アニ「優しい人」(174)
書きます。
よろしくお願いします。
あの時...
私は...
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
「ねぇ、隣いい?」
――ほっといて。
「別に...いいけど。」
ミーナ「私、ミーナ。ミーナ・カロライナ。
よろしくね。えーっと...名前は?」
――名前なんて別に...
アニ「アニ。...レオンハート」
ミーナ「そ、そう。アニって言うんだ。よろしくね。」ニコッ
――笑ってる...。笑顔なんか...
アニ「...。」
ミーナ「夕食の時間なんだけど誰も一緒に居てくれる人がいなくってさぁー。」エヘヘ...
――どうせ...そんなことだろうと思った
アニ「...。」ジロッ
ミーナ「そ、そんなに睨まないでよ。アタフタ...
友達になれたらなあ...なんて思って声かけてみたの...。
迷惑だった...よね?」
――友達?...私が?
アニ「別に。...迷惑じゃないよ。」
ミーナ「そう!これからも仲良くしてね、アニ。」ニコッ
――仲良く...か...
ーーーー
ーーー
ーー
ライナー「それ以上伸長を縮めたく無かったら
ここに来た時を思い出して真面目にやるんだな。」
――余計な世話だね。
「は?なんだその言いぐさ...」
ライナー「そら!始めるぞエレン!」
――苛つく。
エレン「アニ?...訓練のやり方は知ってるだろ?」
――へぇ...。あんたが最初かい。
エレン「行くぞッ!」ダッ!
――力が全てじゃないんだよッ!!
ーーーー
ーーー
ーー
「また始まったぞ!」
「ジャンとエレンの喧嘩だ!」
――馬鹿らしい。
バンッ!グルッ...ドタッ!!
ジャン「くッ...いってなッ!!てめえ、何しやがった!!」ガバッ!
エレン「お前がちんたらやってる間に痛い目に遭って学んだ格闘術だ。」
――!!...覚えるんだね。あいつも。
ーーーー
ーーー
エレン「なあ、ジャンの奴...流してると思うか?」
――あんたに...やられた後だからね
アニ「そうは見えないけど。あんたに一泡吹かそうとしてる。」
エレン「しかしどうだ俺の蹴り技は?見よう見まねだがうまく決まったよな?」
――なんでこんなに嬉しそうなんだか...。
アニ「は...全然駄目。」
アニ「そんなにこの技が気に入ったなら、教えてやってもいいけど?」
エレン「え?やだよ。脚蹴られんの痛いし。」
――こいつ...本当に...死に急ぎ野郎だよ。
アニ「遠慮しなくていいって。」
バンッ!!グルッ...ドサッ...。
――楽しみが...できたかも...
ーーーー
ーーー
ーー
――風が気持ちいい。
アニ「...。」ペラッ.........ペラッ...
「やあアニ。読書かい?」
――あんたか...。アルミン。
アニ「私だって本くらい読むんだよ。何か用?」
アルミン「そういうつもりで言った訳じゃないよ。アセアセ...
意外だなって思ってさ。
てっきりアニは体動かす方が好きなのかと思っていたよ。」
――まったく。...もう少し人をみる目があるやつだと思ってたよ。
アニ「それで?あんたは人の読書を邪魔しに来たの?」
アルミン「そうじゃないよ。僕は小さい頃から本が好きでね。エレンみたいに活発に動けるタイプじゃ無かったから...。」
アルミン「よかったら、今度お奨めの本教えてあげるよ。///」
――聡明そうなのに意外と口べただね。あんた。
アニ「...。」クスッ
アニ「ああ。今度そうしてよ。今はこれを読んでいるから。」
アルミン「ほんと?本当にいいんだね?//...なかなか、本の良さを解ってくれる人がいなくてさ。嬉しいよ。」
――まわりに恵まれないのは...似て非なるってとこか...
アニ「じゃあさ。今度書庫で本、選んでよ。」
アルミン「勿論さ!」ニコッ
アニ「二人きりで。」
アルミン「!!...え?//...いや//あの//.../////。」
――ナヨナヨしてるかと思ってたけど...
アニ「私と二人は嫌?」ジー。
アルミン「いや///...そう言う事じゃなくて...////...ごめん!出直して来るッ!!////」ダッ!...
――意外と男だね...あんた
アニ「...。」クスッ...フフッ
ーーーー
ーーー
ーー
「アニ。今日はあなたも当番だったね。」ニコッ
「はっ。氷の女王様と一緒かよ。」
――女神と番犬か。
クリスタ「ちょっとユミル!アニが可哀想でしょ!そんなこと言わないの。」
――あんたは、誰にでも優しいね。ヘドが出るくらい。
アニ「無駄話はこれくらいにして、さっさと馬に餌をやらないと。」
クリスタ「じゃあ、私は桶の飲み水の入れ替えを...」
ユミル「水汲みなら私がやってやろうか?クリスタ。」
――またこれだ。
アニ「あんたがやりなよ。クリスタ。」
ユミル「あ?」ジロッ
アニ「自分で言い出したんだろう?」ジロリ
クリスタ「そうね。勿論、自分でやるわ。
ユミルはアニと干し草を馬にあげててね。行ってくるね。」スタスタ...
ユミル「重たかったら言えよー。...」
ユミル「...おい。お前はどう言うつもりだ?」
アニ「何が?」ガサッ...ガサガサ
ユミル「ああいう場合、私が...」
――そうやってクリスタの事になると
正当化しようとするあんたが嫌い。
アニ「...ねえ。あんたさ」
ユミル「なんだよ。」
アニ「一生、クリスタの面倒みる気?」
ユミル「極論だな。...ああ。みれる限りな。」
アニ「それでいいの?...あんたが、だよ。」
ユミル「悪いか?お前には関係ない話だ。」
――自分の意見はすぐに濁す。
アニ「質問は私がしてるんだよ。」
ユミル「やけに絡んでくるなあ...。お前はそんなに喋るやつだったか?」
――なんで私はこんな事をきいてるんだろう。
アニ「...その内、別れが来る。その時...」
ユミル「なにを湿気た話してんだ。お前は。」
――羨ましくなんて思わないけど...
アニ「...覚悟が鈍るよ。それとも、心中でもする気かい?」
ユミル「ふざけんなッ!!」
ユミル「私はな!...決めたんだ!
自分の為に生きると。...今のクリスタは私の生きる意味なんだよ。」
――生きる意味...
アニ「...。」
ユミル「私は...私の為に生きたい。あいつの為にも」
――私は...何故生きる?
アニ「そう。あんたさ...意外と暑苦しい奴だね。」ボソッ
ユミル「あ゛?...てめえ...喧嘩売ってんのかッ!!」ギロッ...ガシッ
――誰かの為?...自分の為?
アニ「...。」
ユミル「私の人生にケチつけるやつは許さない。」
クリスタ「二人とも何してるのッ!」
ユミル「クリスタは黙ってろ。こいつは...」
クリスタ「やめて!仲間内で喧嘩してどうするの!」
――何の為に生きる?
アニ「放しなよ。」パシッ
アニ「私、今日は気分が乗らないから。」スタスタ...
クリスタ「ちょっと!アニ...。」
ユミル「待てクリスタ。ほっとけあんな奴。」
――私の生きる意味は...
ーーーー
ーーー
ーー
エレン「うおぉぉッ!!」ダッ!...ブンッ!
アニ「...。」サッ...
アニ「ふッ!!」ガシッ!!...
ドタッ!!...ギュゥゥギリギリ...
エレン「ぐッ...がッ...」ジタバタ
――今日も加減が無いね。こいつ。
アニ「あんたさ、もっと手加減できないの?」スゥ...
エレン「なんだって?...そりゃあこっちの台詞...」
――私が教えてやろう。
アニ「もっと学習しなよ。力の使い方と女の子との話し方を」ギュゥゥギリギリギリギリ...
エレン「がァッ...ぐッ...わかった...わかったッ!!
もう...降参...する...
覚える...から...放して...くれ」
――意外と従順だね。
アニ「そう。そんなにもっと知りたいの?」フフッ
アニ「!?」サッ
...ドサッ!!
エレン「ぐあっ!」
エレン「...なんでライナーが降ってくんだよ...。」
ザッ...ザッ...
「ねぇ、アニ...」
――来た。
アニ「...。」
ミカサ「私にも...それ...教えて。」
――避けてた訳じゃないが...
アニ「どうかな...」
――こうなる事は解ってた。
アニ「この技は人間用だからあんたに必要あるとは思えないけど?」
――こいつの事がそんなに大事?
アニ「ただ...」
――何からこいつを守る?
アニ「猛獣に通用するかどうか興味はある。」ススッ...
エレン「まじかよ...ついに...」
コニー「オイオイ...あいつらがやんのか?」
サシャ「夢のカードが!」
「ど...どっちだ?」
「やっぱりアニかな?」
ジャン「は?バカかッ!!ミカサに晩飯全部だッ!!」
ザワザワ...
...やべぇぞ。誰か止めろよ。
巻き込まれんぞ!止めとけ...
...どっちが勝つんだろ?
ミカサかしら?...
...アニだろ?
私、教官呼んでくる...
...待て待て、余計な事すんなよ!
