ほむら「相合傘がしたいからわざと傘を忘れていったのに」(240)

まどか「わー。予報通り凄い雨になったね」

さやか「あれまどか、今日は傘じゃないの?」

まどか「うん! 今日はおニューのカッパ持ってきたの!」

ほむら(おわた)

ほむら「はあ……」

ほむら(なんだかもう何もかもどうでもいいわ)

ほむら(このまま雨に濡れて帰りましょう……)

マミ「傘もささずに帰ったら風邪をひくわよ」

ほむら(……巴マミ)

ほむら「貴女にとっては私が弱った方が都合がいいんじゃないかしら」

マミ「そうね。確かにその通りかもしれない」

ほむら「それならどうして傘を差し出すのよ」

マミ「さあ?」

ほむら「さあって、貴女ね……」

マミ「いいから帰りましょう。時間が経つとますます雨がひどくなるらしいわよ」

マミ「もう少しこっちに寄ってきたら? 肩が傘からはみ出ているわよ」

ほむら「……」

マミ「もしかして照れてる?」

ほむら「……そんな筈ないでしょう」

マミ「ふーん……。捉え所の無い子だと思っていたけれど、貴女にも可愛いところがあるのね」

ほむら「だから照れてなんていないったら」

マミ「それならもっとこっちにきたらどうかしら。その方が合理的よ?」

ほむら「……」

マミ「私が言えた義理じゃないけど、素直じゃないわね」

マミ「……折角だし、何かお話でもしない?」

ほむら「……」

マミ「じゃあしりとりね。まずはしりとりのりから」

ほむら「リブ」

マミ「ブッタ」

ほむら「タン塩」

マミ「丘」

ほむら「カルビ」

マミ「ビサ」

ほむら「ササミ」

マミ(何これ? 牛肉の部位名ばかり言っているのはわざとなの?)

ほむら「早く“ほ”が付く言葉を言って欲しいわ。そうしたらホルスタインで締めるから」

マミ「今確かな悪意を感じたわ」

ほむら「あら。ようやく気がついたの?」

マミ「暁美さん、貴女ねぇ……」

ほむら「いくら話題が無いからっていきなりしりとりは無いわよ、しりとりは」

マミ(何よそれ……! 険悪な仲を少しでも改善しようと私なりに頑張ったのに!)

マミ「はあっ……、止めたいなら止めたいって言ってよね」

ほむら「……本当に心の底からやりたくないなら、端から付き合ったりしないわよ」

マミ「えっ?」

ほむら「……」

マミ(今のって、遠回しなデレ?)

ほむら「さっ、さあ、足を止めていないで行くわよ。雨の降る中立ち止まっていたくないわ」

マミ(そっか……。ふふっ、やっぱり案外可愛いところのある子じゃない)

ジュドーさんのSSはひと味違うな

マミ「雨、本当に凄いわね」

ほむら「そうね」

マミ「私髪に癖があるから雨って嫌いだな。癖がますます酷くなるもの」

ほむら「私は……、私も、雨は嫌い。カッパがあるから」

マミ(カッパ?)

ほむら「でも―――」


ざああああああああああっ


マミ「ごめん暁美さん! 車が水を弾く音でよく聞こえなかった! もう一度言ってくれる?」

ほむら「……何でもないわ」

マミ「ええーっ!? 何よそれ、気になるじゃない!」

ほむら(―――でも、貴女とこうして歩くのは、思ったよりも悪くはない)

マミ「あら? 暁美さん、あなた車道に面した側が、身体中びしょびしょじゃない!」

ほむら「さっきの車が盛大に水を跳ねていったから。
      普通女の子をエスコートする時は、自分が車道側に立って守ってやるものよ?」

マミ「……私も女の子よ」

ほむら「そういえばそうだったわね」

マミ「貴女って本当に……、なーんて、馬鹿言っている場合じゃないわね。
    このままじゃ本当に風邪をひいてしまうわ。家はここから遠いの?」

ほむら「歩いて20分ぐらいかしら?」

マミ「そう。なら一度私の家に寄りなさい」

ほむら「貴女の家に?」

マミ「ええ。身体を温めて服を乾かした方がいいわ」

ほむら「別にそんなことしないでも……」

マミ「駄目よ。これで風邪でも引かれたら後味が悪いわ」

ほむら「……密室で2人きりになっても襲わないでね?」

マミ「それは約束できないかな」

ほむら「……」

マミ「ちょっと! せっかく貴女のフリにのってあげたのに素で引かないでったら!」

マミ(それにしても私の家に他の人間がいないことをどうして知っていたのかしら)

