アーカード「ほう、学園都市だと」 (29)
アーカード「面白い。実に面白い。この私を殺す力を持った人間もいると聞いたが、会ってみたいものだな」
セラス「マスターは死にたいんですか?」
アーカード「どうだろうな、だが、アンデルセンが死に、ウォルターか死に、インテグラも死に、残ったのは私とお前の二人だけだ」
セラス「そう…ですね。インテグラ様も先日亡くなられましたし…」
アーカード「ああ、だからこそ、私は会ってみたい。この私を本当の意味で殺せる吸血殺しとやらに」
アーカード「セラス、お前はどうするんだ。この私に付いてくるか、それとも…」
セラス「お供します、マイマスター」
アーカード「そうか、では行くぞ、セラス。日本国に」
セラス「はい!」
ーーー日本。
アーカード「どうやら着いたようだな」
セラス「わぁ、ここが日本ですか!初めてきました!」
アーカード「私もだ、このような闘争の欠片も微塵に感じられないような国に来るのは、初めてだ」
セラス「マスター、あれ見てください!あれ!ほら鳩サブレですよ!」
アーカード「ククク、やれやれ」
アーカード「セラス、学園都市とやらはどこにある」
セラス「えーっと、ちょっと待ってくださいね」
セラス「むむむ、えっと、ここはナリタ空港ですから、あー、多分あっちだと思いますよ」
アーカード「そうか、ご苦労」
セラス「ごめんなさい、マスター」しゅん
アーカード「構わん、お前のミスなど些細なことだ。こうして学園都市に着いたのだからな」
セラス「でも、道間違って沖縄まで行っちゃいましたし、マスターが催眠術を使ってくれなかったら多分いまだに迷ってと思うし…」
アーカード「しつこいぞ、セラス。過ぎたことだ。それより吸血殺しだ、私を殺せる力を持った者がここにいるんだ。くく、くくくくく、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハーーー」
セラス「ま、マスター、恥ずかしいのであんまり往来でそんな風に笑わないでください!」
アーカード「何を恥じる必要がある、セラス。この私を殺せる者がこの街の何処かに存在するんだ。これほどまでに面白いのは、30年前のあの闘争以来だ」
セラス「それで、どうやって、その吸血殺しとやらを探すんですか?」
アーカード「簡単だーーー」
セラス「えっ?あれ?ま、ますたー?」
セラス(き、消えた。ってそういえば今のマスターはどこにでも行けるんだったっけ)
ベルナドット(相変わらずなんでもありなんだな、アーカードの旦那は)
セラス(ま、まぁ、私のマスターだから)
ベルナドット(それはそうとお前はどうすんだ?)
セラス(うーん、マスターを探しながら観光でも?)
ベルナドット(おいおい、良いのかよ。大事な大事なマスターが死ぬかもしれないんだぜ?)
セラス(大丈夫。だってマスターはーーー)
婦警もお日様の下を歩いてんの?
三沢塾。内部。
アーカード「ーーーここか。ここにいるのか、吸血殺しは」
姫神「…?」
アーカード「お前が吸血殺しか、ヒューマン」
姫神「えっ、あなたは…誰?」
アーカード「私か?私は吸血鬼だ」
姫神「!?」
>>11
歩けなかったっけ?
姫神「なんで、そんな、どうして!?」
アーカード「何を狼狽えている、ヒューマン。お前のその力は何のためにある。殺すためだろう?この私を」
姫神「ちがっ、私は誰も殺したくなんて!」
アーカード「……そうか。だが、お前の意識に関係なく、その力は私を殺したがっているようだが、まぁ、いいだろう。今日のところは引こう」
姫神「ーーーっ!」ばっ
姫神「はぁ…はぁ…はぁ…夢?」
アーカード「ーーーセラス」
セラス「あ、マスター。お帰りなさい。どうでした?」
アーカード「化物だ。が、今のアレでは私を殺すことはできないだろう。彼女は単なる我ら吸血鬼にとっての死の塊に過ぎない」
セラス「そうですか、それはそうと凄いんですね、学園都市って!」
アーカード「そうだな、ここは面白い。この私を楽しませてくれるもので溢れかえっている…」
アーカード「面白い。実に面白い。最高だ!」
アーカード「セラス、明日が楽しみだな。なぁ、おい、くくく」
セラス「明日、なにかやるんですか?」
アーカード「この私を殺せる人間のもとに行く。そして、殺し、殺され、それを延々と続けよう」
セラス「私は?」
アーカード「お前は好きに観光でもしていろ」
セラス「はーい」
翌日。夜。
アーカード「いい夜だな、セラス」
セラス「ですね」
アーカード「それでは私は行ってくる」
セラス「あ、はい!」
一方通行「くけけけ、なンだァ、その逃げ腰は」とん
ずしゃああああああーーー!
ミサカ「っ!」どさっ
一方通行「はァ、なンだよ、もォ逃げンのを止めたのか?」
ミサカ(足が、腕も、これではもう立てませんとミサカは)
一方通行「ちっ、つまンねェな、おい。もっと楽しませろよ」
アーカード「同感だな」
一方通行「っ!?」ばっ
アーカード「そんな狗を何匹殺そうがお前の求める無敵は手に入らない」
一方通行「てめぇ、誰だ。この実験の関係者か?」
アーカード「私か? 私はーーー化物だ」
一方通行「は、そォかよ。じゃあ、死ね」ダンっ
アーカード「それは私を殺すということか、人間。面白い」
地を蹴り、一方通行は直進する。が、目の前の大男は、いつの間にか消え、そして、後ろに立っていた
アーカード「ーーーだが、その程度では私を殺せない」
一方通行「っ!」
一方通行(ちっ、テレポーターか!)タン
直後、一方通行は地を蹴り、すぐさまアーカードの元に方向転換し、そのままその細い腕をのばした。
アーカード「どうした、ヒューマン。その程度か」
その腕を払い除けようとアーカードが腕を振るうと、その振るった手が逆方向に曲がった。
アーカード「!?」
一方通行「はっ、なンだ、なンだよ、なンですかァ!どうした、化物。その程度か?」
アーカード「くくく、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハーーー面白い!最高に面白い。これだから人間は!」
アーカード「だが、まだだ!まだ足りない!もっとだ!もっともっともっともっともっともっと!ハリー!ハリーハリーハリーハリーハリーハリーハリー!!」
一方通行「はン、そンなに死に急いでるなら血肉も残らず地獄に送ってやるから感謝しろ」
アーカード「ハリー!!!」
一方通行「…死ね!」シュッ
ぐちゃ!
アーカード「ーーー」どさっ
一方通行「…さてと帰るか」
アーカード「ーーーーーーー」
全身が内側から引き裂かれるように出血して倒れたアーカードを背に、一方通行は歩き出す。が、背後から今まさに殺したばかりの男の声が聞こえた。
アーカード「ーーーどこに行く気だ、ヒューマン。まだ終わってない。この闘争はまだ始まったばかりだろう」
一方通行は振り返った。そこにアーカードが立っていた。それも無傷でーーー出血などなかったかのような振る舞いで立っていた。
一方通行「てめえ、それは一体どういうことだ」
アーカード「まさかあの程度で私を殺したと?殺してしまえると思ったのか、お前は」
一方通行「っ、うるせぇ!」たっ
一方通行(どんな能力かは知らねぇが、脳髄をぶちまけて殺してやる!そうすればもう生き返ることはねェだろ)
姫神ちゃん普段は力封印されてるんですが
>>27
三沢塾にいたときは力を封印されてないよ
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません