一環よね?」

恒一「でも…」

ヴー ヴー

恒一「あっ、電話だ」

鳴「…」

恒一「はい。…ううん、ちょっと寄り道してるだけ…はい。…わかりました」

鳴「…」

恒一「ごめん見崎さん、僕もう帰るから」

鳴「またね…榊原くん」

恒一「ふぅ…危ないところだったな」

沙苗「おや?そこにいるのはホラー少年じゃないかー」

恒一「あ、沙苗さん」

沙苗「ここで会ったのも何かの縁だし、お茶でもどう?」

恒一「あ…でも家に帰らないと」

沙苗「いいからいいからっ、ほらほら」

恒一「さ、沙苗さん…」

沙苗「演劇?」

恒一「はい」

沙苗「へぇー。で、何やるの?シャイニング?エクソシスト?」

恒一「ホラーはさすがに…。学園恋愛モノですよ」

沙苗「れ、恋愛モノ…?」

恒一「どうしたんですか?」

沙苗「う、ううん。何でもない」

恒一「それで、僕が主人公なんですよ。相手役の子もクラスメイトで…」

ガシャンッ

恒一「沙苗さん!?大丈夫ですか?怪我は?」

沙苗「だ、大丈夫大丈夫っ!あははっ…」

沙苗「何はともあれ、当日は私も見に行くねっ」

恒一「何か知り合いに見られると思うと恥ずかしいですね」

沙苗「ふふっ…」

恒一「あはは…」

沙苗「…恒一くん」

恒一「はい?」

沙苗「私でよければ、いつでも練習台になってあげるからね?」

恒一「は、はあ…」

翌日

勅使河原「よーサカキー!演劇部で主役やるんだって?」

恒一「な、何で知ってるんだよ」

風見「綾野さんが嬉々としてクラスの皆に言いふらしてたからね」

恒一(綾野さん…)

綾野「あ、恒一くんっ。おはよっ!」

恒一「お、おはよう綾野さん」


赤沢「…ふんっ」

放課後・部室

綾野「じゃあ冒頭のシーンから通しでやってみましょ?」

恒一「うん」


恒一「ガラガラッ。はじめまして僕榊原恒一といいます。」

綾野「うわー転校生ねー」

恒一「これからよろしくお願いします」

綾野「いやー何てかっこいい人なのかしらー」


後輩(うわ…二人とも下手糞)

後輩「では、ここから赤沢さんの登場シーンです」


赤沢「ちょっとあんた!可愛いからって調子に乗ってんじゃないわよ!」

綾野「ひええー、調子になんて乗ってませーんっ」

赤沢「そうやってカワイ子ぶりって、転校生に近づこうとしてるんでしょ!?」

綾野「そんなことありませーんっ」

赤沢「この嘘つき!」



後輩(さすが赤沢先輩。やっぱ演技上手だわ)

