美琴「『桃太郎電鉄~学園都市編~』・・・?」(280)

初春「御坂さん、白井さん、佐天さん、四人で桃鉄しませんか?」

美琴「桃鉄?」

初春「はい。この前、新しいのが出たので買ったんです」

佐天「あ、いいね~。桃鉄って、たまにムショーにやりたくなるんだよね」

黒子「そうですわね。いかがですか、お姉様?」

美琴「そうだな~……、あたし、あんまりやり方知らないんだけど……」

佐天「大丈夫ですよ、御坂さん。そんなに複雑なゲームじゃないですし」

黒子「そうですわ。要はボードゲーム。サイコロを振って目的地に辿りつけば
    なんとかなる類の遊戯。お姉様なら簡単に慣れますの」

美琴「そっか、じゃあやってみようかな」

黒子(フヒヒヒヒヒ……計画通り……)

初春「じゃあ、ただやるのもなんですから、『罰ゲーム』をもうけませんか?」

佐天「『罰ゲーム』?」

初春「はい。負けた人が、勝った人の言うことをなんでも聞く、とか……」

黒子「面白そうですわね」

佐天「お、いいね~」

美琴「ちょ、ちょっと待ってよ、わたしは初心者なのよ?」

黒子「それなら平気ですわ。さっきも申しましたが、これは平易なボードゲーム。
    ……それともまさか、お姉様ともあろうお方が、このような児戯で
    勝つ自信がない、と?」

ピクッ

美琴「そこまで言うなら、やってやろうじゃない」

初春「あ、そうだ」

佐天「?」

黒子「まだなにかありますの?」

初春「はい。さっきの『負けた人が、勝った人の命令をなんでも聞く』という
    罰ゲームなんですけど……。ただ単に、最下位の人が1位の人の言うことを聞く、
    っていうだけじゃ、つまらないなって、今ちょっと思って」

黒子「じゃあ、どうしますの、初春?」

初春「えーっと、こういうのはどうでしょうか」

初春「最下位の人は、1位~3位の人の命令を全部聞く。
    3位の人は、1~2位の人の命令を聞く。
    そして、2位の人は、1位の人の命令を聞く」

佐天「さ、最下位の人、厳しくない? それ……?」

黒子「なかなか良いルールですわね。それなら全員、頑張って少しでも順位を
    上げようとするでしょうから、きっと面白くなりますの」

美琴「へぇ~、なかなか熱い罰ゲームじゃないの」

キュピーン!

黒子(のったッ!)

~前日~

黒子『――というわけで、さりげなく、これをプレイする方向に
    持っていって欲しいんですの』

初春『これって……、も、桃鉄ですか?』

黒子『そして、お姉様が上手くのってきたら、これからわたくしが言う罰ゲームを、
    流れで、さも今思いついたように提示する……いいですわね?』

初春『そ、そんな、御坂さんをハメるようなこと……』

黒子『いちごおでん飲み放題一週間分』

初春『やりますっ!』

黒子『契約成立ですわね』

黒子(フヒヒヒヒヒ……。このルールなら、万が一わたくしが1位にならずとも、
    とにかくお姉様よりも上の順位になれば目的達成。
    お姉様にあんなことやこんなことを命令できる立場に……)

黒子『うっふっふ、ふへっ、ふへへへへへ……』ジュルリ

初春『あ、あの、し、白井さん?』

~現在~

美琴「え~っと、まずは名前を入れるのね……。なににしようかな」

ピッ

美琴「『でんげき姫』」

黒子「あ、お姉様、失礼ですが一言」

美琴「なに?」

黒子「ハードに電子干渉するのは厳禁ですの」

美琴「しないわよ、そんなこと!」

黒子「もちろん、しませんわ。でも一応、念のため申し上げました」

美琴「これは真剣勝負よ。能力なんて使わないわっ!」

黒子(……フフ……念には念を、火には油を……ククク……)

佐天「どうしたんですか、白井さん?」

黒子「いえいえ、なんでもありませんの! さーて、名前名前っと」

ピッ

黒子「『みさかの花嫁』」

美琴「こら」

黒子「なんですの?」

美琴「なによ、その名前は」

黒子「ふつつか者ですが、よろしくお願い申し上げます」

美琴「いつあたしがあんたの婿になったのよ! その名前は却下っ!」

黒子「もうお姉様ったら恥ずかしがることありませんのに……。
    それじゃあ、仕方ありませんわね」

ピッ

黒子「『てれぽ淑女』」

初春「じゃあ、次は私ですね」

ピッ

初春「『ういはる社長』」

黒子「なんですの、そのふつう過ぎるネーミングセンスは……」

初春「なんだかいいのが思いつきませんでした……えへへ」

佐天「あたしはなににしようかな~……」

ピッ

佐天「『さてん番長』」

佐天「なんか違うな……。……お、これいいな、これにしよう!」

ピッ

佐天「『さ天帝』」

黒子「……名前負けしてませんこと?」

佐天「いいんですっ! 『名は体を表す』とも言いますし!」

黒子「形から入るタイプですのね……」

美琴「プレイする順番もシャッフルでいいわよね」

黒子「よろしいかと」

ピピピピピピピピピ……ピュイーン

佐天「1番、御坂さん、2番、白井さん、3番があたしで、4番が初春か」

美琴「プレイ年数は何年にするの?」

佐天「さくっと10年くらいでいいんじゃないですか?」

初春「そうですね」

美琴「じゃあ10年っと」

ピッ

初春「じゃあ、はじめましょうか!」

美琴「負けないわよーっ!」

佐天「ゲーム開始っ!」

黒子「……」ニヤリ

黒子(桃鉄を極めし者と六道にその名を轟かせたこの黒子、
    本気でいかせていただきますわ……ふへっ、ふへへへへ……)

~1年目 4月~

桃太郎『社長のみなさん! すみよい日本をつくるための開発をおねがいします!
     まずは、国からの援助金1000万円を持ってスタートしてください!』

桃太郎『みなさんが最初にむかう場所は、夜叉姫さんがおつたえします!』

夜叉姫『夜叉姫です! それでは、みなさんに最初の目的地を決めていただきます!』

ピピピピピピピピピピピ……ピュイーン!

『浜松』

夜叉姫『ウナギ! 楽器! オートバイ! 浜松(はままつ)です!』

夜叉姫『みなさんが最初にめざす目的地は、浜松(はままつ)です!
     目的地の場所がわからない人は、ピンクの矢印の方向に向かってください!』

美琴「浜松……静岡か。わりと近いわね」

黒子(初回の目的地としては悪くないですわね)

美琴「おおっ! ちゃんと東京の端っこに学園都市が見える!」

初春「御坂さん、このボタンを押すと、遠くの物件まで見渡せるようになりますよ」

美琴「あ、これ? じゃあ、ちょっと我が学園都市を見てみましょうか」


でんげき姫    持ち金              1000万円

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

風力発電所             2億円       5%
能力開発研究所        100億円     15%
先端科学研究所        200億円     20%

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

物件駅!
学園都市(がくえんとし)!
物件を買ったり 増資ができます!

美琴「……」

佐天「……3件、か。なんか、パッとしませんね……はは」

初春「ま、まぁ、学術研究が中心の街ですから、物件の種類は
    せいぜいこんな感じじゃないでしょうか」

美琴「もうちょっと厚遇してくれてもいいのにな……。風力発電って……」ショボーン

黒子(風力発電所はともかく、能力開発研究所と先端科学研究所は
    超優良物件なんですけれど、この10年という期間では購入は難しいですわね……)

美琴「ねぇ、この『%』ってなに?」

初春「それはですね、『収益率』というやつです」

美琴「シュウエキリツ?」

初春「たとえば、この『風力発電所』は、購入額が2億円ですから、その5%の
    1000万円が御坂さんのフトコロに転がりこんでくるということです」

美琴「つまり、そうやって自分の資産を増やしていけばいいってことね。
    ん。ということは……」

美琴「この学園都市の『風力発電所』は、2億円で収益率5%――1000万円の収益。
    でも……、この新宿の『ドーナッツ屋』は、4億円で収益率25%――1億の収益」

美琴「購入額としては見た目それほど変わらなくても、収益額が10倍違う。
    こんな物件価値を考慮しながら、効率よく物件を買っていく必要があるのか」

美琴「じゃ、じゃあ、この能力開発研究所と先端科学研究所って、とんでもない物件じゃない!」

初春「さすが御坂さん。そのとおりです。さすが学園都市、といったところですね」

佐天「そうなんだ……。私、今まで、なにも考えずテキトーにプレイしてた」

黒子(一瞬で桃鉄の本質を見抜くとは、さすがレベル5の名に恥じない洞察力ですわ、お姉様。
    しかし……、それだけではこのゲーム、この黒子には勝てませんわよ……ふふ)

美琴「なんだかテンションも上がってきたし! いっちょ、やってみよっか!」

→サイコロ

コロコロコロコロコロ……チョンッ…チョンチョン

『6』

美琴「よし! さい先い~いっ!」

ポンッポンッポンッポンッポンッポォーン

『プラス駅に止まった!』

ピピピピピピピピピピ……ピョーン

『プラス 950万円でした!』

『でんげき姫の持ち金は1950万円になった!』

黒子「次はわたくしですわね」

→サイコロ

コロコロコロコロコロコロコロコロ……チョンッ…チョンチョン

『5』

ポンッポンッポンッ……

美琴「あれ? なんで黒子、千葉の方行ってんの?」

黒子「ま、まぁ、ちょっと……」

初春「白井さんは、きっと、ナイスカード駅を狙ってるんですよ」

黒子(ッ!)ギクッ!

