マミ「オバケなんていなーいの」幽霊「どうも」 (54)

マミ「オバケなんていなーいの」

幽霊「こんにちわ」

マミ「オバケなんていなーいわ」

幽霊「あ、こんばんわか」

マミ「お化けなんて見えないのー」

幽霊「見えてるでしょ?」

マミ「ヒューどろどろー」

幽霊「ねえってば」

マミ「うわぁぁぁあん!!!」

幽霊「うわぁぁぁあ!!!」

マミ「お化けなんていないんだからっ!!」

幽霊「見えてるでしょ!!」

マミ「何なのよ!」

幽霊「何がですか」

マミ「あなた佐倉さんが作った幻覚か何かね!?」

幽霊「違います」

マミ「そうやって女の子の振りをして実は男なんでしょう!?」

幽霊「女ですから!」

マミ「幽霊に性別はないの!」

幽霊「あります!」

マミ「そもそもあなた本当に幽霊?」

幽霊「幽霊ですよ」

マミ「証拠を見せなさいよ」

幽霊「てい」ブンッ

マミ「…」

幽霊「ね?」スカッ

マミ「…うわぁぁぁあ!!!」

幽霊「うわぁぁぁあ!!!?」

マミ「叫ばないで!」

幽霊「あなたもでしょ!」

マミ「そもそも本当に幽霊ならなんで私のところに来たのよ」

幽霊「分かんないです」

マミ「分かんないですじゃないわよ」

幽霊「気付いたらここにいたんです」

マミ「…はぁ」

幽霊「そんなに邪険に扱わないでくださいよ」

マミ「いや、幽霊なんでしょ?」

幽霊「です」

マミ「早く出ていきなさいよ」

幽霊「無理です」

マミ「はぁ?」

幽霊「私あなたに取り付いてますから」

マミ「なんてことするのよ」

幽霊「知らないですよ、ただあなたに取り付いてるってことだけはわかるんです」

マミ「…普通の女の子にしか見えないわ」

幽霊「まぁ死んだ時そのままですから」

マミ「…はぁ」

幽霊「ため息ばっかですね」

マミ「誰のせいだと思ってるのよ」

マミ「迷惑な話ね、そのまま成仏すれば良かったのに」

幽霊「あはは、なんで出来なかったんですかね」

マミ「…」

マミ「まぁいいわ、思っていたほど怖いものでもなかったし」

幽霊「床濡れてますよ?」

マミ「ええっ!?」

幽霊「嘘でした」

マミ「…」イラッ

マミ「…私はもう寝るわよ?」

幽霊「どうぞ」

マミ「ここにいるつもり?」

幽霊「まぁあなたの近くにしか居れないですから」

幽霊「精精15mってところですか」

マミ「プライベートの欠片もないわね」

幽霊「まぁまぁ」

マミ「なんでそんなに悠長なのよ」

幽霊「おまけの人生楽しんでます」

マミ「…はぁ」

マミ「ねるわね」

幽霊「お休みなさい」

マミ「気持ちのいい朝」

マミ「少し肌寒い朝にお風呂に入って」

マミ「上がった後はトーストに紅茶を添えて」

マミ「リボン巻き巻きしてから登校」

マミ「なんて清々しい朝なの」

幽霊「充実してますね」

マミ「あなたがいなければね」

幽霊「私、幽霊ですから」

マミ「ティロるわよ」

幽霊「にしても変わらないですね、この街」

マミ「え?知っているの?」

幽霊「ええ、ここに住んでましたから」

マミ「じゃあもしかしてずっと私に取り付いてた?」

幽霊「いやあ、多分それはないです」

幽霊「意識が戻ったのは昨日ですから」

マミ「意識?」

幽霊「ま、なんていうんですか、ずっと眠ってた感じだったんですよ、多分」

マミ「ふーん」

幽霊「思い出せないのは死んだ時の状況と名前だけです」

マミ「それはそれで辛そうね」

幽霊「そうでもないですよ、楽しい思い出は残ってますし」

マミ「思い出?」

幽霊「そーです」

