女妖怪「わ、私を呼び出した代償が“童貞”だと・・・!?」(1000)

男「う、うん」

女妖怪「な……、なっ……」

男「まあ落ち着けって、な」

女妖怪「な。ではない!」

女妖怪「妖怪呼び出すのに童貞を代償にするあほうがどこにおるか!」

男「いやまさか本当に呼び出せるとは思ってなくてな」

女妖怪「わ、わかっているのか!?」

女妖怪「私は妖怪の中でも超超超大物なんだぞ!!」

男「そ、そうなの? 君、すごいんだ」

女妖怪「こ、このたわけがぁああ!!!!」

男「まあそう怒らないで」

女妖怪「これが怒らずにいられるか!」

男「うーん……、そういわれても」

女妖怪「ふん、まあ良い。貴様なんぞ食い殺してやる。それで終いだ」

男「え。でももう召還しちゃったから……」

女妖怪「…………む、む……!? く、食えないっ」

男「ほっ……。そうだよね」

女妖怪「むっ! むっ!」

男「どーどー」

女妖怪「き、貴様ぁ……!」

男「ほら、お茶でも」

女妖怪「……うるさい」

男「お、おかしもあるぞ」

女妖怪「……うるさい」

男「童貞もあ……、痛てッ!」

女妖怪「ふん、頬を引っ叩く程度ですませたことをありがたく思え」

女妖怪「次はないぞ」

男「す、すいません……」

女妖怪「……」

男(あ、でもお菓子とお茶には手つけるんだ)

ここは鬼娘だろ

男「……」

女妖怪「……」

男(どうしようこの空気)

ドンッ

男「な、なんだ?」

女妖怪「ん」

男「あ、お茶のおかわりね……」

女妖怪「ん」

男「ど、どーぞ……」

女妖怪「うむ」

ズズズ……

男「それで、童貞の引渡しは――」

女妖怪「次はないといっただろう」

男「う、す、すんません……。でも」

女妖怪「いまはいらぬ」

女妖怪(そもそも私を童貞だけで召喚できるとは思えん)

女妖怪(なにか裏があるはず)

女妖怪「とりあえずしばらく憑いていてやる」

男「いいのか?」

女妖怪「貴様の童貞などもらいとうないわ」

男「そ、そうか」

女妖怪「して、私を召喚したくらいだ」

女妖怪「それ相応の望みがあるのだろ。言ってみろ」

男「あー、えっと」

男「身の回りの世話……とか」

女妖怪「もう一度いってみよ」

男「身の回りの世話、とか」

女妖怪「……は?」

男「いやほら、呼び出せるとは思ってなくてさ、何も考えてなかった」

女妖怪「でていきます」

男「ちょ、ちょっと!」

女妖怪「いやじゃー! こんなやつが主なんていやじゃー!」

男(だだっこ!?)

女妖怪「本気でいうとるのか貴様」

男「いやまあ、うん」

女妖怪「……くそっ、なんでこんなやつが」

女妖怪(だがしかし、私も選んでられぬか……)

女妖怪(召喚されただけ良しとしよう……こんなやつだが)

男「とりあえず、今日はもう遅いし、ねよう」

女妖怪「ふむ」

男「あ、布団一枚しかない」

女妖怪「貴様はソファで寝ろ」

男「はい……」

――翌朝

男「む……、む?」

男(あれ? 俺昨日ふとんで寝たっけ?)

女妖怪「起きたか」

男「だれ!?」

女妖怪「貴様が呼び出したんだろうが」

男「あ、そっか、そういえば」

女妖怪「まったく。ほら、朝食だ」

男「おお」

男「ところで俺、なんでふとんで?」

女妖怪「昨日ふとんでねたんじゃろ」

男「いやソファで寝ろって君が……」

女妖怪「うるさいな、細かい男は嫌われる」

女妖怪「しゃべってないでさっさと食え」

男「……」

男(そうか、こいつ……)

男「おう、ありがとう」

女妖怪「ふん」

男「ごちそうさま。おいしかった」

女妖怪「うむ」

男「なんか……、悪いな」

女妖怪「仕方なかろ。呼び出されてしまったものはどうしようもない」

男「そっか」

男「……しかし妖怪というわりに、なんかすっごい現実感あるっていうか」

男「ふわふわしてないね、君」

女妖怪「貴様が呼んだ時点で人化してるからな」

男「なにそれ」

女妖怪「人と契約したら、不都合がないようにこうなるよう決められている」

女妖怪「本来の姿では、人里におりれぬからな」

男「へー」

男「っていうことは、今は人とおなじってこと?」

女妖怪「うむ。今は普通の人間の女じゃ」

男「おお……」

女妖怪「なぜ目をそらす」

男「あ、いや、妖怪じゃなくて人間の女性って思うと、なんか、な?」

女妖怪「童貞を代償にしたやつがよく言うわ」

男「すんません……」

男「あ、とりあえず俺、仕事いかなきゃ」

女妖怪「私はどうする」

男「んー、留守番、かな」

女妖怪「了解した」

男「おはよーございまーす」

女「お、おはよう……ございます」

男「あ、女さんおはよう。……あれ? 顔色悪いですね」

女「い、いえ、大丈夫ですよー……」

男「そうですか? 結構つらそうに見えますけど」

女「あはは、寝不足なんですよー」

男「そ、そですか。無理しないでくださいね」

女「……はい」

男(……? なんだろ、あれ)

男「ただいまー」

女妖怪「む、やっと帰ったか」

男「ん? ああ」

女妖怪「この家で一日過ごすというのは、実に退屈であったぞ」

男「一日? 外でてもよかったのに」

女妖怪「貴様が留守番しろと言うたのだろうが」

男「あ……」

男(そうか、言ったことをそのまま……)

男「わ、わるい。明日からは外でてもいい」

女妖怪「む、そうか? 分かった」

男(すごいうれしそうな顔するなぁ。よっぽど退屈だったのか)

女妖怪「夕飯はれーぞーこにあったありあわせでつくっておいた。食え」

男「お、ありがたい」

女妖怪「ふらいぱんも、でんしれんじも、便利じゃった」

男「あ、これ冷凍のか」

男「意外と人間のものになれてるんだな」

女妖怪「妖怪も時代に取り残されてはいかんからな」

女妖怪「ときたま人間の世を見物することもある」

男「へー……って、え?」

男「てことは、普通に妖怪も人の中に混じってるって事?」

女妖怪「うむ。といっても、妖怪は普通人になど見えぬ」

男「あ、そうなのか。よかった」

女妖怪「だが私みたいに人化していると、人でも見れるぞ」

男「やっぱそうだよね。今は普通の人間っていってたし」

女妖怪「うむ。だから、見える妖怪はおおむね人と契約している」

女妖怪「人化は人に呼び出されて初めて成立するものだからな」

女妖怪「化けるのとは違う」

男「ふむ」

男「じゃああれも、召喚されてたんかな……」

女妖怪「む?」

男「いや、仕事場の知り合いの背中にさ、なんか変なのいたんだよね」

女妖怪「というと?」

男「んー、小人みたいな? あれも人化でいいの?」

女妖怪「小人?」

女妖怪「人化はそのまま、人になるのだ。それはない」

男「え……」

女妖怪「たぶん、貴様は見えるようになったんじゃろ。妖怪を」

女妖怪「私を召喚したせいで」

男「ああ、そういうことか……」

男「ってそれ、女さん憑かれてる!?」

女妖怪「そうなるな」

男「そ、そうか、だから体調わるそうだったんだ……」

男「とってあげたりできない?」

女妖怪「できる」

女妖怪「だがむやみにほかの妖怪に手をだすものではないぞ」

女妖怪「やぶ蛇になりかねん」

男「うーん……」

女妖怪「それより食え。飯はさめたらうまくない」

男「うーん……」

男「おはよーございまーす」

女「お、おはよう、ございます……」

男「女さん、やっぱり調子悪そうですね」

女「えっ? い、いえ、そんなことないですよう」

男「ふむ……」

男(うーん、いるなあ。小人)

男(あ、目があった)

女「どうしました?」

男「いや、なんでも。仕事しよう仕事」

女「はい」

男(さすがに小人さんがついてますよ、なんていえない)

男(いたすぎる)

男「うーん」

同僚「どうした、考え事か?」

男「ちょっとな」

同僚「彼女でもできたか」

男「まさか」

男「あ、女さんの住所ってしってる?」

同僚「え、あいつに興味あんの?」

男「い、いや……」

同僚「俺はしらねーなあ。直接聞いてみ」

同僚「でも社内恋愛は大変だぞ」

男「いや違うって……」

男(と、いうことで……)

男(退社した女さんの後をつけているわけだが)

男(これでは完全にストーカーである)

男(見つかったらやばいな)

男「あ、あのアパートか」

男「二階建てのよくあるやるだな。うちと同じ感じだ」

男「お、入った。一階の角の部屋か」

男「一人暮らしか……?」

男「って、なんか本当にストーカーっぽいからやめよう」

男「とりあえずどうするか。そのまま尋ねるのもなんか変だし……」

男(しかたなかった)

男(直接尋ねることができなかった)

男(庭があった。窓があった)

男(ならそっちからのぞくしか……!)

