・アイマス×モバマス
・今回はミリオンも
・ヤマ、オチ特になし
・口調その他、違和感にご注意ください
よろしければお付き合いください
↓なお前回
【予定は未定】ライラ「サプライズでございます!」 千早「……いい笑顔だわ」
【予定は未定】ライラ「サプライズでございます!」 千早「……いい笑顔だわ」 - SSまとめ速報
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千早「皆さんこんばんは、如月千早です」
ライラ「ライラさんでございますー」
千早「……意外と早かったわね」
ライラ「何がでございますか?」
千早「前の放送からよ」
ライラ「あー」
千早「いえ、普通に考えると決してそういうわけじゃないのだけれど」
ライラ「この番組でございますからねー」
千早「もう完全に感覚がおかしくなっているわね」
ライラ「まあまあ、深く考えてはいけないのですよ」
千早「それもそう、ね」
千早「……それにしても、暑いわね」
ライラ「そうでございますねー」
千早「その割には平気そうだけれど?」
ライラ「あー、ライラさんの故郷はもっと暑いでございますから」
千早「日本の蒸し暑さとか、大丈夫なのかしら」
千早「何となく、乾燥しているようなイメージがあるのだけれど」
ライラ「雨は降りませんですが、この時期はとてもジメジメしているのです」
千早「そうなの?」
ライラ「ですので、そんなに辛くはないのですよ」
千早「なるほどね」
ライラ「それに、暑いとアイスが美味しいでございますからねー」
千早「ふふ、ライラさんらしいわね」
ライラ「えへへー」
千早「ところで、今日のゲストなのだけれど」
ライラ「千早さんご存知なのですか?」
千早「ええ、まあ」
ライラ「おー、なんだか珍しいでございます」
千早「というより、初めてよね」
ライラ「そうでございましたか?」
千早「いるとかいないとか、教えてもらったことなかったもの」
ライラ「おー……」
千早「いい加減慣れはしたけれど、よく考えると扱いがおかしいわよね」
ライラ「スタッフさんは、千早さんのリアクションが見たいだけなのですよ」
千早「……へ?」
ライラ「カメラさんは、千早さんのわずかな表情の変化も見逃さない、とのでした」
千早「えっと……?」
ライラ「音声さんは、ため息一つだって残さず拾うと仰っていました」
千早「あー、ライラさん?」
ライラ「はいです」
千早「その話は、どこで?」
ライラ「千早さんのお誕生日の映像を見て、改めて固く誓ったのだそうですよ」
千早「うん、まあ……ありがたい話ではあるのよ?」
ライラ「ほえ?」
千早「でもなぜかしら。スタッフのドヤ顔が無性に腹立たしいのよね」
ライラ「あー、悪気はございませんのですよ」
千早「それがまた、タチが悪いのよ」
ライラ「ふふー」
千早「ライラさん?」
ライラ「仲良しさんでございますねー」
千早「今の流れで?」
ライラ「千早さん、全然嫌そうではございませんですよ」
千早「それはまあ、その……ね」
ライラ「ふふふー」
千早「(敵わないわね)」
ライラ「それで千早さん、ゲストさんはどちらでございますか?」
千早「これから移動する先で待ってるみたいよ」
ライラ「おー、それではお待たせしてはいけませんですねー」
千早「それもそうね」
ライラ「どこへ行けばよろしいのでしょうか?」
千早「ほら、そこに見える竹林の中らしいわ」
ライラ「ほほー、あそこでございますか」
千早「なんであそこで収録を開始しなかったのかしらね」
ライラ「特に理由はないのではないでしょうか」
千早「……そんな気がしてきたわ」
ライラ「それでは予定は未定、始まりますですよー」
千早「さて、今回は何をやらされるのやら……」
***************************
ライラ「おー、こちらは涼しいでございます」
千早「ええ、そうね」
千早「……作業着でなければ、もっと涼しかったでしょうに」
ライラ「移動があったのは、着替えの為だったのですねー」
千早「油断していたわ」
