レスキューラビット「ヘルメットがない!」 (21)


『ここはデュエルモンスターズ界のとある森の中。レスキューラビットはその森の中にある木の家で暮らしていました』

レスキューラビット「むにゃむにゃ……眠いなぁ」

レスキューラビット(昨日は夜更かししてタモリ倶楽部観てたからなぁ。でももう起きないと)

レスキューラビット(とりあえず顔洗ってすっきりしよう。その前に……あれ?)

レスキューラビット「おかしいなぁ? あれれ?」

レスキューラビット「大変だ、僕のヘルメットが無いぞ!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1434102012


『ヘルメットを無くしたレスキューラビットは大慌てて部屋中を探しました』

『しかしベッドの下にも、引き出しの中にも、コンソメ味のポテトチップスの中にもヘルメットはありませんでした』

レスキューラビット(僕にとってヘルメットはアイデンティティーだ。その重要性は魔術師にとっての慧眼に匹敵する)

レスキューラビット(そもそもヘルメットの無い僕なんてただのラビットじゃないか。関根勤じゃないか)

レスキューラビット(それにあれは今は塀の向こうにいる先輩のレスキューキャットさんから貰った大切なヘルメットなんだ)

レスキューラビット「これは何としても見つけ出さないといけない。もし誰かが盗んだと言うなら殺してでも奪い返さないと」

『レスキューラビットは決意を固めました』


レスキューラビット(しかしどう探したものか。今のところ手がかりは0だし)

レスキューラビット(そうだ、こういう時こそ仲間を呼ぼう。僕には何時でも友達を2人も呼べる素敵な力があるじゃないか)

レスキューラビット(呼べるのは効果も使えないド低脳ばかりだけどきっと僕の力になってくれるはずだ)

レスキューラビット「効果を使えば僕は除外されるけどそれは細かい事だ。さあ、来て! 僕の素敵なお友達!!」

し~ん

『しかしレスキューラビットの声は辺りに虚しく響くだけでした』

>塀の向こうにいる

おまえはヤ○ザかw


レスキューラビット(おかしい。何時もなら涎垂らしながらラリった顔で『エクシーズ、エクシーズ!』言いながら来るのに)

レスキューラビット(そうか。便宜上名前は『レスキューラビット』だけどヘルメットの無い今の僕は関根勤なんだ)

レスキューラビット(関根勤じゃアントニオ猪木のモノマネは出来てもモンスターを特殊召喚する事は出来ないよ……)

『レスキューラビットは関根勤を恨みました。でも関根麻里がわりと好みの顔だったので許してあげる事にしました』

レスキューラビット(僕、麻里ちゃんのお父さんになってあげてもいいなぁ。勿論違う意味のお父さんだけど)


『レスキューラビットは手かがかりを求めて外に出ました。そして森の住人に聞いて回る事にしました』

レスキューラビット「すいません、僕のヘルメット知りませんか?」

魔物の狩人「知らないな」 

ゴブリン突撃部隊「知らねぇなぁ」

トラップ処理班「うちのは会社のロゴが入ってるぜ!」

レスキューラビット(使えない連中ばかりだなぁ)

『レスキューラビットは住人達の情報能力の無さに軽く失望しました』


『どうしたものかとレスキューラビットが困っていると森の住人であるエルフの剣士さんが話しかけて来ました』

エルフの剣士「やあ、関根勤かと思ったらレスキューラビット君じゃないか」

レスキューラビット「あ、君はやられ役のエルフの剣士君。ダンジョンワームの腹の中は温かったかい?」

エルフの剣士「これは手厳しいなぁ。だけど僕は出番があるだけいいと思ってるんだ」

エルフの剣士「それにやられ役がいるからこそ主役も映えるものだしね」

レスキューラビット「へ~そうなんだね」

『レスキューラビットは返事こそしましたがエルフの剣士さんの気持ちがまったく理解出来ませんでした。しようとも思いませんでした』


エルフの剣士「それより何だか困っているようだけど?」

レスキューラビット「実はヘルメットを無くしちゃったんだ。君知らないかい?」

エルフの剣士「残念だけど知らないな」

レスキューラビット「そうか。所詮君はやられ役という人生に翻弄されているエルフの剣士なんだね」

エルフの剣士「でも探し物が得意な人なら知っているよ」

レスキューラビット「本当かい? もし嘘なら尿道に火の付いた線香を捻り込んで途中で折るからね」

『親切なエルフの剣士さんは森に住んでる水晶の占い師さんの事を教えてくれました。彼女は占いでどんな探し物でも見つけてくれるのです』


『レスキューラビットは水晶の占い師さんが住んでいる森の奥まで来ました』

レスキューラビット(何だか気味が悪い場所だな。こんな所に住んでいるなんて変わり者に違いない)

レスキューラビット(まあ森の住人は大抵何処か変だけどね。まともなのは僕くらいなものだよ)

レスキューラビット(さて、家はここかな? 何だか公衆便所みたいな臭いがしそうな家だね)

レスキューラビット「ごめんください。水晶の占い師さん居ますか?」

水晶の占い師「あら、可愛いお客さんね。私に何か用かしら?」

レスキューラビット(布で顔を隠してるなんてナイルなトトメスみたいな人だな)