男(ええい、ちょっと確認するだけだ!)

男「……?」

男(なんだこれ、部屋が煙に囲まれてる?)

男(これ、やばいんじゃ――っ!!!)

男「うわっ!」

男「いてて……」

女「……っ……っ」

男「ん……?」

男(部屋? いやなんか、ちがう? どこだ?)

女「あ……はあ……」

男「お、女さ……!?」

男(裸!? え、でも、それ……っ)

男(じ、自慰……!?)

男「ご、ごめ――!?」

女「い、一緒に、し、しよ……」

男「なっ」

女「ね……」

男(押し倒されても抵抗できない……)

男(男ってつくづく馬鹿だー!!)

女「あは……、かたーい」

男「いや、あの」

男(いつも仕事場でしか見てないけど)

男(こんなに男殺しな体つきしてたのか……)

女「ずぼんぬげちゃったね」

女「パンツがすごーいことになってるようー」

ツー

女「んふ」

男(……っ! 女さんの唾液が……っ)

男(く、くそ、これもうヤってもいいんだよな……)

女「はあ、はあ……」

男(パンツぬがされてるし……)

男「ん……」

女「咥えたいの……」

男「あ、ああ」

男(人生初のお口が……)

女「あーん……」



女妖怪「おい」

男「えっ」

女妖怪「なにやっとるんだ」

男「いやえっと、お楽しみ……」

女妖怪「よくみろ」

男「えっ」

男「こ、小人っ!?」

体中を、何人もの小人に押さえつけられていた。

女さんはお口プレイをする寸前のままでこちらを見ていたけど。

女妖怪「こんな低級妖怪に捕まりおって」

女妖怪「その上その気の抜けた顔はなんじゃ」

「キッ! キィー! キキキッ!」

女妖怪「うせろ」

男「わっ、解けた」

女妖怪「だから下手に手を出すなと言ったのだ」

女妖怪「ほら立て。そっちの娘も」

女「ふえ……」

へたり。

男「女さんっ!?」

女妖怪「まあそれはほっとけ。それより親玉だ」

男「親玉……?」

小人「貴様……、俺の食事を邪魔するなッ!」

女妖怪「こいつは私の食事だ。お互い様だな」

小人「貴様も淫魔の類……かっ!」

小人「ちっ、変なやつに手をだしちまった」

女妖怪「おいおい、私が淫魔なわけなかろう」

小人「だがそいつは生きているではないか!」

小人「生かしたまま食する。それが淫魔であろう」

女妖怪「そう見えるか? いや、所詮下衆ということか」

小人「貴様ッ!」

女妖怪「身の程をわきまえよ」

小人「ぐッ!?」

男「なっ」

彼女の腕が、小人の首をつらぬいていた。

男「や、やりすぎじゃ」

女妖怪「憑き物をとるのだろう?」

男「あ……」

ぐちゃっ

女妖怪「ほうら。とってやったぞ」

ぽたり、ぽたり。

ゆがんだ景色が、正常に戻った。

女「男……さん……?」

男「よかった、目が覚めた」

女「ここ、私の部屋……? なんで?」

男「あー、いやえっと」

女「ひっ、は、裸!? ま、まさか」

男「そ、それは違うっ!」

女妖怪「なにを言うか。もう少しで流されそうだったではないか」

男「い、いやいやいや」

女妖怪「男とは本当に頭の中が性欲でできてるのう」

男「いやいや――いや、反論できないか……」

>>29
鬼娘「わらわの名を覚えておる奴がいるとはの」

鬼娘「くふふ、ぬしも好きじゃな」

男(とりあえず憑かれてた事を説明してみたが……わかってくれただろうか)

女「……」

男「えーとその、信じられないかもですけど……」

女「い、いえ、えと……。ごめんなさい」

女「私、うっすら覚えているんです……」

女「小人みたいなものも、何をしていたのかも。前々から……」

女「だから男さんの言うこと、本当だって分かります……」

男「ほっ……、よかった」

女「そ、それより私のほうこそごめんなさい……っ!」

女「憑かれていたとはいえ、あんなこと……」

男「あ、ああ……、あんなこと、ね」

女妖怪「うむ、ひやひやしたぞ」

男「え?」

女妖怪「貴様の童貞は私のものだろーが」

女妖怪「盗られたら貴様、私が殺さねばならぬぞ」

男「そうなのか……、よかった、やる前で」

女妖怪「貴様、そういう問題ではなかろ」

男「顔、顔こわいよ」

女妖怪「帰ったらあとで仕置きせねばなるまい」

男「わ、わるかったよ」

女「え、男さん童貞なんですか……?」

男「そこ!? ま、まあ、そうだけど……」

女「よかったあ……」

男「な、なにがですか……」

女「い、いえ。別に……」

女妖怪「こいつも生娘だからだろ」

女「っ!! なんでわかっ、わかるんですかぁっ」

女「っていうか誰ですかっ!?」

女妖怪「こいつの筆降ろしを約束されたかわいそうな女じゃ」

女「えっ……」

男「なまじ間違ってないからなんとも……」

女「……」

――翌日

男「おはよーございまーす」

女「あ、おはようございます!」

男「あ、よかった。元気になったみたいですね」

女「男さんのおかげです! ちょっと恥かしかったけど……」

男「い、いやいや……」

同僚「おいなんだなんだ、昨日の今日で出来ちゃってんのか?」

男「そういうわけじゃないよ」

女「むうー」

同僚「ふーむ……」

同僚「とにかく社内恋愛はほんっとリスクたけーから注意しとけよ!」

男「お、おう」

――仕事帰り

男(たまには秋葉原でも……、と思って来たが)

男(なにみるか)

男「アダルトショップ……、うむ、いくか」

とてとてとて

男(脱童貞できないってことは、自分で処理しなきゃだしな……)

男(うーむ、久しぶりだと新作おおし)

男(むむむ)

男「……あれ」

男(妖怪……?)

男(背広きてる……、けど、頭が人間じゃない)

男(アダルトアイテム吟味してるのか……)

男(人の世にまじってるって、本当だったんだな)

男(でも、かかわりたくないタイプだ――)

背広妖怪「む」

男(目があってしまったー……)

背広妖怪「おにいさん、人間ですな」

男「まあ、うん」

背広妖怪「この妖気。さぞお強い方とお見受けした」

男「いやそんなことは……」

男(たぶんそれ、あいつのだと思う……)

背広妖怪「そこでどうかお願いしたいことがある」

男「はあ」

背広妖怪「この、このオナァホゥゥゥルンを買ってはくれぬか」

背広妖怪「妖怪は自分でこういうものを買えんのだ……!」

男「そりゃそうでしょうね……、ていうか妖気関係ないですね」

背広妖怪「たのむ!」

男「わ、わかりましたよ」

男「とりあえず買ったけど、どうやって渡せば……」

背広妖怪「見えないところであれば、実体化できるのです」

男「そうなんだ。じゃああっちで」

とてとてとて

男「はいこれ」

背広妖怪「おお! ありがたき!」

背広妖怪「いつも見ていたのですが、一度も手に入れられたことがなかったのです!」

男「人化とかすればいいんじゃないんですか」

背広妖怪「それは人間と契約しなければならないではないですか!」

背広妖怪「さすがにそれは簡便いただきたい!」

男「え、なんで?」

背広妖怪「面倒なことばかりですからな」

男「た、たとえば?」

背広妖怪「いやいや、知る必要もありませぬ」

背広妖怪「いまどき契約する人間も妖怪もいませんからな!」

男「あ、えーと……」

背広妖怪「そうだ、これをあげましょう」

背広妖怪「私が選んだ、最高の一品ですよ」

男「そのオナホール、俺が買ったんですけど」

背広妖怪「まあまあそう言わず。いずれ恩返しもしますから」

背広妖怪「ではでは、これからコレでムフフンですので、今日のところは失礼いたします!」

シュンッ

男「消えちゃった……」

男「ただいまー」

女妖怪「む!」

男「む?」

女妖怪「貴様また妖怪に手をだしたな。匂いがぷんぷんするぞ」

男「いや、お店で偶然あっただけ……」

女妖怪「それがいかんのだ」

女妖怪「何を考えてるのかわからんやつばかり」

女妖怪「話しかけられたら無視をきめこむのが一番じゃ」

男「わ、わかったよ」

女妖怪「まったく。さあ飯じゃ飯じゃ」

――風呂場

男「さて」

男(右よし、左よし、前後よし、上下よーし)

男「ご開帳……」

オナホールの箱を開く。

男「おお、これはなかなか」

ローションを手にとる。

男「やっぱ、楽しみがないといかんなあ」

男(あの妖怪ガ選んだものとはいえ、オナホはオナホ)

男(たのしまねば損だな!)

男「なかなかの手触りだ」

男「ちゃんとオナホをあらってー……」

女妖怪「おい、ちょっといいか」

男「っ!?」

女妖怪「どうした」

男「い、いや、なんでも! き、君こそどうした!」

男(扉越しなのが幸い……!)