...ザワザワ...
ミカサ「ッ!...」スッ...ブンッ!!
――右のストレート。いや...左のフック。
アニ「...ッ。」バシッ!...ブンッ!!
ミカサ「チッ...」シュ...
...ワイワイ...ザワザワ...
...アニがミカサの拳をさばいたぞ!
間髪入れずに廻し蹴りだッ!!...
...ミカサもそれかわしたぞ!
これ...次元が違い過ぎじゃない?...
...ガヤガヤ...ワイワイ...
ライナー「エレン。お前はどっちだと思う?」ムクッ
エレン「え?俺は...」
エレン「どっちだ?」
ミカサ「...。」ギロッ...ジリッジリッ...
アニ「...。」ジロリ...ザッ...ジリッ
「こらァァァーーッ!!」
ミカサ「...。」ピクッ
アニ「...?」ピクッ
ミーナ「はいはい!!やめやめ!」パンッパンッ!!
――ミーナ。
ミーナ「何やってんのよ全く。アニもミカサも...。」
ミーナ「二人がやりあったら、お互いただで済むわけないでしょ!」
ミカサ「...。」
――別にあんたには迷惑かけてない
アニ「...。」
ミーナ「それに...外野も楽しんでんじゃないわよッ!!止めなさいよ!もう!」
ジャン「...。」
コニー「...。」
サシャ「...。」
ミーナ「何があったか知らないけど...」チラッ
エレン「?」
ミーナ「とにかく、やめておきなさい。」
ミカサ「退けない。この女が...」
ミーナ「ミカサ。あなたの顔に傷でもついたらどうするのよ?」
ツカツカ...
ミーナ「恋人の顔が傷ついたら、エレンが悲しむわよ。」ヒソヒソ...
ミカサ「///。私は...」キョトン
ミーナ「それにアニも。」
ツカツカ...
ミーナ「わざわざ、火種を撒かない。そんなことしなくても充分エレンと一緒にいるでしょ。」ヒソヒソ
――まさか...私は...いや...そんなはずは無い。
アニ「///。」プイッ
ミーナ「じゃあ、問題が解決...したよね?いや...したところで、二人とも仲直りの握手!」
ミカサ「!」
――なんで私が...
アニ「...。」
ミーナ「ほらほら、早くしないと教官来るわよー。」
エレン「ミカサ!!握手だ握手!わかってんのかよ!」
ミカサ「エレン...」
ミカサ「アニ...」スッ
――馬鹿ばかしい。
アニ「...。」チラッ
ミーナ「ほら、どうするのよ?アニ?」ジー。
――全く...。負けるよあんたには。
アニ「悪かったよ。」スッ
ギュ...
ミカサ「...ごめんなさい。」
――意外と小さい手だね。この子は。
アニ「あんたから盗ろうとかそう言うんじゃないから。」ボソッ
ミカサ「え...」
――あいつをこの手で守るの?
アニ「無益な争いはしない。」
ミカサ「ええ。」
ミカサ「私もそうしよう。」
ミーナ「これでもう心配いらないみたいね。」ニコニコ
「コラァァーーッ!!貴様ら何をやっているッ!!」
一同「「「!!!」」」ビクッ!
コニー「おぉ!やっべぇ!」
サシャ「ひぇぇ!」
ジャン「終わりだ終わり!お前ら散れ散れッ!!」
ドタバタ...
ミーナ「もう!本当に来ちゃったじゃない!」
ミーナ「さあアニ!このまま訓練のペア組むわよ!」
――言おう。
アニ「あの...さ」
ミーナ「なに?」
――友達だから。
アニ「心配かけて...ごめん。」
ミーナ「気にしないの。友達でしょ。」ニコッ
――友達...。私の。
ーーーー
ーーー
ーー
ここまで。
まだまだ続きます。
おやすなさい。
――眠れない。
アニ「...?」
クリスタ「アニも眠れないの?」
――クリスタか
アニ「まあ。そんなとこだよ。」
――いつも人の心配ばかり
アニ「流石にあんた一人みたいだね。」チラッ
クリスタ「ええ。まさかこの時間までユミルと一緒じゃないわ。」フフッ
――こいつには馴れない。
アニ「じゃあ。」スタスタ...
クリスタ「待って。」
――別に話す事なんてないけど
アニ「なに?」
クリスタ「アニはユミルの事、誤解してるよ。」
――また人の世話か
アニ「別に。理解しようとも思ってないから。」
クリスタ「ユミルはあんな感じだけどね、根はとってもいいやつなんだよ...」
クリスタ「だから、ユミルといがみ合うのはやめて...」
クリスタ「少しでいいから、ユミルの事...嫌いにならないであげて。」
――嫌う?...ただ私は...
アニ「そんなのはあんたの前だから、だよ。...あいつはあんたがそばに居れば他は必要無いんじゃない」
クリスタ「そんな事無い。」
クリスタ「ユミルはもっと人の事をよく見て、よく意見をくれるよ。人の面倒見がいいんだから。」
クリスタ「私は...ユミルの良いとこがわかるの。」
クリスタ「アニにもそんなところに触れて欲しい。...ただ、そう思っただけ。」
――やっぱりヘドが出る。
アニ「あんたさ、それで私にどうしろって言うの?」
――自分の事をかえりみない奴は。
アニ「あいつと仲良くなって三人で慰め合って生きていこうとでも?」
クリスタ「何を言ってるの?そんなとこ望んでなんかない...」
クリスタ「...仲良くして欲しかっただけよ。
友達や仲間のいがみ合う所なんか見たくないから。」ジワッ...ポロポロ...
――願う。望む。...がこの子の本質か。
アニ「...。」
――願っても望んでも叶わない事もあるんだよ...
アニ「...泣く事は無いだろう?」
クリスタ「だって...」グスッ...グスッ
――泣いたって変わらない事だってある...
アニ「泣くのやめなよ。」
クリスタ「ごめん」グスッ...グスッ
――だけど...相手の想いに応えてやるのは悪いことじゃない...
アニ「...わかったよ。」
クリスタ「え...」グスッ...
――私の友達がそう教えてくれたから
アニ「クリスタ。もう、あんたを泣かせる様な事はしない。」
クリスタ「アニ...」
――私もそうしようと思う。
アニ「...仲間なんだろ?私達は...」
クリスタ「うん。」グスッ...ニコッ
――覚悟が鈍るよ。...あんた達のせいで
ーーーー
ーーー
ーー
コニー「こら!返せ!」
サシャ「隙を見せるコニーが悪いんですよ!」
コニー「それは隙じゃねえッ!!置いといただけだ!朝飯くらいゆっくり食わせろ!」
――ばか。
アニ「...。」モグモグ
ミーナ「あの二人毎朝あれだね。仲が良いんだか悪いんたか...」アハハ...
ミーナ「アニはどう思う?」
――ただの馬鹿。
アニ「...。ばか。」モグモグ...
ミーナ「え...それはそうだけど。もうちょっと柔らかい表現ないの?」クスクス
サシャ「ちょっと放してくださいよ!私のパァンですよ!」グググ...
コニー「もとは俺んだ!いい加減放せ...よ...」グググ...
スポンッ...ヒュンッ......
コニー「あ!!」
サシャ「パァーーーン!!」
ミーナ「え?」
ビチャッ...
コニサシャ「「」」
ミーナ「あ...。あーー!!私のスーープ!!」
ミーナ「あんた達何やってんのよ!もう!スープに入っちゃったでしょ!!」
サシャ「ごめんなさいミーナ!すいませんでした!」ペコペコ...アセアセ
コニー「こいつがパンを盗ろうとするからだな...」アセアセ...
ガタッ
コニサシャ「「!」」ビクッ
――まったくどこまで行っても馬鹿だ。
アニ「コニー。ミーナに謝りな。」
コニー「なんでだよ!どう見てもサシャが悪いだろ?これは」
――こんなのは私の意思には反するけど
アニ「そう。だったら...地べたに這いつくばって謝ってみるかい?」ジロッ...ススス...
コニー「お、お、おい!ちょっと待て!!
わかったッ!!わかったよ!ちゃんと謝るから!!
構えるなって!!」ビクビク
――友達の為だ。
アニ「...。」スッ...ストッ
コニー「ミーナ悪かったよ。ほら俺のスープと交換だ。
まだ手をつけてねえから安心してくれ。」
ミーナ「いいよ。ニコッ
サシャもコニーも仲が良いのは分かるけど、もう少し落ち着いてね。集団生活だし。」
コニサシャ「「はい。」」
サシャ「もう!コニーのせいで朝からヒヤヒヤしたじゃないですか。」
コニー「元はと言えばお前がパンを盗るからだろうが。」
コニー「あーあ...スープとパンが一緒になっちまった...。」
サシャ「大丈夫ですよ!お腹に入れば一緒です!」
コニー「お前なあ...」
――やっぱり馬鹿。
アニ「...。」ヤレヤレ...
