マミ「最近幽霊に取り憑かれたみたいなの」(134)
杏子「……」ポリポリ
ほむら「……」ズズー
QB「……キュップイ
マミ「あの」
ほむら「杏子、それ私にも頂戴」
杏子「新作なんだから一本だけな」スッ
ほむら「ケチね」ポリポリ
マミ「本当なんだってば!」
ほむら「……」ピトッ
マミ「ないわよ~、熱なんかないわよ~」
杏子「……」スッ
マミ「三本よ~、ロッキー新作しっかり三本あるわよ~」
ほむら「ごめんなさい、耳には届いたんだけど私達の心には届かなかったみたいで……」
ほむら「もう一度言ってもらえるかしら?」
マミ「だから、最近幽霊に取り憑かれたみたいなのよ」
ほむら「マミさん、そういう中学二年生が考えるような妄想は私達には必要ないんじゃないかしら?」
マミ「そうよね、今でも十分非現実的な……って違うわよ!」
杏子「そっか……さやかが導かれてからもう一カ月か……」
マミ「いえ、多分あれは美樹さんではないわね。少し身長が低すぎたから」
杏子「冗談なんだけど」
QB「マミ、きっと君は連日の魔獣狩りで疲れてるんだよ。しばらく大事を取った方がいい」
マミ「良いから話を聞いてよぉ……」
マミ「例えば寝ている途中にはっと目が覚めて、ふと上を見ると黒い少女のような影が私を見下ろしているの」
マミ「私は声をあげて逃げようとするんだけど、身体は金縛りにあってしまって思うように動かない」
マミ「そのうちに少女はすっと姿を消して、私も動けるようになるんだけどね……」
マミ「他にも、何もしていないのに突然棚から食器が落ちたり、窓を叩く音がして開けてみるんだけど何もなかったり……」
杏子「それあれだろ、変な本の読みすぎだろ?」
ほむら「少し引くわ」
マミ「私は真剣なのよ!おかげで夜も眠れない日が続いてるんだから!」
ガチャン
ほむ杏「!」ビクッ
QB「何か落ちたみたいだね」
マミ「……ほら、やっぱりいるのよ……私がこんなこと話すから、きっと怒って――」
ほむら「ああ、リボンを使ったのね」
杏子「なるほど…手の込んだことを」
マミ「うぇーん、どうして信じてくれないのよ~」
ほむら「どうしても何も、信じろと言う方が無理な話よ」
マミ「そうだわ、今日一日誰か一緒に泊まりましょう!そうすれば分かってもらえると思うわ」
ほむら「杏子、あなたが適任よ」
杏子「はぁ~?なんであたしが」
ほむら「いいじゃない、宿代も食費も浮くわよ」
杏子「だからって……」
マミ「佐倉さん……」フルフル
杏子「チッ……分かったよ、一晩泊まれば満足するんだな?」
マミ「ありがとう佐倉さん!」
杏子「っていうかQBがいるじゃねーかよ。お前は何してんだよ」
QB「僕は日夜魔法少女探しで忙しいのさ。今日はたまたま寄らせて貰っただけだしね」
マミ「こんな私を一人にするなんて…薄情者!」
QB「幽霊だなんて非科学的な話を信じる方がどうかしてるよ」
ほむら「今回はQBの言う通りね…そんなものいるわけないじゃない、不思議存在は私達と魔獣だけで十分よ」
マミ「暁美さんは怖くないの…?」
ほむら「魔獣の相手をする方がよっぽど怖いじゃない」
マミ「それとは別よ……魔獣は正体がわかってるんだもの」
ほむら「見えない存在に怯えるなんて……どうかしてるわ」
杏子「野宿してたらそんなもの気にならなくなるぞ」
マミ「あなたはいつもしてるからそんなことが言えるのよ……」
ほむら「そもそも、杏子と一緒に泊まっても幽霊が現れるとは限らないじゃない」
マミ「そ、それはそうだけど……でも、昨日も金縛られたから今日も来ると思うわ!」
ほむら「その理屈はおかしいわ」
杏子「ほら、一緒に泊まってやるからもう妄想垂れ流すの止めろって」
マミ「妄想じゃないんだってば!」
QB「それじゃあ僕はそろそろお暇するから、魔獣退治頑張ってくれたまえ」ピョイッ
ほむら「私もそろそろ帰るわ」スクッ
マミ「あの、暁美さんも泊まっていかない…?ほら、三人寄れば文殊の知恵っていうじゃない?」
