櫻子「ひまわり動画?」(330)

櫻子「なんだろうこのサイト」カチッ

櫻子「……」

櫻子「アッ向日葵が映ってる」

櫻子「なんで向日葵が映ってるんだろう?」

櫻子「向日葵が配信してるのかな」

櫻子「自分の部屋にカメラ置いて」

櫻子「…………」

櫻子「…………」

櫻子「んー、さっきから全然動かないじゃん」

櫻子「おーい、見てやってるんだから何かしろー」

櫻子「あ、立った」

櫻子「なんだ、勉強するのかー……」

櫻子「あっ、これ今日の宿題じゃん!」

櫻子「ラッキー、全部写しちゃおーっと」

櫻子「ようし、宿題終わり~」

櫻子「わっはっは、これから毎日この配信で向日葵を見てれば」

櫻子「宿題を完璧にこなせるってわけだー」

向日葵『ふう……それにしても暑いですわね』

櫻子「ん?」

向日葵『シャワーでも浴びようかしら』

櫻子「なんだー、お風呂行っちゃうのか」

櫻子「どーせなら明日の予習でもしてくれればいいのに」

櫻子「……」

櫻子「……」

向日葵『♪~』ガラッ

櫻子「えっ、お風呂の中まで映すの!?」

向日葵『ふうー、気持ちいいですわね~』

櫻子「あ、あわわわ……ぜんぶ丸出しだよ……」

櫻子「ひっひひ向日葵のやつ、ネットに自分の裸流してるなんて……」

櫻子「確かにおっぱい魔人だから需要はあるかも知れないけど」

櫻子「ってそうじゃなくて!」

櫻子「中学生の身空でしかも顔出しでこんな破廉恥なことやるなんて!」

櫻子「明日向日葵にやめるように言わないと!」

翌日、教室

向日葵「おはようですわ」ガラッ

櫻子「あ、向日葵ー!」

向日葵「あら、私より早いなんて珍しいですわね櫻子。今日は吹雪かしら」

櫻子「そんなつまらない冗談言ってる場合じゃなくて」

向日葵「じゃあなんですの?宿題見せて欲しいのかしら?
    ダメですわよ自分でやらないと」

櫻子「宿題はもう終わってるから!」

向日葵「あら、ほんとですの?これはもう今日は本格的に吹雪が」

櫻子「だからー吹雪とかどうでもいいってば。
   それより昨日、見たよ配信」

向日葵「ハイシン?なんのことですの?」

櫻子「とぼけても無駄だって。
   向日葵、自分の家にカメラ付けて私生活をネットで配信してるでしょ」

向日葵「はあ?」

向日葵「何言ってるんですの?」

櫻子「だからー、見たんだってば。
   自分の部屋とかにカメラ付けてさ。
   ひまわり動画っていうサイトで配信してたじゃん」

向日葵「はあ……?」

櫻子「部屋の中だけならまだいいけどさあ。
   さすがにお風呂はやりすぎじゃない?
   まだ中学生なんだし……」

向日葵「さ、さっきから何を言ってるんですの?
    私が?ネットで私生活を配信?お風呂も?
    そ、そんな馬鹿なことするわけないでしょう!」

櫻子「えー、だって見たんだもん……
   ほんとにしてないの?」

向日葵「し、て、ま、せ、ん。
    二度とそんないいがかりつけないでちょうだい」

櫻子「……」

向日葵「まったく……」

櫻子「そうだ、向日葵」

向日葵「なんですの」

櫻子「宿題見せてくれない?」

向日葵「はあぁ? 今日はちゃんとやってきたって
    さっき言ってたじゃありませんの」

櫻子「答え合わせしたいの、いいでしょっ」

向日葵「ああ、そういうことならまあ……はい」

櫻子「ありがと」ペラリペラリ

櫻子「……」

櫻子(昨日動画で見た宿題と、答えも書き方も同じだ)

櫻子(っていうことはやっぱ、あの動画は向日葵本人なんだ)

櫻子(でも向日葵は配信のこと心当たりないみたいだったし……)

櫻子(もっもしかして盗撮!? ストーカー!?)

