ほむら「魔法勇者☆まどマギカー!!」(326)
QB「参ったよ。ソウルジェムが禁止されてしまった」
ほむら「……どういう事?」
QB「説明するより見てもらった方が早い、君のソウルジェムを見てみてよ」
ほむら「!?…ソウルジェムが緑色に!?」
QB「それはソウルジェムの代替品…”Gストーン”さ!」
ID:HKPS9wNO0
代行本当にありがとうございます
―ドドジャンッ!!
世界線を跳躍し鹿目まどかを救う事の出来る世界を求め続ける魔法少女、暁美ほむら。
彼女の、いや、全ての魔法少女の運命を変える計画が今、始まろうとしていた!
これは、そんな熱き魔法少女達の勇気の神話(マイソロジー)である!!
ほむら「G…ストーン?」
QB「そう、人間の感情からエネルギーを生む異星の無限情報サーキットさ」
ほむら「…ソウルジェムと同じじゃない」
QB「それを知っているとは…本当に君は何者だい?」
ほむら「答える義務は、無いわ」
QB「まあ良い。ソウルジェムは希望・絶望の相転移のエネルギーギャップを取り出す装置だ」
QB「対してGストーンは人間の勇気からエネルギーを生む。全くの別物だよ」
ほむら「!…絶望への相転移がないという事は」
QB「そう、魔法少女の魂が魔女なることは無くなるんだ」
ほむら「!!」
ほむら「何故…何故今までこれを使わなかったの!?」
QB「Gストーンはソウルジェムに対してエネルギーの収率が不安定だからね」
ほむら「っ…そうね、貴方達はそういう奴らだったわ」
QB「だから今回の件でソウルジェムは使えなくなったのは凄く残念だよ」
ほむら「一体どういう事なのか、説明して貰うわ」
QB「勿論説明するよ。それも今回決まった事だからね」
QB「宇宙には僕らだけじゃなく数多の地球外生命が存在する」
QB「そして中には親地球派と言える種族もいるんだ」
QB「偶然にも現在、宇宙で力を持っている種族がそれだった」
QB「今回の惑星間会合の結果、地球人に不利な契約を迫る僕らに白羽の矢が立ったのさ」
QB「人間の魂を魔女化させエネルギーを得る事の禁止」
QB「質問には全て答え、僕らに不利な情報であっても必ず真実を伝える」
QB「この二つが決定されてしまった。違反したら僕らがただじゃ済まない」
ほむら「じゃあ……もう戦わなくても良いのね?」
QB「現行で存在する魔女に、人間達が殺されても気にしないならね」
ほむら「魔女自体が消えたわけじゃない…」
QB「それはそうだよ。でも君達は運が良い、殆ど自由かつ完全な善意で戦えるんだ」
QB「その戦いの中で存分に”勇気”を振り絞って欲しいな」
ほむら「それが新しい搾取の方法なのね」
QB「搾取とは酷いな。君達の感情を守るシステムに譲歩したんだ」
QB「むしろ感謝して欲しいよ」
ほむら「感謝は親地球派の宇宙人にするわ。何故私達を救ってくれるのかは知らないけれど」
QB「人間にもいるだろう?」
QB「権力や自己満足の為に幾らでもいる海洋動物を救おうとする集団が」
QB「つまり、そういうことだよ」
ほむら「偶然の道楽の前でも私たちの命は弄ばれるのね」
QB「でも結果として君達の感情も命も救われたじゃないか」
ほむら「…信用できないわ」
QB「魔女にはならないし、魂は体に宿ったまま」
QB「嘘をつけない僕が言うんだから…ね?」
ほむら「その言葉が嘘だとしたら?」
QB「そう思うなら君の胸に手を当ててみると良い」
ほむら「……!」ドクンッ…ドクンッ…ドクンッ…
QB「目から水分を失うなんてもったいないよ?今の君の体は生きているんだから」
ほむら「…黙り…なさいっ」
QB「信用してもらえたかな?Gストーンの力は魂のない死体じゃ使えないからね」
ほむら「…少しだけよ、もう少し様子を見させて貰うわ」ザッザッザッ
QB「今日は僕を見逃すんだね、いつもなら何も言わずに蜂の巣だ」
ほむら「様子を見るのよ、もし不審な動きをしたら…」
QB「代わりは幾らでも造れるとはいえ、もったいないからね。善処するさ」
ほむら「……」ザッザッザッ・・・
ほむら「………あいつの言う事が本当ならばもう魔女は生まれない」
ほむら「後はまどかを死なせない様に守るだけでループは終焉する」
ほむら「この世界が跳躍の終着点…?
ほむら「ただ偶然に救われた、あっけないものだわ」
ほむら「でも、この胸騒ぎは……?」
―ドドジャンッ!!
翌日の昼、見滝原中学校の屋上では鹿目まどか・美樹さやか・巴マミの
三名によって魔法少女体験コースについての予定が立てられていた。
孵化直前のグリーフシードの気配を、巴マミが察知した為である。
一方、暁美ほむらは鹿目まどか護衛の為、三者の前に立とうとしていた。
さやか「マミさん、今日はどんな魔女をバッタバッタなぎ倒しちゃうんですか!」
マミ「バッタバッタって美樹さん、そんないっぺんには倒せないわ」
まどか「そうだよさやかちゃん。マミさん一人で戦うんだから…」
さやか「そっか…じゃ、このさやかちゃんがとっとと魔法少女になっちゃうしかないなぁ」
マミ「あらあら、頼もしいわね」
QB「決意ができたらいつでも言ってよ、美樹さやか」
QB「もちろん、鹿目まどかも歓迎するよ」
ほむら「貴女達、ちょっといいかしら」
マミ・まどか・さやか「!」ザワッ…
QB「やあ、暁美ほむら」
まどか「ほ…ほむらちゃん…」タジッ…
さやか「何か用、転校生?」キッ
マミ「暁美さん…だったかしら。お互いトラブルは避けようって言ったはずよ」
ほむら「…安心して、私は争いに来た訳じゃない」
マミ「それもそうね、お話し聞こうかしら」
ほむら「今日の魔女退治、私も同行させて貰えないかしら?」
さやか「マミさん!この子マミさんの取り分を狙って…」
まどか「ちょっと、さやかちゃん…」
マミ「二人とも、その心配はないわ」
まどか・さやか「?」
ほむら「そう…貴女もキュゥべぇから聞いているのね。Gストーンの事を」
QB「もちろん、僕には説明義務があるからね」
まどか「マミさん…何かあったんですか?」
マミ「二人とも、これを見て頂戴」
さやか「あれ?マミさんのソウルジェム黄色じゃなかったですか?」
まどか「綺麗な緑色…」
マミ「これはGストーンといってね、ソウルジェムの代替品らしいの」
マミ「魔力を使っても穢れをため込まないから、もうグリーフシードが要らないのよ」
さやか「何ですかそれお得ーっ!」
まどか「じゃっ、じゃあもうグリーフシードの取り合いには…」
マミ「そう、もう魔法少女同士が争うことはないのよ。素敵でしょ?」ニコニコ
ほむら(今の知識から言って巴マミはキュゥべぇに簡単な質問しかしていないようね…)
ほむら(真実に踏み込んだ質問をしてしまったらどうなるか)
ほむら(彼女の心が過剰な反応をしなければいいのだけれど…)
ほむら(千載一遇のチャンス、念を押してやはり真実を言う訳にはいかないわね)
ほむら「で、私の同行を許可してくれるのかしら?」
マミ「貴女次第よ」
ほむら「どういう事かしら?」
マミ「貴女、何か隠し事をしているでしょう?それを話して欲しいの」
ほむら「何の為に」
マミ「魔法少女同士が争う理由は消えたわ、仲間は多い方が良い」
マミ「でも、貴女は信用できない」
ほむら「何故信用できないのかしら?私は貴女に何もしていないわ」
マミ「鈍いのね…私の大切な友達、キュゥべぇを何故襲ったのかと聞いているの…!」キッ
ほむら「っ…それは」
ほむら(そうだった…巴マミはキュゥべぇを信頼していた…)
ほむら(でもそれはソウルジェムの真実に触れる事、言う訳にはいかない!)
ほむら「……今はまだ…言えないわ」
―ドドジャンッ!!
世界線を跳躍し鹿目まどかを救う事の出来る世界を求め続ける魔法少女、暁美ほむら。
彼女の、いや、全ての魔法少女の運命を変える計画が今、始まろうとしていた!
これは、そんな熱き魔法少女達の勇気の神話(マイソロジー)である!!
ほむら「G…ストーン?」
QB「そう、人間の感情からエネルギーを生む異星の無限情報サーキットさ」
ほむら「…ソウルジェムと同じじゃない」
QB「それを知っているとは…本当に君は何者だい?」
ほむら「答える義務は、無いわ」
tinnko
さやか「やっぱり何か隠してたんだ!マミさんほっとこうよ!」
まどか「そ…そんな言い方あんまりだよ」
マミ「確かにそうだけれど鹿目さん、私も友達を傷つけられて心穏やかではないの」
まどか「キュゥべぇ…どうしてほむらちゃんに襲われたの?心当たりはないの?」
QB「…それは質問かい?じゃあ答えるけど」
ほむら「!!!」
ほむら(今のキュウべぇはどんな質問にも真実を解答する!まずいわ!)
ほむら「待ちなさい!!」
QB「心当たりは全くないんだ。逆に僕が聞きたいくらいさ」
ほむら「……え?」
ほむら(しまった、このキュゥべぇには私の情報は殆ど話していないんだった…)
マミ「そんなに慌てて、どうしたの。暁美さん?」ジロ…
まどか「ほむらちゃん…?キュゥべぇは何もしていないのに、酷いよ…」
さやか「あんたホント怪しいよ?もう私たちに近づかないでよね」
ほむら「っ……」
QB「僕を襲う理由を言えば君の要求は通り、僕自身も疑問から解放される」
QB「両者が得をするのになぜ押し黙るんだい?理解出来ないよ」
ほむら「…もう良いわ、勝手になさい」
マミ「勝手に来たのは貴女よ」
マミ「自分を受け入れてくれないなら他人をはじく。いじめられっ子の発想ね」
ほむら「っ…何とでも言えば良いわ。でも一つだけ」
ほむら「鹿目まどかを危険な目に遭わせたら、許さないから」ザッザッザッ…
マミ「そんな事、私だって許さないわよ」
まどか「ほむらちゃん、行っちゃった…」
さやか「べーっだ!まどか、あんな奴と関わんない方がいいって。マミさんも…」
マミ「そうね、私は大事な後輩たちを守る事に集中するわ」
さやか「さっすがマミさん!おっとなー!」
まどか「…よろしくお願いしますっ」
マミ「フフ…じゃあ放課後、校門前に集合ねっ♪」
まどか・さやか「はーいっ」
ほむら「どうしたものかしらね…」
QB「教えておくれよ、何故僕を襲うんだい?」
ほむら「ついてきてたの…言ったでしょう答える義務はない、と」
QB「そうか…まあ聞いたところで僕らがそれを理解できるとは思わないがね」
QB「それよりどうするんだい?気になるんだろう、まどかが」
ほむら「何か良い案でもあるのかしら?」
QB「それは質問だね。答えるよ」
QB「Gストーンによる変身は本来の魔法少女の能力に一つ別の能力が加わる」
QB「案とは君に新たに加わった能力さ。試してみると良い」
ほむら「…これは!」
―ドドジャンッ!!
放課後、巴マミ一行は孵化寸前のグリーフシードの作る結界へと潜入した。
洋菓子に彩られた結界の中、少女達の運命を変える戦いが始まるのであった。
一方、三名が通過した結界の入口では異常な現象が起きていた。
一行を追うように二つの魔力を持つ存在が結界内へと侵入したのだ。果たしてその正体とは…
さやか「うっわ、なんか美味しそうな結界だなぁ」
まどか「さやかちゃん、呑気すぎるよ…あはは」
さやか「こっちには天下のマミ様様がついてるじゃん!大丈夫だって!」
マミ「美樹さん、ヨイショしてもケーキと紅茶くらいしか出せないわ」
さやか「やった!」
まどか「もう、さやかちゃんったら」
マミ「二人とも、私の後ろにしっかりついてきてね」
マミ「必ず、守ってあげるから…!」
まどか「マミさん…憧れちゃうなあ」
さやか「ほんとだよねー…世の為人の為に頑張ってるんだもん!」
マミ「私は正義の魔法少女ですもの、当然よっ」
まどか「マミさんと一緒だったら…私も魔法少女、やってみたいな」
さやか「あたしも!マミさん一人じゃ、やっぱ大変だろうし」
マミ「……ホント?ホントに一緒に戦ってくれるの…?」
まどか「マミさんっ?な…なんで泣いてるんですか!?」
さやか「マミさん…このさやかちゃんに任せて下さいよ!」
マミ「ごめんね…こんな泣き虫の先輩で……ありがとう…!」
―パアァァァァッ!!
まどか「マミさん……!?マミさんのGストーンが!」
さやか「光ってる…!?」
マミ「この輝きは…」
QB「それが勇気の輝きだよ、マミ」
まどか・さやか「キュゥべぇ!」
マミ「分かるわ…心の底から勇気が溢れてくる…もう何も怖くない!!」
QB「人は心を満たされた時、勇気に満ち溢れると聞いていたけど…予想以上だね」
ゴゴゴゴゴゴゴ…
QB「まずいよ、マミの過剰なエネルギーに反応して孵化が始まろうとしている」
まどか「えぇ!?」
マミ「行きましょう、二人とも!今なら負ける気がしない!!」
さやか「はい!マミさん!」
まどか「急ごう!」
ヴーン……
ほむら「私が近くにいた事はばれていないようね」
ほむら「新たな力、”ホログラフィックカムフラージュ”…中々だわ」
ほむら「後は巴マミがピンチに陥ったら加勢するだけ」
ほむら「巴マミが問題無く勝つならば私の出番は…」
シュルルルルッ!!ガシッ!!
ほむら「!?…これは巴マミのリボン!?」
ガシッ!ガシッ!
ほむら「何故っ!?巴マミは魔女の…所に向かったはず!?」
シュルルッ!!
ほむら「首が…!?息…できな……っ」
―ドドジャン!!
暁美ほむらが謎のリボンの襲撃を受けているその頃、巴マミ一行は魔女と対峙していた。
生まれたばかりのその魔女の名はシャルロッテ。
愛くるしい姿とは裏腹にその力は凶悪であった。
しかし勇気に目覚めた巴マミは使い魔を次々と薙ぎ払い、遂にトドメを指すその瞬間が迫っていた!
マミ「これが、勇気の力よ!…ティロぉ!!フィナアァァァレ!!!!」
ドオォォォォォォンッ!!
さやか「やったぁマミさん!!」
まどか「カッコいい…!」
マミ「フフ…正義は必ず勝つのよっ」
シャルロッテ「ゲロ…」
ニュルルルルルル!
マミ「え?」
シャルロッテ「ガブッ!」
まどか「……え!?」
さやか「マミさん!!」
シャルロッテ「カジカジ…」
まどか「マミさん…頭が!!!」
さやか「た…食べられてる…」
マミ「………」プラ…プラ…
QB「…油断したね、巴マミ」
まどか「キュゥべぇ!マミさんを助けて!!」
マミ「…その必要はないわ、鹿目さん」
まどか「この声…マミさん!?」
シャルロッテ「カジカジカジ…!?」バキンッ!!
さやか「魔女の牙が…折れた!!」
マミ「勇気がこの胸にある限り、私は決して負けない…!!」パアァァァァッ!!