ライラ「仕方ないでございますよ」
千早「それもそうね。気を取り直してゲストを紹介しましょうか」
ライラ「おー」
千早「今日のゲストの、周防桃子さんよ」
桃子「周防桃子です、よろしくお願いします」
ライラ「桃子さん、よろしくですよ」
千早「(ライラさん、当たり前のように目線を合わせてるわね)」
千早「周防さんは、私の後輩なの」
ライラ「ほほー」
千早「まあ、芸歴でいえば先輩なのだけどね」
ライラ「ほえ?」
桃子「桃子、アイドルになる前は子役をやってたからね」
ライラ「おー、それでは泰葉さんと一緒なのですねー」
桃子「それって……岡崎泰葉さん?」
ライラ「その通りなのですよー」
千早「周防さんの知り合い?」
桃子「うん。何回か共演したことがあるの」
ライラ「お友だちだったのですねー」
桃子「そういうのじゃ……ないよ」
千早「周防さん?」
桃子「別に、共演したからって友だちになるわけじゃないし……」
桃子「も、桃子はプロだから、仕事にプライベートは持ち込まないのっ!」
ライラ「なるほどー」
ライラ「では今度、泰葉さんも一緒に遊びに行きませんですか?」
桃子「……どういうこと?」
ライラ「お仕事でなければお友だちなのですよ」
桃子「そんな簡単なことじゃ……」
千早「それは、私もご一緒していいのかしら」
桃子「ち、千早さん?」
ライラ「もちろんでございますよー」
千早「ということでよろしくね、周防さん」
桃子「千早さんがそう言うなら……まあ、行ってあげなくもないけど」
ライラ「ふふー、楽しみですねー」
千早「(ちょっとお節介だったかもしれないけれど、たまにはいいでしょう)」
桃子「と、ところで!」
ライラ「はいです?」
桃子「今日って、何をするの?」
千早「何って……」
桃子「もらった資料には『竹林で収録』しか書かれてなかったんだけど」
ライラ「あー、ライラさんたちもそれ以外知りませんですねー」
桃子「……え?」
千早「ごめんなさいね。こういう番組なのよ」
桃子「出演者が収録内容を知らないの……?」
ライラ「そうなのでございますよー」
千早「スタッフはもちろん知っているのでしょうけれど」
桃子「…………」
ライラ「きっと、何か体を動かすことだと思いますですよ」
千早「作業着だし、一応覚悟はしておいたほうがいいと思うわ」
桃子「……ねえ」
千早「周防さん、その先は言わなくていいわ」
ライラ「桃子さんはマジメでございますねー」
桃子「真面目とかそういう問題かな?」
千早「いいのよ。そういう反応を欲しがってるフシもあるから」
ライラ「細かいことは気にしないほうがいいのですよ」
桃子「細かくないと思うけど……まあ、そういうことなら」
千早「で、私たちは何をするのかしら」
桃子「これ……ノコギリ、だよね?」
ライラ「おー……」
千早「ライラさん?」
ライラ「何となくわかりましたです」
桃子「ホント?」
ライラ「ライラさん、この前事務所で流しそうめんをしましたですよ」
桃子「……ちょっと楽しそう」
ライラ「はいです。とても楽しくて美味しかったでございます」
千早「竹林、ノコギリ、流しそうめん。ああ、あそういう……」
桃子「えっと、違ってるかもしれないんだけど」
ライラ「きっと、桃子さんがお考えの通りだと思いますですよ」
桃子「桃子たちがやるの?」
千早「そのようね」
ライラ「スタッフさんたちがニコニコでございます」
千早「はあ、まったく……」
桃子「桃子が言うことじゃないかもしれないんだけどね」
ライラ「どうかしましたですか?」
桃子「この番組、ちょっとおかしくないかな?」
千早「そうね。私もそう思うわ」
桃子「千早さん……」
千早「でもまあ、こういう番組だから」
ライラ「それに、これはこれできっと楽しいのですよ」
桃子「……ライラさんって強いね」
千早「ええ。見習いたいものだわ」
ライラ「ほえ?」
千早「ふふ。ライラさんは気にしなくていいわ」
桃子「で、桃子たちで竹を切るんだよね?」
千早「まあ、そうね」
桃子「でもこのノコギリ、桃子が知ってるのとちょっと違うんだけど」