櫻子「向日葵!家帰ったらちゃんと調べたほうがいいよ!
   もしかしたら変質者が隠しカメラしかけてるかも!」

向日葵「櫻子……いいかげんにしないと潰しますわよ?」

櫻子「うっ」

櫻子(目がマジだ……)

櫻子ハウス

櫻子「ひまわり動画……」

櫻子「一応今日も見てみようかな」

櫻子「今日もムズカシー宿題出されちゃったし」

櫻子「ポチッとな」カチッ

櫻子「あ、映った映った」

櫻子「向日葵の部屋か」

櫻子「んー、向日葵はまだ帰ってないのかな?」

櫻子「……」

櫻子「いつもとは違ったアングルで見ると」

櫻子「行き慣れた場所も違って見えるよね」

ガチャ
向日葵『ふう、疲れましたわ』

櫻子「あ、帰ってきた」

向日葵『…………』ドサッ

櫻子「かばんを机の上に置いて……」

向日葵『……』

櫻子「あっ、着替え始めた」

櫻子「おお、上着を脱ぐとさらにおっぱいが……」

櫻子「ん?手を止めた?」

向日葵『そういえば櫻子が妙なことを言ってましたわね』

櫻子「おお?」

向日葵『カメラが仕掛けられてるとか何とか……
    ちょっと探してみたほうがいいかしら』

櫻子「なんだー、今朝は怒ってたけど
   ちゃんと信じててくれたんだな~」

向日葵『うーん……このへんかしら』ガサゴソ

櫻子「そこじゃないって、もっと左!あ、行き過ぎた!右!」

向日葵『このへんにも仕掛けられそうですわね……』

櫻子「おう、そこそこ」

向日葵『うーん……』ガサゴソ

櫻子「うお、向日葵の顔がドアップで映ってるよ」

櫻子「でもこうしてモニター越しに見る向日葵の顔って」

櫻子「なんかいつもよりかわ」

向日葵『ありませんわね~』

櫻子「ないわけないじゃん、ちゃんと探せー!」

向日葵『はあ、よく考えたら馬鹿馬鹿しいですわね……
    誰が私の部屋にカメラなんか置くっていうんですのよ』

櫻子「うお、諦めちゃったよ」

向日葵『櫻子に一杯食わされましたわね。
    明日仕返ししませんと』

櫻子「うっ、何されるんだろう……怖いな」

向日葵『さてと……』スルリ

櫻子「あっ、着替え再開した」

櫻子「…………」

櫻子「…………」

櫻子「そうだ、電話して場所指摘したらいいんだ」

櫻子「いやそれじゃ私が犯人扱いされるだけか」

向日葵『宿題でもやりましょうか』

櫻子「お、宿題宿題~!今日も写させてもらっちゃうよー」

向日葵『…………』カリカリ

櫻子「…………」カリカリ

櫻子(でもよく考えてみるとちょっとオカシー)

櫻子(カメラは一点に固定されてるわけじゃなくて)

櫻子(向日葵がなにか行動を起こすとそれについていく)

櫻子(今だって宿題やってる手元を映してる)

櫻子(ということは、つまり……)

櫻子「……よくわかんないからまあいいや」

櫻子「さーて、今日の宿題も終わりー」

櫻子「もう動画はいいや、ゲームでもしよ」

翌日、教室

向日葵「おはようですわ」ガラッ

櫻子「おー向日葵おはよう」

向日葵「あら、おはよう。今日も早いんですのね」

櫻子「まあね」

向日葵「宿題なら見せてあげませんわよ」

櫻子「いいよ、今日もやってあるから」

向日葵「へえ、最近頑張ってますわね。櫻子にしては殊勝ですわ」

櫻子「えっへへー、シュショウって何?」

向日葵「……もういいですわ」

あかり「おはよう、向日葵ちゃん、櫻子ちゃん!」

向日葵「あら赤座さん、おはようございます。
    クッキー焼いてきたんですけど、良かったらいかがです?」

あかり「わあー、ありがとう向日葵ちゃん!朝食べられなかったから助かるよ~」

櫻子「あかりちゃんだけずるい!私のは?」

向日葵「ちゃんとありますわよ」

向日葵「はい、櫻子の分」

櫻子「わーい」

あかり「いつもくれる分より今日は多いね~」

向日葵「ええ、昨日ちょっと作りすぎてしまって」

櫻子「ふーん」

櫻子(宿題したあとに作ったのかな?)

櫻子(見とけば良かった)

櫻子(はっ!そういえば……)

  向日葵『櫻子に一杯食わされましたわね。
      明日仕返ししませんと』

櫻子(……って言ってた!)

櫻子(それがこのクッキーというわけか!)