ほむら「ごめんなさい、お泊りの時は親にあらかじめ連絡しておかなければならないの」
マミ「あなた一人暮らしじゃない」
ほむら「それじゃ――」ガチャッ
マミ「待って」ガシッ
ほむら「……その手を離して」
マミ「……うぅ~」フルフル
杏子「ほらほら愛しのほむらちゃんとはお別れだからね~、しばらく我慢してよーね~」
マミ「……分かったわよ…さようなら暁美さん」
ほむら「えぇ、さようなら二人とも」
マミ「あなたのテレビから貞子が出てくることを願ってるわ」
ほむら「送り返してやるわよ」バタン
マミ「行ってしまったわ……円環の理に導かれて」
杏子「おいマミ、さっき落ちたコップ危ねーから早く片してくれよ」
マミ「今やるわ」
杏子「しっかし、幽霊なんているわけねーだろ」
マミ「あなたは体験してないからそんなことが言えるのよ……実際に味わったらわかるんだから」
杏子「へいへい」
マミ「晩御飯何がいいかしら?」
杏子「ステーキ」
マミ「じゃあシチューにするわね」
杏子「なんで聞いた」
杏子「ごちそうさん」
マミ「誰かと食べるなんて久しぶりだわ」
杏子「何言ってんだよ、昨日だって一緒だったんだろ?」
マミ「QBは昨日もいなかったわよ?」
杏子「いや、幽霊と」
マミ「聞こえない聞こえないあたしは何も聞いてないわ」バッ
杏子「だーかーらー!きーのーうーはー!」
マミ「聞こえない聞こえない……」
杏子「マミ、風呂」
マミ「洗ってあるわよ」
杏子「溜まってないのかよ」
マミ「準備できてるわよ」
杏子「……先入らせて――」
マミ「待って」ガシッ
杏子「なんだよ」
マミ「一緒に入らない?」
杏子「お断りだ」バッ
マミ「だって!一人でお風呂なんか入ったら後ろから襲われちゃうわよ!」
杏子「昨日どうしたんだよ」
マミ「……銭湯に」
杏子「どんだけビビってんだ」
杏子「パジャマとタオル借りるぞー」
マミ「佐倉さん~……背中流すから!」
杏子「ガキじゃあるまいし……一人でゆっくりさせてくれ」バタン
シ…ー…ン…
マミ「……」
コチッ コチッ コチッ コチッ
マミ「……」ソワソワ
ミシィ
マミ「!?」ビクン
コチッ コチッ コチッ コチッ
マミ「……なんだ、家鳴りよね……」
ミシミシィッ
マミ「!!!」ビクッ
マミ「……まだかしら」
マミ「そういえばお風呂が急に静かになったわね……」
ヌキット サシット
マミ「……杏、子…?」
チャプン
マミ「ねえ、開けてもいいかしら?」
シーン
マミ「……開けるわよ?」
ガチャッ
杏子「わぁっ!!!」
マミ「いやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」ヘタッ
杏子「なんつってなんつって…ビビった?」
マミ「腰が……」
杏子「お前ほんとにマミかよ……」
杏子「くそ、ちょっとぶかいのが腹立つな……ほら、早く入れよ」
マミ「わ、分かったわよ……ねえ佐倉さん」
杏子「何?」
マミ「ドアのところで待っててくれないかしら?」
杏子「アイス三本」
マミ「十本でも百本でも買ってあげるわ」
杏子「のった」
チャプン
マミ「ふぅ~、久しぶりの我が家のお風呂だわ…佐倉さんがいると安心ね」
マミ「……佐倉さん?そこにいるのよね?」
杏子「悪ぃ、アイスとって来てた」
マミ「脅かさないでよ……」
ワシャワシャ ザバーン
マミ(髪を流すときはやっぱり目を閉じちゃうわね)
マミ(これで目を開けると鏡に幽霊が映ってる!……なんて、そんなベタなことあるわけないわよね)
マミ「これでよし」バッ
幽霊「…………」
マミ「…………」
幽霊「……」ニヤァ
マミ「」
幽霊「……」スゥ
マミ「……!!」クルッ
マミ(……ま、まさかね……佐倉さんの影か何かよね…?)クルッ
幽霊「……コ」
マミ「いやああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
