鬼「ここは地獄なわけです」鬼「熱いですね」(463)

鬼「地獄ってこう変なイメージありますよね」

鬼「うんうん」

鬼「針地獄とか血の池地獄とか」

鬼「バカかと、アホかと」

鬼「ですねー」

鬼「地獄ってところはそんなに甘いもんじゃないわけよ」

鬼「うんうん」

鬼「閻魔様に舌を抜かれるなんて馬鹿馬鹿しいにもほどがあるっしょ」

鬼「いえーい」

鬼「人間ってほんと想像力が無駄に豊かというかなんというか」

鬼「そうですね」

鬼「おーい。二名様ご案内してたもれー」

鬼「うーす」

鬼「そういえば、今年はお盆休みなかったなぁ」

男「ここは……」

女「え……え……?」

鬼「お、どうもどうも」

男「うわぁあああ!!?!?」

女「鬼……!?」

鬼「はぁい、鬼です」

鬼「ようこそ、地獄へ」

鬼「こちらのソファにおかけください」

男「はぁ……」

女「すいません」

鬼「どうぞ粗茶ですが」

女「どうも……」

鬼「えー、では、地獄のシステムについてなんですが」

男「まってください!!ここ地獄なんですか!?俺、死んだんですか?」

鬼「めっさ、死んでますよ?」

男「そ、そんな……」

女「はぁ……」

鬼「なんで死んだか、覚えてないんですか?」

男「え、ええ」

鬼「えっと……男さんは幼女をレイプしようとして……チンコ噛まれてショック死ですね」

女「うわぁ」

男「ええええ!!?!?!いやいや!!!」

鬼「あ、すいません。間違えました。自殺ですね」

男「びっくりしますよ」

鬼「女さんは死刑ですね。あはは」

女「……」

鬼「じゃあ、えっと、地獄のシステムについて説明しますね。おーい」

鬼娘「はーい。えっと、地獄には八種類の地獄に分かれてまして、まあ、どこに行くか決めてもらえるようになってます」

男「自分で行きたいところ決めて良いんですか?」

鬼「はい。最近、イメージしてた地獄と違う!ってクレームが多くて。ニーズにお応えしなければなりませんし」

女「鬼さんも大変なんですね」

鬼「まあね」

鬼娘「では、八大地獄について説明致しますね」

鬼娘「まずは、等活地獄。ここでは小さな生き物の世話を延々とやってもらう地獄です」

女「生き物って?」

鬼娘「ハムスターとかフェレットですね」

女「あら、かわいい」

鬼娘「次に黒縄地獄。ここでは最高の鍛冶師を目指してもらいます」

男「鍛冶師?」

鬼娘「最近、職人が減ってるじゃないですか?」

鬼「金棒職人が欲しいんですよ」

男「なるほど」

鬼娘「で、つぎが―――」

女(なんだか、楽しそう……)