ミーナ「ごめんねアニ。心配かけて。
でもあの二人本当に仲良いよね。」フフッ
ミーナ「私も無邪気になれる人が居ればいいなぁ...なんて。」
――無邪気...私には無縁だね
アニ「そう。...私...じゃ...」
――私は...何を言って
アニ「だめかな。」ボソッ
ミーナ「え...」
ミーナ「アニ...無理しなくてもいいよ。アニはアニだから。物静かで周りに流されないアニって好きだよ。」ニコッ
――とっくに流されてるよ。自分が自分じゃ無いみたいだ。
アニ「///。」
ミーナ「あー、赤くなった フフッ
そういうとこ可愛いんだから」ニコニコ
――私は...変わっていくのか
ーーーー
ーーー
ーー
ライナー「もうすぐ訓練兵も卒業だな。」
ベルトルト「...解ってるよね。アニ。」
――わかってる。
アニ「わかってる。」
ライナー「解散式の翌日、ベルトルトがトロスト区の扉を破壊する。それで後は俺がウォールローゼの扉の破壊だ。」
ベルトルト「アニは以前の通り。巨人を集めて。」
――これが目的だと言う事くらい
アニ「言われなくても解ってるよ。」
ベルトルト「大丈夫。きっと今回も上手くいくよ。」
――なんでだろう...以前と何か違う
アニ「うん。」
ベルトルト「ライナー...大丈夫かい?」
ライナー「ん?何がだ?」
ベルトルト「...なんでも無いよ。」
ライナー「戦士としての役目を果たすぞ。」
ベルトルト「ああ。」
――...誰かが言った言葉を借りるなら...
アニ「うん。」
――私の生きる意味だと思う。
ーーーー
ーーー
ーー
ミーナ「解散式も終わっちゃったね。」
――終わりだ。明日にはまた...
アニ「うん。」
ミーナ「アニは憲兵団に行くんでしょ?夢が叶ってよかったね。」ニコニコ
――私の役目を果さくなくてはいけない。
アニ「うん。ミーナはどうするの?」
ミーナ「駐屯兵団に行くつもりだったんだけど...」
ミーナ「私、調査兵団に行くわ。」
――そんな...
アニ「!!...なんでまた調査兵団なんかに」
ミーナ「解散式の後、打ち上げでエレンが大演説してたでしょ...」
ミーナ「あんなこと大っぴらに言えるのはエレンだけだと思うけど、なんかさぁ...」
ミーナ「別に感化された訳じゃないのよ//...ただやって見ようと思ったの。人類の為に。兵士として私に何が出来るのかを。」
――あんたまでそんな事しなくても
アニ「ミーナ...」
ミーナ「ごめんね。なんか言いたいことが漠然としちゃって//」
ミーナ「私達、それぞれの道に進むけど...」
ミーナ「憲兵団に行ってもアニは友達だよ。たまには合って話でもしようね。」ニコッ
――そう。...あんたが決めた道なら進むといい。
アニ「わかったよ。」
――でも...私の願いが叶うなら
アニ「ミーナ...あんたさ、」
ミーナ「なに?」
――また...こうして居たいよ
アニ「死ぬんじゃ無いよ。」
ミーナ「心配してくれるの?フフッ
ありがとうアニ」ニコッ
――私達はもう...
ーーーー
ーーー
ーー
ライナー「よくやったな二人とも。」
ベルトルト「何がよくやっただよ!
まさかエレンが向かって来るなんて...。
危ないところだったんだ!」
ライナー「それは想定外だったな。」
ライナー「それよりも、見てみろ。
巨人どもが次々に扉の穴から入ってくる。
これでトロスト区は人類の領域では無い。」
ライナー「後は混乱に乗じて俺がローゼの扉を破壊するだけだ。」
ライナー「5年前のシガンシナと同じようにな。」
ベルトルト「...。」チラッ
――始まるのか、地獄が...。
アニ「...。」
ベルトルト「とりあえず段取り通り事は進んでるんだ。
すぐに迎撃の作戦行動が始まる。」
――違う...始めたんだ。私が..
アニ「わかってる。本部に戻るよ。兵士は召集されるからね...」
――戦士だから。
ーーーー
ーーー
ーー
駐屯兵「...直、敵前逃亡は死罪であるッ!!皆、心して心臓を捧げよッ!!」
駐屯兵「解散ッ!!」
訓練兵一同「「「「はッ!」」」」
...ドタバタ...ドタバタ...
...まじで戦闘かよ。
私、まだ死にたくない...
...訓練やって来たんだ大丈夫..大丈夫..。
ウェ...ビチャッビチャッ...。
...大丈夫?
...ドタバタ...ドタバタ...
――既に混乱している。今から何人...生き残るだろう...
アニ「...。」スタスタ...
ライナー「アニ。俺達も行くぞ。中衛の班だ。」
――そう。あんたやっぱり...
アニ「?... ライナーあんた...」
ライナー「どうした?早く行くぞ。」
ベルトルト「行こうアニ。ライナーの事は気にしないで。」
――迷ってはいけない。迷っては...
アニ「...。」コクッ
――まだ...揺らぐ
ーーーー
ーーー
ーー
カンカンカン...カンカンカン...
...撤退の鐘だ!
生きて帰れるぞッ!!...
...巨人がまだ居るのよ!油断しないでよね!
ガスが足りねぇ!!!...
...俺もだ...。
くそッ!!補給班はどうしたッ!!...
...さっきから誰も補給班見てないんだって...。
そんな...まさか...。 ...
キュイイイ...スタッ...
アルミン「...。」
――アルミン...
アニ「?...」チラッ
――他の人間はどうなった?
アニ「アルミン。怪我は無いかい?」
アルミン「...。」ウツムキ...
――あんただけ...みたいだね...
アニ「アルミン...。」
ライナー「どうやら補給班は本部に籠城しているようだな。」
ベルトルト「...。」
――予定通りに事を進めなければ...
アニ「ライナー...どうする?」
ライナー「まだだ......やるなら集まってからだ。」
――私は戦士なんだ。
アニ「...。」
ミカサ「アニ!」
――あんたは...死にそうに無いね
アニ「!」
ミカサ「何となくどんな状況かは、わかってる...」
ミカサ「その上で...私情を挟んで申し訳ないけど、エレンの班を見かけなかった...?」
――そう...。守りに来たのかい?
アニ「...私は見てないけど、壁に登れた班も...」
ライナー「そういや、あっちに同じ班のアルミンがいたぞ」
ミカサ「!」クルッ
タッタッタッ...
――いくら足掻いても...抗えない事もある
アニ「...。」
ミカサ「アルミン...怪我は無い?大丈夫なの?」
アルミン「...。」コクッ
ミカサ「アルミン...エレンはどこ?」
アルミン「...」ガクガク...グスッ...グスッ
アルミン「僕達......訓練兵...34班――」
アルミン「...トーマス・ワグナー...
...ナック・ティアス...
...ミリウス・ゼルムスキー...
...ミーナ・カロライナ...
...エレン・イェーガー...以上5名は
...自分の使命を全うし...壮絶な戦死を遂げました...」グスッ...グスッ...
ミカサ「...。」
ザワザワ...
...マジかよ...。
34班はほぼ全滅だってよ。...
...俺達もまともにぶつかればこうなる。
みんな...。...
...... ...
――これが現実なんだよ...
アニ「...。」
ライナー「...。」
ベルトルト「...。」
ーーーー
ーーー
ーー
ライナー「お前らあの巨人についてどこまで知っているんだ?」
コニー「?...助かってからでいいだろ。そんなこと」
ライナー「...そうだな...まずは助かってからだ...」
ライナー「なあ、アニ。本部の外で暴れている奇行種だが...」ボソボソ
――間違い無い...目的のものだ
アニ「...そうだね。恐らく...」ボソッ
ベルトルト「......あれが?」ボソッ
アルミン「みんな聞いてくれ!作戦を立てた!」
アルミン「今から補給所の奪還を行う。」
アルミン「まず...――――」
ーーーー
ーーー
ーー
ズシッ...ズシッ...ズシッ...
撃てッ!!
バンッドドドドドンッバンッ...バンッバンッバンッ...
――この程度の事...どうでもいい...ようやく見つけた...ようやく...
アニ「ッ!!」ザンッ!...スタッ...
マルコ「サシャとコニーだ!!急げ!援護を!!」
――まずい!!またあの二人か
アニ「!!」ダッ!
ザンッ!!......ズシン......
コニー「すまねぇな...」
――ヒヤヒヤさせんじゃ無いよ。あんたらは
アニ「どうも...」
サシャ「ミカサぁぁぁ助かりました!!――――」
ワァーワァー
...よしッ!!補給作業に移行してくれッ!!
やったッ!!これで帰れるぞッ!!...
...早く上の階の人にもにもボンベを運んで!
...いいぞ!一気に運べ!!...
こんな所急いで脱出だ!!...
ドタバタ...ドタバタ...
ライナー「オイオイ、危なかったなアニ...」
ライナー「怪我をしなくてよかったぜ本当に...」
――目標を目の前にしてこのザマか...。
アニ「...。」
――私は戦士になれるのか?...
ーーーー
ーーー
ーー
アルミン「共食い...?」
ミカサ「どうにかしてあの巨人の謎を解明出来れば...」
ミカサ「この絶望的な現状を打開する
きっかけになるかもしれないと思ったのに...」
ライナー「同感だ!」
ライナー「あのまま食い尽くされちゃ何もわからず終いだ!」
ライナー「周りの奴らをオレ達で排除して、とりあえず延命させよう!」
ジャン「正気かライナー!やっと、この窮地から脱出できるんだぞ!?」
――とにかくあれを守らなくてはいけない。
アニ「例えばあの巨人が味方になる可能性があるとしたらどう?」
――中身さえわかれば何とかできる...