櫻子「その手は食わないぞー向日葵」

向日葵「え、何の話ですの?」

櫻子「このクッキー、中になんか入ってるんだろー」

あかり「え、そうなの?」ムッシャムッシャ

櫻子「あかりちゃんのには入ってないよ。
   向日葵の狙いは私だけなんだから」

向日葵「はあ?何を……」

櫻子「知ってるぞー、私に仕返しするつもりなんだろー」

向日葵「仕返しって、何の?」

櫻子「昨日、私が監視カメラ付いてるとか
   変なコト言って脅かしたから、その仕返し……あ」

向日葵「確かに仕返しをしようとは考えましたけど……
    なんで櫻子がそのことを知ってるんですの?」

櫻子「あ、いやそれはそのお……
   ひ、向日葵ならそうするんじゃないかって」

向日葵「まさか、監視カメラ……櫻子が」

櫻子「違う! それは違うよ、断じて違う!」

向日葵「ふうん……?」

櫻子「…………」

あかり「ねえねえ向日葵ちゃん、櫻子ちゃんのクッキーに何入れたの?」

向日葵「……ちょっとは空気読んでくださいまし」

向日葵「別に何も入れてませんわよ」

櫻子「え、そうなの?」

向日葵「……櫻子のお望み通り、辛子でも仕込んでやろうと思いましたけど。
    バカバカしくなってやめましたの」

櫻子「なんだ、そうだったんだ」

向日葵「で、そのクッキーいるんですの?いりませんの?」

櫻子「いるいる、いるって。
   向日葵のクッキーいらないやつなんていないだろー」

向日葵「…………」

櫻子「向日葵?」

向日葵「いえ、なんでもありませんわ」

櫻子「?」

櫻子ハウス

櫻子「ふうー、危ない危ない」

櫻子「今日は危うく向日葵動画を見てるのがバレそうになっちゃった」

櫻子「さてと、今日も宿題写させてもらおっと」カチッ

櫻子「お、向日葵もう帰ってる」

向日葵『キョロキョロ』

櫻子「ん、なんか探しものかな?」

向日葵『ガサゴソ』

櫻子「あ、またカメラ探してるのか……」

向日葵『ガサゴソ』

櫻子「そんなとこにないって~」

向日葵『ふう……宿題でもやりましょ』

櫻子「お、そうこなくっちゃね~」

櫻子「今日の宿題も難しいから」

櫻子「向日葵に見せてもらわないとできないよ」

櫻子「よーし、今日の宿題も終わり」

櫻子「向日葵の移せば完璧にまちがいなしだし!」

櫻子「さて、動画はもういい……ん?」

櫻子「向日葵どこ行くんだろ」

櫻子「リビング?」

櫻子「あ、パソコンの電源入れた」

櫻子「インターネットを立ち上げて、Google開いて」

櫻子「ひ、ま、わ……あっ、ひまわり動画検索しようとしてる!」

櫻子「うわあ、向日葵が自分で見ちゃったらどうなるんだろ?」

向日葵『……やっぱりないですわね』カチカチ

櫻子「ん?」

向日葵『やっぱりひまわり動画なんて櫻子のでまかせでしたのね』

櫻子「え、Google検索でトップに出るはずだけど……」

櫻子「もしかして向日葵には見えない、とか?」

櫻子「どういうシステムなんだろ」

翌日、教室

向日葵「おはようですわ」ガラッ

櫻子「おー向日葵おはよう」

向日葵「あら、おはよう。今日も早いんですのね」

櫻子「まあね」

向日葵「そうだ櫻子、宿題やってあります?」

櫻子「うん、バッチリ」

向日葵「じゃあちょっと見せてもらえませんこと?」

櫻子「え、なんで?」

向日葵「宿題のノートを家に忘れてしまいまして。
    ちょっと写させて欲しいんですの」

櫻子「おー、いいよー。あははは、私が向日葵に
   宿題を見せる日が来るなんてなー。はいっ」

向日葵「ありがとう」ペラッ

櫻子「私の完璧な解答をありがたく写しなよー」

向日葵「櫻子」

櫻子「なにー?」