美琴「ナイスカード駅?」

初春「その『N』って書かれた黄色のマスで、ふつうのカード駅よりいいカードが
    出るんです。房総半島にはナイスカード駅が多いから――」

黒子「ま、まぁ、この前実家に帰ったときに、従姉妹が桃鉄をプレイしてるところを
    見てましたら、こんなことをしていたもので」

美琴「……ふぅーん……」ジー

御坂「これが噂のゲコタUSAね!早速やってみようかしら」カチャ

黒子「あら、なんですのこれは?ノコノコも出てきませんし、カブを引っこ抜いて攻撃ですの」

御坂「これ、まるっきり夢工場ドキドキパニックじゃないの!!ふざけんじゃないわよっ!」べターンッ!

黒子「お姉様落ち着いてくださいまし!」

黒子「あ、あら、見よう見まねでこんなところに来てしまいましたけれど、
    結局、青マスにしか止まれませんわ」シレッ

ポンッポォーン

『プラス駅に止まった!』

ピピピピピピピピピピ……ピョーン

『プラス 1100万円でした!』

『てれぽ淑女の持ち金は2100万円になった!』

黒子(初春め……余計なことを……)

黒子(ともかく、白井家桃鉄家訓その壱「まずは足を集めよ」ですわ。
    まずは進行系カードを集めて、機動力を確保。
    先に、目的地を取る地盤を固めませんとね……)

佐天「じゃあ、あたしの番ですね!」

→サイコロ

コロコロコロコロコロ……チョンッ…チョンチョン

『6』

佐天「お、いいねいいねぇ」

初春「みなさん、ずいぶんサイコロ運がいいですね」

佐天「あたし、昔っから、なぜかこういう『引き』はいいんだよねー。
    麻雀でも九蓮宝燈とか国士十三面待ちあがったことあるし」

ポンッポンッポンッポンッポンッポォーン

『さ天帝! ここはカードがもらえる駅ですぞ!』

ピピピピピピピ……ピョーン

『さ天帝は虎につばさカードを手に入れた!』

佐天「よっしゃぁ!」ガシッ!

美琴「え? ナニ? そんなにいいカードなの?」

佐天「このカード持ってると、目的地に到着したときに、お金が倍もらえるんですよ~」

初春「わりとレアなカードですね」

美琴(ふーむ……。これは、プラス駅よりも、むしろカード駅とかに止まって、
    色々とカードを取っっていった方がいいのかな。
    どんなカードがあるのかよく分かんないから、ただの直感だけど)

初春「よし、私も負けませんよっ」

→サイコロ

コロコロコロコロコロコロコロ……チョンッ…チョンチョン

『2』

初春「2かぁ……。う~ん……」

ポンッポォーン

『新宿(しんじゅく)につきました!』

→買う・増資

初春「……やっぱり、都心だけに、物件は軒並み高いですね」

黒子(初春……? 出目が2なら、カード駅にも止まれたはず……。
    今の状態で物件駅に止まっても、なんの意味もないと気づかなかったんですの……?)

黒子(さっきはこちらの攻め手を読まれたから警戒していましたけれど、
    もしかして、ただ単に知識があるだけ、ということかもしれませんわね……。
    もちろん、油断はいたしませんけれど)

黒子(そして、さっきから気になっているのが、佐天さん。
    初っぱなから出目6で虎につばさカードを引き当てる強運……。
    こんなラッキーが続くようなら、間違いなく障害になりますの)

黒子(まぁ、まだゲームは始まったばかり。
    実力を見極める時間は充分にありますわ……。
    待っていてください、お姉様っ! 黒子の愛の命令を一身に受けとめるそのときをっ!)

美琴「……」ブルッ

佐天「御坂さん?」

美琴「あ、いや、なんでもないよ」

美琴(うーん……。なーんか、イヤ~な予感がするんだよな~……)



数日後の美琴『今、考えてみれば、あのときの予感は、ばっちり当たっていました……。
          あのとき、黒子に見事のせられていなければ、こんなことには――」

~1年目 8月~

『さ天帝が、目的地の浜松に、一番乗りで~~~~す!』

『住民は大歓迎ですぞ!』

佐天「よしっ!」

美琴「先をこされたか~」

初春「やっぱり、サイコロ運がいいですね、佐天さん」

黒子「……」

黒子(や、やはり佐天さん……、間違いなくダークホースですの……!
    出目は、ほぼ5以上。特に考えもなしにホイホイ進んでいるのに、カード駅で
    さらにレアカードを引いた上、あっさり目的地に入ってしまいましたわ……)

黒子(こちらも特急周遊カードと北へ!カードを手に入れましたけれど、
    当面の足にはまだ足りない……。危険、危険ですわ……、さ天帝!)

桃太郎『さ天帝さんは、さらに虎につばさカードをもっていたので、到着金は倍になります!』

桃太郎『さ電鉄には、地元からの援助金をうけとっていただきまーす!
     さ電鉄には、2億8450万円の援助金が出ました!』

『さ天帝の持ち金は3億150万円になった!』

佐天「いやっほぉ~う!」

桃太郎『そして、今回、禁書目録がとりついてしまうのは…』

美琴「えっ」

桃太郎『てれぽ淑女さんです! 禁書目録との旅をたのしんでくださ~~い!』

禁書目録『てれぽ淑女さん! 初めまして!
      わたしの名前は禁書目録(インデックス)っていうんだよ!』

禁書目録『これからたくさん、てれぽ淑女さんの役に立ちたいんだ!
      よろしくねっ!』

美琴「……」

黒子「どうしましたの、お姉様?」

美琴「い、いや、なんだかこの人、どっかで見たような……」

初春「このキャラは、プレイヤーの行動を邪魔する、いわゆる貧乏神ですね」

初春「前作までは、汚いおじさんの格好をした、本当の『貧乏神』だったんですけど、
    昨今の萌えブームの煽りで、かわいらしい青髪緑眼のロリシスターになったんですよ」

美琴「そ、そう……」

夜叉姫『それではみなさん! ふたたび、つぎの目的地をめざしてがんばりましょう!』

夜叉姫『今回、目的地に到着した、さ天帝さん! ○ボタンを押してください!
     あたらしい目的地は、ここで~~~~~~す!』

ピピピピピピピピピピピ……ピュイーン!

『大阪』

夜叉姫『天下の台所! 大阪(おおさか)です!』

夜叉姫『さあ! みなさん! 大阪(おおさか)に向かって
     がんばってくださーい!」』

初春「あ、大阪だ。わたし、一回、大阪行ってみたいんですよね」

美琴「わたしも行ってみたいな。本場のたこ焼き、食べてみたい」

佐天「大阪の人に言わせると、こっちのたこ焼きはたこ焼きじゃないらしいですよ!」

黒子「たこ焼きはともかく、わたくし、方言が苦手ですわ。荒っぽく聞こえてしまいます」

佐天「それがいいんじゃないですか。かわいい子が大阪弁で話してるのを見ると、
    キュンときません? 思わずスカートをめくりたくなる感じになったり」

初春「スカートめくりは論外ですけど、方言を話す子がかわいいっていうのは、
    ちょっと分かる気がしますね」

美琴「わたしは気の強い子は平気だから、語気が強い西日本の方言って好きだなー」

佐天「あたしもそうですね……って、そんなことより、買い物買い物っと」

『浜松(はままつ)につきました!』

テレレレッテ レ~レッテ~♪

『どうしますか?』

→買う・増資
 まとめ買い
 カード
 その他
 やめる


さ天帝    持ち金              3億150万円

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

もやし餃子屋         1000万円       100%
もやし餃子屋         1000万円       100%
もやし餃子屋         1000万円       100%
うなぎクッキー屋       1000万円        50%
半導体工場              4億円        25%
ピアノ工場             10億円         5%
バイク工場            200億円         4%
新幹線車両工場        400億円         10%

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

物件駅!
浜松(はままつ)!
物件を買ったり 増資ができます!

佐天「けっこう高いなぁ……。半導体工場買いたかったけど、
    とりあえず、もやし餃子屋とうなぎクッキー屋で手を打っておくか」

佐天(っていうか、このもやし餃子ってなんだろう……。おいしいのかな)

『4件が4000万円で買え、2億6150万円のこりますが、よろしいですか?』

ピッ

→はい

佐天「これでよしっと。でも、だいぶ、お金あまっちゃった」

美琴「ねぇ、初春さん、さっきの禁書目録なんだけどさ」

初春「はい?」

美琴「あれって、どんな邪魔をすんの?」

初春「今、白井さんにくっついてますから、見てれば感じは分かると思いますよ。
    まぁ、ふつうの禁書目録である内は、まだ悪行もかわいいものなんですけど」

美琴「?」

~同年 次月(1年目 9月)~

禁書目録『デーディカートゥス! てれぽ淑女さん!
      いまなら、たったの800万円で、くじびきができるんだよ!』

禁書目録『サイコロふって、出た目が同じなら、こ~んなすごいカードがもらえるかもっ』

1. ハズレ
2. ハズレ
3. ハズレ
4. 特急カード
5. ハズレ
6. ハズレ

禁書目録『やったね! さあ! サイコロをふるんだよ!』

コロコロコロコロコロコロコロ……チョンッ…チョンチョン

『2』

ブブーッ!