ガチャッ
マミ「佐倉さん!!出たの!!!!!」
杏子「うわっぷ…おい、濡れた体で抱きつくなよ!!」
マミ「そこ!そこにいるのよ!!!」
杏子「そこって……鏡にあたしとマミが映ってるだけじゃねーか」
マミ「へ!?」
マミ「そんな、だってさっき確かに黒い影が……」
杏子「あーもー、身体拭かなきゃならねーじゃねーかよ」
マミ「あ、ごめんなさい佐倉さん……」
杏子「気にすんなよ…で、もう風呂はいいのか?」
マミ「……明日一緒に入りましょう?」
杏子「嫌だつってんだろ」
杏子「結局銭湯まで入らせやがって」
マミ「お金は私もちなんだからいいじゃない」
杏子「ま、フルーツ牛乳飲めただけ儲けもんか」
杏子「そうだマミ、アイス買ってくれるんだったよな?」
マミ「そういえばそうだったわね……今日は三本までよ?一度にたべるとお腹壊すんだからね」
杏子「あたしもそこまで馬鹿じゃねーよ」
マミ「結局何にしたの?」
杏子「ガリガリ様梨味」
マミ「そう」
テクテク テクテク
マミ「……」
杏子「……」
テクテク テクテク
マミ「……ねえ、誰かにつけられてないかしら?」
杏子「もうそういうのいいって」
マミ「いや、だってほら、怖いじゃない」
杏子「どれどれ」クルッ
マミ「ちょっ、佐倉さん!」
杏子「……いるな」
マミ「いるの!?私無理!振り返れない……」ガクガク
杏子「……ぷっ…くくっ……」
マミ「さ、佐倉さん?」
杏子「くひひ…つ、つけられてるって…猫じゃねーかよ…プフー」
マミ「猫…?」クルッ
マミ「あー、あれは確かに猫ね」
杏子「だろ?ぷはは、あんなもんにビビってやんの」
マミ「わ、笑わないでよ!こっちは真剣なんだから!」
杏子「はいはい分かった分かった…ぷくく……明日ほむらに言ってやろう」ククッ
マミ「はぁー……なんで私ばっかりこんな目に」
マミ「それじゃあ寝ましょうか」
杏子「待てよ、あたしの布団は?」
マミ「来客用のお布団はないわよ?」
杏子「そうか」
マミ「だから一緒にベッ――」
杏子「ソファ借りるわ」
マミ「佐倉さ~ん……」ウルット
杏子「暑苦しいのに寄るんじゃねーよ!」
マミ「じゃ…じゃあ一体誰が金縛りにあった私を助けてくれるのよ!!」
杏子「あー、あれだ……自業自得?」
マミ「私何にも悪くないわよ!」
マミ「せめてベッドに寄せて!それだけでいいから!」
杏子「はいはい…ったくマミはもっと気品があって後輩からも頼られる、そんなお姉さんキャラ目指してたんじゃねーのかよ?」
マミ「だって……幽霊は想定外だもの」
杏子「死に直面してる分、あたしも魔獣の方がよっぽど怖いと思うけどなー」ヨセヨセ
マミ「だからそれとこれとは別なのよ」
杏子「……なあマミ知ってるか?」
マミ「?」
杏子「怪談話やってるといろいろと寄ってくるって――」
マミ「さ、寝るわよ!」
杏子「もうかよ?まだ10時半だよ」
マミ「い、いいから寝るのよ…佐倉さん、部屋の入口の電気消してくれないかしら?」
杏子「えー、もうちっと起きてよーぜ。今日のテレビは心霊特集らしいぞ」
マミ「あなた……さては私を陥れる為に仕込まれた霊界からの使者か何かね?」
杏子「死者?」
マミ「そっちじゃないわよ!」
杏子「この部屋テレビないからつまんねーよ」
マミ「テレビなんかいつでも見られるでしょう!」
杏子「あたしは見られねーんだよ!」
マミ「いいから寝るわよ!」ガバッ
杏子「しゃーねーな……あたしも寝るか」パチッ
マミ「……」
杏子「……」
マミ「……佐倉さん」
杏子「なんだよ?」
マミ「私が寝るまで起きててくれるかしら?」
杏子「大概にしてくれよ」
コチッ コチッ コチッ コチッ コチッ コチッ
マミ(んー……やだ、早く寝過ぎたから夜中なのに起きちゃったわ)
マミ(……!!あれ、体が……も、もしかして)
幽霊「…………」スゥ
マミ「……!!」
マミ(声が…佐倉さん!佐倉さんってば!!……そうだわ、テレパシーなら…!)