向日葵「騙すようなマネをしてごめんなさい。
    実は宿題のノートはちゃんと持ってきてありますの」

櫻子「へ?」

向日葵「もちろん、宿題もちゃんとやってあります。
    それでその中で一問だけわざとデタラメな解答をしておきましたの」

櫻子「ん……?」

向日葵「ケアレスミスとかじゃなく、
    根本的な間違いをわざと書いたんですの。
    この大問3の4番。途中式の2段目から」

櫻子「……」

向日葵「どうして櫻子も」

櫻子「あ……」

向日葵「私とまったく同じ間違いを」

櫻子「それは……」

向日葵「書いているのかしら」

櫻子「ちが……」

櫻子「……」

向日葵「……やっぱり、おかしいと思ってたんですのよ。
    監視カメラだなんだと騒いだり」

櫻子「……」

向日葵「私が仕返しを使用としたのを知っていたり、
    珍しく宿題を毎日やってくるようになったり」

櫻子「……」

向日葵「私の目を見て答えなさい、櫻子。
    あなた、私を監視していたんですの?」

櫻子「いやっ、ちっ違うの、私がやったんじゃなくて、
   いんたーねっとで……」

向日葵「手段や方法は関係ありません!
    あなたが私の私生活を覗き見していたのかと聞いてるんです!!」バンッ

櫻子「っ!」

 ザワザワザワ

向日葵「どうなんですの?」

櫻子「そ、それは……」

向日葵「見てましたの?」

櫻子「見て……ました」

向日葵「…………」

櫻子「…………」

向日葵「……最低」

櫻子「っ……でっでも、カメラ付けたのは私じゃないし、
   それにっ私は宿題見せてもらったくらいで、そのっ」

向日葵「そんなこと知りません!
    あなたが私を監視するようなマネをしていたのは事実でしょう!」

櫻子「だっ、だから……」

向日葵「もう知りません!話しかけないで!」ダッ

櫻子「あっ……」

あかりちなつ「おはよー」

向日葵「どいてください、吉川さん!」ドンッ

ちなつ「向日葵ちゃん!?」

あかり「ど、どうしたの?」

櫻子「…………」

あかり「さ、櫻子ちゃん、どうしたの?
    向日葵ちゃん泣きながら出てったけど……」

櫻子「私が、向日葵怒らせちゃって……」

ちなつ「怒らせただけじゃないんじゃないの?」

あかり「そうだよ、向日葵ちゃんと櫻子ちゃん
   しょっちゅうケンカしてるけど
   あんなに泣くことなんてないじゃん」

櫻子「うん……」

あかり「仲直りしたほうがいいよ」

ちなつ「そうだよ、ケンカするほど仲がいいの典型例だと思ってたのに
   ここまでガチ喧嘩されちゃ不安だよ」

櫻子「分かってる。ありがと、ちなつちゃん」

櫻子(向日葵があんなに怒るなんて……)

櫻子(私、自分で思ってるよりひどいことしちゃったのかな)

櫻子(とにかく向日葵に謝らなきゃ)

休み時間

向日葵「…………」

櫻子「あ、向日葵、あの……」

向日葵「プイッ」

櫻子「あう……」

向日葵「吉川さん、一緒にお手洗い行きません?」

ちなつ「あ、うん……」

向日葵「じゃあ行きましょうか」

櫻子「…………」

あかり「が、頑張って櫻子ちゃん!
    話せばきっとわかってくれるよなにがあったか知らないけど!」

櫻子「うん……」

あかり「あかりも応援するから!何か手伝えることあったら何でも言ってね!」

櫻子「うん……」

あかり「な、ナカナオリサセタインジャー!」ズビィッ

櫻子「うん……」

放課後、生徒会室

櫻子(結局お昼休みも話せなかった……)

櫻子(放課後も終令が終わるとどっか行っちゃった)

櫻子(でも生徒会室にいれば向日葵も来るはず!)

櫻子(ここなら先輩たちの目もあるしちゃんと話してくれるよね)

