まどか「おいでませ、ラーメンQB!」(256)
まどか「さやかちゃんさやかちゃん!」
さやか「どうしたのさ、そんなにはしゃいで」
まどか「知ってる? 近くにすごく美味しいラーメン屋さんができたんだって!」
さやか「へえ? 聞いたことないけど……」
まどか「せっかくだから行ってみない?」
さやか「うーん、まどかがそう言うなら付き合ってみてもいいかなー?」
まどか「やったー! さやかちゃん大好きー!」
ガラガラガラ
マミ「いらっしゃいませー! ラーメンQBにようこそ!」
QB「僕の食券を買ってお客さんになってよ!」
まどさや「……」
さやか「まどか……ラーメン屋の話って誰に聞いたの?」
まどか「……マミさん」
さやか「マミさん、何やってるんですか!?」
マミ「何って、見ての通りのウェイトレスよ?」ヒラヒラ
まどか「ファミレスならともかく、ラーメン屋さんの店員さんはそんなフリフリの制服は着てないと思います……」
マミ「あら、ファミレスもラーメン屋も同じ飲食店よ? 差別はよくないわ」
まどか「差別とかじゃ……どうしてこんなことやってるんですか?」
マミ「キュゥべえがラーメン屋を開くから、ぜひ店員をしてくれって」
さやか「はあ、その格好でですか?」
マミ「ええ。こんな役を任せられるのはマミしかいない!ってね」テレテレ
さやか(うわあ……まんざらでもない)
QB「さあメニューを選んで食券を買ってよ!」
さやか「あんたはマイペースだね……」
まどか「あっ、でも色々揃ってるよ?」
さやか「んー? 醤油、味噌、塩、とんこつ……確かに一通りあるね」
まどか「さやかちゃん、せっかくだし食べていこうよ」
さやか「まあ、まどかがそう言うなら……じゃあ味噌かな」ガシャコン
まどか「私は醤油かな!」ガシャコン
マミ「は~い、味噌・醤油一丁!」
QB「君たちの注文はエントロピーを凌駕した!」
さやか「注文しておいてなんだけど、あんたラーメンなんて作れるの?」
QB「美樹さやか、僕たちの科学力を侮っちゃいけないよ。人間の食べ物くらい朝飯前さ」
QB「科学的に効率を追求した完璧な調理工程! 人体に最適な栄養バランス!」
QB「さらに可愛い動物シェフに、美人のウェイトレスまでいるとくれば、繁盛しない方がおかしいくらいだろう?」
マミ「やだ、キュゥべえったら、美人だなんて!」テレテレ
さやか「……なんだか物凄く不安なのはなんでだろう」
まどか「あはは……自信有りそうだし、大丈夫じゃないかな?」
QB「へいおまち!」
マミ「は~い、お待たせしました! 味噌QBと醤油QBで~す!」
さやか「嫌なメニュー名だなあ……」
まどか「あ、でも見た目は美味しそうだよ? レンゲにキュゥべえのイラストがプリントされてて可愛いね」
さやか「まあね……んじゃ」
まどさや「「いただきまーす」」
ズズー ズルズル ズゾゾ
マミ「どうかしら?」
QB「素晴らしいだろう?」
さやか「げふっ、げほっ……! 何これ?」
まどか「麺がびちゃびちゃして柔らかい……スープに味がないよお……」
まどさや「「マズい……」」
マミ「え? え?」
QB「君たちは何を言ってるんだい? 素晴らしいメニューじゃないか!」キュップイ!
QB「まずスープ、君たち人間が過剰摂取しすぎている塩分を限りなくおさえ、各種栄養素を配合した完璧な出来!」
QB「さらに素早い仕上がりのために、茹でおきした麺をサッとお湯にくぐらせる効率的な調理工程!」
QB「非の打ち所がないじゃないか!」
さやか「打ち所しかないわっ!」
マミ「どれどれ……ううっ、これはちょっと……」チュル…カタン
QB「まったく、人間は味覚なんていう不確かなものに頼ろうとするんだね。わけがわからないよ」
さやか「あたしは味の考慮なしでラーメン業界に殴りこむ、その根性がわけがわからないよ……」
まどか「マミさん、味見とかしなかったんですか?」
マミ「キュゥべえがあまりに自信満々だったんで、つい……」
さやか「そもそもなんでラーメン屋なんてやろうと思ったのさ?」
QB「……」
QB「それを話すと長くなるね……」
QB『はい、こちら見滝原地区担当インキュベーター、個体名キュゥべえ』
本部『ご苦労。突然だが、君に伝えなければならないことがある』
QB『はあ、なんでしょうか』
本部『魔法少女プロジェクトだが……思わしい結果が得られなくてね。大幅な人員削減が決定した』
QB『それはまた、急な話ですね』
本部『そう……そしてキュゥべえ。君も整理対象となってしまった』
QB『ははあ、なるほど……えええええええッ!?』
QB『待ってください、僕は他地区に比べてもかなりの成果を挙げているはず!』
本部『しかし、見滝原地区にはワルプルギスの夜の襲来も近いし、君自身があまり幹部に好かれていなくてね』
QB『そ、そんな……! 突然そう言われても、補給が切れたら僕はこんな見知らぬ星でどうすれば!?』