QB「その頑丈な身体が、Gストーンが君に与えた新たな力か。命拾いしたね、マミ」
マミ「決して断ち切れぬ身体…名付けるならば」
マミ「”ゴルディオンソーマ”!!!」
マミ「ティロ・フィナーレ…デゥーーーエ!!!!」
シャルロッテ「!」ドオォォォォォォン…
マミ「今度こそ終わりのはずよ」
シャルロッテ「……」パアァァァァァ…
マミ「!?…Gストーンと魔女の残骸が…共鳴してる?」パアァァァァァ…
シャルロッテ「…トウ……アリガトウ…」ズズズズ…
さやか「うわっ残骸から何か出て来た…光ってるし透けてるし…ユーレイ!?」
まどか「どうだろう…?でもあれって魔法少女、だよね…?」
マミ「アリガトウ…?貴女は誰なの……?」
シャルロッテ「…アリガ…トウ…」ポロッポロポロ…
まどか「崩れて…消えちゃった…」
マミ「一体、何だったのかしら?」
QB「それは質問かい?答えようか?」
マミ「キュゥべぇ、今のは一体…」
QB「”浄解”さ。魔女の魂が浄化され元の姿に戻る現象だよ」
QB「グリーフシードもその現象で無に還る」
QB「浄解能力自体は地球人の子どもみんなが少ないながらも持っている物だからね」
QB「Gストーンによってそれが増幅されたんだろう」
まどか「そんなことが起こるんだ…」
さやか「ちょい待って、魔女の魂が元の姿に戻って魔法少女が出て来たって事は…」
ゴゴ…ゴゴゴゴゴゴ…
マミ「!…これは魔女の気配!?」
魔女「………」ズズズ…ズズンッ
―ドドジャン!!
突如、魔法少女の前に現れたもう一体の魔女。その姿は異様であった。
全身に巻かれた包帯とリボン。
周囲には、数えきれない程のマスケット銃。
それは正に、巴マミの魔法を具現化した姿であったのだ…!
まどか「あのリボンと銃って…」
さやか「マミさんのじゃん!!」
マミ「二人とも下がって!あれは恐らく…相手の魔法をコピーするタイプの魔女」
魔女「……」カチャッ…ダンダンダンダンダンダン゙ダンッ
マミ「銃弾来るわよ!伏せて!!」シュルルルッ
まどか「うわっ…」
さやか「凄い…マミさん全部リボンで弾いてる…!」
マミ「言ったでしょ、必ず守るって」
魔女「……」カチャ…ダダダダダダダダダカチャ…ダダダダダダダダダ
さやか「あいつ、半分を撃ち終わる前に半分をリロードしてる…」
マミ「…キリがない、押し切るわ!ティロ・フィナーレ…」
まどか「マミさん!そんなに魔力を使ったら!!」
マミ「平気よ、勇気の力は無限…まだ私は戦えるわ!」
魔女「……」ダッ
さやか「こっちに向かってくる!!」
マミ「撃たれる前に接近戦で決めようって魂胆ね…無駄よ!」パアァァァァ!!
マミ「ティロ・フィナーレ…トゥーレッ!!!」
魔女「」ドゥゥンンッ!!…ダッダッダッダッ
さやか「マミさん!あいつ今当たったのに止まってないよ!?」
マミ「回復しながら突っ込んで来てる!?でもここで避ける訳には…!!」
まどか「マミさん危ない!!」
マミ「私の後ろには…行かせない!」
マミ「私がどうなろうとも!!」
魔女「!?」ガクンッ
マミ「!?…止まった?」
ほむら「それ以上は…行かせない!お前のリボンは私が掴んでいるわ…!」ギリリッ
まどか「ほむらちゃん!?どうしてここに!」
ほむら「皆伏せて!!」シュンッ
さやか「手榴弾!?」
マミ「二人とも伏せるっ!!!」
ピンッ……ドオオォォォォォォォォォン!!!
ほむら「………っ」
マミ「…何故、私の目の前に立っているの…!?一瞬前まで魔女の後ろでリボンを…」
ほむら「言っても…分からないでしょう…から……」
マミ「貴女その背中の火傷!!」
ほむら「爆発から…貴女達を逃がす…余裕はなかった……」
ほむら「感謝するわ……貴女の銃弾で…拘束が緩ん……っ」バタッ…
マミ「!!ちょっと!暁美さん!?」
さやか「う…ううん…どうなったの?って、転校生!?」
まどか「ほ…ほむらちゃん!!」
マミ「うちに連れて帰りましょう!私の魔法なら治せるはず…!」
ほむら「………」スー…スー…
まどか「マミさん…ほむらちゃんは?」
マミ「眠っているわ。傷も殆ど治したからもう少ししたら目が覚めるかもね」
さやか「転校生…本当は良い奴だったんじゃ…」
マミ「そうね、彼女は身を呈して私達を守った。これは事実よ」
マミ「でも、何もしてないキュゥべぇを襲った事も事実。どうなのかしら…」
さやか「もし良い奴だったら私、あの子に酷い事言っちゃったなあ…」
まどか「さやかちゃん…ほむらちゃんもちゃんと謝れば許してくれるよ、きっと!」
さやか「うん…」
QB「暁美ほむらは君達に有益な事をした。君達にとって信用できる存在じゃないか」
マミ「キュゥべぇ…でも貴方は彼女の被害者なのよ?彼女を許せるの?」
QB「それが質問ならば、答えはノーだ。一々傷をつけられていたら、もったいない」
マミ「勿体ないって…貴方は物じゃないでしょう」
QB「生物であっても無生物であっても、消耗品みたいなものだよ」
マミ「そんな考え方…私には無理ね」
さやか「それよりさ、キュゥべぇ。浄解のことなんだけど」
QB「浄解がどうかしたかい?美樹さやか」
さやか「魔女の魂が浄解されて元に戻ると、何で魔法少女になるの?」
QB「……それは質問かい?質問ならば、答えるよ」
QB「簡単な事だよ。魔女は元々、魔法少女だったのさ」
マミ「……え?」
まどか「うぇ?」
さやか「……や…やっぱり…」
マミ「…キュゥべぇ…冗談、よね?」
QB「それが質問ならば答えはノーだよ。僕は嘘をつく事が出来ないからね」
マミ「じゃあ…私が今まで倒して来たものは…」
QB「かつて魔法少女だったものだよ、当り前だろう?」
マミ「あぁ…ああぁぁぁあぁ……」ガタガタ
QB「穢れを溜め切ってしまったら、魔法が使えなくなるだけ」
QB「そんな都合のいい話、ある訳ないよね」
マミ「……ぁ…私が…」ガタガタ…
まどか「マミさん…!?」
マミ「わ…私が人の為に……してきた事が…全て…人殺し…」ポロ…ポロ…
さやか「っ…何でそんな大事な事を先に言わなかったのよ!?」
QB「話す義務がなかったからさ、現在の様にはね」
QB「そしてマミ、人殺しと言うのは間違いだよ」
QB「魔法少女は契約の時点で死んでいるからね」
マミ「…どういう…事?」
QB「契約が成立した瞬間、少女の魂はソウルジェムに囚われる」
QB「そして残った死体をそこから操作する」
QB「操る死体すら失った魔女を殺した所で殺人になるはずないだろう?」
QB「マミ、君だってついこの間まで死体だったじゃないか」
マミ「う…あ…あぁあ……」ポロポロポロ…
さやか「そんな言い方…許せない!」
まどか「酷いよ…こんなの酷過ぎるよ!!」
QB「君達は真実を伝えるといつもそうだ…全く、理解できないよ」
QB「でも君達は運が良い。ソウルジェムが禁止された今、魔女になる心配なしに魔法が使える」
QB「それも勇気さえあれば無限に魔女を屠殺できるんだ、今日のマミの様にね」
マミ「も…もう…聞きたくっ…ないっ…!もうっ…嫌…っ」ダッ…タッタッタッタッ バタンッ
まどか「あ!マミさん!?」
さやか「どうしよう!?出てっちゃったよ!?」
まどか「追いかけなきゃ!!」
ほむら「その必要はないわ…!」
まどか「!」
さやか「転校生!目が覚めたの!?」
ほむら「貴女達はここにいて…私が追いかける」
まどか「私達も行くよ!」
ほむら「駄目よ…ああなった巴マミは危険だわ。魔法で対抗できる私が行く」
さやか「危険って何さ!?」
ほむら「貴女達が知る必要はない…知らない方が良い」
まどか「せっかく魔法少女同士で戦わなくて済むようになったのに…対抗だなんて」
ほむら「まどか…私は争いに行く訳じゃない。巴マミを連れて帰るわ、必ず」
ほむら「では私の質問よ。浄解…というのかしら?それをされた魂はどこへ行くの?」
QB「その答えは存在するけど、地球人にとっては高次元過ぎて言語化できない」
QB「君達の言葉で言えば”成仏”という概念が一番しっくりくるかな」
ほむら「どんな魔女であっても浄解できるのね?」
QB「魂さえあれば浄解は起こるだろう。Gストーンをもつ君達がそう望むなら」
ほむら「そう、その答えで十分よ」シュバッ
まどか「ほむらちゃん…行っちゃった」
さやか「あたしが余計な事を聞いたから……マミさんは…」
さやか「転校生も本当に良いやつだったのに…酷い事言って…あたしって、ほんとバカ…」
まどか「さやかちゃん…大丈夫だよ」
まどか「ほむらちゃんが絶対マミさんを連れて帰ってきてくれるから」
まどか「二人が帰ってから、ゆっくり話そう?」
さやか「…うん」
まどか「それより、なんでこんな酷い事をしたの?キュウべぇ」キッ
QB「それは質問だよね?答えるよ、鹿目まどか」
―ドドジャン!!
鹿目まどか・美樹さやかは、旧システム・ソウルジェムの秘密を聞かされた。
この宇宙を維持するエネルギーとしての魔法少女と魔女。システム禁止の経緯。
そして、人間の感情を守るという新システム・Gストーン魔法少女の力について。
これは二人の、魔法少女に対する考えを改めさせられる結果となってしまった。
一方その頃、暁美ほむらは巴マミを発見、接触を試みようとしていた…
ほむら「…何処へ行くの、巴マミ」
マミ「……分からない………どこだって良いわ…」
ほむら「一緒に戻りましょう。まどかも、美樹さやかも心配しているわ」
マミ「…戻りたくない……」
ほむら「………」
マミ「もう…訳が分からないのよ…私は死体で……魔女は私達で…」ポロ…
マミ「キュゥべぇだって…お友達だと思ってたのに……!」ポロポロ…
マミ「もう何も聞きたくない…!知りたくない…っ」
ほむら「貴女は知らなければならないわ、貴女自身の為に」
マミ「やめてっ!聞きたくない!!」
ほむら「…耳を塞いでも無駄よ、テレパシーがあるわ。聞いて」
マミ「なんでよ!?これ以上知っても悲しくなるだけじゃない!!」
ほむら「それは貴女の思い込みよ…貴女を救う事実もあるわ」
ほむら「だから聞いて…!」
マミ「……私を…救う…?」
ほむら「確かに貴女は多くの魔法少女の魂を葬ったかもしれない」
ほむら「でも今はGストーンによって、魂だけなら救えるのよ」
ほむら「今まで助けられる筈もなかった者が救われるの」
マミ「それが浄解…なのね?」
ほむら「そうよ、ソウルジェムに囚われてしまった魂を…」
ほむら「絶望の中、魔女になってしまった魂を解放できる!!」
マミ「………それでも…私が魔法少女を葬った過去に変わりはないわ…」
ほむら「そのことで多くの人の命を救った過去も変わりないわ」
マミ「…!」
ほむら「冷静になって、巴マミ。同族殺しを知り、死体と言われ、酷く傷ついたでしょう」
ほむら「でも、魔女を葬る貴女も、死体の貴女も、もう存在しないの」
ほむら「今の貴女はちゃんと生きているわ。人と魔女、双方を救う正義の魔法少女として」
マミ「…それが…私の救い?」
ほむら「そうなると私は信じてここに来た。今の話をどう捉えるかは貴女次第よ」
マミ「…暁美さん……………ありがとう」
ほむら「………」
ほむら「………良いんですよ、マミさん」ボソ…
マミ「今日倒した魔女もね…最期に”アリガトウ”って言ってくれたの」
マミ「……救われていたのね」
ほむら「私もそう、信じているわ」
マミ「それにしても…貴女は何者なの?
マミ「魔法少女の正体もキュウべぇの事も」
マミ「それだけじゃないわ、私達の事も…全てを知り過ぎている」
ほむら「それは…」
ほむら「……それを今話したら、私は私でいられなくなる」
ほむら「全てが終わったら、必ず話すから…今は私を信用して欲しい」
ほむら「ただ一つ、キュゥべぇを襲った理由は今なら言えるわ」
マミ「鹿目さんをソウルジェムの犠牲者にしたくなかったのよね?」
マミ「貴女はいつも鹿目さんを守ろうとしていた。結果、私も…」
ほむら「………」
マミ「信用するわ。貴女を」
マミ「キュゥべぇを、信用し切っていたのだけれど…」
マミ「それは私の間違いだったのかしら」
ほむら「契約の為なら何でもするのがあいつらよ」
マミ「これからどういう顔をして会えばいいのか…」
ほむら「そんな事考える必要ないわ、あいつらに感情はないもの」
マミ「…暁美さん。それじゃキュウべぇも私達も、何も変わらないわよ」
ほむら「……」
ほむら「システムが変わった以上、もう害になる事はしない様子だから」
ほむら「今まで通り接すれば良いわ」
マミ「それが良いわね」
ほむら「でも信用はしない方が良い。代わりに…」スッ…
マミ「貴女の手…冷たいのね。心が燃えている証拠だわ」ギュッ
ほむら「……戻りましょう、巴マミ」
マミ「えぇ。魔法少女コンビ、結成ね…!」
遂に、我々が求め続けた運命が起動した!
巴マミ・暁美ほむらによる夢と真実の邂逅!
これは、無限のループ終結への一歩となるのであろうか…!?
最新情報を待て!!
君達に最新情報を公開しよう!
シャルロッテの件以来、見滝原は平和そのものであった。
しかし突如として、その平和を脅かす者が現れる。
鋭い眼光・朱い髪…果たしてその正体とは…?