鬼娘「はい、以上です。何かご質問は?」

男「一度選んだ地獄は変更できないんですか?」

鬼「一カ月以内なら可能です。ただし、一カ月を過ぎると100年間は変更できません」

男「100年……」

鬼娘「で、同じ地獄で一兆年過ごすことができれば天国にいけます」

女「はぁ……気が遠くなるわね」

鬼「でも、金棒職人として大成すると100年で天国にいけることもありますよ?がんばってください」

男「……」

鬼娘「では、地獄のほう何にしますか?」

男「多くの男性はどこを選ぶんですか?」

鬼娘「それは……やっぱり、衆合地獄ですね……鬼娘と一日一回SEXする地獄ですし」

男「やっぱり……」

鬼「まあ、でも、大変ですよ?SEXなんて三日で飽きるし、鬼娘はみんなエロいし」

鬼娘「あー先輩ひどーい、セクハラー」

鬼「え?あ、ごめん」

女「じゃあ、女性は?」

鬼娘「えっと……叫喚地獄とかですかね」

女「確か一日一升瓶の日本酒を飲む場所でしたっけ?」

鬼「女性って死んでからのストレスを酒で発散させようとする傾向があるみたいで」

女「そうなんですか」

鬼娘「あとは焦熱地獄も人気ですね。ダイエットできるから」

女「そうなの?」

鬼「まあ、プールもありますしね。ただ、体重は理想でキープしてもらうことが条件です」

女「キープできないと?」

鬼娘「最終地獄、阿鼻地獄に行っていただきます」

男「確か……その人にとって一番嫌な事をされ続ける地獄でしたね?」

鬼娘「大概の人はゴキブリ風呂になるんですけどね」

女「いやぁ……そんなのぉ……」

鬼「さ、決めてください。まあ、時間をかけてくれてもいいですけど」

鬼娘「どうせ死んでますから、時間なんてあってないがごとしー」

男「……じゃあ」

女「私は……」

男&女「等活地獄で」

鬼「ほぉ」

鬼娘「なるほどなるほど」

男「あ、あなたもですか?」

女「あなたも?」

鬼娘「分かりました。ではこちらに来てください」

男「はい」

女「……」

鬼娘「でも、生き物を育てるのって大変ですよ?」

男「はい。でも、死んだのにセックスなんてしたくないですし」

女「私も別に体重を気にしてないから」

鬼娘「そうですか。―――では、行ってらっしゃいませー♪」

――等活地獄

カランカラーン

鬼店員「いらっしゃいませー、地獄のペットショップ『ゴートゥーヘル』にようこそー」

男「あの、ここでペットを飼うとのことなんですか」

鬼店員「そうですね。無償提供させて頂いてます」

女「普通のペットショップみたいだけど……」

男「この鬼シーズーってなんですか?」

鬼店員「ああ、普通のシーズーです。人間界から仕入れました」

男「へえ」

鬼店員「血統書付きですよ?」

女「この鬼ミドリガメも?」

鬼店員「はい。普通のミドリガメです」

男「鬼ウサギ……鬼アメリカンショート……鬼柴犬……」

女「鬼フェレット……鬼マングース……」

鬼店員「どれにします?どの子もいい子ですから、育てやすいですよ?」

男「じゃあ……この鬼金魚で」

女「私は鬼ウサギにしようかなぁ……あ、やっぱり鬼ペルシアンにします」

鬼店員「ありがとうございますー。えっと、二点でゼロ円になりまーす。こちらレシートですから」

男「どうも」

女「ところでどこで飼えばいいんですか?」

鬼店員「あ、そうですね。おーい」

鬼娘「はーい」

鬼店員「この人たちを飼育小屋に案内してあげて」

鬼娘「はーい。では、こちらですぅ」

男「はい」

女「お願いします」

鬼娘「お二人ともここは初めてぇ?」

男「はい。初地獄で……」

鬼娘「初めは大変だと思いますけど、がんばってくださいねぇ?」

女「は、はい」

地獄の練馬区 高野台 3丁目 ワンルームマンション

鬼娘「ここですぅ」

男「へえ……意外と良い部屋ですね」

女「あの……私達、二人で住むんですか……?」

鬼娘「え?じゃあ、私と三人ですみますぅ?」

男「ええ?!」

女「あ、いや、そういう話では……」

鬼娘「そうですねぇ……最初は大変ですもんねぇ……わっかりましたぁ!私が一肌ぬぎますよぉ」

男「いや、だから……」

鬼娘「とりあえずぅ、その金魚さんをどこかに置いたほうがいいですよぉ?」

男「そ、そうだな……じゃあ、このテーブルの上に……」

女「この子もケージの中にいれとこう……」

猫「にゃーん」

鬼娘「かわいいですねぇ……うりうり」

猫「にゃーん♪」

男「……餌でもやるか」

金魚「……(パクパク」

女「あの、私にも撫でさせてください!」

鬼娘「もうちょっとだけー」

猫「にゃーん」

女「それ、私が選んだんですよ!?」

鬼娘「きゃー、このお姉さんこわいにゃー?」

猫「にゃー」

鬼娘「ほら、この子も怖いっていってますよぉ?」

女「なんでよぉ!!」

金魚「……」

男「うん……金魚も悪くないな」

鬼娘「うりうり♪」

女「だから、私にも触らせてー!!」

―――夕方

鬼娘「よしよし」

猫「にゃーん」

女「はぁ……結局、鬼娘さんに懐いた……」

男「ところで、こうやってペットの世話をするだけでいいんですか?」

鬼娘「まあ、そうですね。ここはそういう地獄ですし」

男「……」

女「なんか別に苦しくないんですけど……」

鬼娘「でも、必ずペットを飼ってもらいますからねぇ……きっと大変ですよ?」

男「そうかな……俺はこの状況の方がちょっと……あの……」

女「変なこと考えてます?」

鬼娘「すけべー」

男「いや、だから……!!」

金魚「……」

鬼娘「金魚さんも男さんのスケベっぷりに呆れてますね」

男「そういえば……なんかお腹減ってきた」

女「私も」

鬼娘「じゃ、ご飯にしますかぁ。私ってこう見えてもお料理とくいなんですよぉ?」

男「そうなんですか?」

鬼娘「はい♪」

女「死んでもお腹って空くんだ……生きてるときと変わらないわね」

男「そうですね」

鬼娘「じゃ、なにをつくりましょうか?」

女「そういえばこの部屋、家具も家電も一式そろってますね」

男「冷蔵庫とか一体なにが……」

鬼娘「なんでも揃ってますよぉ?」

男「ほんとだ……ぎっしりある……」

鬼娘「食材は自動で補充されますから、尽きることはまずありません。安心してください」

男「はぁ」

女「テレビまで……なにかやってるかな?」

テレビ『はーい!こんにちはー!!赤鬼と青鬼のニュースの時間でーす!!』

女「……」

男「はい、これ。前菜にモロキュー」

女「あ、ありがとう……(もそもそ」

テレビ『では、一発目のニュースからだ。今日、地獄の大阪市浪速区で鬼娘のブラジャーが相次いで盗まれるという事件が発生したぜ』

テレビ『ひゅー、今時の鬼娘も大変だ』

女「……」

鬼娘「よっと、ほっと」

猫「にゃーん」

鬼娘「あ、男さーん。猫さんに猫缶あげてくださーい」

男「ああ、わかりました……これか……おーい、こいこい」

猫「にゃーん♪」

テレビ『犯人が早く見つかるといいね、青鬼?」

テレビ『そうだな。じゃあ、二発目の事件だ。地獄の北海道で鬼娘の胸が激しく揉まれる事件が発生。犯人は鬼中学生らしいぜ』

女「……地獄も大変ね」

―――夜

男「洗い物は俺がします」

鬼娘「えーそんなぁ、私がしますよぉ」

女「ふわぁぁ……」

猫「にゃふぁぁ」

女「眠いのー?」

猫「にゃあ」

女「そっかそっか。もう寝る?」

猫「にゃ……」

鬼娘「あ、女さん。お風呂、お先にどーぞ」

女「え?お風呂もあるの?」

男「俺は最後でいいですから」

女「じゃあ、お先に失礼しちゃう」

鬼娘「どうぞ。―――あ、ドラマ『振り返れば鬼がいる』の時間ですぅ」

男「さてと、さくっと済ませるか」

男「―――ふう、さっぱりした」

女「……じゃあ、この子たちは普通に死ぬわけ?」

鬼娘「ここは生き物の尊さを身を持って知ってもらう地獄ですからぁ」