女妖怪「いやなに、たまには背中をながしてやろうとおもってな」

男「ななななな」

女妖怪「ん? なにかあるのか?」

女妖怪「ああそうか、女と風呂にはいるのが恥かしいのか」

女妖怪「はっはっは、青いやつめ」

男(ちがうぅうううッッ!)

女妖怪「なに心配するな、私はちっさくても気にしない」

男(そっちかよッ!)

女妖怪「なにせ私への命令が“身の回りの世話”だからな」

女妖怪「気高い私はそれに従うのみじゃ」

男「い、いや、いい、こなくていいぞ」

女妖怪「そうはずかしがるな、仕方ない、私はタオルをまいてやろう」

男「そうじゃなくて――あっ」

がちゃっ サッ

女妖怪「む、何を隠した」

男「いやこれは……!」

女妖怪「おなほーる? なんじゃそれ」

男「えーと……」

女妖怪「なんだ、説明しづらいのか。どれ、箱を見せろ」

男「わっわっ」

女妖怪「大体箱に説明がかいてあるからな、どれどれ」

男「わーーっ」

女妖怪「だまっとれ。ふむ…………」

男「はあぁあ……っ」

男(なんてこった……)

女妖怪「なんだ、性具か」

男「ぐう」

女妖怪「そんなことであれば、私を使えば良いのに」

男「え」

女妖怪「命令すれば一発だぞ」

男「でも童貞いらないって……」

女妖怪「どんなに嫌でも、主様の命令には従わなければならないのだ」

女妖怪「おお、かわいそうな身の上じゃのう」

男「ぐ……」

女妖怪「ところでこの性具、例の妖怪の手に一度でも渡ったか?」

男「え、っと、そうだな。一回わたした」

女妖怪「なるほど。そのせいだな」

男「なに?」

女妖怪「この性具、妖術がかけられておるぞ、使用時に発動するタイプじゃな」

男「え……どんな?」

男(そんな悪い妖怪には見えなかったんだけどな……)

女妖怪「精力増強の強力な妖術」

男「な……」

女妖怪「しかもメッセージ付じゃ」

『同士よ、今宵は共に、すばらしき理想郷の彼方へ昇天いたしましょう!!』

男「やっぱかかわるんじゃなかった……!!!」

男「はあ」

ごしごしごし

女妖怪「そう気を落とすでない。オナホがつかえんかったくらいで」

男「いやべつにそれで落ち込んでるんじゃないっつの!」

ごしごしごし

女妖怪「じゃあなんのため息じゃ」

男「なんか、つかれて」

ごしごしごし

女妖怪「それはこまったのう」

女妖怪「どうじゃ、気持ち良いか? 背中を洗われるのは」

男「ああ、それは気持ちいい」

女妖怪「それはよかった。これですこしは疲れもとれれば良いのだが」

ごしごしごし

男「……む」

男「お、おい、なんか近くないか?」

女妖怪「背中はもう洗い終わったからな、前のほうもやらねば」

男「なんで抱きつくみたいになってるんだ」

女妖怪「なら正面からやってもいいのか?」

男「それが普通――いやだめだ!」

男(それはひっじょーにまずい!)

女妖怪「ほらの。私は気をつかってやってるのだぞ」

男「む、ふむ……」

男(胸は……あたってるんだが……)

男(ふんにゃりと……)

男「ってそもそも前はいい! 自分でやるから!」

女妖怪「なんじゃつまらん、そのまま下もやってやろうと思っとったのに」

男「えっ」

女妖怪「お、その点は心揺れるのか、男じゃの」

男「ああああ、違う! 違うから!」

女妖怪「まったく騒がしいやつめ」

男「君のせいだろ!」

女妖怪「ふむ、しかたない。では私の背中を流せ」

男「それ前後の文脈関係ないから。“では”でつながってないから!」

女妖怪「細かいやっちゃのう」

――それから数日後の休日

男「でかけたい?」

女妖怪「そうじゃ。このあたりはもう見飽きたぞ」

男「あー遠出したいってことか」

女妖怪「うむ。妖怪は飽きやすいからの」

男「ふむ、どんなところがいいんだ?」

女妖怪「そうじゃのう、にぎやかなところがいい」

男「このあたりは都会だし、どこもにぎやかだが……」

女妖怪「どこでも良い! とにかく外につれていけ!」

男「わかったわかった」

――池袋

男(秋葉原のほうが良く知ってるが)

男(あの妖怪がいそうだからな。こっちに)

女妖怪「おー、人人人じゃ!」

男「まあ、休日の池袋だし」

女妖怪「すごいのうすごいのう!」

男「適当にぶらぶらすればいいか」

女妖怪「うむうむ」

男(サンシャインいけばいいか。あそこなら水族館もあるし)

女妖怪「うーむ、服がいっぱいありすぎてようわからんのう」

男「だな。そういえば今着てるのはどうしたんだ?」

女妖怪「適当に見知ったものをまねてみたのだ」

女妖怪「も、もしかして変じゃったか……?」

彼女はいつも、黒っぽいワンピースである。
ちなみに寝るときは俺のスウェットをきている。

男「いや普通。んー、せっかくだしなんか服買おうか」

女妖怪「本当か!」

男「お、おう」

女妖怪「ふふふ、貴様のセンスに期待しておるぞ」

男「俺が選ぶのか!?」

女妖怪「良いではないか良いではないか」

男「ふむ……」

女妖怪「きにいったぞ!」

男「お、おう」

男(ファッションとかわからん)

男(けど、ワンピースならなんとかなったな)

男(一着選べばいいし、あとはインナーだし)

買ったのは、茶色のゆったりとしたワンピース。
似合う。

女妖怪「次はどこへいく!」

男「飯たべよう、そろそろ腹へった」

――夕刻

女妖怪「今日は楽しかったな!」

男「ん」

男(まるでデートだったな……、言わないけど)