禁書目録『当ててほしかったなぁ……』

禁書目録『おっと! わすれてたけど、参加費800万円、払ってもらわなきゃね!
      世の中、無料(ただ)はぜったいないんだよっ! デーディカートゥス!』

『てれぽ淑女は、禁書目録に800万円とられてしまった!
 てれぽ淑女の持ち金は1300万円になった!』

初春「とまぁ、こんな風なキャラクターです」

美琴「やっかいね」

初春「他にも、カードを破壊したり、物件を勝手に売り払ったり、
    カードの名前を伏せ字にして分からなくしたり」

美琴「すごくやっかいね」

佐天「しかも、過去作から考えて、色々な貧乏神、もとい禁書目録に
    『変化』をしますね、きっと」

美琴「変化? なんか変わるの?」

初春「はい。禁書目録には色んな形態があるんですけど、最凶状態の
    魔神・禁書目録になると、とんでもないことになります」

美琴「どれくらい?」

初春「絶望的な戦況をまるごとひっくり返すくらいです」

美琴「ますますもってやっかいね」

佐天(キングボンビーみたいなものか)

初春「ただ、禁書目録は、他のプレイヤーにナスりつけることができますから、
    上手く扱えば、有効な武器にもなりうるんですよ」

美琴「ふむふむ……」

美琴「!」ピーン!

黒子(そう、白井家桃鉄家訓その弐「貧乏神(禁書目録)とは死んでもつるむな」。
    そして、白井家桃鉄家訓その参「貧乏神(禁書目録)をナスること之即ち攻撃也」ですわ)

美琴(そうか……! 黒子がさっきからナイスカード駅にやたら固執するのは、
    進行系のカードを集めて禁書目録をナスるっていう理由もあったのか……。
    黒子……、さてはあんた、このゲームやりこんでるわね……!)

黒子(今は序盤ですから例外ですけれど、ナスる準備はしておきませんとね。
    もっとも、今はあえて禁書目録を連れていき、さも初心者であるかのように
    よそおうのが上策でしょうけど)

美琴(だとしたら……、このゲーム、最初から仕組まれていた……?
    この勘が当たりなら、絶対に黒子に負けるわけにはいかないわね……。
    なにを命令されるか分かったもんじゃない……ッ!)

初春「どうしたんですか、二人とも? コワい顔して」

~決算をはさんで2年目 4月~

黒子(さて、充分カードもたまったことですし、そろそろ動く時間ですわね)

→特急周遊カード

『てれぽ淑女! つかいきるまで、特急に乗り放題の特急周遊カードですぞ!』

『てれぽ淑女は特急カードをつかった! サイコロが3つになった!』

コロコロコロコロコロコロコロ……

黒子「てぇいッ!」

チョチョンッ…チョチョンチョン

『3』

黒子「おいこら」

佐天「あはは、し、白井さん、ピ、ピンゾロじゃないですかっ!
    チンチロじゃないんですよ? あはは」

美琴「黒子っ、スタートダッシュで盛大にコケてるじゃない、ぶはははっ!」

初春「216分の1の確率を引くとは、さすが白井さんですね、ふふ」

チャ~ チャ~ チャッチャラッチャラ チャッチャラッチャラ チャラッチャラッチャッ チャッチャッチャ♪

記念仙人『ウヒャヒャ…! 記念仙人じゃ!』

記念仙人『特急カードをつかったのに、出目がぜんぶ1とは、トホホのホぢゃの~!
      新幹線カードをさずけよう! 少しはやる気がでるかの? ウヒャヒャ…!』

『てれぽ淑女は新幹線カードを手に入れた!』

黒子「素直に喜べませんわ……」

黒子「特急カード使って、3ってなんですの3って……」

ポンッポンッポォーン

『てれぽ淑女! ここはカードがもらえる駅ですぞ!』

ピピピピピピピ……ピョーン

『てれぽ淑女はぶっとびカードを手に入れた!』

『おや?』

『禁書目録のようすが』

『なんか 変だぞ?????』

黒子「!?」

『ま… まさか!』

黒子「ちょ、ちょっ! ピンゾロで止まった先で禁書目録変化とかやめてくださいましっ!」

『禁書目録が、伝説の「自動書記(ヨハネのペン)」を発動させようとしてるのでは!』

黒子(お、落ち着きなさい黒子っ! ゲームはまだ序盤。
    「自動書記(ヨハネのペン)」など来るわけがありませんわ!)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

『3!』

『2!』

『1!』

『GO!』

ピカァーン♪

??『おな……お腹減った。お腹いっぱいご飯を食べさせてくれると、うれしいなっ!』

??『それより自己紹介しなきゃね。わたしの名前は、禁書目録(いんでっくす)たん!』(※)

黒子「ほっ……」


※『とある魔術の禁書目録』BD&DVD(初回限定版)のおまけアニメに
  出てくる、手のりサイズのちび禁書目録のこと。

佐天「ち、ちっちゃくなったぁ!」

初春「かわいいですよね~。ほぁ~」

美琴(なんだかこんなのも、どっかのアニメで見たような……。
    たしか、灼眼がどうとか……)

禁書目録たん『お腹が減ったから、ご飯がほしいなっ!』

『禁書目録たんが、300万円分食事をしてしまった!』

『てれぽ淑女の持ち金は-5800万円になった!』

黒子「ふ~ぃ……」

黒子(いい感じに変化してくれましたわ。禁書目録たんは現金を
    ちょっぴり奪うだけで、カードには手をつけませんからね)

黒子(黒子のプレイスタイルは、貧弱なクジ運をテクニックで
    カバーするタイプですから、こういう流れは好ましいですの)

美琴「禁書目録たん……、300万円もいったいなにを食べたんだろ」

黒子(さあ、ここからが正真正銘、本番ですわよッ!)

~2年目終了~

『 決 算 』

桃太郎『各電鉄会社の社長のみなさん! おまたせしました!』

桃太郎『決算の発表は、夜叉姫さんから!』

夜叉姫『夜叉姫です! それでは、今年度の収益額の順位を発表します!』

夜叉姫『昨年は、さ電鉄さんが1位でしたが、今年はどうでしょうか?』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
収益額  2年

1 位      さ天帝                   1億1150万円  ↑

2 位      ういはる社長                   5200万円  ↑

3 位      でんげき姫                   4800万円  ↑  

4 位      てれぽ淑女                      0万円  →

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

夜叉姫『引き続き、ゲームの順位を決めることになる、総資産の中間発表です!』

夜叉姫『昨年は、さ電鉄さんが1位でしたが、今年も首位をキープできるでしょうか?』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
総資産  2年

1 位      さ天帝                   3億9320万円  ↑

2 位      ういはる社長                2億3810万円  ↑

3 位      でんげき姫                1億8720万円  ↑

4 位      てれぽ淑女                  -500万円  ↑

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佐天「またあたしが1位ですねっ!」

初春「初めに虎につばさカードで浜松をとって、大阪も連続で取ったのが大きかったですね」

美琴「わたしも舞鶴独占した甲斐があったな。初春さんは出雲だったよね」

初春「はい。いつもどおり、おソバ屋さんしかありませんでしたけど。
    ……他にも、みなさんと同じように、色々と小さな物件買ってましたから、
    それもよかったんでしょうね」

黒子「まったく、みなさんがうらやましいですわ」

黒子(少し予定が外れましたわ……。露骨に使うと警戒されますから、
    進行系カードを小出しにしていたのがよくありませんでしたね……。
    出目にも恵まれませんでしたし)

黒子(しかし! 便利系カードもそれなりにいいのがそろってきましたし、
    まだまだこれからですのよ……ふふ)

佐天「だ、大丈夫ですよ、白井さん。次はゴールできますって」

美琴(黒子……、動きが目立たないな……。もっと激しく攻めたててくるかと
    思ったけど……。禁書目録の存在もあまり気にしてないみたいだし。
    ゲーム慣れしてると思ったのは、わたしの思いすごしなのかな……?)

初春「さ~て、3年目突入ですねっ!」

~3年目 8月~

ピッ

→最下位カード

『てれぽ淑女は最下位カードをつかった!』

『てれぽ淑女の夢を、かなえてさしあげましょう!』

『てれぽ淑女の夢は、次のうちどれですか? ひとつだけ夢がかないます!』

ピッ

 のぞみカード
 カードを2~3枚
→絶好調になる

『それでは、絶好調になって、最下位から脱出してください!』

『てれぽ淑女の様子が変だ!』

『 絶 好 調 』

『てれぽ淑女が絶好調になった!』

黒子(ッしゃっ!)ガシッ!

美琴「『絶好調』?」

佐天「え~っと、サイコロが増えるんだっけ?」

初春「サイコロが3個になるのと、いいカードがでやすくなるのと……、
    たしか、青マスでもらえるお金が増える、というのもあったような気がします」

美琴「いたれりつくせりじゃない」

黒子「いや~、『最下位だから最下位カードを使ってみよう』などという
    安易な発想で選んでみたのですけれど、こんな運もめぐってきますのねぇ」

佐天「あ、白井さん、まだ行動できるみたいですよ」

黒子「え?」

→サイコロ
  カード
  その他

黒子「あら、本当ですわ。連続行動とは……すごいんですのね、絶好調って」

黒子(よし! この絶好調を利用して札幌ゲットですわっ!)

