男「んだよ、邪魔だなこの鏡」 (16)
チュンチュン...
男「はぁ...今日も学校かよクソが」
男「ったく高校なんか行っても意味ねーだろ」
男「...学校、行くか」
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俺は別になにかになりたくて高校に入ったわけじゃない。
ただ、周りの人間が高校に進学するから、というだけの理由で取り敢えず高校に進学した。
別にそこまで頭が悪かったわけじゃないので特に勉強しなくてもいい学校に進学した。底辺より少し上くらいだ。
けど、入学して一年目で現実を突きつけられた。
底辺から少し上、と言っても大した差は無いのだけどやっぱり頭の悪い学校には頭の悪い連中が集まるものだ。
勉強は出来ないけど運動はできる、授業中に騒ぐ、教師にタメ口、その他もろもろひどい事は他にもあるけど、まあこういう連中が一番して喜ぶこと。
イジメ、迫害。
俺は眼鏡だし背もそこまで高くないし運動もできるわけじゃ無いし、おまけに勉強もできない。
自分はそんな奴のくせに、俺は周りの不良どもを見下していた。
俺は他の奴らには無い何かを持ってる、この学校に入ったのは単に勉強しなかっただけ、勉強すればもっと上を狙えた、なんて。
そういう考えでいるからもちろん友達なんてできなかった。
いや、出来ないんじゃない作る努力をしなかった。
そんな周りを見下した様な雰囲気を感じ取ったのか、俺は不良どもに真っ先に目をつけられた。
授業中足を引っ掛けられる、移動教室の連絡を俺にだけしない、なんて感じのことを毎日毎日飽きもせずやられた。
よく考えれば大したことないことなんだけど、底辺高校に行ったことで親にも文句を言われていたし、友達がいないこととかで物凄く精神的にダメージを受けた。
全部自分がまいた種なのに。
けど、このちっぽけなイジメの標的はすぐに他のやつに移った。
クラスの眼鏡のチビテブ。
俺自身もどんくさくてのろまなやつだと思っていたけど、そのどんくささが不良どもに目をつけられた原因なのだろう。
俺とは比べものにならないイジメを受けてた。
俺は頭が良かったからなのか完全にイジメの標的はそいつに移った。
内心ホッとしていた。
俺はいじめられているそいつ以下の人間のくせに、俺までそいつを見下していた。
自分が大嫌いな不良どもと同じことをしていることにも気付かずに。
そんなこんなで一年が過ぎて高2になった。
もちろんこんな学校は今すぐにでも辞めたかったけど、親の手前辞めることはできなかったし、心の隅で高校くらいは出とかなければと思ってた。
そんな嫌になることを思い出し自己嫌悪になりながりも学校に着く。
男(登校するのも面倒だ...ん?あいつは...)
不良「そんでよー!ギャハハハ!」
男「今年もあいつと同じクラスかよ...」
それだけで物凄い鬱な気持ちになった。
高2初日は集会だけだったので直ぐに帰宅した。もちろん一人で。
帰ってすぐに寝た。
明日からの退屈な日々を考えるととても起きてられなかった。
3時間ほどして起きたが頭が痛かった。
顔を洗おうと廊下に出たが足に何か引っかかった。
男「...ん?なんだこの薄汚い手鏡」
男「...邪魔だなこの鏡」
イライラしていた為か鏡を蹴り飛ばした。
どうせ汚い鏡だから捨てようと思った。
また朝が来た、鬱だ。
男「うぅ...眠い...」
何時ものように寝癖を治そうと鏡を見に行くが、洗面所まで行くのさえ面倒だった。
男「しょうがない...昨日蹴った鏡でっと」
その手鏡に自分を写した瞬間、俺は一瞬眩しい光に包まれた。
男「...?なんだ今の?」
光の後にみた光景は、いつもと変わらない部屋...じゃなかった。
俺?「よっ!俺」
俺「俺...?」
目の前にいたのは俺だった。
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