千歳「何をブツブツゆうてんの?」

櫻子「え、あ、いやなんでもないですよ!
   そういえば向日葵遅いですよねーっ」

綾乃「あら、古谷さんは今日は来ないって言ってたけど」

櫻子「えっ?」

綾乃「今日は用事があるから欠席する、って……
   大室さん何も聞いてないの?」

櫻子「聞いてません……」

綾乃「へえ、珍しいわね。いつも一緒にいるのに」

櫻子「あ、あはは……」

櫻子ハウス

櫻子「うう、まさか生徒会にも顔出さないとは」

櫻子「向日葵のやつ徹底してるなあ」

櫻子「それだけ私が向日葵のこと怒らせちゃったってことなんだけど」

櫻子「ちなつちゃんたちにも心配かけちゃったし」

櫻子「なんとか仲直りしないとなあ」

櫻子「今、向日葵どうしてるかな……」

櫻子「……」

櫻子「見ようかな、ひまわり動画……」

櫻子「でも見たってバレたらまた……」

櫻子「大丈夫、ちょっと見るだけ」

櫻子「宿題も写さないし」

櫻子「ちょっとだけ……」カチッ

櫻子「向日葵の部屋……」

櫻子「向日葵は……」

櫻子「寝てる……」

櫻子「…………」

櫻子「あっカメラが寝顔に寄った」

櫻子「……」

櫻子「目が赤い」

櫻子「泣いてたのかな」

櫻子「……」

櫻子「これ以上見るのはやめとこ……」カチッ

櫻子「それにしてもこのサイト……」

櫻子「誰がなんのために作ったんだろう」

櫻子「お問い合わせ欄とかもないし……」

櫻子「警察に通報とかしたほうがいいのかな」

櫻子「あんまり大事にすると向日葵に迷惑か……」

翌日、教室

あかり「おはよー」

ちなつ「よー」

櫻子「…………」

向日葵「…………」

あかり「ま、まだ仲直りできてないみたいだね……」

ちなつ「そうみたい……」

向日葵「あら、おはよう吉川さん」

ちなつ「お、おはよう」

あかり「あの、ひ、向日葵ちゃんたちまだ喧嘩してるの?」

向日葵「別に喧嘩とかそういうんじゃありませんわ」

櫻子「……」

あかり「向日葵ちゃん、櫻子ちゃんだって謝りたがってるみたいだし……
    話だけでも聞いてあげて、ね?」

向日葵「もう、ほうっておいてください!」

あかり「ひっ」

\呼ばれて飛び出てキョッピー&ユッピー!/

        ィ- 、        ィ-..、
       /::::::::::\   /:::::::::::ヽ
       ヾ::::::>-┴┴―<:::::/           .-――‐-  、
       <::/            \::>        イ:::::::::  :::::   \
      /             ヽ      / :::::::::  ::::      ヽ
     /      /{  ∧      !     /  ::::::  /{:::∧  ::::  メ !
     /    ヽ/{_ /  . /_ ノ    i     / メ :::::ヽ/{::/!::/ _i ノ ::    i
    .{/|   / ∨  ∨    ヽ   |    .{/| :::: / リ 乂   リ ヽ ::::メ  }
      |乂∨三≧    ≦三 ∨  !      {乂∨三≧    ≦三 ∨:::: }
     |  .{ '''          '''  |  i     { ::::{ '''          '''  | ::: /
     |  ハ      _ ノ    .|/  |      `ハ::ハ      _ ノ   ハリ:ハリ
     {  Y^ゝ、. ____ /⌒Y  }      リY^ゝ、. ____ /⌒Yリ
     |   \  Yミ∀彡(  ノ\ .|       \  Yミ∀彡(  ノ\
     } リ .| ̄ ̄ |"∧^´| ̄ ̄ | .} !         | ̄ ̄ |"∧^´| ̄ ̄ | .}
     ! / .| ::::   | !::! | ::::   |ミノ {        | ::::   | !::! | ::::   |ミノ
      / 人 | :::: :: | |:::| | :::::   / 人       | :::: :: | |:::| | :::::   /
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄乂__ノ  ̄ ̄ 乂_ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄乂__ノ  ̄ ̄ 乂_ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


頑張って!

向日葵「赤座さんたちには関係ありませんし
    櫻子と仲直りなんてする気もありませんわ」

櫻子「えっ……」

向日葵「ちょっとお手洗い行ってきます」

櫻子「ひ、ひまわ……」

向日葵「ついてこないで!」

櫻子「っ!」

ちなつ「向日葵ちゃん……」

あかり「ごめん、櫻子ちゃん……私が余計なこと」

櫻子「ううん、全部あかりちゃんは悪くないよ……」

あかり「櫻子ちゃん……」

櫻子「あかりちゃんはナカナオリサセタインジャーだもんね」

ちなつ「なにそれ……」

あかり「あ、あはは……」

櫻子(でも……どうすればいいんだろう)

放課後、生徒会室

櫻子(今日も一日向日葵と話せなかった……)

櫻子(というか視線も合わせてもらえなかった)

櫻子(向日葵をあんなに怒らせちゃうなんて)

櫻子(それより私、向日葵がいないと……)

千歳「今日も古谷さんお休みなん?」

綾乃「ええ、申し訳ありませんが休ませてください、ってメールが……来てた……けど」チラッ

櫻子「……」

綾乃「大室さん……古谷さんと喧嘩でもしたの?」

千歳「喧嘩ならしょっちゅうしとるやん」

綾乃「いや、そういうんじゃなくて、もっと決定的な喧嘩よ」

櫻子「……」

綾乃「どうなの、大室さん」

櫻子「……う、うぅ~」グスッ

綾乃「お、大室さん?」

櫻子「あうううあああああおおうおういうおあああ」

綾乃「泣きながら喋っても全然分からないわよ……」

千歳「古谷さんを怒らせてしもたから謝りたいんやって」

綾乃「アンタはなんで分かるのよ……とりあえず泣き止みなさい」

櫻子「あうう……ひぐっ」

綾乃「古谷さんのこと怒らせたって、何したの?」

櫻子「うう……実は、いんたーねっとで……」グスグス

綾乃「うん」

櫻子「向日葵の私生活の盗撮が生中継されてて」

綾乃「はあ!?」

櫻子「ひまわり動画っていうサイトなんですけど」

綾乃「ちょ、ちょっと千歳、すぐ調べてみて」

千歳「了解やー」カチカチ

綾乃「事実なら警察沙汰よそれ」

櫻子「ほんとなんですう」ヒッグ

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           r\ `   -=ニ彡フ:.:.:イ.:.:.:ノ / | ! ト┬トノ  \
           ヽ:.:>―┬…7:.イ:.:.:/:.:.:.| /|_ノレ'  レ |ハ /  ミニノ
           /ミ--ノニハ  {:.://:.::.ノ ノ      ニ彡 'ノ 八 \

