ちひろ「プロデューサーさんが魔法少女になった?」 (41)

ちひろ「まさかそんな冗談を」

P「マジなんですよ」

ちひろ「え?」

P「信じられないとは思いますけど、俺20代にして魔法少女になってしまったんですよ」

ちひろ「すみません。全然意味が分かりません」

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P「魔法少女ですよ? あのプリティでキラキラーとした女の子の憧れの魔法少女です」

ちひろ「それは分かりますけど……、プロデューサーさん男ですよね? 男なのに、魔法少女?」

P「割とよくある設定じゃないですか。英文の例題みたいなタイトルのラノベとか」

ちひろ「いやいやいや! それは二次元の話じゃないですか!! もし仕事につかれたのなら、栄養ドリンクを格安でお売りしますけど……」

P「そこまで言うなら……、お見せしましょう。魔法少女Pの姿を」

ちひろ「え゛っ゛」

P「すぅ……パピプペポプペパプロデュース!! プロデューサーラブリーチェーンジ!!」

ちひろ「!! プロデューサーさんの体が光に包まれて……!」

P「イマージーン!!! 魔法少女ラブリューサー! 可愛くキュートに参上!」

ちひろ「へ、変身した?」

ちひろ(え、えっと……。目の前にはピンクでフリフリの魔法少女の服を着た20代の青年の姿が……)

P「と、魔法少女になれるんです。ちひろさんもどうですか? ラブリーチェンジ。ラブリージムインチェンジ、出来ますよね?」

ちひろ「気持ち悪っ!!」

P「気持ち悪いなんて泣いちゃいますよ! 魔法少女は、繊細なんです! 失恋しただけでダークサイドに堕ちちゃうんです!!」

ちひろ「鏡見て下さいよ! 思っていた以上に気持ちが悪いですよ」

P「そうですか? このフリフリの服とか、ラブリーじゃないですか」

ちひろ「服じゃないです。来ている人が気持ち悪いんです。おかしいと思わないんですか? 20代の青年が魔法少女なんて……」

P「ちひろさん……、それは聞き捨てなりませんね」

ちひろ「え?」

P「俺はね、こう思うんです。女の子は、何歳だってシンデレラ。だったら、何歳になっても魔法少女でいていいんじゃないかって」

ちひろ「前提として性別が違いますよね」

P「ジェンダーフリーのこのご時世、なにヌワァンセンスなこと言ってるんですか。看護師に客室乗務員。女性の仕事と思われていた職業に男性がつくなんて珍しくないじゃないですか」

ちひろ「だからって魔法少女はちょっと……。その姿アイドルたちが見たら確実に引きますよ?」

P「ははは、そんなことないですよ。きっと彼女たちも分かってくれますよ」

ちひろ(私は分かりたくない)

P「ほら、噂をすれば誰か来ますよ」

ちひろ「どうなっても知りませんからね? 今後一切無関係を装いますから」

加蓮「おはよう、プロデューサー」

P「おはよう」

奈緒「あっ、プロデューサーさんも魔法少女になったんだ」

凛「へぇ、結構似合ってんじゃん」

ちひろ「あるぇ?」

ちひろ「すみません、3人ともプロデューサーさんに対して何も疑問に思わないんですか?」

凛「疑問?」

加蓮「特に思いませんよ?」

ちひろ「いやいやいや! よーく見て下さい! よく見なくてもおかしいって思いますけど!」

凛「おかしいところ?」

奈緒「強いて言えば、腕時計が今までのと違うことぐらいか?」

P「あー、コレ? ちょっと壊しちゃってさ。それで買い換えたのよ」

凛「それぐらいだよね」

ちひろ「……あるぇー?」

ちひろ「なんですんなりと受け入れているんですかあの子たち」

P「それは……、彼女たちも魔法少女ですからね」

ちひろ「はい?」

P「だから、トライアドの3人も魔法少女なんですよ」

ちひろ「……本当ですか?」

凛「ちひろさんに言わなかったっけ?」

加蓮「ちゃんと報告しないとって言ってたのにね」

奈緒「すみません、ちひろさん。あたしたち魔法少女なんです」

ちひろ「」

P「そう言えば俺3人の変身見たことないんだよな」

凛「そうだっけ? でもアレ、少し恥ずかしいんだよね」

加蓮「奈緒は結構ノリノリだよね」

奈緒「そ、そんなことないって! 別に見ていたアニメの変身ポーズに似ているとかそういうことないし……」

凛「仕方ないなぁ、一回だけだよ?」

加蓮「とか言って。結構凛も楽しんでるんじゃないの?」

奈緒「そうだぞ。決めのセリフ考えたの凛だったじゃんか」

凛「あ、あれはインスピレーションが沸いただけ。それに加蓮だって毎晩毎晩魔法少女の状態で散歩しているの知ってるんだから」

加蓮「い、良いじゃん! 散歩ぐらい」

ちひろ(変質者じゃないの、それ)