アニ「どんな大砲よりも強力な武器になると思わない?」
ジャン「味方だと!?...本気で言ってるのか!?」
ウァァァァァ!!!...ズシンッ!ズシンッ!
ガブッ!!...ブンッ!!...ドガッ!!
ウァァァァァ!!!
ジャン「...お前ら...何を助けるって?」
ライナー「...。」
――どんな奴が入ってる...
アニ「...。」
フラフラ...ズシン...ドタン......
ジャン「さすがに力尽きたみてぇだな。」
ジャン「巨人は巨人なんだ」
シュゥゥ......
ライナー「!!」
ベルトルト「!!」
――そんな...アイツが...
アニ「!!」
ミカサ「...。」ダッ...パシュ...スタッ...
タッタッタッタッタッタッ...バッ..ダキッ...
...トクン...トクン...
ミカサ「うわぁぁぁぁん...」グスッグスッ...ポロポロ...
――奪わなければならないのか...私が。
ーーーー
ーーー
ーー
パシュ...キュイイイ...スタッ...
ジャン「ようやく壁の上だ!」
タッタッタッ...タッタッタッ...タッタッタッ...
駐屯兵「あいつだ!!間違い無い!」
駐屯兵「待て!!お前達そこで止まれ!!」
アルミン「待ってください!何をするんですか!」
ミカサ「...」キッ..
駐屯兵「そいつが!巨人の中から出てきたのを見たぞ!」
駐屯兵「アッカーマン。彼をこちらへ渡すんだ。」
駐屯兵「そいつを壁の中に入れる事は出来ない!」
駐屯兵「いつまた巨人になるかわからないんだ!早くそいつを殺せ!!」
アルミン「待って下さい!彼は人間です!僕の幼なじみなんです!」
ミカサ「...渡さない」ボソッ...ギリッ
アルミン「ミカサ!抵抗しては駄目だ!」
駐屯兵「これは命令だアッカーマン訓練兵。彼をこちらへ渡しなさい。」
ジャン「...どうなってやがる...。」
ライナー「見ていたのは俺達だけではなかったようだな」
ベルトルト「...。」
――さすがに幽閉されては手が出せない...
アニ「面倒な事になったね...」
ミカサ「エレンは渡さないッ!!」
ダッ...パシュ...キュイイイ...
アルミン「ミカサァ!!」ダッ...パシュ...
駐屯兵「待て!!貴様ら!!」パシュ...
駐屯兵「壁を越えやがったぞ!」
駐屯兵「大丈夫だ。下には隊長の部隊が待機している。...固定砲の準備は出来ているか?」
駐屯兵「はッ!出来ています。榴弾を装填済みです。」
駐屯兵「よし。お前達は壁上で待機していろ。
もし上がって来るような事があれば、今度は逃すな。
攻撃を許可する。」
駐屯兵達「「「はッ!!」」」バッ!
駐屯兵「私は下の部隊に合流する。」
駐屯兵「ん?...そこの訓練兵。お前達もこの件は他言無用だ。守秘義務を課す。」
駐屯兵「もし、守れなければ軍法会議にかけ処罰される。わかったな。」
ジャンアニライベル「「「「はッ!」」」」バッ!
駐屯兵「では、装備の補給と点検を行い、所定の場所で待機しなさい。」
パシュ......キュイイイ......
ジャン「ミカサ...」
ジャン「どうなる...あいつらは...これから...」
――いつだ?いつやる?...機会を逃すと...先が無くなる...
アニ「ここで頭抱えてたってしょうがない。あんたはもう少し学のある男だと思っていたけど?」
ジャン「なんだアニ。励ましてくれんのか?それにお前、珍しくよく喋るなぁ?」
――焦るな。焦ってはいけない...正体がバレでもしたら...
アニ「私は...考えてる暇があるなら」
――考えよう...落ち着くんだ...少し時間が必要だ...
アニ「休息が欲しいんだよ。それだけだから。」
ライナー「ジャン。壁を降りるんだ。補給と休息とる。...取れるうちにな」
ベルトルト「...。」
ジャン「くそッ!!...もう...わけがわからねぇ...」
――焦るな。...焦るな。...よく考えるんだ。
ーーーー
ーーー
ーー
――状況は変わらない...いい案もない...
アニ「...どうすんのさ」
ライナー「わかってる」
ベルトルト「...。」
――こんな降って沸いたような事...どうすればいいのか...
アニ「このままじゃアイツが殺されちゃうよ。」
ライナー「...そうかもな。」
――しかも相手が相手だ...
アニ「こんなかたちで見つかるなんてね。」
ライナー「ああ。」
ベルトルト「...。」
ジャン「お前らさっきから何をしゃべってやがる。さっきの事なら口をつぐんでおけ。誰かに聞かれでもしたらどうすんだ。」
コニー「なぁ。ジャンは何か知らないか?他のやつらの事」
ジャン「俺達には守秘義務が課せられている。なにも話せない。」
ジャン「まぁ...人類に知れ渡るのも時間の問題かも知れねぇがな。」
ドォォォンッ!!!...
「砲声だ!...なぜ壁の内側から?」
「榴弾でも落としたんじゃねぇか?」
「あの煙はなんだ?...まさか巨人の蒸気!?」
ライナー「!!」パシュ...
――間に合わなかった!!
アニ「!!」パシュ...
ジャン「待て!!お前らどこ行くんだ!?」パシュ...
...モクモク...
ライナー「!...」
――まだ...生きてるみたいだね
アニ「!...」
ジャン「...。」
ライナー「どうなってんだ...これは」
――嬉しい?私は?私が?...意味がわからないよ...
ーーーー
ーーー
ーー
ライナー「アニ!死ぬなよ。」
――そんな事どうでもいい
アニ「わかってるよ。」
ライナー「ベルトルトこっちだ!」
ベルトルト「ああ。...。」
ジャン「トロスト区奪還作戦だとよ。はっ...俺の故郷は俺が取り返してやるッ!!」
――どうする...これから
アニ「あんたは無駄に喋ってんじゃないよ。」
ジャン「なにッ!!」
コニー「お前ら!仲間割れするなら終わってからにしろよ!」
駐屯兵「壁に向かってできるだけ多くの巨人を誘き寄せるんだ!お前らの班はここから壁に向かえ!無駄な戦闘は避けろ!よしッ!!行けッ!!」
――あいつをどうやってこちらに引き込むか...
ーーーー
ーーー
ーー
――覚悟が無い訳じゃなかったたんだ...
アニ「...ごめんなさい。」
――でも...仲間と呼んでいた存在がこんなに死ぬなんて...
アニ「...ごめんなさい。...」
ライナー「謝っても仕方が無いぞ」
――自分で招いた結果がこれだ...
アニ「...。」
ライナー「早く弔ってやるんだ」
ベルトルト「...」チラッ
――もう...戻ることなんて出来ない
ーーーー
ーーー
ーー
ボォ...バチッパチッ...
――みんな燃えていく。
――こんなに沢山...燃えていく。
――今朝まで挨拶を交わしたあの子も...
――みんな...みんな...燃えていく。
――私がやったんだ。
――私が殺した。
――直接では無い。
――でも...死を壁の中に招いたのは
――私だ。
――きっとこうだったんだろう
――5年前も...。
――友達とか仲間とかに触れて
――自分の罪が少し薄れていくのを感じた。
――あれは...幻想と逃避でしかなかった。
――ミーナ...
――引き返せなくなったよ...
アニ「......」
ジャン「おい...お前ら...所属兵科なんにするか決めたか?...」
ジャン「俺は...決めたぞ...」
ジャン「俺は...調査兵団になる。」
――私はもう
――...迷わない。
ーーーー
ーーー
ーー
ここまで。
まだ続きます。
でわまた。
憲兵「シャフトを交換したのはいつだ?」
サシャ「6日前の掃討作戦の後です。」
憲兵「全て登録にある。」
憲兵「よし次!お前だ」......
訓練兵「巨人を殺して罰せられることもあるんだな...」
訓練兵「...貴重な被験体を失ったんだからな。」
コニー「巨人が憎くてしょうがなかったんだろうな」
アルミン「...うん」
アルミン「でもこれじゃあ巨人に手を貸したようなもんだよ...」
アルミン「その人の復讐心は満たされたかもしれないけど人類にとっては打撃だ」
――人類にとっては...か...。
アニ「...。」
コニー「オレはバカだからな...わかる気がする」
アルミン「...!」
コニー「もう何も考えられなくなっちまうよ」
コニー「オレ...巨人を見る前は本気で調査兵団に入るつもりだったんだぜ」
コニー「けど...今はもう二度と巨人なんか見たくねぇと思ってる」
コニー「今日...兵団を決めなきゃならねぇのに...。」
アルミン「...。」
コニー「チキショー...あのジャンが調査兵団になるって言ってんのにな...」
アルミン「え!?ジャンが?」
コニー「なあアニ。お前どう思った?あいつがやるっていってんだぜ...」
――どうだろう
アニ「...別にどうも思わないけど」
――覚悟が無いならやめておけばいい
アニ「私の意志は変わらないから」
コニー「そうか。」
コニー「お前は憲兵団にするんだよな...」
コニー「なぁ...アニ。オレも憲兵団にした方がいいかな?」
――私は決めたから
アニ「あんたさぁ...人から死ねって言われたら死ぬの?」
コニー「なんだそりゃ...死なねぇよ。」
――自分の意思で決めたから
アニ「なら...自分に従ったらいいんじゃないの」
――自分の運命を進むべきだと。
アニ「アルミン。あんたはどうなの?」
アルミン「え...」
アルミン「そうしなきゃいけない理由が理解できたら」
アルミン「死ななきゃいけない時もあると思うよ...嫌だけどさ」
――あんたも...人のこと言えないやつだよ...