本部『幹部にかけあってみるさ……それまでは持ちこたえてくれ』プツッ
QB『あっ……ちょっ!? 本部!? もしもし! もしもーーーし!』
QB「……と、いうわけなのさ」
まどか(リストラ……)
マミ(再就職でラーメン屋で独立……)
さやか(脱サラして夢見ちゃった中年みたいな……)
QB「そこでだ。この星……特に日本は安定したラーメンブーム。見滝原に有名なラーメン屋はないんだから、チャンスだと思ってね」
さやか「いやあ、これじゃどうやってもお客さん来ないと思うよ」
QB「……それは困るんだ」
QB「一時的とはいえ本部からの補給・支援が止まる以上、僕には何の力もない」
QB「そんな僕がこの星で生きていくためには力が! つまり金がいるんだよ!」
さやか(うわあ……)
きゅっぷい
さや「何あれ?」
ほむ「甘々ね」
まど「流石マミさんだねー」
杏子「日頃からこんなことしてんのかな~」
QB「日頃はケーキとかだよ!マミはケーキとかお菓子とかそんな存在だろ?!」
ほむ「何女子中学生みたいな甘々なこと言ってるのかしら」
まど「キュゥべえは夢見がちなんだねー」
まどか「うーん、でもラーメン屋さんは……というか、飲食店は向いてないんじゃないかな?」
マミ「そうねえ……働きたいなら他にもやり方が」
QB「いや、もう後には引けないんだ」
QB「なにせ店舗確保、店内の内装、券売機の設置、機材・材料その他もろもろで、かなりの先行投資をしているからね」
さやか「ええー……そんなの、リストラされたあんたがどこから」
QB「それはもちろんマミの生活資金の口座から前借りして」
マミ「えっ」
QB「……」
マミ「えっ……えっ?」
QB「マミ、どうしたんだい?」
マミ「……」
ゲシゲシゲシゲシ <ナニスルンダイマミ!? アアッソコハラメェ!!
さやか「これはひどいなあ……」
まどか「マミさん可哀想……こんなの絶対おかしいよ……」
うわ壮大に誤爆したしにたい
まみまみきゅうきゅう
???「お困りのようね」
さやか「そ、その声は!」
???「私はラーメン好きな人の味方で、ラーメンの味を無視する馬鹿の敵」
まどか「ホムラチャン!!」
ほむら「話は聞かせてもらったわ。他ならぬラーメ……まどかのため。私に任せなさい」
ほむら「この店を見滝原一のラーメン屋にしてみせるわ」
さやか(転校生はラーメン好きだったのか……)
まどか(ほむらちゃん、ヨダレが……)
QB「何だい、暁美ほむら。ここは僕の店だよ? 誰に断って手を加えようっていうんだい?」ムギュウ
マミ「……」グリグリ
まどか「マミさん、そろそろその辺りで……ほら、キュゥべえがせんべえになっちゃいますよ?」
ほむら「インキュベーター……それなら現状のまま開店して、繁盛する可能性が万に一つもあると思うのかしら?」
QB「それは……」
QB「まずは、改善点から聞かせてもらいたいね」
ほむら「ええ、構わないわ」
ほむら「まずはスープについて」
QB「4種類の風味を用意し、塩分を極限までカットした栄養たっぷりのスープさ。自信作だよ」
ほむら「この時点で、ラーメン屋としては180度間違っているわ」
QB「えっ」
ほむら「よく聞きなさい、インキュベーター。人間はラーメン屋に来る時点で、自分の健康なんてどうでもいい……!」
QB「な、何だってーーー!?」
ほむら「栄養や健康を気にする人間にラーメン屋に入る資格なんてないわ。ラーメンとは体に悪いもの」
ほむら「パンチの効いた塩気! 背脂ギトギト上等の心意気……! 味のために健康を捨てた者の修羅のメニュー……それがラーメンよ」
ほむら「そして麺について」
QB「茹でおきをサッと温める最高の回転率を誇る調理法さ!」
ほむら「ラーメンへの冒涜だわ……!」ザワッ
まどさやマミ(……ッ!?)ゾクッ
ほむら「麺はラーメンの顔にして主戦力。スープを絡め、その味と食感を楽しむためのものよ」
ほむら「茹でおきの麺にはコシがなく、またすすり込んだ時の弾力もない。そして水分を吸いすぎているため、スープの味がまったく絡まない」
ほむら「インスタントのフライ麺や乾麺にすら足下にも及ばない、最悪の調理工程だわ……!」ゴゴゴゴ
まどさやマミ「……」ガクガクブルブル
QB「あ、暁美ほむら、君の言い分はよくわかったさ! 確かに僕のラーメンには問題があった、認めよう」
QB「でもね、これは僕の命運をかけたビッグビジネスなんだ。おいそれと人に任せられるものじゃ……」
ほむら「そういえばあなた、補給切れということは……今殺すとスペアもなしで死ぬのかしら」
QB「」ギクッ
マミ「……これ以上駄々こねると、ティロるわよ?」ジャキッ
QB「……」ダラダラ
QB「なんなりとお使いください、暁美ほむらマネージャー」ヘコヘコ
ほむら「よろしい。これから私のことはMGほむほむと呼ぶように」
MGほむほむ!