女「はぁ……なるほど……生き物は大体10年くらい生きるから……」

男「何の話ですか?」

鬼娘「この地獄のことを少し」

女「ペットは普通に寿命で死んでしまうみたいなの」

男「そうなんですか?」

鬼娘「人間界から仕入れてきた子たちですからね」

男「じゃあ……10匹ほど飼ってようやく別の地獄に行けるってわけですか……」

鬼娘「天国に行こうと思ったら最低でも千億匹程度は飼っていただきます」

女「その分だけお別れをしないといけないってことですね……」

男「そういうことか……」

鬼娘「もちろん飼い方が悪いと早死にしますし、寿命の短い生き物を繰り返し飼ってしまうと大変ですね。ちなみにペットを殺害したら阿鼻地獄行きですよぉ?」

女「それは分かってるわ」

猫「すー……すー……」

女「そっか……そういうことだったのね……」

鬼娘「この地獄はかなり脱落者が多いんですよぉ」

金魚「……(スイスイ」

男「そうなんですか?」

鬼娘「ペットの死を何万回と繰り返したあたりで、大概の人は発狂しちゃって、生き物を殺してしまう傾向がありますね」

女「そんな……!?」

鬼娘「初めはみなさん「そんなことはない」って思うんですけど……実際は……やっぱり辛いですから」

男「……」

金魚「……?」

男「そうかもしれないな……」

鬼娘「それに……もう一つ、この地獄の特徴が……」

女「まだ、あるんですか?」

鬼娘「ある一定期間、動物と過ごすと、動物と会話できるようになってしまうんです。閻魔様がより感情移入しやすくさせるためにと……」

男「なにぃ!?」

女「そんなこと……!?!」

鬼娘「まあ、大体は一週間ぐらいでペットの声が聞こえてくるとおもいますぅ」

男「それは……ちょっときついですね……」

女「う、うん……」

鬼娘「ま、地獄ですから決して楽なことはありません」

男「はぁ……確かに地獄かもしれない」

鬼娘「まあまあ。先は長いですし、気長にいきましょう。それに男さんはハーレム状態ですし、いいじゃないですかぁ」

男「ええ!?」

女「……(ジロ」

男「ああ、ちょっと女さん!!?」

鬼娘「まあ、どうしても溜まってしまって我慢できなくなったら、私に言ってくださいね?女さんを犯しちゃうと阿鼻地獄行きですからぁ」

男「えぇ!?」

女「鬼娘さんがどうにかするの?」

鬼娘「はい♪できる範囲で、ですけど」

男「………いやいやいや!!!」

―――深夜

鬼娘「では、電気けしますねー」

女「はぁーい」

男「……」

パチン

鬼娘「むふふ……(モゾモゾ」

男「ちょっと……そんなにひっつかないでください」

鬼娘「えー、だってこの部屋、せまいんですもん」

男「いや、だからって……というか、女さんとベッドで寝てくださいよ」

鬼娘「シングルベッドですから無理です」

男「いけますって!」

女「鬼娘さん、男さんをからかわないで。こっちにきなさい」

鬼娘「はーい」

男「はぁ……」

女「おやすみ」

―――翌日

男「ふわぁぁ」

金魚「……」

男「あ、餌あげないとな……ほーら」

金魚「……がと」

男「……え?」

金魚「……(ぱくぱく」

男「気の所為か?」

猫「にゃーん」

女「ふわぁ……はいはい、朝ごはんね」

鬼娘「うごー!うごー!!」

女「ったく、可愛い顔していびきが酷いんだから……」

猫「……だね」

女「ん?―――気の所為?」

猫「にゃーん」

テレビ『鬼ってる朝のニュース!!!』

女「……(シャコシャコ」

男「女さん、歯磨きしながらテレビを見ないでくださいよ」

女「べふにいいふぇふぉ?」

男「全く……」

鬼娘「はーい、トースターが焼けましたよ!」

男「あ、すいません」

テレビ『えーじゃあ、次はお待ちかねの占いの時間だ!』

鬼娘「おお!始まりましたね!!」

女「うんうん」

男「やっぱり女性って占いが好きなんだ……」

金魚「あー、今日の運勢は最悪なのねー」

男「―――え?」

猫「占いなんてどこが良いんだ?」

女「―――お?」

男「しゃべった!?」

金魚「あ、男さん。どうも。私、金魚ですの」

女「ふぁべっふぁ!?!?」

猫「うわ!きたねえ!!!歯磨きしながらしゃべんじゃねえ!!」

女「ごめんふぁふぁい……」

猫「さっさと濯いでこい」

女「ふぁーい」

鬼娘「おやおや……まさか一晩で声が……波長があったんですね、きっと」

男「そういうものですか?」

鬼娘「動物のほうが飼い手を気に入ったりすると早く聞こえてくるんですよ」

男「へえ」

金魚「男さんのエサはすごくおいしかったですの」

男「市販されてるやつだけど」

猫「僕は女の匂いに惚れただけだがな」

女「―――なにそれ?」

猫「落ち着くっていみだよ」

女「鬼娘さんに懐いてたくせに」

猫「いいだろぉ、べつに」

鬼娘「こっちにきてくださーい」

猫「にゃりーん♪」

女「ペルシアンってもっと上品かと思ってたけど……違うのね」

猫「僕は上品なほうだけど?」

女「『僕』って一人称だけじゃない」

金魚「男さん、かっこいいですの……うふ」

男「ありがとう。君もトサカがかわいいよ」

金魚「もう……男さんの、スケベ……」

男「ええ!?」

鬼娘「さてと、今日から賑やかになりますね。がんばりましょー!」

―――昼

テレビ『お昼の鬼ワイドショー!!』

女「―――鬼にも芸能ニュースとかあるのね」

猫「地獄も人間界とそんなに変わんないからな」

女「ふうん」

猫「それより、猫缶くれ。僕、お腹すいた」

女「はいはい」

男「君もお腹すいた?」

金魚「ペコペコですの」

男「ちょっと待ってて」

鬼娘「鬼チャーハンと地獄ラーメンできましたぁ!!」

女「ありがとう」

男「すいません」

鬼娘「いやぁ……良い鬼嫁になるのが夢なんで……家事は得意なんですよぉ……えへへ」

金魚「んー……男さんの手から賜る食事……たまりませんですの♪」

男「ふう、ごちそうさま」

鬼娘「お粗末さまでしたぁ」

女「……」

男「じゃあ、洗い物を……」

女「あ、あの……」

男「え?」

女「わ、わたしがやる……というか、やらせて」

男「そんな、いいですよ」

女「いいから。昼は私がする」

男「そうですか?」

鬼娘「全部、私がしますけど?」

女「いいの。何もしないって意外と苦痛だから」

猫「へえ……僕はこうして寝ている方が幸せだけとなぁ」

金魚「ですの」

女「うっさいなぁ。別にいいでしょ」

男「でも確かにこうして部屋の中にいるのも飽きちゃいますね」

鬼娘「あのー、地獄なんで……苦痛を覚えてもらうほうが私的には嬉しいんですけど」

男「部屋を出ちゃ駄目なんですか?」

鬼娘「別にいいですよ?あ、近くに地獄の石神井公園がありますよ?行きます?」

猫「おー、散歩かぁ……いいねえ」

男「へえ、どんなところなんですか?」

鬼娘「でっかい血の池があって、スワンボートとか借りれますよ?」

金魚「うふ……行ってみたいですの」

男「君は散歩したいの?」

金魚「男さんが鉢ごと運んでくださればデートもできますの」

男「結構、むちゃくちゃ言うんだな……」

女「いいじゃない、行きましょうよ」

鬼娘「では、私が案内しますよぉ」

猫「ひゃっほー♪」

―――地獄の石神井公園

赤鬼「まてまてー」

黄鬼「うふふふーつかまえてごらんなさーい♪」

青鬼「はい、あーん」

桃鬼「もぐもぐ……うまい!」

女「へえ、鬼が多いのね」

男「地獄ですしね」

鬼娘「でも、ほら、向こうに御二人と同じ境遇の人間さんもいますよ」

男「ホントだ……あれはラブラドールか」

女「少し話を聞いてみる?」

鬼娘「参考にするんですね?良いと思います」

男「すいません」

女性「……はい?」

ラブラドール「――――だれじゃい!?」

男「うわ!!!こわ!!」

地獄の天皇はいますか?