~3年目 2月~

佐天「う~い~は~るぅ~」

初春「さ、佐天さん、こっちこないでくださいっ!」

佐天「禁書目録~っ、禁書目録はいらんかね~」

初春「いりませんよっ!」

佐天「しかーし! 背に腹は代えられないっ! ごめんねっ!」

初春「またナスられた……」

黒子「近畿で『禁書目録ナスり合い(デスレース)』がくり広げられていますわね」

美琴「あんたが、札幌と金沢を連続で取った結果でしょーが」

美琴(最下位カードで迷いなく絶好調を選び、それを利用して連続ゴール、か……)

黒子「うふふ、不可抗力ということで」

黒子(さすがの絶好調といったところでしたわね。リニアカードまで手に入るという、

    うれしい誤算もありましたし。これは、わたくしに流れがきていますわっ!)

美琴「まぁ、わたしも今甲府だから、正直、ちょっと安心っちゃ安心なんだけど……」

美琴(とはいっても、目的地が長崎だから、もろに通り道なんだよなぁ)

美琴(でも、他の人が入ったときのことを考えたら、近づくしかない、か……。
    禁書目録をつれて孤立っていうのは避けたいもんね)

初春「佐天さん、逃がしませんよっ!」

コロコロコロコロコロ……

チョンッ…チョンチョン

『4』

佐天「ピ、ピタリでナスられたああああぁぁぁっ!」

~同年 次月(3年目 3月)~

佐天(ちょっと禁書目録~、あんまりヘンなことしないでよ。お願いだから)

禁書目録『デーディカートゥス! 売るよ! 売るよ!
      物件売って、経営を楽チンにするんだよっ!』

禁書目録『青森の生姜おでんやを、ポイッチョ! 売っちゃうんだよ!』

禁書目録『1000万円で売れたよっ!』

佐天(ホッ……)

禁書目録『でも、心配だから、もう1件売ったほうが、経営は楽になるかも!』

佐天「え?」

禁書目録『青森のまほろば鍋屋も、ヒビリキ! 売っちゃうんだよっ!』

禁書目録『2億円で売れたよっ!』

佐天「せ、せっかく手に入れた高額物件があああああぁぁぁッ!」

禁書目録『現金たくさんないと、倒産こわいもんねっ! デーディカートゥス!』

『さ天帝の持ち金は3億8540万円になった!』

初春「今日の禁書目録はよく働きますね~」

佐天「鬼畜ぅ……」ガクッ

~4年目 7月~

→サイコロ

佐天「そういえば、今年の夏ですけど」

コロコロコロコロコロ……

美琴「うん?」

チョンッ…チョンチョン

佐天「また、みんなで海、行きません?」

『5』

美琴「いいね~!」

初春「わたしも行きたいです!」

ポンッポンッポンッ……

黒子「ちょっと、佐天さん、海はいいですけれど、禁書目録をつれたまま
    さりげなくこちらに来ないでくださいませんか?」

佐天「え?(棒)」

ポンッポーン

黒子(しかも、またピタリでナスってきましたの……。あいかわらずのサイコロ運ですわね)

初春「でも、人の多いところだと、けっこう砂浜とか汚れてますよね」

→急行周遊カード

黒子(初春、急行カードで、長崎方面から海に逃げる気ですわね……)

『10』

美琴「あ、それならわたし、この前、穴場のビーチ教えてもらったんだ」

→特急カード

黒子(二人とも徹底的に逃げる気ですわね。まぁ、当然ですけれど)

『12』

黒子(お姉様も海に出ましたか……。そして、わたくしのターン。
    二人を追ってもよいのですけれど、ここならサイコロひとふりで長崎が狙える位置。
    目的地を取るために、サイコロをふるのも悪手ではありませんね)

→サイコロ

黒子「わたくしも、ぜひお供させていただきたいですの。新しい水着も新調しますから」

コロコロコロコロコロ……

美琴「あんた、またヘンな水着、着てこないでよ?」

チョンッ…チョンチョン

黒子「ヘンとは失礼なっ! あくまでセクシーですわ、セクシーっ!」

『2』

黒子(くっ、長崎には入れず……! 仕方ありませんわね)

ポッポーン

『てれぽ淑女! ここはカードがもらえる駅ですぞ!』

ピピピピピピピ……ピョーン

『てれぽ淑女は徳政令カードを手に入れた!』

『おや?』

黒子「えっ?」

『禁書目録のようすが』

『なんか 変だぞ?????』

『ま… まさか!』

『禁書目録が、伝説の「自動書記(ヨハネのペン)」を発動させようとしてるのでは!』

美琴「へ、変化!?」

佐天「まぁ、また禁書目録たんじゃないんですか?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

『3!』

『2!』

『1!』

『GO!』

ピシャーン!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

??『ゲッゲソ! ゲゲーソ! ゲゲーソ! ゲソー!
    イカ娘(イカデックス)でゲソ~~~!』(※)

美琴・黒子・佐天・初春「!?」


※『とある魔術の禁書目録Ⅱ』BD&DVD一巻(初回限定版)の
  おまけアニメで侵略されました

イカ娘『許さないでゲソ! 許すまじ人類! わたしは海からの使者、イカ娘でゲソ!』
    
イカ娘『わたしたち海の生き物にとって、人類は百害あって一利なし!』

イカ娘『お前たちの物件を、この触手で吹き飛ばしてやるでゲソ!』

美琴「だ、だれ、これ……?」

初春「週刊少年チャンピオンに連載中の『侵略!イカ娘』の主人公、イカ娘ちゃんですね」

佐天「ああ、ちょっと前にアニメでやってたっけ。でも、なんでまたイカ娘なの?」

初春「色々と、メタ的なナニかがあるみたいですよ。
    そもそも過去作では、『ハリケーンボンビー』という貧乏神だったんですけど、
    昨今の萌えブームでリストラを余儀なくされたみたいで」

美琴「そ、そう、なんだ……。
    ……それで、こいつはどんな悪行をしてくるの?」

初春「行動は単純で、手持ちの物件を吹き飛ばすという一点です」

美琴「それだけ?」

初春「それだけだから、逆にやっかいなんですよ。
   高額物件でもバンバン吹き飛ばされますから」

初春「少し前に、禁書目録が佐天さんの高額物件を容赦なく
    売っ払っちゃったことがありましたよね?
    あれを、さらに強力非道にしたのがイカ娘ちゃんなんです」

美琴「へぇ……」

初春「あ、あと、画面上にいるプレイヤーすべてがまきぞえを食らいますから、
    逃げるのであれば、遠くに逃げなきゃダメですね」

美琴「見た目はかわいいのに、やることはエグいんだ」

佐天「うわぁ、髪の毛?の触手がうねうねしてるぅ~」

イカ娘『ゲ~~~ソ~~~!』

美琴「やっかいね、黒子っ」キラキラ

黒子「どうして爽やかな視線を投げかけてくるんですの、お姉様」

美琴(まったく、まだ騙せてると思ってるのかしら。あんたがこのゲームを利用して
    わたしの貞操を狙ってるのは、もう確信してるっつーの)

美琴(どんなゲームでもね、黒子。
    玄人の戦い方は、そう簡単にカモフラージュできるもんじゃないのよ)

佐天「っていうか、あたしもヤバいじゃん、位置的に!」

黒子(こ、ここでまさかイカ娘が来るとは……。どえらい誤算ですわ。
    しかし、こちらには特急周遊カードがあります。ナスり返すのは余裕ですの)

佐天「しかも、手持ちにいいカードがないっ! サイコロをふるしかないのか……」

→サイコロ

コロコロコロコロコロ……

チョンッ…チョンチョン

『6』

佐天「よっしゃ!」

黒子「おかしいですの!」

黒子「佐天さん、あなたサイの目を操る能力でも持ってますの? 出目が狂ってますわ」

佐天「あはは、まさかー」

黒子「……」

黒子(佐天さんがレベル0でなかったら、間違いなく能力の使用を疑ってるところですの)

初春「じゃあ、せっかく出現したことですし、イカちゃんも見せ場がほしいでしょうから……」

→カード

初春「お二人には、数ターンお休みしてもらいましょう」

→冬眠カード

『ういはる社長は冬眠カードをつかった!』

『おっと! ういはる社長! 夏でも冬でもねむらせる冬眠カードですぞ!
 どうせなら、みなさんでいっしょに、ねむっていただきましょうか?』

『でんげき姫! ねむってください!
 てれぽ淑女! ねむってください!
 さ天帝! ねむってください!』

佐天・黒子「初春ーッッ!!」

イカ娘『まずは、てれぽ淑女の物件を、この触手で吹き飛ばしてやるでゲソ!』

~5年目 12月~

夜叉姫『今回、目的地に到着した、てれぽ淑女さん! ○ボタンを押してください!
     あたらしい目的地は、ここで~~~~~~す!』

ピピピピピピピピピピピ……ピュイーン!

『鹿児島』

夜叉姫『東洋のナポリ! 鹿児島(かごしま)です!』

夜叉姫『さあ! みなさん! 鹿児島(かごしま)に向かって
     がんばってくださーい!」』

黒子(お、これはチャンスですわっ!)