幽霊「お母さんとお父さん、優しかった二人と休みにピクニックに行く」

幽霊「そんな些細なものですけどね」

マミ「…」

幽霊「ん?」

マミ「些細なんてそんなこと」

マミ「とっても素敵な両親だったのね?」

幽霊「…」

幽霊「そりゃあもう」

幽霊「大好きでしたよ」

マミ「…ふふっ」

幽霊「ん?前から手を振ってる女の子が来ましたよ?」

マミ「ああ、学校の後輩なの」

幽霊「へー、なんか馬鹿っぽいですね」

マミ「なんてこと言うの」

幽霊「隣の子は息切れてますよ」

マミ「鹿目さんと美樹さんよ」

幽霊「へー」

さやか「マミさんマミさん!」

マミ「おはよう、美樹さん」

さやか「なんかついてますって!使い魔ですか!?」

マミ「…え?」

幽霊「…」

さやか「このぉおおおお!マミさんから離れろおおお!!」

幽霊「み、見えてらっしゃる?」

さやか「安心してくださいマミさん!今すぐこいつの頭を…」

幽霊「ストップストップ!私悪いものじゃないですよ!」

さやか「うわっ!?人の形をしてると思ったら喋るだと!?」

さやか「ちょっと待っててくださいねマミさん!なんか鈍器で…」

マミ「ちょちょちょ!美樹さん!」

さやか「なんですか!」

マミ「あ、あなたにも見えてるの?この人?」

さやか「?ええ、勿論です」

マミ「…」

マミ「あっちに取り付いたら?」

幽霊「無理です」

さやか「…へ?」

さやか「ゆゆゆゆ、幽霊!?」

マミ「らしいわよ」

幽霊「どうも、幽霊です」

さやか「何が目的だこの野郎!」

幽霊「いや、別に目的なんてないですってば!」

マミ「あら、鹿目さん、おはよう」

まどか「さ、さやかちゃん早いよ…」

まどか「お、おはよう、ございます」

幽霊「おはよう」

まどか「…?」

まどか「マミさぁぁぁぁああん!!!」

まどか「この人浮いてますよ!!」

マミ「あぁ、うん」

まどか「何そのリアクション!」

さやか「って事はこちらさんは幽霊で?」

まどか「昨日の夜からマミさんに取り付いてる?」

マミ「そうなの」

幽霊「てへ」

さやか「あんた本当に幽霊なのー?」

さやか「杏子が作り出した幻覚かなんかじゃないでしょうね」

幽霊「…」ブンッ

さやか「うおっ?」スカッ

幽霊「ね?」

まどか「ほ、本当に…幽霊?」

幽霊「だからそう言ってるじゃないですか」

ほむら「…」

さやか「お、ほむらじゃん」

まどか「あ、本当だ」

まどか「おーい、ほむ…ムグッ!」

さやか「待て待てまどか」

まどか「…ぷはっ…どうしたの?」

さやか「この前さぁ五人でマミさんに泊まったじゃん」

マミ「あぁ」

さやか「その時怪談大会したじゃん」

まどか「…え?う、うん」

さやか「だからさ…」ヒソヒソ

まどか「…え?だ、ダメだよぉ!」

さやか「にししし!いーのいーの!」

幽霊「何が起こるんですか?」

マミ「騒がしいことよ」

さやか「おーい!ほむら!おはよ!」

ほむら「あらさやか、おはよう、今日は遅刻せずにすみそうね」

さやか「あんたは私をなんだと思ってんのよ」

ほむら「まどか、マミもおはよう」

マミまど「おはよう」

ほむら「…?そっちの人は」

幽霊「どうも」

ほむら「ど、どうも?」

ほむら「マミの友達かしら?」

幽霊「あー、そんなところです」

ほむら「そう、よろし…」スッ

ほむら「…」

ほむら「…?」

ほむら「…」ボゴォッ

まどか「ほむらちゃん!?」

ほむら「ごめんなさいまどか、どうやらまだ夢の中のようだわ」

ほむら「今起きるからね?」

まどか「現実だよ!」

ほむら「だって障れないもの」スカッスカッ

