ほむら「まどかがガスパン遊びでイモムシになってしまった…」(184)

 

ほむら「さ、オムツを変えましょうね」

まどか「お願いほむらちゃん……、もう殺して……」

ほむら「そんな悲しいこと言わないで……。大丈夫、何も心配は要らないわ。私が死ぬまでお世話してあげるから」

まどか「……ぐすっ。ぐすっ、ぐすっ」

ほむら「まどか?」

まどか「ごめんねほむらちゃん、ごめんね……」

ほむら「いいのよ。私は貴女といられればそれで幸せだもの」

まどか「ほむらちゃあん……」

ほむら「よしよし」ナデナデ

ほむら「まどか、身体を動かすわよ」

まどか「うん……」

ほむら「ごろーん。はい、終わったわよ」

まどか「いつもごめんね……。もう一人じゃ寝返りすらうてなくて……」

ほむら「そんなこと気にしないでって言ってるでしょ?」

まどか「それでもごめんね……」

ほむら「まどか……」

まどか「何かこんな私にでもできることがあればいいんだけど……」

ほむら「だったら、私と……」

まどか「??」

ほむら「……いえ、何でもないわ」

まどか「そう……?」

まどか「たぶん何も無いとは思うけど、万一何かわたしにできることがあったら遠慮無く言ってね」

ほむら(何を考えてしまったのよ、私は……)

ほむら(まどかが深く傷付いているというのに、キスをしたいだなんていうよこしまなお願いをしかけてしまった)

ほむら(ごめんね。ごめんねまどか)

ほむら(弱味につけこむような真似をしかけて、ごめんね)

ほむら「さて、と」

まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「少しトイレに行ってくるわね」

まどか「あっ、うん」

ほむら(まどか……)

ほむら(まどかぁ……)

ほむら「ぐすっ、ひくっ……」

ほむら「うあああぁ……」

ほむら(どうしてまどかがこんな目にあわなくてはならないの……?)

ほむら(ほんの少し背伸びをして、好奇心からちょっと悪いことに手を染めてしまっただけなのに……)

ほむら「まどかぁ……、まどかぁ……」

ほむら(涙が止まらない……)

ほむら(目の充血がとれるまではまどかのところに戻れないわね……)

まどか「ほむらちゃん、遅いなぁ……」

まどか「……」

まどか「……」

まどか「もしかして見限られちゃったのかなあ……」

まどか「だとしても仕方無いよね……」

まどか「自業自得でこんなになったわたしのことなんて……」

まどか(ほむらちゃん……、寂しいよ……)

ほむら「遅くなってごめんなさい、まどか」

まどか「ほむら……、ちゃん?」

ほむら「ええ」

まどか「よかったぁ……」

ほむら「まどか?」

まどか「私、もしかしたらもうほむらちゃんに見捨てられちゃったんじゃないかって、怖くなっちゃって……」

ほむら(私が泣いてしまったばかりにまどかを不安がらせてしまっただなんて……)

ほむら「言ったでしょう、まどか。私は貴女が望むならば、一生貴女の傍にいるわ」

ほむら「だからそんな心配は必要ないのよ」

まどか「……本当に?」

ほむら「ええ。本当よ」

まどか「ほむらちゃん……、ありがとう。本当にありがとうね……」

ほむら(これからはまどかの傍から離れる時間は極力減らさないといけないわね)

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「なあに、まどか」

まどか「どうしてそんなに優しくしてくれるの……?」

ほむら「そんなの簡単だわ。まどかのことが大切だからよ」

まどか「……もっと早く、その事に気づければよかったな」

ほむら「えっ?」

まどか「こんなに私のことを思ってくれている人がいることに気付けていれば、あんな馬鹿なことしなかっただろうし……」

まどか「手足がある内ならほむらちゃんにも何かしてあげられたかもしれないのに……」

ほむら「貴方はいてくれるだけでいいの。それだけで私は幸せをもらえるから」

まどか「……」

まどか(ほむらちゃん、優しすぎるよ……)

まどか(こんなに美人で素敵なのに、こんなに私のために尽くしてくれて……)

まどか(これじゃあ好きになっちゃうよ……)

ほむら「そうだまどか。そろそろお食事にしましょうか」

まどか(この気持ちがバレるのは嫌……)

まどか(もしほむらちゃんに引かれでもしたら、私は……)

まどか(ほむらちゃんがいなくなったら生きていけないもん……)