ライラ「持つところが二つありますです」
桃子「桃子一人じゃ長くて持てないよ?」
千早「二人で協力する、ということかしら」
ライラ「おー、楽しそうでございます」
桃子「こんなノコギリ、お店でも見たことないよ」
千早「わざわざ用意したんでしょうね」
桃子「普通のじゃ駄目なの?」
ライラ「こっちの方が面白そうだからだと思いますですよ」
千早「……それ以外に理由が思い浮かばないわね」
桃子「……そうなんだ」
ライラ「物は試しというそうでございますので、早速やってみましょー」
千早「(さすがの切り替えね)」
桃子「最初は見学させてもらってもいいかな?」
千早「ええ、構わないけれど」
桃子「桃子、あんまりこういうことやったことないから……」
ライラ「では、ライラさんと千早さんでギコギコですねー」
千早「ふふ。よろしくね、ライラさん」
ライラ「えへへー、頑張りますですよー」
千早「切るのはこの竹でいいのかしら」
桃子「うん、そうみたい」
ライラ「千早さん、よろしくお願いしますです」
千早「息を合わせて頑張りましょうか」
ライラ「では、かけ声ですねー」
桃子「(ライラさんって、なんでこんなに楽しそうなんだろ)」
ライラ「せーの、いっちに、さんし」
千早「五、ろ……あぅ」
桃子「千早さん大丈夫?」
千早「ええ、ありがとう。でもこれ、なかなか難しいわ」
ライラ「ノコギリがグニャニャしますです」
千早「もっとしっかり息を合わせないと駄目みたいね」
桃子「(千早さんも楽しそう……)」
ライラ「いきますよー」
千早「ええ」
ライラ「いっちに、さんし」
千早「五、六、七、八」
桃子「あ、いい感じ」
千早「これ、けっこう、しんどい、わねっ」
ライラ「でも、楽しいで、ございます」
千早「ええ、そう、かも」
桃子「(あっという間に息が合っちゃった)」
ライラ「……ちょっと休憩でございますよ」
千早「次は周防さんやってみる?」
桃子「上手くできるかな……?」
ライラ「心配ご無用でございますよー」
桃子「ライラさん?」
ライラ「できない方が、できた時嬉しいのです」
桃子「……できないって決まったわけじゃないもん」
ライラ「おー……」
桃子「二人がやってるところ見てたから、やり方だってわかるし」
桃子「桃子だってできるって、証明してみせるんだから」
千早「(負けず嫌いに火が点いちゃったかしら)」
桃子「千早さんも、ちゃんと見ててね?」
千早「ええ、もちろんよ」
桃子「ここをこう持って、それから……うん、大丈夫」
ライラ「それでは桃子さん、よろしくですよー」
桃子「うん、任せてよ」
ライラ「せーの、いっち、に」
桃子「さん、し、うんしょ」
千早「……私の時よりスムーズじゃない?」
桃子「ふふ、そう、かな?」
ライラ「はいです、桃子さん、お上手です」
千早「(まあ、確かに私は不器用だけれど)」
桃子「やってみると、なんとか、なるものだねっ」
ライラ「桃子さん、とてもよい、センスですねー」
千早「(ライラさんが上手くフォローしているようにも見えるのよね)」
桃子「あんまり、役に立ちそうにない、才能だね」
千早「その割には嬉しそうよ、周防さん?」
桃子「ち、ちょっと千早さん?」
千早「そろそろ交代しましょうか、ライラさん」
ライラ「おー、よろしくお願いしますですよ」
千早「さて、周防さんの足を引っ張らないようにしないとね」
桃子「も、もうっ、千早さん!?」
千早「ふふ、冗談よ」
ライラ「ふふー、息ピッタリでございますねー」
――――――
――――
――
桃子「何とか切り終わったね」
千早「なかなかの重労働だったわ」
桃子「でも、これで終わりじゃないんでしょ?」
ライラ「あー、続きはスタッフさんがやるようでございますねー」
千早「ああ、そういうこと」
桃子「……ねえ、千早さん」
千早「何かしら」
桃子「スタッフの人、ものすごい勢いで切ってるんだけど」
千早「この番組のスタッフ、変な方向に優秀なのよ」
桃子「桃子たちが頑張ったのって、なんだったのかな」
千早「周防さん……」
ライラ「桃子さんはやってみてどうでございましたか?」