幽霊「私、幽霊です」

ほむら「なわけ無いでしょしばきまわされたいの?」

幽霊「こ、こわぁ…」

マミ「彼女の言っていることは本当よ」

ほむら「…?」

ほむら「ゆ、幽霊?」

幽霊「です」

ほむら「…」カタカタ

ほむら「…ひっ…」

ほむら「…うっ…ひっ…」グスッ

幽霊「泣いたんですけど」

ほむら「ゆ、幽霊なんていないわ…」グスッ

幽霊「こんにちははじめまして、幽霊です」

ほむら「幽霊なんていないもん!」グスッグスッ

マミ「キャラが変わってるわね」

まどか「もー、さやかちゃんのせいだよ」

さやか「…!っ…!っ…!!」

マミ「声が出なくなるほど笑わないであげて」

さやか「も、もんて…!もんて!!!」

ほむら「…」ガチャッ

さやか「すこし調子に乗りました」

ほむら「よろしいわ」

幽霊「あのー」

ほむら「…ひっ!?」

幽霊「そんなにこわがられたらきずつくなぁ…」

ほむら「じゃあ本当に幽霊?」

幽霊「ええ」

ほむら「…」

幽霊「そんな見ないでくださいよ」

ほむら「あ、ご、ごめんなさい」

ほむら「…意外と普通なのね」

幽霊「まぁそりゃ元人間なわけですから」

ほむら「どうして急に…」

マミ「昨日いきなり私の部屋に化けてでたの」

ほむら「はぁ…」

幽霊「って訳でマミさんの付き人、幽霊です」

マミ「言葉に偽りなしね」

昼休み

さやか「そんでさー、まどかったらさー」

幽霊「あはは、何それ」

ほむら「溶け込みすぎでしょ」

まどか「自由だよね…」

さやか「いやー、意外と話がわかるやつだよ」

さやか「ほれ、飲みねぇ」

幽霊「私幽霊なんで飲めないですってば」

さやか「これは一本取られた」

さや幽「wwwwwwwww」

マミ「何この状況…」

ほむら「半端じゃないくらいにカオスね…」

杏子「おーう、マミ」

マミ「あら、佐倉さん」

杏子「なんか食いもん持ってない?」

さやか「あんたいい加減無断侵入やめなっての」

杏子「んだよ、仕方ねーだろ」

杏子「ん?誰だコイツ」

幽霊「幽霊です」

杏子「ふーん、そっか、よろしくな」

幽霊「よろしくね」

杏子「あ、マミ、お前この前手袋忘れてったぜ」

マミ「ありがとう」

マミ「って違うでしょ!!」

杏子「うおっ…どうしたんだよ」

マミ「彼女を見てなにか言うことないのかしら!?」

杏子「はあ?」

幽霊「どうも」

杏子「おう」

さやか「そんだけ!?」

杏子「いやなんて言えばいいんだよ」

杏子「幽霊だろ?」

さやか「おかしいだろ!」

杏子「おかしくなんかねーぞ、あたしの教会じゃしょっちゅう出てた」

幽霊「教会?」

杏子「おう、風見野の方のな」

幽霊「あー!佐倉さんね!」

杏子「え?知ってんのか?」

幽霊「うんうん、生前よくよってたよ!」

杏子「へー…」

さやか(ちょちょ!マミさん!杏子にこの話ってあんまり…)

マミ(そうよね…)

幽霊「普通のおじさんが神父だったでしょ?」

杏子「…まーな」

幽霊「懐かしいなー」

杏子「…」

幽霊「…あの人にはよくしてもらってたもん」

杏子「…」

幽霊「お腹が空き過ぎて倒れたときご飯を食べさせてくれたのが始まりだったなぁ」

杏子「…そっか」

杏子「なぁ」

幽霊「ん?」

杏子「その神父はどんな奴だった?」

幽霊「とってもいい人だったよ!」

杏子「…」

幽霊「ありがとうって伝えといてね!」

さやか(あわわ…!)

杏子「…」

杏子「そーだな、伝えとくよ」

杏子「ありがとうってな」ニコッ

幽霊「うん!」

さやか(…あれ?)