女妖怪「まるでデートのようじゃったな!」

男「……」

女妖怪「む?」

男「いや」

女妖怪「ふむ」

男「公園ですこし休憩してから、帰るか」

女妖怪「うむ!」

女妖怪「……む」

男「む、あれは……」

男「ベンチにすわってるの、妖怪か」

女妖怪「うむ」

男「公園、よらないでおくか?」

女妖怪「いや。あやつたしか……」

男「ん?」

スタスタスタ

女妖怪「おい。そこの仮面した妖怪」

仮面妖怪「む……?」

仮面妖怪「おお……、これはこれはきよひ――」

女妖怪「な、名前で呼ぶな。ひさしぶりじゃな」

仮面妖怪「これは失礼しました。おひさしぶりでございます」

仮面妖怪「そちらは……?」

男「ど、ども」

女妖怪「下僕じゃ、気にするな」

仮面妖怪「契約をされたのですか? ……い、いえ、承知」

女妖怪「うむ」

女妖怪「お前はどうしたんだ。このあたりの妖怪ではなかろ」

仮面妖怪「ええ、そうなのですが、ちょっとした用事がありまして」

仮面妖怪「しかしこまったことに、その場所がわからず」

仮面妖怪「ちょうど今、途方にくれていたところでございます」

女妖怪「ほう、このあたりに用事とは珍しい」

仮面妖怪「昔の義理がありましてな」

女妖怪「なるほどそういうことか。見つかると良いな」

仮面妖怪「ええ、ありがとうございます」

女妖怪「すまぬな、下僕。いくぞ」

男「え? て、手伝ってあげないのか?」

女妖怪「下手にかかわらんほうが良い」

男「でも知り合いなんだろ?」

女妖怪「妖怪の言う昔というのは、何百年も何千年も前のことだったりする」

女妖怪「そうした義理は、果たせず終わることも多々あるでな」

男「でも……」

女妖怪「現に場所がわからないというのはつまり、そういうことだ」

男「あ……」

男「あ、あの!」

仮面妖怪「む?」

男「何か手がかりとか……」

女妖怪「あ、こらっ!」

仮面妖怪「ほっほ、人の手など借りる必要もない」

仮面妖怪「それにもう、どうにもならないのも分かっておる」

仮面妖怪「彼女のいうていたとおり、これはもう四百年も前の話」

仮面妖怪「このあたりもずいぶんと変わってしもうて」

仮面妖怪「どこになにがあるのか、なにも分からぬのじゃよ」

男「そ、そう、ですか……」

仮面妖怪「面白い人間ですな」

女妖怪「困るだけじゃよ」

仮面妖怪「ほっほ。そうじゃな、しかしこれも何かの縁か」

仮面妖怪「これが、わかるか?」

男「紙……? 何かかいてある」

仮面妖怪「ずーっと昔に、場所を教えてもらったものでな」

仮面妖怪「いつか戻ろうとおもってはいたものの」

仮面妖怪「本当は最後まで、その文字が読めなかった」

男「なんで聞かなかったんですか?」

仮面妖怪「聞けなかったのだよ」

仮面妖怪「なぜなら私は、妖怪だから」

男「なあ、これ、読めるか?」

女妖怪「むう、妖術を使えば何とかいけるか」

男「ほんとか! やってもらえないか!」

女妖怪「ふうむ」

仮面妖怪「無理せずとも」

女妖怪「いや、仕方あるまい」

女妖怪「うちのが助けたいみたいじゃからな」

女妖怪「読み取るぞ」

しゅうう……。

女妖怪「忍岡」

男「忍岡……?」

仮面妖怪「おお、懐かしい響き……! そこじゃ」

女妖怪「このあたりにその場所はあるのか?」

男「い、いや、どうだろう……、あ」

男「携帯で検索してみよう」

女妖怪「検索……?」

男「そうそう、ちょっとまって」

女妖怪「ふむ」

男「お、これじゃないか」

男「上野の、旧地名が忍岡らしい」

女妖怪「聞き覚えあるか?」

仮面妖怪「上野……うーむ……」

男「だめもとでいってみよう」

仮面妖怪「し、しかし、そこかどうか」

男「確認するだけなら、いいんじゃないか?」

仮面妖怪「……ふむ」

――上野

男「ここだけど、なんかわかるか?」

仮面妖怪「おお、懐かしい匂いがする……」

仮面妖怪「こっち、こっちだ!」

男「よし」

女妖怪「当たりか」

女妖怪「便利な世の中になったのう」

男「ほんとにね」

それは小さなお墓であった。
駅からは少し遠く、まるで都会の喧騒から隠れるようにしてそれはあった。

仮面妖怪「ああ、ここは……」

仮面妖怪「あの方の、お庭です……」

女妖怪「あの方?」

仮面妖怪「あの方――この家の娘は、私のことをとてもとても可愛がってくださった」

仮面妖怪「共に遊び、大人になっても大層大事にしていただいた」

仮面妖怪「いつまでもいつまでも丁寧に私たちを扱ってくださっていたが」

仮面妖怪「最期はこの場所で家とともに燃え、朽ちてしまわれた」

ひゅう、と夜風が妖怪の長い髪を流した。

仮面妖怪「妖怪になりかけていた私に最後まで気づきはしなかったけれど」

仮面妖怪「どこかで分かっていたのじゃろうな」

仮面妖怪「手鞠にこの紙を貼り付けて、私を遠くへ投げ捨てた」

仮面妖怪「その鞠は流れるようにして世を巡り」

仮面妖怪「いつしか妖怪なった」

仮面妖怪「……墓にこれて、よかった」

仮面妖怪「また、遊びましょうか」

もう一度風が吹くと、そこには妖怪などおらず。
とん、と墓の前に手鞠が転がったのだった。

男「ただいま」

女妖怪「ただいま」

男「一緒に帰ってくるの、初めてだな」

女妖怪「うむ」

男「……あの妖怪、どうなったんだ」

女妖怪「元に戻ったよ」

男「……そうか」

女妖怪「もうよみがえることもあるまい。目的をはたしたのならば」

女妖怪「最期の目的が人間とは、珍しいものよ」

男「やさしい妖怪だったな」

女妖怪「妖怪もまた、千差万別よな」

女妖怪「妖怪はな、自身の思い描く姿そのままに形をあらわす」

男「ん?」

女妖怪「矮小だと自覚しているものは小さくなったり」

女妖怪「人と混ざりたければ、人と同じ服装を真似てみたり」

女妖怪「たとえば自身が分からないのであれば仮面をつけてみたり」

女妖怪「あの妖怪はきっと、遠くにいるときからずっと」

女妖怪「あの紙を見ながら、分からない、分からないといっていたのじゃろうな」

男「やっぱり、手伝ってよかったよ」

女妖怪「そういう場合もある、というだけじゃ」

男「そっか」

女妖怪「飯にするかー」

男「おう」

――それから数日後

女「あ、あの、男さん」

男「はい?」

女「秋葉原とか、詳しいですか?」

男「え……、まあ、多少」

女「こんどその、秋葉原のメイド喫茶とかいってみませんか……!」

男「……は?」

女「あの、すごく興味あるんですけど、行ったことなくて……」

女「あ、デデデデートに誘いたかったとかそういうのじゃなくて!!!」

女「だ、だめでしょうか……?」

男「んー……、まあ、いいけど」

――仕事帰りの秋葉原

女「わ、はじめておりました!」

男「あ、そ、そうなんですか」

女「男さんのいうところならどこでもいいです!」

男「まあ無難なところにします」

男(やっぱこないほうがよかったかなあ)

女「一度みてみたかったんですよねーメイド喫茶!」

男「う、うん」

男(このはしゃぎよう、さすがに断れんか、前のこともあるし……)

メイドさん「おかえりなさいませご主人様、お嬢様!」

女「わっわっ、メイドさんですよ!」

男「そうですね。ここはディナーもいけるのでいいですよ」

男「ご帰宅料とか入国料もないですし」

女「おお! そうですか!」

女「わくわくしますね!」

男「そうですね」

男(うーん、なんかあれ以降、明るくなったような)

男(まあ憑き物とれればそうなるか)

女「ちゅーちゅーごっくん、すごくよかったですね!」

男「ふーふーあーんはさすがに恥かしかったですけど……」

女「えー、面白かったですよー!」

男「そ、そですか」

男(……む)

背広妖怪「おや?」

男(いる。超いる。めっちゃこっちみてる」

背広妖怪「おやおや! これは先日の同士ではありませんか!」

男「……」

背広妖怪「今日は彼女連れですか、いいですねえ」

男「彼女じゃないです」ぼそ

女「どうしたんですか?」

男「あ、いや」

背広妖怪「そうですか。それは失礼」

背広妖怪「ところで先日のあれ、いかがでした? むふふ」

男「ちょ、ちょっと、彼女一般の人なんで、後にしてもらえますか……」ぼそぼそ

背広妖怪「おやおや、そうでしたね。申し訳ない」

背広妖怪「では耳寄りな情報をひとつだけお伝えしておきます」

背広妖怪「最近このあたりで、といっても東京全域みたいですが」

背広妖怪「妖怪狩りをしているものがいるみたいです」

背広妖怪「どうやら捕食の類のようですから、気をつけてくださいね」

背広妖怪「とくにあなたは、良い匂いがする」

ぞわっ

男「そ、そうか、わかった」

背広妖怪「ああ私はノンケですよ。そもそもそっちの食うではなく」

男「わかってるってっ」

背広妖怪「ああでも、うわさによればどうやら東洋の妖怪らしいですから」

背広妖怪「東洋ではゲイポルノも盛んなようですしもしかしたらそれも……」

男「……」

女「だ、大丈夫ですか……?」

男「だ、大丈夫だ」

女妖怪「東洋の妖怪?」

男「ああ、そう聞いた」

女妖怪「悪魔か。あれはタチが悪いぞ」

男「そうなのか?」

女妖怪「あいつらの方が契約だのなんだのは盛んだが」

女妖怪「そのえげつなさと言ったらもう、私達の比じゃあない」

女妖怪「関わらないが吉じゃ」

男「そうか、わかった」

女妖怪「うむ」

――深夜

コンコン

男「……ん……?」

コンコン

男「ん……?」

コンコン

男「な、なんだ? 窓?」

ガラッ

男「ん、誰かい――わっ」

東洋? 西洋?

