さやか「デ…マミさん!」(1000)

マミ「い、今なんて…?」

さやか「え?普通にマミさんの名前よんだだけですよ?」

マミ「でも『マ』じゃなく『デ』なんとかっていいかけてたんじゃ…」

さやか「やだなぁ。気のせいですって」

まどか「そうですよ。デ…マミさんの聞き間違いですって」

マミ(鹿目さんも今『デ』って言ったわよね?)

うしじゃあ後は誰かに頼んだぞ

あまりマミさんのことを悪くいうとここから超展開させてマミほむにするぞ
だからやめろ

>>12
むしろデミほむは望むところだ

まどか「それにしてもマミさんの買ってくるケーキっていつも大きいですね!」

マミ「ええそうね、二人に満足してもらえるように店で一番大きいのを買ってくるのよ」

さやか「でも結局マミさんが全部食べるんですよね!」

マミ「……」





こんな感じですか?

マミ「そうだ! 今日はキングオブフルーツティーっていうのを作ってみたの」

さやか「へー、果物がたくさん入ってますね! …カロリー高そだなー」

マミ「でもとっても甘いのよ?」

まどか「ウェヒヒヒヒ マミさんの舌にはこれぐらいのカロリーが丁度いいんだよ、さやかちゃん」

マミ「…」グス

マミ「……」ションボリ

ほむら(あれは……巴マミね、何を落ち込んでいるのかしら)

マミ「……」トコトコ

ほむら(……)

マミ「……」ハァ

ほむら「……どうしたの?」

マミ「暁美さん……あなたには関係ないわ」

ほむら「そう……」

マミ「……」トコトコ

ほむら「ま、待って!」ガシッ

マミ「何よ……」

ほむら「えっと……」

ほむら(どうしよう……何も考えてない)

調子に乗りましたすいません

期待!

マミ「用がないなら離して欲しいのだけれど」

ほむら「……お、お茶でもしない?」

マミ「……下手なナンパじゃないんだから」

ほむら「ご、ごめんなさい……」

マミ「まあ、いいわ」

ほむら「そ、そう?」ホッ

ほむら「ところで、何を悩んでいたの?」

マミ「それは……」チラッ

ほむら「?」

マミ「……あなたにはわからないわ」

ほむら「そう……でも、何かあったら話して。できることなら力になるわ」

マミ「……ありがとう」ニコッ

ほむら「れ、礼には及ばないわ」ファサッ

マミ(照れてるのかしら)

マミ「ちょうどよかったわ、家にケーキがあるの」

ほむら「ふふ、本当にあなたってケーキが好きね」

マミ「そう……ね……」ズーン

ほむら「え? わ、私変なこと言ったかしら?」アセアセ

マミ「いえ……あなたは悪くないわ」ズーン

ほむら「ならいいけど……」

マミ「と、ともかく、私の家に行きましょう」

ほむら「え、ええ」




まどか(……)

―マミハウス―

マミ「はい、召し上がれ」

ほむら「ええ、頂くわ……あなたは?」

マミ「わ、私は、その……お腹が一杯だから……」

ほむら「そう?」

マミ「え、ええ……」グゥゥ

ほむら「……」

マミ「あっ、やっ、違うの! これは!///」

ほむら「……本当にどうしたの?」

QB「ダイエット中らしいよ」

マミ「きゅ、キュゥべえ!!」

ほむら「いきなり出てこないで。ダイエットって……どうしてまた」

QB「ほむら、君からも言ってあげてよ。どうもマミは自分の体型が気に入らないみたいだ」

マミ「わー! わー!///」

ほむら「あら、どこが気に入らないの? むしろうらやましいくらいだわ」

マミ「そ、それはこっちのセリフよ。暁美さんはスレンダーだし……」

ほむら「それは出るべき場所が出てないってことかしら」

マミ「そ、そういうわけじゃないけれど……」

QB「すてーたす(笑)」

ほむら「ほむほむスマッシュ!!」バキャッ

QB「いでえええええ!!」

ほむら「それで、どうしていきなりそんなことを思ったのかしら」

マミ「え、えっと……実は……鹿目さんと美樹さんがね……」マミマミシカジカ

ほむら「あの二人がそんなことを? 信じられないわ」ホムホムウマウマ

マミ「……やっぱり、私……」

ほむら「太ってるようには見えないのだけれど……そもそも特定の一部分に脂肪が集まってるじゃない」

マミ「ど、どこ見てるのよ!///」

ほむら「……」ペタペタ

マミ「だ、大丈夫よ、いつかきっと……ね?」

ほむら「……」グスッ

ほむら「新しい技名を考えたわ・・・」

ほむら「その名も“ほむほむバースト”!!」

QB「・・・・プッw」

ほむら「ほむほむバァストオオオオオオッ」


ドォォォン

マミ「け、ケーキを頂きましょう、ね?」

ほむら「……」ムスッ

マミ「ほ、ほら、おいしいわよ?」

ほむら「……一人で食べてもおいしくないわ」

マミ「わかったわよ、私も食べます」ハァ

ほむら「それでいいのよ。大体、私達魔法少女が体型のことなんか気にするのが間違いなのだわ」

マミ「それでも気になるものは気になるじゃない?」

ほむら「……なら、確かめてみる?」ニヤ

マミ「な、何を?」

ほむら「あなたが太っているかどうか、よ」ジリジリ

マミ「あ、暁美さん……? 目が怖いわよ?」アトズサリ

ほむら「ていっ!」ガバッ

マミ「きゃっ! ちょ、ちょっと!」

ほむら「どこが太ってるのよ! もう!」ムニムニ

マミ「ど、どこ触ってるのよ!///」

ほむら「うるさい! 私なんかどうしても大きくならないのに!」

マミ「は、離し……なさい!」バッ

ほむら「……はあ……これでわかったでしょう?」

マミ「わからないわよ!///」

ほむら「とにかく、気にすることないわよ、そんなこと」

ほむら「大方あなたのスタイルの良さに嫉妬でもしたんでしょう」

マミ「そんなものかしら……」

ほむら「さ、早くケーキを食べるわよ」

マミ「……はあ、真面目に考えるのが馬鹿らしくなってきたわ」

ほむら「それでいいのよ」モグモグ

ほむら「あら、おいしい」

マミ「本当ね」モグモグ

マミ「あ、そうだ。紅茶をいれて来るわ」

ほむら「お願いするわ」

マミ「はい、どうぞ」

ほむら「ええ、ありがとう」

マミ「あなたって物を食べる時、すこしずつ食べるのね」

ほむら「……食が細いのよ」

マミ「そっか……」

ほむら「おいしかったわ、ごちそうさま」

マミ「こちらこそ、何だか元気が出てきたわ」

ほむら「それは良かったわ。私もそのほうがうれしいし」

マミ「あら、私が元気ないほうが鹿目さんたちと仲良くできるんじゃないの?」

ほむら「……いじわるね」

マミ「さっきの仕返しよ」

ほむら「もう……それじゃあ、そろそろ帰るわね」

マミ「あら、泊まっていってくれてもいいのよ?」

ほむら「それは……」

マミ「ふふ、冗談よ」

ほむら「……冗談なの?」

マミ「えっ?」

ほむら「な、何でもないわ」

マミ「……私はいつでも大歓迎よ」

ほむら「え、えっと……じゃあ、また機会があれば……」

マミ「ええ、楽しみにしてるわ」ニコッ

ほむら「……ええ」

マミ「じゃまた明日」

ほむら「ちゃんと食べるのよ」

マミ「わかってるわよ、もう」

ほむら「ふふ、またね」

ほむら「……巴マミがあんなことを気にしていたなんてね」

ほむら「後からあの二人に聞いておかないと……」

ほむら「……お泊り、か」

ほむら「……ちょっと、楽しみかも……」



まどか「あ、ほむらちゃん!」

ほむら「ひゃっ! ま、まどか?」

まどか「偶然だね! こんなところで会うなんて!」

ほむら「そ、そうね…….どうしてこんな時間まで……」

まどか「えっと……さやかちゃんと杏子ちゃんとゲームセンターで遊んでたんだよ!」

ほむら「こんな遅くまで……送って行くわ」

まどか「そんな……ほむらちゃんに悪いよ」

ほむら「心配しないで、私は魔法少女だから」

まどか「ほんと? やっぱりほむらちゃんはすごいよ!」ガシッ

ほむら「ま、まどか?」

まどか「どうしたの?」

ほむら「い、いえ……」

ほむら(腕を組むなんて……友達同士でもちょっと恥ずかしいかも……///)

まどか「そういえば、ほむらちゃんは今までどこにいたの?」

ほむら「え? 巴マミの家よ」

まどか「……ふーん」

ほむら(あ、そうだ……あのことを聞かないと)

ほむら「ねえ、まど……」

まどか「またケーキ?」

ほむら「え? そ、そうだけど……」

まどか「ダメだよ、太っちゃうよ」

ほむら「……まどか、それは……」

まどか「ほら、マミさんって一人暮らしでしょ? だから食生活とかあまり良くないような気がするんだ。それにもうすぐ受験生でしょ? 忙しくなったらそこまで気が回らないよね? 」
まどか「そんなときにケーキばっかり食べてたらダメだと思うんだ。だから今からでもその食生活を改善しないといけないと思うんだ。ね、ほむらちゃんもそう思うでしょ?」