ほむら「まずはメニューについてだけれど……」
ほむら「初めてラーメンを作るような店で、4種類もの味に手を出すようでは他店に太刀打ちできるものは作れないわ」
ほむら「スープの味は一つに絞った方がいい。今回は」
まどか「醤油だね!」
さやか「味噌か。わかってるね転校生」
マミ「とんこつしかないわね」
杏子「塩!」
ほむら「……」
さやか「うお、あんたいつの間に!?」
杏子「食い物のあるところにいつもあたしはいるんだぜ?」キリッ
さやか「いや、全然決まってないからね?」
ほむら「そうね……マネージャーとして強権を発動させるのは簡単だけれど」
ほむら「ラーメンの味それぞれに良さがある。どれも捨て難いわ」
ほむら「なるべくみんなの意見を採用していくとしましょう」
杏子「つまりどうなるんだ?」
ほむら「スープの味は>>43ということよ」
博多ラーメンにすればいいじゃん
なんか麺が煮えあがってないほど客が喜ぶみたいだし
ほむら「見滝原はラーメン所とは言えない。複数の味を選べる、そこそこの店がほとんどだわ」
ほむら「よく言えば王道、悪く言えばパンチが弱く平凡。そんな中で無難なラーメンは埋没してしまう」
QB「なるほど、そこで僕のラーメンが」
マミ「キュゥべえは黙っててね?」グリッ
QB「」ムギュ
ほむら「そう。ここはあえて見滝原には馴染みの薄い、個性的なラーメンで攻めるべき」
ほむら「博多とんこつ……! これしかないわ!」
まどか「とんこつって、実は私食べたことないんだよね」
さやか「うーん……まずくはないけど、あたしは一度食べるとしばらくはいいかなあ」
ほむら「地方によっては馴染みが薄いかもしれないけれど、本場では母乳の代わりにスープが用いられると言われるほどの王道よ」
ほむら「濃厚なスープと食べやすい極細麺のコラボレーションはあなどれないわ」
マミ「さすがね、暁美さん……ラーメン愛が伝わってくるわ」
杏子「で、どーすんだ? マミでダシでも取」
マミ「」ジャキッ
杏子「ごめんなさい」
ほむら「まずはとんこつの命。白濁スープを作るわ」ゴトンゴトン
さやか「うわ、ごっつい骨だなあ」
ほむら「豚の大腿骨部分よ。ゲンコツとも呼ばれるわ。これをハンマーで」ゴッゴッ
まどか「ハンマーで?」
ほむら「は、ハンマーで……」ゴッ!ゴッ!
杏子「力が足りねーな、貸してみな?」ヒョイ バキッ ベキッ
ほむら「ありがとう……そう、こんなふうに砕いていくわ」
マミ「割った方が骨からエキスが出るのよね?」
ほむら「ええ。割った骨の汚れや血は綺麗に取り除くわ。エキスの元の骨髄まで取らないように」ゴシゴシ
さやか「はーい」ゴシゴシ
さやか「あらかた終わったから、あとは煮込んでいけばいいの?」
ほむら「そうだけど、焦ってはいけないわ。このままダシを取るとクセと臭みの強いスープになってしまう」
ほむら「まずは寸胴鍋で下茹でする必要があるわ」ガラガラ ジャー
マミ「だいたいどれくらい茹でればいいのかしら?」カチッ ボッ
ほむら「4~50分くらいね」
まどか「そんなに? せっかくとれたスープが無駄になっちゃいそう……」
ほむら「その心配はないわ。骨のエキスはそのくらいじゃ染み出さない。むしろここでクセを抜いておくのが大切なのよ」
杏子「ふーん……便利にできてるんだな、とんこつって」
ほむら「先人の知恵よ」
ゲンコツ砕けないほむほむかわいい
50分後
ほむら「時間になったらお湯を捨ててゲンコツを取り出……して……」プルプル
さやか「はいはい、力仕事には不向きなんだから無理しない」ヒョイ ダパー
ほむら「……助かるわ」
ほむら「いよいよ下処理が終わったゲンコツからスープの抽出ね」
ほむら「鍋にゲンコツと一緒にタマネギ、長ネギ、ショウガ、ニンニクなんかの野菜、それに塩、醤油、酒を加えて煮込んでいくわ」
杏子「~♪」ドボンドボン
マミ「……あら? ちょ、佐倉さん!? なにリンゴなんて入れてるの!?」
杏子「わっ、大丈夫だって、美味くなるって!」
ほむら「ええ、リンゴなどの果物類もスープに甘みを加えるのに最適よ」
マミ「そ、そうなんだ……」
杏子「な?」
ほむほむさやさや
ほむら「さて、煮込んでいる間にチャーシューね」
杏子「……」ジー
マミ「佐倉さん? その視線は何?」
杏子「いや、別にー?」
ほむら「……コホン。チャーシューと一口に言っても色々種類があるわ。どんなものがいいかしら」
まどか「えっと……薄めで味がしっかりしたチャーシューがいいかなって」
さやか「やっぱ炙りチャーシューでしょ!」
マミ「厚手のとろけるチャーシュー……これこそ至高だわ」
杏子「いっそ豚以外でチャーシュー作ってみたらどうだ? 鶏ハムとか」
ほむら「そうね……ここは>>64を採用しましょう」
QB
残機ラストキュゥべえ!