ゴロゴロゴロゴロ

男「なんだ!?」

女妖怪「んにゃ……ん……お?」

男「お、おいおきろ、なんか入ってきたぞ」

女妖怪「なにをー……? え」

女妖怪「こ、こいつ妖狐か! なぜこの部屋にはいれた!?」

男「あ、えっと、俺が窓開けたら……」

女妖怪「た、たわけ! 自ら結界を壊してどうする!」

男「そ、そんなのあったんだ、ごめん」

女妖怪「だー、もう! 始末してくれる!」

妖狐「お、おまちを! お話を聞いてくださいっ!」

>>348
あ、めんごめんご
東洋じゃなくて西洋ですね。変換しといてください

男「ほ、ほら、おちつけって」

女妖怪「ぐるるる」

妖狐「あう。す、すいません、いきなり尋ねてきちゃって」

男「どうしたんだ」

妖狐「そ、その、助けてほしくて……!」

女妖怪「ほらまた面倒事もってきた、だからさっさと始末を」

男「す、すまん、こいつ寝てるところを起こされてご機嫌斜めなんだ」

妖狐「ご、ごめんなさいっ」

男「ほらおちつけって。話きかなきゃ」

女妖怪「ぐううう」

妖狐「私のご主人様の様子が、最近おかしくて……」

妖狐「いままではとてもやさしかったのですが」

妖狐「最近まるで人が変わったように、荒々しくなってしまって……」

妖狐「私では手のつけようもありません」

妖狐「どうにも何かに憑かれているようなのです」

妖狐「そこで、どうかご主人様を憑き物から助けてはくださいませんか!」

男「なるほど……」

男「あれ、ご主人様ってことは、君も契約してるの?」

妖狐「いいえ。私はただの狐として可愛がってもらっていました」

妖狐「この姿は、ご主人様には見せたことはありません」

男「なるほど、そういうのもあるのか……」

女妖怪「ちょっとまて。それ以前に何でお前、私達を知っている」

妖狐「へ? あ、最近このあたりでちょっとした話の種ですよ」

妖狐「このアパートに強力な妖怪がいるって……」

妖狐「先日の淫魔を退治した話も風の噂で聞きました」

妖狐「あの辺りでは、どうにも手を焼いていたみたいですから」

男「そ、そうなのか……」

女妖怪「うーむ、そういえばこの結界で中は守れてもいるのはバレバレか」

男「バレないほうがよかったのか?」

女妖怪「いやべつに隠す気もなかったが」

男「そ、そうか」

妖狐「な、なんでもします!」

女妖怪「なんでも……?」

妖狐「な、なんでも……」

女妖怪「下の世話もか」

妖狐「なっ……、え、ええ、もちろん!」

女妖怪「だ、そうだ」

男「そこで俺にふるなよ!」

女妖怪「受けるのか?」

男「いやまあ、困ってて、助けられるなら……」

女妖怪「はあ、変態め、色魔め」

男「ひどいいい様だな……」

女妖怪「まあよい、とりあえずは明日だ。お前は寝ろ」

男「ん、わかった」

女妖怪「おやすみ」

男「おやすみ」

女妖怪「……」

妖狐「……」

すーすー

女妖怪「屋根の上ででも、話の続きをしようかの」

妖狐「……」

女妖怪「貴様なぜ自分で助けない?」

妖狐「どうしようもないからですが……」

女妖怪「猫をかぶるな。助けを請うなら素性くらい明かせ」

女妖怪「貴様、本来力のあるものだろう?」

妖狐「……」

女妖怪「九尾か、天狐か、空狐ではなさそうだが」

妖狐「お見通しか、やりますねあなた。空狐になりかけの天狐ですよ」

妖狐「でもあなただって、本来の力よりもぜんぜん……」

妖狐「いえ、この感じ、手負いですかね」

女妖怪「……ほう」

妖狐「おおむね、人化して身を隠し回復待ちか」

妖狐「召喚で強制的に体を移動させて退避したかったのか」

妖狐「あるいは両方か」

女妖怪「さて、どうかな」

妖狐「本題はこちらですか」

女妖怪「そのあたりの変なことを、あいつに吹き込むなよ」

妖狐「ふむ」

女妖怪「あいつも記憶があいまいみたいだしな」

女妖怪「たまの日常というのも、悪くない」

妖狐「……分かりました」

――翌日

男「とりあえず今日は普通に仕事いってくるよ」

女妖怪「うむ、いってこい」

妖狐「いってらっしゃーいませー!」

女妖怪「お前すごい猫っかぶりじゃな」

妖狐「まあまあ」

男「ん、どうした?」

妖狐「なんでもないですよう!」

男「そ、そうか」

男(んー、案外妖怪事情も大変なんだな)

男(知らなきゃ知らないでよかったけど、知ると気になってしまう)

女「どーしたんですかっ難しい顔して!」

男「ああいや、べつに」

女「あ、もしかして、また妖怪がどうとか」

男「なっ」

女「あれ、あたりですか? やった!」

女「男さん、霊媒師ですもんねー!」

男「え? なんでそう……」

女「だって私の憑き物とってくれたじゃないですか!」

男「あー、えーと……」

男(まあ大体あってるし、ややこしくなるくらいならそれでもいいか……)

男「え、今日飲み会だっけ」

同僚「何だお前わすれてんのかー」

女「会社の人たちでやるっていってたじゃないですか!」

男「あー、あー……、そういえば?」

同僚「まったくお前ってやつは。ちゃんとこいよ」

男「ん……」

男(うーん、家に連絡しておくか、一応)

男(電話くらいなら使えるだろうし)

男「わかった、大丈夫」

――夜

男「飲みすぎたな……」

男(皆には大丈夫っていってきたけど、うーん、戻しそうだ)

男(どこかトイレがあれば……)

男「うっ」

男(もうあの茂みでいいか)

いそいそ

男「ふう……。すっきりした」

男「しっかしここ暗い――……っ!」

男(なにかいる……!?)

男「あ……」

蛙妖怪「あ、あぁぁああっ」

男(お、襲われてるっ! あの黒い影が例の西洋の妖怪か?)

男「お、おい! なにしてる!」

ドサッ

赤い目がこちらをむく

「グエッ! グエエエ!」

男(こっちにくる……!)

男「がはッ」

顔を殴られ、転ばされた。

男「や、やめろっ」

「グエエッ!グエッグエッ!」

男(くそっ、こいつ今まで見てきた妖怪とぜんぜん違う……!)

男(話が通じない!)

男「ぐっ」

男(馬乗りになられるのは、やばい……)

男(誰か)

男「ぐあっ」

腹と顔に、何度も拳が刺さる。

かぱぁ……。

男(こ、こいつ……! 俺のこと食う気か!?)

ズドンッ

男「ッ!」

背広妖怪「気をつけてくださいねと言ったでしょう」

男「お、お前!」

背広妖怪「同士よ」

「グエッ……、グエエッ」

背広妖怪「これは使い魔ですな。少々おまちを」

彼の動きは早かった。
重い一撃が何度も使い魔にささる。

「グエ……」

男「き、消えた……」

男「あ、ありがとう」

背広妖怪「いえいえ、これしき」

男「でもどうして、ここに?」

背広妖怪「ここ、ソープ街ですよ。最高の覗きが堪能できますよ」

背広妖怪「あ、ご一緒にいかがですか」

男「いやそれはやめておきます……」

背広妖怪「それは残念」

男「意外と、強かったんですね」

背広妖怪「紳士のたしなみ程度には」

背広妖怪「お家までお送りいたしましょう」

もうしわけない
一度休憩を・・・!
見てくれてた人ありがとうございます
最後まで考えてあるので、おきてまたあったら続き書きますね

背広妖怪「ほう、これはまたすばらしい結界ですな」

男「そうなんですか?」

背広妖怪「ええ、この私も腕にそこそこの自信はありますが」

背広妖怪「あの部屋を覗くには手間がかかりそうだ」

男「覗きはやめてください……」

背広妖怪「冗談ですよ。ほらおむかえだ」

だだだっ

女妖怪「遅かったではないか心配したぞ――誰じゃお前!」

背広妖怪「通りすがりの同士ですよ。彼をお送りしただけです」

背広妖怪「……おや、まさか本当に契約しているとは」

女妖怪「む……、貴様」

妖狐「おお、これはまた珍しい妖怪ですね」

背広妖怪「いえいえ、普通の紳士ですので」

女妖怪「……手をつけるなよ、私のものじゃからな」

背広妖怪「ははは、そんな怖い目で見ないでください」

背広妖怪「何もしてませんし、何もしませんよ。彼には恩義もありますから」

背広妖怪「ではでは私はこれにて、失礼いたします」

背広妖怪「また会いましょう、同士よ」

男「お、おう」

シュンッ

女妖怪「使い魔に襲われたじゃと! このたわけが!」

男「ご、ごめんって……」

女妖怪「人の中にいれば襲われることもないと高をくくっていたのが間違いじゃった」

女妖怪「次はもう定刻どおり帰れ! いいな!」

男「わ、わかったよ……」

女妖怪「ぐううう、しかも死神になど憑かれおって……!」

男「えっ」

妖狐「いやいや、あの人彼には憑いてないですけど」

女妖怪「仲良うなれば同じじゃ!」

男「死……神……?」

男「そうか、あいつ死神だったのか……」

妖狐「死神といっても、悪い妖怪じゃないですけどね」

妖狐「あなたには憑けませんし」

男「なんで?」

妖狐「この方ががっつり憑いちゃっ――」

女妖怪「うるさいな君は、変なこと言うなと言ったじゃろ」

妖狐「すすすすいませんー!」

男「ふむ……」

女妖怪「まあ気にするな、とにかく飯じゃ飯」

男「お、おう」

――数日後の休日

妖狐「では、行きましょうか」

男「おう。悪いな、休日までまってもらって……」

妖狐「いえいえ、ちょうどいい感じだと思いますよ」

男「ちょうどいい?」

妖狐「あ、いえ、そんな気がするなーって」

女妖怪「ふん」

男「わかった。それでどこなんだ」

妖狐「えーと」

電車で二十分とすこし、徒歩で二十分とすこし。

妖狐「このお屋敷です」

男「立派なところだな……」

女妖怪「……いい感じに仕上がってしまってるな」

妖狐「ですね」

男「……?」

妖狐「私がこの家から出て、張っていた結界がなくなってしまったのですよ」

妖狐「だから、悪霊がやりたい放題しているようです」

男「悪霊……、そいつが憑き物か」

妖狐「たぶん」

ギィ……。

男「勝手に入っちゃって良いのか」

妖狐「この際仕方ありません。もう気づかれているでしょうし」

男「ん……」

ぐらり。

男「――っ!」

女妖怪「くるぞ」

男(空間がゆがんでる……、小人のときよりももっと……!)