ほむら「え? ……確かに、そうかもしれないわね……」

まどか「ね?」

ほむら「でも、だからってあんな言い方は……」

まどか「うん、わかってる。でもマミさんって両親いないでしょ? だからきつく当たる人がいないと思うんだ」

ほむら「そういうものかしら……」

まどか「そうだよ」

ほむら「……まどかがそういうのなら……」

まどか「さすがほむらちゃんだね!」ギュッ

ほむら「も、もう……///」

まどか「てへへ」

ほむら(杏子ほどじゃないとはいえ、確かに食生活は貧困になりそうね……)

ほむら「……二人暮らしとかよさそうね」

まどか「え?」

ほむら「なんでもないわ」

ほむら「ついたわ」

まどか「うん、ありがとう、ほむらちゃん!」

ほむら「礼には及ばないわ」ファサッ

まどか「てへへ、それじゃ、また明日ね」

ほむら「ええ、またね」

まどか「うん!」

―翌日―

マミ「暁美さんはああ言ってくれたけど……」

マミ「やっぱり気になってサンドイッチにしてしまったわ……」

マミ「……はあ」

さやか「あ、デ……マミさん!」

まどか「……」

マミ「あ……こ、こんにちわ、二人とも……」

さやか「今日はサンドイッチっすか? 足りるんですかね?」ニヤニヤ

まどか「……」

マミ「え、ええ……」

さやか「無理しなくていいんですよ? ケーキとか」

まどか「ケーキとかいいですよね」

マミ「わ、私だってケーキばっか食べてるわけじゃ……」

さやか「へー、ほんと」

まどか「ほむらちゃんも言ってましたよ」

マミ「な、なにを……」

まどか「マミさんはケーキばっかり食べてるって」

さやか(初耳ですけど)