マミ(……まあいっか)

――――


ほむら「おじゃまします」

マミ「あっ、少し玄関で待ってて! タオルを取ってくるわ!」

ほむら「ええ」

ほむら(変なことになってしまったわね)

ほむら(まさかこうして巴マミの家に上がることになるだなんて)

ほむら(……)

ほむら(まったく、巴マミはいつだってお節介なんだから)

ほむら(もしもまどかが最初の世界で魔法少女になっていなければ、もしかしたら私は……)

ほむら(あり得ない可能性だけど、ひょっとしてひょっとしたら、巴マミの為に……)

マミ「お待たせ。それで身体を拭いてから上がってね」

ほむら「ありがとう」

マミ「タオルをとってくるついでにお湯を溜め始めておいたわ。入れるまで10分ちょっとかな?」

ほむら「お風呂? これはいよいよ私の貞操の危機ね」

マミ「だから暁美さんは一体どんな目で私を見てるのよ!」

ほむら「冗談よ冗談。貴女はそんなことができる人間じゃない」

マミ「当たり前よ!」

ほむら「……」

マミ「……」

ほむら「なんだかこうしてると、互いにわだかまりを抱えているのが嘘みたいに思えてくるわね」

マミ「……そうね。いっそ本当に嘘にしてしまえたらいいのにね」

相変わらずのむすっとした顔で熱いシャワーを浴びてそう

マミ「お風呂に入る前に紅茶でもいかが?」

ほむら「ぬるめの紅茶ならいただくわ」

マミ「紅茶はある程度以上熱い方が美味しいわよ」

ほむら「……猫舌なのよ」

マミ「ふーん……」

ほむら「何よそのにやにやした顔は」

マミ「別にー。ただ少しイメージと違っていて面白いなって」

ほむら「体質なんてそんなものよ」

マミ「ラーメンとかもふーふーしてから食べるの?」

ほむら「ご想像にお任せするわ」

マミ「ふふっ、本当に不思議。話している内にどんどん貴女のことが身近な存在に感じられてくる」

マミ「ん……、そろそろお湯がいい頃かしら」

ほむら「そう。それなら入らせていただくわ」

マミ「……」

ほむら「何かしらその物言いたげな表情は」

マミ「あ、あのね、変な意味じゃなくって……」

ほむら「……」

マミ「一緒に入らない?」

ほむら「……」

マミ「あああっ! 露骨に距離をとらないで! 本当に変な意味なんてないのよ!」

マミ「ただ……、私、魔法少女のことがあって修学旅行の類を欠席し続けていたから、
     同年代の誰かとお風呂に入った経験が1度もないのよ」

マミ「だから正直、そういうのに憧れていて、暁美さんさえ良ければ……」

ほむら「別にいいわよ」

マミ「そうよね、そんなの駄目に……えっ? いいの!? 本当に!?」

ほむら「こんなことぐらいで恩を売っておけるなら安いものよ」

マミ「ありがとう暁美さん!」

ほむら「直前の私の言葉を聞いていなかったの? 私は貴女に恩を売るために―――」

マミ「それでもよ。嬉しいなぁ……、ありがとう」

ほむら「……どういたしまして」

ほむら(調子狂うわね……)

――――


ほむら「……」

ほむら(お湯が肌へ沁みるわ……)

ほむら(温かいを通り越して、いっそ痛いぐらい)

ほむら(自分で思っていた以上に身体が冷えていたようね)

「暁美さん、入るわね」

ほむら「どうぞ」

マミ「はあーっ、湯気があったかい」

ほむら「お風呂場の外とは気温が違―――って、ちょっと待ちなさい!
      貴女なんて格好してるのよ!?」

マミ「えっ?」

ほむら「素っ裸というのはさすがにちょっと……。身体にタオルぐらい巻きなさいよ」

マミ「そっ、そういうものなの?」

ほむら(……改まって聞かれると、私も野外活動の類には出られていなかったから今一つ自信が)

ほむら(それにしても……)

マミ「……?」

マミ(な、何かしら……、じっとこっちを見て……)

ほむら「不公平だわ」

マミ「へっ?」

ほむら(どうしてこんなに胸の大きさに差があるのよ!)