アニ「そう...」
――自分で何とかしなよ...
アニ「決めたんだ...」
アルミン「うん」
――あんたなら生き残れるかもしれないね
アニ「あんた...弱いくせに根性あるからね。」
アルミン「あ...ありがと」
コニー「マジかよ...アルミンお前まで...」
アルミン「アニってさ...実はけっこう優しいね。」
――!?...私が?...優しい?
アニ「は?」
アルミン「だって僕らに調査兵団に入って欲しくないみたいだし」
アルミン「憲兵団に入るのも何か理由があるんじゃないの?」
――理由...
アニ「...。」
――それは都合がいいからだよ...
アニ「...いいや」
――私の戦いに決着をつける為に...。
アニ「私はただ...」
――...そして終わらせる。
アニ「自分が助かりたいだけだよ」
――この呪われた運命を。
ーーーー
ーーー
ーー
ベルトルト「...。」
ライナー「久しぶりだなアニ。さっそくだが...これが今度の壁外調査の隊列企画紙だ」
ライナー「エレンはこの位置に配置される。」
ライナー「今度の壁外調査の成果によってエレンの身の置き場が決まるそうだ」
ライナー「意味はわかるな?」
――これでわかる気がする。
アニ「わかってるよ」
ライナー「ここでエレンを手に入れなければならない。そして故郷へ連れて行く」
ライナー「アニ。この役目をお前ばかりに押し付けるのは悪いと思ってる」
ベルトルト「...。」
――ようやく私の...
アニ「あの時からわかってた事だよ...」
ライナー「すまん。...」
――生きる意味を見出だせる。
アニ「...。」
ライナー「今度の相手はかなりの手練れも含まれる。...死ぬなよ。」
ベルトルト「...気を付けるんだよアニ。」
――いや...最初からわかりきった事だ。
アニ「わかった...」
――私は生きる。自分の意思で。
ーーーー
ーーー
ーー
ズシンッズシンッズシンッズシンッ
調査兵「なんだ!この奇行種...」
――叩く。
バチッ...ヒュン...ドサッ
調査兵「嘘だろ!?動きが速すぎ...」
――踏む。
ダンッ...ベチャ...
調査兵「ここで仕留めろッ!!」パシュ...
調査兵「隊列の中心に通すなッ!!」パシュ...
――掴む。握り潰す。...投げ落とす。
パシッ...グチャ...
パシッ...ブンッ...グチッ
調査兵「!!?...後方より多数ッ!!」
調査兵「こいつッ!!引き連れて来やがったッ!!」
調査兵「駄目だ!もう...もたないッ!!全滅しちまうッ!!」
調査兵「諦めるなッ!!」
調査兵「班長ッ!!後ろから巨人の群れですッ!!」
調査兵「誰か伝達に行けッ!中心の隊列に知らせに行くんだッ!!」
調査兵「残りの者で伝達の時間を稼ぐッ!!総員戦闘開始ッ!!」パシュ...
調査兵「ぐあっ...放しやがれ!!...女型の巨人めッ!!その指を切り落として...」
――そしてまた握り潰す。
グチッグチャ...
――簡単な事だよ。
ーーーー
ーーー
ーー
ズシンッ!!...ズシンズシンズシンズシン
――そろそろの筈だけど
調査兵「ヤバい!!...こいつはかなり速いな」
調査兵「行くぞシス!さっきと同じだ!」パシュ...
調査兵「了解!」パシュ...
パシッ...グチッ
ギュ...グイッ...ブンッ...ボスッ
――握る。潰す。...ワイヤーを掴む。叩きつける。
――邪魔するんじゃないよ
ズシンズシン...ドンッ...ドサッ...ゴロゴロ...
――こいつはどうだろう?...
調査兵「う...うう...」
ズシン...ズシン...
キュ...クイッ...
――そろそろ確かめないと
ジロリ...
――なんだ...あんたか...
アルミン「...。」ガクガク...
――見逃してやるよ。...意外と優しいんだろう?...私が。
ーーーー
ーーー
ーー
ズシン..ズシン..ズシンズシン..
調査兵「...。」ドドドドド...
――今度は後ろからかい?
ズシンズシンズシン...クルッ...バチッ!
――馬ごと叩けば追ってこられないだろ?
パシュ...
――!?...またか...
調査兵「...。」ギュィィィ...
ブンッ!サッ...パシュ...ギュィィィ...
――へぇ...避けるなんてね。
――弱点は取らせないよ。
アルミン「ジャンッ!!そいつに殺された死に急ぎ野郎の仇をうってくれッ!!」
――!!...まさか...
ピタッ...
ジャン「!?...」パシュギュィィィ...スタッ
調査兵「!!」ダッ...パシュ...ギュィィィ
ジャン「直接うなじを狙う気か!?」
――また来る......!?...ライナー
パシッ...グググ...
ライナー「ぐっ...」ジロリ...
――言いたい事でも...あるのかい?
ザンッ...スバッスバッ...グチャ...パシュ...スタッ
アルミン「わっ」
ライナー「もういいだろ!充分時間は稼いだ!あいつには構うな!」ガシッ!...ダッ...タッタッタッタッ...
――酷いね。こんなに切り刻むなんて...
――でも...わかったよ...
ズシン...ズシン...ズシンズシンズシン...
――やり遂げて見せる
ーーーー
ーーー
ーー
調査兵「奴をこれ以上隊列の中心に通すなッ!!」
ズシンズシンズシンズシン...
調査兵「くらえ...化け物ッ!!」バンッ..シュゥゥゥ...
――煙弾!?......来るか。
サッ...
調査兵「うおぉぉぉッ!!」パシュギュィィィ...
調査兵「仲間の仇だッ!!」パシュギュィィィ...
調査兵「死ねぇぇぇッ!!」パシュギュィィィ...
調査兵「3方向からの同時攻撃だ...これなら...」
――あまい。
ダンッ!...
調査兵「跳んだッ!?」
バチッ...グチャ...
バンッ...ベチャ...
ガシッ...ブンッヒュンヒュンヒュンヒュン...ピンッ
――殺られてたまるか。こんなところで
ズシン...ズシン...ズシン...
調査兵「なっ......駄目だ...は...早く知らせないと」
ドドドドド...
――逃がしはしない
ズシンズシンパンッ..グチッ....ヒューー.........ドサッ...
――誰にも邪魔はさせない
ーーーー
ーーー
ーー
――あれか?
ズシンズシンズシンズシンズシン...
――森に逃げるか...
――どこへ行こうが
――奪って見せる。
調査兵「くそ奇行種がッ!!」ギュィィィ...
バンッ...ベチャ...
調査兵「こいつを本隊に近づけるなッ!!」ギュィィィ...
ガシッ...ブンッベチャ...
調査兵「ざけんなッ!!このッ!!」ギュィィィ...
ガシッ...グチッ...
ズシンズシンズシンズシン...
――邪魔なんだよ
――弱い癖に
ズシンズシンズシンズシン...
ドドッドドドッドドドド...
――あれは...
エレン「...」チラッ
――居た
――見つけた
――ようやく...
――会いたかったよエレン
ズシンッ!!ズシンッ!!ズシンッ!!ズシンッ!!...
調査兵「速いッ!!」
調査兵「この森の中じゃ事前に回避しようがないッ!!」
調査兵「このままじゃ追い付かれるぞッ!!」
調査兵「兵長!立体機動に移りましょうッ!!」
調査兵「...」
調査兵「背後より増援ッ!!」
ズシンズシンズシンズシン...
調査兵「このッ!!」ギュィィィ...パシュ
ドオッ!...ズリュィィィ...
調査兵「ッ!!」ギュィィィ...パシュ
ガシッ...ブチッ...バチャッ!!
――この...鬱陶しいんだよ
――殺す...みんな...全員...全て...全部...
――もう少しだよ...
――エレン...
調査兵「兵長ッ!!指示をッ!!」
調査兵「やりましょうッ!!あいつは危険ですッ!!」
調査兵「俺たちがやるべきですッ!!」
ドドッドドッドドドドドド...
調査兵「リヴァイ兵長ッ!!指示をくださいッ!!」
調査兵「全員耳を塞げ」カチャ...
バンッ...キュイイイイィィィィン......
ズシンズシンズシン...
――?...
――混乱と恐怖...