マミ「……」

まどか「マミさん、食べ過ぎはダメですよ」

マミ「……ええ」

まどか「ティヒヒ、わかってくれればいいんですよ」

まどか「いこ、さやかちゃん」

さやか「え……あ、うん」

マミ「……」

マミ「……」

マミ「……そっか、暁美さんも……」

マミ「私、馬鹿だなあ……」グスッ

マミ「……」ポイッ

マミ「……」スタスタ

マミ「……お腹減った……」

QB「いや、よくないっしょ、杏子的に」

マミ「……何よ」

QB「知ってるかい? 三食きちんと食べたほうが太らないんだよ」

マミ「……」

QB「そうでなくとも、食べないダイエットはリバウンドの可能性が高いんだ、おすすめはしないね」

マミ「……」

QB「ちなみにこれは健康科学的観点から実証されていることで、もっと詳しく言うと」

マミ「わかったわよ、食べればいいんでしょう?」

QB「はい」

マミ「もう……」

QB「君はいつも魔女相手に運動してるんだ。体重が増えた理由は少し筋肉質になったのと、胸が」バキッ

マミ「……ふんだ」プンプン

QB「……な、なんで……」ピクピク

まどか「ほむらちゃん、一緒に食べよ!」

ほむら「ええ」

ほむら「……」キョロキョロ

まどか「どうしたの?」

ほむら「いえ、巴マミはいないのかしら」

さやか「あー、あの人なら」

まどか「色々忙しいみたいだよ、受験生だし」

ほむら「そう、なら仕方ないわね」

まどか「そうだよ、早く食べよう?」

ほむら「そうね」

実際は基礎代謝との兼ね合いもあるから、食って運動して、が一番いいらしい

食わないと筋肉を分解して糖に変えるかつ基礎代謝を下げる働きが人間の身体で起こるからあまりよくない

って教授が言ってた

さやか「あれ? なんか豪勢だね」

まどか「ほんとだ、どうしたの?」

ほむら「少し早起きして、頑張ってみたの」

仁美「料理もできるなんて、すごいですわね」

さやか「いたの?」

仁美「いましたわ」

ほむら「昨日のまどかの話を聞いて、自分の食生活を見直そうと思ったのよ」

まどか「すごいな、ほむらちゃん、なんでもできるんだなあ」

ほむら「そんなことないわ……でも、これで巴マミに恩返しができるかもしれない」

さやか「んん? なんでさ」

まどか「……」

ほむら「ほら、いつもご馳走されてばっかりでしょ?」

さやか「あー……」

ほむら「だからそのお返しをしたいと思っていたのよ」

まどか「……」

ほむら「まどかのおかげで思いついたわ、ありがとうまどか」ニコッ

まどか「……うん」

さやか「そうだねー、一杯食べさせて肥やせばいいんだよ」ニヤニヤ

仁美「肥やすてあんた」

ほむら「……喜んでくれるかな」

まどか「……」

マミ「……」モグモグ

マミ「……」

『ほむらちゃんも言ってましたよ』

マミ「……」

『食べ過ぎだって』

マミ「……」

マミ「……嘘、よね」

『気にすることないわ』

マミ「うん、そうよね……」

―放課後―

ほむら「~♪」

さやか「あー使い魔殺したくなってきたわ、ちょっといってくる」

まどか「杏子ちゃんと喧嘩しないようにねー」

仁美「頑張って私と恭介さんの生活を守ってくださいね」

さやか「あ、なんかわかめ狩りたくなってきたわ」

仁美「……」スッ

さやか「ご、まんえん……」

仁美「……」ニヤリ

さやか「よーし、見滝原の平和はこの魔法少女、さやかちゃんが守っちゃいますからねー!」

仁美「行ってらっしゃいませ♪」

仁美「それでは私は庶民と違って金持ちのお嬢様としての責務がありますので、これで」

まどか「うん、またね」

ほむら「頑張ってね」

仁美「それでは」ペコリ




まどか「……ねえ、ほむらちゃん」

ほむら「ん?」

まどか「今日もマミさんのところへ行くの?」

ほむら「そうね、まどかも来る?」

まどか「行きたいけど、今日は厳しいかな……」

ほむら「そう、残念ね」

まどか「……ケーキを食べに行くの?」

ほむら「それもあるけど、晩御飯を作りに行こうと思って」

まどか「ふーん……」

ほむら「喜んでくれるといいのだけれど……」

まどか「きっと喜んでくれるよ!」

ほむら「そ、そうかしら……迷惑じゃない?」

まどか「少なくともわたしはそうは思わないよ?」

ほむら「そう……ありがとう」ニコッ

まどか「うん……」

ほむら「でもやっぱり……緊張するなあ……」

まどか「大丈夫、元気だして!」

ほむら「う、うん……でも他の人に料理を振る舞うなんて始めてだし……」

まどか「……"前"もなかったの?」

ほむら「ええ……そんなゆっくりできなかったし……」

まどか「そっか、マミさんが始めてなんだね」

ほむら「それに……お泊りなんてどうすればいいか……」

まどか「………………お泊り?」

ほむら「ええ、昨日話題を振ったら快く承諾してくれたわ」

まどか「……………へ、へぇー」

ほむら「あ、ち、違うのよ。巴マミがどうしてもっていうから仕方なくよ」

まどか「そうだよね、ほむらちゃんから言い出すわけないよね」ボソッ

ほむら「え?」

まどか「ううん、それよりちゃんとマミさんに伝えておいてね」

ほむら「何を……ああ」

ほむら「そうね、あなたたちが心配していたと伝えておくわ」

まどか「もっと具体的に言わないと」

まどか「『ケーキばっかり食べてちゃダメですよ』ってね」

ほむら「ふふ、そうね」

まどか「それじゃ、わたしはこっちだから」

ほむら「ええ、またね」

まどか「またねー」

まどか「……」

まどか「仲良いな、あの二人」

まどか「初めての料理に、初めてのお泊りかー」

まどか「てぃひっ」

まどか「てぃひひ」

まどか「ダメだよーマミさんなんかと一緒にいちゃ」

まどか「ほむらちゃんのすれんだーな体が醜く太っちゃうよー」

まどか「うぇひひ」

まどか「うぇひひひひひひひひ」

―スーパー―

ほむら「~♪」

ほむら「そういえば、巴さんって何が好きなんだろう……」

ほむら「……」ウーン

ほむら「……今度、ちゃんと聞いておこう」

ほむら「なんとなく洋食なイメージがあるから、あえて和食でいってみよっと」

ほむら「ふふ」

ほむら「……巴さんが喜んでくれたら、今度まどかにもご馳走しよう」

ほむら「えへへ」

さやか「……あっは、やっぱ使い魔相手じゃつまんないわ」

さやか「いやー、でも楽な仕事だねー」

さやか「ちょこっと使い魔微塵切りにするだけでこれだもん」

さやか「ね、あんたもそう思うでしょ?」

杏子「……」

さやか「さすが金持ちは違うよねー、あいつに恭介押し付けてよかったよー」

杏子「……」

さやか「守るもんが決まってるとやりやすいよね」

さやか「恭介と仁美の平和をあたしが守る」

さやか「その見返りにあたしは金を貰う」

さやか「はー、馬鹿みたいに正義の味方気取りしてたのが懐かしいよー」

さやか「マミさんもいい加減こっち来ればいいのに」

杏子「……」

さやか「どうしたの? あんたの思い通りじゃない」

さやか「自分のために魔法を使えって言ったのあんたでしょ?」

杏子「……」

さやか「……まあいいや」

さやか「あんたも頑張ってね、志筑家専属のシスターさん♪」

杏子「……ああ」

杏子「……いるんだろ、出てこいよ」

QB「そんな言い方しなくても、普通に呼べばいいのに」

杏子「後、どんくらいだ?」

QB「世界中にはまだまだたくさん。だけどこの界隈にはもうほとんどいないよ」

杏子「いつ終わると思う」

QB「いつでも、好きな時に」

QB「舞台装置が"完全に"崩壊した以上、僕らはこの星に留まる意味はないからね」

杏子「……そうか」

QB「システムそのものに重大なダメージを負ったんだ……できれば君たちにもさっさと人間に戻ってその入れ物を返して欲しいところなんだけどね」

杏子「……」

QB「既存の魔女だって、結界を張るのが精一杯。このままほっとけばすぐに分解するだろうし」

QB「これ以上新規の魔女が生まれないようにはしたし、君たちにとってはハッピーエンドのはずなんだけれど……」

QB「全く、わけがわからないよ」

杏子「……」

QB「一体何のために戦っているのやら」

杏子「……」

QB「どうする? やめるかい?」

杏子「いや、もう少しだけ続けるよ」

QB「そうかい、気をつけてね」

QB「魔女にならなくとも、自壊するつくりにはなってるから」

ほむら「ついた……」

ほむら「……」ソワソワ

ほむら「と、巴さん、お食事を……」

ほむら「違う違う」

ほむら「と、巴マミ、ご飯を作りにきてあげたわよ、感謝しなさい!」

ほむら「なんか違う……」

ほむら「きちゃった☆」テヘペロ

ほむら「……」

ほむら「誰も見てなかったわよね……」

ほむら「中々……難しいわね……」

>ほむら「ほむほむスマッシュ!!」バキャッ

ほむら「……」ウーム

ほむら「さり気なく、相手に警戒心を持たせず、それでいて気恥ずかしさのないような……」

ほむら「……」

ほむら「巴マミ、ケーキばかり食べていると本当に太ってしまうわ。だから試食も兼ねて私の料理を味わいなさい!」シュピーン

ほむら「……何かおかしいわね」

ほむら「まあいいわ」

ほむら「……」

ほむら「ぴ、ぴんぽーん」ピンポーン

『はい?』

ほむら「あ、わ、私よ、巴マミ」

『あら、暁美さん?……ちょっと待ってね』

ほむら「は、はい!」

ほむら(緊張するわね……こういうところは昔と変わってないのよね……)

マミ「あら、今日はどうしたの?」

ほむら「え、えっと……その……」

マミ「?」

ほむら「えっと……」

マミ「……あら、その荷物」

ほむら「! そ、そうよ! 料理を振舞おうと思ったのよ!」

マミ「そうなの? でもどうして……」

ほむら「ケーキばかりだとほんとに太るわよ?」

マミ「…………!」

ほむら(統計からすると『もう、そんなにケーキばかり食べてないわよ!』とくる)

ほむら(すかさず『冗談よ、いつもご馳走になってるお返しよ』といけば完璧)

ほむら(もうコミュ障なんて呼ばせない!
)

マミ「……」

ほむら「……」

ほむら(あれ?)

マミ「……」

ほむら「あ、あの……」

マミ「……」

ほむら「じょ、じょうだ」

マミ「帰って」

ほむら「え? ま、待って! ただの冗談よ!?」

マミ「そうやってまた騙すのね」

ほむら「だ、騙してなんかないわ……」

マミ「……鹿目さんの言った通りだったわ」

ほむら「な、何言ってるの?」

マミ「ごめんなさい、あなたを傷付けたくないの、だから」

ほむら「待って! わけが――」

マミ「帰って!!」

ほむら「ひっ」ビクッ

>ほむら「ほむほむスマッシュ!!」バキャッ

ほむら「……」

ほむら「怒らせちゃった…….」

ほむら「……なんで、どうして」

ほむら「私、恩返しがしたいだけなのに」

ほむら「巴さんに、喜んで欲しいだけだったのに」

ほむら「ど、どうしよう」

ほむら「あ、謝らないと……」

『帰って!』

ほむら「っ!」

ほむら「……」

ほむら「だ、大丈夫だよね……巴さん優しいから……」

ほむら「あ、明日まで待とう……そしたら……きっと……」

ほむら「うん、そうしよう……」

マミ「……」

マミ「……」ドサッ

マミ「……」

『いやー、マミさんすごいっすねー!』

マミ「……」

『まるで、正義の味方みたいですね!』

マミ「……」

『魂が抜かれてるって、それじゃまるで……』

『し、仕方ないですよ……マミさんも知らなかったんだから』

『……本当にそうだったのかな』

『さ、さやかちゃん!』

『だってそうでしょ! なんであの転校生が知っててマミさんが知らないのよ!』

マミ「……」

『正義の味方ごっこですか? あー、やっぱり強い人は違いますね』

『……や、やめようよ』

マミ「……」

『聞きましたか? 魔女になるらしいですよあたしら』

『……何? あたしを殺す気なの?』

『自分から巻きこんどいて用済みになったら殺すんだ』

マミ「……」

『どうして? だってわたしが契約しないとみんな魔女になっちゃうじゃないですか』

『舞台装置さえ完全に破壊してしまえば全部丸く収まる』

『やるじゃんまどか』

『あ、ほむらちゃんには言わないでくださいね』

『悲しませたくないから』

マミ「……」

『おめでとう、というべきなのかな。これで君たちは人間に戻ることができる』

『はやく! ほむらちゃんにばれる前に戻してよ!』

『わ、わかってるよ……』

『てぃひひ、これでほむらちゃんと……』

マミ「ふ、うふふ」

マミ「誰も悪くない」

マミ「悪くないわ」

マミ「そうよ」

マミ「みんな壊れちゃっただけよ」

マミ「私のせいで」

マミ「わたし」

マミ「なにがしたかったんだろう」

マミ「あ、そうるじぇむが」

マミ「ぐりーふしーど」

マミ「あるわけないわね」

マミ「うふふ」

ほむら「きり~んスマッシュ!!」

ほむら「……はあ」トボトボ

杏子「どうしたんだよ、暗い顔して」

ほむら「…….杏子」

杏子「これからマミんとこよってくんだけどさ、ついてこいよ」

ほむら「……ううっ」グスッ

杏子「ど、どうしたいきなり!?」

ほむら「怒らせた……」

杏子「は?」

ほむら「巴さん怒らせちゃった……」グスグス

杏子「お、落ち着けよ!」

杏子「で、何があったんだ?」

ほむら「実は……」




杏子「それはオマエが悪いだろ……」

ほむら「うう……」

杏子「はあ……ほんとそういうのには弱いんだな」

ほむら「……ごめんなさい」

杏子「よし、行くぞ」

ほむら「行くって……どこに?」

杏子「決まってるだろ」

ほむら「……」

杏子「……」

ほむら「ね、ねえ、やっぱり明日に……」

杏子「ダメだ」

ほむら「ですよね……」

杏子「おーい、マミー?」ピンポーン

杏子「ん?」ピンポーン

杏子「おかしいな」

ほむら「……」

杏子「お、開いてるじゃねえか。トイレかな?」ガチャッ

ほむら「……」

杏子「おーい、いないのかー?」

ほむら「……」

杏子「……お、いた。なんだ、寝てやが――」

ほむら「っ!」ダッ

杏子「お、おい! いきなりどうした!?」

ほむら「巴さん! しっかりしてください! 巴さん!」

杏子「動揺しすぎだろ……呼び方戻ってんぞ……ん?」

ほむら「……それ」

杏子「……ソウルジェムか。こいつはやばいな」

ほむら「ま、真っ黒……」

ほむら「……わたしのせいだ」

ほむら「は、はやくグリーフシード!!」

杏子「落ち着けよ、わりと余裕はある。だから変身を解け」

ほむら「グリーフシード! グリーフシード!」

杏子「わっ! バカ! 室内で盾の中身出すんじゃねえ!!」

ほむら「グリーフシードーー!!!」

杏子「わぷっ……お泊りセットまで入ってんのかよ、それ」

ほむら「ないー!!!」

杏子「いや、アタシが持ってるから」

ほむら「早く言ってよ!!!」

杏子「いや、まずは落ち着けよ」

杏子「……ったく」シュウゥ

ほむら「……」ホッ

杏子「ほら、終わったぞ」

ほむら「……助かったわ」

杏子「コイツが起きたら、ちゃんと謝るんだぞ」

ほむら「……はい」ショボン

杏子(こんなやつだっけか)