ほむら(同じ人種だっていうのにこんな格差、ずるい)

マミ「あ、ああ、もしかして胸のこと」

ほむら「……ええ。恥を忍んで聞くけれど、何か大きくするコツみたいなものはないのかしら」

マミ「さあ……。気が付いたらこうなっていたから」

ほむら「世の中不公平すぎるわ」

ティロフィナーレっ
ふぅ・・・

マミ「不公平だっていうなら、私は暁美さんの髪が心底羨ましいわ」

ほむら「髪が?」

マミ「ええ。さらさらしていて綺麗で……。何か特別なことでもしているの?」

ほむら「特には……」

マミ「世の中不公平すぎるわ」

ほむら「……」

マミ「……」

2人「ぷっ……」

ほむら「勝手に真似しないでよ、もうっ!」

マミ「あははっ、ごめんなさい! ちゃんと暁美さんに似てたかしら?」

ほむら「そうね、、悔しいけれどとってもよく似ていたわ」

マミ「これで急に一発芸を振られても大丈夫になったわね」

ほむら「どうせそんな機会ないでしょうに」

マミ「痛いところを突くわね……。でもそれはお互い様でしょ?」

ほむら「まさかボッチにボッチを指摘される日がくるなんてね」

マミ「……ボッチなんかじゃないわよ」

ほむら「まさかQBがいるとでも言うつもり?」

マミ「そうじゃなくて……」

マミ「貴女と私で2人でしょ?」

ほむら「……」

マミ「……」

ほむら「……」

マミ「……」

ほむら「……うん、そうだね」

――――


ほむら(はあっ、いいお湯だった)

ほむら(私の家のお風呂もこれぐらい広ければいいのに)

マミ「そうそう。勝手かもしれないけど服は干しておいたわ。
    ひとまず私の部屋着を使ってちょうだい」

ほむら「分かったわ」

ほむら(ああ、心なしか胸のあたりがぶかぶか……)

マミ「それで、この後はどうする? なんならお夕飯ぐらいは振る舞うわよ」

ほむら「夕飯……。焼き肉か何かかしら」

マミ「だから貴女の私に対する肉イメージは一体何なのよ!?」

    l:::|::::::::::::::::::::::::::::::::::、::::::::::::}::::::|:l|::::::::::::::::::::::::::ト.
     |:::|:::::::::::::|::::::::ハ:::::::N:::::::::::ハ:斗七::アヽ:|l:::::::::|:l
     |:::|:::::::::::::|_l::斗チ::升 ヽ::::/  ∨-‐∨  Y:::::::::|:|
     |:::|:::::::::::::|∧/ |/-l- 、∨    rf爪笊刈l:::::::::|:l
    ∨:::::::::::::l rf芥笊圷       弋廴ソ ||:::::::::リ
      ‘,:::::::::::::ト、  V廴ツ       ///ヽ|l:::::::::|  ほ
        、:::::::::|ヒヘ ///ヽ    '        ノ|:::::::::|  む
  ほ    l::::::::|`ー'、        -‐(   ....:::::::|:::::::::|
  む    |::::::::|:::::::::>- __      イ__:::::::::|:::::::::|
       l::::::::|::::::::::::::::::::rf_」_  ̄ _}ノノ}::::::l:::::::∧
      ∧::::‘,::::::::::::::::::::〉 ̄ ̄`Y´ ̄ ̄ (__::/::::::∧:ヽ、

