恒一「いつまで実家に寄生するんですか?」怜子「うぅ…」 (78)

恒一「いつまで実家に寄生するんですか?」

怜子「うぅ…」

恒一「怜子さんくらいの年齢の社会人だったら、普通は一人暮らししてますよね」

怜子「うぅ…」

恒一「しかも料理はお婆ちゃんか僕任せで家ではぐーたらしてばっかりだし」

怜子「うぅ…」

恒一「学校で『あんな美人でしっかり者の三神先生と同居なんて羨ましい』って」

恒一「そんな風に言われる度に僕がどんな気持ちになるか分かりますか」

怜子「うぅ…」

恒一「家じゃだらしないのになーとか思いつつ、気を遣ってイメージを壊さないようにしてますけど」

怜子「うぅ…ありがとう、恒一くん」

恒一「どういたしまして……じゃなくてですね」

恒一「このままじゃ本当に嫁ぎ遅れちゃいますよ」

怜子「ぐさっ」

恒一「なんですかそれ……ふざけてます?」

怜子「……ごめんなさい」

恒一「はい。じゃあ続けますけど、良い機会だし一人暮らしを考えてみるのはどうですか」

怜子「……やだ」

恒一「『やだ』って……子供じゃないんですから」

恒一「怜子さんがそんなこと言っても可愛くないです」

怜子「ぐすっ」

恒一「またそうやってふざける」

怜子「」グスッ

恒一「えっ? 本当に泣いちゃったんですか? 嘘ですよね?」

怜子「うそです」

恒一「怒りますよ」

怜子「ごめんなさい」

恒一「次はないです」

怜子「……はい」シュン

恒一「そもそも、何でそこまで一人暮らししたくないんですか」

怜子「うぅ…それは……」

恒一「それは?」

回線の調子が悪くて繋がらなくなったりID変わったりしますが全部>>1です

怜子「その……」

恒一「……」

怜子「ほら……」

恒一「……」

怜子「うん、つまりね……」

恒一「……」

怜子「あっ、ほら、私は恒一くんの保護者代わりだから!」

恒一「明らかに今思い付いた理由ですよね」

怜子「そ、そんなことはない……けれど」

恒一「そもそも保護者ならお婆ちゃんがいるし」

怜子「……はい」

恒一「それについ先月、三者面談やったばっかりですよね」

怜子「……はい」

恒一「その時に僕の前に座っていた先生は?」

怜子「私です……」

恒一「僕の隣に保護者として座っていたのが?」

怜子「母さんです……」

恒一「その通りです」

恒一「そういえばあの時」

三神「その話は止めましょう、ね?」キリッ

恒一「三神先生モードになっても駄目です」

怜子「うぅ…」

恒一「そもそも普段から家で話すから、すぐに話すことが無くなって」

恒一「途中から三者面談じゃなく」

怜子「こ、恒一くん、そういえば昨日ね……」

恒一「お婆ちゃんが怜子さんを面談する感じになってましたよね」

怜子「うぅ…」

恒一「『怜子、まだ良い人は見つからないの?』」

恒一「『母さん、怜子の花嫁姿が早く見たいわ』って少し寂しそうに」

怜子「思い出すと本気でぐさっと来るからやめて……」

恒一「はい」

恒一「じゃあ話を戻して、他に理由は?」

怜子「その……」

恒一「……」

怜子「えっと」

恒一「……」

怜子「あっ、ほら、家賃が勿体ない!」

恒一「……なるほど」

怜子「ほっ」

恒一「でも怜子さん、前に言ってましたよね」

怜子「えっ?」

恒一「実家暮らしだからお金が貯まる一方だーって」

怜子「そ、それは……」

恒一「それに、お婆ちゃんが言ってました」

恒一「『怜子が家にお金を入れてくれるのは有難い』」

恒一「『親孝行な優しい娘に育って本当によかった』」

恒一「『でも、どうせならそのお金を自分のことに使ってほしい』」

恒一「『お洒落に気を遣って、男性とデートしたり……』って少し寂しそうに」

怜子「……お母さんの話題は心に来るので本当にやめてください」

恒一「はい、分かりました」

怜子「うぅ…というか」

怜子「こ、恒一くんは、何でそんなに私を追い出したいの?」

恒一「いえ、追い出したいとかではなくて……」

怜子「うそ」

恒一「嘘じゃないです」

怜子「本当は、好きな女の子を家に連れ込むのに邪魔だなーとか思ってるんでしょ」

恒一「…………違います」

怜子「えっ? その間はなに? 冗談だったのに」