初春「鹿児島がきましたね」

美琴「鹿児島? なんかあんの?」

初春「ふふ、先に言ってしまうとつまらないですから、到着してからのお楽しみ、ということで」

美琴「イヤなお楽しみじゃないでしょうね……」

初春「いえいえ、いいお楽しみですよ」

佐天「えーっと、たしか、いつもの桃鉄だと……。あ、『アレ』か」

美琴「??」

~6年目 6月~

『てれぽ淑女が、目的地の鹿児島に、一番乗りで~~~~す!』

『住民は大歓迎ですぞ!』

黒子(ッしゃあっ! リニアカードで一気に30マス進んだ甲斐がありましたわっ!)

佐天「あーあ」

初春「取られちゃいましたね」

美琴(なにが起るんだろう)

??『てれぽ淑女さん!』

??『私の魔法名は「救われぬ者に救いの手を(サルファーレ・ゼロゼロゼロ)」』

サルファーレ『しばらくの間、てれぽ淑女さんのお役に立ちたく思います。
        よろしくお願いします』

美琴「な、なに、この美人のお姉さんは? さるふぁーれ?」

美琴(なんか、また既視感が……)

佐天「ん~、帯刀してますね」

初春「あ、このキャラクターはですね、元々『おいどん』というお助け役だったんですけど、
   昨今の萌えブームの煽りで、長髪黒髪ポニテ、片太腿を露出したヘソ出しな美少女に」

佐天「おいどん……」

美琴「さっき、魔法名とか言ってなかった?」

初春「たしか、本名は『神裂なにがし』とか……」

初春「あ、そういえば、彼女は天草式十字教徒という設定なので、本来なら熊本か
    長崎あたりで出現しなくちゃおかしいだろ、というツッコミもあったりします」

美琴「……」

佐天「御坂さん?」

美琴「い、いや、なんか萌えブームってすごいなぁって思って。
    ……んで、このサルファーレは、どんなお助けをしてくれるの?」

初春「次の月で働いてくれると思いますよ。白井さんのターンを見てましょう」

~同年 次月(6年目 7月)~

サルファーレ『てれぽ淑女さん。軍資金が不足しているようですね。
        私が集めてきましょう。いくら必要ですか?』

コロコロコロコロコロコロコロ……

チョッチョチョン……チョン

サルファーレ『2億6790万円、集めてきました』

『てれぽ淑女の持ち金は3億2210万円になった!』

初春「さっきも言いましたけど、サルファーレは基本的にお助けキャラなんです。
    軍資金の他にも、いいカードをくれたり、目的地に突貫してくれたりするんですよ」

美琴「へぇ~」

美琴(黒子……、狙ったわね……)

黒子(……そろそろ、お姉様も気づいていますわね。まぁ、あえてここで手の内を
    明かす必要もありません。バレバレでも、シラは切っておきましょうか)

黒子「これはこれは、まさにタナボタですの。せいぜいこの見せたがりの
    女子(おなご)に助けてもらいましょうか」

佐天「白井さんも充分見せたがりじゃないですかー」

黒子「人を露出狂みたいにいわないでくださいましっ!」

美琴「サルファーレって、禁書目録みたいにずっとついて来るの?」

初春「禁書目録と同じで、ナスる……というか、奪うことができるんですけど、
    次の目的地に到着したら帰っちゃいます」

初春「でも、それまでは毎ターンお金やカードを置いていってくれますから、
    できれば奪い取っていきたいですね」

黒子(そのとおりですわ、初春。白井家桃鉄家訓その四「おいどん(サルファーレ)は
    殺してでも奪い取れ」。近畿の物件を漁っていたせいで初動が遅れましたけど、
    こういうときのためのリニアカード。あって助かりましたわ)

~7年目 9月~

『社長のみなさん! 9月ですよ~!』

デデデデデン! デデデデデン!

浦島太郎『緊急ニュースです! 学園都市からドラゴンが出現しました!』

浦島太郎『近くの都市にすむみなさんは、警戒(けいかい)に警戒をかさねてください!』

美琴「ま、また、なんか出てきたけど!?」

佐天「ど、ドラ……ゴン……? でもむしろ、これ、どっちかっていうと……」

美琴「天使? だよね? 人に翼生えてるし」

初春「ああ、ドラゴンは通称です。前作以前は『ドジラース』という
    パロディ怪獣だったんですけど、婦女子層もターゲットにするため、
    容姿の端正な男性天使を採用したんです。『エイワス』でしたかね~、名前は」

美琴「ゲーム業界も色々と大変なのね……」

浦島太郎『こちら桃太郎スタジオ! ドラゴンは小田原をおそうもようです!
      小田原を所有しているのは…』

黒子「お、小田原ぁっ!?」

浦島太郎『てれぽ電鉄!』

浦島太郎『予想される被害総額は、8000万円です! これは大変です!』

浦島太郎『さあ、みなさん! ドラゴンを退治できるのはモモトラマンだけです!』

佐天「モモトラマンはモモトラマンのままなんだ」

初春「萌えブームに抗うゲーム製作スタッフの底意地を見たような気がしますね」

浦島太郎『スタンバイしているモモトラマンをよびだしてください!』

黒子(たしか今、モモトラマンを待機させているのは初春だけ……!)

黒子「頼みましたわよ、初春! モモトラマンを出撃させてくださいまし!」

初春「もう、しかたないですねー」

『ういはる社長! モモトラマンを出動させますか?』

ピッ

→いいえ

初春「あっ」

黒子「えっ」

初春「手がすべっちゃいました、てへ」

美琴(わざとね)

佐天(わざとだ)

黒子「なーにが、『てへ』ですのっ! 絶対わざとですわよね、今のっ!」

浦島太郎『…というわけで、モモトラマンはひとりも出動しないことになりました!
      まことにざんねんです! 小田原の町は! 小田原の町は!
      もう… もう… おしまいです!』

黒子「う~い~は~るぅ~!」

初春「あうあうあうあうあう、ゆすら~ないで~ください~」

浦島太郎『ドラゴンのプラチナの翼の力で、小田原の町は焼けおちてしまいました!
      小田原の物件はすべて、崩れ落ちたもようです!』

黒子(むぐぐっ! 白井家桃鉄家訓その五「転ばぬ先のモモトラマン」……。
    これは、うっかり怠ったわたくしのミスですわっ!
    ……しかし、まだまだわたくしの優位は動きませんの)

黒子(たしか、去年、6年目の決算は……)


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収益額  6年

1 位      てれぽ淑女                 4億2480万円  ↑

2 位      ういはる社長                2億7920万円  ↑

3 位      さ天帝                    2億 910万円  ↓

4 位      でんげき姫                 1億6550万円  ↓

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


黒子(こんな感じだったはず……。開幕から、みな上昇しつづけてますわ)

黒子(で、総資産が……)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
総資産  6年

1 位      てれぽ淑女                11億 940万円  ↑

2 位      ういはる社長                8億1180万円  ↑

3 位      さ天帝                    7億5590万円  ↓

4 位      でんげき姫                 3億7370万円  ↓

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


黒子(4年目のイカ娘被害で収益・総資産ともに減りましたが、佐天さんも
    イカ娘の直撃を食らって、大幅に下がったのは大きかったですわね。
    6年目のサルファーレと、目的地の連続ゲットでうまく巻き返しましたし)

黒子(あいかわらず初春がくっついて来ているのが気にはなりますが、
    なにより、順調にお姉様との差を広げられているのが最高ですの。
    ドラゴンに少しばかり物件を焼かれたからといって、黒子の勝ちはゆるぎませんわ)

黒子「うふふふへへ……」

美琴「……」

~8年目 1月~

『でんげき姫! ここはカードがもらえる駅ですぞ!』

ピピピピピピピ……ピョーン

『でんげき姫は陰陽師カードを手に入れた!』

黒子(ッ!)