      /::∧::::<工工二 -- 、_人_ -─‐-/::::::/ー─-

ほむほむ変態化☆


ほむら「巴マミ!」 ガバッ

ほむら「そそそ、そんな格好でくるってことは誘ってるんでしょう!?」

マミ「あ、暁美さん!?」

ほむら「お望みどおり!めちゃくちゃにしてあげるわ!」

マミ「よしなさい!暁美さん!」

ほむら「こんなに大きな胸ぶらさげて!見せつけてるんでしょ!ぺろっ!」

マミ「あっ…落ち着いて!ダメよ!だめ!」

ほむら「知ったことではないわ!ちゅるっ!」

マミ「あっ…暁美さん!おっぱい吸っちゃだめ!」

ほむら「ダメ!じゃないでしょう!こんないやらしい体してからに!キスしてあげるわ!」

マミ「えっ…!?」

ほむら「目を閉じなさい…ちゅっ」

マミ「んっ…ちゅっ、暁美さん…?」

変態ほむほむは想像つかんね保守

マダカァー!

ほむら「まどか!私の足を嗅ぐのよっ!!」まどか「臭いよぅ・・」グス
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1306574402
ほむら「まどか!私の足を嗅ぐのよっ!!」まどか「臭いよぅ・・」グス
ほむら「まどか!私の足を嗅ぐのよっ!!」まどか「臭いよぅ・・」グス



誰か書いてくれたらそれはとっても嬉しいなって

まどか「あの、その・・///・・ほむらちゃんって・・//」


ほむら「まどか、お医者さんごっこしましょ」

ミス

     /: : : /: : : : : : :/: : : : : : : : /: : |: : : : |///////∧: : |: : : : : ヽ
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  i: : |: : /:从: : / |: : : : : : :.:|: : : : : : : : : : :|: : : : |///人/////∧.: : : : : : :i

  |: /|: :|メ、|: /  |: : : : : :/ !: : : : : : : : : : :|: : : //: : : : \///∧: : : : : : :i
  |:/ |: :|卜、Y   |: : : : :/ |: : |: : : : : : : : |: : : : :| : : : : : : |: \/∧ : : : : : i
  |( |: :| /ひ、   |: : : :/ |:/| : : : : : : : |: : : /:|: : : : : : : |: : : |\|: : : : : :l
  |  l: :| 〈ツ ′  |: : / __|/ |: : : : : : :|: :/: :| : : : : : : :|: : : | : : : : : : : l
     冫!        |: / >、 ̄卞ー‐-:.: :|: :/: :/ : : : : : : /: : : | : : : : : : : !    まだかい?
.    { ,,   ′    /   / )\ |: : : : : : :l: : :〃: : : : : : /: : : : |: : : : : : : /
     、  、       {{:じ:/》| : : : : : /: :〃: : : : : :〃:: : : : :!: : : : : : :/
─━━━━t'ヽ、    ,, \シ |: : : : : /-≠、: : : ,イ : : : : : :,' : : : : : :/
      `  `ヽミッ   ′ ,,,  |: : : : //⌒ }: /: / : : : : : /: : : : : : /
       ヽ              |: : : /_/ ノ: : : : /: : : : : :/: : : : : : /
          `  ‐-、  ― |: : /ー-<_: : : : : / :: : : : /: : : : : : /
                  ∧ /|: /      `ー、/: : : : :/: : : : : : :/
                 // 乂-‐|/ ー´ ̄ ̄⌒ヽ \: : :/: : : : : : :/
               ///   /-‐  ̄ `ヽ   \\_ : : : : : :/
            //, -'"          \  `ー-、i: : : :/