マミ(ふふ、杞憂だったようね)

杏子「しっかし何であたし達だけに見えるんだ?」

マミ「そうよねぇ…授業中も誰も気が付かなかったし…」

ほむら「魔法少女が関係あるのかしら?」

さやか「でもそれだとまどかが見える説明がつかないよ」

ほむら「まどか!!!!」

まどか「け、契約なんてし、してないよぉ…!」

ほむら「そう…」ホッ

幽霊「ほむらちゃんはまどかちゃんラブ何ですか?」

杏子「そうだ、筋金入りのレズだから気を付けな」

ほむら「勝手なことを言わないで、私は女の子が好きなんじゃないわ」

ほむら「好きなのがまどかなだけよ」ドヤァ

まどか「ほ、ほむらちゃん…!」

さやか「寒いのに熱いっすね」

マミ「そうね」

QB「やぁ」

ほむら「消えなさい」

QB「毎度毎度そんな扱いをしないでおくれよ」

QB「まどか、契約するかい?」

まどか「やだ」

QB「そっか」

さやか「あっさりし過ぎだろ」

マミ「もう見慣れたものよね」

QB「ところでそっちの君」

幽霊「え?私?」

QB「そうそう、君だよ」

幽霊「な、何ですか?」

QB「…君はどうやら覚えていないのか」

幽霊「は、はぁ?」

杏子「どうしたんだ?」

QB「いや、言わない方が得策かな」

ほむら「引っかかる物言いね」

QB「まぁ、それはいいんだけれど」

QB「明後日に魔女が現れるよ」

さやか「は、はぁ!?なんだよいきなり!」

QB「言葉の通りさ、明後日に魔女が現れる」

杏子「意味がわかんねぇな、ワルプルギスでもあるまいしどうしてそんな予測が立てられるんだよ」

QB「そうだね、理由としては二つ」

QB「一つはその魔女がワルプルギスとは言えないまでもかなり強力で魔力の察知が容易いから」

QB「もう一つはその魔女のグリーフシードは孵化寸前だから、かな」

ほむら「…グリーフシードを見つけることはできないの?」

QB「不可能だね、そのグリーフシードは完璧と言っていいほどの防御結界を貼っている」

QB「スキが生まれるとしたら孵化直後しかないよ」

ほむら「そう、聞くことは聞いたわ、消えなさい」

QB「やれやれ、酷いなぁ」

幽霊「ま、魔女?何ですか?それ」

マミ「あぁ、あなたは知らないのね」

ーーーー説明中ーーーー

幽霊「そ、それじゃあ皆はそんな化物と日夜戦ってるんですか!?」

マミ「まぁそう言う事」

杏子「にしても解せねぇな、幽霊って言うんだからてっきり魔法少女と関係があると思ってたぜ」

QB「…」

幽霊「…魔法少女…かぁ」

QB「ちなみに君は契約できないからね」

幽霊「ば、バレた!」

QB「じゃあ僕は居なくなるよ、ここにいるとスペアがいくらあっても足りないからね」



マミ「…」

幽霊「考え事?」

マミ「そんなところね」

幽霊「魔女ってのについてかぁ」

マミ「…」

幽霊「…マミさんはどんな願いで魔法少女になったんです?」

マミ「…」

マミ「…私はね、幼い頃に事故で死にかけたの」

マミ「その時両親も失った」

マミ「ふふ、契約に両親のことも含めれば良かったわ」

マミ「…幼い私は自分の事しか考える事が出来なかった」

幽霊「…」

マミ「だからね、少し羨ましいのよ」

幽霊「な、何が?」

マミ「胸を張って両親との思い出を話すあなたに、よ」

幽霊「…」

>>36
あなたに、よ×
あなたが、よ〇

幽霊「マミさんだって楽しそうですよ」

マミ「…」

幽霊「友達がいて生きがいがあって」

幽霊「とっても楽しそうですよ」

マミ「そうかしら」

マミ「それでもね」

マミ「あのとき両親のことを願っていればと思わない事はないわ」

幽霊「…」

マミ「だから私は精一杯生きるのよ」

幽霊「…」

マミ「お友達ももっともっと増やすの」

幽霊「…」

マミ「あなたは魔法少女関係以外での初めてのお友達ね」

幽霊「と、友達!?」

マミ「あら、嫌だった?」

幽霊「…!」

幽霊「…う、嬉しい…です」