さやか「なーんかさぁ、最近平和だよねー」
まどか「そうだねー」
マミ「良い事じゃない、平和が一番よ」
まどか「マミさん、最近は魔女の魔力を感じないんですか?」
マミ「昨日微かに感じたけれど、すぐに消えてしまったわ」
さやか「どこかに隠れてるって事?」
マミ「どうかしら…ただの通りすがりかもしれないわ」
さやか「通りすがりでも追っ駆けちゃダメなんですか?」
マミ「本当はそうしたいのだけれどね…」
マミ「魔法少女同士のナワバリがあるから」
まどか「でも、もう争わなくて良いはずじゃ…」
マミ「争わなくて良いから、機械的にボーダーレス」
マミ「という訳にはいかないのよね…魔法少女も人間だもの」
ほむら「私が信用されなかった様にね」
さやか「うわ!いたの転校生!」
まどか「ビックリした…」
マミ「暁美さん、足音を消すのは止めなさい」フフフ…
ほむら「癖になってるのよ、音を殺して歩くの」フフッ…
さやか「…なーんかあの二人、急に仲良くなったよね?」
まどか「そうだね。でも、ほむらちゃんも良い子だからマミさんに気に入られるの分かるよ」
??「なんだ、他の魔法少女と結託したってから来てみたら…」
??「4人の大所帯で仲良しごっこかよ、マミ」
マミ「!」
ほむら「この声は…」
まどか「二人とも…あの子知ってるの?」
さやか「…何かカンジ悪っ」
マミ「えぇ、知ってるわ…久しぶりね」
ほむら「私は…初めまして、かしらね」
マミ・ほむら「佐倉杏子」
杏子「へぇっ…マトモに戦えんのが見たとこ2人、あとは役立たずか」
さやか「役立たずって何よ!あんたねー!!」
まどか「さやかちゃん落ち着いてっ、私達まだ見習いなんだから仕方ないよ」
杏子「ふん、威勢だけは良いみてーだな」
マミ「佐倉さん、何か用かしら?喧嘩をしにきたの?」
杏子「…そうだったそうだった、ちょっと顔貸しなよ」
杏子「そこの黒いのもな」
ほむら「私?…黒いのって……」
杏子「ある魔女を倒す相談があるんだ、役立たずは帰ってもいーぜ」
さやか「くうぅぅ…言われなくても帰るわよ!!」ドシドシドシドシ…
まどか「さ、さやかちゃん待ってよ!」
まどか「あ…マミさん、ほむらちゃん、またね!」タッタッタッタ…
マミ「相変わらず口が悪いのね…私の可愛い後輩に…」ゴゴゴゴゴ…
杏子「うっ…わかったよ、次から気をつけるから話聞いてくれ」
ほむら「…何かしら?」
杏子「最近、よくわかんねー魔女に追われてんだよ。そいつを倒してーんだ」
マミ「貴女一人で倒せないなんて相当な曲者ね」
杏子「いや…どっちかつーと、その、面倒なんだよな」
マミ・ほむら「……はい?」
杏子「だから、一々変身して倒すのがめんどくせーってんだよ」
ほむら「貴女、自分が追われてるのに何を言ってるの…?」
杏子「別に変な事言ってるつもりはねーぞ」
杏子「だってよ、システムが変わってからあたし等が戦うメリットなんてなくなったじゃんか?」
杏子「少なくともあたしはもう、こんな無益な戦いしたくねーし」
杏子「今追ってきてる魔女もトンズラすりゃ他の奴狙うと思ったんだが…」
マミ「思ったよりしつこかった…と?」
ほむら「それで私達にそいつを倒せ、という相談なのね」
杏子「話がはえーな、助かるぜ」
マミ「…良いわ、倒してあげる」
杏子「さすがはマミだな、頼りになる」
ほむら「ちょっと、巴マミ。こんな身勝手な理由に…」
マミ「暁美さん、私は決めたのよ。人も魔女も全て救うって」
ほむら「……分かったわ、協力する」
マミ「で?その魔女は今どこにいるの?」
杏子「わかんねーよ…現れる時間も条件もバラバラ」
ほむら「結界は?」
杏子「結界なんて作ってねーんだ、本体が直接来るんだよ」
マミ「そんな魔女…いるのかしら?」
杏子「いなかったらわざわざここまでこねーよ」
杏子「とりあえず、現れたらあんたの家に向かう。それで良いか?」
マミ「ある程度近づいたらテレパシーを飛ばして」
マミ「あまり家に近づかれては周囲の家が危険に晒されるわ」
杏子「……分かったよ」
ほむら「結界の外で戦うなんて…大丈夫なのかしら?」
マミ「魔女は普通の人間には見えないはずよ、私達は認知されてしまうけれど…」
ほむら「姿だけなら私が何とか出来るわ、巴マミ」
杏子「…あんた等に任せて大丈夫そうだな。じゃ、魔女が出た時にな」ザッザッザッ…
ほむら「…用が済んだらハイさよなら…ね」
マミ「佐倉さん…どうしちゃったのかしら」
ほむら「?」
ほむら「自分の利益になる事にしか魔法を使いたくない。あの子らしいじゃない」
マミ「でも自分が魔女に襲われる事は不利益だと思わない?」
ほむら「だから誰かに押し付けようとして…」
マミ「それが無理だからって私達を頼る?
マミ「彼女の性格だったら自分で何とかするような…」
ほむら「それくらい、戦いに疲れていたという事でしょう」
ほむら「人間なんてそんなものよ」
マミ「…そうかもね。でも他にも気になることが」
ほむら「何か?」
マミ「佐倉さんには”魔女の口づけ”が無かったのよ」
ほむら「魔女に目をつけられているのに?」
マミ「おかしいでしょう?」
ほむら「肝心なときにキュゥべぇはいないのね…」
マミ「うちに行きましょう、いるかもしれないわ」
杏子「とりあえず命拾いに足がかりってか…」
杏子「……」グギュルルルルル…
杏子「腹減ったなー…今日はどっからパクるか…」
杏子「なんか最近異常にハラが減る気がするな…逆に今までが異常だったのか?」
杏子「ちょうどソウルジェムが変わったあたりから…」
杏子「……Gストーンねぇ」
杏子「くっ…私には…勇気がねーってのかよ…!?」
杏子「畜生!」
杏子「やっと魔女と戦えるまで取り戻したってのに…!」
杏子「ちくしょぉ……」
―ドドジャン!!
佐倉杏子が魔法少女コンビに魔女退治の依頼をしていた頃
入院中の上条恭介へのCDを選ぶため、美樹さやか・鹿目まどかは
CDショップへと向かっていた。
さやか「もうっ!なんなのよあいつ!」ドシドシドシ…
まどか「まあまあ、さやかちゃん」
さやか「転校生も苦手なタイプだけどああいう奴はホント無理!」
まどか「さっ…さやかちゃん!CDショップ過ぎちゃってるよ」
さやか「いっけない!…んもう、これもあいつが…」
まどか「とりあえず音楽聞いて落ち着こ、ね?」
さやか「あぁ、ゴメンゴメン…ついカッとしすぎちゃって」
まどか「あの…さ。さやかちゃん」
さやか「ん?どしたい、まどか」
まどか「上条君…様子どう?」
さやか「………ははっ、あいつのことだからすぐ良くなるでしょ!」
まどか「…さやかちゃん…無理、してない?」
さやか「…………ホントは…治るの厳しい…かも」
まどか「やっぱり…私達より願いを欲してる人がいるって、言ってたもん」
まどか「私の前で元気なフリしなくてもいいよ…お友だちでしょ?」
さやか「……ありがと、まどか。最近、恭介も気づいてるみたいでさ」
さやか「あたられる事、多くなったんだよね」
さやか「こうやってCD持っていくのも逆撫でになるかもしれないけど、ほっとけないんだ」
まどか「さやかちゃん…」
さやか「だから…いっそあたし魔法少女になって、その願いで…」
さやか「なーんて考えてたけど、この前のキュゥべぇの話聞いたら怖くなっちゃって」
さやか「結局、私も自分が大事なんだよ…」
まどか「しかたないよ、あんな話しされたら誰だって………そうだっ」
まどか「キュゥべぇに聞いてみようよ!今、願い事叶えると何か怖い事が起きるかどうか」
さやか「ごめん…それはまだ待って。聞くのが怖いんだ」
さやか「アレに聞いたら、この前みたいにとんでもない事実が出てくるかもしれない」
さやか「それであたしマミさん傷つけた…だから…まだ怖いんだよ」
さやか「覚悟が決まったら…ちゃんとキュゥべぇに聞いて願い叶えるよ」
まどか「何も無いと良いね…」
さやか「…あーあっ!なんか湿っぽくなっちゃったなぁ!!まどかのせいだぞぅ!」
まどか「うぇ!?ご…ごめん」
さやか「良いって良いって!…気遣ってくれて、ありがとね」
まどか「うぇへへ…当たり前だよ」
さやか「よし!CDも決まったし、病院へレッツらゴー!!」
まどか「さやかちゃん言いかた古いよぉ」
まどか「さやかちゃん、遅いなぁ…上条君とずっとお話してるのかな?」
QB「それが質問ならば、見てこようか?鹿目まどか」
まどか「キュゥべぇ!」
ザワザワ…ジロジロ…
QB「病院の待合室では静かにする、これはマナーというものらしいね」
まどか「うぅ…知ってるよぉ…」
QB「テレパシーを使えば良いさ。ところで魔法少女になる気にはなったかい?」
まどか「キュゥべぇ…なんでそんなに私にこだわるの?」
QB「初めて会ったときから言ってるよね、君には計り知れない素質があるんだ」
QB「その素質を生かして、宇宙維持の為尽力して貰いたい。それだけだよ」
まどか「でも、今の魔法少女は勇気の力で戦うんだよね?私に勇気なんて…」
QB「君は気付いていない、自分の勇気の素質に」
まどか「そんなの分からないよ…。それに願い事だってまだ…あっそういえば」
まどか「キュゥべぇ。今、願い事を叶えてももう怖い事は…」
さやか「おーい!おまたせーっ!」
ザワザワ…ジロジロ…
まどか「さやかちゃん!しーーーっ」
さやか「!…ごめんごめん。ってキュゥべぇ、いたの」
QB「まどかに早く魔法少女になって欲しくてね」
さやか「なりふり構わないんだね」
QB「事実を知ってる君達に気を使う必要はないからさ」
さやか「ふーん…じゃ、帰ろっか。まどか」
まどか「うんっ」
まどか「上条君、どうだった?」
さやか「うん…えと、今日も少し荒れてた…かな」
まどか「そっか…」
さやか「見てるこっちが辛くなってくるよ…。だからあたし……早く…」
ガッシャーーンッ!!
さやか「何!?今の音!?」
まどか「そっちの路地裏から聞こえたけど…」
QB「これは…マズいよ、魔女が近くにいる!」
杏子「うおぉぉおお前ら!!役立たずじゃねーか!!」ダッダッダッダッダッ
すみません、猿くらいました
さやか「!?…あんたさっきの!?」
まどか「杏子ちゃん、だっけ…!?」
杏子「おい、逃げろ!!あいつが来る!!」ダッダッダッ
まどか「あいつって…?」
魔女「タガタガアラユル霊的ナ知恵ト理」ズズズズッ
さやか「魔女!?」
杏子「来やがった…」
まどか「杏子ちゃん、もしかしてあれに追われてるの!?」
杏子「そうだよ!頼むお前ら…マミを呼んで来てくれ!!」
さやか「そんなの自分でやりゃいーじゃん!」
さやか「あたし達”役立たず”だもんね」
まどか「さやかちゃん!」
杏子「っ…自分で出来んならもうやってるよ……!」
まどか「さやかちゃん、呼んで来てあげようよ!!」
さやか「………わかった」
さやか「まどかはマミさん呼んできて!」
まどか「うぇ!?さやかちゃんの方が足速いのに!?」
さやか「あたしはこの子と一緒に魔女を誘導するから!まどかじゃ捕まっちゃう!」
さやか「この辺り、あたしのが詳しいし…あっちの廃工場まで逃げるからそうマミさんに!」
まどか「うん!伝えてくる!」タッタッタッタッ…
QB「僕も行こう。ある程度マミに近づいたらテレパシーを飛ばせる」スタタタタッ
杏子「悪いな…」
さやか「……自分じゃどうにも出来ないんでしょ?良いよ」
杏子「……」
さやか「ボサッとしてないで行くよ!?ほら手掴んで!!」スッ ダッダッダッ
杏子「!…わ、悪い」ガシッ ダッダッダッダッ…
さやか「少しは役に立つでしょ…」ダッダッダ…
杏子「悪かったよ……役立たずなんて言って」ダッダッダ…
さやか「…よろしい、このさやかちゃんが絶対助けてあげる」
杏子「変な奴…コロコロ態度変えやがって」
さやか「目の前で困ってる人助けるのって変な事?」
杏子「そりゃ…そうだがよ、さっきまで腹立ててた相手を…」
さやか「……役立たずって言われるの、慣れてるし…」
さやか「本当の役立たずになりたくないから、助けるだけ」
杏子「……今は役立たずなんかじゃねーよ」
さやか「そりゃ良かった!」ダッダッダ…
杏子「工場…見えて来たな!」ダッダッダ…
杏子「ここは更衣室か何かか…せめーな。ここに隠れてれば良いのか?」ギィ…バタン
さやか「分かんないけど…マミさん来るまではここで辛抱」
魔女「ハ悪ノ誘惑ニ陥ルヨウナカ」ズズズズ…ズズンッ
杏子「おい!いきなり見つかってんじゃねーか!!」
さやか「知らないよ!とりあえず…」ゴトンッ
杏子「消火器なんか効くかよ!?」
魔女「ヨソ御言ヲ聞クダケデ行ワナイ人ハチョウ」グワングワングワン…
杏子「!?…なんだこれ…頭ん中にすげー量の文字が…!?」
さやか「うあぁぁあ頭割れる…!これが…攻撃!?」
杏子(…これ…この言葉しってるぞ……これは!?)
魔女「貞ノヤカラヨ世ヲ友トスルハ神ヘノ敵」グワングワングワン…
さやか「くっそぉ…黙んなさいよ…!」ピンッ…ブシュゥゥゥゥ!!
杏子「!…よくやった、途切れたぜ!」
モクモクモクモク…ズズズ…
魔女「汝ニ降リカカル災イヲ思イ……泣キ叫ブガヨイ!!」ゴゥンッ!!
さやか「床が…凹んだ…今度は直接攻撃!?」
魔女「泣キ叫ブガヨイ!!」ゴゥンッ!!
さやか「ちょ…あたしが狙われてる!?」
魔女「泣キ叫ブガ…」
杏子「おい!そこから離れろ!!」
魔女「ヨイ!!」ゴゥンッ!!
さやか「!!」
ズシャッ…
さやか「…魔女を突き刺してる…槍!?」
魔女「痛ハ人ガサソリニササレル時ノヨウナ苦痛」
杏子「そいつに手ぇ出すんじゃねーよ…!!」パァァァァァ!!
さやか「あれは…Gストーンの光!あんた、その姿!?」
杏子「…あたし、変身できてる…!?あぁ…できてるよっ!」
杏子「よっしゃあ!!てめーは全力でブッ飛ばすっ!!!」メラメラメラ…
さやか「すご…槍から炎が…」
杏子「これがあたしのぉ…勇気の力だぁぁぁぁ!!!!」
ドゥゥゥゥンッ!!
魔女「火ノ勢イ…ヲ消シツル……ギノ刃ヲノ」プス…プス…
杏子「全力叩きこんだつもりだったんだけどな。しつけー奴」
マミ「ティロ・フィナーレ!!」ドオォォォォォォン…
魔女「神…ノ………………―」
杏子「…おっせーよ、美味しい所もってきやがって」
マミ「ごめんなさいね…これでも全速力で来たのだけれど」
さやか「あんたこそもっと早く変身してよね!死ぬとこだったじゃん!」
杏子「っ無茶いってんじゃね………いや、ありがとな」
さやか「な、何急に感謝してんのよ!?意味分かんない」
杏子「まあ気にすんなって…ありがと、さやか」
さやか「コロコロ態度変えて…変な奴!」
杏子「目の前にピンチの奴がいたら助けるのは普通なんだろ?」
杏子「それが…勇気ってモンなのかもな」
ほむら「まどか…着いたわよ」
まどか「ほむらちゃん…恥ずかしいから降ろしてよぅ…」
杏子「黒いのもおっせーぞ…ってなんでそいつおぶってんだよ?」
ほむら「誰かさんの為に全速力で走ってフラフラだったのよ?当然だわ」
まどか「もう歩けるよぉ…」
QB「無事、決着はついたようだね」
マミ「えぇ…今から浄解を始めるわ」パァァァァァ!!