あんこちゃんの様子

――――

杏子「ポッキーうめぇ……。うめぇけど……、侘しい」

杏子「雨、止まないかな」

杏子「このまま降り続くようならどこかから傘を拝借して―――」

「……」

杏子「ああ? なんだテメェ?」

「……」

杏子「へ? 傘? それをあたしに?」

「……」

杏子「……いるかよそんなもの。使い魔なんかから施しを受けるなんて、あたしのプライドが許さねえ」

アンソニー「……」

杏子「アンタも集団からはぐれて1人ぼっちになっちまったのか?」

アンソニー「……」

杏子「そっか。ま、雨が止むまでの間ぐらいなら……、ペット代わりに隣に置いてやってもいいかもな」

>>73の続き

――――


マミ「はい。お夕飯お待ちどおさま」

ほむら「あら。美味しそうな“ビーフ”シチュー」

マミ「ビーフを強調しないでちょうだい!」

ほむら「ふふっ、ごめんなさい。大袈裟に反応してくれるのが面白くて、つい」

マミ「……もう絶対に反応しないわ」

ほむら「こんなことぐらいで拗ねちゃうなんて大人げないわね」

マミ「ふーん……」

ほむら「でも貴女のそういうところはどちらかというと好きよ」

マミ「ええっ!?」

ほむら「それじゃあいただきます。……うん、このビーフシチュー、牛の旨みがよく出ていて美味しいわ」

マミ「そ、そそ、それは良かったわ。じゃなくて! しかもまた牛強調してる!」

ほむら「私のからかいにはもう反応しないんじゃなかったの?」

マミ「暁美さんの意地悪……。いただきます」

ほむら「貴女ってこんな料理が作れるのね」

マミ「1人暮らしをしているとどうしても上達しちゃうのよ」

ほむら「そんなことないわよ。物ぐさが1人暮らししても、
      出来合いのもので済ませちゃうからてんで駄目」

マミ「そういうものなの?」

ほむら「ええ。そしてそういう人間の1人暮らしで高まる食に関するスキルといったら、
       せいぜいが半額弁当の確保術ぐらいなものなのよ」

マミ「いやに実感がこもっているけど、暁美さんってもしかして……」

ほむら「わっ、私は一応料理するわよ! もやしの炒め物とか、卵かけご飯とか……」

マミ「後者は料理とは言わないと思うわ」

ほむら「……できあいのものがそこそこ美味しいのが悪いのよ」

マミ「じゃあ、私の料理とできあいのものならどっちの方が美味しい?」

ほむら「それはまあ……、貴女の料理の方が美味しい、けど」

マミ「でしょ? せっかくなら自分の手で美味しいものをつくった方がお得だと思うけどな」

ほむら「そんな面倒な……」

マミ「そうだ! いいことを思いついたわ!」

ほむら(更に面倒なことを言いだしそうな予感がひしひしとする)

マミ「今度暁美さんに料理の仕方を教えてあげる!」

ほむら「いえ、結構よ」

マミ「遠慮する必要なんてないわよ!」

ほむら「遠慮じゃなくて、本気で……」

マミ「1人暮らし料理体験コースってところね!」

ほむら「どうして貴女は妙なところで押しが強いのよ……」

マミ「お料理ができないと将来結婚しようとした時に困っちゃうかもよ?」

ほむら「私は料理のできる可愛い嫁をもらうからいいのよ」

マミ「夫、でしょ。嫁は貴女の方じゃない」

ほむら「……」

マミ(なっ、なによその沈黙は!?)

ほむら「……一般的にはそうかもしれないわね」

マミ(一般的にはって、じゃあ貴女は何なの!?)

ほむら「とにかく、私は料理はいいの」

マミ「そんなに私と料理するのは嫌……?」

ほむら「いや、別に貴女と料理をするのが嫌なわけじゃ……」

マミ「本当に!?」

ほむら「どちらかというと私は料理そのものが……」

マミ「それならやっぱり料理体験コースは開催決定ね!」

ほむら(少しは人の話を聞きなさいよ!!)