まどか(隠し通さないと)

ほむら「きょうのお夕飯は野菜とウインナーの炒めもの、コンソメスープ、炊き込みご飯、トマトサラダよ」

まどか「えへへ、美味しそう」

ほむら「まずは何から食べたい?」

まどか「うーん。それじゃあ炊き込みご飯をお願いしてもいい?」

ほむら「分かったわ。はい、あーん」

まどか「もぐもぐもぐ……」

ほむら「どう、かな……?」

まどか「美味しいよ、ほむらちゃん」

ほむら「よかった!」

ほむら「さ、次は何にしましょうね?」サラッ

まどか(ほむらちゃんの髪が顔に……)

まどか「いい匂い……」

ほむら「うん? スープのことかしら?」

まどか「あっ、う、うん……!」

ほむら「なら次はスープかしらね。熱いからふーふーしてから飲まないとね」

ほむら「ふー! ふー!」

ほむら「はい。あーんして」

まどか「あーん……」

まどか(ほむらちゃんがふーふーしたスープ……)ドキドキドキ

まどか(どきどきがバレませんように……)

まどか「ごちそうさまでした」

ほむら「お粗末様でした」

まどか「とっても美味しかったよ!」

ほむら「そう。つくった甲斐があったわ」

まどか「食べさせてくれて本当にありがとう」

ほむら「いいのよ。……さてとっ、少し洗い物をしてくるわ」

まどか「あ……」

ほむら「まどか?」

まどか「うっ、ううん! なんでもないの!」

ほむら(もしかして一人になるのが不安なのかしら?)

ほむら「……一緒にお台所に行きましょうか」

まどか「!!」

ほむら「ベッドからベビーカーに移すわね。じっとしていてくれるかしら」

まどか「うん!」

ほむら「……」

じゃああああーっ

ほむら「む。このべとつきはなかなか頑固ね」

まどか(ほむらちゃん……)

まどか(ほむらちゃんほむらちゃんほむらちゃん……)

まどか(何でもいい、ほむらちゃんに何かしてあげたい……)

まどか(ほむらちゃんの優しさに少しでも応えたい……)

まどか(できることが何もないのが悔しいよ……)

まどか(ほむらちゃん……)

ところでいもむしってどんな状態?

ほむら「洗い物終わり、と」

ほむら「ついでだからまどか。このままお風呂に入ってしまいましょう」

まどか「お風呂……」

ほむら「身体を綺麗にしなくてはかぶれができてしまうものね」

まどか「うん……」

まどか(ほむらちゃんの前で裸に、かあ……)

>>30
四肢全損

ほむら「服を脱がすわね?」

まどか「うん……」

ほむら「まずは上から」

ほむら(えっちなことを考えてはダメよ、暁美ほむら!)

ほむら(あくまでこれはお世話)

ほむら(まどかは私のことを信用してくれているんだもの)

ほむら(性的な気持ちは捨て去らなくてはならない)

ほむら(でないとまどかに申し訳なさすぎるわ)

ほむら(努めて真顔で、真顔で)

ほむら「……」

まどか「あはは……。気持ち悪いよね、今のわたしの身体……」

ほむら「そんなことはないわ」

まどか「嘘だよ……」

ほむら「本当よ」

まどか「……本当に本当?」

ほむら「ええ。まどかはけっして気持ち悪くなんかないわ」

まどか「……」

ほむら「お湯は熱くない? 大丈夫?」

まどか「うん、とっても気持ちいいよ」

ほむら「それならよかったわ」

ほむら(……まどかの、おっぱい)

ほむら(まどかのお腹……)

ほむら(そしてまどかのアソコ……)

ほむら(ごめんね、まどか。私どうしても貴女を性的な目で見てしまう……)

ほむら(せめて表には出さないようにするから、許してね)

まどか「いいお湯だったよ」

ほむら「ふふっ。さっぱりしたかしら」

まどか「うん……」

まどか(本当はほむらちゃんに裸を見られてると思うとムラムラしちゃって、それどころじゃなかったけど……)

ほむら「よかった。では今度は私が入浴するわね」

ほむら「はあっ……、はあっ……」クリクリクリ

ほむら(まどかのアソコ……)

ほむら(まどかまどかまどかぁ……)

ほむら「ん、くぅ……」クリクリクリクリ

ほむら(ごめんねまどか……)

ほむら(こんなことしてごめんね……)

