男「一目ぼれです」 幽霊「えっ?」(25)

~墓場~

男「なんでこんな場所に来ないといけないんだよ・・・こえぇよ」

友「しょーがないだろじゃんけんで負けちまったんだから」

男「来るにしたってかわいい女の子とかだったらよかったのに・・・」

友「そんな怖がってる姿を見られてもよかったのか?」

男「一緒に怖がって抱き着いてくれるならそれでもいい」

友「欲望に素直だよなお前」

友「でもこの墓場って夜には結構出るみたいだからな」

男「なんでお前はそんなに平気そうなんだよ・・・こえぇよここ」

友「だって俺んちの敷地だし。子供のころから見慣れた風景だしな。だから俺がついてきたんだろ?」

男「いやまぁそうだけど・・・」

友「まぁ俺が付き添うのはここまでだけどな」

男「はぁ!?なんだよそれ!?」

友「最後まで付き添ったら何のためにじゃんけんしたかわかんなくなるだろ」

男「いやまぁ、そーだけどさ!」

友「ほれ、さっさと回ってこい」

男「ま、まじかよー・・・」

男「・・・」

ヒュウウウウウ

男「っ!?」ビクッ

男「か、風かよ・・・」

男(まじでこえぇよ・・・やべぇよ・・・)

ヒュウウウロシテヤル

男「・・・」

男(いまなんか・・・聞こえたような)

ロシテヤル

男(そ、空耳・・・じゃないような)

コロシテヤル

男「・・・」クルッ

幽霊「ころしてやるぅぅぅ」

男「・・・・・・」

幽霊「ころしてやるぅぅぅぅ」

男「・・・・・・」

幽霊「ひひひ、こいつ立ったまま気絶してる」

男「・・・」ガシッ

幽霊「・・・は?」

男「君、名前は?」

幽霊「な、なに触ってんの!はなせよ!」

幽霊(なんで私に触れるんだよー!?)

男「名前を教えて」

幽霊「な、なんなんだよお前!?離せよー?!」

男「見た感じ女子高生・・・の幽霊・・・」

幽霊「だ、だったらなんだよー!?」

男「一目ぼれです。俺と付き合ってください」

幽霊「・・・はぁぁぁ!?」

男「だめですか?」

幽霊「ダメも何も私幽霊なんだけど?」

男「それがなにか?」

幽霊「いや、ていうかお前さっきまでのビビりはどうなったの。全然違うじゃんか」

男「幽霊がかわいい女の子だったらビビる必要なんて何もない」

幽霊(何言ってんだこいつ・・・)

男「そして・・・好きという気持ちに人間も幽霊も関係ない!」

幽霊「・・・」

男「だから俺と付き合ってください!」

~翌日~

友「男、父さんがさ、お前に何か悪いもんが憑いてるって言ってんだけど・・・」

男「いや、まぁ確かに憑いてはいるんだけど、お構いなくと伝えてくれ」

友「何言ってんだお前?」

男「いいんだ、俺はこれで幸せだから」

友「・・・?まぁお前がいいならいいんだけど」

幽霊「あんたってホント不思議よねー。幽霊に告白するとか・・・」

男「それを受けた幽霊ちゃんも幽霊ちゃんだろ?」

幽霊「んー・・・まぁ、生きてるうちにできなかったことをしてみるのも一興かなって」

男「・・・未練を断ち切ったら成仏するとかないよね?」

幽霊「成仏するもしないもあたしの勝手だからねー。まぁあんたに飽きたらするかもねー?」クスクス

男「それは困るなー・・・」

幽霊「ていうかあんたはいいの?」

男「なにが?」

幽霊「いや、あたしこんなだしさ。付き合っても何にもなんないよ?はたからみたらひとり言言ってる痛いやつにしか見えないよ?」

男「だったらほかのやつに見られなけりゃいいんでしょ。それだけのことだよ」

幽霊「じゃあいろいろちょっかい出して遊ぼうかなー」

男「そんなの望むところだよ。その分二人きりになったらやり返すから」

幽霊「・・・なにを?」

男「やられた分を」

幽霊「・・・」

~男の家~

男「ただいまー」

幽霊「そういえば世間は夏休みの時期なんだねー」

男「そうだよ。今日もあっつい・・・」カチッ

扇風機「ブィイイイイイ」

幽霊「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」

男「さて・・・じゃあ改めて幽霊ちゃんのこと知りたいな」

幽霊「はい?いやいや、死んだ奴のこと知っても何にもならんでしょー」

男「付き合ってる女の子のことは知りたいでしょ!」

幽霊「いや、そんなに熱くなられてもさ・・・あたし死んでるし」

男「死んでても女の子は女の子。知りたいものは知りたいんだ!」

幽霊「・・・アンタなんかキモイ」

男「とりあえず麦茶飲む?」

幽霊「あたし幽霊だから別に飲み食いしなくても大丈夫なんだけど」

男「でも飲み食いできるんでしょ?」

幽霊「・・・じゃあちょーだい」

男「へーい」コプコプコプ

幽霊「・・・ふぃー。アンタに一つ聞きたいんだけどさ」

男「ん?」

幽霊「付き合ってくれって言ったけどあたしのどこを気に入ったのさ」

男「え?」

幽霊「男の前でこんな感じに胡坐をかいてるような女だよ?どこに惹かれる要素があるやらと」

男「んー・・・見た目は清楚なお嬢様っぽいけど、ぎゃくにそういうガサツなところもギャップがあっていい」

幽霊「あたし馬鹿にされてる?」

男「してないしてない。最初にあったときのいたずらの子供っぽさも一押しだったね」

幽霊「馬鹿にしてんでしょやっぱりー!」

男「そーだ、午後から町に出ようよ」

幽霊「別にいいけど・・・午前中はどうするの?」

男「んー・・・宿題かな」

幽霊「ふーん。まぁ頑張ってー」

男「え?手伝ってよ?」

幽霊「・・・いやいや、私の宿題じゃないし。私勉強する必要もうないし」

男「そんなこと言わずにさ、幽霊ちゃん頭よさそうだし」

幽霊「さっきあれだけ馬鹿にしたくせにこういうときだけ持ち上げるのは卑怯じゃないすか?」

男「一緒に勉強するのって付き合ってるぽいし」

幽霊「・・・」

~男の部屋~

男「驚いた・・・幽霊ちゃん俺より馬鹿だったんだ・・・」

幽霊「人を見かけで判断しないでほしいす」

男「負け惜しみにしか聞こえないよそれ」

幽霊「大体なによコサインサインタンジェントって。なんかの呪文?ってかんじ」

男「まぁ、普通に生きてる上では使わないしね。どっちかっていうと算数のほうが使う感じはするけど」

幽霊「あ、この漫画新しい巻出てたんだ」

男「しかも早速横道にそれた」

幽霊「あたしは女版サボローだからねー」

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