マミ「初めての人がつくるなら何がいいのかな」

ほむら「おーい」

マミ「味が誤魔化しやすい料理がいいかしら」

ほむら「もしもーし」

マミ「よし、決めた! 第一弾は肉じゃがにしましょう!」

ほむら(……ま、いっか)

ほむら(巴マミがこんなに楽しそうにしてるところなんて、滅多に見られないし)

マミ「そういうことでいいかしら、暁美さん?」

ほむら「ええ。どうせならうんと美味しい肉じゃがの作り方を教えてちょうだい」

マミ「任せておいて! こう見えて、人に何かを教えるのは得意な方なの」

ほむら(……知ってるわ)

ほむら(私に戦い方を教えてくれたのは貴女だもの)

マミ「……あら? そういえばさっきから雨の音がしないわね」

ほむら「雨雲が通り過ぎたのかもしれないわね」

マミ「これでもう帰っちゃうのよね……」

ほむら「何よ。泊まっていけとでも言うつもり?」

マミ「流石にそれは! あ、でも、暁美さんがそうしたいって言うなら……」

ほむら「本気で言ってるの?」

マミ「……うん」

ほむら「グリーフシード目当てで寝首をかかれる可能性とか考えないわけ?」

マミ「貴女はそういうことはしない子よ。今日一日でそれが分かったわ」

ほむら「けっきょくお人よしなんだから、貴女はもう……」

ほむら(しっかりしているんだかないんだか……)

ほむら「私にはやるべきことがある。泊まっていくことはできないわ。でも……」

ほむら「紅茶を飲みながら美味しいケーキを食べるぐらいの余裕なら」

マミ「ふふっ、それじゃあとびっきり美味しいぬるめの紅茶を入れてあげないとね」

ほむら「分かってきたじゃない。ぬるめがポイントよ、ぬるめが」

マミ「はいはい」

――――


マミ「はい、どうぞ」

ほむら「ん……、いい匂い」

マミ「でしょ? フルーティーで可愛らしいのにどこか上品さがある、私お気に入りの紅茶なの」

ほむら「ケーキは少し甘ったるいけれどね」

マミ「ええー。美味しいと思うんだけどな」

ほむら「……ごめんね」

マミ「へっ? 何よ急に?」

ほむら「ううん、なんでも。ただなんとなく謝りたくなっただけ」

マミ「変な子ねぇ」

マミ「貴女ってケーキの味に文句をつける程度のことを気にするような子だったかしら?」

ほむら「いえ、全然。私の謝罪の対象はもっと別よ」

マミ「あ。じゃあ牛ネタを引っ張ったことに対する謝罪?」

ほむら「それもちっとも気にしていないわ」

マミ「少しは気にしなさいよ!」

ほむら「……まあ、色々あるのよ。貴女に謝りたいことが山のように」

ほむら「ご馳走さま、美味しかったわ」

マミ「気にいってもらえてよかった」

ほむら「……」

マミ「……」

ほむら(何よその寂しそうな顔は……)

マミ「……」

ほむら(はあっ、仕方ないわね……)

ほむら「ふぁあー……。ごめんなさい、少し眠くなってきてしまったわ」

マミ「えっ? まだ8時前よ?」

ほむら「疲れがたまっていたのかしら……。もう少しだけここにいさせてもらってもいい?」

マミ「もちろんよ!」

ほむら「ありがとう」

マミ「暁美さん、ちょっと私の横にきて」

ほむら「??」

マミ「そのままそこに腰かけてくれる?」

ほむら「別に構わないけれど……」

ほむら(一体何をするつもりなのかしら)

マミ「はい。ごろーん」

ほむら(え!? ちょ!? 頭が手で引き寄せられて……)

ほむら(こ、ここ、これってまさか膝枕!?)

マミ「ゆっくりボーっとして少しでも疲れをとってもらえたらなって。
     泊まる気が無いなら、さすがにお布団には入りたくないでしょう?」

ほむら「……」

マミ「嫌だったかな?」

ほむら「ううん。柔らかくて気持ちいい……」

マミ「よかったぁ」

マミ「私ね、少し反省した」

ほむら「反省……?」

マミ「今まで貴女の第一印象を引きずりすぎていたのかなって。
    今思えば何かと刺々しく当たっていたわ」

ほむら「無理もないわよ。貴女の立場から見れば、
      QBを傷めつけていた私は超危険人物扱いされてもおかしくない」

マミ「そうかもね。でも、その印象を無闇に引きずり過ぎることは
     互いの為にならないとも感じるわ」

ほむら「そう……」

マミ「だからこれからは……、もう少し仲良くしましょう」

ほむら「……」

マミ「考え方の違いはあるかもしれない。いつかはきっと衝突しあうことだって。
     それでも、分かり合おうとするとしないとでは、結果は大きく違ってくると思うから」