ほむら「あっ……」クチュクチュ

ほむら「んっ……、はぁぁ……」ピチョピチョピチョ

ほむら「はあっ、はあっ、はあっ……、はあぁ……」

ほむら(最低ね、私)

ほむら(本当に最低)

ほむら(まどかぁ……)

翌日


ほむら「今日は食材を買いにいってくるわね。何か食べたいものはある?」

まどか「ほむらちゃんの作ってくれるものなら……、なっ、なんでも好きだよ……!」

ほむら「ありがとうまどか。お世辞でも嬉しいわ」

まどか(お世辞じゃないのに……)

ほむら「30分から一時間ぐらいで帰ってくるわね」

まどか「うん……、いってらっしゃい」

まどか「ほむらちゃん好き」

まどか「なんちゃって、えへへ」

まどか「本人がいる時には言えないけど、今ならこれぐらいはいいよね……」

まどか「今のうちに好き好きって気持ちを発散しておかないと、溢れちゃいそうだもん」

まどか「ほむらちゃん好き好き大好き……!」

G「……」カサカサカサ

まどか「……?」

G「……」カサカサカサ

まどか「ひっ!? ゴキブリ!?」

G「……」カサカサカサ

まどか「やっ、やだ! こないで!」

G「……」カサカサカサ

まどか「あっ、ああっ……、やだぁぁ……」

まどか「助けてほむらちゃん……」

まどか「乗らないで! 身体に乗らないでよぉ!」グニグニ

G「……」

まどか「うっ、ううっ……気持ち悪いよ……」

G「……」

まどか(わたし、一人で虫を追い払うことすらできないんだ……)

まどか(何なんだろう、わたしって)

まどか(生きてる意味あるのかな……)

ほむら「ただいま」

まどか「!!」

まどか「助けてほむらちゃん……!」

ほむら「まどか!? 何かあったの!?」

まどか「むっ、虫が……」

ほむら「待ってて。すぐに駆除するわ」

まどか「うん……、ありがとう……」

ほむら「嫌な目にあっている時に傍にいてあげられなくてごめんね」

まどか「ほむらちゃん……、わたし、わたしね……」

ほむら「ええ」

まどか「一人で虫を追い払うこともできなかったの……」

ほむら「……そう」

まどか「ねえ、今のわたしって何なの? ゴキブリ以下なの……?」

ほむら「そんなことない!」

まどか「これじゃあまるでイモムシみたいだよ……」

ほむら「そんなこと……ないったら……!」

ほむら(お願い、そんなに自分を卑下しないで……)

ほむら(私にとっての貴女はいつだって今だって世界一大切な存在なのよ)

まどか「もうやだああぁ……」

ほむら「まどか……」

まどか「やっぱり死にたい……、死なせてよ……」

ほむら「生きていればきっといいことがあるわ」

まどか「あるわけないよ! だってわたしこんな身体なんだよ!?」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃんだって……」

まどか「優しいからお世話してくれてるだけで、本当はわたしのこと好きなんかじゃないんでしょ……?」

ほむら「いいえ。私は本当に貴女のことを大切に思っているわ」

まどか「嘘……、嘘に決まってる……」

ほむら「いい加減にしてっ!!」

まどか「っ……!」ビクッ

ほむら「大好きなまどかの悪口を他でもない貴女自身に言われたら、私、どうしたらいいか分からなくなってしまう……」

まどか「まっ、またそんな嘘言って……」

ほむら「……こうしたら、本当だって分かってもらえるかしら」

まどか「え……?」

まどか(あっ、あれ? え? わたし今キスされて……、えっ?)

まどか「あれ……? えっ……?」

ほむら(はあっ……。とうとうやってしまったわ)

ほむら「気持ち悪い真似をしてしまってごめんなさい、まどか」

ほむら「でも、わたしの気持ちだけは信じて欲しかったから」

まどか「……ほむらちゃん。ほむらちゃん、わたし……」

まどか「ごめっ……、ごめんなさい!」

ほむら「謝るのは私の方よ」

まどか「違うのっ! わたし、わたし……、うっ、うええぇ……」

まどか「ひくっ、ぐずっ、うぅー……」

ほむら「まどか? どうして泣いているの……?」

ほむら(なんて、それはそうか……。初めてのキスが、よりによって女相手だなんて……)