マミ「……う、ん……」

杏子「お」

ほむら「!」

ほむら「キリンレシーブ!」

ほむら「……よかった」

マミ「……暁美さん?」

杏子「手間のかかるやつらだな、ホント」

マミ「佐倉さんまで……どうして……」

ほむら「巴さん!」ガバッ

マミ「きゃっ、あ、暁美さん……もう大丈夫だから……」

ほむら「よかった、本当によかった……」グスッ

杏子「勝手に死に掛けてんじゃねえよ」

マミ「……ごめんなさい、二人とも」


ほむら「あ、あの……こちらこそ、ごめんなさい」

ほむら「私、ほんの冗談のつもりだったの、あなたをここまで傷つけるなんて思わなくて……」

マミ「それは……その……」

ほむら「私、いつまでもドジだから」

ほむら「でも、ケーキの御返ししたくて」

ほむら「だから、お料理作ろうと思って」

ほむら「それで、それで……」

マミ「……落ち着いて、ね?」

ほむら「ごめんなさい、ごめんなさい~」グスグス

マミ「まったく……」ナデナデ

杏子「にやけてるぞ」

マミ「う、うるさい」

ほむら「……ぐすっ」

マミ「……落ち着いた?」

ほむら「ええ、見苦しいところを見せたわね」グスッ

マミ「あら、とても可愛かったわよ?」

ほむら「わ、忘れて……///」

杏子「で、結局何がしたかったんだよ」

ほむら「……いつもご馳走になってばかりだと悪いから、御返しに何か料理を振舞おうと思ってたのよ」

マミ「そうだったの……てっきり私のことを笑いにきたのかと……」

ほむら「どうしてそうなるのよ」

マミ「あ、あはは……」

ほむら「……」ムー

杏子「つーか、そんくらいで絶望するなよ」

マミ「う……ごめんなさい」ショボン

ほむら「……ねえ、巴マミ」

マミ「何かしら?」

ほむら「……その……」

QB「魔法少女、やめたほうがいいんじゃないかい?」

杏子「……てめえ」

ほむら「……」

マミ「キュゥべえ……」

QB「マミ、君は最近情緒が不安定すぎる」

QB「理由はわからないけどね」

マミ「……」

ほむら「……ここには、私たちがいるわ。あなたは十分頑張った。もういいんじゃないかしら」

QB「ほむらの言うとおりだね」

杏子「まあ……そうだよな」

ほむら「……お願いよ。もう休んで……ね?」

マミ「……」

マミ「……でも」

ほむら「もう受験だって遠くないのよ?」

マミ「……」

杏子「年寄りはさっさと引退しろってことだな」

ほむら「杏子!」

杏子「じょーだんだよ」

マミ「……でも、魔法少女をやめたら」

ほむら「?」

マミ「運動量も減るし……」

杏子「は?」

マミ「本当に太るかもしれないじゃない?」

ほむら「……」

杏子「……」

QB「いや……大丈夫だと思うよ……杏子に比べれば……」

ほむら「そうね」

杏子「おい、どういうことだよ」

マミ「で、でも……これから忙しくなると食生活も偏ってくるし……」

QB「杏子よりは」

杏子「あんこスマッシュ!!」グサッ

QB「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」

ほむら「安心して、そのために私がいる」ファサッ

マミ「え?」

ほむら「あなたの食生活は私が面倒を見るわ」キリッ

マミ「そ、そんな……悪いわよ」

ほむら「ケーキのお礼よ」

マミ「で、でも……」

ほむら「……迷惑、かしら?」

マミ「そんなことはないわ。でも、いいの?」

ほむら「もちろんよ。それに、これはまどかの願いでもあるわ」

杏子「……」ピク

QB「ささってる! ささってるて!!」

マミ「……そう、鹿目さんが」

ほむら「ええ、両親がいないあなたの食生活を心配していたわ」

ほむら「あなたへあんな態度をとっていたのもそのせいだと思うわ」

マミ「……そう、そうね」

杏子(……)

杏子「なあ、マミ……」

マミ『暁美さんには言わないで』

杏子「……」

ほむら「?」

マミ「それじゃあ、まずは暁美さんの料理の腕前を見てからね」

ほむら「ふえ!? ……の、望むところよ……!」

杏子「期待していいのか……?」

ほむら「何ナチュラルに食べようとしてるのよ」

杏子「ダメか?」

ほむら「……まあ、材料に余裕はあるわ」

杏子「さっすが」

マミ「その前に」

マミ「この部屋の惨状はどういうことかしら」

あんほむ「「あ」」

マミ「……」

ほむら「す、すぐ片付けます……」

杏子「慌てて盾の中身ひっくり返すからだ」

マミ「はあ……私を助けようとしてくれたのは嬉しいけど、無茶しすぎよ」

ほむら「……ごめんなさい」

杏子「すげえ量の爆弾が転がってやがる」

QB(よく起爆しなかったなー)

ほむら「はあ……」ガチャガチャ

杏子(……ん?)

マミ「火器にまじって服が落ちてる……」

杏子「へー、お前こんなん履いてんだな」ピラピラ

ほむら「へ?って、それ、私のパンツ!!」

マミ(あら、真っ白)

ほむら「か、返しなさい!!///」バッ

杏子「いいじゃねえか、パンツくらい」

ほむら「私は嫌なの!///」

マミ「へえ、暁美さんブラジャーしてるのね」ピラピラ

ほむら「きゃあぁぁぁぁぁ!!!///」ワタワタ

QB「絆創膏で十分じゃないかい?」

ほむら「……ほむほむ」

マミ(これは流行るわね)

ほむら「スマァァァァァッシュ!!!」ズガーン

ほむら「うう……どうしてこんな目に……」

杏子(さすがにまどかのパンツとかは出てこねーか)ゴソゴソ

マミ「後は特に面白いものはないわね……」

ほむら「当然よ!」

杏子「なんだ、おもしろくねーな」

マミ「盗撮写真とか出てくるかと思ったけれど」

ほむら「私を何だと思ってるのよ」

(^^ω)ホマッシュ

杏子「わりーわりー、ま、これで大体片付いたな」

ほむら「まったくもう……」

マミ「さ、お楽しみの手料理ね」

杏子「おっ、待ってま――」

『ねー』

『魔女見つけたんだけど』

杏子「.......」

ほむら「杏子?」

『手伝ってよ』

マミ「佐倉さん?」

杏子「……悪い、用事思い出した」

ほむら「用事?……志筑仁美関連かしら」

杏子「まあ、そうだな。お嬢のおもりにいかないといけねえ」

マミ「そういうと極道みたいね……」

ほむら「迷惑かけちゃダメよ、拾って貰ったんだから」

杏子「アタシは犬か」

マミ「……ねえ、それって」

杏子「どうも部屋の片付けに人出が足りないんだとさ」

マミ「なんだ、そんなことね」

ほむら「さすが富豪は違うわね……」

杏子「つーわけで、残念だけど行ってくるぜ」

ほむら「ええ、さっさと行ってらっしゃい」シッシッ

杏子「なんだ? そんなにマミと二人っきりで飯が食いたかったのか?」

ほむら「ちゃ、茶化さないで!!///」

マミ「あら、違うの?」

ほむら「ち、違わないけど……」

杏子「じゃーな、一線越えるなよー」

ほむら「なっ……///」

マミ「こら!///……ってもういない……逃げ足だけは速いわねえ」

ほむら「と、とりあえず、用意するわね」

マミ「ええ、お願いね」

ほむら「任せて」ゴソゴソ

マミ「……」

ほむら「……ふう」

マミ「ねえ、それ……」

ほむら「昔お母さんが使っていたのと同じものだけれど、変だったかしら」

マミ「いえ、よく似合うわ」

マミ(エプロンかと思いきや割烹着なんて、マニアックね)

ほむら「~♪」

マミ(家族以外の誰かの手料理を食べるなんて、初めてね)

マミ(ふふ、楽しみだわ)

ほむら「……きゃっ!」ガシャン

マミ(……楽しみ……)

ほむら「あつつっ!!」

マミ「……」

ほむら「……なんでよ……」

マミ「……どうしたの?」

ほむら「待って、今度は大丈夫だから」

マミ「どうして魔法少女姿なの?」

ほむら「この姿ならうまくいくのよ」

マミ「その理由は?」

ほむら「時間を止めれば大丈夫よ」

マミ「何が? ねえ何が?」

ほむら「私が鈍臭いんじゃない、時間の流れが早すぎるのよ」

マミ「落ち着きない」ペシッ

ほむら「あたっ」

マミ「料理には普通、魔法なんて使わないのよ」

ほむら「私たちは魔法少女よ」ファサッ

マミ「その姿じゃ様にならないわよ」

マミ「そもそも、時間停止なんかいつ使うのよ……」

ほむら「食材が手から飛び出した時とか、食器が手から飛び出した時とか、包丁を使う時とか」

マミ「……」

ほむら「どうしてこうもすっぽ抜けていくのかしらね」

マミ(この子どうやって生き残ってきたのかしら)

ほむら「だから安心して座ってて」

マミ「いや、無理よ」

いや、まじでそうさせてもらおうかな
いくらなんでも眠すぎる
保守してくれた人には申し訳ないけど限界だわ

反省はしている

やっと一段落ついた
ごめんなさい

「ほむらにとって、君は確かに最高の親友だったんだろう」

「だけど何度もループする内に、彼女の願いが魂を蝕み、君以外のものどころか、君さえ見えなくさせた」

「鹿目まどか……いや、鹿目まどかを救うという行為そのものに対する執着」

「確かにほむらは君の方を向いていた。だけど彼女の目に映っていたのは、おそらく君じゃない」

「君を救うという行為を終えた先にある、もう繰り返す必要のない未来」

「それが彼女の本当に求めたものじゃなかったのかな」

「といっても、感情のない僕には――」

無表情なまま喋るそれの顔面に、無言でカッターナイフを突き刺す。





「……やれやれ、もったいないじゃないか」

「呼び出したのは君の方なのに、この仕打ちはどうかと思うよ」

もう一匹現れたそれに、視線だけで続きを促す。

「……今現在、彼女はとてもフラットな状態だ」

「終わらないはずの円環の中に置いてきたものを、取り戻そうとしているんだろう」

「だからといって、ほむらから君に対する好感度は友情の度合いに収まるものではないと思うよ」

「もっとも、それは恋愛感情でもないだろうけどね」






「……片付けておいてね」

話続けるそれを残し、部屋を後にする

「やれやれ……散らかしたのはそっちなんだけどなあ」

動かなくなった自身が散乱する部屋で、インキュベーターが呟く






ほむら「……」

マミ「どうしたの?」

ほむら「いえ……」

ほむら「今回は、誰も取りこぼしてないんだな、って……」

マミ「……ええ、そうね」

マミ「でも、これとは話が別。心配だから、横で見ておくわ」

ほむら「うう……ごめんなさい」

マミ「最初はみんなそんなものよ、今から練習していけばいいわ」

ほむら「……はい」

マミ「というわけで、これからしばらくは私と料理修行よ」

ほむら「お、お手柔らかに……」

マミ「ふふ、どうかしら?」

ほむら「が、頑張るわ」スッ

マミ「……包丁の握り方から勉強し直しかしら」

ほむら「へっ?」

マミ「支えてあげるから、ちゃんと覚えるのよ」ギュッ

ほむら「っ……は、はい!」

マミ「右手はこう……左手はこうで……」

ほむら「……」

ほむら(あ、当たってる……///)