マミ「ふふ、良かった」

マミ「さ、明日は土曜日なんだから早く寝ましょう」

幽霊「そこはもう少し起きとこうじゃないですか?」

マミ「ふふ、明日は皆がおうちに来るのよ」

幽霊「…そうですか」

マミ「夜の七時に来るらしいからそれまでに色々やることがあるわ」

幽霊「…それは…楽しそうですね」

マミ「あら?あなたも参加するのよ?」

幽霊「え?」

マミ「言ったでしょ、お友達だって」

マミ「私のお友達なんだからあなたも参加するのよ」

幽霊「で、でも迷惑じゃ」

マミ「はいはい、迷惑なら取り付かれた時点でお祓いしてるわよ」

マミ「明日からよろしくね?不思議な不思議な同居人さん?」

幽霊「…!」

幽霊「ぼ、防犯は任せて!」

マミ「ふふ、期待してるわ」

マミ「お休み」

マミ「そろそろ鹿目さんたちが来る頃ね」

幽霊「マミさん生活力半端じゃないですね!」

マミ「ふふ、ありがとう」

幽霊「と、友達かぁ…!」

マミ「あら、ソワソワしてるの?」

幽霊「そ、そりゃあ…」

マミ「大丈夫よ、彼女達もきっと喜ぶわ」

幽霊「…」

マミ「どうかした?」

幽霊「う、嬉しいんですよ」

幽霊「こんなこと滅多になかったから」

マミ「…?」

マミ「そう、なの?」

幽霊「ええ…」

幽霊「え?」

マミ「え?」

ピンポーン

マミ「あ、来たわ」

マミ「はーい!今行くわねー!」






幽霊「…え?」

杏子「邪魔するぜー」

さやか「靴を並べろっての、お!幽霊いるじゃん!」

まどか「ウェヒヒ、お邪魔します」

ほむら「…」ビクッ

幽霊「あ、どうぞ!あ、あがって!」

ほむら「ひいいい!ごめんなさい!」

幽霊「うわぁあ!泣かないで!」

ほむら「嘘よ」キリッ

幽霊「傷つくからやめてよね」

さやか「あはは、ほむらもすっかり慣れたなー」

マミ「あらあら、早速騒がしくなったわね」

幽霊「ふふ、そうですね」

さやか「うわ!これめちゃうまっすよ!マミさん!」

マミ「ありがと、おかわりあるからね」

杏子「そんでほむらがさー」

幽霊「あはは、何それ」

ほむら「そんなこと言ったらあなたただって」

まどか「ウェヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、ほ、ほむらちゃん、それウェヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」

幽霊「…」

幽霊(…あぁ)

幽霊(…楽しいなぁ)

幽霊(…生きてる時の方が後悔してるよ)

幽霊(…あはは、思い出さなきゃ良かった)

幽霊(…ごめんね)

ピキッ


ピキッピキッ

QB「人間という生き物はつくづく理解し難いよ」

QB「なんだって自分すら誤魔化すような嘘をつくのかな」

QB「それが偽りだと知ったときに誰よりも落ち込むのは自分なのに」

QB「思いの力とはよく言ったものだね」

QB「誰を憎めばいいのかもわからないで」

QB「だけどその憎しみが溜りに溜まったとき」

QB「人は魔法少女という過程すらも飛び越えて」

QB「一匹の魔女になる」

QB「そこに違いがあるとすればそれはそれはエネルギーが回収できるかどうかだね」

QB「生まれた、生まれた」

QB「絶望が」

杏子「お?そろそろ日付変わるな」

さやか「んー?そんな時間?」

まどか「騒ぎすぎちゃったね」

幽霊「…皆」

幽霊「…話がある」

マミ「…?どうしたの?」

幽霊「…私って馬鹿だよね」

杏子「さやかの方が馬鹿だぞ」

さやか「なんだと!」

幽霊「…自分で自分を誤魔化して」

幽霊「それで幸せになった気でいた」

幽霊「私なんて誰にも望まれな言って知っていた筈なのに」

幽霊「どこかで違うんじゃないかって思ってた」

幽霊「…嘘ついてごめんなさい、マミさん」

幽霊「私、愛されてなんかいなかった…

幽霊「だって私は…!」

幽霊「魔女だったんだから!」

パリン!