ほむら「……ごめんね、気持ち悪いことして」

まどか「違うよぉ……! だってわたしもっ、ほむらちゃんのこと!」

ほむら「……え?」

まどか「なのにわたし信じてあげられなくてっ、酷いこと言って……!」

まどか(やっぱり最低だよわたし……)

まどか(体だけじゃなくて、中身も……)

ほむら「本当に……? 本当にまどかも、私のこと……?」

まどか「うん……、大好きだよ」

ほむら「嬉しい……」

まどか(ほむらちゃん、凄く幸せそうにしてくれてる)

まどか(そのことはとっても嬉しいんだけど、でも―――)

ほむら「ねえ。もう一度キスしても、いいかしら……?」

まどか「うん……」

ほむら「えへへ、まどかぁ……、まどかぁ……」トローン

まどか(ほむらちゃんの気持ちの純粋さが伝われば伝わるほど、それを信じられなかった自分の醜さが身に沁みる)

まどか(ああ、わたしやっぱり駄目な子だ……)

ほむら「まどか。私もベッドに入っていいかしら?」

まどか「うん……」

ほむら「ありがとう。それじゃ、おじゃまするわね」

まどか「……」

ほむら「まどか、ぎゅうーっ」

まどか(ああ、ほむらちゃんの腕は暖かい……)

ほむら「本当は私、まどかのことをこうやって抱き締めたかったの。ずっと、ずっと」

まどか(わたしにも抱き締め返す腕があればなぁ……)

ほむら「大好きよ、まどか」

まどか「わたしもだよ」

まどか(……)

まどか(嬉しいのに幸せじゃない……)

ほむら「ねえまどか」

まどか「うん」

ほむら「その……、まどかに気持ちいいこと、してもいい?」

まどか「ほむらちゃんはしたいの……?」

ほむら「わっ、私は……」

ほむら「……ええ、したいわ」

まどか「じゃあいいよ。ほむらちゃんがしたいこと、何でもしてね」

ほむら「ありがとうまどか……」

くちゅくちゅくちゅ

まどか(なんで一丁前に気持ち良さを感じちゃってるんだろう)

ほむら「まどか……、気持ちよくない、かしら?」

まどか「ううん! 凄く気持ちいいよ!」

ほむら「本当? それならよかった!」

くちゅくちゅくちゅ

まどか(あ、いきそう)

まどか(ふあぁ……ぁ……)

まどか(……)

まどか(わたしはほむらちゃんをこんな風に気持ちよくしてあげられない……)

まどか(……ううん。一応口を使えば……)

まどか(よし。最後に少しでもほむらちゃんに喜んでもらおう)

ほむら(まどかをいかせられた……!)

ほむら(やったー! やっぱり男の子じゃなくても気持ちよくしてあげられるんだ!)

ほむら(感じてくれてありがとう、まどか……)

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「どうしたの、まどか?」

まどか「今度はわたしがほむらちゃんを気持ちよくしてあげたいの」

ほむら「まどかが……、私を!?」

まどか「面倒かもしれないけど……、よかったら、私の顔の上にまたがってくれると嬉しいな」

ほむら(ほむむむむむ!?)

ほむら「あっ……、あっ……」

ほむら「まどかぁ……、あ、んっ……」

まどか(よかった。私にもまだできることがあって)

ほむら「まどかぁ……、まどかぁぁ……」

まどか(ほむらちゃん。私に色々なことをしてくれたほむらちゃん)

まどか(ほむらちゃんがいてくれてよかった)

まどか(ありがとうほむらちゃん。大好きだよ)

ほむら(幸せ……)

ほむら(まどかと深く通じあえた気がする……)

ほむら(まどかぁ……)

まどか「気持ちよかった、ほむらちゃん?」

ほむら「言わなくては駄目かしら……?」モジモジ

まどか「ううん。やっぱり大丈夫」

ほむら「えへへ……」

まどか「あ。話は変わるんだけど、もう2つだけお願いしてもいいかな?」

ほむら「2つと言わずに何個でもお願いしてちょうだい」

まどか「じゃあ1つ目のお願い」

ほむら「ええ」

まどか「ぎゅって抱き締めて、たくさんキスして」

ほむら「い、いいっ、いいの!? そんなことしても!?」

まどか「あはは、それ今更すぎるよほむらちゃん……」

ほむら「……確かにそうね」

まどか「それにこれはお願いなんだよ」

まどか「つまりはわたしがやって欲しいことなんだから、ほむらちゃんさえよければ遠慮なくやって欲しいな」

ほむら「わ、分かったわ!」

ほむら「まどか」ギュッ

まどか「うん……」

ほむら「大好きだよ」ギュゥゥ

まどか「わたしも大好き。嬉しいよほむらちゃん」

ちゅっ

ほむら「ふふっ」

まどか(だけどおなじぐらい苦しいよ、ほむらちゃん)