マミ「聞いてるの?」

ほむら「ひゃい! き、聞いてます!」ワタワタ

マミ「本当に? なんだかおかしいわよ?」

ほむら「だ、大丈夫よ!///」

ほむら(女の子同士女の子同士女の子同士女の子同士……)ブツブツ

マミ「?」


――――
―――
――

さやか「いやー、やっぱあんたがいると楽だね。助かったよ」

杏子「……」

さやか「ほら、グリーフシード」

杏子「いいよ、アタシは……そもそも、オマエ一人で倒せたんじゃねぇのか?」

さやか「いいじゃん、二人のほうが楽なんだから」

杏子「……」

さやか「ねえ」

杏子「あん?」

さやか「どうして喜んでくれないの?」

杏子「はあ?……何を喜べってんだよ」

さやか「グリーフシード、譲ってあげるって言ってるんだよ?」

杏子「いらねえよ、そもそもキュゥべえのやつに言えばそれっぽいのよこすじゃねえか」

さやか「……」

杏子「それより……」

さやか「あの時もそうだったよね」

杏子「……?」

さやか「あたしがあんたにこれを持ちかけた時」



『ねえ、杏子。やっぱあんたの言うとおりだったわ』

『……何がだよ』

『見返りも無しに戦うなんて、バカみたい』

『そっ、か。わかりゃいいんだ』

『だからあたしも、自分のために魔法を使うことにしたんだ。ほら、これ』

『……おい、それ……まさか……』

『ああ、安心して。盗んだわけじゃないから』

『……ならいい』

『仁美にあたしのこと言ったらさ、くれたんだ』

『……………………は?』


『やっぱ金持ちは違うよね。恭介を押し付けて正解だったよ』

『お、おい! どういうことだよ』

『だから、あたしたちの魔法少女としての見返りに報酬をくれるっつってんの』

『……な……』

『それでさ、あんたもお金に困ってるでしょ? だからあたしと一緒にやろうよ』

『…………』

『どうしたの? ああ、大丈夫だよ。口は硬いから』

『……マミは?』

『どうしてその名前が出てくるの?』

『いいから』

『……あの人はダメだよ。全然ダメ』

『……だろうな』


『…………ねえ、もっと嬉しそうな顔してよ』

『……』

『喜んでよ』
『褒めてよ』
『あんたの望んでたことじゃない』

『…………………………』
『そうだな、助かった』

『えへへ』


さやか「ねえ、あたし迷惑だった?」

杏子「……そんなことねえよ、むしろ感謝してる」

さやか「ほんと?」

杏子「住み込みの働き口を紹介してくれたんだ、さやかには本当に感謝してる」

さやか「えへへ」

杏子「ただ……」

さやか「ただ?」

杏子「……マミのことなんだけどさ」

さやか「……」

杏子「アイツ、もう魔法少女じゃなくなると思うんだ」

さやか「…………へー」


杏子「だから、今のうちに仲直りっつーかなんつーか……」

さやか「人を引きずりこんどいて自分だけ勝手にやめるんだ」

杏子「……おい、それはおかしいだろ」

さやか「うん、知ってる」

杏子「だったら!」

さやか「私ね、正義のヒーローになりたかったんだ」

杏子「……」

さやか「昔からの友達に、学校で苛められてた子がいてね」

さやか「その子を助けた時、言いようのない高揚感を感じたんだ」

さやか「だからあたしは、その子だけじゃなくて、目に見えない人間も助けられるような、ヒーローになりたいと思った」

杏子「……?」

さやか「そこにマミさんが現れた」

さやか「本当に正義のヒーローはいるんだ。私はうれしくなった」

さやか「でもそれは間違いだった」

さやか「あたしが正義のヒーローだと思ってたのはただの操り人形だった」

さやか「あたしが頼れる先輩だと思ってたのはただの無知な道化師だった」

さやか「そのころにはまどかはもうこっちを見てなかった」

杏子「……オマエは、まどかのことが……」

さやか「違うと思う。単にあたしは自分より弱い存在が欲しかっただけ」

杏子「……オマエら、親友じゃなかったのかよ」

さやか「親友だよ。それは間違いない。でも、どこが歪んでた」

杏子「……だからって、マミのことを責めるのはおかしいだろ」

さやか「そうだね。知ってる、うん、しってるよ」

さやか「でも、あの人じゃなくてあんただったら、きっとこんなことにはなってなかった」

杏子「……」

さやか「でもね、もうどうしようもないの」

さやか「きっとまどかも同じ、もう戻れない」

さやか「巴マミという悪役を設定してしまったから」

さやか「もう、直せない」

杏子「……おかしいだろ、なんでそうなるんだよ!」

杏子「またやり直せばいいじゃねえか! マミだってきっと……」

さやか「今更謝って、それでどうなるの?」

杏子「……アイツは許してくれる。そういう奴だ」

さやか「うん、知ってる。でも、だめなの」


さやか「あの人を見ると、悪口しか思い浮かばない」


『どうして最後まで正義のヒーローでいてくれなかったんですか』
『どうしてあの時、殺してくれなかったんですか』
『どうしてあたしのこと、責めないんですか、』

さやか「もう、壊れちゃったんだよ。いや、最初っから全部壊れてたのかもね」

杏子「……」

さやか「なんでなんだろうね」

さやか「なんでこうなっちゃったんだろうね」

諦めの微笑を浮かべるさやか

目を閉じ、何かを決意した様子の杏子

「……知ってるか」

「?」

「斜め45度からぶっ叩けば、大抵のもんは直るらしいぜ」

杏子が槍を構え、切っ先をさやかに向ける

「……何それ。馬鹿みたい」

さやかのほうも、杏子に剣を突きつける

「もういい、めんどくせぇ、細かいことは考えねえ」

「テメェを今からぶん殴って、連れて帰って、マミの前で死ぬほど土下座させてやる」

「……」

「……話はそれからだ」

「……あんたらしいね」


――――
―――
――

ほむら「できた!」

マミ「ところどころ危なっかしかったけどね……」

ほむら「ほむむ……」



マミ「それじゃあ、頂きます」

ほむら「え、ええ……」

マミ「……」モグモグ

ほむら「……」ドキドキ

マミ「……うん、おいしいわ」

ほむら「そ、そう……よかった……」ホッ



マミ「これなら、毎日食べたいくらいね……」

ほむら「じゃあ……」

マミ「……そうね、魔法少女引退、かな?」

ほむら「巴マミ……お疲れ様」ニコッ

マミ「でも、一つ条件があるわ」

ほむら「条件?」

マミ「ええ。暁美さん、あなたも一緒に戻りましょう?」

ほむら「……私は……」

マミ「あなたも、魔法のない生活にはできるだけ早く慣れるべきよ」

ほむら「……」

マミ「……無理にとは言わないけれど、考えておいてね」

ほむら「ええ……」

――――
―――
――


何時の間にか振り出した豪雨が、青と赤を濡らす

杏子「……が、は……」

さやか「…………」

杏子「っ……く、まだ……だ……」フラッ

さやか「……」

杏子(くそっ……どんだけ強くなってやがるんだよ、コイツは)

杏子(いや……アタシが弱くなったのか……?)