――どうしていいのか
――自分でもわからないだろう?
ブンッ...ブンッ...
調査兵「殺られてたまるかッ!!死ねッ!!」パシュギュィィィ...パシュパシュ...
ブンッ...ブンッブンッ
――この...人の周りを飛び回りやがって
ガシッ...
――掴んだ
調査兵「うぁぁぁぁぁはなせぇぇぇ」
――...死ね
...ヂュン......パラッ...
――フフッ...遊びは終わり。
――捕まえてあげる
――大丈夫...
――もうすぐ...
――開放してあげるよ
――恐怖から
ドオッ!!ドオッドオッドオッドオッドオッドオッ...
調査兵「目標加速しますッ!!」
調査兵「走れッ!!このまま逃げ切る」
ドドッ!!ドドッドドッドドドドド...
――ほら
――もう少し
――あと少し
――エレン
――エレン
「撃てッ!!」
――!?
――何が
ドンッッ!!ドドドドドドドンッッ!!
...ギチギチ...
――動けない...
――くそっ...
――こんな...
――酷いじゃないか
――か弱い乙女を寄って集って...
――......
――待ってて...エレン...
ーーーー
ーー
キュィィィ...スタッ...
調査兵「おい...いい加減出てきてくれないか?」
――うるさい
調査兵「こっちはそんなに暇じゃないんだが」
――早くエレンを捕まえないと
調査兵「なぁ?お前はこれからどうなると思う?」
――そんなこと...知らない
調査兵「お前はこの状況から抜け出すことができると思うのか?」
調査兵「こっちの迷惑も考えてほしいもんだ。
お前を引きずり出す方法を考えては試しを繰り返すんだぞ」
――勝手にやってればいい
調査兵「お前は確か...
色々なやり方で俺の部下を殺していたが...」
――!!...
調査兵「あれは楽しかったりするのか?」
――...違う
調査兵「俺は今楽しいぞ」
調査兵「なぁ...?お前もそうだろ?
お前なら俺を理解してくれるだろ?」
――...そんなの...したくない
――仕方なかったんだ...
調査兵「...!」
調査兵「そうだ...」
調査兵「一つ聞きたい事があった」
調査兵「お前の手足は切断しても大丈夫か?また生えてくるんだろ?」
――!!...違う私は...私は...
調査兵「...お前自身の本体の方だ。」
調査兵「死なれたら困るからな。」
――やり遂げないといけない
きゃあああああああああああ......
調査兵「!?」ビクッ
調査兵「てめぇ...びっくりしたじゃねぇか」
ドドド...ドドドド...
ドドドドドドドドドドドドド
調査兵「オイ...てめぇ...さっき何かしやがったな」ゲシゲシ
調査兵「リヴァイ兵長ッ!!」
パシュ...ギュイィィィィ...ザンッズバッ
ドドドドド...ガシッガブッ...
調査兵「全員戦闘開始ッ!!女型の巨人を死守せよッ!!」
――私にはあったよ...
ガブッ...ブチッ!!ガシッバリッ!!...
ブチッブチッブチッ...ザンッズバッ...ギュィィィ...
パシュギュィィィ...ザンッ...バリッブチッ...ザンッズバッ...ギュィィィ...
ギュィィィ...ギュィィィ...パシュ...バリッブチッバリッバリッ...ブチッ...
シュゥゥゥ...モクモク...
アニ「...」カチャ...バンッ...シュゥゥゥ...
...シュゥゥゥ...
アニ「あっちか」パシュパシュ...ギュィィィ...
パシュ...パシュギュィィィ...
――全部で五人。...居るはずだ...この中に...
アニ「...」ヒュン...
調査兵「...誰だ」
ザンッ!!...ドゴッ...ブランッ...
――邪魔なのは...あと三人。
エレン「グンタさんッ!?」
調査兵「エレン止まるな!進めッ!!」ガシッ
調査兵「誰だッ!!」
調査兵「エレンを守れ!!立体機動で襲ってくるぞッ!!」
調査兵「かかって来い!!最低でも刺し違えてやるからッ!!」
――逃がさない...。全員殺す...。エレンを奪って...
アニ「...」スパッ...ブシュ...
――決着をつけるッ!!
...カッ!!
ドォドォドォドォドォ!!...
調査兵「来るぞ!!女型の巨人だ!!」
調査兵「俺たち三人で女型を仕留める!エレンはこのまま全速力で本部を目指せッ!!」
エレン「...我が班の勝利を信じてます!!ご武運を!!」パシュギュィィィ...
調査兵「うおおお!!」ギュィィィ...パシュ...キュィィィ...
――邪魔するな...死ねッ!!
ブンッ!!...バシュウゥゥ...
――!!...ガスで視界が...
ギュィィィザクッ!!ギュィィィザクッ!!
――くっ...目をやられるなんて...
ズンッ...
――くそっ...目を回復しないと殺られる
ギュィィィ...ザクッ!ザクッ!...ブシュブシュ...
――腕を削ぎに来たか...目はまだか...
ザンッ...ズバッザンッ...ザクッブシュ...
――腕が落ちる...早く...もっと早く
ザクッ!!...ブシュ...ダラン......
ギュィィィ...パシュ..ギュィィィ...
――早く...早く...早くだ...もっと早くッ!!
...パチッ...ギュルン..
――見えた
バクッ...ブチッ...ペッ...
――よくも...
調査兵「エルドッ!!...」
調査兵「ペトラッ!!早く体勢を立て直せッ!!」
調査兵「早くッ!!早くしろッ!!」
――踏む。
ダンッ!ブチュ......
調査兵「オイ...」
調査兵「死ね」パシュ...
..ギュン...ガキンッ...
調査兵「なぜだ...刃が通らねぇ...」
――蹴る。
バシッグチッ...
――危なかった...
――でも...私が生きてる
ーーーー
ーーー
ーー
...パチッ...ガシッ!
――捕まえた
ブンッ!!...
――見える...両目で...あんたの姿が
――さあ私と...
グググ...ドォ...ドゴ...ズシン
――一緒に...!!
ゴォ...ビュ
――右のアッパー...サッ
――危ない!!
ゴォ...ブンッ!!
――左のフック...サッ
ゴロゴロ...バッ...
――話し合いなんか出来るわけなかった...
――今の私はあいつの知る私じゃなかった...
――今の私は...戦士だから
ガシッ...
パカッ...ガブッッ...ビリィィッ...
――貰って行くよ
ミカサ「エレン!!」
――ミカサ?
ブヂュ...ブチッ...パキパキ...
――もう遅いよ...
グイッ...ズシン...ズシン...ズシン...
――エレンはあんたの所に帰って来ない
ーーーー
ーーー
ーー
ミカサ「かえせッ!!」ギュィィィザンッ
ギュンザンッズバッ...ギュィィィザクッッ!!
――しつこいね...まったく
ドォドォドォドォドォ...
ミカサ「エレンを」ギュンザンッズバッ...
ドォドォドォドォドォドォドォ...
ギュィィィギュン...ゴォ...ザクッ!!
――ッ!!脚が!!...
ドォドザザザザザザ...
ミカサ「返せ!!」
ギュン...ゴォ...ガキン!!...
ミカサ「なぜ!?...刃が通らない!!」...タンッ
ミカサ「...絶対生きてる」
ミカサ「絶対に...エレンは生きてる」ガチャ...シャキ
ミカサ「どこにいたってその女殺して...体中かっさばいてその汚いところから出してあげるから」
ミカサ「ごめんねエレン。もう少しだけ...待ってて」...ヒュ
――いい加減に諦めな!!
ブンッ...バシュドォ!!...
ミカサ「!!」サッ...
――じゃないと...あんたまで殺さないといけなくなる
――ミカサ...あんたは生きなよ
...ダッ
ミカサ「待て!!」ゴォ...
ーーー
ーー
ドォ...ドォ...ドォドォ...ドォドォ...ドォ...
――さすがに...消耗してる...
――体の動きが鈍くなってるね
――もう追って来ないか?
――森を抜けたらどこかで休むか...
ミカサ「...」ギュィィィ...
――!?...まだ諦めてなかったか
――どうしてしかけて来ない?
ヒュン...
――!!...後ろか!!
――仲間がいる!!
グルッ...ブンッ!!ギュンザクッザクッザクッザクッッ!!
――速い!!
読んでくれている方々、ありがとう。
続き。
アニ「...」パチッ...
アニ「...」ムクッ
――朝か...体が重い...
――どこをどうやって帰って来たのか...
――思い出せない。
――私は憲兵だった
――私は...昨日の私は...何だった?
ツカツカツカ...
ヒッチ「あんたのさぁ...寝顔が怖くて起こせなかったんだ。ごめんねーアニ」ニヤニヤ
マルロ「お前は最近弛みすぎだぞ。」
アニ「...」
――これからどうすればいいのか...
ヒッチ「なにー?もー怒ってんの?ねー」
マルロ「愛想の無いヤツだな」
同期の憲兵「ほっといてやれよ」
同期の憲兵「アニはあのトロスト区から来たんだぞ。この支部でも唯一の実戦経験者だ」
同期の憲兵「まだ癒えるわけないだろ。...地獄を見てきたばかりなのに」
アニ「...」
――これからどう生きて行けばいいのか...
