苗木「見つけなきゃいけないんだ……この中にいる裏切り者を!」 (28)

ピンポンパンポーン

モノクマ「エマージェンシー! エマージェンシー! 生徒の皆さんは至急、体育館にお集まりください!」

プツン

苗木「な、なんだ今の放送……」

苗木「緊急事態ってことだよな……イヤな予感しかしないけど……」

苗木「でも、行かないわけにもいかない……」

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《体育館》

モノクマ「やあやあ、よく集まってくれたね」

十神「……何の用だ」

霧切「あなたのことだから、どうせろくでもない話があるんでしょう」

モノクマ「もう、酷い言いぐさだなぁ」

モノクマ「ろくでもない話なんかじゃないよ。これは君たちにとっての緊急事態なんだから、知らせてあげた僕に感謝して然るべきだと思うよ?」

苗木「僕たちにとっての……?」

モノクマ「うぷぷ……まあ、その話の前に見て貰いたい物があるんだけどさ」ゴソゴソ

セレス「見て貰いたい物?」

モノクマ「じゃーん! これだよこれ!」サッ

舞園「? お菓子ですか?」

山田「ふむ。かの有名な"きのこの山"と"たけのこの里"……ですな」

桑田「おー、よく食うから当然知ってるぜ」

不二咲「美味しいよねぇ。どっちも好きだけど、僕はやっぱり……」

モノクマ「ストォォォォップ!!!」

不二咲「!?」ビクッ

モノクマ「何フライングしようとしてんだよ! ドタマかち割るぞ小動物!」

不二咲「ご、ごめんなさい……」プルプル

大神「謝る必要などない。要領の得ない話し方をするモノクマに問題があるのだ」

朝日奈「さくらちゃんの言うとおりだよ! 早く本題に入って!」

モノクマ「ふんっ。勘の良い人ならこれだけで僕の言いたいことがわかるはずなんだよ。やっぱり君たちはニブチンの集まりだね」

苗木「良いから説明してよ。何が緊急事態なの?」

モノクマ「うぷぷ……実はね。居るんだよ、この中に」

モノクマ「裏切り者がさ……」

一同「!?」

大和田「う、裏切り者だぁ!?」 

石丸「い、一体何の話だね!」

モノクマ「とぼけちゃって。君たちもさ、知ってるはずだよね。"きのこたけのこ戦争"のことくらい」

モノクマ「つまり、この中に一人、"別の派閥"がいるって言ってんだよ!」

一同「!?」

モノクマ「僕のリサーチによってここにいる15人中14人は"同じ派閥"だと判明してるんだ」

苗木「ちょ、ちょっと待ってよ! なんでそんなことが緊急事態なんだよ!」

苗木「裏切り者だなんて……そんな大げさな……!」

モノクマ「言ったよね? この学園内で秩序を乱す者がいた場合の話……」

モノクマ「ということで、一定の捜査時間の後、学級裁判を始めます!」

苗木「ま、待てよ! そんな……たかがお菓子如きで……」

ギリッ

苗木「っ!?」ゾクッ

苗木(な、なんだ今の……背後からものすごい威圧感が……)バッ

苗木(今、確かに……殺気が……)

霧切「苗木くん」

苗木「な、何……?」

霧切「今、不用意な発言は避けた方がいいわ。自分の身を危ぶめるだけよ」

苗木「で、でもさ……」

霧切「自分の価値観で物事を推し量ってはダメ。あなたにとってどうでもいいことでも、他人にとっては違うかもしれない……」

苗木「……」

大神「モノクマよ。一つ訊きたいのだが」

モノクマ「何かな?」

大神「この学級裁判においても、オシオキとやらは施行されるのか?」

モノクマ「もちろん。裏切り者に相応しいオシオキを用意してあるよ」

モノクマ「その逆もね。うぷぷぷぷっ」

石丸「つまり、裏切り者を見つけられなければ僕ら全員が……処刑……?」

苗木「や、やっぱりおかしいよ……そんなの……」

モノクマ「待って待って。オシオキとは言ったけど、今回は処刑なんてしないよ。コロシアイじゃないんだし」

苗木「え?」

モノクマ「まあ、それは学級裁判後のお楽しみってことで! それじゃ、せいぜい頑張って疑い合いなよ!」

苗木「……」

苗木(みんな捜査に行ってしまった……)

苗木(っていうか捜査って何をすれば良いんだよ……)

霧切「……いつまでそこでぼーっとしてるのかしら?」

苗木「霧切さん……」

霧切「何も情報を得ずに学級裁判を迎えるのは自殺行為よ」

苗木「って言っても……何をすれば良いのかわからないよ……結局みんなの趣味嗜好の問題じゃないか……」

霧切「そうね……とりあえず、倉庫に行ってみましょうか」

霧切「お菓子の詰まった段ボールはあそこにあったはずだから」

苗木「う、うん」

《倉庫》

苗木「確かに、両方あるね」

霧切「……」ガサゴソ

霧切「ふーん……」

苗木「何か手がかりはあった?」

霧切「特に無いわ。わかるのは、たけのこの里が少し多く減っていることくらい」

苗木「ってことは、裏切り者はきのこの山派ってこと……?」

霧切「……安易にそう思いこむのはどうかしら。"裏切り者"が14人分以上を消費しているかもしれないし、部屋にため込んでいる可能性もある」

苗木「う、うーん……」

苗木(霧切さんに限った話じゃないけど、何で捜査にノリノリなんだろう……)

霧切「どのみち、消費量は当てにならないわね」

苗木「……」

霧切「……ねえ、苗木くん。あなた、どっち派?」

苗木「え!?」

霧切「参考程度よ。鵜呑みにするかは別にして」

苗木「僕は……たけのこの里の方が好き……かな。どっちかと言えば、っていう程度の差だけど」

霧切「ふーん……」

苗木(……状況が状況じゃなきゃ、霧切さんとお菓子の好みについて語り合うというこの上なく素敵なシチュエーションなんだけどな……)

苗木「ちなみに、霧切さんは……」

霧切「……きのこの山派よ」

苗木「!?」

霧切「大変ね。どちらも嘘をついていないとすると、あなたか私のどちらかが裏切り者ということになるわ」

苗木「い、いやちょっと……」

霧切「……つまり、裏切り者は自分が裏切り者と自覚していない状況かもしれない」

霧切「そういうことよ」

苗木(どういうことなの……)

霧切「……私は行くわ」

苗木「え、えっと、うん……ありがとう、霧切さん」

霧切「それと、一つ忠告よ。適度に人を疑うことを覚えた方がいいわ」

苗木「え……?」

霧切「じゃあね」スタスタ

苗木(……どういう意味だろう)

苗木(……深く考えないようにしよう。ここにいても埒があかない。とりあえず捜査だ)

苗木(誰かの部屋に行ってみよう)

3レス↓
誰の部屋に行くか

苗木「石丸くんの部屋に行ってみよう」

《石丸の部屋》

ピンポーン

苗木「…………いないのかな」

苗木「別のところに捜査に行ってるのかも……あれ?」

苗木「鍵が開いてる……」

苗木「……」

苗木「ごめん! 石丸くん!」

ガチャ

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