地獄の大佐ならいそうだがw

女性「こら、め」

ラブラドール「すまぬ。しかし、主を狙う不逞の輩とも限らんからのぉ」

男「あ、すいません……えと、俺、この前ここに来たばかりで」

女性「ああ……そうなんですか」

女「はい」

鬼娘「えっと……女性さんですね……既にここに住み始めて50年とあります」

女性「ええ」

男「へえ……じゃあ、その子は4匹目ぐらいですか?」

女性「いえ、10匹目なんです」

女「え……」

女性「私、鳥が好きでずっと鳥を飼ってきたんですけど……みんな意外と早く死んじゃって……」

男「そ、そうですか……」

女「あの……やっぱり辛い?」

女性「……はい。正直、鳥の姿はもうみたくありません……」

男「そ、うなんですか……」

ラブラドール「主、泣かんといてくれ。ワシまでかなしくなるじゃろ」

女性「……ごめん、なさい……」

女「……」

金魚「可哀想ですの……」

猫「ま、いつかは死ぬんだしな……こればっかりはしかたねえ」

男「すいませんでした。変なことを聞いてしまって」

女性「いえ……私のほうこそ、ごめんなさい……みっともないですね……ここは地獄なのに……」

男「……」

女「あの……アナタはどうして地獄に来たの?」

女性「私は……」

鬼娘「女性さんは度重なる窃盗で地獄に来ました」

女「そうなんですか……」

男「そういえば……女さんって死刑とかって言ってましたね?」

猫「マジ!?女、犯罪者なのか?!」

女「……う、ん」

新宿の地獄の二丁目にて

地獄の大佐がリビアから密かに逃げてきた

大佐「カマ鬼ママ、ぼくちゃんを匿ってよぉ~」

金魚「どんなことをして死刑になったんですの?」

女「……日本で死刑になるって、そんなにないでしょ?」

女性「殺人、ですか?」

女「うん……五人も殺しちゃった」

男「え……」

猫「いっちゃあなんだけど、そんな風には見えないぜ?」

鬼娘「これ、言ってもいいんですかぁ?」

ラブラドール「あまり掘り返さん方がよくないかの?」

男「そうですね……この話はもういいでしょう」

金魚「ですの。地獄に落ちたら皆、一緒ですの」

猫「だな!」

女「みんな……」

女性「じゃあ、私はこれで……」

ラブラドール「達者でな」

男「はい。ありがとうございました」

―――血の池

鬼娘「ここでスワンボートをかりれますよぉ」

鬼「一時間、100ペソね」

男「ええ!?!?」

鬼娘「つまり、無料です!」

女「な、なんだ……」

金魚「男さん、一緒に乗るですの」

男「そうだな……まあ、君は漕げないけどな」

金魚「ですの!」

鬼娘「あ、じゃあ、私がご一緒しますぅ」

猫「んじゃ、僕たちは普通のボートに乗るか」

女「そうね……一人でも漕げるし」

鬼娘「スワン一隻にボート一隻で」

鬼「あいよー」

キュコキュコ……

男「はぁ……意外と疲れる……」

金魚「男さんファイトですのー!」

鬼娘「ごーごー♪」

男「いや、こっちの速度に合わせてくれないと、旋回しちゃうんですけど?」

鬼娘「え?」

男「スワンの仕組み、知らないんですか!?」

鬼娘「生憎と」

男「はぁ…・・もういいです……ちょっと休憩……」

金魚「んー、不思議ですの」

男「なにが?」

金魚「私、男さんも女さんも、さっきの女性さんも悪い人には見えませんですの」

男「……」

鬼娘「まあ、そうでしょうね。極悪人さんは大概セックス地獄にいきますからねぇ」

金魚「なんですか?!そのいやらしげな地獄は!?どんなところか詳しく教えてくださいですの!!!」

鬼娘「ああ、えっと―――」

男「鬼娘さん、こんな小さな子に何を教える気ですか?」

鬼娘「え?ダメですか?」

男「ダメですよ」

金魚「うきゅぅ……欲求不満ですの……」

鬼娘「ねー?」

男「……はぁ」

金魚「で、男さんってなんで地獄に来たんですの?普通はそのまま天国に直行しても良い気がするんですの」

男「それは……」

鬼娘「自殺は問答無用で地獄行きになりますからねぇ……男さんの場合は朝の駅で線路に飛び込みましたし。多くの人に迷惑が……」

男「……ああ、そういえば……そんな死に方でしたね。今、思い出しました」

金魚「どうして自殺なんてしたんですの?」

男「……死んだんだ……ペットが」

金魚「え……?」

男「俺の唯一の支えだったペットが死んじゃって……それで、どうでもよくなって……俺も死んだ」

地獄の大佐「すべてかみついてやる」

鬼娘「そんなどうでもいいような理由で……」

男「どうでもよくない!!!」

金魚「うひゃ!?」

鬼娘「……」

男「……俺……何をするのもダメで……大学だって三浪して平均的なところにしかいけなくて……」

金魚「男さん……」

男「就職もなかなか決まらなくて……それでも、俺のペットだった猫だけは、いつでも俺を慰めてくれた」

鬼娘「まあ、なんとも独身男性みたいな人ですねえ」

男「……なんとか就職したけど業績は全然伸びなくて、毎日残業してたし……それでも家に帰れば猫がいて……それだけが嬉しくて……」

鬼娘「で、ある日、死んじゃったわけですか……」

男「猫のいない生活は空虚だった。家ではずっと天井を眺めていた気がする……」

金魚「男さん、可哀想ですの……」

鬼娘「で、もう一度ここを選んだ理由は?そこまで辛い想いをしたのなら……」

男「……期待したんですよ。もしかしたら、ここに俺の飼っていた猫がいるかもって……実際、イメージとはかけ離れてて……いないようですけど」

金魚「すいませんですの……淡水魚で」

鬼娘「まあ、というか動物が地獄に来ることは稀ですけどねぇ」

男「……」

金魚「あのぉ……」

男「ん?」

金魚「男さん……じゃあ、もうこの地獄から出たいんですの?」

鬼娘「一カ月以内なら移動は大丈夫ですからねー」

男「……」

金魚「私が死んだら男さんは悲しんでくれる……それは嬉しいですの」

男「金魚……」

金魚「でも、それで男さんがおかしくなるのはもっと嫌ですの!」

男「……」

金魚「どうぞ……私をこの池の中に放してくださいですの……」

鬼娘「すごい献身ぶりですねえ……」

男「……できるわけないだろ……動物が好きなんだから……」

金魚「でも、それじゃあ……また繰り返してしまうんですの」

男「100年……それで次の地獄にいけるから」

金魚「男さん……」

男「大丈夫。君がいつかいなくなって、一時の悲しみはあると思う。でも、次はゾウガメとか飼えば良いと思うし」

金魚「ええ!?」

鬼娘「売ってますかねぇ……そんな長寿ペット」

男「あはは……君を途中で捨てたりしない……大丈夫だ」

金魚「こんな淡水魚でいいんですの?ニモにもなれない金魚ですのに……」

男「喋ってるし……十分、ニモだと思うけど」

鬼娘「男さん……かっこいいですねぇ」

男「そうかな……。ペットはやっぱり、最後まで責任を持たないといけないだろ」

鬼娘「ふふふ……あのぉ」

男「え?」

鬼娘「鬼嫁に興味あったりします?」

男「ええ!?」

金魚「魚のお嫁さんも考えてほしいですのぉ……♪」

ギーコ……ギーコ……

猫「向こうは随分楽しそうだな……ふわぁぁ」

女「眠たいの?」

猫「まあね……ところで、聞いても良いか?」

女「……殺人のこと?」

猫「やっぱりさ、良い匂いがするんだよ」

女「は?」

猫「良い匂いがする女に悪い奴はいないって、昔ばあちゃんから聞いたことがあるんだ」

女「ふふ……なにそれ」

猫「話したくないなら、別にいいんだけど」

女「やっぱり、気になるんでしょ?」

猫「僕としては主人のことを骨の髄まで知っておきたいからな」

女「はいはい」

猫「で、五人も殺したって……どういうことなんだ?」

女「―――私、ずっとね犬を飼ってたの」

猫「犬?」

女「うん……中学校から十年間……ずっと一緒だった。私の弟みたいな存在だった」

猫「ふうん」

女「でも……ある日ね……急にいなくなったの。庭で飼ってたんだけど……朝起きたらもういなくて」

猫「大型犬か……」

女「必死に探した。毎日、毎日行きそうな場所や聞きこみだってやった」

猫「で……見つかったのか?」

女「河川敷でバラバラになった状態で袋に入れられてた……」

猫「エグ……って、まさかそこから殺人って……犯人を?」

女「うん……犯人は地元の中学生だった……結構有名でね。野良猫とかを殺してたみたい」

猫「じゃあ……殺した相手は……」

女「そう……死んでもいいような屑を五人殺した……」

猫「むう……」

女「裁判では見事に死刑判決だったけど……別に後悔はなかった……むしろ、よかったって思った」

猫「どうして?」

地獄のランボー「イヤッホゥー」カクカク

地獄の大佐「!?。お、お前は地獄のNATOの回し者!」

ランボー「そうだ。貴様のケツを掘るまでは地獄の果てまで追いかけるぜ」カクカクカクカク

大佐「」ゾク!