         .  {:.:./:/7 ノ ./>:ニ=--<、ニ彡        .| /  )\ ヽ
             レ'///{  /:.〃:ノ////Λ\    '    /|  |:/⌒) )
            /:.:{|i//乂辷{:.:.:.:././////Λ )t __=  ィ//,':.:/ ト  ( ./
         /:.:.Λ//////{:.://///⌒^ヽ/Λ      |//|:./ | ) 廴_ノ
        .八:./ .\////:.:ヽ///      )/Λ-   |/八 .ノ! /  }
         .V /  \  /:.:.:.:.) 〈 /     .///Λ三三|/// 人\  〉
         |  /\/ /l:.:.:.::/ ./       .{////Λ///|// / 乂 ) ‐┐
         | 〃/   八:.:/   ____/\///Λ///( (  {( (三ニ}
.        /| i|: |!    \_  {!三三三三i}  ` --乂ン廴_ \三\.ニ}
        {:.:! .i|:.:|!         {!三三三三i}      __} )ノt――イ
       ノ:.:| .i|:.:|!.        T:.:.:.:.:.:.:.:.:T三}      |i:.:.:ヾ   |:.:.:.:.:.:}
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千歳「んー、そんなサイトあらへんで?」

櫻子「ええっ、そんなはずは……Google検索で一番に出るはず」

千歳「でもあらへんもんはあらへん」

櫻子「ホントだ……ない……なんで」カチカチ

櫻子(そういえば向日葵も一回検索してたっけ……
   でも見つからなかった……もしかして限られたPCでしか見えないとか)

千歳「大室さん、どういうこと?」

櫻子「と、とにかくそういうサイトがあったんです、信じてくださいぃ」

綾乃「わ、分かったわ。とりあえず古谷さんの私生活を
   無断でネット配信していたサイトがあった、ってことね?」

櫻子「はい……」

綾乃「それで?」

櫻子「私、それを毎日見てたんです。
   向日葵がやってた宿題を書き写すために……」

綾乃「……」

櫻子「でもある時、向日葵にそれがバレて……すごく怒っちゃって」

綾乃「なるほどねえ」

    \::::::::::K            ヽ /::::::ヽ

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     入::/  ,  イ /,  イ   ハ     ' ,::\
    / イ  / /,| 厶ソ ,ハ | ./ Nヽ  i  .'Y^ 、
   ノ /ノ/ .  / メ// メ | ソ /\リ ∨ 'l  'ヽ ヽ
   .イ { |ハ .イ レx==丶  |ヽ ,/,z-==x、N| N v  ';
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>>169
おまわりさんこいつです

>>170,171
団結力の強さに嫉妬した

綾乃「それは貴方が悪いわねえ」

櫻子「うう……でも宿題見てただけであんなに怒るなんて……」

綾乃「宿題を見ていただけではないわ。
   貴方は親友の私生活を勝手に覗いていたのよ」

櫻子「う……」

綾乃「早く謝ったほうがいいわよ」

櫻子「でも、もう顔も合わせてくれなくて……
   口もきいてくれない……
   私……向日葵にほんとに嫌われちゃった……」

綾乃「大室さん……」

櫻子「いっつも喧嘩ばっかりしてたけど……
   向日葵のことなんて……だいっきらいだけど……
   ……向日葵から嫌われるのはやだよぉ……」

綾乃「……」

千歳「でも仕方ないかも知れへんな。
   大室さんはそれだけのことをしてしまったんやから」

櫻子「うっ、うう……」

綾乃「ちょっと千歳……!」

千歳ぇ
惚れる説教くれやぁ(;-;)

千歳「でもなあ、大室さん。
   古谷さんがなんでそんなに怒ったか分かるか?」

櫻子「私が向日葵のプライベート覗いたから……」

千歳「そや、自分のプライバシーを侵害されるって言うんは
   誰かてものすごく嫌なことやからな」

櫻子「はい……」

千歳「でもな、古谷さんはそういうことを
   大室さんにされたっていうのが、一番ショックやったんやと思うで」

櫻子「え……」

千歳「毎日のように喧嘩ばっかりしてるけど、
   二人は間違いなく親友や。はたから見てたら分かる。
   お互いすごく信頼しあってるんやなって」

櫻子「……」

千歳「古谷さんは一番の親友にその信頼を裏切られたことが嫌やったんや。
   だから取り返しのつかんくらい怒ってしもた。
   でもなあ、それは古谷さんが大室さんのことを
   それだけ好きやったっていうことの裏返しなんやで」

