モバP「笑顔の練習がしたい?」ほたる「はいっ!」 (19)


P「ふむ……どうしたんだ? いきなり」

ほたる「えぇと……私、もっとアイドルとして頑張りたくって」

ほたる「その為にはもっと笑顔をいっぱい見せられるようになることが必要だって」

P「確かにアイドルとして必要な事ではあるな」

ほたる「はい! ですから、練習をしたいんです!」

P「なるほどねぇ……それに、笑顔の練習は趣味だもんな」

ほたる「これから私が笑顔をしますので、どこをどうすればいいか教えて下さいませんか?」

P「んー……要らないと思うが……それなら俺がやるよりもっといい相手が居るんだ」

ほたる「……それは?」

――――
―――
――

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     こん こん

  「あいてますよ、どうぞ」


     がちゃっ


ほたる「あの、少しよろしいでしょうか……?」

  「あ……ほたるちゃん、今日はどうしたの?」

ほたる「はい……プロデューサーさんに言われて伺いまして……あの、迷惑でしょうか?」

  「えっ? ま、待ってほたるちゃん。まだ用件も言ってないのにそんな」

ほたる「あっ……。ごめんなさい、つい癖で……それで、お願いしたいことがあって来たんです」

  「どんなお願い?」

ほたる「私と……一緒に笑顔の練習しませんか? 裕美さん!」

裕美「えっ!? わ、私?」

白菊ほたる(13) 趣味:笑顔の練習、アイドルレッスン
http://i.imgur.com/ea8sFJf.jpg

関裕美(14) 笑顔が気になるお年頃
http://i.imgur.com/nR1qCQa.jpg


ほたる「はいっ。プロデューサーさんに笑顔の練習相手をお願いしたら」

ほたる「『それならお前にぴったりの相手がいるぞ』って裕美さんの所へ行くように」

裕美「そんな……笑顔の練習なんて……」


裕美(私もまだ笑顔がうまくできてないのかな……Pさんはそういう風に思ってたんだ……)


ほたる「あの……裕美さん?」

裕美「あっ! ううん、何でもないよ。私もそんなに笑顔が上手じゃないから」

裕美「私で練習相手になるかなって……ちょっと心配してたの」

ほたる「でしたら……ご一緒しませんか?」

裕美「えぇと……その、私でよければ」

ほたる「そんな! お願いしているのは私のほうなので、すみません」

裕美「……なんだか、変だね……お互い何もしてないのに謝ってる」

ほたる「……あっ、そうですね……」


裕美「私はそういう練習したことなくって……教えてくれると、うれしいかな……?」

ほたる「はいっ。それでは……笑顔の練習頑張りましょう!」

     きりっ

裕美(笑顔の練習でやる気いっぱいの表情……頑張るのはいいことだけどなんか違う……?)


ほたる「笑顔の練習といっても、単に笑うってだけじゃないんです」

裕美「そうなんだ?」

ほたる「はいっ、目とか、口元とか……眉とか、それぞれをきちんと動かす事が必要なんです」

    ぐにっ…… ぐっ ぐいっ

ほたる「顔をいっぱい動かして、色々動かせるようにする体操がいいんです」

裕美「あ、なんかわかる……」

ほたる「最初は口元ですね……『イ』の発音をする時の形が笑顔の基本となるそうなんです」


裕美「いー」

ほたる「いー」


裕美「こうすると……口角? が上がるね。ボイスレッスンのときもやってる……かな?」

ほたる「顔を大きく動かすのは発声にも関わってきますから……普段の練習でもできますね」

裕美「うん、ほたるちゃん物知りさんだね」

ほたる「そ、そんなことは……レッスンも、笑顔の練習も趣味でやってますから……」

裕美「そうなんだ……すごい頑張ってるんだね」

ほたる「でも……なんだかいつも上手くいかなくて……」


     しゅん……

裕美「あっ、ほたるちゃん口元口元!」

ほたる「あっ! ご、ごめんなさい!」

裕美「暗いお話になっちゃうと笑顔の練習どころじゃないと思う……」

ほたる「そうですね……じゃあもっと頑張っていきましょう!」

      きりっ!


ほたる「気をとりなおして、次は目の表情ですが、これは眉毛を動かすことで作るんです」

裕美「ふんふん……私眉毛細いから大丈夫かな?」

ほたる「私も細いですから……大丈夫です! 太さはあまり関係なくって」

ほたる「緩やかなアーチを描いていればいいんですけど……ちょっと難しいので」

ほたる「目の周りストレッチをして目の表情を出せるようにします」


    ぱちっ!
      くわっ!

裕美「わっ、目を閉じて……大きく開いて、それがストレッチ?」

ほたる「はい。こうすると眉毛を上下できて、眉で表情をつくる事がしやすくなるんです」

    ぱちっ
     ぱちっ!

裕美「目を閉じて……」

     くわっ
    くわっ!

ほたる「ぱっちり開きます!」


裕美(鏡を見てやってるけど……笑顔には程遠いかな……目を見開くとちょっとこわいかも)


ほたる「あとはほっぺたですけれど、口を動かせばほっぺたも一緒に動くので」

ほたる「ほっぺたを柔らかくするマッサージをしましょう!」


    ぐにっ ぐにっ

裕美「手のひらで円を描くように……」

ほたる「ほっぺたをマッサージして柔らかくすれば、口を動かしやすくなります」

裕美「うん、さっき口を動かしたときほっぺたがちょっと……」


   ぐにっ
     ぐにっ

ほたる「これで笑顔の練習をする基本になります」

裕美「うんうん、なんだかいっぱい覚える事あるんだね」

ほたる「これを続けていけば私もいつか笑顔マスターに……!」


      きりっ!