カマ鬼ママ「ここじゃ普通だけどね」

女「五人も殺したんだよ?死ななきゃ、おかしいよ……」

猫「そうか……」

女「ごめん。気分悪いでしょ?」

猫「いや……で、もう一度この地獄を選んだ理由は?」

女「偽善なんだけど……生き物を育てることで天国に行けるなら……人を殺した私にぴったりかなって」

猫「命を育んでいけるからか?」

女「そう……人を殺しても命を育てることを許されるんだって思って」

猫「なるほどね」

女「ごめんね、こんな飼い主で。嫌だよね?」

猫「バカ。僕は猫だよ?」

女「え?」

猫「猫は一度決めた生活圏を簡単には変えないのさ」

女「猫……」

猫「居心地がいいから猫はそこに住む。悪ければとっくにどこかへ行ってるさ」

女「―――ありがとう。……少しだけ、嬉しい」

鬼「はーい、お疲れ様ですー」

鬼娘「ありがとうございましたー」

男「あの、そうやって腕に抱きつかれると歩きにくいんですが……」

鬼娘「もうはなしませんよぉ♪」

金魚「ですのー」

男「いや、金魚は鉢を離したら死ぬし」

金魚「ふふふ……もう私からは逃げられないですのぉ」

男「怖い!!」

女「あ、みんな」

猫「よっと……ふう、いい船だったぜ」

鬼娘「じゃあ、帰りましょうか!」

女「―――なんで、そんな男さんの腕にからみついてるの?」

男「これは……あの……」

鬼娘「鬼嫁ですから♪」

金魚「魚嫁(うおよめ)ですの♪」

―――夜 地獄の練馬区 マンション

金魚「男さん、お休みなさいですの」

男「もう寝るの?」

金魚「……」

男「目を開けたまま寝てる……」

猫「すー……すー……」

女「ふふ……疲れたのね……」

鬼娘「みたいですねぇ」

男「ふう……でも、これですこし吹っ切れた」

女「え?」

男「100年はここにいる決心が出来たんです」

女「そう……」

男「女さんはここで一兆年過ごす気でいるんですか?」

女「ま、出来るところまでやってみようかなって思ってる」

男「そうですか……お互い、がんばりましょう」

―――地獄の門

閻魔「ふぇ……ふぇ……ふぇ……」

鬼「閻魔様ー!!!」

閻魔「―――むぐ!?」

鬼「どうかしました?」

閻魔「ちょっとー!!くしゃみが途中でとまったでしょー!!どうしてくれんのーーー!!!」

鬼「ひぃ!?すいません!!!」

閻魔「あー、気持ち悪……で、何?」

鬼「あ、はい……実はとある鬼娘からの報告書が上がってきました」

閻魔「なによぉ?―――って、ペット地獄の鬼娘ちゃん?」

鬼「そうです。なんでも、刑期を減らして欲しい対象が結構いるらしくて」

閻魔「まあ、あそこに行く人はみんな天国に行ってもおかしくない人たちばかりだからねえ」

鬼「発狂する前になんとか天国へと……」

閻魔「うーん……むずかしいなぁ……どっしよっか―――ぶっくしょん!!!」

鬼「あ、出ました。おめでとうございます!」

NATOの回し者、地獄のランボーから何とか命からがら新宿駅まで逃げきった地獄の大佐

大佐「・・・ハァハァ。ここまできたら大丈夫だろう(人も多いし)」

大佐「もうこんな時間か・・・。周りも暗くなったしテントでも張ろうか」

ほっとけ
そのうち飽きていなくなる

閻魔「ズズズズ……チーン!!」

鬼「で、どうされますか?」

閻魔「うーん……でも、あの地獄で試したいのは命の尊さだからねぇ。たかが100年とかじゃ、ちょっとねえ」

鬼「あ、では、金棒職人が刑期軽減されるように、何かを設けてみては?」

閻魔「えー?めんどいなー」

鬼「しかし……セックス地獄にいくような屑どもよりも情状酌量の余地は大いにあるかと思いますよ?」

閻魔「あそこの地獄は屑人間ホイホイだからねえ。大概のやつは鬼娘に変態行為させて阿鼻地獄に落ちちゃうし」

鬼「ですから」

閻魔「……おーし、じゃあ、ペットの寿命がきたときにあるテストをしよっか」

鬼「テストですか?」

閻魔「その人間が本当に命の尊さを分かっているのか、テストする」

鬼「ほうほう」

閻魔「テストの内容は考えてね」

鬼「自分がですか!?!」

閻魔「とーぜんでしょ。私のくしゃみを止めた罰です。シンキングタイムは10秒です」

>>180
わかってんじゃんw

閻魔「いーち、にー、さーん―――」

鬼「はいはいはい!!!!」

閻魔「はい!鬼さん!!」

鬼「……ごにょごにょ」

閻魔「おおお!!シンプルで良い答えですね!不正解!!!」

鬼「ガビーン!!!」

閻魔「罰として……青汁一気飲み」

鬼「ひぃぃぃ……(ゴクゴク」

閻魔「ふう……ま、その案でいってみよっか」

鬼「おえぇぇ……」

閻魔「確かに何万回も家族の死を見せるのはやりすぎかもねぇ」

鬼「先代の閻魔様がお考えになった地獄は……救いがなさ過ぎますからね」

閻魔「全くよ。パパの所為で私が苦労してんだから。ぷんぷん!」

鬼「ですから、現在の閻魔様がこうして地獄を変えていっているのではありませんか。我々鬼一同、期待しておりますよ?」

閻魔「はいはい……あんがと」

地獄の大佐「あ、今日は色々あったから悪魔への礼拝をしてなかった」

大佐「悪魔は偉大なり・・・」

・・・礼拝中・・・

―――数ヵ月後 マンション

鬼娘「むむ!?お二人とも!!これをみてください!!」

男「どうかしたんですか?」

女「なになに?」

鬼娘「オニッターで閻魔様が呟いてます!」

男「なになに……?」

女「ペット地獄は結構酷いなう。だから、制度を変えてみようと思うなう」

金魚「おやおや。オニッターって語尾に『なう』を付けるんですの?」

猫「なんか閻魔のやつが勘違いしてんだな」

男「制度が変わるって……具体的にはどういうふうに?」

鬼娘「うーん……詳しいことは私達にも通達があると思いますけど、現時点ではわかりませんね」

女「なーんだ。さてと、お風呂に入ろうか?」

猫「やめて」

女「だめー♪」

猫「にゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」

いったんCMいきまーす



腹減ったなう

地獄の大佐「ZZZz」

ガサガサ

大佐「Zz・・・ん?」

ガサガサ

バッ!

大佐「!?」

女「ほらほらー♪」

猫「やめてくれぇーー!!!」

男「ま、でも制度が変わっても俺のやることは変わらないけどね」

金魚「うっふんですの」

男「そろそろ水を変えるか……ちょっと鉢からだすよ?」

金魚「は、はい……(ゴクリ」

男「―――よっこいせ」

金魚「―――はぃぃぃ!?!?!しぬぅぅぅぅぅうう!!?!!?!?!うぐぅぅぅぅぅうううう!?!!?!?」

男(このときばかりは、ちょっと捨てたくなるんだよなぁ)

ちゃぽん

金魚「―――うっふんですの」

男「はいはい」

鬼娘(閻魔様……もしかして私たちの願いを聞き入れてくれたのですかねぇ……)

鬼娘(それだと、うれしいですぅ)