魔女「…………」ボロ…ボロ……
マミ「…おかしいわ、魂が出てこない…!?まさか魂ごと…」タジ…
ほむら「そんな…話が違うわよ、キュゥべぇ。どういう事!?」
QB「それは質問だよね?答えようか」
QB「君達が倒した魔女には魂がなかったんだよ」
マミ「魂が…ない?」
QB「正確に言えば、魂がまだ入っていない魔女だね」
ほむら「そんな魔女、聞いた事がないわ!!」
QB「当然だよ。今回のシステム変更で生じた、新たな魔女だからね」
まどか「そんな…もう新しい魔女は生まれないはずじゃ…」
QB「確かに、君達が直接魔女になる事はなくなった…だけど」
QB「君達の願いが魔女を生む事に変わりはないんだ」
さやか「!!」
ほむら「…騙したのね!?」
QB「聞かれなかったから、答えなかった。それだけだよ」
QB「考えてもみなよ、本来願いを叶える事は呪いを生む事と同義だ」
QB「例えばマミ、本来有るはずの呪いが消えてしまったら君はどうなる?」
マミ「…私は…生きていない?」
QB「その通りだよ。願いだけが叶うなんて事はあり得ないんだ」
QB「でも君は今生きている。これがどういうことか、分かるよね」
ほむら「叶えた願いの分の呪いが必ずどこかで発生している…」
QB「そうさ、それが魂のない魔女。君達の願いが生み出した魔女だよ」
杏子「そうか…だからさっきの魔女は」
QB「心当たりがあるはずだよ、佐倉杏子」
まどか「どうしたの、杏子ちゃん…?」
杏子「さやか、あの魔女は頭に直接文字をぶち込んできたな?」
さやか「う、うん。神がどうとか…そんな感じの…」
杏子「ありゃあ聖書の内容だ。それも、分かりやすく日本語にした」
ほむら「聖書を説く魔女…それが一体何の」
杏子「確かに聖書の内容だったんだが…それから外れた内容もあった」
杏子「…あたしの親父が説いていた内容だ、魔女なんかが知るはずもねぇ」
QB「杏子、君の願いはなんだったかな?」
杏子「……親父の話を、皆に聞いて欲しい」
さやか「それってまさか!」
杏子「あれは…あたしの願いが生んだ魔女ってことさ」
f'´ f'´ f'´ f'´
込 鼎 丱 仍
|\ ∧ ∧ /|_
,.<::::二Λ .ト::| .|:::::| |::::/ /:::::::>、
/::::::::::::::::::Λ.|:::| .iM| .|::/ /::::::::::::::::ヽ
,':::::::::::::::::::::::::Λ|::| |::::::| |/,ィ:::::::::::::::::::::::::',
. {::::::::::::::::::::::∠三二ニ二三ミ:::::::::::::::::::::::::::}
{:::::::::::::::ァ=ュn二二二二三ヨ::::::::::::::::::::::::::}
. V::::::::::((ζ `‐riニニニニ―-- 、::::::::::::,'
∨::::::::ヾL__,,LL_______ .!:::::::::, ' 我が使命は
∨:::::::::::::r「il}}{{;;illllli;;}}{{;;i,' /:::::/ 此のスレに近づく愚猿を
, -―――――――――――――「__|―ュ_| i h、. /:/ その肉の最後の一片までも
/..| | ̄`| ̄.... ]ヽ/ ヽ
/ | | /| ̄.|.! l
__,// ..| |/ . .| .|.! .| 書 け 、 猿 は 俺 が 面 倒 を み る
/ / .| | . ../ | .|.! |
,/,- | | /__.! |.! |
,. - '´ / .....| | 丶 / ト、
,. - '´ / ...| | 丶-‐ ' ヽ
,. - ' ´ / ...| | Y ヽ
,.- ' ´ / ...| | /| ヽ ヽ
,. - '´ .ヽ.| / .l ヽ ヽ
,. - '´ /{( .| ヽ ヽ
,. - '´ /-- ヽ ヽ ヽ
,. - '´ / ,イ ヽ ヽ }
QB「信仰の願いは盲信の魔女を、生存の願いは殺戮の魔女を」
QB「つまり、そういうことだよ」
マミ「じゃあ…私も魔女を生んでいた…どこか私の知らない所で」
マミ「知らない内に…私のせいで人が襲われて…!?」タジ…
QB「それは違うよ、マミ。魂のない魔女が狙うのは、その魂の持ち主だけだ」
マミ「…え?」
QB「魂のない魔女は、真っ先に願いを成就させた本人を襲う」
QB「願いの主の魂を吸収し、通常の魔女となる為にね」
QB「だから他者には興味を示さない。邪魔をする場合は当然襲われるだろうけど」
さやか「だからあたしが…」
杏子「どーりでしつこかった訳だぜ」
ほむら「成る程ね。理屈は通ってるわ」
ほむら「巴マミ、貴女は安心して良い。この前、私が葬った魔女が貴女の魔女よ」
マミ「魔法をコピーする魔女だと思っていたけれど…」
ほむら「あの時も浄解が起きなかった…決定的だわ」
まどか「じゃあ…もうマミさんも杏子ちゃんも」
QB「二度と、魔女に襲われることはないだろう。戦おうとしない限り」
杏子「自由の身ってわけか!」
マミ「私はそうもいかないわね」
さやか「……キュゥべぇ、だったら今願いを叶えても呪いは自分だけが受けるんだ?」
QB「誰も手を貸さず、自分の魔女に殺されない限りはね」
まどか「さやかちゃん、まさか…!」
さやか「うん。それなら私、魔法少女になるよ…!」
マミ「美樹さん貴女…」
ほむら「止めておきなさい。新たに魔女を生むなんて」
さやか「…止めないで、あたしには叶えたい願いがあるの」
杏子「まさか…他人の為じゃねーだろうな?」
さやか「それで何か問題ある?」
杏子「ならあたしも反対だ、そんなもんは自己満足でしかねぇ…」
まどか「ちょ…ちょっと待ってよ、みんな!」
まどか「さやかちゃんだって、ちゃんと考えて考えて…それで魔法少女に…!」
ほむら「考えたから魔女を生む事が許されるの?」
ほむら「美樹さやかの近くにいる貴女も危険にさらされるかもしれないのよ」
まどか「そんなの分かんないよっ」
さやか「良いよ、まどか。あたしの決意は変わらない」
さやか「自分の呪いに自分だけで決着つけられるなら…あたしは呪いを生む」
ほむら「確かにシステムが変わった今なら……いえ、でも!」
杏子「それが相手も幸せにするとは限らねーんだぞ…!?」
マミ「二人とも…止めても無駄みたいよ。美樹さん、覚悟は出来てるのね」
さやか「勿論です。この機会を逃したら、絶対後悔するから」
マミ「他の人を傷つけたら、許さないわよ」
さやか「そんな事はあたしだって許しません。一人で戦って、倒します」
さやか「これはあたしの問題だから…」
マミ「…手出し無用、ね。良いじゃない、そこまでして救いたい人がいるなら」
さやか「ありがと、マミさん」
すみません、また猿を食らってしまいました
書き続けて大丈夫だろうか
ありがとう、続けます
杏子「ちっ…やるからには幸せにしてやれよな、必ず」
ほむら「美樹さやか。貴女自身が傷ついても不幸になる人間はいるわ、忘れないで」
さやか「…………」
さやか「わかってるっつーの!このさやかちゃんが魔女なんかに負ける訳ないでしょ!」
さやか「ノーダメージでやっつけてハッピーエンドにしてやんよ!!」
まどか「良かったね…さやかちゃん!」
さやか「…うん。これでやっと……」
QB「話し合いは終わったかな、美樹さやか」
QB「じゃあ、願いを叶えて、魔法少女になろうよ!」
さやか「了解、あたしの願いは…………」
パアァァァァーーーーーーーーーーッ!!
―ドドジャン!!
遂に4人目の魔法少女、美樹さやかが契約を行った。
徐々に明かされる新システムの仕組み。新たな魔女。
一見、幸せな結末へと向かわざるを得なかったGストーンシステムへ
ほの暗い影が落ちようとしている事に、少女達は気付いていないのであった。
QB「おめでとう、美樹さやか。君の願いは成就した、相応の呪いを生んでね」
QB「そして君はその呪いを受ける為の魔法少女となった」
さやか「これが、魔法少女?」
まどか「さやかちゃん…カッコいい!!」
マミ「素敵よ、美樹さん」
杏子「青い魔法少女、ねぇ」
ほむら「……やはり、その姿なのね…」
さやか「なーんか…あんまり変わったー!って感じがしないね。コスプレみたい」
QB「それはそうだよ、Gストーンで魔法を使わなければただの人間と変わりないからね」
さやか「魔法ってどうやって使うの?」
マミ「美樹さん、武器をイメージしてみて。勿論、勇気と共に」
さやか「あ、はい…武器、武器と言えば」パァァァァァ…ジャキンッ
まどか「うぇ!?剣が出た!」
杏子「単純なやつだなぁ、おい」
さやか「これがあたしの武器…って冷た!?」
まどか「煙が出てる?」
マミ「いいえ…これは冷気。氷の力ね」
ほむら「Gストーンによる変身の新たな力…新たに契約しても身に付くのね」
さやか「えー…この剣冷たくて触れないよ…」
QB「まだ制御が上手くできないのさ。じき慣れるよ」
杏子「そういやあたしも槍から火ぃ出るんだけどさ、Gストーンのせいか?」
マミ「そう、新しい能力ね。じゃ二人にも名前をつけましょうか」
杏子・さやか「…は?」
マミ「そうね、佐倉さんのは敵を溶かし穿つ槍”メルティングランス”」
マミ「美樹さんのは断面を凍結させ回復を許さぬ剣”フリージングエッジ”」
マミ「素敵だと思わない!?」
杏子・さやか「…はぁ」
まどか「良いなぁ…カッコいいなぁ二人とも」
ほむら「まどか…真面目に言ってるの?」
まどか「英語ってカッコよくないかな…?ティロ・フィナーレとか」
ほむら「……それはイタリーよ」
マミ「魔法少女コンビがいきなりカルテットね」
杏子「おい、なんであたしが入ってんだ?」
マミ「嫌?」
ほむら「ワルプルギスに夜に向けて仲間は多い方が良いわ」
杏子「…気が向いた時しか戦わねーぞ、せっかく自由になったんだ」
マミ「ケーキ」
杏子「10個」
ほむら「随分安いわね」
杏子「あんまり高くすると変身できなくなりそーだかんな」
マミ・ほむら「?」
マミ「カルテットになったのだから、分かりやすいようコードネームが必要よね」
杏子・さやか・ほむら「…は?」
マミ「そうね、美樹さんは願いが生んだ奇跡の魔法少女」
マミ「佐倉さんは神に仕える神秘の魔法少女」
マミ「暁美さんは数多を知る真実の魔法少女」
マミ「そして私は夢と希望と救済と…」
まどか「マミさん欲張りすぎですよっ」
マミ「じゃあ私は夢の魔法少女」
マミ「素敵だと思わない!?」
杏子・さやか・ほむら「…はぁ」
まどか「良いなぁ…みんなカッコいいなぁ…」
佐倉杏子・美樹さやかが新たに加わった魔法少女達に一時の和やかな時間が訪れた。
それは、これから始まる嵐の前の静けさなのだろうか。
我々は未だ、真の勇者に出会ってはいない…
最新情報を待て!!
君達に最新情報を公開しよう!
美樹さやかが契約した翌日、奇跡的な回復を見せた上条恭介は何も告げぬまま退院した。
美樹さやか自身違和感を感じていたが、盲信の魔女以降、魔女の反応が増えたため
上条恭介と連絡をとれずに、他の魔法少女と共に魔女との連戦を繰り返していたのだった。
マミ「いったわよ!美樹さん!」
魔女「グオォォォォオォォ!!」
さやか「…あ、はい!フリージングエッジ!!」キィィンッ
魔女「グオォォォ…ォ…」ピキピキピキ…
ほむら「凍らせ方が甘いわ…!離れて!!」
さやか「う、うん」
ほむら「…停止」カシャッ!
ほむら「近くで爆発させたらまた文句言われるわね……」カシャンッ!
ピッ…ドォォォォォンッ!!
マミ「美樹さん大丈夫?」
さやか「…はい、すみませんあたしちょっとボーっとしちゃってて」
ほむら「魔力が弱まっているわ、何かあったの?」
さやか「い、いや大したことじゃ」
マミ「こう連戦じゃ疲れるわよね?もう3体目だもの」
ほむら「体調が悪いなら休みなさい、身体は生身なのよ」
さやか「…うん」
マミ「良かったら、私達が帰るまで私の家で休んでて。カギは玄関前の植木鉢の下」
ほむら「巴マミ…貴女一人暮らしでしょう?不用心だわ」
マミ「あら、意外と見つからないものよ。さ…私達は次の魔女を救いに行くわよ!」
ほむら「はぁ…貴女の勇気は底なしね。美樹さやか、それじゃ」
さやか「あとは任せるね…」
マミディオン…ハ…
さやか「鍵…鍵、あった。ホントに不用心だなー」
ガチャッ…キイィ
さやか「おじゃましまーす…」
杏子「おう、せめー所だがゆっくりしてけよ」
さやか「!?何であんたがいるのよ!?」
杏子「居ちゃわりーか?マミがさ、しばらく置いてくれるって言ったモンでな」
さやか「マミさんも人が良いんだから…」
杏子「それよかてめーこそ何でここにいるんだよ、魔女退治はどうした?」
さやか「あんたに言われたくないっ」
杏子「あたしゃ自由の身なんだ、一緒にすんな」
さやか「……」
杏子「で、どーよ?魔法少女は」
さやか「普通だけど…」
杏子「じゃあ何で戻ってきたんだよ?」
さやか「それは…あんたには関係ないでしょ?」
杏子「そうかいそうかい」モグモグ
さやか「それ…!マミさんのケーキじゃん!」
杏子「喰うかい?」
さやか「人のを勝手に食べるなんて罪悪感ないの?」
杏子「勝手に喰っていいって言われたんだよ、これはな」
さやか「…ごめん」
杏子「ま、どっちにしろ罪悪感なんてもうねーけどな」
さやか「どういうこと?」
杏子「てめーにゃ関係ねぇだろ」
さやか「言いなさいよ」
杏子「だったら、願いを何に使ったか教えろ。人の為に使った願いを」
さやか「何でそんなことあんたに…」
杏子「……あたしみたくなって欲しかねーんだよ。言えよ、あたしも言うから」
さやか「あたしの願いは……怪我をした幼馴染の手を治すこと」
杏子「そんなことかよ」
さやか「そんなことって何よ!あたしは…!!」
さやか「ヴァイオリンで将来有望だったのに、事故でもう二度と手が動かないって言われたの!」
さやか「どんどん荒れていって…あたし見てられなかった……!!」
杏子「見てられなかった……か」
さやか「これがあたしの願いだよ!何か問題ある!?他人の為に願い叶えて何が悪いの!?」
杏子「……それが台無しにしちまうモンもあるんだよ…今度はあたしの番だ」
杏子「あたしに罪悪感なんてねーんだ。盗んだモン喰って生きて来たからな」
さやか「!?」
杏子「軽蔑するか?自分が生きるためだぜ?あたしは自分のためなら何だってやる」
さやか「そんな…どうして……」
杏子「…他人の為の願いがどうなるのか教えてやるよ」
さやか「……」
―ドドジャン!!