ちゅっ

ほむら「夢みたいよ、まどか」

まどか(そんなにわたしのこと大好きでいてくれるんだね)

まどか(助けてほむらちゃん……、わたし、わたし……)

まどか(駄目なの。ほむらちゃんの想いが強いほど……)

まどか(どうしてこうなっちゃったんだろうなぁ……)

ちゅっ

まどか(どこからおかしくなっちゃったんだろう……)

ちゅっ

まどか(ワルプルギスの夜を越えて)

ちゅっ

まどか(だけど……、この町は、あまりにボロボロで)

ちゅっ

まどか(あれ? そういえばわたし、どうしてパパやママからお世話を受けてないんだっけ)

ちゅっ

まどか(……あ、そっか。わたしの家族は……)

ちゅっ

まどか(あの夜、避難所ごと……)

ちゅっ

まどか(わたし、わたし……)

ちゅっ

まどか(魔法少女になろうとして)

ちゅっ

まどか(でも、一つの願いで生き返らせられるのは一人だって言われて)

ちゅっ

まどか(やけになって……、あーあ)

ちゅっ

まどか(上手くいかないよね……)

ちゅっ

まどか(選べるわけないよ……)

ちゅっ

まどか(ましてやいまさら自分の身体のために願いなんて、使えるわけもない……)

まどか(……)

ちゅっ

まどか(ごめんねみんなごめんね)

ちゅっ

まどか(わたしは奇跡を抱えたまま……)

ちゅっ

まどか(そして奇跡を使わないままに……)

ちゅっ

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「ふぁぁ……? なに、かしら?」

まどか「次のキスは飛び切り深いキスにしよう」

ほむら「……がっ、頑張るわ!」

ほむら「んっ、んんっ!」

ちゅっ、ぴちゃぴちゃぴちゃ

ほむら「んんっ」

ぴちゃぴちゃぴちゃ

まどか(わたしは……)

ぴちゃぴちゃぴちゃ

まどか(……)

ぴちゃぴちゃぴちゃ

ほむら「ん、ぷはっ……」

たらー

ほむら「ふふっ。よだれが糸みたい。なんだか私達大人だね、まどか」

まどか「そうだね、ほむらちゃん……」

ほむら「うぅーっ、まどかまどかまどかまどかまどかぁー!」ギュッ

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「まどか……、好きよ……」スリスリ

まどか「うん……」

ほむら「大好きなの……」

まどか「……うん」

ほむら「愛してるわ」

まどか「……わたしも、だよっ、ほむらちゃん」

ほむら「でもね」

まどか「……」

ほむら「好きだからこそ分かってしまうこともあるの」

まどか「……」

ほむら「なんだか様子が変よ、まどか」

まどか「……」

ほむら「まどか、貴女はまさか―――」

まどか「二つ目のお願い」





「わたしを……、殺して、ほむらちゃん……」



.

ほむら「どうして……?」

まどか「ごめんね。やっぱりもう限界なんだ」

ほむら「だって私達、やっと……!」

まどか「好きになってくれてありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「まどかぁ……」

まどか「だけどね。わたしはほむらちゃんの気持ちを疑っちゃったの」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃんの気持ちがまっすぐに届くほど、嬉しさと苦しさで、胸がはち切れそうになっちゃう」

ほむら「……大切なのはこれからよ!」

まどか「そう、これから。大好きな人と素敵なこれからが過ごせるなら、もしかしたらこの罪悪感も払拭できるかもしれない」

ほむら「過ごせるよぉ……」

まどか「この身体で? ここ一、二時間でしたことが全ての限界のわたしに?」

まどか「ねえ、ほむらちゃん。何もしてあげられない大好きは辛いよ……」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃんの華奢な身体を抱き締めたい」

まどか「流れる夜空のような黒い髪を優しく何度も撫でたい」

まどか「手を繋ぎながら、寒いけど手だけはあったかいねむて笑って、寒空の下で一緒に外を歩きたい」

ほむら「まどかぁぁ……」

まどか「QBに体を治してとお願いすることも考えたよ」

まどか「でも、そんなのほむらちゃんは望まないし、それに―――」

まどか「パパやママやたっくんを見捨てる重みに、わたしは耐えられそうもないから……」

手だけはあったかいねむて→手だけはあったかいねって

ほむら「まどか、私……」

まどか「ほむらちゃんを見る度に、そしてほむらちゃんのことを好きになる度に、わたしは自分の身体を呪うことになると思う」

ほむら(そうだ! 私がまどかに嫌われれば!)