桃子「どうって……」
ライラ「ライラさんはとても楽しかったでございます」
桃子「しんどかったし、ちょっと失敗もしちゃったけど……桃子も楽しかった、かな?」
ライラ「では、それでいいのですよ」
千早「ふふ、ライラさんらしいわね」
桃子「とか何とか言ってるうちに切り終わっちゃった」
ライラ「おー、さすがでございます」
千早「次は竹を割らないといけないわね」
桃子「あの大きくて重そうな包丁みたいなの、なんなのかな?」
ライラ「ナタ……と言うそうでございます」
千早「あれを使って何を……ああ、ああやって割るのね」
桃子「すごい……」
ライラ「豪快でございますねー」
桃子「あれ、桃子たちもやるの?」
千早「ええと……さすがに危ないから、やらないみたい」
ライラ「おー……」
桃子「(なんでちょっと残念そうなんだろ)」
千早「残りの加工も、スタッフでやるみたいよ」
桃子「……ナタで竹のフシを吹き飛ばしてるね」
ライラ「ちょっとやってみたいですねー」
桃子「やめておいた方がいいと思うな」
千早「同感ね」
ライラ「…………残念です」
***************************
千早「完成にはまだ時間がかかるみたいね」
桃子「土台まで竹で組み始めてるもんね」
ライラ「皆さんイキイキしていらっしゃいますです」
桃子「この人たち、なんでテレビ番組のスタッフやってるのかな」
千早「確かに、もっと違う分野でも活躍できそうではあるわね」
ライラ「楽しいことに全力なのですよー」
千早「……もうちょっと私たちに気を遣ってくれてもいいとは思うけれど」
桃子「千早さん、苦労してるんだね」
千早「ええ、それはもう」
ライラ「ところで、空いた時間はどうしますですか?」
千早「ただスタッフを見ているというのも、何か違う気がするわね」
桃子「……ホントに何も決まってないんだね」
ライラ「予定は未定でございますからねー」
千早「周防さんは何かやりたい事とかあるかしら?」
桃子「うーん……急に言われても出てこないよ」
ライラ「はいですっ!」
千早「はい、ライラさん」
ライラ「タケノコでございます!」
桃子「タケノコ?」
ライラ「竹林と言えばタケノコなのでございますよ」
桃子「そう、なのかな?」
ライラ「採れたてを焼いて食べると大変美味しいと聞いたことがありますです」
桃子「それ、ちょっと食べてみたいかも」
千早「でも、今の時期に筍ってあるのかしら」
桃子「……周りの竹、みーんな桃子よりおっきいね」
ライラ「おー……」
千早「ま、まあ、筍掘りはまたの機会にしましょうか」
ライラ「機会、ありますですか?」
千早「……番組が続いていれば?」
ライラ「では、その時は桃子さんもお呼びしますですよ」
桃子「桃子も?」
ライラ「はいですよ!」
桃子「ふぅん……ま、まぁ、期待しないで待ってるよ」
千早「(周防さん嬉しそう)」
桃子「千早さん?」
千早「いえ、なんでもないわ」
桃子「ホントに……?」
千早「ええ、もちろんよ」
ライラ「お二人とも、ちょっとよろしいでございますか?」
千早「どうかしたのかしら」
ライラ「スタッフさんから、こちらを渡されましたですよ」
桃子「竹の……板?」
千早「短冊、かしら」
ライラ「なんでも、竹とんぼを作ってみては、とのことでございます」
千早「私たちで、ってことよね」
桃子「これ、スタッフが用意したのかな」
ライラ「余った竹で作ったそうでございますよ」
桃子「ただ切っただけじゃなくて、ちゃんと薄くしてあるよ?」
千早「相変わらず、よく分からない方向に優秀ね」
ライラ「ところで、竹とんぼとはどういうものなのですか?」
千早「プロペラみたいに飛ばして遊ぶオモチャ……かしら」
ライラ「なんと、この竹でそんなものが作れるのでございますか」
千早「じゃあ、やってみる?」
ライラ「はいですよ」
千早「周防さんもそれでいいかしら」
桃子「うん。そういうのも面白いかも」
ライラ「桃子さんは竹とんぼ作れますですか?」
桃子「えっと……作るのは初めてだけど、多分」