佐倉杏子の口から語られたのは、彼女自身の生い立ちであった。
それは普通に家庭を持ち普通に生活を送ってきた美樹さやかの想像を絶する物であった。
佐倉杏子が何故自分の為にしか行動しないのか、何故他人の願いを良しとしないのか。
美樹さやかはそれを理解することとなったのだった。
杏子「だから、てめーは必ず幸せなれ。あたしみたくなんじゃねーぞ」
さやか「何で…あたしにそんなこと言ってくれるの?」
杏子「……もう見たくねーからな、誰かが他人の願いで後悔する姿は」
さやか「あんた、やっぱ良い奴だね」
杏子「盗人に良いヤツ呼ばわりとは、変な奴だな」
さやか「あたしだってあんたの立場だったら…」
杏子「てめーじゃ無理だ。真面目すぎる」
杏子「その幼馴染ってーのは男か?」
さやか「そうだけど」
杏子「惚れた男の為に…ねぇ」
さやか「そっそんなんじゃないから!…ただの腐れ縁」
杏子「たかが腐れ縁にたった一度の願いが使えるか、てめーはもっと自分に正直に生きろ」
さやか「十分正直者のつもりですーっ」
杏子「じゃあその気持ち、伝えろよ」
さやか「っ……そんなの、無理だよ。恭介あたしに興味ないみたいだし」
さやか「退院したのに…連絡一つ寄越さないなんて」
杏子「だからてめーは真面目すぎるんだ、他人の事を考え過ぎる。それじゃ盗みも無理だ」
杏子「どうせそんな事考えて満足に魔法がつかえねーんだろ?で、帰ってきた」
さやか「!!……何で知って…」
杏子「Gストーンは勇気に反応するみてーだが、勇気にも種類があるらしい」
杏子「自分に見合った勇気じゃねーと変身すらできねぇ」
さやか「何であんたがそんなこと知ってんのよ?」
杏子「…経験だよ。てめーの場合は自分を認める勇気だな」
さやか「認める?」
杏子「その恭介ってのから連絡がこねーのが勇気を鈍らせてる」
杏子「てめーは自分の願いに見返りがないことにイラついてんのさ」
さやか「そんな…!」
杏子「その気持ちを認めれば、満足に魔法も使えるだろうよ」
さやか「…あたしは恭介の為に…見返りなんて」
杏子「早いうちに、気持ちにケリつけておけよ。自分の魔女と満足に戦えねーぞ」
さやか「そう…かな……じゃ、あたしそろそろ帰るわ」
杏子「お、おう。じゃあな」
キイィ…バタン…
さやか「あたし…恭介に見返り求めちゃってるのかな」
さやか「でも胸の中はモヤモヤするし…」
さやか「あーもうっ良くわかんないよ!!」ダッダッダッダッ…
マミ「あらっ今走っていったの、美樹さん?」
ほむら「そのようね」
マミ「困ったわね、皆で一緒にコラーゲン鍋のつもりだったのに…材料買い過ぎちゃったわ」
ほむら「あ…まどかを呼びましょう!まどかを!」
―ドドジャン!!
翌日、未だ葛藤を続ける美樹さやかが登校すると予想外の事態が起きていた。
またも何の連絡もなしに、上条恭介が登校してきていたのだ。
級友に囲まれる上条恭介に、気持ちの整理のつかぬ美樹さやかは
声をかけられぬまま放課後を迎えてしまった。
そんな彼女の背後に、一人近づく影があったのだった。
さやか「恭介の奴……一言くらい話しかけてくれたって…」
仁美「さやかさん」
さやか「仁美…!どうかした?」
仁美「ちょっとお話がありますの。お時間宜しいかしら」
さやか「別に良いけど、何?」
仁美「ここじゃちょっと…屋上に来てくださいな」
さやか「オッケー、すぐ行くね」
まどか「さやかちゃんと仁美ちゃん…どこいくんだろ?」
ほむら「まどか、巴マミの家に行きましょう。ワルプルギスの夜が近い、避難経路を確認するわ」
まどか「う、うん…でもさやかちゃん待ってからね」
さやか「で、話って何?」
仁美「恋の相談ですわ。私、前からさやかさんに秘密にしてきたことがあるんです」
仁美「ずっと前から私…上条君のこと、お慕いしてましたの」
さやか「え?……そう、なんだ」
さやか「あはは…まさか仁美がねえ…。なーんだ、恭介の奴も隅に置けないなあ」
仁美「さやかさんは上条君と幼馴染でしたわね?」
さやか「まあ…なんてゆーか、腐れ縁だよ」
仁美「本当に、それだけですの?…私はもう自分に嘘はつかないって決めましたわ」
仁美「さやかさん、貴女は自分の本当の気持ちと向き合えますか」
さやか「あたしは…」
仁美「あなたは私の大切なお友達…だから、抜け駆けも横取りするような事もしたくないんですの」
仁美「でも上条君のことを見つめていた時間は、私よりさやかさんの方が上ですわ」
仁美 「あなたには私の先を越す権利があるべきだって私思うんです」
さやか「仁美…」
仁美「私、明日の放課後…上条君に告白します」
さやか「!!」
仁美「丸一日だけお待ちしますわ。さやかさんは後悔なさらないよう決めて下さいな」
仁美「上条君に気持ちを伝えるべきかどうかを…では、ごきげんよう」タッタッタッ…ガチャ…
さやか「あたしの…気持ち…」
杏子『てめーはもっと自分に正直に生きろ』
さやか「うん…この機会を逃したら、絶対後悔するから!!」ダッダッダッ…
(^ω^ ≡ ^ω^)おっおっおっ
さやか「まどか!恭介知らない!?」
まどか「うぇ!?さやかちゃん!?えと…病院に行くって言ってたよ?」
ほむら「それと、貴女の事を探していたわ」
さやか「ホントに…!?…二人とも、あたし今から病院行ってくる!」ダッダッダッダッ…
まどか「さやかちゃん、行っちゃった」
ほむら「私達はマミの家に行きましょう」
まどか「うんっ!…さやかちゃんのあんな顔、久々に見たなぁ」
ほむら「私には普通の笑顔に見えたわよ?まあ気持ち悪いくらい満面だったけれど」
まどか「全然ちがうよっ、ほむらちゃん!」
ほむら「…そういうものなのかしらね?」
さやか「はぁ…はぁ……着いた…病室…」ガラッ
上条「…さやか!?何でここに?」
さやか「あたしをさ…探してるって…聞いたから……」
上条「!ごめんごめん、これから屋上でヴァイオリン弾いてみようと思うんだ」
上条「先生やさやかに感謝を込めてね…でも、さやか教室にいなかったから」
さやか「わるいね…ちょっと野暮用があってさ」
上条「病院に来るように連絡しようと思ってたんだけど良かった、その前に来てくれて」
上条「屋上の空の景色は最高だから、きっと良い思い出になるよ」
さやか「恭介…!」
上条「さやかにはお世話になったし、あたってしまった事もあったね。本当にごめん」
上条「それに退院も登校も、何も連絡出来なくてごめん…急な事で」
さやか「い…良いって良いって!そんなこと分かってたっつーの!」
上条「さやかは優しいね…本当に、今まで有難う…!」
さやか「あっはは…良いってことよ!そんでさ…恭介、話があるんだけど…」
上条「何かな」
さやか「あ、あのね…恭介。あたし、その」
上条「?」
さやか「こんな事突然言って…その…訳わかんないと思うけど」
さやか「あたし…ずっと」
さやか「………っ」
さやか「恭介の事、好きだったの!!」
上条「……ごめん」
さやか「…っ」
上条「僕はさやかに、そういう感情を持てない…さやかは僕の親友だから」
上条「上手く説明できないけど…そういう気持ちがないのに付き合うのって」
上条「さやかにも申し訳ない事だと思うんだ…。本当にごめん」
さやか「…ははっ、そうだよね!ずっと一緒にいるんだもん!」
さやか「あたし、ぶっきら棒だし女だったなんて忘れちゃうよね!納得なっとく」
さやか「緊張して損したよっ、あーあたしちょっくらトイレ行ってくるわ!」ガラッ…ダダダッ…
上条「さやか!待ってよ!」ガタンッ
上条「くそ…何で足は治ってないんだ…!さやか…!」
さやか「ひっく……ひっ…」ダッダッダッダッ…バタン!!
さやか「っ………ここ…っ…屋上…っ…?」
??「………ォォ」ズズ…
さやか「誰…?っ…よく…っ見えない…」
??「………オォォ」
さやか「人…じゃない…?…寒っ…」
オクタヴィア「ウォォォォォォォォ!!」ジャキンッ…ジャキンッ…ジャキンッ
さやか「……冷気と…剣…!私の生んだ、魔女!?」
さやか「嘘…こんな所で…!?変身をっ」パァ…ァ…フッ
さやか「!?何で…何で変身できないの!?」
―ドドジャン!!
遂に美樹さやかが生んみだした魔女・オクタヴィアが顕現した。
だが、魔女を打ち倒す筈の美樹さやかのGストーンは変身能力を失ってしまっていた。
一方マミの家では、魔女の魔力を感知した魔法少女達が出撃の準備を開始していた。
マミ「魔女の魔力…!あの方角で魔女が出現しそうなポイントは…病院」
まどか「!今病院にはさやかちゃんと上条君が!」
ほむら「幸運ね、私達の到着まで美樹さやかが応戦できる」
杏子「キュゥべぇ、まさかとは思うが…今出てんのはさやかの生んだ魔女じゃねーのか?」
QB「驚いた…勘が良いね、佐倉杏子。その通りだよ」
マミ「何故分かったの?佐倉さん」
杏子「願いが呪いを生むってんなら、願いは叶った場所で呪いを生むはずだからな…」
ほむら「それならば、私達の出る幕は無いわね。彼女が自分で倒すと言ったわ」
マミ「暁美さん、それでも念の為に…」
杏子「止めとけ、マミ。あいつの覚悟を確認したのはてめーだろ?」
杏子「それに泥を塗る様なことすんじゃねーよ」
まどか「そ…そうだよ!さやかちゃんを信じようよマミさん!」
マミ「確かに、彼女の勇気は魔女に負けるとは思いたくないけど…」
まどか「キュゥべぇ!さやかちゃん負けたりしないよね!?一人で魔女を倒せるよね!?」
QB「それは質問かい?質問ならば答えるけど」
QB「美樹さやかが自身の魔女を一人で倒すことは、不可能だ」
QB「絶対にね」
まどか「うぇ…!?」
杏子「どういうことだ!おい!?」
QB「自身の魔女は自分一人では倒せない。そういうものなのさ」
QB「願いを叶えた者とその魔女は魂を綱引きしている状態だ、本質的に繋がっている」
QB「分かりやすく例えれば、自らの手だけで自らを絞殺できるか、ということだよ」
QB「魔女にトドメを刺すのは、当人以外の魔法少女でなければならない」
QB「トドメを刺されない魔女は逃げ出し、時間をおいて再び襲ってくるだろう」
マミ「そんな…」
QB「考えてもみなよ、君達は自分の魔女に自分でトドメを刺した事があったかい?」
ほむら「聞かなかったから…教えなかったのね!?」
QB「それが決まりのはずだよ、当り前だろう」
ほむら「答えなさい!!貴方達が何を企んでいるのか!!全て!!!!」
QB「最初から、その質問が正解だったね。暁美ほむら」
QB「まず、Gストーンは魔女に魂を吸収されないためのアンチプログラムだ」
QB「勇気が続く限り、魔女が魂を吸収しようとするのを抑制できる」
QB「Gストーンを持たぬまま願いを叶えたら、すぐさま魔女の襲撃を受け魂を失うだろう」
QB「願いを叶えた者は魔法少女にならざるを得ないのさ」
ほむら「契約の順序が…逆転してる!?」
QB「そうさ、僕らはGストーンシステムへの移行に従って契約の方法も変えようとした」
QB「魔法少女になる特典として願いを叶えるのではなく」
QB「願いを叶えることのリスク回避として魔法少女になって貰う」
QB「しかしそのリスクは自分一人では払拭できない」
QB「リスク回避である戦い、つまりエネルギーの生産が恒久的になるのさ」
マミ「で…でも、二人以上魔法少女がいれば魔女は全滅させられるわ!」
マミ「いつか戦いに終わりが来るはずよ!」
QB「マミ…理論上は確かにそうだ。でも大事な事を忘れているよ」
QB「君達には感情があるだろう?それがある限り、魔女は消えたりしない」
ほむら「……しまった!貴方達、私達の感情を…」
QB「長い付き合いだ。理解できずとも、利用する事は覚えたよ」
まどか「どういうこと?ほむらちゃん…!?」
ほむら「今までの魔女を倒し続ける魔法少女システムでも願いは十分な餌だった」
ほむら「それが一回限りの魔女退治なら、願いを叶えたいと思う人間はもっと増える」
ほむら「キュゥべぇ…いえインキュベーターは聞かれた質問にしか答えない」
ほむら「魔女を一人で倒せるか疑問に思わなければ、その一回を戦い続けることになる」
ほむら「勇気が尽きるまで…絶望し切るまで搾取される」
マミ「じゃあ一人ではダメだと皆が知っていれば…!」
ほむら「無駄よ…自分の魔女を誰かと倒せると考えてしまう」
ほむら「感情が、希望的観測がまた魔女を生む」
マミ「…誰かと倒せるわよ!お互いの魔女を倒すと約束するの!」
QB「だからそれは机上の空論だよ、マミ。自分の魔女を倒したらもう戦いたくない」
QB「そう思うのが、君達だろう?…ね、佐倉杏子」
杏子「……っ」
ほむら「そうやって脱落した者が必ず出て…勇気が尽きるまで戦う者も必ず出る」
ほむら「そして何より…願いを叶える人間が爆発的に増える!」
まどか「魔女が…消えることはない…!」
QB「そうだよ。君達の感情を守り、感情を生かし、感情によって維持する」
QB「これこそ、僕らが企てたGストーンシステムさ」
QB「君達はいつか戦いが終わると思っていたのかい?逆だよ、魔女はこれからも増えていく」
QB「だって君達は大事なエネルギー源だからね。平和なんて許されないよ」
QB「もし終わりがあるとするなら、それは君達が僕らになった時だろう」
まどか「そんな……じゃあさやかちゃんは今ごろ!」
ほむら「安心しなさい、逆に言えば自身の魔女も自身にトドメを刺す事は出来ない」
QB「戦いが目的なんだ、勇気の続く限りはそうさ……でも」
QB「美樹さやかは今エネルギーを生産していないよ?こういうのが一番困る」
QB「願いを叶えて、すぐ魔女に吸収されて、プラマイ0なんて…」
マミ・まどか・ほむら「!!!」
ガッシャーーーーーーンッ!!!
マミ「な…何!?」
ほむら「佐倉杏子が病院へ向かったわ…窓を破って」
まどか「凄い…もう見えなくなっちゃった」
ほむら「!…身体強化出来ても元は人間よ!?この一瞬で移動できる距離じゃないわ」
QB「あれは…擬示能力。一種の自己暗示で肉体の限界を無理やり超えたのか」
マミ「Gストーンによる新たな力…!?」
QB「それは炎。暗示は…彼女本来の魔法だよ」
マミ「私達も病院へ!」
ほむら「分かった…っ!?マミ…行けないわ」
まどか「どういうこと!?ほむらちゃん」
マミ「……この魔力は!!」
ほむら「来る…でも早すぎるわ!統計では!!」
ほむら(まさか大規模なシステム変更の前に…統計性が崩れているの!?)
まどか「二人とも…来たってまさか…」
マミ「ワルプルギスの…」
ほむら「夜…!!」
マミ「幸か不幸か…病院とは逆方向。それもかなり遠い場所に出現しようとしてる」
ほむら「美樹さやかは佐倉杏子の任せましょう…行くわよ!まどかは逃げなさい!!」
まどか「う、うん!」
―ドドジャン!!
