神裂「にゃっ!!!……」///
上条「……お腹でも減ってるのかな」
神裂「にゃーんにゃーん」ブンブン
上条「ウチに連れてけばスフィンクスの餌もあるしな、よっと」ヒョイ
神裂「んにゃ!?」
上条「それじゃあ上条さん家にレッツゴー」
上条「さて、餌をあげてみたけど食べないしどうしたもんやら」
神裂「にゃんにゃんにゃにゃーん、にゃんにゃんにゃにゃーん!」
上条「ん、どうした?遊んで欲しいのか」
上条「よーし、上条さんの猫遊びスキルを見せてやるぜ!」
神裂「にぇ、にゃ~ん…」
上条「……ふぅ、体動かすのは好きみたいだな」
神裂「にゃん♪にゃん♪」
上条「そういえばこいつ♂♀どっちなんだろ?スフィンクスと住むならそこらへんも考慮しないといけないしな」
上条「失礼しますよっと」ジー
神裂「ん……みゃぁあっぁー―――!!!!」ジタバタジタバタ
上条「暴れるなって、よく見えないだろ」
神裂「にゃん!にゃ、にゃんっ……っ!!!」ジタバタジタバタ ///
上条「よっと」クパァ
神裂「」
上条「お、女の子だったか、失礼失礼」
神裂「」
全然まとめらんないから誰か任せた
姿は猫、心は神裂さんのままで、心理描写入れたり
聖猫のスフィンクスさんに色々やられたり
考えたけど俺には無理だった
早く書けよ
俺「ねーちんのおっぱい…えへへ…んちゅー」
神裂「ん…俺はまた赤ちゃんみたいに…だめっ…ですよぉ…」
俺「ぢゅるるるる」
俺「えへー」
神裂「もう///」
なんか・・・うん
俺「ねーちんのおっぱい~えへへ~」ぱふぱふ
神裂「もー甘えん坊さんですね」
俺「だってねーちんのおっぱいだいすきなんだもん」ぱふぱふ
神裂「えへへ」
俺「えへへ」
なんかつらいことでもあったんだろうか・・・
俺「俺のおっぱい~えへへ~」ぱふぱふ
俺「もー甘えん坊さんですね」
俺「だって俺のおっぱいだいすきなんだもん」ぱふぱふ
俺「えへへ」
俺「えへへ」
きめえ
土御門「動物の体部位を装着する事で、その動物の能力を得ようとする。要は聖人と同じ仕組みだニャー」
上条「はぁ」
土御門「だが降ろした能力を必要以上に酷使したりすると、意識が“持って行かれて”自由を奪われるんだぜぃ。この霊症を『狐憑き』って言うわけだが…」
上条「いや、いいよ土御門。説明はもういい」
土御門「あはん?」
上条「正直、かなり疑問が有るのも確かだ。なんで『狐憑き』ってのに罹るくらい能力とやらを使ったのか、『聖人』って存在が霊症なんてのにそんな簡単に屈するのか、そもそもなんで俺がイギリスくんだりまでまた高速機に乗せられたのか」
神裂「ぅにゃにゃん、にゃあ~ん」
上条「なんで猫耳カチューシャを付けた神裂火織さんが俺の首に抱きついて頬ずりしてきているのか」
神裂「にゃ~あ? にゃあぉにゃあぉ?」
土御門「……その問に対する解答は一つだぜ、上やん」
上条「…なに?」
土御門「こんな状態のねーちんを上やんと絡ませたら滅茶苦茶面白そうだか──どっせいぷちぱばふじこるげっ!!!」
抽出 ID:c7PI/rQt0 (3回)
33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/23(水) 14:45:14.51 ID:c7PI/rQt0 [1/3]
俺「ねーちんのおっぱい…えへへ…んちゅー」
神裂「ん…俺はまた赤ちゃんみたいに…だめっ…ですよぉ…」
俺「ぢゅるるるる」
俺「えへー」
神裂「もう///」
37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/23(水) 15:02:35.48 ID:c7PI/rQt0 [2/3]
俺「ねーちんのおっぱい~えへへ~」ぱふぱふ
神裂「もー甘えん坊さんですね」
俺「だってねーちんのおっぱいだいすきなんだもん」ぱふぱふ
神裂「えへへ」
俺「えへへ」
43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2011/02/23(水) 17:05:36.62 ID:c7PI/rQt0 [3/3]