QB「……」ポツン
QB(いや、僕はこの店のオーナーなんだ。けして仲間はずれなんかじゃない)
QB(その証拠にほら、ラーメンの完成度はぐんぐん高まっていくじゃないか。僕の人望のなせる技だね)
QB(そうさ、人間の味覚に合う物は人間に作らせればいい。僕は経営方面で力を発揮すればいいのさ)ブツブツ
マミ「……キュゥべえ?」
QB「な、なんだいマミ?」ハッ
マミ「何してるのよ、こんなところで。主役がいなくなっちゃ駄目でしょう? 工程も進んでるんだから」
QB「え……僕、邪魔じゃないのかい?」
マミ「そんな訳ないじゃない……ほら、みんな待ってるわよ。おいで」
QB「う、うん……! ありがとうマミ!」ダッ
ほむら「というわけで、チャーシューを作るわ」ガシッ
QB「きゅっぷい?」ブラーン
ほむら「まずはインキュベーターの体毛を綺麗に剃るわ」
さやか「ほら、大人しくしてなさい! ザクッといっても知らないよ?」ジョリジョリ
QB「ヒイッ!? サーベルを使うことはないんじゃないのかい!? せめてクリームを使っておくれよ!」
杏子「おお……随分貧相な体になったな」
ほむら「次はタコ糸で縛っていくわ。これによって肉が縮んだり煮崩れたりするのを防ぎ、味が良く染みるようになるのよ」
マミ「キュゥべえ? いい子だから大人しくしてなさい?」
QB「ちょ、マミ、痛い! 糸が食い込んで痛いよ! しかもなんて格好させるんだい!? あ、でもなんだかちょっと初めての感覚が……!」
ほむら「縛ったらそのままゲンコツの鍋の中へ」
杏子「よしきた」ポイ
QB「えっ、まだ心の準備……ああああああああ」ドボン ゴボゴボ
グツグツグツグツ
ほむら「茹で時間で固さを調節するわ。固めなら1時間、柔らかめなら3時間といったところかしら」
ほむら「QBの肉質はわからないから、時々竹串で刺して固さを見ながら煮込んでいきましょう」
ほむら「ちなみにキュゥべえだけでは足りないので、豚バラのチャーシューも同じように用意してあるわ」
まどか「ふう、縛るの大変だったよ」ボチャン トポン
3時間後
ほむら「茹で上がったインキュベーターと豚バラを醤油ダレに漬け込むわ」
ほむら「今回は薄口醤油、濃口醤油、ニンニク、ショウガ、ネギを加えたタレを使うわ」
QB「」ホカホカ ポチャン
ほむら「漬け込み時間もお好みだけど、3時間くらいかしら」
まどか「スープの方は凄いアクだね……」
ほむら「こまめなアク取りが必要になるわ。この工程がスープの出来を左右するわよ」
マミ「気合が入るわね」
ほむら「さて、夜も遅くなってきたので、ここからは一人暮らし組が中心になるわ」
杏子「まどかとさやかも泊まってけばいいのになー」
マミ「というか、火を止めて明日じゃ駄目なの?」
ほむら「少なくとも白濁スープが完成するまでは手は離せないわ。これも美味しいラーメンのためよ」
杏子「じゃあ仕方ねーか」
ほむら「そういうこと……では、ここで鶏がらスープをとるわ」
マミ杏「「はあ?」」
マミ「とんこつスープをとってるのにどうして鶏がらなのよ? それも今更になって……」
ほむら「今から作っていけばちょうどゲンコツと同じくらいに出来上がるからよ」
杏子「そういうことじゃなくてさ……」
ほむら「……そうね、説明不足だったわ」
ほむら「とんこつのみでスープを作る時、こってりなら水を足さず、あっさりなら水を足しながらスープを取るといいと言われているわ」
ほむら「けれど、それでは濃厚なとんこつスープはとれても、あっさりとこってりの調節はできない」
ほむら「そこで、本来なら追加投入でもいい鶏がらを別でスープにし、2種類を合わせることであっさり・こってりの両方を楽しめるようにするのよ……!」
杏子「……なるほど」ジュルリ
マミ「ちゃんと順を追って説明してほしいものだわ」キュルルル…
ほむら「それでは鶏がらスープをとっていくわ」
ほむら「とり方はシンプル。ぶつ切りにした鶏がらを鍋に入れて、さらにタマネギなんかのさっきと同じ野菜類、酒などの調味料を加えて煮込むだけ」
ほむら「3時間ほど煮込んで、濾してガラと分ければ完成だわ」
マミ「本当、意外に簡単なのね?」
ほむら「いいえ、工程はシンプルだけど絶え間ないアク取りが重要になる……地道で根気のいる作業よ。ここからが正念場だわ」
杏子「あたしらが味の良し悪しを握ってるってわけか……面白いじゃねーか!」