佐倉杏子と巴マミ・暁美ほむらが二手に分かれ出撃したその頃
美樹さやかは魔女・オクタヴィアに吸収されかけていた。
彼女のGストーンは最早、魔女に対するアンチプログラムとしての力を失っていたのだった。
さやか「腕が…魔女の中に…」ズズ…ズズズ…
さやか「そっか…あたし、魔女とひとつになるんだ…」
さやか「頭ぼーっとする…全部忘れて…恭介を殺しちゃう魔女に……何で…恭介…?」
さやか「……そっか、恭介を助ける願いの…裏返し……そんなの、嫌だよぅ」パァ…ッ
オクタヴィア「オォ…!?」タジ…
上条「さやかーっ!!」ダダダッ…ガシッ!!
さやか「きょう…すけ?」
上条「さやか!腕大丈夫!?あれは何だい!?」
さやか「あ…うん、外れた…大丈夫。って恭介、あれが見えるの!?」
上条「うっすらとしか見えないけど…さやかを襲おうとしてるのは分かる」
上条「お前が何者だか知らないけど…さやかを傷つけたら許さない」グググ…
さやか「恭介…あんた松葉杖は…」
上条「さやか、逃げるんだ」
さやか「駄目だよあれはあたしだけを…!」
QB『他者には興味を示さない。邪魔をする場合は当然襲われるだろうけど』
さやか「駄目!あれは無視して逃げて恭介!じゃないとあんたまで!」
上条「ならそれでいい、僕がひきつける」
さやか「殺されちゃうかもしれないんだよ!?せっかく腕が治ったのに…!」
上条「身体がいくら治ったって…それは」
上条「親友を見殺しにして逃げる為じゃない!!!」
さやか「恭介…!」
上条「そんなの、僕は許さない…!」キッ
オクタヴィア「ウ…ウオォ…」タジ…
さやか(何やってんだろ…あたし。このままじゃ恭介死んじゃうよ?)
さやか(一人で倒すって決めたのに…恭介の為にって決めたのに…)
さやか(見返り求めて…フラれて…変身できなくなって…)
さやか(でも、こんなに恭介はあたしのこと思ってくれてたじゃんか)
さやか(恭介に思われて、もう一度ヴァイオリンが聞ける…それで十分。十分すぎるよ)
さやか「こんな簡単な事も気付かないなんて…あたしって、ほんと…バカ!」
…―パアァァァァァァァァァッ!!
魔女「ウォオォォオォ!?」ピキピキピキッ
上条「さやか…その姿は…」
さやか「奇跡の魔法少女さやかちゃん…ふっかぁ――――つ!!」ジャキン!
さやか「恭介、もう大丈夫だから…下がってて」
上条「……うん、分かった…!」
さやか「ほーんと待たせちゃったね…あたし。今から決着つけるよ」
オクタヴィア「ウオォォォオオオォオォ!!」グワッ!!
さやか「フリージングエッジ!!」
杏子「メルティング…ランス!!!」ヒュゥゥゥゥ…ドゥンッ!!
オクタヴィア「ウオォォオオォ!?」
さやか「杏子!?」
杏子「ってて…着地失敗…おう、間に合ったみてーだな!さやか!」
さやか「何で来たのよ!あたし一人で…」
杏子「キュゥべぇが隠してやがった、あれはてめー一人じゃ倒せねぇ。絶対な」
さやか「そうなの…!?」
杏子「じゃなかったら来ねーよ……っ!?」ガク…ガクガク…
さやか「ちょっとあんた大丈夫なの?」
杏子「いや…体中が…痛ぇ」ガクガクガク…
さやか「無理して来たんでしょ…治してあげる」パァァァァ…
杏子「人の為に魔法なんか使うんじゃ…」
さやか「あんたに言われたくないっ」
杏子「…はは、そのとーりだ!てめーの為に戦ってやるよ!」
さやか「足、引っ張んないでよね!」パアァァァァァァッ!!
杏子「てめーこそ、ド素人が!!」パアァァァァァァッ!!
オクタヴィア「ウオォォォオォオォ!!」
ドオオオォォォォォォン…
俺のオクタヴィアちゃんが(´;ω;`)
上条「……消えていく」
さやか「恭介、終わったよ…その、ビックリさせちゃってごめん」
杏子「…中々、良い男じゃねーか」
上条「君達は…一体?」
さやか「あ、あたしさ…ヒーローになったんだ。人類救っちゃう系の」
さやか「信じられないと思うけど…見たでしょ?」
上条「信じるよ……僕の腕を治してくれたのも、さやかでしょ?」
さやか「それは……違うねっ」
杏子「!」
上条「そうなのかい?でも、さっきその子を…そんな気がするんだ」
さやか「あたしたちの仕事はさっきのヤツみたいなのを倒すこと」
さやか「普通の人の怪我を治すことは出来ないんだ」
さやか「恭介が治ったのは、神様がくれた奇跡だよ。大事にしてね」
恭介「………分かったよ、大事にする」
杏子「おい…何で嘘なんかつきやがる?感謝されたくねーのか」ボソボソ…
さやか「良いんだよ…あたし、あんたみたいになりたくないから」
さやか「奇跡は奇跡のままで、恭介とは対等でいたいんだ」
さやか「親友だから」
杏子「嘘も魔法も他人の為か…よしっ」パァァァァ…
上条「空が晴れて来た…先生達呼んでくるよ。演奏始めようか」
さやか「きれいな青…」
上条「僕の一番好きな色さ、この下で演奏したかったんだ」
杏子「じゃ、あたしゃ帰るぜ?」
さやか「え…聞いていけばいいじゃん」
杏子「嫌だよ、お邪魔虫みてーじゃんか。あいつと仲良くな」ポンポンッ
さやか「ちょ…お尻触んな!」
杏子「協力したんだ、こんくらいいーじゃねーかっ」
さやか「…………ありがと」
杏子「良いってことよ、じゃあな」ダッダッダッダッ…
杏子「……空が青い訳ねーだろうが、ワルプルギスが出てんだぜ」
杏子「でも安心しろよさやか、病院までは行かせねえ」
杏子「てめーはもう自由だ。仮初でも、青空の下で幸せになれよ」
杏子「この力が戻ったのは、さやかのお陰だからな」ダッダッダッダッ…
―ドドジャン!!
佐倉杏子はヴァイオリンの旋律を背に病院を後にした。仮初の青空を残して。
一方、巴マミ・暁美ほむらはワルプルギスの夜に対し予想以上の苦戦を強いられていた。
Gストーン魔法少女は無限の勇気を持ったとしても、その身体は所詮人間である。
連戦の疲労が、彼女達を蝕んでいた…
ほむら「……っ…巴マミ…生きているかしら?」
マミ「……縁起でも…ないわね、暁美さん」
ほむら「私の誤算よ…対策を練るのが遅すぎた……もう、武器もない」
マミ「いえ、私が貴女を連れまわし過ぎたのよ…ごめんなさい」
ワルプルギス「キャハハハハハ!!キャハハ!!」
QB「どうしたんだい?早く勇気を振り絞っておくれよ」
マミ「勇気じゃ…身体は動かないのね……」ググ…グ…
ほむら「くっ…痛っ………」
QB「ソウルジェムシステムならば、魔力で痛みを遮断し、身体を動かす事もできただろうに」
QB「君達は本当に理解できないよ。非効率を求めるなんて」
ワルプルギス「ギャハハハッ!!」ピキューーーーーーンッ!!
ほむら「ビーム来るわ!!」
マミ「任せて!!」…バッ
ほむら「身体で受け止める気!?」
マミ「くううぅぅぅ…ゴルディオンソーマは…決して断ち切れない!!」
ほむら「でも、防戦一方だわ…もう攻撃する手段が私達には…」
杏子「待たせたなぁ!!おめーら!!!」シュバッ
ほむら「佐倉杏子!」
杏子「メルティングうぅ…ラアァァンス!!」ドウゥゥゥゥゥンッ!!
ワルプルギス「ギャ――――ハハハッ!!」
マミ「佐倉さん…あんなの人間に出来る動きじゃないわ…!」
杏子「ちっ…少しは効いたかよ…」ドォォン…
杏子「着地失敗…だけど痛くねー…まだやれるっ!!」メラメラメラ…
ほむら「擬示能力で…痛みすら遮断しているの…!?」
マミ「そんなことしたら…佐倉さんは!」
ほむら「止めなさい佐倉杏子!自覚がないまま死ぬことになるわ!!」
杏子「……こんな人生だったんだ…やっと人の為に魔法を使いたいって思えたんだ…」
杏子「それが…私の…本当の勇気なんだよ!!」
マミ「佐倉さん…」
杏子「足りない力は…勇気で補う!!!」ザシュッ!!
ワルプルギス「ギャアアァァッ」メラメラメラメラ…
杏子「燃え尽きやがれえええぇぇぇっ!!!」パアァァァァァァッ!!
ドオオオォォォォォォン…
無茶しやがって…
ワルプルギス「キャハ!キャハハハ!アハハハハハッハハハ」シュウゥゥゥ…
杏子「嘘…だろ……」
マミ「これでも…倒しきれない」
ほむら「でも…確実に効いているわ…あと……少しなのに!」
マミ「あ…そうよ!まださやかさんがいる…!佐倉さん、さやかさんは無事だったのよね!?」
杏子「あいつは…もう戦わねー」コロン…
ほむら「それは…美樹さやかのGストーン…!?」
杏子「あたし盗人だからさぁ…手癖悪くてね…持って来ちまったよ」
ほむら「どうして!?貴女自分が何をしたか分かってるの!?最後の希望が…」
杏子「何とでも言いやがれ……もうあいつは自由なんだ…幸せになるんだ…」
杏子「その分、あたしが戦うんだよ……くそっ動け!」ググ…ガク…ガクガク…
マミ「佐倉さん…!もうやめて!見てられないわ……」
まどか「皆…あきらめちゃだめだよ!!」
ほむら「まどか…!?逃げたはずじゃ…!?」
まどか「ごめんほむらちゃん。皆が戦ってるのに私一人逃げるなんて…出来なかった」
マミ「鹿目さん!貴女…もしかして!」
まどか「うん、私、魔法少女になります!皆を救うために!」
ほむら「…やめて…やめてっまどか!貴女が魔法少女になったら…!」
まどか「私の魔女を生む…ほむらちゃんはそれが嫌なんだよね?」
ほむら「…!」
まどか「安心して。魔女を生まない魔法少女に、私はなるから」
―ドドジャン!!
時は数十分前に遡る。鹿目まどかは暁美ほむらの指示に従いワルプルギスの夜から非難していた。
一夫、彼女が一人になった事を好機とし、インキュベーターは契約を持ちかけようとした。
最後の魔法少女の誕生が、刻一刻と迫っているのであった。
QB「暁美ほむらと巴マミ…苦戦しているようだね」
まどか「私だけ逃げてきちゃって…良いのかな?」
QB「気になるならば、魔法少女になって加勢すれば良い」
まどか「でも、魔女を生むんだよね?だったら…私は魔法少女にはならない」
QB「このままマミ達が殺されても良いのかい?」
まどか「…っ、どうにかならないの!?質問だよ!答えてよ!!」
QB「………正直に答えよう。方法は、まだあるよ」
まどか「ホントに!?キュゥべぇ!」
QB「あぁ、君は…願いを叶えずに魔法少女になるんだ」
まどか「願いを叶えずに…?」
QB「言っただろう?魔法少女になることは単なるリスク回避だと」
QB「願いから魔法少女になる事は避けられないが、魔法少女になってから願いは避けられる」
QB「自身は何も得ぬまま、完全なる善意で魔法少女になる」
QB「それが、魔女を生まない魔法少女だ」
まどか「早くそれを言ってよ!そんな事ができるなら私とっくに…」
QB「魔法少女になってる…と言いたいだろうけど、それは難しい」
QB「理論上可能なはずなのに、出来ないのさ」
QB「Gストーンが人間の感情からエネルギーを生むならば、全人類に持たせれば良い」
QB「だけど、何故か願いを叶えていない人間はエネルギー収率が著しく低い」
QB「Gストーンを全人類分用意するエネルギーに見合わないのさ」
QB「あくまで推測だけど、魔女と戦う義務を感じない事が関係しているんだろう」
QB「感情と言うのは僕らでも解析し切れないブラックボックスだからね」
QB「分かるのは、無償で魔女を倒す人間は存在しないという事」
QB「そんな善意に満ちた人間はこの世界に存在しないという事」
QB「君だってその内の一人のはずだ、鹿目まどか」
まどか「そう…かもしれない」
QB「義務を感じていない者にGストーンは変身を許さない」
QB「理論では可能でも…感情論では無理なんだ」
まどか「それでも、可能性はあるんだよね…!?」
QB「あぁ!十分にあるだろう!!さあ変身だ、鹿目まどか!!」
QB「…と以前の僕らならば言えたんだけど」
QB「正直、君にいくら勇気の素質があったとしても、可能性はほぼゼロだ」
QB「もしそれを可能にする者がいるとしたら、それこそ」
QB「君達の言葉で言う勇気の使者…”勇者”だろうね」
まどか「キュゥべぇ…私に、Gストーンを頂戴」
QB「…可能性はほぼゼロなんだよ?良いのかい?」
まどか「分かってる。でも、何もせずに大切な人達が傷ついていくの」
まどか「見たくないから…!!」
まどか「これが…私のGストーン。光ってない…」
QB「普通の人間が持ってもそんなものさ」
まどか「キュゥべぇ、ありがとね。行ってくる」
QB「行くのかい?くれぐれも死なないでくれよ、鹿目まどか」
まどか「心配してくれるの…?」
QB「君は優秀な宇宙の燃料になりうる、こんな所で死なれては困るからね」
まどか「あなたは…敵?それとも…」
QB「君達に敵意を向けた事もないし、味方だと思った事もない。僕には感情がないからね」
QB「ただ、君の変身の成功を祈っているよ。鹿目まどか」
まどか「…ありがと、またね!」タッタッタッタッ…
QB「…さて、僕も行こうか」スタタタ…
――――――――
ワルプルギス「アハハハハ!アハハハハ!!」
まどか「ほむらちゃん、私…願い事なんていらない!これでいいよね?」
ほむら「確かに、まどかが魔女を生まないなら…私は……」
まどか「お願い…Gストーン…力を貸して…」
ワルプルギス「アッハハハハ!アハッ」ゴウッ!!
マミ「鹿目さん!危ない!!」
ほむら「!?まどかぁ―――――っ!!!」
まどか「私はどうなっても良い…皆を助ける力を…」
まどか「貸して…!」
ピキーンッ…パアアアアアァァァァァァ―――――ッ!!
ワルプルギス「アハハハハ!アハハハ…ハ?」ドシュッ
まどか「今…あなたも助けてあげる…」パアアァァァ…
ほむら「あの弓矢…あの姿…!」
マミ「あれが魔法少女になった…鹿目さんなのね…!」
杏子「……やるじゃ…ねーか」
まどか「いくよ…ワルプルギスの夜…!」ドシュゥ…!パアアァァァァァッ!!
ワルプルギス「アハハハ…あはは…ありがと…あり…が…と……」ボロ…ボロボロ…
QB「…おめでとう、鹿目まどか。君の勇気はGストーンを凌駕した」
QB「やっぱり、人間は分からないものだね……だけど」
遂に、最後の魔法少女・鹿目まどかが覚醒した。
彼女こそが、我々人類が待ち望んだ真の勇者なのだろうか!?
最新情報を待て!!
君達に最新情報を公開しよう!!
