御坂20000号「一方通行……舐めて良いですか、とミサカは問いかけます」 (131)

ミサカの検体番号は20000。


20000の内の20000。



ミサカは最後。


最後に殺されるミサカ。








これは生贄羊の物語、とミサカは独白します。





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御坂20000号「一方通行と暮らす、ですか、とミサカは確認を取ります」

天井「そうだ。一方通行にありとあらゆるシチュエーションで戦わせるこの計画、ならば『親しき者』を殺すシチュエーションも追加しなくてはいけない」


御坂20000号「解りました、とミサカは了承します」





これが運命の始まり。

続きはまた次回投下






御坂20000号「……殺風景な部屋です、とミサカは愚痴をこぼします」




キャリーバッグに着替えを詰めて、ミサカは一方通行の部屋に着きました。


荒れ果てたぼろぼろの部屋。

住人が部屋に興味ない事を如実に顕しています。









「よォ、テメェが天井くンがいっていた御坂20000号かァ」









ぞっとするような声。


振り向くと……『彼』がいた。


白い肌白い髪赤い眼。







学園都市第一位、一方通行。






一方通行「座れェ」


けだるそうな声で一方通行はミサカを誘いました。


中に入ってミサカは座布団に座ります。


一方通行「テメェの寝床は此処なァ」


一方通行は粗末なベッドを指差しました。

部屋の反対側にはもう一つのベッド。


ミサカは一方通行がもう一つ用意した事を悟りました。


一方通行「それじゃァ、オレはねるぞォ」



一方通行はそのまま眠りました。


無防備?


ミサカが殺せる状況なのに無防備。

少しミサカは驚きました。

ん? この人極悪条さんと仮死条さんの人

>>13

そうです。

続きはまた次回投下で



布団ぬくるまれながらミサカは思います。










私は



一方通行にとって




大事な人に成れるのか






大事な人、親しい人、一方通行にそんな人は居るんでしょうか、とミサカは考えながら眠りに落ちました。





そして、殺される生贄羊と狼の生活が始まりました。




実験開始



引き金は今引かれた








一方通行は居ませんでした

今日から実験開始。



一方通行を驚かせてみようとミサカは企みます。

御坂20000号「ギャァァァァァァァァァっ! 血がぁぁぁぁぁっ!」



ミサカは血を吹き出しながら跳びました。






一方通行「なァにやってンだクローン!」


たまたま帰ってきた一方通行によってミサカはベクトル止血されました。


御坂20000号「色々あったのです、とミサカは報告します」


一方通行「はン、運命でも儚ンで自殺かと思いましたンですけどォ?」

御坂20000号「何でも無いです、とミサカは報告します」

一方通行「とりあえず寝とけェ」

一方通行は布団を敷きました。


ミサカはそれに甘えます。










それにしても、料理失敗しました、とミサカは大いに反省します。






夢を見ました







濃密な死の夢


おそらく、一方通行が御坂00001号を殺して居るのでしょう。




暗く、血なまぐさい死の夢


ミサカもいつかこうして殺される




御坂達は生贄羊








それでも




ミサカは……



翌朝、ミサカが起きると一方通行は泣いていました。


ミサカはそっと寝たふりをしました。





何故一方通行は泣いていたのでしょう?




彼は貪欲に強さを求める最強の筈です。





ミサカにはわかりません。










生贄羊には狼の世界は見えないのです。






夜までミサカはついつい眠ってしまいました。



一方通行「オラッ、起きろ。夕飯作ってやったからよォ」


一方通行にミサカは起こされます。

御坂20000号「おはようございます一方通行、とミサカは寝ぼけ眼で答えます」

一方通行「ちっ、クローン! テメェにはビーフシチュー作ってやったから食え」


御坂20000号「意外ですね、一方通行は料理しないかとミサカは色眼鏡で見てました」


一方通行「はっ、木原くンのやろォの飯作ってた名残だァ」


一方通行はぶっきらぼうに答えました。



ビーフシチューはとてもおいしかったです。





ミサカはまた一人で待ちます。


一方通行はまたミサカ達を殺しています。



だけど何故でしょう。



どうしてこんなに


一方通行は








ミサカにだけ、優しいのでしょうか








一方通行「よォ」


月日が経ちました。


殺されたミサカは2596体。

だけど、一方通行は御坂に何の感想も示さなかったです。

御坂20000号「一方通行、おかえりなさいとミサカは挨拶します」


一方通行「ただいまァ」

一方通行はパタンと倒れ込み、眠る。

弱々しい背中。

微かに香る血の香り。

ミサカには一方通行の気持ちがわかりません。













だけど








ミサカの胸は









痛いのです



また少し月日が経ちました。



ミサカはまた濃密な死の夢を見ます。反射でミサカの攻撃は跳ね返され、ミサカは死にます。


頭が砕けてミサカは死にます。








一方通行




あなたは何故








泣いてるの?

続きはまた次回投下で




「チッ、まァた腹出して寝てらァ」


ぶっきらぼうな誰かの声。




「ふとンでもかけとくかァ」



フワリフワリ、と腹に乗る感触。




優しい温もり……



御坂20000号「ふにゃ!?」


ミサカは寝ぼけ眼で腹の上にかけられた布団を見ました。



御坂20000号「」クンクン


一方通行の匂い……何故でしょう?







居心地が良いです。





暫く一方通行と会っていません。


ミサカが寝てる時に一方通行は起きて、一方通行が寝てる時にミサカは起きています。



一方通行「」スースー


だから、一方通行はこうやってミサカの前で眠っています。
















あれ?











おかしく無いですか?



芳川や天井の話に聞いている一方通行は……






此処まで無防備でしたか?






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ミサカは混乱して、わけが分からなくなりました。




御坂20000号「……そうだ、一方通行を舐めましょう」






ミサカは今思えば、此処で一線を越えた気がします。






御坂20000号「ミサカは眠っていたんですか」

芳川「ええ、あなたは高鼾あげながら気絶してたわ」


ミサカは芳川から聞いて驚きました



ミサカの胸はモヤモヤします




研究所から真っすぐ、ミサカは雨の中歩きます


モヤモヤの正体がわからず、ミサカはただどんよりとした空を眺めます



モヤモヤ

モヤモヤ



この胸の感覚。


ミサカにはわかりません






「おぉい」



ずぶ濡れになったミサカに誰かが声をかけます


ミサカはくるりと振り向きました



御坂20000号「木原さんですね、とミサカは首を傾げます」


ミサカを呼び止めたのは木原数多でした



一方通行の育ての親。


一方通行の理解者にして保護者



なんで木原数多がミサカを呼び止めるのか、ミサカにはわかりません




木原数多「てめぇ、何があった?」


木原数多は今までの彼からは考えられない程穏やかな声で語りかける





御坂20000号「はい・・・実は」




ミサカは語ります





ミサカが抱くモヤモヤを



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