きめえ
おまえが言うか
上条「色々と愚痴を並べてみたものの……」
神裂「…うにゃん?」
上条「こんな状態の神裂を放っておけもしないしなぁ…」
神裂「にゃにゃにゃ」
スリスリスリ
上条「正気に戻ってください神裂さん。俺、普段の凛とした、一本の刀みたいに綺麗な貴女が結構好きなのですよ?」
土御門「刀の数えは一振り二振りだぜぃ」
上条「うるせぇ! さっさと神裂をもとに戻す方法を教えるか探して来やがれ!!」
土御門「あ、ちなみにカチューシャには触るなよ上やん。精神が融合している今、『狐憑き』ごとねーちんの精神を壊し兼ねないぜぃ」
上条「──危ねぇ!! そういうことはもっと早く言えよ!! 巫山戯てんのか!!?」
土御門「それじゃあ上やん、ねーちんのこと頼んだニャー」
上条「………」
神裂「……にゃー?」
上条「……まぁ、いまの神裂さんも可愛いとは思うのですよ、一応」
ローラ「猫が逃げ出したるのよ」
神裂「……はい?」
ローラ「ねこよネコ。存じえないかしら? ノアの方舟へ乗りた記述は無く、神世の後に魔に属するモノが創造したとされる生き物よ。中世より魔女の使い魔として有名だと思いけるけど」
神裂「いえ、いまのは猫に対するものではなくてですね」
ローラ「逃げ出したるのは希少種なのよ? 古来から銀は魔を祓うもの、金は魔を統べるものと決まっているけれど、その猫は白銀の体毛に黄金色の瞳を持ちたる異形のものなの」
神裂「それを、私にどうしろと?」
ローラ「探すものはたかが猫なれど、この国は生きて動く探しものをするには些か広すぎると思わない?」
神裂「私に、探せと?」
ローラ「天草式の者たちも使いなさい。いまは平時であるし、“探しもの”の希少性を鑑みれば動員する理由には充分たるのよ」
神裂「自ら動こうとする心算はないのですね…」
ローラ「『最大主教』たる私が、そう易々と外に出られると思いて?」
神裂「くっ…!(普段からステイルを連れて色々出掛けているくせに…!!)」
ローラ「まぁ、先に申した通り猫一匹を捕まえるのは困難を究めると思うから、貴女にコレを貸し与えてあげるわ」
神裂「……なんですかコレは」
ローラ「猫耳カチューシャよ」
神裂「お暇をいただきます」
ローラ「まぁ待ちなさいな。時に貴女、“ききみみずきん”という言葉を存じておるかしら?」
神裂「…日本の民話だったと記憶していますが。たしか、ある日老人が頭巾をかぶると動物の話している言葉が理解できるようになるとか」
ローラ「ふふっ、コレはその民話を元にとある魔術師が造りし、動物の霊体を用いることで“聴取”のみならず、装着者に“動物の感覚”を与えることを可能にした歴とした霊装なのよ」
神裂「そんな物がなぜ猫耳カチューシャの形に……」
ローラ「それは魔術師の趣味よ」
神裂「……つまるところ、私にコレを装着しろと言うのですね」
ローラ「それは使用者にかかる魔術的負担が決して易くはないのよ。天草式もつかえとは申したけれど、半端な者に使わせたら無用な被害が起こり兼ねないわね」
神裂「(……コレを…着けて……公衆や天草式の者たちの前に出ろと…!?)」
ローラ「イギリス清教の『最大主教』としての命令よ神裂火織。その霊装を用いて“迷い猫”を捜し出しなさい」
土御門『という経緯があったんだニャー』
上条「事情はわかったけど…結局その猫はどうなったんだ?」
土御門『ヤケクソになったねーちんから逃げれる生物なんてそうそう居ないと思うんだぜぃ』
建宮『──んがっ!? …コイツ、全然落ち着こうとしないのよな!』
五和『建宮さんが乱暴過ぎるんですよ。…ほぉらよちよちー、黒いクワガタがこわかったんだよねー?』
建宮『クワガタ!? いまクワガタつったのよこの子!!』
『あ…でも大人しくなった…』
『さすが五和…母性本能の塊みたいな子だ……特に胸が』
『ちくしょう猫その位置かわれっ!!』
『バカばっか』
上条「………」
土御門『まっ、そう言うことだから猫の方は問題無いぜぃ。ねーちんの方はローラ=スチュアート…件の最大主教に訊いてみたら、明確な解除方法は無いみたいなんだにゃー』