ほむら「……まっ、まどかのことなんて……、私まどかのことなんて好きじゃ!」

まどか「あはは、嘘ばっかり」

ほむら「うっ……」

まどか「まあ、大好きなほむらちゃんに殺されるなら悪くないかな」

ほむら「でも私、もうまどかのこと殺したくないよぉ……」

まどか「お願いほむらちゃん……」

ほむら「……」

ほむら「……じゃあ」

まどか「……」

ほむら「一緒に、死のっか」

まどか「……いいの?」

ほむら「もちろんよ。まどかがいない世界で生きる意味なんてないもの」

まどか「ごめんねほむらちゃん……、本当なら貴女を止めるべきだって、分かってるの」

まどか「……でも馬鹿なわたしには、ほむらちゃんの申し出が嬉しくて」

まどか「本当に一緒に死んでくれるの……?」

ほむら「ええ。一人は寂しいでしょう?」

まどか「えへへ、そうだね……」

ほむら「どうやって死にましょうね」

まどか「うーん。少なくとも飛び降り自殺は嫌かな」

ほむら「どうして?」

まどか「だって死体が離ればなれになっちゃうかもしれないでしょ?」

ほむら「言われてみればそうね」

まどか「それに綺麗なほむらちゃんがぐちゃぐちゃになるのなんて、なんか嫌だよ」

ほむら「きっ、綺麗って、そんな……」モジモジ

まどか「ううん。とっても綺麗。私が知ってる他のどの女の子よりも、綺麗だよ」

ほむら「まどかったら、もう……」

概念まどか以外のルートなら戻るという手もあるな

まどか「やっぱり……、凍死、かな?」

ほむら「そうね。それなら抱き締め合いながら死んでいけるものね」

QB「僕にもっといい考えがあるよ」

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「死ね!」ポイッ

QB「きゅっぷい!?」ドッカーン!

>>136
ワルプルギス戦の最中に時間を操作する砂時計が割れてしまったということで
それでもなんとかまどかを守り抜けたからほむらは絶望はしなかった

ほむら「で、何の用。私はまどかと大切な話をしていたのだけれど」

QB「いやなに。どうせならもっと違う死に方をしてみてはどうかと思ってね」

まどか「違う……、死に方?」

ほむら「どうせ裏があるに違いないわ、まどか」

QB「ああ、確かに裏はあるね。今回は僕の狙いをあらかじめ話しておいた方が、変に疑られなくていいかな……」

QB「僕の言う方法とは、まどかの契約を前提としたもの」

QB「そして僕の狙いは、まどかの魔女化によって発生するエネルギー」

まどか「でも変だよQB。すぐに自殺をするのなら魔女になる可能性なんて……」

QB「いや。君の場合、家族を見捨てた罪悪感から、契約後すぐに絶望する可能性がある」

ほむら「……まどか、やはり契約は危険だわ」

まどか「……ううん、ほむらちゃん。やっぱりわたしは聞いてみたい」

まどか「せっかくの2人の最後の晴れ舞台だもの。少しでも素敵なものにしたいんだ」

ほむら「まどか……」

QB「提案といっても、別に具体案があるわけではない」

QB「まどか。君はただこう願えばいい」

QB「自分が望む最高の自殺ができますように、と」

まどか「……」

QB「後は君の膨大な因果律がなんとかする筈さ」

――――

まどかの祈りで作られた小部屋


まどか「ここは……」

ほむら「私達2人、妙な空間に飛ばされてしまったみたいね」

まどか「うん……」

まどか(何なんだろうここ。真っ白で、私達しかいなくって、窓も扉もなくて)

まどか(それから、壁一面に時計がかけられていて……、変な部屋)