ほむら「そうね。私も貴女とは、できれば……」

マミ「できれば?」

ほむら「……仲良くしたいな」

マミ「髪を撫でてもいいかしら」

ほむら「ええ。優しくしてね」

マミ「分かってるわ。……うん、やっぱり思った通りさらさら」

ほむら(膝枕で、頭撫でてもらって……)

マミ「よしよし」

ほむら(なんだかとっても気持ちいい……)

マミ「……あら?」

ほむら(だんだん本当に、眠、く……)

ほむら「すー……、すー……」

マミ「寝ちゃった。本当に疲れがたまっていたのね」

ほむら「すー……、ん……」

マミ「寝顔、可愛いな……。起きている時とは全然違う人見たい」

マミ(いくら魔法少女とはいえ暁美さんだって、まだ私より年下の女の子なのよね……)

マミ(もっと優しくしてあげるべきだったなあ)

ほむら「まど……」

マミ「あら? 寝言かしら?」

ほむら「パン……」

マミ「どういう意味?」

ほむら「マミ……」

マミ「あ、わ、私!?」

ほむら「パイ……」

マミ「……聞かなかったことにしておきましょう」

ほむら「すーすー……」

マミ(このままだと風邪引いちゃいかねないわよね)

マミ(仕方ない。やっぱりお布団に寝かせてあげるか)

マミ「少しの間床に寝転がしちゃうけど我慢してね」

ほむら「ん……」

マミ「よいしょ、と」

――――


ほむら(……あ、あら? いつの間にか部屋が真っ暗に)

ほむら(もしかして私、本当に寝てしまって……)

ほむら(というか、ちょっと、ええっ!?)

ほむら(何この状況!?)

マミ「くー……、くー……」

ほむら(おおおお落ち着いて現状を整理しましょう)

ほむら(状況1:私はどうも本当に寝てしまったらしい)

ほむら(状況2:巴マミが運んでくれたのか、私は布団の中にいる)

ほむら(状況3:巴マミが……、私を抱きしめながら寝ている)

マミ「んぅぅ……」

ほむら「と、巴マミ!? 胸が押し付けられてる押し付けられてる!」

ほむら(ノンケですらキツそうな状況よ、コレ!)

ほむら(とりあえず、巴マミの腕の中から脱出―――)










マミ「……行かないで」

ほむら「へっ……?」

マミ「お願い、行かないで……」

ほむら「起きてたの!?」

マミ「ええ……。腕の中で暁美さんがごそごそ動いているから目が覚めてしまったわ」

マミ「ごめんなさい。いきなりこんなことを言われても戸惑ってしまうわよね……?」

ほむら「……」

マミ「私ね。今日、とっても楽しかったんだ」

マミ「自分は魔法少女だからって、基本的に他人とは距離を置いてきたから……。
    誰かをお家に上げるのも、料理を振る舞うのも、QBを除けば暁美さんが初めてだった」

ほむら「そう……」

マミ「もちろんこうして誰かのぬくもりを感じるなんて、もってのほかで……」

マミ「……寂しいのは嫌。本当はいつも誰かそばにいて欲しい」

ほむら「……」

マミ「だからお願い。どうか今夜一晩だけでも私の傍にいて。お願い……」

ほむら「本当に馬鹿なんだから」

マミ(あ……)

マミ(暁美さんの方から、抱きかえしてくれた……)

ほむら「本当は特別強くなんてないくせに人一倍無理しちゃって」

マミ「……うん」

ほむら「貴女は理想主義すぎるのよ。
      ……そんな脆い貴女だからこそ、私はこうして抱きしめているのかもしれないけれど」

マミ「……」

ほむら「ずっと傍にいるなんて無責任な約束はできない。
      いつか貴女と対立する可能性も否めない」

ほむら「でも安心して。今あなたの腕の中にあるぬくもりは本物よ。
      少なくとも、今日1晩だけは」

マミ「……ありがとう」

ほむら「ううん。それよりごめんね、こんなことぐらいしかできなくって」

マミ「いいの。十分よ。自分の為に何かをしようと思ってくれる人がいるってだけで、私は……」

ほむら「特別強くないなんて言ったのは訂正するわ。やっぱり貴女は、強い」

ほむら(そして真っ直ぐすぎる……)