QB「両親に虐待されて育った少女」

QB「自分の記憶にすら蓋をして」

QB「その記憶を認めようとしない」

QB「挙句には偽りの記憶さえ生み出した」

QB「とんだ皮肉だね」

QB「君は両親を殺し、魔法少女になった」

QB「「いっそ魔女にして」という願いだったかな」

QB「魔法少女になる前から君は魔女と変わりなかったんだ」

さやか「ま、魔女!?」

杏子「ど、どうなってやがる!!」

ほむら「まどか、下がっていて」

マミ「…?」

マミ「ど、どうしたの?幽霊ちゃん」

マミ「あ、あなたは…」

QB「彼女こそがこの魔女の防御結界さ」

マミ「…Q…B」

QB「彼女は魔女になるという願いの元魔法少女になった」

QB「結果として強力な魔女、普通では有り得ないような性質や結界を持つことになった」

QB「そして彼女に幸せな記憶なんてものは無い」

QB「産まれる前から、死ぬことを望まれていたんだからね」

魔女「ーーーーーーーーー!!」

QB「幽霊の姿はいわゆるカモフラージュさ」

QB「すごいね人間は」

QB「いつだって僕らの予想を遥かに超えていく」

マミ「やめてぇーーーーーーー!!」

QB「彼女にはもう、どんな声も届かない」

やめて
     痛いよ

  どうしてそんな事するの?
     どうして殴るの?

痛いよ       痛いよ

  
    生まれてこなければ良かった?

  どうして?  
         分かんないよ

  やめてよ    や  めて

 熱いよ    
      私は灰皿じゃないんだよ

 お腹が空いたよ   

       ご飯が欲しい

やめて    返してよ

    それは私のものなの

  私の指だよ  私の髪なの

返してよ    









      死んじゃえ

魔女「ーーーーーーーーー!!」

杏子「ぐぅぅっ!」

さやか「こ、のっ!!」

ほむら「くっ…!」

マミ「…ぁ、あぁ…」

杏子「何ボケっとしてやがる!マミ!」

マミ「だ、だって…!あの子は…!」

杏子「魔女だ!」

マミ「違うわよ!」

杏子「見ろよ!魔女だ!」

マミ「あの子は楽しいって言ったのよ!!」

マミ「嬉しそうな顔をしたの!」

マミ「…ありがとう…って…言ったのよ…」ぽろぽろ

魔女「ーーーーーーーーー!!」

マミ「あぐっ!」

杏子「チッ…!おらぁぁぁ!!!」

さやか「たぁぁ!」

ほむら「…」ダララララ!!

マミ「…ぐぅ…!」

杏子「立てよ!!死んじまうぞ!」

マミ「ね、ねぇ…どうして?」

杏子「あぁ!?」

マミ「…そんなに辛かったのよね?」

魔女「ーーーーーーーーー!!」

マミ「…教えてくれても良かったじゃない」

マミ「頼ってくれても良かったじゃない…!」

魔女「ーーーーーーーーー!!」

杏子「立て!!マミいいいい!!!!」

マミ「…」ギリッ

魔女「!?」

マミ「断じてお前は」

マミ「あの子じゃない…!!」バシュッ

マミ「…」ドドドドドド!!

魔女「ァァアアァァアァァ!?」

マミ「…もう眠りなさい」

マミ「…さようなら」

魔女「ーーーーーーーーー!!」

マミ「…ありがとう」

マミ「今まで楽しかったわ」

マミ「…ごめんね」 ポロッ

魔女「…ぐ…ぁ…」


「もう一度会えたなら、また友達になれるかな?」


マミ「…」

マミ「当たり前よ」

マミ「…あなたが飲みたがっていた紅茶も入れてあげるし」

マミ「…ケーキだって作ってあげる」

マミ「一人で眠るのが怖いなら一緒に寝てあげる」

「ありがとう」


マミ「ありがとう」

ーーーーーーーーー


ーーーーー


ーー

杏子「なー」

さやか「んー?」

杏子「今頃どうしてんのかな、あいつ」

さやか「さぁ」
 
まどか「…私達、あの子のこと何も知らなかったよね」

ほむら「まどかが気にすることじゃないわ」

まどか「…うん」

マミ「大丈夫よ」

マミ「…あの子なら、大丈夫」

マミ「いつかあの子が乗り越える、その時まで」

マミ「…いつまでも席は空けとくからね」



「…うん」


マミ「ゆっくり、休んでね」

マミ「…お疲れ様」

お疲れ様でした
ネグレクトっていってな飯作らねーのも虐待なんだぜ
気をつけろよお前ら
ガキがガキ作るとろくなことにならないからな
お休み

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