ほむら「巴マミはゲンコツの鍋、佐倉杏子は鶏がらの鍋をお願い。私はチャーシューの状態を見て仕上げをしていくわ」
マミ杏「「了解!」」
チャーシュー漬け込みから3時間経過
ほむら「醤油ダレからインキュベーターと豚バラを引き上げるわ」ザパア
QB「」シットリ
ほむら「バットの上で冷まして、あら熱が取れてからタコ糸を外す。今回は茹でてから漬け込んだので熱はすぐに取れるわね」シュルシュル
ほむら「糸を外したら室温に馴染むくらいまでおいて、それからお好みの厚さにスライス」サクッサクッ
マミ杏「……」ジュル…
ほむら「……一切れずつなら味見してもいいわよ」
マミ杏「……!」パアアア
マミ「ああっ、豚バラがとろける……! ラーメンの上に乗ってないのに! あったかくないのに、舌の上でトロトロなの……!」
杏子「キュゥべえは脂がないな。引き締まってるけど食べやすくて、すごく柔らかいササミって感じか?」
ほむら「ちょうど良く2種類のチャーシューが出来上がったわね。全員の好みを網羅できそうだわ」
杏子「ん……ほむら、その醤油はどうするんだ?」
ほむら「漬けダレ? これにはインキュベーターと豚の旨みが溶け込んでるわ。もう一仕事も二仕事もしてもらう予定よ」
杏子「へえ……」
鶏がらスープ仕込み3時間後
ほむら「お疲れ様。スープの抽出が終わったわ」
マミ「つ、疲れたわ……」
杏子「案外神経使うんだな、アク取りって……」
ほむら「真面目にやろうと思えばそういうものよ。さあ、ラストスパート。この2種類のスープを濾していくわ」
マミ「こ、この寸胴のスープ全部……!?」
ほむら「ええ。ラーメン作りの大変さが身に染みてきたかしら?」
杏子「おーし、もう少しだな? やってやるさ」
マミ「……」ツカレタ…
ほむら「ゲンコツ側は交代するわ、巴マミ」
マミ「ええ……」
ほむら「寸胴から手鍋でスープをすくい、平網で濾しながら別の寸胴に移していくわ」ザバー
ほむら「特に濃厚なとんこつスープは骨や野菜に残りやすい」ダパー
ほむら「苦労してとったスープ、念入りにとらないと……」ガシャガシャ ドバドバ
ほむら「……っ」ダパダパ ゼイゼイ
マミ「……はい、交代」ヒョイ
ほむら「……!」
マミ「体力不足の子が強がらないの。最後の力仕事くらい、先輩に任せておきなさいな……!」ザパー!
ほむら「……はい」
杏子「ふいー……やっと終わったー」
マミ「もう、腕が上がらないわ……」
ほむら「二人ともお疲れ様。これで最高のスープがとれたはずよ」
ほむら「あとは明日、麺と具を用意して完成といきましょう……!」
杏子「なんでもいいからさー、もう腹ペコだよ。なんか食い物ないのかー?」
ほむら「ああ…・・・それならいいものがあるわ。ほら、これ」
杏子「なんだよ、あたしが濾した後の鶏がらじゃねーか」
ほむら「骨に残ってる肉があるでしょう? 案外簡単に指で取れるのよ」ペリペリ
杏子「へー、本当だ。面白いなあ」ペリペリ
ほむら「これにキュウリの千切りを添えれば……」トントン
ほむら「はい、『鶏がら風バンバンジー』の出来上がりよ。胡麻ダレはもちろん、塩だけでもいい味になるわ」
パクッ モシャモシャ
マミ「……! 何、この美味しさ!?」
杏子「う、おお! ダシとった後とは思えねーぞ、これ」
ほむら「肉は骨ぎわが美味しいのよ。せっかくだからチャーシューの端っこも使ってチャーハンも作りましょうか」
杏子「いいねえ! そうこなくっちゃ!」
マミ「ふふ、鹿目さんや美樹さんには悪いけど、役得ね」
???(……)コソコソ
QB(やれやれ……なんとか見つからずに戻ってこれた。失業保険が効いていたとは思わなかったよ)
QB(感情のないはずの僕も生まれて初めての感覚を味わった……これが恐怖?)
QB(何にせよ、お礼をしなくちゃいけないよね!)キュップグヘヘ
QB(よし、>>をやってあげるよ!)
※コンマ下00~49でQB悪戯成功、50~99でQB悪戯失敗・見つかる
間違えて書き込んでしまった。
安価>>122
QBチネ
>>122 01:18:11.【97】
デデーン QBアウトー
QB(だいたい僕がオーナーの店なのに、僕がいないと始まらないじゃないか! どうしてくれようか)
QB(そうだな、まず手始めに鍋をひっくり返し……いや、むしろ色々と材料を追加してみようか。僕のエキスとか、マミとか。チャーシューにはマミほ方が向いてるよね!)
