ちなつ「vs京子先輩」(78)

ちなつ「はあ…、今日も京子先輩に邪魔されて結衣先輩とあんまり絡めなかった…」

ちなつ「もう、憎いです、京子先輩が憎い…」

ちなつ「そして京子先輩を惹きつけてしまうほど魅力的な自分が憎い!」

ちなつ「……ふぅ」

ちなつ「帰ろ…」

ちなつ「…あ、京子先輩だ」

ちなつ「……また千鶴先輩にちょっかい出してる」イラッ

ちなつ(何なんだろう、京子先輩は)

ちなつ(私に『好きだー』って言ってるくせに千鶴先輩にも手を出してるし…)

ちなつ(そもそも、千鶴先輩の何処がいいんでしょうね)

ちなつ(私と違ってマジで拒絶してるじゃないですか)

ちなつ(……まあ、私もマジで拒絶してはいるんですけど…)

ちなつ(そこは、ほら、私の場合は、優しさ…というものが感じられる拒絶の仕方ですし)

ちなつ(やっぱり、顔なのかな、確かに千鶴先輩は顔綺麗ですしね…)

ちなつ(……けど、同じ顔の千歳先輩にはあんまり手を出さないですよね、京子先輩)

ちなつ(あれ、ひょっとして…)

ちなつ(京子先輩は、私や千鶴先輩、それに杉浦先輩には、積極的なアピールをしてる…)

ちなつ(逆に、千歳先輩、あかりちゃんには普通に対応してる…)

ちなつ(つまり…つまり、それは、ひょっとして!)

~翌日~

~娯楽部~

京子「あ、ちなつちゃんだ!ちなつちゃーん!だいしゅき!」ダキッ

ちなつ「あ、もう、京子先輩ったら、ダメですよ、抱きついたりしちゃ///」

京子「……え?」

ちなつ「私のことが好きなのは判りますけど、恥ずかしいです///」

京子「ち、ちなつちゃん…?」

ちなつ「まあ、そういう積極的な所が京子先輩の魅力でもあるんですけどね///」

京子「ちなつちゃん、今日は、あの、逃げたりしないんだね?」

ちなつ「そんな、大好きな京子先輩から逃げたりするはずないじゃないですか///」

京子「ち、ちなつちゃん…」

ちなつ「はい、なんですか、京子先輩///」

京子「……」

ちなつ(……よし、京子先輩が沈静化してきてる…これなら勝てます…!)

京子「……」ウル

ちなつ「え……」

京子「……」グスン

ちなつ「ちょ、何で泣いてるんですか、京子先輩!?」

京子「あ、ご、ごめんね、ちなつちゃん」ゴシゴシ

京子「う、嬉しくて、思わず泣いちゃった…えへへ」ニコ

ちなつ「……」ドキン

ちなつ「う、嬉しいって、そんな、泣くほど嬉しかったんです…か?」

ちなつ「たったこれだけの事が?」

京子「だ、だって、ちなつちゃんに大好きって言われたの、初めてだし」ウル

京子「何か胸がドキドキして、嬉しさがこみあげて…な、涙が勝手に…」ゴシゴシ

ちなつ「……」ズキン

ちなつ(どうしよう、罪悪感で…胸が苦しい…)

京子「あ、ありがとうね、ちなつちゃん、私も、ちなつちゃんの事が、好きだよ」

京子「ちなつちゃんの健気な所も、ちょっと意地悪な所も、それでいて、優しい所も、好き」

京子「大好き」ニコ

ちなつ「きょうこせんぱい…」

ちなつ(京子先輩、こんなに真剣に私の事を…)

ちなつ(私、何やってるんだろう)

ちなつ「京子先輩…すみません…」

京子「……?」

ちなつ「あ、あの…全部、演技なんです…」

ちなつ「京子先輩が部室に入ってきてからの会話…全部…」

ちなつ「大好きって、言うのも…」

ちなつ「……」ズキン

ちなつ「……」

京子「……」

ちなつ「……」

京子「う、うおお!びっくりした!ド、ドッキリだったの!?」

ちなつ「きょ、京子先輩…すみません…」

京子「あ、謝らなくっていいって、あー、恥ずかしい///騙されてた///」

ちなつ(よ、良かった、京子先輩、あまりショック受けてないみたい…)

ちなつ「……」ズキン

ちなつ「そ、そうです、普段から京子先輩には、驚かされてばかりですからね!」

ちなつ「ちょ、ちょっと、脅かしてやろうかなって、えへへへ」

京子「もう、ちなつちゃん、演技派なんだから!すっかり騙されちゃった!」

ちなつ「そんなに、演技上手でしたかね、えへへへ」

京子「うん、凄かった!びっくりしちゃった!」

ちなつ「……」ズキン

京子「あ、びっくりしたらトイレ行きたくなっちゃった…ちょっと行って来るね!」

ちなつ「あ、はい、行ってらっしゃいです」

ちなつ「……」ズキン

ちなつ(騙してたのは私が悪かったから、罪悪感が沸くのは判るけど)