ライラ「おー、ではライラさんにも教えてくださいです」
桃子「ちゃんとできるかわからないよ?」
ライラ「ノコギリもお上手でしたので大丈夫でございますよ」
千早「別に失敗しても何かあるわけじゃないし、気楽にね」
桃子「まあ、そこまで言うなら……」
ライラ「えへへー、ありがとうございますですよー」
千早「周防さん、よろしくね」
桃子「……千早さんも?」
千早「ほら、私って不器用だから」
ライラ「桃子先生、お願いしますです」
千早「私からもお願いします、周防先生」
桃子「もう、しょうがないなぁ」
桃子「桃子にお任せ、だよっ」
千早「ふふ、ありがとう」
ライラ「ふふー」
千早「それで、何をすればいいのかしら」
桃子「線が書いてあるところをヤスリで削るんだって」
ライラ「なるほどー」
桃子「左右バランスよく、ナナメに削るのがコツみたい」
千早「……ちゃんとできるかしら」
桃子「気楽に……でしょ、千早さん?」
千早「え、ええ、そうね」
ライラ「さすがは桃子先生でございますねー」
桃子「も、もう。そういうのはいいから!」
千早「(ふふ、嬉しそう)」
ライラ「それでは、がんばりましょー」
千早「……今更だけれど、竹を削るだけって地味よね」
桃子「……うん、そうだね」
ライラ「でも、これが空を飛ぶのでございますよね?」
千早「ちゃんとできていれば、ね」
ライラ「ふふー、楽しみでございます」
桃子「(ライラさんって、子どもみたいだなぁ)」
ライラ「どうかしましたですか?」
桃子「ううん、なんでもないよ」
千早「ふふふ」
――――――
――――
――
ライラ「できましたですよー」
千早「私も、なんとか」
ライラ「これをどうやって飛ばすのでしょうか」
桃子「真ん中の穴に軸を差すんだけど……」
ライラ「軸も作るのでございますか?」
千早「スタッフが作っていたみたいよ」
ライラ「おー、とてもキレイですねー」
桃子「……お店に並んでる竹ひごかと思った」
千早「何なのかしらね、このこだわりは」
ライラ「竹とんぼ、早く飛ばしたいでございます」
千早「ふふ。じゃあ、広いところに行きましょうか」
桃子「うん」
ライラ「桃子先生、飛ばし方教えてくださいです」
桃子「えっと、軸をこうやって両手で挟んで」
ライラ「こうでございますか」
桃子「あとは手をこするみたいにして……こうっ」
ライラ「おー、飛びましたです!」
千早「綺麗に飛んだわね」
桃子「……良かった」
ライラ「次はライラさんの番でございます」
千早「ふふ、頑張ってね」
ライラ「むむー、えいっ」
桃子「やった、ちゃんと飛んだ」
ライラ「おー、やりましたですよ!」
千早「さて、私のは……」
桃子「千早さん。気楽に、だよ?」
千早「ふふ、ありがとう」
ライラ「きっと大丈夫なのですよ」
千早「そうだといいけれ……どっ」
桃子「うん、しっかり飛んでる」
ライラ「おー……」
千早「ふふっ、周防先生のお陰ね」
桃子「もう、そういうのはいいってば」
ライラ「ですが、桃子さんの竹とんぼが一番よく飛びましたです」
桃子「そうだった?」
千早「ええ。流石は先生ね」
桃子「だ、だから、そういうのはいいの!」
ライラ「ふふー」
千早「ふふふ」
桃子「もう、二人ともなんなの!?」
***************************
千早「流しそうめん、準備できたみたいよ」
ライラ「待ってましたなのです」
桃子「……速い」
千早「まあ、ライラさんだから」
ライラ「千早さーん、桃子さーん、早く食べましょー」
千早「ですって」
桃子「そうだね。待たせるのも悪いもんね」
千早「……思っていた以上に立派ね」
桃子「桃子たち、竹を切っただけだよね?」
ライラ「どうかしましたですか?」
千早「ここまで本格的に組んであるとは思ってなかったのよ」
桃子「ホントにここのスタッフ、どうかしてると思うな」
ライラ「スタッフさん、桃子さんが褒めてくださいましたですよ」
千早「お願いですから、調子に乗って羽目を外さないでくださいね?」
桃子「(千早さん目が本気だ)」