妖狐「ご、ご主人様!」

女妖怪「貴様、悪魔だな」

悪魔「ご名答、よくわかったな」

男「なっ……」

男(どこからみても、人間に見える……!)

女妖怪「先日こいつを襲った使い魔の残り香、それと同じじゃ」

悪魔「なるほど鼻がいいようだな」

女妖怪「その程度造作もない」

妖狐「やはりご主人様に憑依していたか……!」

悪魔「なに、契約だぞ? こいつと俺が同意の上だ」

妖狐「ご主人様は悪魔との契約などしない」

悪魔「なにを。契約は金と女だったが」

妖狐「な……、うそだっ!」

女妖怪「だまされるな。どうせ悪魔の事だ」

女妖怪「そうなるよう術でもかけたか、仕向けたか」

女妖怪「いずれにせよ、正常なまま契約などするものか」

悪魔「くっくく、相手がうなづけばそれで良い」

妖狐「貴様ッ……!」

女妖怪「落ち着け妖狐!」

バンッ

妖狐「かはっ……」

悪魔「ふん、大した妖狐でもないくせに噛み付くな」

妖狐「ご主人様の声で……しゃべるなッ!」

男「よ、妖狐、落ち着いて……」

悪魔「しかし馬鹿だな、敵の陣地に自ら踏み込むとは」

男「むっ!? わわ!?」

妖狐「あう……っ」

ぐにゃりと、空間が体を絡めとる。

悪魔「質の良い食事だ。いただこう」

女妖怪「そうか、貴様か。この辺りで妖怪狩りをしていたのは」

悪魔「この辺りの妖怪は気がぬけていて、ずいぶん食いやすかったぞ」

妖狐「ご、ご主人、様」

男(うごけな……っ、飲み込まれる!)

男「がっ」

男(意識が……)

っと、途中だがごめんなさい
できればこのスレで終わらせたいです;
なのでもうしわけないのですが減速で静観体制をお願いします……っ
ちゃんと最後まで書きますので

突っ込みどころはごめなさい・・orz

妖狐「男さん……」

女妖怪「……」

悪魔「おお、妖狐、取り込めばわかるぞ、美味だ……」

妖狐「……」

悪魔「貴様もなかなかだな」

女妖怪「当然よ」

悪魔「なんだ先からその余裕は。気に食わないな」

悪魔「死ね」

グオッ

女妖怪「女性の扱いはもっと丁寧にしろ」

悪魔「む!?」

妖狐「結界を起動します」

悪魔「結界はこわしたはずだが……」

妖狐「仕込みくらいしますよ」

悪魔「貴様……ッ! ただの妖狐じゃないな!?」

妖狐「貴方が領域をこの家で展開するのを待っていました」

女妖怪「話も聞けたからな、もう十分じゃ」

悪魔「だが中で結界を使ってどうするというのかッ!」

女妖怪「妖怪もぐろーばる化とやらが進んでいるようじゃが」

女妖怪「国外の結界類はしらぬか」

妖狐「この結界は領域内の妖気を固定し」

悪魔「チィッ……!」

妖狐「敵を逃さぬと当時に、一時的に安定した――」

女妖怪「――人化の解除を行う」

ゴウッ

女妖怪『ひさしぶりじゃなコレも』

女妖怪『やつが気をうしなっているのも好都合』

悪魔「な、な、貴様……ッ!」

女妖怪『食らわれるのは、お前じゃ』

悪魔「蛇、姫……!」

妖狐「なるほど、蛇姫でしたか……」

女妖怪『下賤な悪魔よ。我が糧となることを喜べ』

大蛇の口が大きくひらき、悪魔へとかぶさる。

悪魔「はっはっはっはははは!」

悪魔「見つけたぞ、俺の手柄だ!」

悪魔「報告してやる、報告してやる、蛇姫を見つけたぞ!」

悪魔は捨て台詞と共に、飲み込まれた。

空間の歪みが戻っていく。

女妖怪「外に使い魔でもいたか……、ちっ」

妖狐「ご主人様っ」

「よう子……か……」

妖狐「はいっ、はいっ! よかった、ご無事で……っ」

「すまぬ、な」

妖狐「いえ、そんなことは……っ」

彼から肩の力が抜け、倒れた。

妖狐「ご主人様……」

女妖怪「しばらく安静にしておけ。おい、お前は大丈夫か」

男「ん……」

女妖怪「こちらもしばらく目を覚ましそうにないな」

女妖怪「仕方ない、持ち帰るか」

男「ん……」

女妖怪「起きたか」

男「あ、ああ……」

女妖怪「気分が優れぬか」

男「いや、大丈夫。ちょっと疲れただけだよ」

男「ってあれこの体勢……、なんで上から見下ろし……」

女妖怪「膝枕じゃが」

男「なななな」

女妖怪「女の膝枕は、男にはとても効果的だと聞いたことがあるぞ」

男「ぐ、う……」

女妖怪「ええいおきようとするな、しばらくこのままでいろ」

男「い、いや、さすがに……」

女妖怪「悪魔に力を吸われて、立つのも厳しいじゃろ」

男「む……」

男(甘い女性の香りのほうが、厳しいのだけど……)

女妖怪「すまんな」

女妖怪「本当は、貴様などつれていきとうなかった」

男「……」

男「やっぱり、俺も一緒にって、おかしいよな」

男「戦えるわけじゃないし、君だけで何とか出来そうだったし」

男「ごめん、足手まといに……」

女妖怪「いや」

女妖怪「強い力を、食わねばならなくてな」

女妖怪「そのためには人化を解かねばならなかった」

女妖怪「妖狐の作る結界と、その中に貴様がいることで初めて」

女妖怪「それは成立する」

男「人化、解いたのか。見たかったな」

女妖怪「見て楽しいものでもあるまい」

女妖怪(本来の人化を解く、ということがどういうことなのか)

女妖怪(それはまだ、いいか……)

男「な、なんだよ」

女妖怪「何、たまには頭くらい撫でられるのも良いじゃろ」

男「はずかしいからやめろって……」

女妖怪「本当に嫌なら、腕を振り払えばよかろ」

男「そんなこと……」

女妖怪「ふふ……」

女妖怪(しかし私の居場所が知られた以上)

女妖怪(話をぼかしつづけるわけにはいかない)

女妖怪「なあ、一つ聞いても良いか?」

男「ん?」

女妖怪「お前は――」

女妖怪(聞きとうないのう)

女妖怪「――どうして私を召喚した?」

男「え、いや、それは童貞――」

女妖怪「どうやって私の召喚術を知ったのか」

女妖怪「どうしてそれに至ったのか」

女妖怪「覚えて、おるか……?」

男「あれ………………、え……?」

女妖怪「……」

――翌日

男(昨日、あのまま話はうやむやだったけど……)

男(そういえば何で、俺はあいつを召喚したんだ……?)

男(童貞を、なんていうのはあの時とっさに思いついた事で)

男(あの瞬間、自分が何をしているのか、わかっていなかった……)

女「また難しい顔してますね」

男「ん、ああ……」

女「最近、いつもそんな顔ですよ」

女「まるで妖怪にでも憑かれたような」

男「そんなこと……」

女「でもでも、妖怪に憑かれてるかどうかって、自分じゃ分からないですよ?」

女「私も男さんに言われて、ああおかしいんだって気づけたんですし……」

男「……」

男(まさか、な……)

――休日

男(きてしまった……)

男「神社、ね……」

女「ここの巫女さんが、とってもすごい人だそうなんです!」

女「友達のツテで時間とってもらったんで、ご安心ください!」

男「あ、ああ」

男(いやいや、あいつが悪いやつなわけ……)

男(ま、まあ、見てもらうだけ、見てもらうだけな)

女「こっちですこっち」

男「あ、ああ」

女「元気にしてもらいましょうね!」

巫女「は、はじめましてっ」

男「は、はじめまして」

巫女「お、お話は伺っております。最近何かに憑かれているようだとか!」

男「ええまあ」

男(実際憑かれてるけど、悪いやつかどうか見てもらいにきただけ、ね)

巫女「わ、私で何とかできれば良いのですが……! あう」

男「だ、大丈夫ですか」

男(なんかすげーわたわたしてる子だなあ)

巫女「あはは、すいません……。いつもこんな調子で、だめですよね」

男「いやいや」

巫女「そ、それではさっそく……!」

男「……」

男(胸に手を当てられると、なんかむずがゆいな……」

巫女「むう……」

男(あいつは良いやつだとおもうけど……)

男(あいつ自身の言うとおり、妖怪は何を考えているか分からないし)

男(何か隠しているようなそぶりも、時々見ることがある)

男(それに憑いてないとはいえ、死神が近くにいるわけだし)

男(なにより召喚の記憶が曖昧という事実……)

男(正直、不安だったんだよな……)

男(妖怪という存在そのものに対する、恐れとか、そういうのもきっと、溜まってた)

巫女「これは……」

男「ん……?」

だからお前ら黙ってろって

だからお前ら黙れって

バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン       バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・)  ババンバンバンバンババァ
 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
    \/___/ ̄

巫女「ご、ごめんなさい、えと……」

男「はい」

巫女「確かに、非常に、非常に強力な何かが憑いております……」

男「それ、どんなのですか」

巫女「んっと……、怨念の塊といいますか、どろどろと禍々しい力……」

巫女「これほどのもの、初めてみました……」

男「……悪霊の類?」

巫女「ほ、ほぼ確実に。悪霊どころか、もしかしたらそれよりも……」

男「……」

巫女「あ、で、でも、狐さんの良い感じもしますよ」

男(妖狐のかな……)

巫女「す、すこーーーーーーーしだけですけど……」

男「そ、そですか」 

>>647見ろ。な?だから黙れったら

男(しかし妖狐のものまで感じ取れるなら)

男(この巫女の言うことの信憑性は高い……)

巫女「即刻お祓いをするべきかと、思います」

男「ん、んと……」

男(あいつ……やっぱり……)

巫女「これはさすがに、緊急のレベルです……見過ごせません」

男「……」

巫女「あ、ご安心ください!」

巫女「わ、私これでも、何度も経験ありますし、なんとか出来ると思います!」

男「……わかった」

巫女「では、さっそく明日にでも」

巫女「ご都合はつきますか?」

男「……はい」

男「ただい――」

バチッ

男「!?」

男(神社でもらったお守りが、部屋の前ではじかれた!?)