マミ『佐倉さん起きて!そこに!!そこに幽霊がいるのよ!!!』
杏子「くかー…むにゃむにゃ……」
マミ『佐倉さんってば!!』
杏子「やめろよー……」
マミ(!…気がついてくれた!?)
杏子「あたしの体はロッキーのチョコの部分じゃねーんだよ……」ムニャムニャ
マミ「寝言なの!?!?」ガバッ
マミ「あ、動けた」
マミ「最近悪霊に取り憑かれたみたいなの……」
ほむら「それは精神力の生み出すパワーあるヴィジョンッ!」
杏子「あたし達はそれを……幽波紋(スタンド)……と、呼んでいる」
こういうスレかと思った
幽霊「……」
マミ「ひっ…!」
幽霊「……ネ」
マミ「……え…?」
幽霊「……ネー……ト…ニ……テアゲ……」
マミ「……何か、言ってるの?」
幽霊「……ネガイ………」スゥ
マミ「!!消えちゃった……」
杏子「んだよマミ、うるさいっての」コスコス
マミ「……」スクッ
杏子「……んぁ?」
マミ「佐倉さん……」ナデナデ
杏子「ちょ、なんだよいきなり……やめろって!」バッ
マミ「あら、ごめんなさい……なんだか、急に佐倉さんの頭を撫でたくなって」
杏子「ついにやられたのか」
マミ「それより!なんで助けてくれなかったのよ!!」
杏子「あたしはマミが何を言ってるのかさっぱり分からねー」
杏子「へーそうなのかーあたしが寝てる間にねー」シャクシャク
マミ「話半分に聞かないでよ……あと夜中にそんなに食べたら太るわよ?」
杏子「気をつけてるよ」
マミ「……ところで佐倉さん、一体どんな夢を見ていたのかしら?」
杏子「夢?………夢…だと…?」
マミ「寝言だと、私の体はチョコじゃないんだぜー、みたいなことを――」
杏子「あー!!マミの後ろに幽霊が!!!」
マミ「ひゃわぁっ!!」ガバッ
杏子「……なんてね」
マミ「佐倉さん!」
杏子「あー眠いわ……もうひと眠りしようぜ」
マミ「そ、そんなこと言ったって眠れないわよ……」
杏子「……」
マミ「……一緒に」
杏子「はいはい寝れるまで隣にいてやるからさっさと寝てくれ」
マミ「ありがとう!」
杏子「くかー」
マミ「……う、嘘つき……!」プルプル
マミ「結局朝まで眠れなかったわ」
杏子「んー……」
マミ「……言いたいことだらけだけど、一先ず顔でも洗ってようかしら」
杏子「朝起きると飯があるって幸せだな」
マミ「私もそんなこと言ってみたいわ」
杏子「いただきまーす」
マミ「いただきます」
パクパクモグモグ
マミ「ところで、昨日見た幽霊なんだけど」
杏子「あたしは見てない」
マミ「私が見たの!……あの幽霊、何か言いたいことがあるようだったのよ」
杏子「へー、頑張って成仏させてやってくれ」ズズー
マミ「へるぷみー」
杏子「のーすぁんくす」
マミ「私一人じゃ無理よ」
杏子「ならほむらにでも頼めよ。あいつなんかそういうの詳しそうだし」
マミ「そうかしら?」
杏子「昔から黒髪ロングはオカルト好きって有名だろ」
マミ「初耳すぎるわよ」
杏子「ごちそーさん」
マミ「ごちそーさま」
ほむら「それで私のところに?」
マミ「へるぷみー」
ほむら「円環のお断りよ」
ほむら「そもそも幽霊なんてまだ信じてたの?」
マミ「だって……私は見たんだもの」
ほむら「はぁ……モルダー、あなた疲れてるのよ」
マミ「誰よそれは!?」
ほむら「あれでしょう?いい加減そういうのから手を引いた方がいいわよ?将来思い出して取り返しのつかないことになる前に」