さやか「嬉しかったんだ」

杏子「……?」

さやか「あんたがアタシに過去の話をしてくれたとき」

杏子「ああ……あれか……」

さやか「この子はあたしを見てくれる、そう思った」

杏子「……さやか……」

さやか「でも結局、あんたはあたしを正義のヒーロー、巴マミの弟子としか見てなかった」

杏子「…………」

さやか「だからあたしがこんなんになって、失望してるんでしょ?」

杏子「……そんなわけねえよ」

さやか「嘘」

杏子「っ……!」


                  .ノ′    } 〕    ,ノ           .゙'┬′   .,ノ
                  ノ      } ゙l、   」′           .,/′   .,ノ _,,y
    .,v─ーv_         〕      〕 .|  .il゙            《 ._   .,,l(ノ^ノ
   ,i(厂  _,,,从vy      .,i「      .》;ト-v,|l′          _,ノ゙|.ミ,.゙'=,/┴y/
   l  ,zll^゙″  ゙ミ    .ノ       .il|′アll!           .>‐〕 \ _><
   《 il|′     フーv,_ .,i″       ||}ーvrリ、             ¨'‐.`   {
    \《 ヽ     .゙li ._¨''ーv,,_     .》′  ゙゙ミ| ,r′                }
      \ ,゙r_    lア'    .゙⌒>-vzト    .ミノ′                 〕
       .゙'=ミ:┐  .「      ./ .^〃     :、_ リ                   .}
         ゙\ア'   .--  ,,ノ|    、    ゙ミ}                   :ト
           ゙^ー、,,,¨ -   ''¨.─   :!.,   リ                   ノ
              〔^ー-v、,,,_,:     i゙「   }                  .,l゙
              l!     .´゙フ'ーv .,y    ]                  '゙ミ
              |     ,/゙ .ミ;.´.‐    .]                   ミ,
              |     ノ′ ヽ      〔                   ミ
              }    }     ′    }                   {
              .|    .ミ     .<     〔                    〕
              .{     \,_   _》、    .{                    .}
              {      ¨^^¨′¨'ー-v-r《                    〔

                             .,/  _,/      .、、     ...、ヽ,,-、
                           .,,メ-‐'"       _"',|  .、、._,i.""│._、
                      ._,,,/`,イ―''      ,`",l゙、、,,ジ'"`.```.|゙゛
                    .,,,-,i´,―--―''"      、、,!冖'"`、_、,,,/'゚,,."゙l-‐''
       _,,,,,,,,,,,,,、    _,,,,,--''"`'",/゙            、、.',j/′.、,,∠''"` .'_ヽ.',゙l.._,,、
    ,,-'"゙`    `゙゙''lーイ"`     .‐′    _,..,,/ .ヽ、,i,i´ ``゙’   、、シ":"'.「
  .,,i´         `'i、\ ゙!,      ._,-'"ン'` 、、`_,/`,i´ _,___,ニ='" .'゙、゙".゙l,,-'`
 .,/′          `'i,\ ′  .,,,,-',,,,、.,i´、_:_'_v`"゙i、|   ```` `  、_,Jィ""゙l, _,,,,、
: ,i´             ゙l. ヽ丶  .r‐'"、.l゙、、:,p=l┴丶 .!,,!  `'"''''''冖''?'''゙~."""'."'/゛ `
: |,,r                ゙l, 、 i、、、、:,,_,xl!ヴi,、      、、っ,,,,    、`',,,,、`、`、|、
  |、            、"| .i、 lrr-''"゙,,ハ;、-'"゙゙'''''''"丶ヽ.,,冫``~`"`"~"``` `/ `''''
  `''r,,、 、 、、 .、丶、.``ヽ,レ"°  `` .j゚'=∠、````,,,,,∠ ~'ヽ```````、_,r‐'ヘi、
    `゙'ーi,,_、、、、、: :._,,,r〃       "  /^゚"'广  ,/  .,/゙゙゙'''ヶ―''''″   `
       `゙^""""''"'"                `   ′  ′


さやかが杏子に飛びかかり、馬乗りになる

「……」

「……」

こちらを真っ直ぐ見下ろすさやかから逃れるように、視線をずらす

「……杏子ってさ」

ゆっくりと、さやかの顔が首筋に近づく

「綺麗だよね」

さやかの舌が、首筋をなぞる


「ば、馬鹿!! 何しやがる!」

つつつ、と首筋を伝い、鎖骨の辺りで動きを止める

「あ……ふ……やめ……」

「そんで、強いよね」

「……はあ?」

がり

「あ」

ごり

「が」

ぼきん

杏子の鎖骨が、砕ける

「――――――――ッ!!」


「ごめんね」

「ごめんなさい」

荒く息をする杏子に、謝罪をする

雨粒以外の雫が、さやかの頬を伝う

「……ひっ」

杏子の口から漏れ出た悲鳴に、伸ばしかけた腕を戻す

「……じゃ、あたし行くから……」

「……」

何も言わない杏子を尻目に、さやかは去っていった

――――
―――
――


ほむら「……ふう、いいお湯だったわ」

マミ「残念ね。一緒に入りたかったわ」

ほむら「そ、そういうのはまだ早いというか……その……///」

マミ「あら、じゃあ時間の問題なのね?」

ほむら「え……あ……う……///」

マミ「……こ、こっちまで恥ずかしくなってくるじゃない……///」

ほむら「ね、寝ましょう、ね?」

マミ「そ、そうね。明日も早いし……」

ほむら「ええと、寝るところは……」

マミ「……あ…………」

ほむら「……」

マミ「べ、ベッドがあるわ……」


マミ「……ちょ、ちょっと狭いかしら……」

ほむら「だ、だ、大丈夫よ」

ほむら(ち、近いわ……)

マミ「……ふふ」

ほむら「?」

マミ「こうして誰かと一緒に寝るなんて、いつぶりかしら」

ほむら「……そうね、私もよ」

マミ「狭かったら言ってね?」

ほむら「まずはそこにぶら下がってる脂肪の塊をどけて欲しいわね」

マミ「……もう」

ほむら「……ふふっ」

マミ「年上をからかうんじゃありません」


ほむら「……ねえ、巴マミ」

マミ「何?」

ほむら「……さっきの話なんだけど」

マミ「魔法少女をやめるかどうか?」

ほむら「ええ」

ほむら「……魔法がなくなれば、私はまた昔の私に戻る」

マミ「……」

ほむら「そうすればきっと、みんなに迷惑をかけてしまうと思の」

ほむら「だから私は、これを失うのが怖い……みんながまた、私から離れて行ってしまいそうで……」

マミ「……」

ほむら「……臆病なの、私。ごめんなさい」

マミ「……」

落ち込むほむらの体を、マミが優しく引き寄せる

ほむら「!? と、巴マミ!?」

マミ「大丈夫、みんなあなたのことが大好きよ」

優しく頭を撫でながら、言い聞かせるように言葉を紡ぐ

ほむら「え……えっと……」

マミ「……ね?」

ほむら「……ありがとう。巴マミ……」


マミ「いい加減、フルネームで呼ばれるのも飽きてきちゃったわ」

ほむら「え?」

困惑の表情を浮かべるほむらに、マミがいたづらな笑みを返す

ほむら「と……巴……さん……」

マミ「それじゃあ他人行儀よ」

ほむら「……ま……マミ……さん」

マミ「……合格にしてあげるわ」クスッ

ほむら「……もう///」

真っ赤な顔を隠すように、ほむらがマミの谷間に顔をうずめる

マミ「あらあら」

ほむら「……ほむら」

マミ「え?」

ほむら「……」

上目遣いで、何かを求めるようなほむらの視線に、マミが息を呑む

マミ「……ほ……」

マミ「……ほむら……さん」

ほむら「……もう……」

マミ「……」スー ハー

ほむら「?」

マミ「……ほむら、おやすみ」ニコッ

ほむら「ふぇ! お、おやすみなさ、い……マミ……さん……」

マミ「ええ」

ほむら「……」ドキドキ

ほむら(……は、反則よ、もう!///)

――――
―――
――


(……ほむらちゃん)

舞台装置が壊れたことで、彼女の私への執着も消えてしまった。
まるでそれ自体、舞台のからくりだったかのように。


そこをあの女が、掻っ攫っていった


(……ほむらちゃん)