赤沢「このっ!このっ!」ゲシゲシ

綾野「痛っ!ちょ、ちょっと!本気で蹴らないでよ!」

赤沢「リハーサルでも本気で行くのが私の主義なの。何か文句ある?」

綾野「ぐぬぬ…」

恒一「ま、まあまあ二人とも落ち着いて」

後輩「そ、そうですよ先輩」

赤沢「…ふんっ」プイッ

綾野「何よ!こっちだってプイッ!」

恒一「二人とも、喧嘩はよそうよ…」

後輩「榊原先輩の言う通りですよ」

赤沢「…今日はもう帰る」

綾野「…私も」


榊原「ハァ…。しょうがない、僕らも帰ろうか?」

後輩「そうですね…」

赤沢「死人は三神先生だったのね……」

綾野「三神玲子、榊原くんの叔母さんよね」

恒一「ネタバレやめてよ」

恒一「二人とも仲良かったのに、何で今日はあんなにギスギスしてたんだろ?」

後輩「まぁ、大体の察しはついてますけどね」

恒一「えっ、何か心当たりでもあるの?」

後輩「はい」

恒一「何?」

後輩「…さあ。何でしょう」

恒一「もったいぶらずに、教えてよ」

後輩「あっ、私の家こっちなんで。それじゃ先輩、また明日~」

恒一「なんだよ…教えてくれよな」

ヴー ヴー

恒一「ん…?見崎さんから電話…?珍しいな」

ピッ

恒一「もしもし」

鳴『うちくる?』

恒一「いくいく!…じゃなくて、突然どうしたのさ」

鳴『いいからおいでよ』

恒一「…わかった。じゃあ今から行くね」

鳴『うん。待ってる』

恒一「ここが見崎さんの家か…案外普通だね」

鳴「まあね。それより榊原くん」

恒一「何?」

鳴「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

恒一「聞きたいこと?」

鳴「今日、一緒に帰ってた子、誰?」

恒一「ああ、あれは演劇部の後輩で…ってまた見てたの?」

鳴「うん、偶然」

鳴「ただの後輩?」

恒一「うん。それ以上でもそれ以下でもないかな…」

鳴「そう」

恒一「…用事ってそれだけ?」

鳴「ううん」

恒一「まだ何かあるの?」

鳴「この前の続き、しよっか?」

恒一「続きって…?」

鳴「キス…する?」

恒一「いや、いいよ」

鳴「私は恒一くんのためを思って言ってるんだよ?演技も下手だし」

恒一「な、何で知ってるの?てか下手とか言わないでよ」

鳴「たまたま演劇部の部室通りかかったから、それで」

恒一「たまたま見られちゃったわけか…」

鳴「うん」

恒一「自分では結構いい線行ってたと思ったんだけど」

鳴「ううん。下手」

鳴「私が教育してあげる…」

恒一「み、見崎さん…ダメだって…」

霧果「あら、お友達?」

鳴「…はい」

恒一(助かった…)

鳴(邪魔が入ったか…)

恒一「見崎さん、もう帰るね」

鳴「うん…」

メシ行ってくるか…

小椋「えっ、綾野って榊原くんのこと好きだったの?」

杉浦「お似合いじゃん。付き合えばいいのに」

赤沢「そ、それはダメ!」

杉浦「何で?」

赤沢「とにかくダメなものはダメなの!」

小椋「はは~ん。さては泉美、恒一くんのこと…」

杉浦「ああ…なるほどね」

赤沢「ち、違うわよっ!別にそんなんじゃないけど…」

ガラッ

恒一「おはよー」

勅使河原「オッス!」


小椋「ほらほら、愛しの恒一くんが来たよ?」

杉浦「お迎えに行きなさいよ」

赤沢「や、やめてよ!//」


ガラッ

綾野「ルンルン♪あっ!こういっちゃーん、おはよー♪」

恒一「朝から機嫌いいね綾野さん」

赤沢「…」

昼休み

赤沢「え?今から練習?」

綾野「うん。別に教室でやっても問題ないよね?」

恒一「でも皆の前では…ちょっと」

綾野「やろうよ恒一くん!文化祭なんてあっという間だよ?」

赤沢「確かに時間がないのは事実ね…」

恒一「仕方ないか…やろう」


勅使河原「おー?あいつら何やるんだー?」

風見「何でも演劇の練習らしい」

鳴「…」

赤沢「恒一くん!好き!私と付き合って!」

中尾「…」ガタッ

恒一「ごめん赤沢さん…僕には他に好きな人がいるんだ…」

鳴「…」ガタッ

赤沢「そ、それってもしかして…」

恒一「うん、僕は綾野さんが好きなんだ」

綾野「恒一くん!」

恒一「綾野さん…」


勅使河原「何だこれは」

風見「何だろうね」

綾野「はいっ、カット」

恒一「綾野さん演技上手くなったね」

綾野「恒一くんも…//」

小椋(えぇ…二人ともどう見ても下手だったんですけど…)

赤沢「ラストシーンなんだけどさ、変更しない?」

綾野「変更って…どんな?」

赤沢「最後、綾野さんが刺されて死ぬのよ」

綾野「えっ」

赤沢「それで、私が落ち込んでる恒一くんを慰めて、いつしか二人は…」

綾野「ダメ!そんなの絶対にダメ!!」

恒一「唐突な展開だね…」

赤沢「その方が絶対いいわよ!」

綾野「どこがよ!」

赤沢「ミステリ要素を入れる事でストーリーに深みを出すのよ!」

綾野「今の話のどこにミステリ要素があるってのよ!」

恒一「二人とも喧嘩はやめなよ…ここ教室なんだし」

赤沢「とにかく!綾野さんは最後に死ぬの!」

綾野「死にません!私はあと70年くらい生きて行くんです!」

恒一「もう5時間目始まるよ…」

勅使河原「あの二人あんなに仲悪かったか?」

風見「ふむ…何か事情があるのだろう。お互いに…」


先生「ガラリンコと。おーし授業おっぱじメディア!」


赤沢「ふんっ!絶対死んでもらうから!」

綾野「死なないって言ってるでしょ!私は不死身よ!」

先生「ぶっそうな事言ってないで、早く席につきなさい」

恒一(二人ともどうしたんだろう…最近喧嘩ばっかりだ)

恒一(こんなギスギスしたのは御免だな…)

恒一(あっそうか…!僕が仲直りさせてあげよう!)