猫「もうやだぁぁぁぁ!!!!!風呂やだぁぁぁぁ!!!!」

自分で立てろか・・・

立てれないからここ借りてクソつまらないSSをやっているだけだけど、何かやる気なくなったから寝るわ

―――数か月後

閻魔「おーし、制度はこれで完璧です」

鬼「早速、一人目の方が」

閻魔「よし、通せ」

鬼「はい。こっちです、どうぞ」

男性「……」

柴犬「くぅ……ん」

閻魔「寿命の柴犬ですか?」

男性「はい」

鬼「間違いありません」

閻魔「―――では、訊ねます。その柴犬の魂と貴方自身、どちらかを天国に向かわせます」

男性「え……?」

閻魔「片方は天国へ。片方は阿鼻地獄に落ちてもらいます。さあ、どうしますか?最後の相談をしてあげてください」

男性「―――それは」

柴犬「ご主人様……天国へ……行ってください……」

男性「何をいっている……そんなの無理に決まっているだろ」

柴犬「私はもう十分に幸せでした……ですから……たとえ最悪の地獄に行こうともう……」

男性「ダメだ……俺は……」

閻魔「決められないというのなら、帰ってもらっても結構です。その場合、男性さんにはもう一度ペットを育ててもらいますけど」

男性「……」

柴犬「なにを迷うことがありますか……ご主人さま……天国へ……行ってください」

男性「しかし……!!」

閻魔「ちょっとー、はやくしてよー。こっちも忙しいんだけどぉ?」

柴犬「さあ……ご主人さま……!!」

男性「……すまない……」

閻魔「決まりました?」

男性「……お、おれが……天国に……い、きます……!!」

柴犬「それで……いいんです……ご主人様……」

閻魔「ふうん……家族を蹴落として、アナタだけは安住を求めるのですか……何も分かってないなぁ。残念。―――はい、失格」

男性「え……―――うわぁぁぁっぁぁぁああああ!!!!!!」

―――数ヵ月後

鬼娘「新制度の問題点……ふむふむ」

金魚「トサキント……トサキント……」

男「どうしたの?」

金魚「昨日見たアニメで色っぽい金魚姉さんがいたんですの!」

男「それで真似を?」

金魚「はいですの!―――トサキント……トサキント……」

男「全然、可愛くないね」

金魚「金魚ショック!!!」

猫「ふわぁぁ、相変わらず仲が良いなぁ」

女「そうねえ」

テレビ『今月の鬼CD売り上げランキンッ!!ひゅいご!!』

女「あ、onikoが今月も一位だ。すごいなぁ」

猫「良い曲多いよな。あとオニザエルも」

女「そうだねぇ」

女「あ!また吐いたな!?」

猫「ばれた!?」

女「もう!吐いたらちゃんと言ってって!いつも言ってるでしょ!!」

猫「いや、だって、なんか良い難いだろ?」

女「はぁ……折角、喋れるんだからさ、言ってくれないと困るよ」

猫「すいません」

女「気を付けてね?」

猫「あい」

金魚「金魚のフンがとれないですのー!!!」

男「はいはい、今取ってあげるから」

金魚「こんなはしたない淡水魚……もう海水で溺れてしまえばいいですの……うわーん」

男「別に糞くらいで嫌いにならないって」

金魚「私が恥ずかしいんですの!!」

男「そ、そうか」

鬼娘「あ……今日、二人目か……どれどれ、閻魔審判実況板にいってますかぁ」

閻魔「さて、どちらが天国に行きますか?」

女性「……」

ラブラドール「主……迷うことは……」

女性「私が阿鼻地獄に落ちます。この子を天国に連れていってください」

ラブラドール「主……!?」

閻魔「何故ですか?」

女性「私は多くの罪を犯してきました。この子を含めて10匹育ててきましたが、それで罪が消えるわけではありません」

ラブラドール「主……やめてくれ……あるじぃ……」

閻魔「なるほど……それでアナタが地獄に落ちると」

女性「はい」

閻魔「……その犬が天国に行ったあとのことを考えないのですね……はぁ……ダメ」

女性「え……!?」

閻魔「自分が犠牲になればいいなんて、残された命のことをまるで考えてない。エゴでナルシストなだけ。―――失格」

女性「そんな―――きゃっぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

閻魔「―――はあ、命の尊さを理解するには50年では短いみたいね……ふう、鬼スーパーカップたべよ♪」

―――1年後

鬼娘「むー……今回で100人目かぁ……合格者はわずか3名……閻魔様も厳しいなぁ」

男「ふわぁぁぁ……また朝までおにちゃんねるしてたんですか?」

女「なんだっけ、そういう人とオラーっていうだっけ?」

猫「なんだそれ?」

金魚「オニラーじゃないんですの?」

鬼娘「ここにはいっぱい情報があるんです!」

男「それはいつも聞いてます」

鬼娘「むー」

男「それより、これ、この前の結婚式の写真なんですけど」

女「あ、出来たんだ。わぁ、やっぱり鬼娘ちゃん可愛い」

金魚「男さんもカッコいいですの」

鬼娘「うわー!!恥ずかしい!!」

猫「結婚しといて恥ずかしいは男に失礼だろ」

鬼娘「なんか実感なくて……///」

男「それにしても……これ、最後の審判って呼ばれてるやつですよね?」

鬼娘「はい。男さんも女さんもいつかは通る道ですぅ」

女「……」

男「質問の内容は……どちらを天国に行かせるか……か」

女「難しいわね」

鬼娘「そうですねぇ。閻魔様はかなり厳しい方なんで……簡単には行かないと思います」

男「……」

金魚「男さん……迷わないでほしいですの」

男「え……?」

金魚「きっと男さんの中ではもう答えが出ていると思うですの」

男「金魚……」

金魚「私も魚嫁として……男さんの考えを全面的に支持しますの」

男「そうか……ありがとう」

金魚「どんな結果になろうとも……私は男さんが大好きですの」

男「ありがとう……俺の嫁は鬼娘だけどね」

女「……」

猫「僕も金魚と同じ気持ちだ」

女「そう……」

猫「僕は僕の主を信じるさ」

女「地獄に落ちてもいいの?」

猫「構わない」

女「そっか……」

猫「きっともうすぐだと思う」

女「何言ってるのよ。まだまだ、貴方には生きてもらうからね?」

猫「十年なんてあっという間だ」

女「そうかしら?」

猫「ああ……」

女「……うん、そうかもね。この瞬間を10年後の私は、昨日のことのようとか言ってそう」

猫「ああ、多分言ってる」

女「―――それ、なんかやだなぁ」

―――地獄の門

閻魔「ぬへぇ……」

鬼「やる気だしてくださいよ」

閻魔「なんか飽きてきた。みんな同じような答えばっかだもん」

鬼「それはだって、二者択一を突き付けてるようなものですからね」

閻魔「ちょっと考えれば分かると思うだけどなぁ」

鬼「さてと、今日はあと二人ですから、気合い入れてください」

閻魔「はいはい。次のかたー」

男「……」

金魚「……ですの」

閻魔「―――では、問う。天国に向かうのはどちらか?」

金魚「男さん……」

男「―――閻魔様、お願いがあります」

閻魔「なんだ?」

男「俺はこの子と別れたくありません」

閻魔「……ほう」

男「天国に行けなくても良い。地獄を繰り返しても良い。ただ、俺はこの子と一緒にいたいんです」

金魚「男さん……」

閻魔「つまり……永遠に地獄で彷徨うと?」

男「はい」

閻魔「金魚の気持ちはどうなる?」

金魚「私は、ずっと男さんと……!!」

男「分かっています。これは俺のエゴに過ぎません。ずっと一緒に地獄を巡るなんて金魚を苦しめるだけです」

閻魔「では、何故そのような願いを口にした?」

男「……家族だから。一緒にいたいって思うのは、当然だとおもうから。俺は……」

金魚「男さん……」

閻魔「つまり……二人一緒に阿鼻地獄に落ちるというのか?」

男「……金魚、悪いな」

金魚「……いいえ。男さんとなら、地獄の果てまでご一緒しますですの……♪」

閻魔「―――よかろう。落ちるがよい!!」

男「く―――」

金魚「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

バタン!!