ちなつ(京子先輩、笑ってくれてたじゃない)

ちなつ(何時まで、胸が苦しいままなの…)

ちなつ(ずっと、あの言葉が頭を離れない…)



『あ、ありがとうね、ちなつちゃん、私も、ちなつちゃんの事が、好きだよ』

『ちなつちゃんの健気な所も、ちょっと意地悪な所も、それでいて、優しい所も、好き』

『大好き』


『あ、あの…全部、演技なんです…』

『大好きって、言うのも…』

ちなつ(……)

ちなつ(私、最低だ)

ちなつ(私の事を、あれだけ大好きだって言ってくれた京子先輩に、ちゃんと返事してない)

ちなつ(演技って言葉で、全部放りだして、逃げようとしてる…)

ちなつ(ちゃんと…ちゃんと、本音で返事しないと…)

~トイレ~

ちなつ(京子先輩、トイレに行くって言ってたけど…ここかな…?)

??「う、ううう…ヒック…」

ちなつ「……!」

ちなつ「京子先輩…?」

京子「あ、あれ、ちなつちゃん、どうしたの…?」ゴシゴシ

ちなつ「京子先輩…泣いて…」

京子「え、な、泣いてないよ?」

ちなつ「……」

ちなつ「ごめんなさい、京子先輩、ごめんなさい」グス

ちなつ「わ、私、京子先輩、傷つけてた…ごめんなさい…」ヒック

ちなつ「私、最低です…」グスン

京子「ち、ちなつちゃん…な、泣かないで?ごめん、勘違いした私が悪いんだから」オロオロ

京子「ほ、ほら、笑って?ね?」ナデナデ

ちなつ「わ、笑えません…ぜんぜん、笑えません…」ヒックヒック

ちなつ「ほ、本当は」ヒック

ちなつ「だ、大好きって言うの、嘘じゃ、ないです」グスン

ちなつ「本当は、だ、だいすきです…」ヒックヒック

ちなつ「さ、さっき、京子先輩が好きって言ってくれたのも、凄く、嬉しくて」ポロポロ

ちなつ「わ、私、馬鹿だから、さっきまで、それに気づかなくて」ヒック

ちなつ「結局、けっきょく、京子先輩、傷つけて…」ヒックヒック

京子「……ちなつちゃん、もういいから、ね?ちなつちゃん…」ナデナデ

~娯楽部~

京子「……落ち着いた?」ナデナデ

ちなつ「……」ヒック

ちなつ(恥ずかしい…私、謝りながら何泣いてたんだろう…)

ちなつ(泣きたいのは、騙された京子先輩だろうに…)

京子「ありがとうね、ちなつちゃん」

ちなつ「……」

京子「例え、私を慰める為でも、大好きっていってくれたのは、嬉しかったよ」

ちなつ「……慰める為じゃ、ありません…」

京子「え…?」

ちなつ「けど……信じて貰えなくても、仕方ないと思います…」

ちなつ「私、うそつきですから…」

京子「ちなつちゃん…」

ちなつ「だから、京子先輩…」

ちなつ「お詫びに、一つだけ、何でも言う事を聴いてあげます…」

京子「ち、ちなつちゃん?」

ちなつ「何でも、聞いてあげますよ…」ジッ

ちなつ「例えば…キスとか…」

ちなつ「だから、そのお詫びが終わったら、私の言葉、信じてください」

京子「////」

ちなつ「京子先輩…?」スッ

京子「あの、ちなつちゃん、顔が、近い///」

ちなつ「お詫び…何がいいです…?」

京子「し、信じるから、ね?ちなつちゃんの言ってくれた事…」

ちなつ「何が…いいです…?」フッ

京子「ち、ちなつちゃん、み、耳に息が…///」

結衣「遅くなっちゃたね」ガラ

あかり「ごめんね、2人とも~」

京子「/////」

ちなつ「あ、結衣先輩、こんにちわです」

結衣「京子、どうしてそんな顔真っ赤なの?」

京子「え、な、なんでもないよ///」

あかり「あれ、京子ちゃん…首筋とかほっぺとか、何か充血してない?」

京子「え、い、いや、これは、その、虫刺されだよ///」

ちなつ「あ、私、お茶入れてきますね」

結衣「ありがとう、ちなつちゃん」

ちなつ「……京子先輩」

京子「な、なに、ちなつちゃん///」

ちなつ「お詫び、もっとしてあげますから、考えておいてくださいね」ボソッ

京子「///////」プシュー

結衣「うわあ、京子が煙吹いて倒れた!?」

あかり「京子ちゃん!?大丈夫!?京子ちゃん!?」

ちなつ(京子先輩、可愛いなあ…もっと、苛めてあげたい…)



1か月、お詫びを続けて

ようやく、私達は恋人になった





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