QB(いや、むしろもう1店舗作って正々堂々勝負を仕掛けてやるのはどうだろう? 手の内はわかってるし、元手はどうせマミの口座だし」
QB「そうさ、そうして一泡吹かせてやればマミやほむらもいずれは破産! そうすれば二人もスカートの中だの耳の裏だの気にしてられないような業界に沈んで絶望」
ほむマミ杏「……」
QB「……あっ」
QB「ごめんなさい、もうチャーシューだけは簡便してください……」ボロボロ
マミ「どうしてくれようかしら……」
ほむら「野放しにしておくのも危険だわ。とはいえ、ここで殺してしまうとスペアが残っていた場合に新たなチャンスを与えてしまう」
QB(……暁美ほむら。なんて君は冷静で残酷なんだ)フルフル
杏子「あ。じゃーさ、こういうのはどうだ?」
ほむら「なるほど、その発想はなかった……」
QB「え、ちょ、また……!?」
アオオーッ ジョリジョリジョリ ヒギイイイィ
マミ「夏らしい格好になったわね、キュゥべえ」
QB「全身毛剃りして放置だなんて、こんなの絶対おかしいよ……」マッピンク…
翌日・自宅組
まどか「さやかちゃーん、お待たせ!」
さやか「まどかー、ちょっと遅刻だぞ? またお母さんにおめかししてもらってたのかー? このこの!」グリグリ
まどか「もー、そんなんじゃないってばー」キャッキャッ
さやか「さて、ほむらがくれた地図によるとこの辺りなわけだけど……」
まどか「あ、あれじゃないかな?」
≪猿老手製麺所≫ボロッ…
さやか「なんだかボロボロだけど、あれみたいだね」
ほむら『手打ち麺は確かに魅力だけれど、スープと違って同じ麺を手作りし続けることは熟練の職人でも困難だわ』
ほむら『それに、製麺所はこちらの注文に応じてオリジナルの麺を作ってもらえることもある』
ほむら『ラーメン屋を経営していくなら、製麺所と繋がりを持っておいて損はないわね』
さやか「ごめんくださーい」
まどか「誰かいませんかー?」
???「はーい」シューン
まどさや「えっ」
シャルロッテ「あれ、お嬢ちゃんたち人間? どうやってここに着いてん?」ニュルン
さやか「あ、あたしは魔法少女だけど……あの、これ紹介状……」
シャルロッテ「んー? なになに……ああー! ほむほむはんのお友達かー!」
まどか「ほむらちゃんと知り合いなんですか?」
シャルロッテ「知り合いも何も、同じドンブリの麺をすすって語り合った仲ですわ。いやー、ほむほむはんのラーメン愛は素晴らしいで! 製麺所冥利に尽きますわ!」
シャルロッテ「よっしゃ、うちに任しとき。ここに書いてる通り、いい麺見繕ったるからなー!」
まどか「あっ、ありがとうございます!」
製麺所内
シャルロッテ「よくラーメン屋さんが麺を仕入れて使ってると、手抜きみたいに思う人がおるんやけど、そんなことないんよ」
シャルロッテ「生麺を製麺所に注文する店っちゅうんは、むしろ製麺所と連携してたくさん麺を試作して、スープに合うオリジナルの麺を作ってまうとこも多いんや」
シャルロッテ「ほれ、これが製麺機」
さやか「なんかローラーみたいなのがついてますね」
シャルロッテ「そそ。このローラーで生地を伸ばして、設定した太さと長さにカットしてくんやで」
まどか「へえー……」
シャルロッテ「機械にもよるけどな、直麺から縮れ麺まで、太さはミリ単位で変えられる物もある。こだわる人は粉から選んでいくで」
さやか「あたし、もっと決まったものを大量生産する工場だと思ってた……凄いんだね」
シャルロッテ「……それが伝わっただけでも案内の甲斐がありますわ」
シャルロッテ「さて、博多とんこつといったら極細麺ですわ! これは細い分だけコシも強く、伸びにも強うなきゃアカン」
シャルロッテ「粘りの強い小麦粉で、熟成期間の長いやつがオススメやね」
シャルロッテ「おし、これがええやろ。ちょっと待っといてな、試食さしたるきに……」
チュルチュル ポン
さやか「わ……! 素麺と同じくらい細いのに、すごい弾力……!」
まどか「茹で加減でこんなに変わるんですね……表面はしっかりしてて、中の固さが変わっていく感じ」
シャルロッテ「うちの自信作やからね! ほむほむはんにもよろしく言っといてや!」
さやか「……ね、まどか」
まどか「うん、さやかちゃんも思った?」
さやか「うん、せっかく来たんだからさ」
まどさや「「オリジナル麺作ってみたい!」」
まどか「もちろんとんこつに合うのを考えないといけないとは思うけど……」
さやか「実験的になら、色々挑戦してみてもいいんじゃないかな?」
まどか「そだね。じゃあ……>>155みたいなの頼んでみようよ!」
チャンポン麺
チャンポンについて詳しくないため情報収集中……
直麺だっけ?ちぢれてたっけ?