女妖怪「どうした?」

男「あ、いや」

女妖怪「む……、魔よけのお守りか」

男「ちょっと、もらってさ」

女妖怪「……そうか」

男「ああ……」

女妖怪「飯にするか」

男「たのむ」

   ○
_   。 o
┻┓∬ 。  /⌒ヽ  ばばんばばんばんお♪
 |||。o    (^ω^ )
( ̄ ̄o) ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄)
.i ̄○ ̄ ̄○ ̄o゚ ̄0i
(_oノ_O_゚_Oo_)

           ┌────―┐
           || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||
           ||  ////.||
        ♪ || ♪  おっ おっ おっ

        ♪ /⌒ヽ  /⌒ヽ†||.
        ♪ (   ∩ (^ω^ ∩||.
       . .ノ   ノ 丶   . ||
        (   ノ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
        ∪ ∪_____.|

女妖怪(この感じ……、こやつ神聖な場所へいってきたか)

女妖怪(……何があったのじゃろか)

男「……」

女妖怪「うまいか」

男「あ、ああ」

女妖怪「よかった」

女妖怪(ぎこちない……、いままでこんなことなかったというに)

女妖怪「また背中でも流してやろうか」

男「い、いや、いいよ、大丈夫」

女妖怪「そ、そうか。青いやつめ」

男「わ、わるいな……」

とりあえず赤い奴は全員死んでいいよ

――翌日

男「きたぞ」

巫女「こ、こちらも準備万端です、ささこちらへ」

男「ああ」

すたすたすた

巫女「この部屋に、結界を敷きました」

巫女「力を固定するもので、悪霊を分離する際に使います」

男「へえ、なんかこの感じ、知ってるな」

巫女「この結界ですか?」

巫女「ああ、稲荷神の結界ですから、その加護のあるあなたは知っているかもしれませんね」

男「そっか」

巫女「では、始めます」

正座し、対峙。

男「あ、あの、その弓と矢は?」

巫女「これは破魔矢です、いざというときのために」

男「そ、それ本物だよね……、すごい光ってるけど」

巫女「見えますか。そうですよ、こういうときのため専用のものですから」

男「そっか……」

男(あいつに何もなければいいけど……」

巫女「目を、つむってください」

男「はい」

>>750
>>1にしねって言うのかよ最低だなお前

男(また胸に……)

巫女「ふう……」

男(何か、流れ込んでくる)

巫女「……」

男(暖かな……)

巫女「見つけた」

男「えっ」

がくんっ。

男(力が抜――)

巫女「で、出てきなさい。悪霊よ!」

>>754
なにこの厨房

>>762
触るなっつの

男「あ――」

それは轟音とともに。
まるで自身から抜け落ちていくように。

男「へ、蛇……!?」

巫女「はぁああッ!」

ずるりずるりと、這い出した。

巫女「お、大きい……!」

男「う、あぁああああッ!」

まるで体の中身をすべて持ち去られるような感覚。
大蛇はトグロを巻き、そして、形づくる。

男「あ、あああ――!!!」

女妖怪「……貴様か」

頼むから>>647見てくれ

>>762
^^;

>>763
結局お前もスルーできてねえじゃん新参でつか?

すかさず巫女は弓を構え、破魔矢を射る。

男「や、やめ」

シュンッ

巫女「伏せてッ!」

女妖怪「気の早いやつめ」

放たれた矢は彼女の髪をちらし、後方のふすまを貫いて消える。

巫女「くそっ」

シュンシュンッ

女妖怪「現代の巫女ごときの矢にあたると思うてか」

接近した彼女の腕が巫女の首を絞める。

巫女「ハァッ!」

隠していた銀の刀。

女妖怪「ほう」

その手が、離れる。

>>765
了解(ゝω・)vキャピ

その対峙は束の間。

男「お、おい……、だめだ……」

だが彼が仲裁する余地もなく。

巫女「お、お前、何者!」

女妖怪「憤怒と憎悪と嫉妬の化身――」

男「な――ッ」

女妖怪「――清姫じゃ」

巫女「きよ、ひめ……! 蛇姫の伝説の!!」

女妖怪「ようしっておるな」

女妖怪「なれば」

女妖怪「退治できぬことも、しっておろう?」

巫女「く、う……ッ!」

バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン       バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・)  バンバンバンバンバン
 _/_ミつ/ ̄ ̄ ̄/
   \/___/ ̄

巫女「ひっ」

噛み付いた無数の蛇が巫女の装束を裂く。

女妖怪「良い肌じゃ。乳房も良い色じゃな。よし。その力、食らってやろう」

巫女「あ、あ……っ」

男「お、おい! だめだ! やめろ!」

女妖怪「何を言うか。この女、私を討とうとしたのだぞ」

男「そ、それは俺が頼んで……」

女妖怪「私と契約しているのにか?」

男「俺は、お前が、悪霊だと知って……、どうにかしなくちゃって……!」

女妖怪「契約を破棄するのか?」

男「……っ」

女妖怪「そうじゃ。そのとおりじゃ。私は悪霊。それも人をのろい殺す部類のな」

女妖怪「体は恨みと憎しみでできている。もうどうしようもできない」

男「く、う……」

女妖怪「悪いが」

女妖怪「私は人間ほど、優しくないぞ」

片手で持ち上げられた巫女を見て、
くちゃり、とつぶされた淫魔を思い出す。

女妖怪「どうする?」

女妖怪「契約を破棄するならば、お前を殺し、ここを去ろう」

女妖怪「続けるならば、この巫女を殺し、ここに残ろう」

女妖怪「選べよ、我が餌よ」

男「……ッ!」

バンバンバンバンバンバンバンバンバンバン
バン       バンバンバン゙ン バンバン
バン(∩`・ω・)  バンバンバンバンバン
 _/_ミつ/ぬるぽ/
   \/___/ ̄

>>1
そろそろ次スレ建てるかどうか聞いてもいい?
こいつら自重する気無いみたいだけど

>>802
死ね

               i`i
               | .|              
               | .|_,.、/'i
              ノ'" ニヽイ

             ノ'" ニヽイ

            r〈    くン      
            ト-'r、ィ-へ7 
              |        |/: : : : : : : : : : : `丶、
             |      :l/: /: / : /: : : : :|: : : : :\
            |       :| :│/:/i |: : |: : :|: : : : : : :ヽ
            /|      │ 」_l-: L| : 」: :‐|- :}: :リ : iハ
           / |     :|: :| __、   _ ̄ ̄∨: : i :|
           |  /|,      l∨~ ̄``   -==ミ/: : : |: |  
           l/|/|      l八   _'     厶|/:/i イ  なんか笑えてくるwwwww
           / : :l     ハ : ヽ { ::::::\7   /)|i/: i :|
          ./: : : :l     ∧: ハ 、::: _ノ  .イ: :i : : i八   こいつがカワイソウすぎてww

          i: :/!: : |       ∧: :ト ._  イ: :i : : : : |: : ヽ
          |: | |: : :|       〉 |    /: : :i :リ: :.i:|: : : :i   不憫すぎてww
             V八: : |     ∧:.|\   ∧\j:/: : :jノ: : :i |
             \ \|      / l人 マニニ|  / : / : : /jノ なんて世界のシステムだwwww
                  ∧        くト=ヘ. ト∨∠/∨|:/
             │ ∨      | |\∨/>| | j∨

              |   ∨       \.ニ>く二/∨ ,ハ_
               \ ∨      /○\.   ∨  }

妖狐「はいそこまで! おわり!」

女妖怪「むっ」

妖狐「だめですよ、そんな荒れちゃ」

背広妖怪「大丈夫ですか二人とも。……おや、巫女さん、見えてますぞ」

男「お、おい、こんなときに……」

巫女「くう……」

女妖怪「……貴様ら」

妖狐「天狐の名で仲裁です! ね?」

背広妖怪「私も仲裁いたしましょう。死神の名で死を延長してくださいな」

女妖怪「……ふん」

しゅんっ

妖狐「……ほっ」

男「あいつは……いったい」

妖狐「清姫ですよ。思い出せませんか?」

男「いや……」

背広妖怪「順に教えてあげると良いでしょう」

妖狐「そうですね」

妖狐「まずは、これを」

男「古い、本……?」

妖狐「わかりませんか?」

妖狐「貴方がずっと大切にしていた」

妖狐「清姫の、本当の物語」

男「…………」

妖狐「ずっとあなたの家に、あったのですよ」

今北産業

>>830
清姫
よう子
巫女さん

   _,,....,,_  _人人人人人人人人人人人人人人人_
-''":::::::::::::`''>  ゆっくりしてもいいじゃないか!  <
ヽ::::::::::::::::::::: ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
 |::::::;ノ´ ̄\:::::::::::\_,. -‐ァ     __   _____   ______
 |::::ノ   ヽ、ヽr-r'"´  (.__    ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
_,.!イ_  _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7   'r ´          ヽ、ン、