P「それじゃあ……トライアドの変身まで3、2、1キュー!!」

3人『トライアドチェーンジ!』

凛「ブルージェネレーション! シブリンアイオライトチェーンジ!! 蒼く燃えるは蒼炎の魂! 魔法少女アイオライト・リン!」

加蓮「シャイニーブライド! カレリンアニバーサリーチェーンジ!! 白く輝く純白の花嫁! 魔法少女アニバーサリー・カレン!」

奈緒「バ、バイオレットニルヴァーナ!! ナオチャンアイオライトミラクルラブリーチェーンジ!!! べ、別に変身したかったからとかそんなんじゃねぇからな!! 魔法少女アイオライトラブリー・ナオ!!」

加蓮「アタシたち3人合わせて!」

奈緒「天下無敵のゴシックガールズ!!」

凛「合言葉はりんなおかれん!」

3人『トライアドプリムス!!』

ちひろ「うわぁ……」

凛「って感じ」

加蓮「ゴメンね、服は透けたりしないんだ」

奈緒「光を取りたかったら、DVDを買わないとな」

P「見事な息の合いっぷりだ! 流石ベテラン魔法少女! 俺もうかうかしてらんないぜ!」

ちひろ「確かに息は有ってましたね。そのままステージに出たら凄いんじゃないでしょうか?」

ちひろ(私が間違えているのかな……)