ピンクの衣に身を包んだ最後の魔法少女・鹿目まどかの覚醒よって
見滝原はワルプルギスの夜の危機から救われた。
少女達は満身創痍の中、勝利の美酒に酔いしれるのであった。しかし…
まどか「あ…あれ…?弓、消えてく…魔力が小さくなちゃった」シュウゥゥゥ…
ほむら「やった……ふ…ふえぇぇぇぇっ」ポロポロポロ…
まどか「ほ…ほむらちゃん!?どうしたのっ!?」
マミ「暁美さん…貴女、やっぱり無理してたのね…」
ほむら「もう…っ…繰り返さない…うぅ…よがっだあぁぁ」ポロポロポロ…
杏子「いでででで!おい!誰か医者よんでくれ!指一本も動かねー!!」
マミ「私も殆ど動けないわ…もう少し休んだらね」
まどか「良かった…みんなこれで…」
ゴゴ…ゴゴゴゴゴゴゴ……
まどか「何の音…!?」
QB「鹿目まどか、君は素晴らしいね。成功率を覆し魔法少女となった」
QB「だけどその力は僕らが予想したものには遠く及ばない」
QB「君はもっと膨大なエネルギーを生めるはずなんだ」
QB「折角の優秀な燃料が、普通以下の効率しか出せないなんてもったいないよね?」
まどか「キュゥべぇ…なにを言ってるの?」
QB「君には真の力を解放して欲しいのさ、勇者の真の力を」
ほむら「うぅ…っ…まだ何かしようってのね…インキュベーター!」キッ
マミ「見て!空が…!」
杏子「裂けて…いく!?」
QB「巴マミの人と繋がる勇気…佐倉杏子の献身の勇気…そして君の変身を見て、僕らは考えた」
QB「人間は繋がりがある人を守る為に、莫大な勇気を生めるのではないか、と」
QB「だったら、更に守る機会を与えよう…鹿目まどか、君にね」
まどか「裂け目から…何か見える…月?」
QB「あれはね、僕らの母星だよ…核に物質復元装置”パスキューマシン”を搭載したね」
QB「さあ…存分に他の魔法少女達を守るんだ、鹿目まどか」
ヴゥーン…ヴゥーン…ヴゥーン…ヴゥーン…ヴゥーン…………
殺戮の魔女「………」ズズ…
盲信の魔女「ミ顔トソノ力ノ栄光カラ退ケ」ズズン…
オクタヴィア「ウオォォォォオォォ!!」ズズズズッ
QB「母星の力があれば敵は幾らでも復元できる…」
QBは赤き星のアベルなのか
まどか「そん…な…」
マミ「私達の…魔女…?とんでもない数だわ…!!」
ほむら「止めなさい!!こんな数の魔女を相手にしたらまどかは死んでしまうわよ!?」
ほむら「自分から燃料を失う気!?インキュベーター!!」
QB「だから、まどかを積極的に攻撃しない彼らを複製したのさ」
ほむら「っ!」
杏子「おい、ヤバいって!あたし吸収される!!」
盲信の魔女「リ拝マレシモノニ反抗シテ」ズズ…
マミ「佐倉さん!!勇気を絶やしちゃ…っ!?」ガシッ
殺戮の魔女「………」ズズズ…
―ジャキィィィーンッ!!
殺戮の魔女「……ウゥゥ」ピキピキピキ…ガシャン!
盲信の魔女「主イエスノ……御…名…」ピキピキ…ガシャン!
さやか「こーんなとこに、さやかちゃんのGストーンが落ちてたんだけどさ」
さやか「誰がポケットから抜いたワケ?」
マミ「美樹さん!!」
杏子「さやか!何で来たがった!!」
さやか「綺麗な空が曇った挙句にパカっと割れるなんてタダ事じゃないでしょ?」
まどか「さやかちゃん!無事だったんだね!?」
さやか「おうよっ、あたしが負ける訳ないでしょ。まどか」
ほむら「美樹さやか!貴女の魔法なら…!」
さやか「分かってる…皆ボロボロだもんね。全力で行くよ!?」パアアァァァァァ―――!!
この>>1は間違いなく青の子好き
マミ「身体が…動く…!」
ほむら「巴マミ…私にもう武器は無い。サポートに回るわ」
マミ「宜しくねっ」
杏子「おい…あたしだけ治りがおせーぞ!」
さやか「あんたは無理しすぎ!!一番力あるんだから…ちゃんと治すよ!」
杏子「時間がねぇ…動きながら治癒してくれ」
さやか「だったら…あたしにもあんたの力使いなさいよ、まだ上手く戦えないの」
杏子「…良いぜ、あたしの目を見ろさやか。てめーは最強の魔法少女だ」
さやか「当たり前の事、言わないでよっ」
杏子「自分にも治癒使えよな、行くぜ!!」ダッ
さやか「わかってるっつーの!」ダッ
まどか「みんな…!」
ほむら「貴女は手を出さないで良いわ、まどか。弓だって出せないのでしょう」
マミ「私達が守るから…主戦力はあの二人に任せればいいわ」
杏子「メルティングランス!!!」
オクタヴィア「ウオォォォオオォオ!!」ドォォォォンッ
さやか「フリージングエッジ!!!」
盲信の魔女「…主…ヨ……」ピキピキ…ガシャンッ
ほむら「擬示能力で身体能力を高め…治癒魔法で限界がきた部分を修復する…」
マミ「勇気がある限り、彼女達は無敵ね」
殺戮の魔女「………」シュルルッ
ほむら「止まりなさい」カシャン!
マミ「危なかったわ……手、離さないでね」
ほむら「当り前よ……動くわよ」カシャン!
マミ「二人とも!こっちも宜しくね!」
さやか・杏子「おう!!」ドウゥゥゥゥゥンッ!!
QB「凄いね…とんでもないエネルギーが得られている」
QB「でも、まだ足りないよ。まどかを、戦わせるんだ」
ヴゥーン…ヴゥーン…ヴゥーン…ヴゥーン…ヴゥーン…………
まどか「また…魔女が増えた…!!」
QB「さあ、君達の勇気がどこまで持つか。見せてもらおうか」
―ドドジャン!!
魔法少女達と複製魔女たちの戦いは続いた。
無限の再生を繰り返す魔女の前に、遂に魔法少女の無限の勇気に陰りが見え始める。
度重なる猛攻を前に鹿目まどかを除く魔法少女達はその精神をすり減らしていた。
ほむら「もう…キリがない…!」
マミ「それでも…私の勇気は…死なない!!」
杏子「もう一回つぶすぞ…最強の魔法少女…!」
さやか「回復がおっついてない…もう少し待って…」
まどか「みんな…もういいよ!」
まどか「私が…私が戦えばそれで良いんだよ!!」
ほむら「武器を持たない貴女がこんな量の魔女と戦えばどうなるか…分かっているの?」
ほむら「それだけは絶対に駄目…手を出さなければ貴女は…襲われない」
まどか「それでもいいよ!このままじゃみんなが…それよりは!」
マミ「鹿目さん…貴女はさっきもそう言っていたわね?」
まどか「マミさん…」
マミ「皆の為なら自分はどうだっていい、って」
マミ「勇気というのはそういう物ではないわ…それは無謀」
マミ「ここにいる皆はそんな思いで戦ってない」
マミ「誰一人欠けても駄目、皆で笑って帰れる様に…そう考えているの」
マミ「貴女がもし真の勇者なら、この言葉、分かってくれるわね?」
まどか「………」
マミ「皆、まだ戦えるわね!?」
ほむら「当然よ…!!」
杏子「ったりめーだろ!」
さやか「ぜんぶ治った、いつでも行けます!」
マミさん成長したな
杏子「行くぞ!さやかぁ!ハデに動くぜ!?」パァァァッ…パァァァッ…
さやか「おうよ!!どんな無理でも治してみせる!!」パァァァッ…パァァァッ…
QB「Gストーンの共鳴現象…これはもしかして」
杏子「メルティングランスが!?」
さやか「フリージングエッジと…引きあってる?」
ピキーンッ…パアアアアアァァァァァァ―――――ッ!!
QB「シンメトリカルドッキング…生み出した新たな武器は、一対一組の薙刀!」
QB「君達はどこまででも進化する…素晴らしいエネルギー源だよ」
杏子「すげーぞ…これ持ってると、てめーが次にどう動きたいか全部分かっちまう!!」
さやか「魔力もケタ違いだよ!治癒がどんどん進む…これは」
杏子・さやか「負ける気がしない!!!」
ドオオオオォォォォォォォォォォ―――――――――ンッ―……
ほむら「マミ!時間は稼いだわよ!!」カシャン!
マミ「ありがとう暁美さん、十分に用意出来たわ!」ズラッ
まどか「ティロ・フィナーレが…いっぱい!」
マミ「ティロ・フィナーレ…インフィニタ!!!」ドドドドドドッ
マミ「魔弾の射手とは私の事よ!」
ほむら「こんな時に縁起でもないわ、巴マミ。まどかに当たったらどうするの」
マミ「貴女がバラの冠の代わりをするのよ」
ほむら「酷いわね…守りきって見せるけれど!」
マミ「頼もしいわ、次行くわよ」
ほむら「時間を…稼ぐわね」カシャン!
まどか「本当の勇気…みんなそれを持って戦ってる」
まどか「Gストーン…もう一度、力を貸して」
まどか「私がどうなっても良いなんて…間違ってた…」
まどか「私も、みんなと一緒に戦いたい…!」
まどか「みんなと一緒に笑って帰る為に…」
まどか「ここにいるみんなだけじゃない」
まどか「見滝原の…全世界のみんなが笑顔でいられる様な…」
まどか「そんな力を…」
ピキーンッ……パアアアアアァァァァァァァァァァァ―――――ッ!!
ほむら「!?まどか…貴女…」
マミ「来るわよ。…勇気の魔法少女が!!」
それは、最強の魔法少女…。
それは、勇気の究極なる姿…。
我々が辿り着いた、大いなる希望…。
魔法少女・鹿目まどかの…本来の姿(ジェネシック)!!!
―ドドジャン!!
我々は遂に、真の勇者に辿り着いた。
純白の衣・純白の翼、巨大な弓を携えた鹿目まどか本来の姿。
今、魔法少女達の反撃が始まる…!!
まどか「インキュベーター…見せてあげる、本当の勇気の力を!」ギリリッ
QB「見せて…もらおうか!」
まどか「さやかちゃん達!下がって!!」ヴヴ…ヴゥンッ
ほむら「空に…魔法陣!?」
まどか「一気に行くよ!?」ヒュンッ
ヴンッ…パアアアアアァァァァァァァァァァァ―――――ッ!!
マミ「魔法陣から…あんなに矢が!!」
さやか「凄い…!射られた魔女が全部…光になってく!!」
QB「これだよ、僕らが求めていた力は。物質を光とエネルギーに昇華させる能力!」
まどか「もういくら複製して無駄だよ…インキュベーター」
QB「分かっているさ、あんなものを見せられてはね」
QB「僕らの目的は達成された。もう魔女を複製して攻めようなんて思わない」
QB「まどか、これからは地球に残った魔女をエネルギーに昇華しておくれ」
QB「更に効率の良いエネルギー源が現れるその日まで…」
杏子「ってことは…これで、終わりか?」
マミ「一応、はね」
さやか「やったー!!」
ほむら「……まどか、どうかしたの?」
まどか「ほむらちゃん、みんな、話があるの」
…………………
まどか「みんな、どう思う?」
ほむら「私は賛成よ」
杏子「良いんじゃねーか」
さやか「…うん、あたしもそれが良いと思う」
マミ「………」
まどか「マミさん…」
マミ「私は反対…といいたいけれど魔女と人を救うにはそれが一番なのよね」
まどか「この機会しかないと思うんです」
マミ「良いわ、皆でやりましょう」
杏子「最後の大仕事ってヤツだな」
まどか「みんな、手つないで…一気に行くから、離さないでね」
さやか「ホントに行けんの?まどか」
まどか「うぇへへ…その為の翼のはず!あとはGストーンが守ってくれるから」
マミ「まるでGストーンに意思があるみたいな言い方ね」
まどか「私、感じたんです。Gストーンに願った時」
まどか「いつかこうやって地球を救うために戦った人達の勇気を、意思を」
杏子「そんなのありえんのかよ?」
ほむら「それが平行世界から来たものであるとしたら…十分にあり得るわ」
さやか「暁美さんロマンチストだねぇ」
ほむら「…私はリアリストよ、美樹さやか」
まどか「じゃあ、そろそろ行くよ?宇宙へ」シュバッ
ザ・パワー
まどか「ついたよ、みんな」
さやか「おおう!息ができる!Gストーンって凄いね」
杏子「おいおい近くで見るとでっけーな…大丈夫なのか?」
ほむら「核を叩くのよ、そうすればもう再生もできない」
マミ「ごめんね…キュゥべぇ…でも私も覚悟を決めたわ」
QB「君達は…一体何をしようとしているんだい?」
まどか「テレパシー…!」
まどか「インキュベーター、私はやっぱり人間をエネルギー源としか考えないあなた達を」
まどか「絶対に、許せない」
まどか「世界中でもう悲しい事が起きない様に…みんなが笑顔でいられるように…」
まどか「あなたの星を…壊すよ!」
奇跡・神秘・真実・夢…そして勇気。
五人の魔法少女が、遂に巨星の前に立った。
搾取の歴史を終わらせる為に…!
QB「それは、侵略戦争とらえていいのかな?だったら、僕らは容赦はしない」
まどか「地球から出ていく気はないんだよね?」
QB「当り前だよ。宇宙の維持ができなくなる…君達は大事なエネルギー源だ」
まどか「そっか…じゃあ私達戦わなきゃ、ごめんね」
QB「君達の星なんて数時間で制圧できるよ?良いのかい本当に」
まどか「そんな時間は…あげないよ!!さやかちゃん!!」
さやか「まっかせとけ!シンメトリカル…」
杏子「ドッキング!!!…行くぜぇインキュベーター!!!」
さやか・杏子「スーパー…ノヴァァァァァ!!!!」パアアァァァァァァァ――ッ!!
QB「星に直接特攻する気かい?君達は正気じゃない」
これはどうなんだろうwww
Gストーン化はいわば馬から手綱をとったようなもんだし、だからこそ出来るんだろうけど
QB居なくなったら宇宙が…(´・ω・` )
杏子「さやかぁ!!てめーがサボったらあたし等一瞬で消し飛ぶそ!?」
さやか「言われなくても分かってる!!!」
QB「超高温と超低温の疲労分解で地表を剥がす気だね」
QB「でも何故だ…?そんな事をしたら自分自身も…」
杏子「わかってねーなぁ…インキュベーター!!」
杏子「自分の事ばっか考えてたら…勇気なんてすぐ涸れちまうんだよぉぉ!!!」
さやか「あたし達はお互いの為に勇気を使う!!決して涸れない勇気を!!!!」
杏子・さやか「これがぁ…無限の勇気の力だああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ピキーンッ……パアアアアアァァァァァァァァァァァ―――――ッ!!
QB「信じられない…地表どころか…パスキューマシンが露出するなんて」
杏子「へへ…どーよ…」
さやか「まどか…あとヨロシク!」
QB「パスキューマシン、地層復元だ。近くには美樹さやかと佐倉杏子がいる。」
QB「すぐにマシン本体には攻撃できな」カシャン!
ほむら「時間を止めるだけ…それだけの能力だけれど、十分だわ」
ほむら「巴マミ。貴女のリボン、ちゃんと繋がってるのかしら?」
マミ「私の身体もリボンも決して断ち切れないわ…たとえ超新星爆発でもね」
マミ「リボン、収縮させるわね!」シュルルルル…
杏子「命綱ならぬ命リボンってか」
さやか「命拾いしたぁ」
マミ「当然よ、私の命を繋ぎとめたリボンですもの」
まどか「みんな、おかえり!ありがとね…あとは私が」
まどか「星一つ分…魔力、足りれば良いな」
マミ「鹿目さん!こういう時こそ力を合わせるのよ、私達は一つ!!」
マミ「合体(コネクト)よ!!」パァァァァァッ
まどか「ティロ・フィナーレ……分かりましたマミさん!!」
まどか(Gストーンが教えてくれる…どうすれば良いかを!)