ライラ「では、さっそくいただきましょー」
千早「ライラさんもお箸なの?」
ライラ「はいです。少しずつ上達しているのですよ」
桃子「取れなかったら可愛そうだから、桃子も手伝ってあげるよ」
ライラ「おー、ありがとうございますですよ」
千早「ふふ、よかったわね」
桃子「来たよ、ライラさん」
ライラ「えーと、えーと……」
千早「あらら」
桃子「じゃあこれは桃子が貰うね」
ライラ「……残念です」
千早「ほら、次よ?」
ライラ「うー、えいっ」
桃子「あ、惜しい」
千早「これは私、でいいかしら」
ライラ「どうぞですよ」
桃子「どうする? 手伝おっか?」
ライラ「むー、最初は自分の手で取りたいのですよ」
千早「(ですってよ、スタッフの皆さん?)」
桃子「無理に掴もうとしないで、すくい上げればいいんだよ」
ライラ「すくい上げるでございますか」
桃子「そう。お箸をフォークみたいに使うの」
ライラ「おー、それなら簡単でございますねー」
桃子「じゃあ頑張ってね」
ライラ「はいですよ」
桃子「(……あれ、台の角度変わってない?)」
千早「ライラさん。次、来るわよ?」
桃子「(やっぱり。流れもちょっとゆっくりになってる)」
千早「(これくらいの仕込はしていると思っていたけれど、やっぱりね)」
ライラ「今度こそ……えいっ!」
千早「ふふ、おめでとうライラさん」
ライラ「おー! 取れましたです!」
桃子「良かったね」
ライラ「はいです。美味しいでございます!」
千早「ほら、どんどん来るわよ」
桃子「わわっ」
ライラ「ふふー、やっぱり水に流す文化はステキでございますねー」
千早「え?」
桃子「ライラさん?」
ライラ「ほえ? そうめんを水に流すのは日本の文化なのでございますよね?」
千早「……えっと、うん。流しそうめんは確かにそうなのだけれど」
桃子「『水に流す』っていうのは、そういう意味じゃないかな」
ライラ「そうなのですか?」
千早「水で洗ったみたいに、過去のことを綺麗になかったことにして許すっていう意味なの」
ライラ「おー……」
桃子「で、でもほら、流しそうめんについては間違ってないから」
ライラ「ふふー、桃子さんお優しいでございますねー」
桃子「そ、そういうわけじゃないけど」
ライラ「ですがライラさん、また一つ日本のことが知れて嬉しいのでございますよ」
桃子「(なんで……そんな風に笑えるんだろ)」
千早「ふふ」
ライラ「ほら桃子さん、次が来ますですよ」
千早「ぼんやりしてるとライラさんに全部食べられちゃうわよ?」
桃子「え? それは困るよ」
ライラ「むー、ライラさんはそこまで食いしん坊ではないのですよ」
千早「あら、そうだったかしら」
桃子「二人も取ってくれなきゃ、桃子だけじゃ食べきれないよ」
ライラ「おー、それはいけませんですねー」
千早「ふふふ」
***************************
桃子「うー、お腹一杯……」
ライラ「幸せでございますねー」
千早「ほら二人とも、カメラが回っていることを忘れてないかしら」
桃子「…………あ」
ライラ「桃子さん、別に気にしなくてもいいのですよ」
千早「まあ、スタッフも普段見られない一面が撮れて満足でしょうし」
桃子「うう……なんか納得いかない」
ライラ「まあまあ、でございますよ」
千早「ごめんなさいね、こういう番組だから」
桃子「油断しちゃった桃子も悪いんだから、もういいよ」
千早「(ライラさんと一緒にはしゃいでいたことには触れないでおきましょう)」
ライラ「桃子さん、今日はどうでございましたか?」
桃子「これで良いのかなっていうことも沢山あったけど……楽しかった、かな?」
千早「ふふ、それは何よりだわ」
桃子「桃子の知らない千早さんも見られたし」
ライラ「おー、興味ありますです」
千早「……ちょっと?」
桃子「普段の千早さんって、本当に頼りになる先輩って感じなんだ」
ライラ「ほほー」
桃子「いろんなことを教えてくれるし」
桃子「……歌のことになると、時々怖いくらいになるんだけど」
ライラ「あー、何となくわかりますですねー」
千早「そんなにかしら……?」