鬼「次のかたー」

男性「……今の答えで……ダメなのかよ……」

閻魔「では、問う―――」

男性「辞退する!!!俺は100年続けて違う地獄にいく!!!」

閻魔「そうか……連れて行け」

鬼「はは!!」

閻魔「―――ぷぅ」

閻魔「疲れたぁ……」

閻魔「―――にしても、あの人結構カッコ良かったなぁ」

閻魔「……花マルあげちゃう」

―――地獄の練馬区

女「男さん……大丈夫かなぁ」

猫「心配すんな、鬼娘もついて行ったんだから」

女「はぁ……」

猫「次は僕たちの番だな」

女「まだ、もう少し先だけどね……」

猫「ふん……」

鬼娘「ただ今戻りましたぁ……ぐす……」

女「男さんは?!」

猫「金魚ちゃんはどーなった?!」

鬼娘「それが……それがぁ……うぇぇん……!!」

女「どうしたの!?」

猫「おいおい!!なんかあったのか!?」

鬼娘「うえぇぇん!!男さんがぁぁ!!!男さんがぁぁぁ!!!」

女「まさか……地獄に……?!」

鬼娘「―――私をおいて、金魚さんとかけおちしたぁぁぁぁ!!!!」

猫「は?」

女「駆け落ち!?」

鬼娘「ぐすん……天国まで二人でいっちゃいました……私、地獄からでれないのにぃ……うえぇぇん!!!」

女「あ……そうなんだ」

猫「早速、未亡人か。気の毒にな」

鬼娘「なんで審査に私のことが入ってないんでしょうかぁ……男さんは地獄にいるべきなのにぃぃ!!」

女「まぁまぁ」

猫「なにはともあれ、男と金魚ちゃんは無事に突破したわけだな」

女「良かったぁ」

鬼娘「良くないですよぉ!!私の気持ちはどうしてくれるんですかぁ!!」

女「天国まで逃げちゃえば?」

鬼娘「え……?」

猫「おー、いいじゃないか?脱獄ってやつだな」

鬼娘「―――そうですね。そうですよ。なんで、私が諦めなきゃいけないんですか。よーし!脱獄しちゃいますよー!!」

―――五年後

閻魔「―――つぎぃ」

女「……」

猫「……」

閻魔「じゃあ、問う―――」

女「あの」

閻魔「え、あ、なに?」

女「……この子をもう安らかに眠らせてあげたいんですけど」

閻魔「え……?」

女「もう十分に生きてくれましたから……だから……」

猫「……女……いいのか?」

女「うん」

閻魔「つまり、ペットを天国に連れて行けというのか?」

女「……いいえ。天国へも地獄へも連れていかないで」

閻魔「なに……?」

女「天国がどういうところかは知りませんが……でも、地獄に私がいるように感覚的には『生きている』んですよね?」

閻魔「え、まあ、うん」

女「それは苦しいことだと、この十年で分かりました」

閻魔「……」

女「死んでも尚、こうして誰かと出逢い、別れ、勇気づけられ、そして傷つく。それが私はつらい」

猫「……おんな……」

女「猫にもそんな想いをさせたくないです」

閻魔「―――天国というのは魂の楽園。終焉。そこに苦しみや悲しみはない」

女「―――でも、喜びもないんですよね?」

閻魔「え……あー、うん……そうかなぁ……そっか……そうかも」

女「そんな場所に永遠に居続けるなんて……死ぬより怖いです」

閻魔「猫がそう言ったのか?」

女「……いいえ。でも、この子は私の弟ですから」

猫「―――おんな!」

女「お姉ちゃんは弟のことをなんでも分かるんです。……自分勝手な思い込みかもしれませんけど」

閻魔「なるほど……それがお前の答えか」

女「はい」

猫「……くそ……今日は乾燥してやがるな……目がかゆいぜぇ」

女「はいはい……ほら、こっちにおいで」

猫「にゃぁ」

閻魔「……猫、本当にいいのか?飼い主が言っていることは完全な無にするということだぞ?」

猫「……僕はこの女と居たいさ。でも、別れるくらいなら……もう消えちまいたいな」

閻魔「……」

猫「僕だけが天国に行けても何の意味もない。そこで無為に生かされるぐらいなら、消滅させてくれ」

女「猫……」

猫「……ありがとう。僕のことを精一杯気遣ってくれて」

女「ううん。私は地獄に落ちるべきだもの。男さんとは違う。五人の命を殺めた罰は、私が永遠に苦しんでも消えないから」

閻魔「分かった……では、猫よ。こっちにきなさい」

猫「おう……ありがとよ、女」

女「うん……バイバイ……」

鬼娘「……こっちでしょうか?」

鬼娘「それとも……」

天使「誰だ!!!」

鬼娘「シット!!」

天使「鬼が侵入しているぞー!!」

天使「まてー!!!」

鬼娘「きゃぁぁ!!!!男さんに出会うまではぁぁぁぁぁ!!!!!!」

天使「地獄にかえれぇぇ!!!!」

鬼娘「ひぃぃん!!!」

男「―――こっちだ!!」

鬼娘「あ!?男さん!!!もう!!新妻を置いて五年間もどこにいたんですかぁ!!!」

男「地獄に戻る方法を考えてたんだ。君を迎えに行きたくて」

鬼娘「え……」

金魚「うっふんですの」

鬼娘「あー金魚さん。お久しぶりですぅ!」

天使「君は……!?」