美琴「ん……? なんだこのカード……」

黒子「お姉様」

美琴「ん?」

黒子「今回の目的地、五所川原の近く、秋田にはいらしたことがありまして?」

美琴「え? 秋田? 行ったことないけど?」

黒子「いえ、わたくし小さい頃、秋田に旅行に行ったことがあるのですけれど、
    ちょうどナマハゲ祭り、たしか『なまはげ紫灯(せど)まつり』という
    お祭りが催されていまして」

美琴「へぇ~。あの『泣ぐごはいねが~』ってやつでしょ?」

黒子「そのナマハゲを見て、大泣きしてしまいましたの」

佐天「あはは、なんだかかわいいですね」

黒子「本気で怖かった記憶がありますわ」

佐天「小さいときに怖かったものって、大きくなると
   『なんでこんなの怖かったんだろう?』ってなること、ありますよね」

美琴「ああ、あるある。わたしも、ミッキーが怖くってさ~」

佐天・黒子・初春「えっ」

美琴「えっ」

佐天「い、いや、あれは怖くなくないですか?」

美琴「え、み、みんな、怖くなかったの?」

初春「どちらかというと、かわいいと思っていました」

美琴「あ、あの『ハハッ』っていう、やけに甲高い声とか、ブキミじゃなかったっ!?」

黒子「お姉様だけだと思いますわ……。一応、夢の国の住人ですのよ? あのネズミ」

美琴「そっか……」ショボーン

~同年 次月(8年目 2月)~

『社長のみなさん! 2月ですよ~!』

デーデデン♪ デーデデン♪ ッデンデンデンデデーデ♪

『男鹿(おが)半島怪人ヒメガーミンがあらわれた!』

ヒメガーミン『泣く子はいませんか。泣く子はいませんか』

美琴「ま、またヘンなのが来たんだけど!? ってか、またなんか見覚えがあるんだけど!?」

佐天「これ、もしかして……、ナマハーゲン?
    たしか、秋田駅に登場するお邪魔キャラだよね? ナマハゲの格好した」

美琴「え、でもこれ、どう見ても巫女服の女の子だよ?」

初春「前作までは、ちゃんとナマハゲの格好をしてたんですけど、
    昨今の萌えブームの煽りで、清楚で大人しい感じの巫女さんになったんです」

美琴「ナマハゲの要素が微塵も残ってないじゃないっ!」

ヒメガーミン『泣く子はいませんか。泣く子はいませんか』

佐天「ひぃーっ! でもこの淡々とした口調が、逆に怖いーっ!」

『ヒメガーミンは特急カードをつかった!』

コロコロコロコロコロコロコロ……チョチョンッ…チョチョンチョン

『13』

ポンッポンッポンッ……ポンッポンッポォーン

『でんげき姫。泣く子はあなたですか。身ぐるみみんな、はがせてもらいます』

『ヒメガーミンはでんげき姫のカードを奪う!』

『急行カードを捨てた!
 特急カードを捨てた!』

美琴「ちょっ! なにこれっ!? 進行系全部持っていかれたんだけど!?」

初春「ナマハーゲン、もといヒメガーミンは、進行系カードを使って、
   ピタリ追いついた相手のカード、持ち金や物件を奪うんです」

美琴「……ひどい……」

→サイコロ

コロコロコロコロコロ……

チョンッ…チョチョンチョン

『4』

黒子「東北に全員が密集しているこの状況……。
    わたくし、少し距離を取らせていただきますの」

→のぞみカード

『19』

黒子(ヒメガーミン被害はけっこうバカになりませんからね。
    ……というわけで、北海道へ脱出っ!)

佐天「こ、ここはあたしも進行系で……、って1枚もないーっ!」

→サイコロ

『4』

佐天(くっ! 出目がよくない! でも、さっきチラっと見たとき、
    初春も進行系カードを持ってなかった。まだ逃げられるはず!)

初春「……」

→カード

初春「…………」

→銀河鉄道カード

『ういはる社長は銀河鉄道カードをつかった!』

佐天「逃げられたぁーっ!」

『ういはる社長! ここらで銀河の旅に出て、勝利を確実なものにしましょう!』

美琴「え、なに? 初春さん宇宙行ったの!?」

初春「いや~、たまたま銀河鉄道カードを持っててよかったですよ~」

美琴(ということは……)

佐天(東北地方に残されたのは、禁書目録のついたあたしと御坂さんのみ)

佐天「あははは……、おいてかれちゃいましたね、御坂さん」

美琴「ははは……、そうだね、佐天さん」

佐天・美琴「……」

佐天(この鬼ごっこ……!)

美琴・佐天(負けられないッ!)バチバチバチバチッ

ヒメガーミン『泣く子はいませんか。泣く子はいませんか』

~同年 次月(8年目 3月)~

黒子「それではわたくしも、ちょっと宇宙(そら)の旅に参りましようか」

→テレポートカード

佐天「へ?」

『てれぽ淑女はテレポートカードつかった!』

『てれぽ淑女! だれも近くにいないということは、禁書目録の危険が…
 いまのうちに、だれかさんのそばに近づいておかないと!』

  でんげき姫
  さ天帝
→ういはる社長

フイフイフイフイフイ……

佐天「あーっ! ずるいですよ、白井さん! 初春に便乗して銀河にテレポートするなんて!」

黒子「わたくし、レベル4の『空間移動能力者(テレポーター)』ですから」

初春「あはは……、なんの言い訳にもなってませんよ……」

黒子(白井桃鉄家訓その六「銀河鉄道には便乗すべし」ですわ)

佐天(くっそーっ! まずい!
    ヒメガーミンは今月も御坂さんを襲ったから、御坂さんと距離があるのはいいんだけど、
    あたしの後ろには禁書目録がついてる)

佐天(あたしも、白井さんみたいにカードを上手く使えないかな……)

ピッ

→カード

佐天「あ」

黒子「?」

佐天(あ、あった! この状況を打開するカードが1枚だけッ!)

佐天「ふふ……、白井さん、逃がしませんよ」

黒子「なーにを言ってますの。あなた、テレポートカードなんて持ってませんでしょう」

佐天「でもっ! 代わりならあるんですっ!」

→あっちいけカード

黒子(あっちいけカード……? たしかにそのカードを使えば、禁書目録に
    誰かのところへ行ってもらうことはできますけれど……)

黒子(とはいえ、誰に取り憑くかはランダムですし、なにより成功率が低いですから、
    わたくしなら、ふつうにサイコロをふって逃げますわね)

佐天「くらえっ!」

禁書目録『デーディカートゥス! たまにはほかの人のところへおジャマしたいかもっ!
      だれにしようかなぁ?』

黒子「こんなバクチ、成功するわけが……」

禁書目録『ういはる社長さんっ! あなたにきめたんだよっ!』

初春・黒子「こっち来たぁーッ!?」

初春(し、しかし、2マス先に白井さん……。さっさとナスってしまえば大丈夫ですっ!)

→サイコロ

『1』

初春(しまった! ここで6分の1を引くなんて……! 白井さんにナスるには1足りない!
    おとなしく急行カードを使っておけばよかった……!)

『おや?』

初春・黒子「!?」

『禁書目録のようすが』

『なんか 変だぞ?????』

『ま… まさか!』

『禁書目録が、伝説の「自動書記(ヨハネのペン)」を発動させようとしてるのでは!』

『3!』

『2!』

『1!』

『GO!』

ピカァーン♪

初春(ほっ、よかった……)

黒子(禁書目録たんですわ……)

『GO!!』

ピシャーン!

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

初春・黒子「!?」

イカ娘『ゲッゲソ! ゲゲーソ! ゲゲーソ! ゲソー! イカ娘でゲソ~~~!』

初春・黒子「きゃぁぁあああッ!!」

イカ娘『私は海からの使者、イカ娘でゲソ!
     ここは改めて、わたしの恐ろしさを思い知らせてやるでゲソ!』

美琴「地上ではヒメガーミン」

ヒメガーミン『泣く子はいませんか。泣く子はいませんか』

佐天「宇宙ではイカ娘」

イカ娘『この触手で吹き飛ばした物件を、人類侵略の拠点にしてやるでゲソ!』

美琴・佐天「なんだこのカオス……」

~9年目終了~

『 決 算 』

桃太郎『各電鉄会社の社長のみなさん! おまたせしました!』

桃太郎『決算の発表は、夜叉姫さんから!』

夜叉姫『夜叉姫です! それでは、今年度の収益額の順位を発表します!』

夜叉姫『昨年は、てれぽ淑女さんが1位でしたが、今年はどうでしょうか?』


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収益額  9年

1 位      てれぽ淑女                21億8410万円  ↑

2 位      ういはる社長                5億9910万円  ↑

3 位      さ天帝                    3億2480万円  ↑

4 位      でんげき姫                 2億2100万円  ↓

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夜叉姫『引き続き、ゲームの順位を決めることになる、総資産の中間発表です!』

夜叉姫『昨年は、てれぽ淑女さんが1位でしたが、今年も首位をキープできるでしょうか?』


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総資産  9年

1 位      てれぽ淑女                124億1890万円  ↑

2 位      ういはる社長                15億 910万円  ↑

3 位      さ天帝                    10億5240万円  ↑

4 位      でんげき姫                  4億1877万円  ↓

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黒子「初春、なにケータイいじってるんですの。
    初春がボタンを押さないと次の画面にいきませんわよ」

初春「あ、すみません」

黒子(絶対いるんですわよね~。勝負が決まったと分かると、
    やる気をなくして、他のことをやりだす人が)

黒子(今年は本当に運がよかったですわね)

黒子(なんといっても、物件1件を購入額の10分の1で買える、
    ゴールドカードなどというレアカードをこの局面で引き当てるなんて、
    うれしい誤算でしたわ)

美琴「黒子の収益額と総資産の大幅アップは、ゴールドカードで買った、
    学園都市駅、100億円の能力開発研究所のせいね」

黒子「せっかくの地元ですし。それに、一頭地を抜くカードも使っていて
    持ち金も潤沢でしたから、これは買わない手はないと思いましたの」

佐天「すごい差をつけられちゃったなぁ……」

初春「……」

黒子「ドラゴンやらヒメガーミンやらイカ娘やら……色々ありましたけれど、
    ――これで勝敗は決したも同然ですわね、お姉様」

美琴「ぐっ……!」

黒子(残り1年、総資産の差は30倍で、こちらの手持ちカードも使えるカードばかり。
    一方のお姉様は、1年近く、ずっと目的地を外しているような状態……)

黒子「うふふふふ……、ふっふっふっふ……、ふへへへへ……」

初春「し、白井さん!?」

黒子「まさか、罰ゲーム、忘れたわけじゃありませんわよね、お姉様?」

美琴「……やっぱり、あんた最初から……ッ!」

黒子「いやですわ、お姉様。罰ゲームなどと申しましても、
    『たった1日黒子の愛をすべて受け入れる』
    程度のものですから、ご心配なく、ふへっ♪」

黒子(もう最終の10年目は、消化試合ですわね)

~10年目(最終年) 8月~

美琴「……」

→サイコロ

コロコロコロ……

チョンッ…チョンチョン

『3』

ポンッポンッポォーン

黒子(さすがのお姉様も、もう諦めムードですわね。明らかに口数が減ってますし、
    ここ数ヶ月は、禁書目録がいるのにサイコロをふってばかり)

黒子(少しばかりお悔しいでしょうけれど、これも黒子の愛情ゆえ。
    きっと、明日はお姉様を心ゆくまで満足させてあげますわっ!)