――そうか...これが現実か...
――信じて進めば...強く願えばきっと叶うなんて...
――私は夢でもみていたのかもしれない
――いつかのあの子みたいに
ヒッチ「へぇーそー、あんたこの子に気があるんだぁー」ニヤニヤ
ヒッチ「プッ...こんなののどこがいいの?」
マルロ「ヒッチ..お前みたいなバカ女が憲兵団に入る方法は一つしか無い」
ヒッチ「...えー?なにそれー?わかんなぁーい......言ってみろよ。」
ツカツカツカ...
マルロ「来たぞ」バッ!...ケイレイ
新兵一同「「...」」バッ!!...ケイレイ
憲兵「いーって、そんなの」ヤメヤメ...バサバサ
新兵一同「「...」」スッ...ナオル
憲兵「今日はいつもの雑務とは違う仕事をやってもらう」ペラッ...ペラッ...
憲兵「だからここに集めた。聞いてくれ」
憲兵「調査兵団の一行が王都へ召喚される件だ」
アニ「...!」
――え......まさか
――そうだった...ライナーが言っていたね
――...あいつはどうなる?
憲兵「調査兵団失墜の話はしなくてもいいだろ?ヤツらが本日この街の中央通りを通る」
憲兵「護送自体は憲兵団本部の仕事だから我々はこの街を通過する間だけでいい」ペラッ...ペラッ...
憲兵「市街での立体機動が一時的に許可される。護送団と並走し警護強化に努めよ。以上。」
マルロ「...一ついいでしょうか?」
憲兵「ん?なんだ?」
マルロ「護送団を何から守ればいいのでしょうか?」
憲兵「さぁな」
マルロ「...」
マルロ「...この壁の中で王政に逆らう者など聞いたことがありません」
マルロ「ちんけな犯罪者はいても...組織単位で歯向かうなら壁の外にでも拠点でも無い限りは...考えにくいですし...そもそも動機が不明です」
アニ「...」
――こいつ...何を言い出す...
憲兵「おぉ...お前...真面目だな。」
マルロ「?...」
憲兵「すべて任せた。詳細はこれに書いてあるからな」バサッ...
マルロ「え?...」アセアセ
憲兵「我々上官達は忙しい。お前達だけでやり通してみろ」ガチャ
憲兵「だが...ヘマだけはやるな?」ジロッ
...ギィ...バタンッ...
...オイ。ツギハダレノバンダ?
...イイカードヨコセヨ。
ガヤガヤ..
マルロ「...」
新兵一同「「...」」
アニ「...」
――まぁ、あんたが何を思おうが...
――届きそうに無いね
――ここでは。
ーーーー
ーーー
お久しぶりです。
続き書きます。
マルロ「クソ...」
マルロ「ふざけてる...」
マルロ「入って一月足らずの新兵に指揮を丸投げだと...」イライラ...
アニ「...」
ヒッチ「確かに想像以上に腐ってたねー。この組織...。
まぁだから選んだんだけどさー」
ヒッチ「でも新兵のうちはほとんどの仕事押しつけられんだねー。」
ヒッチ「もー知らなかったよー」ガンッ!...バケツ、ケトバス。
マルロ「...」
マルロ「クズ共め...」
マルロ「自分の事しか考えることができないクズが...」
同期の憲兵「は?」
同期の憲兵「マルロ...お前、自分は違うとでも言いたいのか?」
同期の憲兵「憲兵にした時点でお前も同類だろうが」
マルロ「同類じゃない。俺はお前らとは違うしクズじゃない。」
マルロ「俺は憲兵団を正しくする為にここに来た。」
アニ「...」チラッ
――同じか?...こいつもあいつと?
ヒッチ「えー!すごーいマルロあんたそういうヤツだったのー?」
同期の憲兵「...どうやってだ?」
マルロ「上に立つ以外無いだろ」
マルロ「それまでの間はクズになってもいい......何だってしてやる」
マルロ「だが上に立ったら給料分はきっちり働かせる」
マルロ「税をちょろまかしたり不当に土地を奪ったヤツらには相応の報いを受けさせる」
アニ「あんたはそれで...自分か身内がヒドイ目に遭ったりしたの?」
マルロ「...!」
マルロ「......いいや?だがそれらの悪行は誰でも知ってる事実だろ?」
アニ「...」
――やっぱり抗おうとしてる。
マルロ「とにかくな、死ねとは言わん。だが恥を知ってもらう。」
マルロ「理性が無いってことは所構わず排便する動物と同じってことを...」
マルロ「ただ普通の人間に戻す...それだけだ」
マルロ「人本来の正しい姿に......」
アニ「...」
――正しい姿......
ヒッチ「やっべぇー!あんた本物じゃーん!
つまんないヤツだと思ってたわ。ごめんねー!!」ダンダン...バンバン...
ヌアハハハハハハ...
同期の憲兵「そら大変立派な目標だな...せいぜい頑張れや」
アニ「どうだろ」
マルロ「ん?」
同期の憲兵「?」
アニ「あんたみたいな『良い人』が体制を占めちまったらそれこそおしまいだと思うけどね...」
マルロ「......」
マルロ「何だ...お前まともに喋れるのか。言いたい事があるんならもっと喋ってみろよ」
アニ「...あんたは」
アニ「正しい人だと思う。正しいことを言うから」
アニ「私はそういう人がいることを知ってる」
アニ「大きな流れに逆らうって...とても勇気がいることだから...尊敬するよ」
アニ「ただ単にバカなだけかも知れないけど...まぁ明らかなのは...」
アニ「そういう人は珍しいってことだよ」
――わからなかったんだ...私自身も
マルロ「...」
アニ「つまり一般的とは言わない。普通とも言わない」
アニ「あんたのような人は特殊な人と呼ばれる」
アニ「それに対して私達は何と呼ばれるべきかな」
アニ「他人より自分の利益を優先させ...周りがズルをすれば一緒に流される。こんな人達をあんたは...」
アニ「クズ...とか、悪と呼んだ」
アニ「私の見てきた限りでは訓練兵では、憲兵団を目指すクズと悪人が大半を占めていた」
マルロ「回りくどいなぁ...つまり自分達はそんなに悪くないって言いたいんだろ?」
アニ「いいや...」
アニ「実際クズだと思うし悪いヤツには違いないよ」
アニ「到底正しい人間とは言えないだろうけど...それも」
アニ「普通の人間なんじゃないの?」
――なにが正しいことだったのか...
マルロ「...」
アニ「あんたの言うように本来人間が皆、良い人であればこの組織はこんなに腐ってないでしょ?」
アニ「この組織の仕組みが人間の本質がよく表れるような構造になってるだけで」
アニ「だから...私は...ただ」
――でも...信じたんだ
アニ「そうやって流されるような弱いヤツでも」
――自分自身も故郷の仲間も
アニ「人間だと思われたいだけ......」
――正しいと
アニ「それだけ...」
――行く道は間違いではないと
ヒッチ「それだけって...あんた話長すぎ...つまんないし」
同期の憲兵「まさに普段喋んないヤツが一旦話だすと...」
同期の憲兵「...ってヤツだな。おまえは」
マルロ「...」
マルロ「うーん」パチッ...トケイヲミル。
マルロ「長話しすぎたな。行くぞ!」
え~...
へーい...
ダラダラ...
マルロ「俺は本気だからな!
手始めにこの任務から完璧にこなしてやる!」ザッザッ
同期の憲兵「まぁ...あいつがいれば退屈しないかもな...」テクテク...
アニ「...」
――それが正しかったかは
――...わからなくなったけど
ーーーー
ーーー
――正しいか...
アニ「...」スタスタ...
――私の『正しい』はなんだ?
「アニ。」
アニ「...!」ピタッ...
クルッ...スタスタ...
アニ「アルミン...」
アルミン「やぁ...もう...すっかり憲兵団だね」
――なんであんたがここにいるの?
アニ「どうしたの......?」チラッ..ジー...
アニ「その格好は?」
アルミン「荷運び人さ」
アルミン「立体機動装置を雨具で見えないようにしてるんだ」ホラ
――武装までして?
アニ「...!?アルミン?どうしたの?」
アルミン「アニ...」
――まさか...
アニ「...」
アルミン「エレンを逃がすことに協力してくれないかな...」
――そうかい。
アニ「...」
アニ「逃がすって?」
アニ「どこに?」
アニ「王政の命令に逆らって...この壁の中の...どこに逃げるの?」
アルミン「一時的に身を隠すだけさ。王政に真っ向から反発するつもりじゃない。」
アルミン「調査兵団の一部による反抗行為って体だけど...
時間を作ってその間に審議会勢力をひっくり返すだけの材料を揃える。必ず!」
――やっぱり...
アニ「ひっくり返す材料...?
そんなに都合のいい何かがあるの...?根拠は?」
アルミン「...」
アルミン「ごめん...言えない...」
アニ「...!」
――わかってて危険は犯せないんだよ
アニ「...」
アニ「悪いけど...話にならないよ...」
アニ「黙っといてやるから勝手に頑張んな」クルッ..ザッザッ
アルミン「アニ!」
アルミン「お願いだ!このままじゃエレンは殺される!」
アニ「...」ピタッ...