ほむら「あら? まどか、その身体はどうしたの!?」

まどか「あっ……。手足が再生、してる……!」

ほむら「やったわまどか! これで死ぬ必要なんて!」

まどか「……あはは。ごめんほむらちゃん、そうはいかないかも」

ほむら「えっ?」

まどか「ほら、もうソウルジェムが濁りはじめてる」

ほむら「そっか……。それなら、仕方がないね」

まどか「手足の再生は……、きっと、わたしが望む最高の自殺に必要だったから、ついてきたんだと思う」

ほむら「どういうことなの……?」

まどか「つまりね!」

ぎゅうっ

ほむら「!!」

まどか「抱き締め合いながら死にたいなって、わたしはそう思っていたの」

ほむら「まど、か……」ギュッ

まどか「えへへっ。こんな土壇場になって、夢が一つ叶っちゃった!」

まどか「ほむらちゃんを抱き締めちゃった!」

まどか「ぐすっ……、あれ、変だなぁ?」

ほむら「……」

まどか「嬉しいはずなのに、涙がぁ……、ぐすっ、ひっく……」

ほむら「ね、まどか。2つ目の夢も叶えちゃおうよ」

まどか「ふぇ……?」

ほむら「私の身体に手を回したままでいいから……、私の髪を、撫でてみてはくれないかしら」

まどか「あはは、そうだったね」

まどか「ほむらちゃんの髪、さらさらで気持ちいい……」

ほむら「まどかに気に入ってもらえてよかったわ……」

まどか「本当に、夜空を撫でてるみたいに、さらさらしてる……」

ほむら「好きよ、まどか」

まどか「わたしは大好きだよ」

ほむら「じゃあ私は大々好きよ」

まどか「それならわたしは……、えっと、いつだってほむらちゃんより大って字が一つ多くつくぐらい好き!」

ほむら「ずるいわまどか。それじゃあ私、絶対にかなわないじゃない」

まどか「へへー、大勝利!」

ほむら「まったく……、かなわないなぁ、まどかには……ほんと」

まどか「ねえ、気が付いてたほむらちゃん?」

ほむら「……」

まどか「この部屋の時計はね―――」

ほむら「どれも少しも動いていない。そうでしょう?」

まどか「あれ、気が付いてたんだ」

ほむら「ここは時間の止まった空間なのね」

まどか「うん、そうみたい。死んでからもほむらちゃんにはずっと綺麗なままでいて欲しいって、そう思ってたからきっと」

ほむら「まどかぁ……」

まどか「……さ。最後の夢を叶えようかな」

ほむら「手を繋いで二人で寒空の下を歩く……、だったかしら」

まどか「うん、そうだよ。見て……、空間が広がっていく」

ほむら「あっという間に野外の夜空に様変わりね……」

まどか「綺麗な星空……」

ほむら「素敵ね……」

まどか「あっ、流れ星!」

ほむら「えっ? どこかしら?」

まどか「……と、見せかけて、えいっ!」

ちゅっ

ほむら「……。もうっ、まどかったらぁー!」

まどか「てへへへ。さ、それじゃあほむらちゃん」

ほむら「ええ、まどか」

ぎゅっ

まどか「暖かいよ、ほむらちゃの手」

ほむら「まどかの手も暖かいわ」

まどか「あっ、流れ星!」

ほむら「ほむ! 今度は騙されないわ!」

まどか「今度こそ本当だよー!」

ほむら「えっ……? あら、本当」

まどか「わっ、あそこにも! あっちにも!」

ほむら「流星群ね……」

まどか「ね、お願い事しよう?」

ほむら「ええ、そうしましょう」

まどか(生まれ変わっても)

ほむら(どうか生まれ変わりがあるとしたら)

まどか(ほむらちゃんと)

ほむら(まどかと)

2人(もう一度出会えますように)

――――

いつともどことも知れない、空間
あるいはこれも泡沫の幻なのかもしれない

「あ、ああ、あの……、転校生の……」

「ほむらちゃん!?」

「えっ!? あ、嘘っ! まどか!?」

それでも二人は再び出会った
少なくともこの場では、確かに出会った

騒然とするクラスメイトをよそに、二人の少女は互いに見つめ合い、笑顔をこぼす
目から溢れ出す熱い涙は、あの日見た流星のように澄んでいて―――


「「また会えたね」」


それはひょっとしたら訪れるかもしれない、一つの可能性
本物の、奇跡



おわり

あ。のっとりながらだから実は最初の方に一ヶ所だけ整合性取れない部分があるけど、
それは単に俺の不手際だから気が付いたとしても気にしないで。特に意味はない

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