『プラス駅に止まった!』

ピピピピ……ピョーン

『プラス 2050万円でした!』

『でんげき姫の持ち金は9120万円になった!』

『おや?』

『禁書目録のようすが』

『なんか 変だぞ?????』

黒子(あら、つい数ヶ月前も禁書目録たんになったばかりですのに)

『ま… まさか!』

『禁書目録が、伝説の「自動書記(ヨハネのペン)」を発動させようとしてるのでは!』

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

『3!』

『2!』

『1!』

『GO!』

ピカァーン♪

黒子(まーた禁書目録たんですわ。まぁ、これで少しお姉様のイライラも収まるでしょう)

『GO!!』

ピシャーン!

美琴・黒子・佐天・初春「!?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

魔神・禁書目録『警告――第三章第二節。第一から第三までの全結界の貫通を確認。
         現状十万三千冊の書庫の保護の為、侵入者の迎撃を優先します』

魔神・禁書目録『――侵入者駆除に対して最も有効な魔術の組み合わせに成功しました。
         これより特定魔術「聖(セント)ジョージの聖域」を発動。
         侵入者を破壊します』

美琴・黒子・佐天・初春「じ、自動書記モードきたあああああああぁぁぁぁぁッ!!」

初春「ま、まさか最終年に発動するなんて……」

佐天「ううん、これ、萌えブームの煽りでリストラされたキングボンビーの代わりなんでしょ?
    歴代桃鉄なら、ここまで出てこなかったことが逆に不思議なくらいだよ」

美琴「……」

黒子「お姉様……泣きっ面に蜂とはこのことですわね。心中お察し申し上げますわ」

美琴「……ふふ……」

黒子「お姉様?」

黒子(運に見放されすぎて、イラだちが頂点に達しましたのね……。
    こういうとき、『買い物に行ってくる』とか言って試合放棄する人もよくいますけれど、
    そんなお姉様、黒子は見たくありませんわ)

黒子「弱り目にたたりめなんて言葉もありますし、あまりお気を落とさずに……」

美琴「……やっと……」

黒子「……?」

美琴「……」

~同年 次月(10年目 9月)~

美琴「黒子……、わたしがどうして、この数ヶ月、あんたの近くにいたと思う?」

黒子「へ?」

美琴「どうして、サイコロばっかりふってたと思う?」

黒子「な、なにを言ってますの、お姉様……?」

美琴「すべてはこのための布石……」

→カード

美琴「これが、わたしの切り札よ!」

→陰陽師カード

黒子「そ、そのカードは……!」

美琴「おかしいと思ったわ。わたしが偶然このカードを手に入れたとき、
    あんた、むりやり話題をカードからそらしたでしょ、秋田で。
    そこでピーンと来たのよね。このカード、おそらくすごく重要だって」

黒子「で、でも、どうしてそのカードの効果を知ってますの!? お姉様は初心者なはず……!」

美琴「切り札になるかもしれないカードの効果を、自分を陥れようとする
    人間には聞けないわ。だから――」カチャッ

黒子「携帯電話……ッ!」

美琴「効果は、ネットの攻略サイトで教えてもらったの」

黒子「!」

美琴「相手プレイヤーを自由に操作できる、このゲーム最凶の鬼畜カード……」

美琴「『初心者だから効果を知っているはずがない。だから、そうそう使ってはこない』。
    そう軽く考えていたのが誤算だったわね、黒子」

美琴「わたしは、あんたに、そう考えていてほしかった。
    そして、そのまま、このカードの存在を忘れ去ってほしかった。
    持ってることを知られたままだと、どんな対処をされるか分からないからね」

美琴「だから、このカードの効果を知ってから、便利系カードの一覧を、
    わたし、一度も開いてないのよ」

黒子「わ、わたくしに陰陽師カードを目視させないため……!」

美琴「禁書目録にカードを割られる危険があったから、本当は、もっと早い段階で
    使いたかったんだけど……。でも、なかなかチャンスはおとずれなかった」

美琴「しかも、9年目にあんたが能力開発研究所を買ったことで、状況はますます暗転した。
    わたしはもう、自動書記モードの魔神・禁書目録に賭けるしかなくなった……」

初春「そして、勝ったんですね。その最後の『賭け』に……」

黒子「ぐっ……ッ!」

美琴「――さあ、黒子、魔神と二人きり、楽しいランデヴーの時間よ」


『でんげき姫は陰陽師カードをつかった!』

『でんげき姫!』

『歴史の闇にかくされた、禁断のカードを、ついにおつかいになられますか。
 呪われますぞ! 怨まれますぞ! たたられますぞ!
 呪われても、怨まれても、おつかいになりたいのですな!』

『さあ、禁断の呪法をかける相手をおえらびください!』

ピッ

→てれぽ淑女

『てれぽ淑女!』

『あなたに陰陽の術をおかけいたします!』

『東の青龍! 西の白虎! 南の朱雀! 北の玄武! 四門より来たれ!
 臨! 兵! 闘! 者! 皆! 陣! 列! 在! 前!
 いでよ! ドーマンセーマン!』

『てれぽ淑女! そなたに呪(しゅ)をかけた!
 さあ、でんげき姫! 意のままにてれぽ淑女を動かすがいい!』

『でんげき姫が、てれぽ淑女の行動をのっとった!』

美琴「まずは、リニアカード以外のカードを全部捨ててっと」

黒子「ちょっ、お姉様っ!」

美琴「たしか、鹿児島に入るとき使ってたわよね、リニアカード。30マス進めるんでしょ?」

ピッ

→リニアカード

『てれぽ淑女(呪)はリニアカードをつかった!』

『これはびっくり! てれぽ淑女(呪)は、30マスぴったり進むことができます!』

美琴「で、わたしの魔神・禁書目録を引き連れて、はるか僻地で孤立してもらうわ」

黒子「うぐっ……!」

初春「鬼ですね~」

佐天「うっわぁ……」

『マイナス駅に止まった!』

黒子(ま、魔神・禁書目録をつれて孤立した状態でわたくしのターン……!
    さすがお姉様……、ここ一番の勝負強さと引きのよさは並ではありませんね……)

黒子(しかし、いくら魔神・禁書目録といえど、今の黒子の優位を崩すことはないはずっ!)

→サイコロ

コロコロコロコロコロコロ……チョンッ…チョンチョン

『1』

ポォーン

魔神・禁書目録『第二〇章九節。曲解した十字教のモチーフを確認。
          上記の術式に対し最も有効な術式の構築を開始します』

魔神・禁書目録『命名、「神よ、何故私を見捨てたのですか(エリ・エリ・レマ・サバクタニ)」
          発動準備完了。即時実行可能』

魔神・禁書目録『発動条件――サイコロの出目の合計値による勝敗。
          対象はサイコロを5個振り、
          此方はサイコロを10個振る。例外条件及び猶予、絶無』

佐天「魔神がなんか言ってるけど、どういうこと?」

初春「サイコロの出目の合計で勝負をするんです。
    白井さんはサイコロを5個、魔神はサイコロを10個ふる、ということです」

佐天「あの隕石降らすやつか。絶対ムリじゃん」

コロコロコロコロコロコロ……チョチョンッ…チョンチョン

魔神・禁書目録『対象の出目を積算――計21』

コロコロコロコロコロコロ……チョチョチョンッ…チョンチョン

魔神・禁書目録『此方の出目を積算――計61。此方の勝利を確認』

魔神・禁書目録『「神よ、何故私を見捨てたのですか(エリ・エリ・レマ・サバクタニ)」発動。
          てれぽ淑女の工業物件を全て灰燼に帰す』

『魔神・禁書目録は、てれぽ淑女の工業物件をぜんぶ捨ててしまった!』

魔神・禁書目録『たった今廃棄した工業物件の総額を試算――計102億3600万円と推計。
          引き続き対象への攻撃を継続します』

黒子「ひゃ、102億……!?」

佐天「うっわぁ……」

初春「能力開発研究所、やられましたね」

~同年 次月(10年目 10月)~

魔神・禁書目録『戦場の検索を開始――完了。
          現状最も難易度の高い敵兵、てれぽ淑女の破壊を最優先します』

魔神・禁書目録『警告――第一三章五節。此岸に於いては御足は不要であると判断。
          その所有権を抛棄させる術式の構築を開始。
          命名、「竜王の殺息(ドラゴンブレス)」。発動準備完了。即時実行可能』