マミ「うぅ…ほんとにいるのに……」
ほむら「……分かったわよ、私にできることがあればいって頂戴」
マミ「ありがとう暁美さん!」パアァ
ほむら「そこでお勧めなのがこの壺よ、これを買えばあなたから幽霊が消え去って幸せに――」
マミ「どこの押し売りよ!」
ほむら「それで、その幽霊さんとやらはあなたに何を言ったのかしら?」
マミ「それが、よく聞き取れなかったんだけど」
「……ネー……ト…ニ……テアゲ……」 「……ネガイ………」
マミ「確かこんな感じのことを」
ほむら「情報がさっぱりね…かろうじて『願い』ってところぐらいかしら」
マミ「手挙げ…?挙手すればいいのかしら……」スッ
ほむら「そもそもいつからなの?あなたに幽霊が取り憑いたらしいのは」
マミ「えっと、あれは確か一週間ほど前よ……最初は気のせいだと思ってたんだけど」
ほむら「一週間前……」
マミ「何してたかしら?」
ほむら「久しぶりに瘴気が濃くなったらしくて、あっち行ってこっち行ってしながら魔獣を狩ってた時期ね」
マミ「そうねえ…いろんなところに行ったわね」
ほむら「どうせその途中で心霊スポットにでも踏み込んだのね」
マミ「わ、私いつの間にそんなところに……って、三人で行動してたからあなた達もじゃない?」
ほむら「あらうっかりね…まあ、あなたに一番取り憑きやすかったってことよね」
マミ「幽霊に好かれても嬉しくないわよ……」
ほむら「とりあえず、またおんなじところ回ってみたらどうかしら?」
マミ「そうね、そうしてみようかしら」
マミ「じゃあ、一緒に――」
ほむら「ごめんなさい、うちは誰かと一緒に出歩くときは必ず親に連絡しなければならないの」
マミ「その言い訳はもう使ってるわよ…っていうか、今までそんなこと言ったこともないじゃない」
ほむら「杏子に頼んで」
マミ「三人で行きましょう?」
ほむら「円環のおこ――」
マミ「それもさっき聞いたわ」
杏子「で、ほむらも連れてきたわけか」
ほむら「勘違いしないで貰いたいわね、私は別にマミさんのことなんかなんとも思ってないんだからね」
マミ「どこかで聞いたことあるような台詞ね」
杏子「本音は?」
ほむら「ビビるマミさんを堪能しようかと思って」
マミ「あなたねえ!」
杏子「最初どこら辺行ったっけ?」
マミ「病院の裏じゃなかったかしら?」
ほむら「さっさと終わらせましょう、そもそも心霊スポットなんか通った記憶はないわ」
マミ「あなたが言い出したんじゃない!」
ほむら「本気にするとは思わなかったもの」
それから
マミ「ほとんど回ったわね」
ほむら「次は確か……」
杏子「……あぁ、あそこか」
教会
杏子「うちの教会に現れるとはいい度胸してやがったな」
マミ「久しぶりに来たわね」
ほむら「相変わらずボロボロね……いつ取り壊されるのだったかしら?」
杏子「来年だとよ……ったく、勝手に決めやがって」
マミ「寂しくなるわね」
コツーン
三人「!?」ビクッ
マミ「な、何の音…?」
杏子「どうせまた猫かなんかだろ」
パリーン
ほむら「!ステンドグラスが……」
杏子「割れた…!」
マミ「ひっ…や、やっぱり憑いてきたのね…!」ガタガタ
ほむら「……ねえ、ここで騒ぐってことは、ひょっとして」
杏子「…………おいおい冗談だろ?」
マミ「なに?なんなの?」ビクビク
ネー
三人「!!」