シャルロッテ「ちゃ、ちゃんぽんみたいな麺やって?」
まどか「やっぱり駄目ですかね……とんこつにあんな太い麺だと」
シャルロッテ「……いや、極細麺っちゅうのはスープを多く絡ませるための麺や。チャンポンも具と混ぜて食うための麺やし、通じるものがあるかもしれん」
シャルロッテ「ただ、太麺っちゅうんは塩気や辛みの強いスープをさっぱり食わすんが主……味は基本的に絡みにくい」
さやか「難しいかなあ……麺がそのまま食べられるくらい美味しかったら、気にしなくていいのになあ」
シャルロッテ「はは、そう簡単なこっちゃ……麺が、そのまま?」
シャルロッテ「いや……うん。それや! 面白いモンができるかもしれんで!」
シャルロッテ「まっすぐの太麺。チャンポンとは違うかもしれんけど、多目にみたってや」
まどか「それはもちろんですけど……」
さやか「どんな麺ができるんですか?」
シャルロッテ「……いつもな、思っとったんよ」
シャルロッテ「ラーメンって主役は麺みたいに見えるけど、実際製麺やっとるとわかる。麺を作った側の個性ってのは、ラーメンには出えへん」
シャルロッテ「麺ってのはあくまでスープと絡んで完成するモンで、引き立て役なんよ」
シャルロッテ「だからな、本当はいかんと思うんやけど……」
シャルロッテ「個性的な、主張の強い……うちの製麺所らしい麺を作ってみたかった」
シャルロッテ「さ、茹でてきたから食ってみてな」
チュルッ ムグムグ
まどか「え、これってラーメン……?」
さやか「香ばしくって……なんだろ、少しパスタっぽい?」
シャルロッテ「とんこつラーメンによくかかってる香味油ってあるやろ? ラードやゴマ油をネギ、ニンニクなんかと焦がしながら香りを出すやつ。あれを練りこんだんよ。塩気も強めにしてな」
シャルロッテ「とんこつスープとよく合う、目立つ麺に仕上がったと思うで!」
まどか「うわあ……さやかちゃん、私、早くラーメンにしてみたくなってきた!」
さやか「うん、あたしもだよ……! 本当にありがとうございます! また来ますんで、開店したら食べに来てくださいね!」
シャルロッテ「もっちろん!」
同刻・ラーメンQB
ほむら「さあ、麺はまどかたちに用意を頼んであるわ。私たちは具の仕上げに入るわよ」
杏子「いよいよ完成が見えてきたって感じがするな!」
マミ「まさか2日がかりになるとは思ってもみなかったけどね」
ほむら「さて、博多とんこつの具としてはチャーシューの他、白ゴマ、ネギ、キクラゲなどがあるわ」
ほむら「ゴマは軽く乾煎りしておきましょう。香りが強まるわ」
マミ「本当、食欲をそそるわ」シューッ カラカラ
ほむら「キクラゲは水につけて戻して、千切りにする」
杏子「なあ、キクラゲって何なんだ?」トントン
ほむら「クラゲって名前はついてるけど、実はキノコなのよ」
杏子「へえ……」
ほむら「ネギは細かい青ネギがいいわね……たくさん切っておかないと」トントントントン
マミ「これだけ機材があって、どうしてネギ切り機はないのかしら……」
QB(禿)「当初はネギを使う予定もなかったからね……」
ほむら「ネギを使わないラーメンの方が珍しいというのに……!」トントンドンドンッ
杏子「儲けが出たら一番に買おうぜ。な?」
ほむら「ええ……あ、忘れるところだったわ」トン
杏子「ん? 何だこの瓶詰め」
ほむら「自家製の紅ショウガと辛子高菜よ」
マミ「とんこつには付き物ね!」
ほむら「ええ。漬け込みに時間がかかるから今回は自家製を持ってきたけど、お店で作りたいわね」
ガラガラガラ
さやか「着いたー!」
まどか「ほむらちゃん! 麺が到着したよ!」
ほむら「ちょうどよかったわ、まどか。さっそく作りましょうか……!」
さやか「うわ!? キュゥべえが生き返ってハゲた!?」
QB「さやか……事実だけど改めて指摘されるとなんだか複雑な感情が芽生えそうだよ……」
ほむら「なるほど。面白い麺を作ってくれたのね、シャルロッテは……今度上等のチーズをお土産に持っていかないとね」
杏子「おーいほむら、まだか? 待ちくたびれたよー」
ほむら「はいはい、じゃあ始めましょうか」
マミ「はい! お客様、ご注文をどうぞ~!」
杏子「えーと、スープあっさりの麺固めで!」
美樹「あたしはこってりのバリカタ!」
まどか「私は……こってりの、特製麺でお願いします!」
マミ「は~い、あっさり固め、こってりバリカタ、こってり特製で~す!」
ほむら「あ……あいよ!」テレテレ
杏子(一度言ってみたかったんだろーなー)
QB「えーと、バリカタは20秒、固めは45秒、特製は5分だったね……!」
ほむら「練習通り、間違えないように。間違えたらわかってるわね?」
QB「そ、それはもう……と、きゅっぷい!」ザバッ チャッチャッ
ほむら(あっさりはとんこつ3:鶏がら7、こってりはその逆くらいかしらね……)
ほむら「麺が入ったら軽くほぐして、ネギ! キクラゲ! 厚切り豚チャーシュー、キュゥべえチャーシュー! ゴマ!」サッサッ
QB「そのチャーシューだけは複雑だよ……」
ほむら「そして仕上げに、これを乗せる……!」ポトッ
マミ「は~い、あっさり固め、こってりバリカタの方、お待たせしましたー!」トンットンッ
さやか「うわあ……美味しそう……!」
杏子「お、おいこれ! 味たまじゃねーか!」