どうしてだろう
どうしてなんだろう

あの子が私だけを見ていた時期はもう戻れない
魔法でもあれば、別なのだろうけど

「……ティヒッ」

「……まどかか」

足元に転がる赤を、見下ろす


まどか「どうしてなんだろうね」

杏子「……」

まどか「どうしてこうなっちゃったんだろ」

杏子「……」

まどか「私が間違ってたのかな? さやかちゃんが間違ってたのかな? 仁美ちゃんが間違ってたのかな? 杏子ちゃんが間違ってたのかな?」

まどか「それともマミさん?」

まどか「それともほむらちゃん?」

杏子「……」

まどか「てぃひひひひ……わかんないや、わたしばかだから」

杏子「……間違ってても、やり直せばいいじゃねえか」



まどか「そうだね。『やり直せば』いいよね」

杏子「……ああ」

まどか「大丈夫だよ。明日になればうまくいくから」

杏子「……?」

まどか「それじゃあ、仁美ちゃんがもうすぐ来るから」

杏子「お、おい……っ!」ズキッ

杏子「……くそっ、鎖骨噛み砕くなんて聞いてねえぞ」

杏子「……はあ」

杏子「……なんなんだよ」


――――
―――
――

仁美「驚きましたわ……まどかさんから連絡を受けて来てみましたら、杏子さんが大怪我をなされてるんですもの」

杏子「……悪いなお嬢、手当までさせて」

仁美「仁美でいいと言っておりますのに……何がありましたの?」

杏子「ちょっとドジっただけだ」

仁美「……嘘はもう少しうまくつくものですわ」

杏子「……悪い」

仁美「話せないのなら、詳しくは聞きません。ですがあなたもまどかさんたちと同じ私の友人ですのよ?」

杏子「友人の幼馴染を寝取ったやつが……」

仁美「……」

杏子「……悪い……言いすぎた」

仁美「……そのことなのですが……さやかさんと親しいあなたにお話ししておきたいことがありますの」

杏子「なんだよ、改まって」

仁美「私は、上条恭介さんとは付き合っておりません」

杏子「……は?」

仁美「……そもそも、告白すらしていない、いえ、しようがないといったところでしょうか」

杏子「……待てよ、ワケがわかんねえぞ」

仁美「彼は今、演奏に全てを賭けております」

仁美「空白の時間を埋めるように、それと」

仁美「さやかさんへ謝罪を兼ねた、感謝の演奏を送るために」

杏子「……」

仁美「そこに私の入り込む隙間など、ありませんわ」


仁美「ただ……さやかさんが彼を避けるどころか、まるで無関心なのが気になりまして……」

杏子「なんでそれをアイツに言わねえんだよ!」ドンッ

仁美「……あちらが魔法でずるをするなら、私もそれに応える」

仁美「なんて、下衆の極みですわね、」

杏子「…….それをさやかに伝えれば、アイツだって……」

仁美「……」

杏子「いや、同じか……」

仁美「気休めですの?」

杏子「違えよ、多分アイツは、もっと根本的なとこから魔法少女に
向いてなかったんだ」

仁美「……」

杏子「いや、違うな。奇跡を望んだのがそもそもの間違いなんだ」

杏子「アタシたち全員が、間違ってたんだ」

仁美「……それは、残酷すぎますわ」

杏子「でも、事実だ」

仁美「では、どうすれば良かったのでしょう?」

杏子「……さあな」

仁美「……借り物の奇跡など、なければよかったのに」

杏子「借り物の奇跡、か」

杏子「なら、それで生き永らえた奴はどうすればいいんだ?」

仁美「……それを、言え、と?」

杏子「……」

杏子(それがわかってるから……マミは……)

杏子(でもそれじゃあ……共倒れじゃねえか……)

仁美「……」ガタッ

杏子「どこ行くんだよ」

仁美「……さやかさんのところですわ」

杏子「殺されるぞ」

仁美「……さやかさんは、そんなことしませんわ」ニコッ

杏子「……」

杏子「バカだな、アンタも」

仁美「お褒めの言葉として受け取っておきますわ」


――――
―――
――

仁美「ごきげんよう、さやかさん」

さやか「……何? 追加の仕事?」

仁美「今回は、お友達としてのお話ですわ」

さやか「……あんたとあたしが? ははっ、冗談も――」

仁美「私、上条恭介君とはお付き合いしておりませんの」

さやか「……っ!」

仁美「……」

さやか「やっぱね……おかしいと思ってたんだよ」

仁美「気付いてらっしゃいましたか……」

さやか「それで、なんなの?」

さやか「いまのあたしたちの関係は金銭関係、まさか未だに友達なんですわ~とか言わないでね」

仁美「その、まさかですわ」

さやか「殺すよ」

仁美「殺せますの?」

さやか「この……っ!」シャキン

仁美「……」

さやか「……っ!」

仁美「……もう、元には戻れないのでしょうか」

さやか「無理に決まってるじゃん。時間はもう巻きもどらないんだよ」

仁美「では、さやかさん……せめて、もう、休んでは頂けないでしょうか」

さやか「なに? お金が惜しくなったの?」

仁美「さやかさん!」ジリッ

さやか「近づくな!」

仁美「……っ!」

さやか「……わかってるよ、でも、ごめん、無理だよ」

さやか「ごめんね」

仁美「……杏子さんが、あなたのことを心配しておいででした」

さやか「……」

仁美「それだけは、覚えていて下さい」

さやか「……わかった」

仁美「……ではまた、明日」

さやか「……あんたもね」

――――
―――
――

ほむら「……」スースー

マミ「ふふ、可愛い寝顔ね」ヨシヨシ

ほむら「ほみゅ……」

マミ「……私、やっぱりダメな子だ」

マミ「でも、今だけ……」

ほむら「……」スースー

マミ「……」



マミ「私がいなかったら、あなたちは巻き込まれなかったの?」

マミ「私は、ここにいていいの?」

ほむら「……」クークー

マミ「……」ギュッ

ほむら「んむ……」

――――
―――
――

「マミがいなかったとしても、遅かれ早かれ君は巻き込まれていたさ」

「もっとも、彼女の仲間が欲しいという思いが君たちを引きずりこむきっかけになったのは事実だけれども」

わたしの疑問に、淀みなく応える白い生物

「ほむらちゃんを最初に引き込んだのは、誰なのかな」

「それは恐らく、まどか、君だろう」

「じゃあ、ほむらちゃんはわたしを見てないといけないね」

「……まどか、君は一度ほむらと話し合うべきだ」

「何を?」

「君の考えを彼女に伝え、そしてほむらの思いを――」

「うるさい」

それの脳天に、思い切りカッターナイフを振り下ろす

一撃でそれは物言わぬ骸と成り果てた


「ほむらちゃんが好きなのはわたしであってわたしじゃない」

もう一撃、もう一撃

「わたしはほむらちゃんを助けたかっこいい鹿目まどかじゃない」

何度も、何度も

「こんなわたしが、マミさんなんかに勝てるわけないじゃない」



「うえひひ」



「うぇひひひひひひ」



「うぇひひひひひひひひひひひひ」


―翌日―

まどか「ほむらちゃん、おはよう」

ほむら「おはよう、まどか」

まどか「あれ? 眼鏡かけてきたんだ?」

ほむら「ええ……やっぱり変かしら……」

まどか「そ、そんなことないよ!」

まどか(な、なんだか……新鮮……///)

ほむら「そう。よかったわ……もう魔法も使えないから……」

まどか「え?……それって……」

ほむら「私もやっと、引退よ」

まどか「……そっか。お疲れ様」

ほむら「ありがとう、まどか」



まどか「そうか、ほむらちゃんも元に戻ったんだね」

ほむら「ええ……マミさんに言われてね」

まどか「……そっか、やっぱりマミさんなんだね」

ほむら「やっぱりあの人は、頼れる先輩ね」

まどか「それで呼び方変えたんだ」

ほむら「えっ? あ……///」

ほむら「き、昨日言われたのよ……他人行儀だって……」

まどか「ふーん……」

ほむら「でも、それだけじゃないのよ」

ほむら「マミさんのほうも、私のことを名前で呼んでくれるようになって」

まどか「……」

ほむら「この名前、まどかが褒めてくれた名前だから、うれしくて」ニコニコ


まどか「お料理はどうだったの?」

ほむら「え? あ、あはは……それはあれよ、その……過程はともかく、結果オーライだったわ」

まどか「そうなんだ」

ほむら「ええ、マミさんも褒めてくれたし……しばらく練習に付き合ってもらうことになったけれど……」

まどか「練習?」

ほむら「……まだまだ私も修行中なのよ……」

まどか「そうなの? この前のお弁当
すごくうまくできたのに」

ほむら「あれは……ちょっと、ね……」フフフ

まどか「?」



ほむら(はあ……結局迷惑かけっぱなしだったな…….)

ほむら(包丁使う時も……)

ほむら(……)

ほむら(……柔らかかったなあ)

ほむら(じゃなくて!)

ほむら(これじゃあ変態みたいじゃない!)ブンブン

まどか「?」

ほむら(……でも、優しかった)

『みんな、あなたのことが大好きよ』

ほむら(……えへへ♪)ニヘラ

まどか「……」

ほむら「~♪」


まどか「マミさんの家で、何かあったの?」

ほむら「へ? な、何もないわよ!!?」ブンブン

まどか「ふーん……」

ほむら「っ……」

まどか「ど、どうしたの?」

ほむら「い、いえ……大丈夫よ」

まどか「……そういえば、本当は体弱いんだったよね」

ほむら「ええ……魔法で大分治したのだけれど……」

まどか「大丈夫だよ! わたし保健委員だから!」

ほむら「ふふ、頼もしいわね」

まどか「てへへ」


ほむら「……ねえ、まどか」

まどか「なあに?」

ほむら「……これから、私はあなたにたくさん迷惑をかけると思うの」

ほむら「それでも、友達でいてくれる……?」

まどか「もちろんだよ!」

ほむら「……よかった」ホッ

まどか「私もほむらちゃんにはたくさん迷惑かけてるし、おあいこだよ」

ほむら「そんな……迷惑だなんて……」

まどか「私もほむらちゃんのこと、全然迷惑だなんて思ってないよ」

ほむら「……ありがとう、まどか」

まどか「てへへ」


ほむら「マミさんの言うとおり、かな」

まどか「……………?」

ほむら「『みんなあなたのことが大好きよ』って、うれしかったな……」

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「?」

まどか「ほむらちゃんは、私のこと好き?」

ほむら「へっ!?……そ、そうね……好きよ?」

まどか「わたしもほむらちゃんのこと、好きだよ!」

ほむら「うれしいわ」ニコリ

まどか「……てへへ」


まどか(ほむらちゃん、違うよ)

まどか(その好きと、わたしの好きは違うんだよ)

まどか(でもね、大丈夫だよ)

まどか(すぐ、わかるから)


さやか「まどか、ちょっと」

まどか「……さやかちゃん」


さやか「……マミさんのことなんだけどさ」

まどか「……」

さやか「……その……」

まどか「大丈夫だよ、わたしに任せて」

まどか「全部"元通り"にしてあげるから」

さやか「……大丈夫なの?」

まどか「もちろん!」

さやか「……そうだね、わかった」

さやか「それじゃあ、マミさんどっかに呼び出しとくよ」

まどか「調度いいところがあるんだ」

さやか「いいところ?」

まどか「うん、旧校舎の屋上」

さやか「なんでそんなとこに?」

まどか「あそこなら人も来ないし、風通しがいいからだよ」

さやか「わかるようなわからんような……まっ、あんたに任せるよ」

さやか「今のあたしじゃ、ちょっと話になんないだろうし……」

まどか「大丈夫、戻れるよ」

まどか「昔みたいに」

さやか「……悪いね、なんか」

まどか「友達の頼みだもん」

さやか「そっか……」

さやか「落ちないように気をつけなよ?」

さやか「なんか柵がボロいらしいから、さ」

まどか「もー、ひどーい」

まどか「わたしはおちないよーだ」

さやか「ははっ、それじゃあそろそろ戻るかね」

まどか「そうだね」


ほむら(何の話をしていたのかしら……)

ほむら「まどかったらトイレで大きいほう流し忘れてるわ…」


ほむら「これ、もって帰っちゃってもいいかしら…」

ほむら「いつまどかのアレなものが手に入ってもいいようにタッパーもあるし」

スッ ヌチヌチョ カパ

ほむら「臭いけど、逆に興奮するわ…」

ほむら「…」

ほむら「少し舐めようかしら…///」

ペロペロ、ヌチャヌチャ

ほむら「ん…、固形かと思ったらところどころやわらかい部分もある…」

ほむら「苦いかと思ったら意外に無味なのね…」

ほむら「これなら食べるのも問題ないわね…」

ホム、ホムホム!