櫻子「い、池田先輩ィ……」グスッ

綾乃「千歳……」

千歳「せやからな、もう一回ちゃんと謝ってみ?
   それでもあかんかったら私らも手伝ってあげるから」

櫻子「は、はい……」

千歳「大丈夫やって、古谷さんも心の底では
   大室さんのこと嫌ってるわけと違うと思うから。
   ただ、悲しんでるやろうけどな」

櫻子「悲しんでる……」

千歳「そうや。大室さんは古谷さんのこと
   怒らせたり嫌われたりしたけど、
   なにより悲しませてしもたんや
   その罪滅ぼしはちゃんとせなあかんよ」

櫻子「わ、わかりました……
   私、もう一度向日葵のところに行ってきます!
   そんでちゃんと謝ってきます!」

千歳「うん、頑張ってな」

綾乃「二人が仲直りするまで、生徒会室に入れてあげないからね!」

櫻子「はい!ありがとうございました、池田先輩、杉浦先輩!」

昇降口

向日葵「……」

櫻子「向日葵!」

向日葵「…………」プイッ

櫻子「ちょ、待って!待って向日葵!」

向日葵「…………」スタスタ

櫻子「ま、まって……」

向日葵「…………」スタスタ

櫻子(待ってくれない、謝らせてくれない)

櫻子(じゃあこれからどうなるの、このまま絶交ってことになるの)

櫻子(嫌だ、そんなの……向日葵と絶交するなんて嫌だ)

櫻子(向日葵を悲しませたままの私も嫌だ、悲しむままの向日葵も嫌だ)

櫻子(だから仲直りしたい、私は、私は……)