マミ「い、今声がしたわよね?聞き間違いじゃないわよね!?」
ほむら「えぇ……あなたも聞いたわね、杏子」
杏子「……マジかよ…なんでまたマミに」
マミ「へっ……も、もしかして……」
……オネーチャン
杏子「モモ……なのか?」
マミ「モモって……妹さんの…?」
杏子「おい!いるんだろモモ!返事しろよ!!」
幽霊「……」スゥ
マミ「で、出たわ!あの黒い影、間違いないわよ!!」
モモ「……ゲン…キ……?」
杏子「ほんとにモモ…なんだよな?」
モモ「……ダヨ……」
ほむら「影だと本物かどうか分からないわね」
マミ「で、でも、魔獣って感じじゃないわよ?」
杏子「当たり前だろ…モモが魔獣であってたまるかよ」
杏子「モモだよな、そうなんだな?」
モモ「……」コクリ
杏子「なんでマミに取り憑いた!言え!!!」
モモ「……!」ススッ
マミ「ちょ、ちょっと佐倉さん、急に怒鳴らなくても」
杏子「お前がこんな悪戯する奴だとは思わなかったぞ!一週間もマミを困らせやがって!!」
モモ「……」ビクビク
マミ「待って佐倉さん!確かに困ってたけど、私は気にしないから…話を聞いてあげてよ」
杏子「……なんでだ?理由を言ってくれよ、モモ」
モモ「……カッタ………」
杏子「は?」
モモ「……サビシカッタノ……」
モモ「……オネーチャン……タノシソー…マミサンモ………タノシソー…」
モモ「……デモワタシハ…サビシカッタ…………」
杏子「だったらあたしに取り憑けばいいだろ……マミが困ってたじゃねーか」
モモ「……」
杏子「おい、なんとか言えって」
モモ「……オネーチャンコワイ…マミサンヤサシイ」
ほむら「ぷっ」
杏子「ほむら後で覚えてろよ」
モモ「……ウソダヨオネーチャン……オネーチャンジャ…ダメナノ……」
杏子「駄目?駄目って何がだよ?」
モモ「……シンジテナイモン………ユーレー…シンジテナイモン……」
杏子「……それだけ?」
ほむら「流石マミさん、幽霊を信じるほどのピュアなハートの持ち主だったということね」
マミ「そ、そりゃ確かに信じてたけど……」
モモ「ゴメンネマミサン……チョットノアイダダケド…タノシカッタデス……」
杏子「モモ…?」
モモ「久しぶりにお姉ちゃんに会えてよかったです」パアァ
マミ「モモちゃん!姿が…!」
モモ「マミさん、これからもお姉ちゃんと一緒にいてあげて下さい。ほむらさんも、お姉ちゃんを支えてあげて下さい」スゥッ
杏子「モモ、お前体が――」
モモ「ごめんねお姉ちゃん、こんな形でしか会えなくって」スゥ
杏子「モモ!待てよ、まだ話があるんだよ!」
モモ「お姉ちゃんにまた会えて嬉しかったよ……ばいばい」スゥーー
モモ「お父さんとお母さんと、ずっと見てるからね」
シュアーーン
マミ「……モモちゃん…消えちゃったの?」
ほむら「そうみたいね」
杏子「……なんだよそれ…ふざけんなよ!!!」
マミ「佐倉さん……」
杏子「久しぶりに会えたのに……一方的に言うだけ言って消えるなよ……」ホロリ
杏子「あたし、謝りたかったのに……あたしの勝手な願いに巻き込んじまって、ごめんって…謝りたかったのに」グスン
ほむら「その必要はないわ」
杏子「!ほむらてめえ――」
ほむら「言ってたでしょ、ずっと見てるって」
ほむら「あなたの声はちゃんと届いてるわよ……あの子にも、ご両親にも」
杏子「うっ……くっそぅ……ごめんなモモ……親父、お袋……ごめんなさい……」