まどか「ガンナー…コネクトぉっ!!!!」パアアァァァァァァァ――ッ!!
ほむら「この輝き…!」
さやか「この大きさ…!!」
杏子「よっしゃあ!やっつけちまえ!!!」
それは、ただただ巨大な洋弓銃。
それは、金色に輝く絶対勝利の力。
決して断ち切れなかったループを撃ち抜く…
まどか「ゴルディオン…ガンナぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ほむら「まどか!!動き出すわよ!!」
まどか「お願い!ほむらちゃん!!」カシャン!
まどか「ガンナー…ヘルっ!!!!」バシュゥゥゥゥゥ…パアアァァァァァァァ――ッ!!
QB「パスキューマシンに一瞬であんな巨大な矢が…一体何が!」
QB「だけどまだ打つ手はある。いま光子化しているのはまだマシン外壁…」
QB「再生して光子化と拮抗させれば、矢はいずれ消耗する」
QB「結局破壊は…再生には敵わないよ、鹿目まどか」
まどか「ガンナー…ヘヴンっ!!!!」キイィィィィィィィィン…
QB「!?これは弦からの無限波動…矢と共振して無限に…いやそれ以上に力を増幅するのか!?」
マミ「余裕がなくなったわね、キュゥべぇ…いえ、インキュベーター!!」
マミ「ゴルディオンガンナーは二つで一つの…絶対勝利の力よ!!!!」
杏子・さやか・まどか
・ほむら・マミ「インキュベーター!!!!!!」
杏子・さやか・まどか
・ほむら・マミ「光になれええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」
―――…パアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァ―――――ッ!!
QB「凄いエネルギーだ…これなら……宇宙…を……永…遠に」パアァァァ…
ほむら「…終わった…本当に」
まどか「これでもう、大丈夫だね…」
さやか「まどかぁ!あんたならやってくれるってさやかちゃん信じてたよっ!」
マミ「鹿目さん…貴方こそ、真の勇者よ!!」
まどか「うぇへへ…はずかしいよぅ…」
ズズ・・・ズズズ…
杏子「おい水さしてわりーんだけどさ、裂け目が閉じていってるぞ!?」
まどか「うぇ!?そうだった!みんな早く手を繋いで!裂け目が閉じちゃったら帰れないっ」
さやか「まどか、準備オッケー!」
まどか「おねがい…間に合って…!!」シュバッ
ズズズ…ズズンッ………!
―――――――――――
ほむら「んん…ん、こ…ここは?」
まどか「あ、ほむらちゃん目が覚めたよ!」
杏子「おっせーよ」
マミ「佐倉さんもさっき起きたばかりじゃない」
さやか「あたし3ばーん!」
ほむら「……ここは…?辺りに何も見えないけど…」
まどか「ごめんね…ほむらちゃん。あのとき間に合わなくて…」
まどか「空間の狭間に閉じ込められちゃったみたい…」
ほむら「そんな…!」
マミ「私は目覚めて何時間くらいかしらね?50時間くらい?」
まどか「は、はいっ…そのくらいです」
ほむら「50時間って…食事は?」
さやか「ここにいると身体の時間が止まってるみたいでさ」
杏子「腹もへらねーし、眠くもならねーんだと」
まどか「みんな巻き込んじゃって…ほんとにごめん!!」
マミ「良いわよ鹿目さん、もうその言葉100回は聞いたわ」
さやか「そうそう、あたしも50回は聞いてる気がする」
ほむら「貴女達…妙に落ち着いてるのね?地球に帰れないのよ!?」
さやか「話し合う時間はホントたっぷりあったしね…」
マミ「それに私も美樹さんも、そこまで後悔してないのよ」
マミ「私は帰っても家族はいないし、心配してくれる人も殆どいないわ」
さやか「あたしはまぁ…家族には心配かけるけど、あたし個人としては納得」
さやか「恭介の腕治したし、地球の危機も救っちゃったんだからねっ」
さやか「あーあ今頃恭介、仁美に告られてんだろうなぁ」
まどか「うぇ!?そうなの、仁美ちゃんが!?」
さやか「そうなんだよ、恭介も隅に置けないでしょ?」
まどか「へえぇ…意外だなぁ…」
ほむら「呑気なものね…ね、佐倉杏子」
杏子「あたしゃ地球に戻っても何もねぇ。盗み暮らしが続くだけだ」
杏子「だったら暑さ寒さも空腹もねーここは、天国かもな」
ほむら「貴女まで…」
ESミサイルはないのか(´;ω;`)
まどか「ほむらちゃんは…やっぱり後悔してる?」
ほむら「そんな事は…でも貴女を地球に帰してあげられない事を少し残念に思う」
まどか「うぇ…?どうして?」
ほむら「本当は貴女に地球で生きていて欲しかった。貴女を救いたかったわ」
ほむら「それが私の全てだから」
マミ「そろそろ…話してくれても良いんじゃないかしら」
マミ「真実の魔法少女・暁美ほむらさん、貴女は何者なの?」
ほむら「……何から、話しましょうか…マミさん」
マミ「!」
―ドドジャン!!
遂に暁美ほむらの口から真実が語られた。
世界線を超え、鹿目まどかを救うために行動してきた事。
どんな悲惨な世界線があったのか。どんな幸せな世界線があったのか。
どんなに事こまかに話しても、時間も話しの内容も尽きなかった。
魔法少女達はその話を、ただ黙って聞いていた。
ほむら「今まで、あんな態度をとってごめんなさい」
マミ「良いのよ…辛かったでしょう、暁美さん」ホロ…
まどか「私の為に……ほむらちゃん、本当に辛い思いばっかさせちゃったね…ごめん」
ほむら「いいのよ、まどか。貴女を生かすことが私の願い。もう成就したわ」
さやか「てか私死にすぎじゃない?なに、この状況でも運良いのかな?」
杏子「かなり良い方だと思うぜ、しっかしあたしが金持ちの世界線はねーのかよ?」
ほむら「佐倉さんはずっと貧乏だったわ、申し訳ないけど」
杏子「佐倉さんなんて気持ちわり―な…いつも通り呼べよ」
ほむら「私にとってはそれが元々よ、佐倉杏子」
マミ「世界線を超える能力…それでここから脱出できないかしら」
まどか「そうですよマミさん!ほむらちゃんだけでも…!」
ほむら「無理ですよ、もうその力は…」
マミ「片鱗は残ってるかもしれないわ…貴女の魔法は時間操作」
マミ「空間跳躍くらいはできるかもしれない」
ほむら「そんな事ができる可能性は…」
まどか「すごく低くても、絶対出来るよ!ほむらちゃん!」
さやか「そうだよ!ここに生き証人がいるんだから!」
杏子「足りねー確立は勇気で補え!」
ほむら「皆…」
ここでOPが流れ始める展開
ほむら「でも貴女達と離れるのは…」
マミ「ごめんなさいね、暁美さん。こんな役目を頼んで。でも貴女しかいないのよ」
マミ「まだ地球には魔女が多く残っているわ…人と魔女を救ってあげて」
まどか「できれば、私達がやったこと、本当のこと、他の魔法少女に教えてあげてね」
さやか「自分の魔女に困ってる魔法少女がいたら助けてあげてよね」
杏子「もう戦わなくて良い様にしてやれよな」
マミ「それと、私の可愛い後輩二人の家族に、連絡お願いね」
ほむら「……分かりました!」
マミ「もちろん貴女も私の可愛い後輩よ…暁美さん。元気でね」ギュッ
ほむら「……!マミ…さん…ありがとう……」ポロ…ポロ…ヒシッ…
マミ「さ、始めましょうか。皆、暁美さんのGストーンに手を」
まどか「ほむらちゃん、これでサヨナラじゃないよ」
さやか「そうそう!死んだわけじゃないんだしっ」
杏子「また何かの拍子に会えるかもしんねーな」
マミ「きっとまた会えるわ、待ってるからね」
パアアァァァァァァァ――ッ!!
ほむら「うん…皆…またね…!!」
まどか「勇気ある誓いとともに…行って、ほむらちゃん」
ほむら「まどか……勇気ある…誓いとともに…!」
バシュウゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
交わした約束忘れないよー
…………………
ほむら「……!」ハッ
ほむら「ここは…病院?まさか世界線が…!?」コロン…
ほむら「Gストーン…この世界は元の…」
看護婦「あ、目が覚めたのね?貴女、一昨日のスーパーセルで一番被害が酷かった所に倒れてたのよ?」
看護婦「発見が遅くなったのにほぼ無傷なんて強運なのね」
ほむら「……私一人でですか?」
看護婦「お友だちと一緒だったの?大変じゃない行方不明に…」
ほむら「いえ…そうじゃないんです。一人でしたから…」
ほむら「もう大丈夫です、退院させて下さい」
看護婦「先生と相談してみるわ」
ほむら「早く退院させてほしい所ね、もう歩けるのだから」トボ…トボ…
上条「…君は、暁美ほむらさん?」
ほむら「上条恭介…君。…何故私の名前を?」
上条「僕が休んでる間に転校してきたって、さやかに聞いていたから」
上条「顔は一昨日学校で見たし」
ほむら「退院したのに、まだ通院?」
上条「松葉杖を返しに来たんだ、もう一人で立てるから」
ほむら「そう。で、何か用かしら?」
上条「さやかを知らない?昨日今日って学校に来てないんだけど…」
ほむら「……知らないわ、あまり親しくないもの」
上条「そっか…どこいちゃったんだろう、さやか」
ほむら「…………随分彼女の事を気にするのね、浮気を疑われるわよ?」
上条「?…やだなぁ暁美さん、僕には疑ってくれる様な人はいないよ。あはは…」
ほむら「!……意外だわ、良い男なのに。…それじゃ」
上条「…暁美さん、笑うとああいう顔するんだ」
ほむら「もう病院はこりごりね、でもまたお世話になるのかしら?」
ほむら「私の体は…生きているから」
暁美ほむらは退院した後、すぐに鹿目まどか、美樹さやか両家を訪れた。
すぐには、彼女達に何があったのかを理解して貰えなかったものの
暁美ほむらは時間をかけ、説明を行った。丁寧に。熱心に。
詢子「アンタの話しはにわかにゃ信じられないが…なかなかどうして真実味がある」
知久「世界を救うために…か。まどかはもう帰ってこれないのかい?」
ほむら「何か方法があるはずです。私が連れて帰ります…必ず!」
ほむら「こんな私の話を聞いてくれて…ありがとうございます」
詢子「親ってのはね、子どもが居なくなったらどんなガセネタだって飛び付くんだ」
詢子「ま、アタシを騙せるやつなんてそうそういないがね」
知久「よかったら、また来てくれないかな?タツヤが君を気に入ったみたいだ」
タツヤ「ほむあーっ」
ほむら「…はい、喜んで」
――――――――――――――――――
その後、暁美ほむらはたくさんの魔法少女と共闘することになる。
彼女たちを自由にするために。
それによって暁美ほむらの周囲の魔法少女は減っていった。
感謝する者。何も告げぬまま去る者。他の魔法少女を救うため他所へ移る者。
様々な魔法少女に出会い、別れて来た。
遂には、暁美ほむらの周りに魔法少女は一人もいなくなったのだった。
ほむら「人と…魔女と…魔法少女、出来る限り救ったわね」
ほむら「勇気ある誓い…果たしたよ、まどか…皆…」
ほむら「会いたいよ…っ…っ…」ポロ…ポロ…
魔女「………」ピシッ…ズズ…ズズズ…
ほむら「空間が割れて魔女が!?……あの砂時計…!」
ほむら「いつか来るとは思っていたわ…私の、魔女!」
ざわ…ざわ…
君達に最新…もとい最終情報を公開しよう!!
空間を裂き現れた魔女。それは紛れもなく暁美ほむら自身の魔女であった。
彼女の契約した世界線で誕生し、彼女を追いかけるように世界線を超えて来た存在。
その力は、暁美ほむらの予想を遥かに凌駕したものであった。
ほむら「一人では決して勝てない魔女…こんな時に!」
ほむら「とりあえず今は逃げなきゃ…!止まりなさい」カシャンッ
魔女「………グオォ!!」ドゴッ
ほむら「っ…停止しない!?…同じ魔法を持っているから!?」
ほむら「それじゃあ…私は能力が使えないのと一緒じゃない…」
魔女「グオォオオォオオオォ!!!」
ドウゥゥゥゥゥゥン!!
ほむら「くっ…勇気さえ絶やさなければ…相手も私を吸収することは出来ない」
ほむら「再び戦いに巻き込むのは忍びないけれど…移動しながら助けを呼べば…!」
魔女「…グオォ……」カシャン
ほむら「ふん…っ時間を止めても私は止まらないわよ?」
魔女「……」ニタニタニタ…
ほむら「まさか…私以外は止まったまま…!?」
魔女「……」ニタァァァッ
ほむら「この止まった時間の中で、自分の魔女と二人きり…誰も助けてくれない」
ほむら「勝てない…。絶対に…永遠に…」
ほむら「……もう何十時間…いえ何百時間…経ったかしら………」
ほむら「逃げ続けなきゃいけないのに……もう姿を消す…勇気も……体力も…」
魔女「……」ニタニタニタ…ガシッ
ほむら「腕…捕まっ…!?」ズズ…ズズズズ…
ほむら「何…意識…遠く………そっか…魂…吸収……」ズブズブ…
ほむら「……殺したい……まどかを…!…これ………魔女の意…思……?」
魔女「グオオォォオオォオオ!!」ピシピシッ…パリンッ
ほむら「また……空間を……移動する…………そっか……私の願い…」
ほむら「世界線……超えて……まどか………助け…」
ほむら「呪いは……世界線を…超え……まどか…殺し続ける……事…?」
ほむら「そん………嫌だぁ……」パァ……フッ…
(´・ω・` )
ほむら「もう……絶望…しか………」
ほむら「うぅ……助けて…まどかぁ……」
ほむら「まどかぁ――――――――――――――!!!!!!!」
バシュゥゥゥゥゥ…パアアァァァァァァァ――ッ!!
魔女「グオオオォオオォオォオオオォオオオ…………」
ほむら「私の…魔女……光に……今の…金色の矢は!」
「おいおい、ホントに出口があるじゃねーか!」
ほむら「あ…」
「こんな形で誓いを果たしちゃうなんて、ビックリしたよっ」
ほむら「あぁ…」
「ずっと貴女を待ってたわ…大丈夫?」
ほむら「…あああ!」
「助けを呼ぶ声、聞こえたよ………ただいまっ」
ほむら「…っ………おかえりっ…!」
魔法勇者☆まどマギカー 完
たとえ数千、数億、いつかの未来で宇宙が滅びてもほむほむが幸せになればそれで良し
乙
おまけ
ドオオォォォォォォォォォォンッ!!…ズン…ズン…
まどか「ほむらちゃん…あれは何!?魔法が効かないよ!」
ほむら「あれは…魔女では無いわ…より人間に近い存在」
ほむら「ブラフマン…!」
詢子「そこをどきなさい!!アンタたち!!!」ドシンドシンドシンドシン!!
まどか「ママ!?そのロボットは!?」
知久「マ…詢子!アナライズ完了したよ、データを送る!!…ユーハブコントロール!!!」
詢子「アイハブコントロール!!!任せて知久!…シナプス弾撃!!!!」
バシュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……
まどか「パパとママって…何者なんだろう…!?」
ベターガール 未完
これって元ネタとかあるの?
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