アルミン「何にもわかってない連中が自分の保身だけのためだけに、そうとは知らずに人類自滅の道を進もうとしている!」
アルミン「説得力が無いことはわかってる...でも...」
アルミン「それでも...もう...大きな賭けをするしか...無いんだ。」
アルミン「もちろん迷惑が掛からないように努める...けど」
アルミン「ウォール・シーナ内の検問を潜り抜けるにはどうしても憲兵団の力が必要なんだ」
アルミン「もう...これしか無い」
――あんた...すっかり変わったね
アニ「...」チラッ
アニ「あんたさ...私がそんなに良い人に見えるの?」
アルミン「...」
アニ「...」ジロッ
アルミン「良い人か...それは...その言い方は...僕はあんまり好きじゃないんだ」
アルミン「だってそれって...自分にとって都合の良い人をそう呼んでいるだけのような気がするから」
アニ「......」
アルミン「だから...」
アルミン「アニがこの話に乗ってくれなかったら...
アニは僕にとって悪い人になるね」
アニ「...」ジロッ...ジー..
――そう。
アニ「...」ウツムク。
――わかってるよ......わかってる。
――あんたが何を考えてるのか...
――あんたはそれが『正しい』と思ってるんだろ?
――どういう結果になろうとも
アニ「いいよ...乗った」スッ...キュッ...ユビワハメル。
――私は......私の『正しい』を通すよ
ーーーー
ーーー
ーー
コッコッコッ...
アニ「...」チラッ
――本当に近くいる...
――あんなに遠くに感じたのに
エレン「案外...楽に抜けられたな」
ミカサ「シッ...」
エレン「ずっと馬車の中だったけど全然確認とかされなかった...」
ミカサ「キョロキョロしない」
ミカサ「さすが憲兵団様だ。日頃の仕事具合が窺える」
エレン「あとは影武者のジャンがバレなきゃいいが...」
エレン「ありゃあそう長くはもたねぇよ...
アイツとオレ全然似てねぇから...」
アルミン「大丈夫だって...!二人は体型が近いし目付きが凶悪で、似たような悪人面だから」
エレン「オレはあんな馬面じゃねぇよ」
アニ「ねぇ...私が協力しなかったらどうやって壁を越えるつもりだったの?」
アルミン「立体機動で突破するつもりだったんだ」
アニ「...無茶じゃない?」
アニ「そもそもストヘス区に入る前に逃げた方がこんな面倒も掛からなくて済んだはずでしょ?」
アニ「何で今ここでなの?」
アルミン「ここの入り組んだ街の地形を利用しなければ替え玉作戦が成功しないと思ったからさ」
アルミン「真っ向から逆らって逃げるよりある程度従順に振る舞って警戒心を解いてからの方が逃走の時間を稼げるからね」
アニ「...」
――あんたも...嘘...つくんだね
アニ「そう...納得したよ」
ザッザッザッザッ...
アルミン「あ!あった...ここだ!」
アニ「...!ここ?」
アルミン「うん...ここを通る」
――まさか...ここを選ぶなんて...
アニ「...」
アルミン「昔計画されてた地下都市の廃墟が残ってるんだ」
アルミン「これがちゃんと外扉の近くまで続いている」
エレン「本当か?すげぇな...」
アルミン「うん。地上を歩くよりはるかに安全だ」
コッコッ...
――これが作戦かい?
アニ「...」
アルミン「ん?」クルッ
ミカサ「...」チラッ
――あまりにも浅はかだよ
アニ「...」
アルミン「アニ?」
エレン「何だお前...
まさか暗くて狭い所が怖いとか言うなよ?」
アニ「...そうさ。怖いんだ...。
あんたみたいな勇敢な...」
アニ「死に急ぎ野郎には...」
アニ「きっと...か弱い乙女の気持ちなんて...」チラッ
アルミン「...」ジッ
――エレン...あんたも...
アニ「わからないだろうさ」
アニ「地上を行かないんなら協力しない」
アルミン「アニ?」
エレン「何だお前...
まさか暗くて狭い所が怖いとか言うなよ?」
アニ「...そうさ。怖いんだ...。
あんたみたいな勇敢な...」
アニ「死に急ぎ野郎には...」
アニ「きっと...か弱い乙女の気持ちなんて...」チラッ
アルミン「...」ジッ
――エレン...あんたも...
アニ「わからないだろうさ」
エレン「...大男を空中で一回転させるような
乙女はか弱くねぇよ」
エレン「バカ言ってねぇで急ぐぞ!」コッコッ
アニ「いいや、私は行かない」
アニ「そっちは怖い...」
アニ「地上を行かないんなら協力しない」
エレン「...」
ミカサ「...」
アルミン「...」ジッ...
――無理が出てるよ。
アニ「...」
――もう...一体どうしたらいいのか...
――わからないだろうさ
――お互いにね...
エレン「な...」
エレン「何言ってんだッ!てめぇは!?
さっさとこっちに来いよッ!!」
エレン「ふざけてんじゃねぇッ!!」
ミカサ「エレン!叫ばないで」
――あんたもいつまでこれを続けるつもりだい?
アニ「大丈夫でしょ?ミカサ」
ミカサ「...」
アニ「さっきからこの辺には...」
アニ「なぜかまったく人がいないから」
――わかってた。予想した通りだよ。
アニ「まったく...傷つくよ」
――今更...何を言っても遅いけど...
アニ「一体いつから...アルミン...あんたは私を」
――口をついて言葉が出るんだ...
アニ「そんな目で見るようになったの?」
アルミン「アニ......何で」
アルミン「マルコの立体機動装置を持ってたの?」
アニ「...」
アルミン「わずかなキズやヘコみだって...」
アルミン「一緒に整備した思い出だから...僕にはわかった」
――早くから気づいていたんだね...
アニ「そう...あれは...」
――思い出なんて私にはなかったよ。
アニ「......」
アニ「拾ったの」
アルミン「...!!」
アルミン「じゃあ......
生け捕りにした2体の巨人はアニが殺したの?」アセダラダラ
アニ「さぁね...でも...1ヶ月前にそう思っていたんなら...」
アニ「何で...その時に行動しなかったの?」
アルミン「......」ガクゼン。
アルミン「...今だって...信じられないよ...」
アルミン「きっと...何か...見間違いだって...思いたくて...」
アルミン「そのせいで...」
アルミン「...」
アルミン「アニだってあの時...僕を殺さなかったから...今...こんなことになっているんじゃないか......」
――思い出が無いなんて...
――『アニってさ...意外と...』
アニ「.........」
アニ「あぁ...心底そう思うよ。まさかあんたにここまで追い詰められるなんてね」
――本当は......あるから...だから...
アニ「あの時...」
――思い出したんだよ...あんたが...
――私のことを...優しいなんて言うから...
アニ「何で...だろうね」
エレン「オイ...!
アニ...お前が間の悪いバカで
クソつまんない冗談で適当に話を合わせてる可能性が...まだ...あるから...」
エレン「とにかくこっちに来い!!」
エレン「この地下に入るだけで証明できることがあるんだ!!」
エレン「こっちに来て証明しろッ!!」
――エレン...あんたは何を信じてるの?
――そんなに私は良い人でも無いし、正しい人でも優しい人でもない。
――私は...私は...
アニ「...そっちには行けない」
――『アニはアニだから。物静かで周りに流されないアニって好きだよ。』
――ミーナ...何で...今思い出すんだろ...
アニ「私は...」
アニ「戦士に成り損ねた」
エレン「だから...!!
つまんねぇって言ってるだろうが!!」
アルミン「話してよアニ!!僕達はまだ話し合うことができる!!」
ミカサ「もういい」バサッ
アルミン「!?」
エレン「!?」
ミカサ「これ以上聞いてられない」バサッバサッドサッ...アマグヌギステル。
ミカサ「不毛...」シャッ...ブレードヲヌク。
ミカサ「もう一度ズタズタに削いでやる」
ミカサ「女型の巨人」
――これが結果だ。私が選んだ。
――...ミカサ...あんたは生きればいいとか勝手に思ってたけど...
――私のエゴだったよ。
――ダメだ...もう...
――ごめんなさい。
――ミーナ...私は今から
――友達とか、仲間とか言うやつを
アニ「...」フルフル...
――殺すよ。
アニ「...」ニチッ
アルミン「...」ドクンッ
エレン「...」ドクンッ
ミカサ「...」ギロッ
アニ「アルミン...私があんたの良い人でよかったね」
アニ「ひとまずあんたは賭けに勝った...」
アニ「...でも」
アニ「私が賭けたのはここからだから」
アルミン「...ッ!」バッパンッ
ドドドッ!!ガシッ!バッガシッ!
...捕らえろッ!!
...腕だッ!!腕を押さえろッ!!
...巨人化させるなッ!!
...口を塞げッ!!舌を噛ますなッ!!
――奪ってやる
アニ「...」チラッ
エレン「...」ガクゼン。
――もう一度.......あんたを!!!
アニ「...」ギロッ
...パチンッ......ピッ......ユビサキヲキル。
カッ!!...ドゴォォォォォ
ここまで。
終りまでもう少しですね。
ではまた。
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