杏子「うっく…ひっく……うぅぅぅぅ…………」
マミ「気が済んだ?」
杏子「悪かったなマミ、うちの妹が迷惑かけて」ゴシゴシ
マミ「気にしないって言ったでしょう?変な悪霊とかじゃなくってモモちゃんでよかったわ」
マミ「確かにちょっと怖かったけど……もう平気よ」
ほむら「私は巻き込まれ損なのだけれど」
マミ「暁美さん!」
ほむら「さ、一件落着したところで帰りましょうか」
マミ「そうね」
杏子「……悪い、あたしはもうちょっとここにいるよ」
マミ「でも」
杏子「いいんだよ…落ち着いたらそっち行くから」
ほむら「行きましょうマミさん。杏子なら大丈夫よ」
マミ「……えぇ…佐倉さん、アイスまた買ってあげるからいつでもうちに来ていいのよ?」
杏子「フン…早速今晩行かせて貰うよ」
マミ「待ってるわよ!」
マミ「それにしても、これで久しぶりに我が家でのんびりできるわね」ノビー
ほむら「もう二度と思春期の妄想みたいなこと言わないでよ?」
マミ「今回の一件で暁美さんが私をどういう風に見てるのかなんとなく分かったわ……」
ほむら「それはよかったわね」
マミ「よくないわよ!」
ほむら「!!……魔獣の気配ね」
マミ「感傷に浸る間もないのね……やるわよ暁美さん」シュパァン ヘンシーン
ほむら「えぇ」シュパアァン ヘンシーン
ほむらん家
ほむら「遅くなってしまったわ……それにしても、変なことに付き合わされてしまったわね」イソイソ
コンコン
ほむら「窓?悪戯かしら?」
シャー ガラー
ほむら「……やっぱり悪戯ね、何もないわ」ガラー
パチン
ほむら「!?急に電気が……停電かしら?でも、他の家は普通見たいね」
ほむら「全く、何事よ」
パチン
幽霊「……」
ほむら「……」
幽霊「……ヤァ」
ほむら「」ピシィ
「ありゃー、まさか気絶するとは思わなかったわ」
「意外と怖がりなんだねほむらちゃん」
「プププ、昨日強がってマミさん家から帰った後布団かぶって震えてたほむらをあの二人にも見せてやりたかったね」ニヒヒ
「もう、さやかちゃんそんな意地悪言わないの」
さやか「いいじゃん、まどかも見て見たいと思わない?」
まどか「……ちょっとね」ティヒヒ
さやか「よーし、それじゃあ私はマミさんの夢枕にでも立つから、こっちはお願いねー」スゥ
まどか「おっけー」
ほむら「はっ……今のは一体……」
ほむら「馬鹿ね私ったら……疲れてるのかしら」
幽霊「憑かれてるんだよ」
ほむら「……」
幽霊「……ハァイ」
ほむら「ほむうううううううううううううううううううううううう!!!!!!!!!」バタット
まどか「あれ、また寝ちゃった」
まどか「もう、これじゃあ脅かしがいがないな~」
マミ「ん~……いやぁ……」ムニャムニャ
さやか「やっほーマミさーん元気ー?」
マミ「も、もういやぁ……」
おしまい
おかしいな、もっとコメディタッチにするつもりだったのに……
幽霊にちょっと喋らせただけでモモちゃんってばれててワロタwwww
おまけ
マミ「最近幽霊に取り憑かれたみたいなの」
杏子「それって……もしかしてあいつのこと?」
マミ「へ?」
幽霊「……ドーモ」
マミ「」バタン
ほむら「気絶してしまったわね」
杏子「あたしの幻影なんだけどなー」
ほむら「魔力の無駄遣いね」
おやすみ
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