『レスキューラビットは水晶の占い師さんに事情を説明しました』

水晶の占い師「分かりました。私の占いであなたのヘルメットを探してあげましょう」

レスキューラビット「ありがとうございます」

水晶の占い師「貴方は初めてですし特別サービスで料金は少しだけお安くしますね」

レスキューラビット「え? お金取るんですか?」

水晶の占い師「はい、私も食べていかなくてはいけませんから」

レスキューラビット「ちなみにおいくらほど?」

『レスキューラビットは代金を聞いてびっくりしました。真の関根勤ならまだしも今日関根勤になったばかりのレスキューラビットにはとても払えない金額だったのです』


レスキューラビット「こんなお金持ってません。お願いですから無料にしてください」

水晶の占い師「さすがに無料は無理よ。残念だけどお金が払えないなら占う事はできないわ」

レスキューラビット「そうですか。仕方ないなぁ」

水晶の占い師「力を貸してあげられなくてごめんなさいね」

レスキューラビット「水晶の占い師さん。僕は非力な関根勤です。攻撃翌力は300しかありません」

水晶の占い師「?」

レスキューラビット「だけど見たところ貴方は攻撃翌力も守備力も僅か100ポイント。そう、たったの100ポイントしかありません」

レスキューラビット「『その程度』の攻撃翌力ならお友達の力を借りなくても僕1人で対処出来るんだよ」

水晶の占い師「え? ちょ? きゃああああぁぁぁ!!!」

『こうして無事レスキューキャットは水晶の占い師さんからヘルメットの場所を聞き出す事が出来ました』


『レスキューラビットはヘルメットがあるという川のほとりまでやって来ました』

レスキューラビット(シャワー浴びてたら遅くなっちゃった。それにしても何でこんな所にヘルメットがあるんだろう?)

レスキューラビット(もしこれでヘルメットが見つからなかったらあのトトメス酷いぞ……ん?)

ヘルメット「」

レスキューラビット「あった! 僕のヘルメットだ!!」

レスキューラビット「よかった、見つかって。これで晴れて関根勤は卒業だ……あれ?」

『なんという事でしょう。レスキューラビットが手を伸ばすとまるで彼の手から逃れる様にヘルメットが一人でに動き出すではありませんか』

『これにはさすがのレスキューラビットも驚きました。OCG化したラーの効果を初めて目の当たりにしたくらいの衝撃でした』


レスキューラビット「あっ、よく見るとヘルメットの下に何かいるぞ! よーし」

『レスキューラビットは近くの小石を拾うとMAX150の剛球をヘルメットに向かって投げました』

『するとそれに驚いたのか、ヘルメットの中から1匹のネズミが姿を現しました。森の住人であるレスキューラット君です』

レスキューラット「いきなり何をするでちゅか! 僕の大切なヘルメットに傷でも入ったらどうするつもりでちゅ!!」

レスキューラビット「それはこっちの台詞だよ! よくも僕のヘルメットを盗んだね! 僕の怒りは有頂天でゲキオコプンプン丸だよ!!」

レスキューラット「何を意味を分からない事を言っているでちゅか! これは僕のヘルメットでちゅ! 今朝森の中で拾ったんでちゅ!!」

レスキューラビット「森の中で……あ!」

『レスキューラビットは思い出しました。昨日、自分は大切なヘルメットをフリスビーにして遊んでいた事を』

『そしてそれをついうっかり回収しないまま家に帰ってしまった事を』


レスキューラビット「それは僕が森の中に忘れたものなんだ。返してよ」

レスキューラット「これは僕のでちゅ。ペンデュラムの未来の為に僕が使うんでちゅ」

レスキューラビット「そんな事言わずにお願いだから返してよ~」

レスキューラット「嫌でちゅ~」

レスキューラビット「返せってんだろぉ、このドブネズミ!!」

レスキューラット「俺のだって言ってんだろぉ、この腐れウサギがぁ!!」

『2人のレスキューはついにプッツンしました』


レスキューラビット「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

レスキューラット「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」

『やがて始まる殴り合い。血で血を洗う戦闘』

『しかし2体のモンスターの攻撃翌力は互角です。そしてお互いに戦闘破壊の耐性なんて器用な真似はできません』

『この闘いの行方は最初から決まっていたのです』

レスキューラビット「やるな……ぐふ!」

レスキューラット「お前もな……がは!」

『2人は同時に地面に倒れました。相打ちです』

『返り血がヘルメットを赤く染め、森は静寂を取り戻しました』


『この悲劇は一体誰のせいだというのでしょう? それは誰にも分かりません』

『ただ1つ分かる事は争いは何も生まないという事です』

『今こそみんなが手を取り合い平和な未来を創り出す事が大切なのです』

『そしてその未来を創り出すのはこのお話を読んでいる……そう貴方達なのです』

<完>

なんだこれ

森の未来を憂うにゃー
僕も森の未来を救いたいにゃー
僕の効果なら皆を笑顔に出来るにゃー(カリカリカリカリ

オピ乙

面白かった(KONMAI感)
乙です

おつ

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