櫻子「わっ、私も向日葵のことが好き!」

向日葵「はあっ!?」

櫻子「小さい時からずっと一緒だったし!
   いっつも宿題見せてくれるし!お菓子作るの上手いし!」

向日葵「……」

櫻子「いっつも喧嘩売ってくるし!
   おっぱいだし!向日葵のことなんか嫌いだけど!」

向日葵「どっちですの……」

櫻子「嫌いなのが好きなの!
   だからっ、その好きな人に嫌な思いさせて
   悲しませたまま絶交だなんて絶対にイヤ!」

向日葵「……」

櫻子「だからせめて謝るくらいはさせて……」

向日葵「……」

櫻子「お願いだよ」

向日葵「わ、分かりましたわよ……
    とりあえず場所を変えましょう」

櫻子「あ、ありがと向日葵」

向日葵「……」

校内のどっか

向日葵「実は私も吉川さんたちにさんざん言われたんですのよ。
    早く仲直りしなさいって」

櫻子「そ、そっか……」

向日葵「でも、私は櫻子のこと許す気なんてないですから」

櫻子「う……」

向日葵「いつもの喧嘩とは、わけが違いますわ」

櫻子「それは分かってる……先輩たちにも言われたもん。
   プライバシーの侵害なんて一番嫌なことだって。
   でもそれ以上に」

向日葵「?」

櫻子「向日葵の信頼を裏切ったことが罪なんだって」

向日葵「…………」

櫻子「ごめん、ごめんなさい向日葵……
   私、向日葵にバレなきゃいいって思って……
   それでっ、友達として、最低なことっ、うえっ……ぐすっ」

向日葵「櫻子……」

櫻子「ごめん……向日葵……ううっうえっ」

向日葵「……」

櫻子「こんな友達でごめんねえ……ううううあああああああ……」

向日葵「櫻子、泣かないでよもう……」

櫻子「あああああううああううううおおおうあああうううううああああ」

向日葵「わ、分かりましたわよ……その涙に免じて……」

櫻子「ううう……」

向日葵「さっきは許さないなんて言いましたけど……
    そんなに必死に謝るんなら……別に……」

櫻子「ほ、ほんとぉ……?」ウルッ

向日葵「!……え、ええ……
    このままずっと喧嘩中だと、吉川さんたちにも申し訳ないですし、
    生徒会もその、あれですし……」

櫻子「ありがとおおおお、ごめえええええええん」ダキッ

向日葵「ちょ、ちょっと櫻子!!」

櫻子「おっぱい禁止いいいいいい」

向日葵「じゃあ離れなさいよ!」

櫻子「うう……ぐすん」

向日葵「まったく……ところで」

櫻子「何?」

向日葵「私の部屋を見てたのって、その……どうやって?」

櫻子「ひまわり動画っていうサイトがあったの」

向日葵「ああ、それなら検索してみましたけど見つかりませんでしたわよ」

櫻子「それが実は見られるPCと見られないPCが……いや」

向日葵「? なんですの?」

櫻子「な、なんでもない。とにかくそのサイトで配信されてたんだよ」

向日葵「へえ……で、何を見たのか正直に言いなさい」

櫻子「向日葵が宿題してるところと、CAMERAを探してるところと、
   あとお風呂の中もちょっと……」

向日葵「……そ、それだけですの?」

櫻子「あー……昨日、向日葵が布団の中で泣いてたのも」

向日葵「っ……!」

向日葵「さ、櫻子……あなた、盗み見がバレてからもなお
    その動画配信を見続けてたんですの……?」

櫻子「ち、違う違う!向日葵がどうしてるかって心配で、
   向日葵の顔見たくてそれで……」

向日葵「……」

櫻子「うう、ごめん……」

向日葵「もういいですわ、許すといった以上は不問にしておきます」

櫻子「はい……」

向日葵「ところでその動画サイトはまだあるんですの?
    限られた人しか見られないって言ってましたけど」

櫻子「それなら多分もう大丈夫」

向日葵「あら、通報とかしてくれましたの?」

櫻子「まあ、そんなとこ」

向日葵「にしても気持ち悪いですわね、私の私生活が
    ネットで配信されてたなんて……」

櫻子「それも大丈夫だよ、ほんっとーに限られた人しか見てなかったと思うし」

向日葵「それでもイヤですわよ」

向日葵「帰ってみたらもう一度隠しカメラ探してみませんと……
    探知機みたいなのが売ってるんでしたっけ」

櫻子「私も手伝うよ」

向日葵「ええ、頼みますわ」

櫻子「それにしてもよかった……
   ちゃんと向日葵に許してもらえて」

向日葵「ま、まああそこまで必死に謝られますとね……
    それに誠意を感じましたし……」

櫻子「えへへ、ありがと」

向日葵「そ、それより櫻子……その……
    さっき私のこと好きって言ってましたけど」

櫻子「え、あ……うん、まあなんか改めて言うと照れるなあ、あはは」

向日葵「そ、そう、ですか……それじゃ」

櫻子「ん?」

向日葵「め、目をつぶってくれます?」

櫻子「なになに?」

向日葵「い、いいから早く……」

櫻子「はい、閉じた」

向日葵「う、動かないでね」

櫻子「……?」

向日葵「んっ」

櫻子「ん……んんんっ!?」バッ

向日葵「わ、私からの……仲直りの証ですわ……」

櫻子「い、いきなり何するのよぉ!
   おっおおお女同士でこんな……!」

向日葵「だ、だって櫻子が私のこと好きって言ってましたし……
    私もその……返事をしないといけないと思いまして」

櫻子「あれは友達としての好きに決まってるじゃんかあ!!」

向日葵「えっ…………えええええええええ!?」

櫻子「ひ、ひひひひ、向日葵のバカ――――ッ!!」ダダダッ

向日葵「ま、待って櫻子ぉぉぉ!」

櫻子「ファーストキッスだったのにー!!」

向日葵「私もですのよーっ!」


あれから家に帰って、ひまわり動画を開いてみた
予想通りというかなんというか、ひまわり動画は閉鎖されていた


限られた人しか閲覧できないと、私は言った
多分それは間違いだ
きっと、私にしか閲覧できなかった、というのは、考えすぎだろうか
だが私はこの仮説に確信を持っている……もっとも、確かめる術などないのだが


私たちは向日葵の部屋で監視カメラを探した
私はこっそり偽のカメラを仕掛けて、向日葵にそれを見つけさせた
カメラなんていう物理的なものは恐らく有りはしなかったはずだから
有ったとしてもサイトが無くなった以上、意味はないわけだし問題ないと思う


このサイトが何のためにあったのか、誰が作ったのか、それは分からない
ただ、その存在には何かの意味があったのだろうし、
閉鎖されたということはその役目を終えたということだろう


そう、もうひまわり動画は役目を終えた
私は向日葵の私生活を覗き見する必要はなくなったわけだ
あれから向日葵とはプライベートでも
それまで以上に濃密な関係に発展したのだから
そう、それこそプライバシーという概念など
二人の間で溶けてなくなってしまうほどに
 

結衣「ももいろ動画?」

結衣「なんだろうこのサイト」カチッ

結衣「……」

結衣「アッちなつちゃんが映ってる」

結衣「うわあ、ちなつちゃん自画撮り配信なんかやってたのか……」

結衣「見なかったことにしよう」カチッ



   お   わ   り


 
 
 
 
 
 

おしまいです

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