桃子「でも、今日の千早さんは、なんだか『お姉ちゃん』って感じだった」
ライラ「ということだそうでございますよ、千早さん」
千早「そう言ってもらえるのは嬉しいけれど……照れ臭いわね」
桃子「だから、変な番組だけど、来てよかったって思うな」
ライラ「そう言っていただけると嬉しいですねー」
千早「……変な番組なのは確かだしね」
桃子「そこは否定しないんだ」
千早「否定できないのよ……」
ライラ「さて、お時間でございますです」
千早「今回の放送は、周防桃子さんをゲストにお迎えしました」
ライラ「あー、次回の放送は……」
千早「もちろん決まってないわ」
桃子「え?」
ライラ「予定は未定なのですよー」
千早「それでは皆さん、またお会いできますように」
ライラ「またお会いしましょー」
桃子「……ホント、変な番組!」
***************************
【後日・CGプロ】
ライラ「おー、泰葉さんお疲れ様でございますです」
泰葉「ライラさん、お疲れ様」
ライラ「ちょっとよろしいでございますか?」
泰葉「うん、どうしたの?」
ライラ「泰葉さんの次のオフ、いつでございますですか?」
泰葉「次のオフ? えーっと、どうだったかな……」
ライラ「もしよろしければお付き合いいただきたいのですよ」
泰葉「私が? ライラさんに?」
ライラ「はいです」
泰葉「それは構わないけど……どうかしたの?」
ライラ「実は、桃子さんと遊びに行く約束をしたのです」
泰葉「……桃子さん?」
ライラ「あー、周防桃子さんでございますです」
泰葉「周防って……以前子役をやってた?」
ライラ「その桃子さんでございます」
泰葉「ライラさん、桃子ちゃんとお友だちだったんだ」
ライラ「この前番組にゲストで来てくださったのですよー」
泰葉「そうなんだ」
ライラ「桃子さんも泰葉さんのことをご存知ということでしたので」
泰葉「私も一緒に、ってことかな?」
ライラ「そうなのでございます」
泰葉「そういえば、桃子ちゃんも今はアイドルなんだよね」
ライラ「子役の時はお友だちになれなかったと仰っていましたですよ」
泰葉「そっか、そうだよね……」
ライラ「泰葉さん?」
泰葉「子役の世界って、なかなか難しいんだよ」
ライラ「おー……」
泰葉「でもそっか。今なら……そうだよね」
ライラ「大丈夫でございますですか?」
泰葉「うん。私の方からお願いしたいくらい」
ライラ「ふふー、よろしくお願いしますですよー」
泰葉「あ、でも」
ライラ「どうかしましたですか?」
泰葉「お友だちにはなれないかも……」
ライラ「ほえ?」
泰葉「だって桃子ちゃん、今は違う事務所のアイドルだから」
ライラ「うー……」
泰葉「なんて、冗談冗談」
ライラ「泰葉さんイジワルでございます」
泰葉「でも、お友だちになれないかも、っていうのは本当だよ?」
泰葉「お友だちじゃなくて、ライバル」
ライラ「ライバル……でございますか」
泰葉「うん。お互い認め合って、高め合える、そんなライバル」
ライラ「おー」
泰葉「そんな風になれたらなって、そう思うんだ」
ライラ「……泰葉さんが先輩さんと言われる理由が分かった気がしますですよ」
泰葉「もう、ライラさんと私、同い年でしょ?」
ライラ「おー、そうでございました」
泰葉「もう……」
ライラ「では、千早さんと相談して、日付が決まったらお知らせしますですよ」
泰葉「うん、楽しみにしてるね」
<お粗末>
というお話でございました
ミリオンの子は初めて書くので、おかしなところがないかと戦々恐々です
至らぬところがあっても、どうかご容赦願いたく
なお、竹とんぼは普通小刀で作ります
この子らに刃物を持たせるのは危ない気がしたのでこんな形になっています
お読みいただけましたなら、幸いです
あんたの書く話が好きなんだ
今回も良かった 乙
今追いついて
追いついたら終わってた
今回もベネでした乙
乙
今回も可愛かった
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