怜子「恒一くん、好きな人いるの?」

恒一「まあ……一応は」

怜子「えっ? 誰? 誰が好きなの?」

恒一「僕のことは別にいいんです。それよりも一人暮ら――」

怜子「……見崎さん?」

恒一「違います」

怜子「……赤沢さん?」

恒一「違います」

怜子「じゃあ……」

恒一「というか、僕は同世代には興味無いので」

怜子「……上? それとも……まさか、下?」

恒一「この歳で年下好きとか流石にないです」

怜子「へ、へぇ~、じゃあ、恒一くんって年上好きなんだ」

恒一「まあ……」

怜子「そっか、そうなんだ……ふふっ」

怜子「恒一くん、恒一くん」

恒一「なんですか? 自分を指差して」

怜子「わたし、年上」

恒一「知ってますけど」

怜子「恒一くんが好きな女性は?」

恒一「……年上です」

怜子「ふふっ」

恒一「……水野さんです」

怜子「えっ?」

恒一「あ、もしかして覚えてないですか? 水野くんのお姉さんで看護師の……」

怜子「何度も会ったし覚えてるけど……えっ?」

恒一「それで話を戻しますけど、一人暮ら――」

怜子「ちょっと待って、恒一くん、少し待って」

恒一「はい?」

怜子「えっ? 水野さんが好きなの?」

恒一「はい」

怜子「確かに可愛らしい人だし、恒一くんと話も合うみたいだったけど……」

怜子「好きなの?」

恒一「はい」

怜子「……そっか」

恒一「……」

怜子「……そう、なんだ」

恒一「まあ、嘘ですけど」

怜子「そっか、うそ……って、えっ? 恒一くんっ!?」

恒一「そういえば、嘘泣きの仕返しがまだだったなーと思って」

怜子「うっ、それを言われると強く出られない……けど」

恒一「じゃあ話を戻しますが――」

怜子「ちょっと待って、どこからが嘘?」

怜子「水野さん? 年上好き?」

怜子「それとも好きな人が居るってところから?」

恒一「……水野さんが好き、って言うのがです」

怜子「そ、そっか」

恒一「はい」

怜子「…………」ソワソワ

恒一「止めてくださいよ、何か急にそわそわするの」

怜子「……そわそわなんてしてない」

恒一「怜子さんが思ってるようなことはないですから」

怜子「わ、私が何考えてるか恒一くんに分かるの? それが正しいか分からないじゃない?」

恒一「……まあ、そうですけど」

怜子「試しに言ってみて? 合ってるかどうか」

恒一「僕が」

怜子「恒一くんが?」

恒一「怜子さんを」

怜子「わ、私を?」

恒一「……好き、みたいな」

恒一「そういうのはないので、照れるのはやめてください」

怜子「……て、照れてない」

恒一「本当やめてください。こっちまで恥ずかしくなります」

怜子「で、でも『好き』って言う時に恒一くんも少し照れてたよね?」

恒一「……照れてないです」

怜子「ほ、本当に?」

恒一「……はい」

怜子「ぜ、絶対照れてたけどなー」

恒一「照れてません」

怜子「じゃ、じゃあもう一回言って? 照れてないなら大丈夫よね」

恒一「…………分かりました」

恒一「怜子さん、好きです」

怜子「うぅ……」

恒一「言わせといて自分が照れるの止めてくださいよ!」

怜子「だって……」

恒一「だってじゃなくて」

怜子「……恒一くん」

恒一「はい?」

怜子「私も恒一くんのこと、好き」

恒一「……僕は照れませんよ、別にそんなこと言われたからって」

怜子「す、素直じゃないんだから、恒一くんは……顔赤いよ?」

恒一「……怜子さんには言われたくないです」

怜子「恒一くん……」

恒一「はい?」

怜子「何で私が一人暮らししないか、だけど」

怜子「……恒一くんと離れるのが嫌だなーって言うのが、本音だったりして」

恒一「ま、またそんな冗談を……って、顔真っ赤じゃないですか!?」

怜子「うぅ……やっぱり言うんじゃなかった……」

―――――――扉―――――――

祖母「もう、怜子は手遅れね……」

祖父「可哀想になー」


おわり

以上です。ありがとうございました
次はせっかくなので小椋さんか多々良さんがヒロインのSSを書きます

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