恒一「今日さ、帰りに3人でどっかに行かない?」

赤沢「どこかって?」

恒一「ほら、最近練習ばっかりだったし、息抜きがてらにさ」

綾野「あ、私服買いたかったの!」

恒一「じゃあダイエーに行こうか」

赤沢(ダイエーて…)

VS嵐見てくる

ダイエー

赤沢(ま、この辺だとここぐらいしか無いもんね…)

恒一「服売り場は…3階か」

綾野「よしっ、行こー!」

恒一「赤沢さんも服見ていく?」

赤沢「うん…せっかくだし見て行こうかな」

綾野「こういっちゃん、こういっちゃん!」

恒一「はいはい、何でしょう」

綾野「これ何てどうかな?似合うかな?」

恒一「んー…正直、女の子のファッションはよく分からないけど…」

綾野「?」

恒一「綾野さん可愛いから、何着ても似合うと思うよ?」

綾野「か、かわっ?!//」

赤沢「…」イライラ

綾野(やだ…恒一くんたら…可愛いだなんて…//)ウットリ

赤沢「恒一くん!」

恒一「な、何?」

赤沢「これ、私に似合うと思う?」

恒一「うん、似合ってると思うけど」

赤沢「…」

恒一「?」

赤沢(何で私には可愛いって言ってくれないのよ…!)

綾野「じゃあこの服買ってくるねっ!」

恒一「うん。ここで待ってるから」

赤沢「恒一くん」イライラ

恒一「ん?」

赤沢「私は…その…、か、可愛くないの…?」

恒一「赤沢さんは可愛いって言うか…」

赤沢「…」

恒一「綺麗だと思う。すごく」

赤沢「き、綺麗?//」

恒一「うん、美人だよ」

赤沢(び、美人…?綺麗?私が?//)ポワーン

恒一「…」

綾野「おまたせー!」

赤沢「…」

恒一「…」

綾野「えっ、何この空気」

恒一「…せ、せっかくダイエーに来たんだし、アイスか何か食べて行かない?」

綾野「さんせー!」

赤沢「いいわよ」

恒一「じゃあ一階に行こう」


恒一「みんな何食べる?」

綾野「私は巨峰ソフト!」

赤沢「じゃあ私夕張ソフト」

恒一「俺はたこ焼きでいいや」

綾野「ん~冷たくって甘~い♪」

赤沢「…恒一くん、一口どう?」

恒一「ハフハフ…えっ、いいの?」

赤沢「うん。いいよ?」

綾野「!?」

恒一「じゃあお言葉に甘えて」パク

赤沢「どう?」

恒一「甘くて美味しい!」

綾野「…」ギリギリ

綾野「こ、こういっちゃん!私も食べて!…じゃなくて私のも食べて!」

恒一「でも何か悪いなぁ」

綾野「いいからっ!ほらっ!」

恒一「うん」パク

綾野「どぉどぉ?」

恒一「美味しいよ」

赤沢「…」イライラ

綾野「…」ニヤニヤ

恒一(また変な空気になって来た…)

恒一(ご機嫌取りに行くか…)

恒一「僕のたこ焼きも食べる?」

綾野「う、うんっ!//」

赤沢「もちろん!」

恒一「はい」

赤沢「ありがと…」モグモグ

恒一「綾野さんも、はい」

綾野「あ、あ~ん//」

恒一「…え?」

綾野「あ~ん//」

恒一「…は、はいあーん」

綾野「モグモグ…美味しいねっ」

赤沢「…」バンッ!

恒一「赤沢さん…?」

赤沢「………帰る」

恒一「あ、ちょっと待ってよ赤沢さん!」

ギュッ

恒一「えっ?」

綾野「あんなヒステリックな女…ほっとこうよ」

恒一「綾野さん?」

綾野「私はまだ…恒一くんとここにいたい」

恒一「綾野さん…でも…」

綾野「嫌?」

恒一「嫌じゃないけど…赤沢さんが…」

綾野「…家に帰ったんでしょ、きっと。ほっとけばいいよ」

恒一「…」

綾野「お願い恒一くん…」

恒一「…わかった」

綾野「恒一くん//」

恒一(あのあとゲームセンターで遊んで…やっと帰ることになった)