ちひろ「ちょっと待ってください。魔法少女ってことは、4人とも何か魔法が使えるんですか?」

P「あっ、見せてませんでしたね。魔法少女は変身するだけじゃなくて、戦闘力の倍増と1人に1つ専用の魔法が有るんです」

ちひろ「嫌な予感がしますが……、プロデューサーさんの魔法は?」

P「俺の魔法は『カラオケでスキマスイッチを上手く歌える魔法』です」

ちひろ「思ってたのと全然違う! 微妙すぎませんか、それ」

P「微妙とはひどいですね! スキマスイッチをカラオケで歌うって結構大変なんですよ? 本人らも音程が高いとか歌いまわしが独特とか言って難しいことを認めてますし」

ちひろ「それ魔法じゃなくてカラオケで練習すればいい話じゃ……。細かいこと気にしちゃダメなんでしょうね、はい」

ちひろ「……3人はどんな魔法が使えるんですか?」

凛「私の魔法は割り箸を上手に割れる魔法で」

奈緒「ぴたりとくっついたシールをキレイにはがす魔法と」

加蓮「玉ねぎを切っても涙が出ない魔法ですよ」

ちひろ「……伊東家の食卓レベルですね。割り箸ぐらい私だって上手に割れますよ」

凛「! まさかちひろさんも魔法少女!?」

ちひろ「違います!!」

P「流石ベテラン魔法少女……、生活に密着した魔法を使えるとは」

ちひろ「だから全部主婦の裏ワザじゃないですか!」

珠美「おや、皆さん魔法少女でお揃いですね!」

あずき「可愛らしい服だね!」

夏樹「盛り上がってると思ったら魔法少女になってたのか」

ちひろ「えーと……。何一つ疑問を抱いていないってことは」

夏樹「ん? アタシらも魔法少女だぜ?」

ちひろ「ですよねー」

夏樹「かき鳴らせハート! ロッキングビートマジック! マジカルロックガールナツキチ、ロックに決めるぜ!」

あずき「あずきの魔女っ娘大作戦! マジカルプラーンX! 魔法少女ワンダー・モモーイ!」

珠美「一騎当千乙女浪漫! 剣聖変化! 魔法剣客少女珠美!! 凛々しく見参!!」

ちひろ「わー、すごいすごーい。一応聞いておきますけど、どんな魔法が使えるんですか?」

夏樹「ん? ギターの弦が切れなくなる魔法だぜ」

あずき「ドリアンとかシュールストレミングを食べるときに臭いがなくなる魔法だよ!」

珠美「錆びた刃物を元に戻す魔法です」

ちひろ「やっぱり生活の知恵レベルじゃないですか! それにシュールストレミングもドリアンも食べる機会そうないんじゃ……」

真奈美「ほう、君たちも魔法少女だったか」

瑞樹「若いって良いわね。でも私も魔法少女なのよね」

早苗「あはは! 何その格好! Pくん逮捕しちゃうよ?」

ちひろ「分かっていましたよ……。分かってはいましたけど理解したくないです」

真奈美「ビューティーシャッフル! キバキバキバリンジャンケンポン! 魔法少女ビューティーキバ! 噛みつかれたいのは、どこの誰だい?」グー

瑞樹「チェーンジエイジング! 瑞々しい肌よ、よみがえれ! 永遠の魔法少女プリティミズキ! 若い子には負けないよ!」

早苗「コーリングワンワンゼロ! あなたのハートを逮捕しちゃうよん! マジカルポリスサナエ! 判決、私刑!」

P「言ったでしょ、ちひろさん。女の子は何歳になっても魔法少女だって」チョキ

ちひろ「もう、突っ込むのもやめておきます」パー

ちひろ(そうこうしているうちの他のアイドルたちも来ました。当然、全員魔法少女でした)

ちひろ(と言ってもほとんどが変身が派手なだけで、使える魔法は生活を便利にする裏ワザレベルのものでした)

唯「さぁ、今日もコレクター・ユイで決めちゃうよっ!」

春菜「コレクター・ハルナ、メガネで決めます!」

あい「コレクター・アイ、決め時だな」

ちひろ(と、どこかで見たことあるような魔法少女もいました)

ちひろ「まさか全員が魔法少女だったなんて……。ここ、アイドル事務所ですよね? 魔法少女を安売りしてませんか?」

P「みんな魔法少女ってのは流石に驚きましたよ。ってことは、魔法少女じゃないのはちひろさんだけですか?」

ちひろ「そうみたいですね」

ちひろ(所属アイドルが全員魔法少女だなんて。千佳ちゃんのアイディンティティはどこへ……)

千佳「へんしーん! スーパーラブリーチカ! 大丈夫! ちひろさんも魔法少女になれるよ!」

ちひろ(いつもと変わらないか)

P「そうですよ、ちひろさんだって……昔は魔法少女に憧れませんでしたか?」

ちひろ「私が魔法少女……って何懐柔しようとしているんですか。そもそもですよ? 魔法少女になったところで、みんなの魔法って挨拶の魔法よりも微妙なものばかり……」

千佳「!! 大変! 外を見て」

ちひろ「え?」

アンゴルモア「ん゛な゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

ちひろ「なんかでかいの来たー!? な、何ですか!? アルマゲドンですか!?」

P「まさか……寝過ごしたアンゴルモアが今になって来たというのか!?」

ちひろ「ええ!? あれがアンゴルモア……ッ!」

アンゴルモア「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

P「くっ、なんて魔力だ……! しかし俺たちは魔法少女!! 世界を絶望なんかに支配させたりしない!! 行くぞ、みんな!!」

ちひろ「ああ! みんなが行っても!!」

凛「割り箸がきれいに割れる魔法!」

あずき「ドリアンとかシュールストレミングのにおいを消す魔法!!」

P「肝心なことでいつだって臆病の虫が泣き出して♪」

ちひろ「あっ、本当に上手い。ってそうじゃなくて!!」

アンゴルモア「き゛か゛ぬ゛わ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

凛「きゃああああ!」

あずき「そんなぁあああ!」

P「ぐわぁあああああ!!! う、歌が通用しないだと!? この、カラオケで満点を取った歌が!!」

ちひろ「歌でどうにかなるのはゼントラーディぐらいです! それよりも! うちの事務所の魔法少女たちの魔法戦闘力皆無じゃないですか!! まだシュールストレミング投げた方が効果ありそうですよ!」

P「くっ、ここまでか……」

加蓮「そんな、何もできずに滅びゆくのを見ていろって言うの……?」

真奈美「クッ、流石に効いたな今のは……私の日本語をエスペラント語に瞬間で翻訳する魔法が効かないとは……」

ちひろ「よくそんな魔法でどうにかなると思いましたね」

ちひろ(ほ、本当に人類は滅亡しちゃうの? みんな、死んじゃうの?)