ほむら「ふふ……昨日の夜、チャーシューの醤油ダレに半熟の茹で卵を漬け込んでおいたのよ」
ほむら「お好みで紅ショウガと辛子高菜を加えて……召し上がれ」
さや杏「「いっただっきまーす!!」」
ズッ ズルルル- ゾゾゾ ハフッ ハフハフ
さやか「うああ~~! 幸せっ! さやかちゃん大感激ですよー!」
杏子「あっさりでもしっかりとんこつの味がするなあ……味たまが、ああ! 半熟は反則だろぉ!?」
まどか「へえ……意外と脂っこくならないんだね」
ほむら「とんこつスープは濃厚だけど、それは油というより骨髄……コラーゲンの旨みが多いと思うわ」
さやか「うはあ……! 駄目! 替え玉一つバリカタで!」
杏子「あ、あたしも今度はバリカタで頼むよ!」
マミ「は~い、替え玉バリ2~!」
ほむら「あいよっ!」 QB「きゅっぷい!」
QB「替え玉2! 特製が上がるよ!」チャッチャッ
ほむら「ええ……!」サッサッ
マミ「は~い鹿目さん、こってり特製お待ちどう様!」トンッ
まどか「……」ジー
マミ「……鹿目さん?」
まどか「あ、はい! なんか見とれちゃって……てへへ」
まどか「い、いただきまーす!」
ズルズルズルッ
ほむら『話は聞かせてもらったわ。他ならぬラーメ……まどかのため。私に任せなさい』
ほむら『博多とんこつ……! これしかないわ!』
シャルロッテ『よっしゃ、うちに任しとき。ここに書いてる通り、いい麺見繕ったるからなー!』
さやか『実験的になら、色々挑戦してみてもいいんじゃないかな?』
シャルロッテ『個性的な、主張の強い……うちの製麺所らしい麺を作ってみたかった』
まどか「……」ズズ… ポタッ
さやか「ん、んん!? まどか、どうしたの? どっか痛いの?」
まどか「う……ううん、違うの。なんだか、ここまで作ってくれた人とか、頑張ったこととか思い出したら、なんだか……」ポタッポタッ
まどか「美味しい……! 美味しいよぉ! ふえぇぇん……」ズル…グスッ…ズズズ
QB「……」
ほむら「どうかしら、ラーメンのなんたるか……少しは理解できた?」
QB「……ラーメンは奥が深いね、訳がわからないよ」
QB「でも」
QB「最初はまずいって言われたのに、今は僕が作ったラーメンで、美味しいって」
QB「……この感覚はなんだい?」
ほむら「さあ……ラーメン屋を続けてれば、いつかわかるんじゃないかしら」
それからはたいへんでした。
毎日スープの仕込みができるように段取りを組んで、材料の仕入れも安定させて……
ほむらちゃんとシャルロッテさんは特製麺を二人で相談してさらに改良したみたい。
ほむらちゃんと杏子ちゃん、それに人が変わったようにラーメン作りにのめり込んだキュゥべえは、ほとんど店にこもりっきりで準備の日々でした。
私とさやかちゃん、マミさんはビラを作って配ったり、看板を立てたりと、こっちはこっちで大忙し!
でも、それはそれは楽しい日々が続きました。
そして……
本部『キュゥべえ、よく今日まで耐えてくれた。幹部は君のインキュベーター復帰に合意してくれたよ。すぐにでも補給と再雇用の手続きを……』
QB『ああ、もういいんですよ』
本部『何……?』
QB『もうインキュベーターはやめます。僕はただの地球住む不思議な動物、キュゥべえでいいんです』
本部『ち、血迷ったかキュゥべえ!? 地位も収入も、体のスペアさえなくしてどうする!? 我々の使命は……!』
QB『幹部に伝えてください。本当の笑顔を見てしまったら、もう契約の……やがて絶望する笑顔なんてうんざりだ』
本部『何ぃ? 君、重大な欠陥が発生しているぞ! すぐに戻りたまえ! これはインキュベーターとしての命令……』プツッ
QB「今はインキュベーターじゃなくて、ただのラーメン屋さんだからね」キュップイ!
ザワザワ… ワイワイ…
ハラヘッタ… チョ、チャントナラビナサイ!!
エエニオイヤナア ギョウレツッテノハネ、スクワレテナキャダメナンダ…
さやか「うわー、こんなに並ぶなんて……さすがのさやかちゃんもびっくりだ」
杏子「さやかたちの宣伝もたいしたもんだってことか」
マミ「暁美さんがやった試食開店が効いたんじゃないかしら? 学校でも噂になってたし」
ほむら「みんな浮ついてないで、気合を入れなさい。今日が始まりなんだから、ビシッとね」
QB「今日は何人に食べてもらえるのかな? 楽しみだね!」
まどか「それじゃ、開けるよ?」
「「「「「了解っ!」」」」」
ほむほむが力不足な描写が多かったけど、魔法強化はどないなってん?
ガラガラガラ
ワアッ…………!!!
まどか「おいでませ、ラーメンQB!」
≪おしまい≫
深夜……早朝?までありがとう。
久々だったんで全部書けてよかった。
>>205
時間停止以外はたいした能力がないor劣るという感じで。
あとは頭脳・技術はいいのに体力面で足引っ張るってのが萌えたので。
>>212
トータルで1年半ほどラーメン屋でバイトしてたことはあります。
おかげでラーメンはすごく好きですね。
あとはもともとグルメ漫画とか、食べ物に関することが大好きなので。
腹を減らしてくれた皆さん、よければ前に書いた
まどか「魔法少女クッキングバトル!!」
まどか「魔法少女クッキングバトル決勝!!」
もよろしく。
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