綾野「今日は楽しかったねっ?」

恒一「う、うん…」

綾野「…恒一くん、まだ泉美のこと気にしてるの?」

恒一「いや、別に…」

綾野「嘘つかなくても、いいよ?私分かってるもん…」

恒一「…ごめん」

綾野「謝らなくてもいいってww」

恒一「は、はは…」

綾野「…恒一くん、優しいんだね」

恒一「いや…別に優しくなんて…」

綾野「私ね…嫌だったの」

恒一「…?」

綾野「恒一くんが、泉美に取られると思うと。私、すごい嫌だった」

恒一「え…?」

綾野「だからさっき…泉美なんかほっとけばいい、なんて…」

恒一「…」

綾野「私…、嫌なやつだよね…」

恒一「綾野さん…」

綾野「でも…取られたくないの…誰にも、取られたくない…!」

赤沢(ハァ…何やってんだろ、私)

赤沢(綾野は正々堂々と恒一くんが好きって言ったのに…)

赤沢(私は自分の気持ちを言わずに…これじゃ卑怯よね)

赤沢(気に入らなくなったら勝手に飛び出して…)

赤沢(私…最低…)



赤沢「謝りに行かなきゃ…二人に」

恒一「綾野さん…これで涙拭いて」

綾野「グスッ…ごめん、ありがとう」

恒一「…綾野さん、大丈夫?」

綾野「…」

恒一「綾野さん…?」

綾野「恒一くんっ!」ギュッ

恒一「ちょ、ちょっと…」

綾野「好き…」



赤沢「…」

赤沢(はは…あははは…)

赤沢(私…何に期待してたんだろ…?)

赤沢(二人に謝って、綾野と仲直りして…何がしたかったんだろ…?)

赤沢(三人仲良しこよしで演劇したかったのかな…?)

赤沢(私も正々堂々と恒一くんが好きって宣言して…綾乃と張り合いたかったのかな?)

赤沢(私…何を期待してたんだろ…)


赤沢「はは…あはは………クスンッ」

綾野「私は…恒一くんのことが好き。…大好き」

恒一「綾野さん…」

綾野「もし良ければ…私と……」

恒一「気持ちは嬉しいよ。でも…その…」

綾野「…聞きたくない」

恒一「え…」

綾野「その先は聞きたくない」

恒一「…綾野さん、聞いて」

綾野「…」

恒一「今の僕には、答えは出せないんだ。ごめん」

綾野「…」

恒一「でも、自分の中で整理が出来たら…ね?」

綾野「…それまで、私待ってるから。ずっと、待ってるから」

恒一「うん…」


赤沢「あれー?二人ともどこにいるのかしらー?」


恒一「あの声は…赤沢さん?」

綾野「戻って来たみたいね。…寂しくなったのかな」

恒一「ははっ。かもね」

綾野「ふふっ」

赤沢「あっ、いたいた。ったく、探したのよ?ほら、一緒に帰ろ」

綾野「そうだねっ!」

赤沢「ふふふっ」

翌日・教室

赤沢「死ねぃ!」

綾野「きゃあぁぁぁ…とでも言うと思った?この外道めっ!」

赤沢「ちょっと!台本通りに死になさいよ!」

綾野「だーかーらー!私は死なないってば!てか勝手に台本書き換えないでよ!」

赤沢「あんたが死ななきゃ私と恒一くんが結ばれないでしょうが!」

綾野「うるさいっ!恒一くんし結ばれるのは私!」

赤沢「大体刺されたのに生きてるってオカシイじゃない!」

綾野「実は魔法少女だったのよ!」

赤沢「変な設定組み込まないで!」

恒一「ま、まあまあ…二人とも…みんな見てるから…」

赤沢「恒一くんは黙ってなさい!」

恒一「そ、そんな…」

先生「はいガラリエンヌっと。おーし授業おっぱじメルボルン!」

赤沢「チッ。放課後覚えておきなさいよ!?絶対殺してやるんだから!」

綾野「私が魔法で返り討ちにして殺してやるわよ!アッカンべー!」

先生「相変わらずお前らぶっそうだな…。いいから席につきなさい」

あれから二人は、どちらともなく仲直りしていた。

いくら喧嘩しても、すぐ仲直りできる。

そんな二人はきっと、本当に仲がいいんだと思う。

今日も部室には二人が罵り合う声が響く。

平和だ。

ちなみに、結局演目は変更された。

僕が書いた脚本で、クラスのみんなにも協力を頼んだ。

学校が舞台の、ミステリホラー。

タイトルは、

Another

気をつけた方が、いいですよ?

演劇は、もう始まってるかも知れないですから…。




お わ り

いやー何かスマン。
自分でも良く分からん

正直、赤沢さんも綾野さんも好きだから
どっちかを不幸になんてさせたくなかっただけなんだ

だからこんなイミフな着地に…

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