千佳「まだだよ!」

ちひろ「えっ?」

千佳「まだ……ちひろさんがいるよ!」

ちひろ「わ、私?」

P「そうか! ちひろさんが魔法少女になれば……、一か八か奴を倒せる魔法が使えるかもしれない!!」

ちひろ「ええ!? 無茶なこと言わないでください! 私はちょっぴりお金にうるさいただの事務員ですよ? 魔法少女になんてなれるわけ」

千佳「大切なのは……、信じるハートなの!」

ちひろ「信じる……心?」

P「そうです。俺たちはみんな、魔法少女になれるって信じていましたから、魔法少女になれました。ちひろさんだって、可愛くて強い魔法少女になれるはずです」

ちひろ(魔法少女、か……。昔はテレビの前で一緒に変身ポーズとっていたっけ。大人になるにつれて忘れていた、大切なこと。信じていれば、何だってかなう!)

P「!! ちひろさんの体が……」

千佳「光りだした!」

ちひろ(だから……、魔法少女にもなれるんです!!)

ちひろ「マジカルサウザンドチェーンジ!! 輝く金の魔法! 魔法少女アルケミーチッヒ、爆誕です!!」

ちひろ「な、なれた……! なれました! 魔法少女に!!」

千佳「やったぁ!」

P「黄金の魔法少女……、これは強そうだ!!」

アンゴルモア「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

ちひろ「な、なんてプレッシャー! でも……、私は負けません! みんなのため、お金のため、世界のためにも!!」

P「行けー! ちひろさーーーーん!!」

ちひろ「食らえー! 私の魔法! それは……」

ちひろ「両手をかざしたらモバコインが出てきました!! ってあれ?」

アンゴルモア「い゛る゛か゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

P「八だああああああああ!!!?」

ちひろ「きゃあああああ!!!」

ちひろ(地面にたたきつけられた私は、そのまま意識を失いました――)

ちひろ「はっ! わ、私は……」

P「良かった! ちひろさん、目が覚めましたか?」

ちひろ「プロデューサーさん? あのっ! アンゴルモアはどうなりましたか?」

P「安心してください。ちひろさんが倒れた後、絶体絶命! かと思ったんですけど、自衛隊が軽くやっつけてくれました」

ちひろ「自衛隊が!?」

P「マジです。いつも怪獣ものとかロボットものだと噛ませ犬にされてますからね。日頃の鬱憤を晴らしたかったんでしょうね。瞬殺でしたよ、瞬殺。アンゴルモアも泣きながら帰って行きましたよ」

ちひろ「最初から私たち、いらなかったんですね」

P「そんなことないですよ。俺たちが時間稼ぎしていたから、自衛隊も準備が出来たって言ってましたし」

ちひろ「はぁ、あの展開はなんだったんでしょうか。折角決まったと思ったら、手からモバコインが湯水のように出てくるだけなんて」

P「いやいやいや! ちひろさん、戦闘に役立たなかっただけで銭闘では無敵じゃないですか。そのお金が有れば、事務所も立て直せれますよ」

ちひろ「あっ、そうでしたね!! よくよく考えれば、無限にお金が沸いてくるんですから!!」

ちひろ(アイドル事務所シンデレラガールズプロダクションは私の魔法によって生まれたお金で再建……)

ちひろ「ってコレ、チョコレートじゃないですか!」

P「ええ!?」

ちひろ(出来ませんでしたが、みんなそれぞれの魔法を使って活躍しています。事務所は琴歌ちゃんが100万ドルポンとくれたので、とりあえずは再建出来ました。以前より大きな事務所です)

ちひろ「これもそれも、自衛隊のおかげなんですね」

P「ええ、そうですね。自衛隊に入れば、守りたいものが守れるんですよ」

亜季「女性自衛隊も活躍しているでありますよ!!」

ちひろ(自衛隊ってすごい、改めてそう思いました)

明日の日本を守るのは君だ、自衛隊ーー。





P「ってCMなんです。アイドルたちの可愛さを活かしながら今流行の魔法少女も取り入れて、尚且つ自衛隊のPRも……えっ、ダメ?」

千佳「チャンチャン♪」

これで終わりです。伊東家の食卓と学校に行こうの復活を切に望みます。
読んでくれた方ありがとうございました

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