天使「君、その鬼となにか関係があるのか?!」

男「この子は、俺の嫁です」

鬼娘「はぁん♪」

金魚「うっふんですの」

天使「なんだと?―――しかし、君……鬼はこちらには居られない規則になっているんだ」

男「それは調べたので知っています」

天使「では……」

男「俺、地獄に戻ります」

天使「正気か!?」

男「はい」

金魚「こっちに来たことで私の魂も固定されて、もう老いることはありませんの」

男「そう。だから、ずっと家族で過ごすことができる。それに、あと二人迎えに行かないといけないんです」

天使「二人だと?」

男「―――天国は良いところだけど、俺の家族がいませんでした。だから、地獄に帰ります!」

―――地獄の門

閻魔「はぁ……失格」

男性「―――ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

閻魔「ったく、どいつもこいつも男さんや女さんみたいに骨のある答えを出してくれないのかしら」

猫「そりゃあ、無理だろ」

閻魔「やっぱり?―――あ、猫缶いる?」

猫「頂くぞ」

閻魔「にしても……魂だけになって老いることがなくなったから、なんつーか、態度でかくなったね」

猫「そうかな?」

閻魔「消滅したかったんじゃないのー?うりうり」

猫「よせ、肉球を突くな。仕方ないだろ。消える直前に鬼娘がまた迎えにくるって言ったんだから」

閻魔「迎えにくるって……あの子、天国に行ったんでしょ?そんな簡単には……」

バタン!!!

閻魔「おう!?天国の門が開いた!?」

男「―――ぷはぁ!!やった!!入口だ!!」

閻魔「あ!男さん!?」

猫「待ちわびたぜ!!」

男「ごめん、鬼娘と合流できなくて」

猫「まあ、いいけど。お、金魚ちゃんも元気そうだね。金魚鉢も新調したんだ」

金魚「わかっちゃったですの?はずかしいですのー」

鬼娘「あの閻魔様」

閻魔「女さんでしょ?分かってるって、ペット地獄にいるから」

男「またペットを育ててるんですか」

閻魔「あの子も好きだからね」

男「ありがとうございます!」

閻魔「男さん……あなたもまた永久に家族を看取ることになるけど、いいの?」

男「―――生きていたときは俺は一人でした。でも、今はこんなにも素晴らしい家族が支えてくれている。だから、もう自分には負けない。負けるわけないんです!!」

閻魔「そう……じゃあ、地獄にいってらっしゃい♪」

金魚「うぉぉぉぉぉ!!!!」

鬼娘「―――きゃぁああああああ!!!!!」

女「……ふふ」

ヘビ「姉さん……いつもどこか楽しそうっすね」

女「そうかな?」

ヘビ「まるで……誰かが迎えにくるのを待っているような……そんな目をしてる」

女「へへへ……」

金魚「あーいたですのーー!!」

ヘビ「む?」

女「あ……!」

鬼娘「はひぃ……さがしましたよぉ」

猫「女ぁぁ!!!会いたかったぜぇぇ!!!」

女「あははは、迎えに来てくれたの!?」

鬼娘「これ、新しい家族ですか?」

女「うん、ニシキヘビくん。ほら、ごあいさつ」

ヘビ「これは鬼娘に猫さん……どうもヘビです」

男「そっか……また家族が増えたんだ……」

女「……遅い」

男「ごめんなさい。ちょっと、色々あって」

鬼娘「さてと、今日は腕をふるっちゃいますよ」

金魚「いいですのー!今晩は御馳走ですのー!!」

猫「おーい、最高級の猫缶で頼むぜ?」

ヘビ「いいですねえ。では、私はトノサマカエルの踊り食いでも致しましょう」

鬼娘「なんですかーそれー!?!」

金魚「うえぇ!!怖いですのー!!でも、ちょっと、みたいですのっ♪」

ヘビ「あっはっはっは、圧巻ですよ。舌を巻いてくださいね」

鬼娘「はーい」

金魚「舌は無いですの……淡水魚なので」

猫「僕は尻尾を巻くか!」

女「もう逃げるわけ?―――あ、男さん。何か言わなきゃだめじゃないの?」

男「ああ、そうか。―――ただいま。これからは家族一緒だ」

女「うん、おかえり。私の大好きな家族―――」
                              END

あ、説明を省いたけど、閻魔様は16歳の女の子で結構優しいんです
阿鼻地獄に落とすとかはただのはったりなんで。
女性はまたペット地獄で、ラブラドールは天国で駆け回ってます




ってことにしといてください

乙!

淡水魚にも舌はあるぞ

>>418
しまった!ノリで書いたから低学歴さらした!!恥ずかしい!!

ところでペルシアンはポケモンなわけですが

>>456
ペルシャ猫だよ!!

書き込んでからしまったって思ったよ!!

わかってよ!!ばかー!!

すまぬ。今からテニスしてくるわ

金魚にトサカはねえ
淡水魚に舌はある
ペルシアンはポケモン。ペルシャ猫がホント

読み直したらこりゃ酷い
バカじゃん俺

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom