月火「火憐ちゃんには生でして、下の妹の私にはゴム付けるんだ?」 (51)

扇「ひっかかりましたね?この愚か者」

扇「こんな見え見えの腹筋スレに飛び込んで来てしまう、夏の虫より愚かな貴方に扇ちゃんから朗報ですよー」

扇「IDの数だけ腹筋してください」

扇「良かったでしすねえ。近頃の運動不足が解消されるのではないでしょうか?」

扇「あ、IDに数字のない方は腕立て伏せ100回で」

扇「ま、テキトーに頑張ってくださいよ」


阿良々木「くそっ!」フンッフンッ

扇「って言うか、どうして阿良々木先輩がこのスレにひっかかってるんですか?」

阿良々木「それはだな!妹たちのいかがわしいスレを見つけたので、兄として一言注意しようと思ってだな」フンフンッ

扇「スレ開いた瞬間に『くそっ!』と悪態をついていたではありませんか」

阿良々木「ははっ!何のことかわからないなあ!」フンッフンッ

阿良々木「いやー、妹たちのいかがわしいスレなんて無くて本当に良かったー!」フッフンッ

扇「阿良々木先輩が愚か者過ぎて、扇ちゃんドン引きですよ」

阿良々木「男とは、そして兄とは皆愚かな者なのさ」フッフッ

扇「全世界の妹を持つ兄に謝罪してください。この愚か者」

扇「いや、もう愚か者の一言では済まないレベルで愚かですねえ阿良々木先輩は」

阿良々木「愚かを超えた先に真の栄光があるのさっ!」フッフンッ

扇「そうですか。かーっこいいー」

阿良々木「あえて妹スレを開く勇気!」フンッフンッ

扇「へぇ。興味深いですねえ」

扇「一見すると妹のエロ見たさにスレを開いた変態ですが、
まるで本当は腹筋など省みずに妹の安否を確認しようとする勇者に見える!
全然そんな事はないのに」

阿良々木「だろう!?」フンフン

扇「いえ、阿良々木先輩は変態シスコン野郎にしか見えませんけどね」

阿良々木「あえてシスコンの汚名を受ける勇者!」フンフンッ

扇「それはもはや、シスコンを汚名と言っている時点でシスコン兄失格でしょう」

阿良々木「なんと!僕とした事が!」ガクッ

扇「あ、休まないでください。続けて」

阿良々木「・・・フンッ!」フッフッ

扇「そうです。休憩を挟んだらはじめからやり直しですよー」

阿良々木「ううっ、何で僕は後輩女子を背中に乗せながら腕立て伏せをしているんだろうか・・・?」フッフッ

扇「何故腕立て伏せかと問われると、IDに数字が無かったからでしょうか?」

阿良々木「僕が聞いているのはそんな事じゃない!」フッフッフンッ

扇「根本的な原因という事ですか?それでしたら、愚か者な阿良々木先輩がこのスレに引っかかったからですね」

阿良々木「それじゃないやつ!」フンッ!

扇「私が阿良々木先輩の背中に座っている事を指しておっしゃっているのなら、これは私の趣味ですよ」

阿良々木「良い趣味してるぜ・・・!」フンフンッ

扇「ところで妹々木先輩」

阿良々木「それ何て読むの!?」

扇「失礼、噛みました」

阿良々木「違う。わざとだ!」

扇「かみまみた!」

阿良々木「わざとじゃない!?」

扇「神はいた」

阿良々木「どんな奇跡体験をー!?」

扇「いえいえ阿良々木先輩。あなたこそ、たびたび神に出会っているではありませんか」

扇「どんな奇跡体験を、だなんて。他でもないあなたがそれを言っちゃいますか?って話です」

阿良々木「・・・。」

扇「ほら、手を止めないでください。腕立て腕立て」

阿良々木「あ、ああ・・・」フッフッ

扇「例えばですが、私が蟹の神様に出会って体重が軽くなってたら、今この腕立て伏せももっと楽だったかもしれませんねえ」

扇「ねえ阿良々木先輩?」

阿良々木「・・・扇ちゃん?」グッ

床を向き、腕立て伏せをする僕からでは、扇ちゃんの表情は見てとれない

阿良々木「僕、扇ちゃんにそんな事まで話したっけか?」フンフン

阿良々木「あ、それとも忍野のヤツかな?」

扇「どっちでもいいじゃないですか。そんなの」

扇「それより、今は神様の話ですよお阿良々木先輩?」

扇「私の専門でもありますし、ね」

阿良々木「・・・。」フッフッ

阿良々木「専門?」フンフンッ

扇「ああ、専門は言い過ぎでしたね。メインフィールドと言ったところでしょうか」

阿良々木「それ、どう違うんだよ」

扇「なんとなく外来語を使うと、言葉にワンクッション敷かれて曖昧になるんですよ」

阿良々木「むぅ」

相変わらず言い換えが上手い子だ
いや、前にどんな会話をしたのかを、僕はあまり憶えていないのだけれど

扇「『お百度参り』ってありますよね?」

阿良々木「あの、神社とかのかい?」フンフンッ

阿良々木「神社に百日間通うと、願い事が叶う、みたいな」フンッ

扇「ええ。その認識で大丈夫ですよ」

扇「それでですね。お百度参りにも地方や風習によって、いろんな種類があるんです」

阿良々木「へえ、そうなのかい?」フンフン

扇「ええ。例えば、神社の方角に向かって百度跪いてみるだけでお百度参り。みたいな」

阿良々木「ふーん?土下座100回でお百度参り達成かぁ。・・・敷居が高いような、低いような?」フッフ

扇「まあ、短時間でお百度参りが出来てしまうという意味では現代向けかもしれませんね。腰やら腕やらがキツいでしょうが」

阿良々木「腕?腕は関係ないんじゃないか?」フンフンッ

扇「ああ、いえ。こっちの話です」

阿良々木「・・・?」フンフンッ

扇「それでですね。そのお百度参りをする場合には注意点があるんですよ」

阿良々木「お手軽な方法には何かしたの欠点がある。って事だな」フッフン

扇「そうですね。ええと、神様というのは、基本的に上から物を見ているんです」

扇「おっと、態度が上から目線というわけではありませんよ?俯瞰視点という意味です」

阿良々木「頭が高いと行けない、みたいな事かい?」フンフン

扇「ちょっと違いますね」

扇「この方法でお百度参りをする場合に、
『自分より高い位置に頭がある人がそばにいると、神様がその人が願い事をしたと誤解してしまう』んですよ」

扇「だから、この方法を試す場合には必ず一人で、周りに立っている人がいないかを確認してからでないといけません」

阿良々木「ははは、100回土下座してお願いしたのに、手柄だけそばに立ってたヤツに持っていかれたらたまらないもんな」フッフ

扇「まったくですねえ」

阿良々木「あぁ~、そろそろ限界・・・」ぐらっ

扇「おっと阿良々木先輩。もうちょっとですから頑張ってくださいね」

扇「ここで休んだらもう100回やり直しですよー?」

阿良々木「それも悪くないなぁ」

扇「はい?」

阿良々木「いや、もう100回分ほど扇ちゃんのお尻の感触と温もりを背中に感じるのも、悪くないかなって思ってさ」

扇「本当に愚か者ですね。阿良々木先輩」

阿良々木「あー、やっぱり無理!100回とか無理!ギブ!」バタッ

扇「・・・やれやれ。上手くいかないなあ」

扇「さて、ここまで読んでくれた愚かな上に暇人な皆さんには、私、扇ちゃんから更なる朗報ですよー」

扇「腕立て伏せをもうあと100回追加です」

扇「腕立て伏せをする時には、くれぐれも最寄りの神社や神棚の方角」

扇「および、周囲に人が居ないかの確認を怠らないようにしましょうね」

扇「扇ちゃんとの約束ですよ?」

扇「それでは、必死になって頑張ってくださいね」


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