魔神・禁書目録『サイコロを10個振り、出目の合計に依り威力を調節します』

黒子「……」

コロコロコロコロコロコロ……チョチョチョンッ…チョンチョン

魔神・禁書目録『対象の出目を積算――計32。1億1640万円を破棄します』

『てれぽ淑女の持ち金は-3070万円になった!』

『てれぽ淑女! お金がたりません! どの物件を売りましょうか?』

              ―割愛―

佐天「『竜王の殺息(ドラゴンブレス)』、1ヶ月で3回来たね……」

初春「ひどいものを見た気がします」

佐天「け、結局、被害総額はいくらくらいになったの?」

初春「え~っと……、ちょっと待ってくださいね……。この2ヶ月で……」

初春「単純に物件の額だけ見ても、
    『神よ、何故私を見捨てたのですか(エリ・エリ・レマ・サバクタニ)』で102億。
    『竜王の殺息(ドラゴンブレス)』×3で3億ですから、
    計105億万円くらいマイナスです」

佐天「うわぁ……」

初春「しかも、総資産で考えると、もっともっと被害額は跳ね上がりますね」

美琴「最初に初春さんに、絶望的な戦況をまるごとひっくり返すくらいすごいって
    聞いてたから、これに賭けたんだけど、まさかここまで極悪非道かつ強力無比とはねー」

黒子「……」

佐天「し、白井さん、大丈夫ですか、白井さん! 口からなんかエクトプラズムがでてますよ!?」

黒子「だ、ダイジョウブですわ……」

黒子(そう、大丈夫……。このゲームの魔神・禁書目録の行動期間は2~4ヶ月。
    来月、ふつうの禁書目録に戻ってくれれば、まだ破滅はしませんのっ!)

美琴「……」

~最終年(10年目)終了 総合順位発表~

桃太郎『みなさん! 10年間おつかれさまでした!』

桃太郎『これから優勝者の発表をしたいと思います!』

夜叉姫『最終年、いったい誰が1位の座にかがやくのでしょうか!』

桃太郎『それでは、総合順位を、かつもくしてごらんください!』

佐天「あたし、何位になってるだろうなー」

初春「楽しみですね~」

黒子「まったくですわ」

黒子(10年目の魔神・禁書目録の攻撃は、結局2ヶ月で終わりましたの!
    あの被害額なら、総資産でお姉様に負けることはないはずっ!)

美琴「……」


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
総資産  10年

1 位      ういはる社長               16億9280万円  ↑

2 位      さ天帝                   11億4660万円  ↓

3 位      てれぽ淑女                 4億1560万円  ↓

4 位      でんげき姫                 3億5150万円  ↓

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


黒子(よっしゃぁぁああああッ!!)

初春「やったぁ! 1位ですよ1位!」

佐天「うーん、2位かぁ。ちょっと悔しいなぁ」

美琴「……」

黒子「どうやら、勝敗は決したようですわね、お姉様っ♪」

黒子「そ、それでは、さっそく罰ゲームの命令を……、ふへへっ」

初春「あ、それ、1位のわたしからいいですか?」

黒子「? ええ、かまいませんけれど」

初春「それでは、まず白井さん」

黒子(まぁ、初春のことですから、ムチャクチャな要求をしてくることはないでしょう)

黒子「ささ、なんでも命令してくださいまし」

初春「それでは……、こほん」

黒子(お姉様を1日こねくり回すように好きにできる……。
    ああ、考えただけでヨダレが……)ジュルリ

初春「白井さん、御坂さんに対して、いっさい命令をしないでください」

黒子「……はっ?」

佐天「え?」

美琴「……」ニヤッ

初春「あ、ちなみに、命令というのは、今回の罰ゲームにおける命令、ということですよ」

黒子「な……、え……?」ポンッ

クルッ

黒子「……お、おねえ……さま……?」

美琴「黒子、これが、本当の『勝負』ってやつよ」

佐天「ど、どういうことですか、これ……?」

美琴「初春さんに、メールでひそかにお願いしてたの。
   『もし1位になったら、黒子が命令することを禁止するような命令をして』ってね」

初春「交換条件は、『風紀委員(ジャッジメント)』の雑用1週間肩代わりでした」

美琴「わたしの目的はね、魔神・禁書目録をあんたにナスりつけて、
    『わたしとあんたのとの』順位を逆転させることじゃなかったのよ」

美琴「わたしが本当の本当に狙っていたのは、あんたを首位から引きずり落とし、
    初春さんを1位にして、今の命令をしてもらうことだったの」

黒子「」

美琴「黒子、あんたの敗因は、ゲームの中しか見ていなかったこと……。
    あんたはたしかに、『ゲーム』には勝った。でも『勝負』には負けたのよッ!」ビシィッ!

黒子「そ、そんな……、そんなの……反則ですわ……」

美琴「わたしだって、こんな手は使いたくなかったわよ。
    でも、この桃鉄、単純なボードゲームのようで、素人と玄人の実力の差が
    はっきり出る作りになってるわ」

美琴「隠してはいるけど、明らかに黒子はこのゲームをやりこんでる。
    そんなプロのプレイヤーに、初心者のわたしが勝つことは恐らく無理……。
    だから、最低限、あんたのよこしまな魂胆だけは砕くことにしたの」

佐天「だから、初春と共闘を……?」

初春「共闘はしてませんよ、佐天さん」

佐天「へ?」

初春「御坂さんから来たメールは、今の罰ゲームの命令のお願い、1通だけです」

初春「いっしょに戦おうっていう話はありませんでした」

佐天「で、でも、早い段階で勝てないことに気づいたんなら、
    初春、あたしと共同戦線をはった方がよかったんじゃないですか?
    白井さんでも、3人相手に勝つのは難しいでしょうし……」

美琴「わたしが、そんな徒党を組んで相手をボコる、小悪党みたいなマネすると思う?」

初春「……うーん、御坂さんらしい考え方ですね」

美琴「それに、たしかに、黒子が言うように、ちょっと反則っぽいなって思ってたんだ。
    だったらせめて、ゲーム自体は自分の力でなんとかしようと思って、ね」

佐天「すごい度胸ですね……」

美琴「今だから言えるけど、10年目の途中までは、生きた心地しなかったわー」

黒子「」

初春「み、御坂さん、し、白井さんが息をしていませんっ!」

美琴「……」

黒子「」

美琴「しかたないなぁ……」

黒子「」

美琴「黒子、あんたはたしかに、思いっきりわたしを陥れようとしていた。
    でも、このために、このゲーム、時間かけて、すっごくやりこんだんでしょ?」

黒子「……」コクリ

美琴「わたしもちょっと邪道なことをしたし……。
    あんたの命令はきけないけど、その頑張りに免じてご褒美をあげる」

黒子「ぇ……?」

美琴「黒子、目、閉じなさい」

黒子「め、目ですの……?」

美琴「いいから」

黒子「は、はい……。閉じましたの」

チュッ

黒子「ッッッ!!!???」

黒子「お、おね……!? い、今、く、く、くちに……? あ、あわ、あわわわわわわわ……」

プシュー

バタッ

佐天「あ、倒れた」

初春「いっつも攻めるばかりだったから、いきなり受けに回った混乱で、
    脳内回路がショートしたんでしょうね。耳鼻口から白煙がたちこめてますよ」

美琴「あはは、やりすぎたかな」

初春「でも白井さん……、自分の唇に触れたのが、御坂さんの『唇』じゃなくて、
   『指』だったって知ったら、どんな反応するでしょうね~」

佐天「あはは、言わぬが花ってやつじゃない?」

美琴「この前、マンガで見たネタをマネしてみたんだけど、マズったかなー」

初春「ふふ、いいんじゃないですか?」

佐天「ほら、見てくださいよ、御坂さん」

美琴「ん?」

佐天「白井さん、すっごく幸せそうな顔、してます」


~数日後~

黒子「お姉様~ッ!」

バキィッ!

美琴「だから、人がシャワー浴びてるところに入りこんで来るなっての!」

黒子「で、でも、お姉様とわたくしは……、その……、せ、接吻までした間柄」ポッ

黒子「今さらなにをこれ以上ためらうことがありますのッ!?
    さあさあッ、さらに一歩ないし二歩三歩進んだ関係になろうではありませんかッ!」

ガバァッ!

ドゴッ!

美琴「なるかッ!」

美琴「はぁ……。あのとき、黒子に見事のせられていなければ、こんなことには――」

黒子「お゙、お゙姉゙様゙……、わたくし、諦めませんわ……」ガクッ



『とある桃鉄の超電磁砲』 おしまい

ここまでお読みいただきましてありがとうございました。
支援・保守をして下さった方にも、合わせてお礼申し上げます。

このSSを書くに当たり、原案をフウアツブレード(@fuuatsu)様から頂戴しました。
また、動画サイトで多くの『桃太郎電鉄』プレイ動画を参照させていただきましたが、
特に、ニコニコ動画投稿者のARS(さ技師)様の動画を多く参考にさせていただきました。
この場を借りて、フウアツブレード(@fuuatsu)様、参照させていただいた動画投稿者様方、
ARS(さ技師)様にお礼申し上げます。
ありがとうございました。

また、非常にどうでもいい製作裏話がツイッター上でご覧になれます。
もしご興味のある方いらっしゃいましたら、noname@globetazkでググってみて下さい。

それでは失礼します。

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