裕美(笑顔マスターって何……ほたるちゃんさっきから笑顔以外は表情豊かだよね……)

ほたる「もういちど二人で一緒に練習していきましょう!」

裕美「うん、私も少しづつ覚えていくね」



     いー
       ぱちっ くわっ
       
       ぐにっ ぐにっ

―――――
――――
―――

ほたる「裕美さん、どうでしょうか?」


    ぐぎぎ…… ぎりぎり

裕美「なんだかアイドルがしちゃいけない表情になってるような……」

ほたる「うぅ……私はやっぱり笑顔になれないんでしょうか」


   しゅーん……

裕美「そ、そんなことないと思うよ! 練習! 練習していこっ!」


    きりきり きゅっ

裕美「ほ、ほら私もまだ笑顔がうまくできなくて」

ほたる「……私たち、もっと頑張っていかないと駄目ですよね」

裕美「……うん」


裕美「Pさんも、やっぱり私たちには練習が必要って思っているんだよね」

ほたる「いえ? Pさんは『練習は要らないけど、どうしてもと言うなら裕美さんと練習しておいで』って」

裕美「え、ええっ!?」

裕美「じゃ、じゃあなんで練習してたの!?」



ほたる「その……裕美さんと練習していたら」

ほたる「『練習は要らない』って言われた理由がわかるかな……って」

裕美「そうなんだ……でも、私たちまだ笑顔が上手にできないよ……」

ほたる「はい……その理由は見つからなくて……どうしよう」


裕美「……Pさんに、その理由聞いてみない?」

ほたる「そのほうがいいでしょうか……?」

裕美「うん、Pさんはいっつも分からない事があったら聞きにおいでって」

ほたる「そうですね……二人でわからないなら三人になればいいんです!」

裕美「うんっ、じゃあPさんのところにいこっか」

ほたる「はいっ!」


―――――
――――
―――


P「で、ここへやってきたと」

ほたる「はい」

裕美「…………」

裕美「あの、Pさん。私たちには笑顔の練習がいらないってどういう事なんでしょうか?」

P「んー、言葉通りの意味だけどね」


    むうっ

裕美「それだけじゃわからないから聞いてるんです……」

P「そう拗ねた顔をするなって、じゃあ答え合わせといこうか?」

裕美「……答え」

ほたる「合わせ……ですか?」

P「そうそう、ちょっと待ってな……資料もってくるから」


     ごそごそ  ごそごそ


P「あったあった、二人の資料」

裕美「これは……」

ほたる「前にあったお仕事の……?」

白菊ほたる(13)
http://i.imgur.com/VVC71gE.jpg

関裕美(14)
http://i.imgur.com/b8jeJcM.jpg


P「えー。笑顔の基本その1『口角を上げる』」

P「その2『眉を上げてアーチを描く』」

P「その3『目をちょっと細めて、生き生きと』」


P「これ、満点だと思うんだよね」

ほたる「……………これ……私ですか?」

裕美「………………こんな、顔してたんだ。私」


P「そ、仕事している間の表情なんて自分じゃ見れないもんな」

P「こういう表情できるからさ、もう要らないんじゃないかなって思ってたんだよ」

裕美「で、でも……こんな表情いつもできるわけじゃないし……」

P「こういった自然な表情は俺や周りも協力しないといけないんだ」

ほたる「協力……ですか?」

P「みんながアイドルとして活動するには周囲の環境とかも必要だからね」

P「特にほたるは……前の環境が、ね」

ほたる「あ……はい……」

P「だからさ、ほたるには練習する事よりものびのびと活動して欲しいなと」

ほたる「のびのびと……」

P「そうすれば『自然な表情』がより出やすくなる」

P「裕美を相手に挙げたのは、年も近いから仲良くできて楽しくやっていけるかなと」


P「次に、裕美はもっと自分に自信を持っていい」

裕美「自信……ですか?」

P「俺と一緒にどれだけやってきた?」

P「最初はそりゃもうぎこちなかったけどさ」

P「少しずつ頑張ってレッスンもして、ライブも勝って」

P「ファンが居てくれる、もう立派なアイドルさ。もっと自分を押し出してきていいんだよ」

裕美「自分を押し出す……はい!」


P「と、まぁこんなところか。あと一つおまけ」

ほたる「……なんでしょうか?」

P「笑顔で悩む人はな、将来『笑顔美人』になるんだ。笑顔になりたいって前向きな考えの現れだから」

P「自分をより良く素敵に変えていける力になるのさ。二人とも笑顔美人になるぞ」

ほたる「私たちが……」

裕美「美人……」


    かぁぁっ

P「はははっ、そういう照れた表情も可愛らしいけどね」

裕美「もぅっ……Pさんからかわないでくださいっ……!」

ほたる「…………はぅ」


P「ま、何はともあれこれからもこのままやっていけば、きっと素敵に輝けるようになる」

P「その為にも俺と一緒に……」

     ぐぅぅぅ

P「あ」

ほたる「今のは……」

裕美「Pさんのお腹?」

P「いやはは……すまん、昼飯をまだ食ってなくてな。なんかかっこつかないなぁ俺」

ほたる「…………ふふっ」

裕美「…………あははっ」


P「お、いいねその表情、一枚撮ろうか? なんてな。これからご飯食べにいくが」

P「二人も一緒にどうだ?」

ほたる「いいんですか? 私なんかがついていって……その」

裕美「私もいいのかな……ううん、自分を押し出せって言われたから……うん! ついていくよっ」

P「そこで自分を押し出されてもな……よし、二人ともついておいで!」


  「「はいっ!」」


おしまい

おわり感謝。短いけどこれで
>>3>>11を見比べると二人の成長が伺える、守りたいこの笑顔

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