ほむら(だからこそ、時に脆く折れやすくなってしまうのかもしれない)

ほむら(彼女は人を甘えさせる包容力を持っている)

ほむら(でももしかしたら、巴マミのような人にこそ、甘えられる存在が必要なんじゃ)

――――


翌朝目が覚めると、暁美さんは既に布団の中から姿を消していた

「嘘つき……。1晩一緒にいてくれるって言ったのに」

なんて1人ごちたものの、本当はちっとも彼女を怨んでなどいない
だって昨夜の寝付きは、魔法少女になってから今日までの中で一番安らかなものだったから

「とりあえず、朝食を用意しないと……、かな」

私はもぞもぞと身を起こし、布団から抜け出した
そうして寝ぼけ眼を擦りつつコンロの方へ向かおうとし、そこではたと異常に気がつく
―――何やら焦げ臭いにおいがする

ほむほむ・・・

コンロの前には、青い顔をした暁美さんが立っていた
どうもこの焦げ臭いにおいは、彼女が持っているフライパンから立ちこめているようだ
彼女は私の存在に気がつくと、焔のように顔を赤くして弁解を始めた

「ち、ちち、違うのよ巴マミ! これはえーっと、東京の郷土料理。そう、郷土料理なの」

黒く焦げた卵を前に苦しい言い訳を展開していく

「癌になりそうな郷土料理ね」

「危険なものほど味わい深いという、人生の真理を凝縮した卵料理よ」

暁美さんは捲し立てるような勢いで適当な方便をかざし、これでどうだと居直った
でも、これはちょっと流石に―――、

「無茶ありすぎ」

「……卵を無駄にしてごめんなさい。失敗したわ」

彼女はようやく素直に謝ってきた
普段の凛とした姿とのギャップがおかしくて、私は思わず噴き出しそうになった

「それにしても、東京って?」

「あ、言ってなかったかしら」

暁美さんは可愛らしく小首をかしげながら尋ね返してきた
声には出していないが、話が料理のことから逸れてホッとしているように見える

「私こっちに越してくる前までは、東京のミッション系の学校に通っていたのよ」

「東京の……、ミッション系!?」

というとあれかしら!? 凄くお嬢さまな雰囲気で、学校の校舎はとてもお洒落で!
戦前から伝わるロマンチックな伝説なんかもあって!
おまけに謎に満ちた旧校舎なんかもあって!

「あの、巴マミ? 何かしらその間違った羨望に満ちたまなざしは」

「いいわね東京のミッションスクール! 凄く良い!」

「そう特別なものじゃないわよ……」

でも……
そうか私、こうしてみると暁美さんのこと本当に何も知らないのね
昨日少し仲良くして、彼女のことを多少は理解できた気になっていたけれど、実際には全然―――、

「これからもっとお話しして、お互いのことを理解しあっていけたらいいわね」

「えっ? 暁美さん、今なんて……?」

「ん? だから、これからもっとお話しして理解し合えたらなって」

「でも暁美さん、傍にいるのは1晩だけって……」

「保証できるのが1晩だけというだけよ。それを過ぎたら貴女から離れていくとは一言も言ってないわ」

「あ……」

「少なくとも……、卵がまともに焼けるようになるまでは、一緒にいて欲しいかな」

言いにくそうにに、恥ずかしげに、暁美さんがぼそりと呟いた

「つまりずっと一緒ってこと?」

「ばっ、馬鹿にしないでもらえるかしら!?
  私なら……、そうね、きっと3日以内には焼き料理をマスターできるわ」

意地をはってみせる暁美さんの姿は、いつもより少し子供っぽく映った

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 マ    .ゝ∨ / ||        " 丿/ノ--冖 ̄ __,,,,....-─¬ ̄
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