::::::rー''7コ-‐'"´    ;  ', `ヽ/`7 ,'==─-      -─==', i
r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ  ,' ,ゝ レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||
`!  !/レi' (ヒ_]     ヒ_ン レ'i ノ   !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |
,'  ノ   !'"    ,___,  "' i .レ'    L.',.   ヽ _ン    L」 ノ| .|
 (  ,ハ    ヽ _ン   人!      | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /
,.ヘ,)、  )>,、 _____, ,.イ  ハ    レ ル` ー--─ ´ルレ レ´

      「|
   rm |n
   |、 'ノ

    |==|
    レWト
    | |

    | |
    | |_,....-‐―‐- 、

    | | /  ノ|l  l  `ヽ
-=彡~ | | イ丈  | 斗\ ! ヽ―z
 / ∠ | |/ >  <  |  i|  ト、 この人変態です
_イ / ̄ ̄〕⊃   ⊂ | 人 | \

 | /气==人   ⌒ヽ  l ハ `〈   |
 /  /  !|〕ト _  イ/| ` ̄ ト、 |
   〈   〉====ト、 / ∨| / `|
    \/  〈〉 ヽ〕ー、  ∨
    ├テ=v==ュ|   ヽ

     | {{  |i|  }} 》   〉
     | {{  |i|  }} i___/
     | {{  |i| }} i〈  ̄ 〉
     ! {{  |i| }}|〒〒
    / {{  |i| }} l  | |
  l⌒/〉 {{  |i|  }}「卩| |
_くノレ' {{   |i|  ト斗| |\

男「……あ……」

男「きよ、ひめ、様……」

男「安珍(あんちん)に、だまされて……!」

妖狐「そうです、ここに書かれた清姫は、本来の言い伝えとは違い」

妖狐「自ら蛇になったのではなく、安珍に蛇にされたのです」

妖狐「彼女は安珍に性奴隷として使うだけ使われて」

妖狐「最後は捨てられた」

妖狐「ここにあるのは、清姫自身の手記」

男「あ、そ、そうだ……」

男「実家の蔵にあったそれをよんでずっと、俺……」

男「ああ……」

元性奴隷とか(´・ω・`)

背広妖怪「古い文字を読むのに、どれだけの時間がかかったことか」

背広妖怪「あなたは手記を解読し、そうして、みつけたのですね」

男「……」

背広妖怪「彼女が残した、この遺品の在り処を」

一枚の紙。そこには、陣がかかれていた。

背広妖怪「彼女を召喚する、彼女自身が書いた陣」

背広妖怪「召喚の方法は、手記に記されていましたね」

男「……そう、そうだ」

男「でも、どうしても最後の一つがそろわなかった」

男「だけどそれはあの日、俺が彼女を召喚した日に、自らやってきたんだ」

男「弱りかけた、黒い小さな蛇が」

男「俺が召喚することで、彼女を救えると思ったんだ……」

妖狐「そうですね」

妖狐「彼女はあなたの召喚により人化し、完全な服従状態になることで」

妖狐「姿をくらますことと、傷を癒すことができた」

妖狐「普通の妖怪は、人間に服従するくらいなら、自身で隠れます」

妖狐「人化の間は、元の姿に戻ることもできませんからね」

妖狐「その不自由を受け入れるほど、彼女は弱っていたのです」

妖狐「安珍との、戦いで」

男「でもなんでその時の記憶を……」

背広妖怪「……なぜ私があなたに憑けないか、わかりますか?」

男「なんとなく」

背広妖怪「察しがよくてたすかります」

背広妖怪「そのとおり。あなたがもう、死んでいるからです」

男「……そうだな」

男「清姫召喚の代償は、命。……そう書いてあった」

妖狐「清姫の記憶もそのとき、ですね」

男「でもそれは書いてなかったような……」

妖狐「清姫のやさしさだったのだとおもいますよ」

妖狐「清姫があなたという個人の存在を知ってはいなかったでしょうが」

妖狐「無駄なことを考えさせないように、余計なことを考えさせないように」

妖狐「いつも彼女が言っていた事、面倒事に関わるな、が正にそれ」

(`・ω・´)よくわかんないんだけど!

(´;ω;`)よくわがんないんだけど!

男「そう、か……」

男「そういう、ことか……」

男(悪霊は悪霊、でも、そうなってしまったのは彼女のせいではなく……)

男(俺は……)

男「そ、そうだ! 今あいつは!? 謝らないと……ッ!」

妖狐「ふふ、よかった、元気になって」

背広妖怪「うちの使いが後を追いかけていますよ」

背広妖怪「行きますか?」

男「さすが同士! たのむ!」

背広妖怪「いえいえ、恩義がありますから」

よくわからん

つまり、登場人物が全員死んでいたっていうことか
それ以外に説明がつくだろうか

>>882
ねー(´・ω・`)

>>885
俺の巫女さんも( ゚д゚ )?

女妖怪(嫌われて、しまっただろうか)

女妖怪(妖狐はあの本を持っていたようだし、記憶も戻ってしまっただろう……)

女妖怪「しかし、タイミングが悪いものじゃな」

女妖怪(先の悪魔の伝達の所為か、もうヤツがきている)

女妖怪(先の戦いの後で多少疲弊しているが)

女妖怪(せめてアイツには手出しをさせてはならない……)

ゴッ

女妖怪「そこか――ッ」

僧「やあ、ひさしぶりだね」

女妖怪「……安珍ッッ!!!」

>>889
あー間違いなく死んでいるね
それかッ主人公が妖怪化しているかのどっちかだね

ID:TFVplRbK0
こいつ気持ち悪すぎ
自分は悪い事してないとでも思ってるんだろうな

>>894
俺の蛙男妖怪も(´;ω;`)?

>>896
(・∀・)キャー新参コワーイ

埋めろー(^q^)

僧「なんだ、人化しているなんておもってなかったよ」

僧「さあおいで、そんな人の殻など脱いで」

女妖怪「貴様を殺してからな」

僧「殺すにしたって、人の殻を脱がなきゃ」

女妖怪「……」

僧「そうか、契約した人間に、執着してしまったか」

僧「そうだな、人化をこの場で解いたら、そいつも人間ではなくなってしまう」

僧「君が人間だから、彼も人間。君が妖怪となれば、彼は――」

女妖怪「だまれェッ! 貴様に何が分かる、人の身で悪魔に身を売った下衆に!」

僧「あはは、ひどいなあ」

結局死んでないっぽいじゃないか(´・ω・`)
君たちは僕にごめんなさいしないといけないよね(´・ω・`)?

>>901
古参だってんならもうどうしようもないから死ぬまでROMれ

>>918
(´・ω・`)カワイソス

埋めろー(^q^)

>>647みろよおまいら(`・ω・´)

女妖怪「今度こそ、殺す」

僧「その体で?」

女妖怪「殺すッ!!!」

僧「うん、おいで」

ドゴォッ

僧「人の身でよくやるなあ」

女妖怪「グオォォッ!」

僧「ふむ、女性らしからぬ」

女妖怪「貴様にィッ……何がわかるとッ! いうのかッ!!」

女妖怪「ヤツは、ヤツは、あの手記に込めた私の気持ちをッ! 読み取ってくれたッ!」

女妖怪「それだけで、命を投げ捨てるほどッ! やさしい人間の気持ちをッ!!」

女妖怪「人のぬくもりをしらぬ貴様にッ! 何が分かるというのかァアアッ!!」

ほんと夏厨は無駄にレス消費するから困る

>>952
禿同

また向こう行きかよ
このスレは>>1のせいじゃなく、バカとそれをスルー出来ない池沼のせいだが

とりあえずSS速報にスレたててくる
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
↑ここです

1はとりあえず前スレでここはっとけばいいんかな?

>>973
そもそも向こうでやるべきだろjk
長編ならなおさらな投下間隔長いのに書き込むなとかもーbkかと

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