ほむら「ハッ!いけない気がついたら半分くらい食べてしまった!」

ほむら「残りはほむホームでカレーにしたり丼もので食べましょう…」

ほむら「まどかも私のを食べたら興奮してくれるのかしら…」

ほむら「ご飯を口に入れる瞬間に私のと入れ替えれば…!?」

ほむら「善は急げね!」

ほむら「フーン!フーン!フーン!」

ほむら「ダメね今日で便秘3日目だけど出る気がしないわ…」

ほむら「ここは下剤を飲むことに」

ホッムン

ほむら「これで大丈夫…」

------------------

ゴロゴロ、ピー

ほむら「(きた!)」

ほむら「びちびちウンコでりゅううううう!!」

シャービチャビチャ

ほむら「バケツ半分、我ながらいっぱい出てきたわ」

ほむら「これをまどかに食べてもらえれば今度こそワルプルギスの夜を倒せると思う…」

ほむら「さて教室に戻りましょうか」

教室

ガラガラ

女子生徒「(暁美さんなんでうんちの詰まったバケツ持ってきてるの!?)」

男子生徒「(くせー!マジクセー!)」

ほむら「(しまった、浮かれすぎたあまり偽装もせずもってきてしまった…)」

まどか「ほ、ほむらちゃん!なんでそんなの教室に持ってきてるの!?」

ほむら「なんのことかしら?(あなたのためにいっぱい出したのよ)」

まどか「きょ、教室にうんち持ってくるなんてほむらちゃんおかしいよ!」

ほむら「そんなこと言って鹿目まどか、あなたはこれを食べたいんじゃなくて?」

まどか「え」

ほむら「え?」

まどか「た、食べるって…、ほむらちゃんそんな趣味だったの…?」

ほむら「あ、あなたは違うっていうの…?」

ほむら「(なんてこと、まどかが私のうんちを拒絶するなんてほむほむ想定外!)」

まどか「ほむらちゃん絶対おかしいよ…」

ほむら「(まどかが自分から食べてくれないなら…)」プルプル

もう、誰にも頼らない

まどか「ほむらちゃん…?」

ほむら「まどか、私のうんちを受け止めてえええええええ!」ガッポイ!

まどか「え?」

ザバァ ビチャビチャ ヌトヌト

女子生徒「キャー!鹿目さんがうんちまみれにー!!」

男子生徒「くせー!くせー!」

教室大パニック…!

ほむら「(やってしまった…、でもこれでまどかも考えを改めてくれるでしょう)」

ほむら「どうかしら私のうんちの味は?」

まどか「…」

ほむら「…まどか?」

まどか「…」プルプル

まどか「ウゲプッシャロオオオオ」ゲロゲロ

女子生徒「鹿目さんが吐いたわー!!」

男子生徒「くせー!くせー!」

ほむら「まどか…!(私のうんちに対してゲボで答えてくれるのね…!)」

ほむら「あなたの誠意たしかに見せてもらったわ」

まどか「ウゲェエエ、ウェオォ(な、なにか勘違いしてないほむらちゃん…?)」

ほむら「私もお返しに…」ブチュー

まどか「ん…!?(ほむらちゃんの口が…!しかもうんこ臭い!!)」


ほむら「ん…(まどかの口の中あったかくてゲロくさい…素敵)」

まどか「んぉ…(気持ち悪いよぉ…吐きたくても吐けないし)」

ほむら「(さて私もお返しに吐かなくちゃね)」

ほむら「がっ!がーっ!がっ!げほ!ごほ!がっー!」

まどか「~~~~~~~っ!?(ほむらちゃん何してんのー!?)」

ほむら「(まどか、もう少しで出るから…)」

がーっ!がーっ!

ほむら「ガーッ!ガッゴピュ!(あ、出てきた。そういえばさっきまどかのうんち食べたのよね)」

ほむら「(これが永久機関…!)」

ほむら「(どれだけ時間が巻き戻っても私達の絆は永遠なのね…)」

ほむら「(さぁまどか受け取って…)」

ほむら「ウッゲ、ゲシャブウウウウ」オロオロオロロロ…

まどか「ウ!?ウウウウウウウウ!!!(こんなの、ぜったい、おか…しいよ…)」

ほむら「ブショオオオ、ホゲエエエエエ」オロロロロ…

まどか「んっんっ(ゲロが喉につまって呼吸が…意識が遠のく…)」ガク、プシャアアア

女子生徒「きゃー!鹿目さんが落ちて失禁してるわー!!」

男子生徒「くせー!くせー!」

ほむら「ぷはっ…(まどか、ゲロのお礼に今度はおしっこまで?本当にいい子ね…)」

ほむら「(床で直飲みは犬みたいでお行儀悪いけど残すほうが勿体無いものね)」ズズー…ペロペロ…ズズー

ほむら「(ちょっと喉ごしが苦い感じだけどおいしいわ、さすが絞りたてのおしっこね)」ズズ

ほむら「さぁまどか起きなさい、そんなところで寝てると風邪を引いてしまうわ」

まどか「…」(白目を向けて失神中)

ほむら「全くしかたないわね、ほら気付けにこれを」スル(パンツを脱ぐ音

女子生徒「暁美さんがパンツをぬいで局部を鹿目さんの顔に…!?」

男子生徒「おまんまん!おまんまん!」

ほむら「顔におしっこかけてあげるから目を覚ましなさい」プシャアアアア、ビチャビチャ!!

まどか「ん…?ってほむらちゃん!?こんなのやめてよ!!」

ほむら「あなたが私におしっこ飲ませてくれたお礼も兼ねてるのよ、ごちそうさま」

まどか「やっぱり…おかしいよぉ…」

ゴロゴロピー

ほむら「はぅ!おしっこしてたら第二波が…!!」

まどか「だい、には?え?」

ほむら「まどか、私のうんち直食いしてええええええ」ブチュ!ブリュモリモリモリ

まどか「んんんんんんんんん!?(ありえないよぉ…)」

ほむら「ふぅ…3日分全部出た感じね」スッキリ!

まどか「もごもご(口の中のうんち気持ち悪いよ…下手に動かすと飲み込んじゃいそうだし…)」

ほむら「まどか、早くそれ飲み込んじゃいなさい。喉越しが最高なんだから」

まどか「もがー!もがー!(ぜ、絶対イヤだよ!!!)」

ほむら「もう…いくらおいしくても咀嚼しぱなしはお行儀悪いわよ」

まどか「もがー!(ほむらちゃんの肛門で口塞がれてるから吐けないし最悪だよ…)」

まどか「ごっくん(うへー飲んじゃった…気持ち悪い)」

ほむら「ちゃんと飲み込んだのね偉いわまどか」スッ

まどか「ほむらちゃん…こんなこともうやめよ…」

まどか「私、ほむらちゃんがわからなくなってきたよ…」

ほむら「まどか?」

まどか「こんなことずっと続けるなら私QBと契約する!」

ほむら「ま、まどか!?」

ほむら「まどか、本気なの?」

まどか「当たり前だよ!いきなり私にこんなことして…」

まどか「ほむりゃちゃんがこんな人だなんて思わなかったよ!」

ほむら「…まどか」

ほむら「わかったわ、こんなこともうしない約束するわ」

まどか「本当?」

ほむら「えぇ、でもあなたも悪いのよ」

まどか「え?」

ほむら「あなたがちゃんとうんちを水に流していればこんな惨劇は起こらなかったのよ」

まどか「え?」

ほむら「ほらこのタッパーを見て、こんなに大きいうんちをあなたは流し忘れていたのよ」

まどか「ヒィッ!ほ、ほむらちゃんなんでそんなの持ち歩いてるの…?」ガクガク

ほむら「ほむホームでこれをカレーとかに加工するために決まってるじゃない!」

まどか「…ほむらちゃんは全然反省してないよ」

ほむら「え」

まどか「きゅううううううべえええええええええええ!!!」

QB「まどか!ようやく契約してくれるんだn…くせー!くせー!」

まどか「QB!『今日の出来事を水に流して』!」

QB「わかったよまどか!」



この惨劇は全て水に流れて終わりました(うんこだけに)

おしまい

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