上条「……はぁ!?」
土御門『“時間が解決するから、それまで神裂の面倒を見ておくように”とかなんとか』
神裂「なぁ~おなぁ~お」
スリスリ
上条「……それを頼まれたのはお前であって俺ではないよな?」
土御門『おんや? 上やんはさっきの会話があった上で、オレにねーちんを預けようと言うのかにゃー? きっとここぞとばかりに遊び倒すぜぃ?』
上条「お前…自分を卑下してでもこの役目を俺に押しつけたいのか」
土御門『…そうした方がねーちんの為になるとおもうからにゃー……』
上条「ん? なんだって?」
土御門『なーんでもないにゃー』
神裂「くるるるる…」
ナスリナスリ
上条「……なぁ、神裂さんが俺の胸に顔をすりつけてノドを鳴らしていらっしゃるのですが……どういうことでしょう」
土御門『猫が顔をなすりつけるのは単に甘えてるか、“これは自分のものだ”って主張しているんだにゃー』
上条「……なん…だと…?」
土御門『いやー、上やんモテモテだにゃー』
上条「こっ、これは神裂と同化してる猫がやってることなんだろ? ただ猫が甘えてきているくらいで上条さんは喜んだりしませんよ」
土御門『いやー、一概には言い切れないにゃー?』
上条「?」
土御門『“ーちんと猫が“同化”してるんだから、いまの行動が猫だけの意思とは限らないんじゃないかにゃー』
上条「……や、やめろよそういうの……なんかホントに危ないから…」
神裂「くるるるる…」
ナスリナスリ
上条「……なぁ、神裂さんが俺の胸に顔をすりつけてノドを鳴らしていらっしゃるのですが……どういうことでしょう」
土御門『猫が顔をなすりつけるのは単に甘えてるか、“これは自分のものだ”って主張しているんだにゃー』
上条「……なん…だと…?」
土御門『いやー、上やんモテモテだにゃー』
上条「こっ、これは神裂と同化してる猫がやってることなんだろ? ただ猫が甘えてきているくらいで上条さんは喜んだりしませんよ」
土御門『いやー、一概には言い切れないにゃー?』
上条「?」
土御門『“ねーちんと猫が“同化”してるんだから、いまの行動が猫だけの意思とは限らないんじゃないかにゃー』
上条「……や、やめろよそういうの……なんかホントに危ないから…」
土御門「そう言うわけだから、ねーちんに懐かれてる上やんが面倒みるにゃー」
上条『ちょ…こんな状態の神裂を連れて何処に行けばいいんだよ!! ずっと公園で過ごせってか!?』
土御門「あー、寮に帰っても説明が面倒だから、ここは上やん、ホテルでもとってのんびりするといいにゃー」
上条『今日日高校生がそう簡単にホテルに泊まれると思うなよ!?』
土御門「金はイギリス清教に請求するといいにゃー」
五和「…土御門さん、さっきから何方と連絡をとってるんですか? はやくこの仔を連れていった方が──」
土御門「上やんだぜぃ。…代わる?」
五和「───」
建宮「んなっ!? 五和が太陽のような喜色満面の笑顔になっとるのよ!?」
「電話をむしり取った」
「相手は上条当麻らしい!」
「…でも通話が切れてたみたい。なんてこった!!」
「土御門が殴られとるの」
「五和……がんばんなさい!」
上条「土御門ー、もしもーし」
神裂「……なぁ?」
上条「一方的に切られた…」
神裂「にゃぁな、にゃぁな」
上条「ん……そうですね、こんなところで途方に暮れていても仕方がないですね」
神裂「な!」
上条「じゃあ取りあえず……ホテルでも捜しましょうか。神裂さん、歩けますか?」
神裂「にゃ~にゃ~」
上条「(……さっきまでは猫みたいに体を曲げてたのに…普通に二足歩行してる……)」
神裂「にゃーななーにゃ~」
上条「(鼻唄うたってんのかな……所々の仕草は違和感があるものの、一応普通の人間みたいに振る舞ってるな)」
神裂「にゃーっ」
上条「(……声以外は)」
神裂「にゃっふふん、にゃっふふん」
上条「か、神裂さん? そんな子供みたいな満面の笑顔で歌いながら歩くとですね、なんというか、スゴく目立つのですよ?」
神裂「な?」
上条「それにほら、こうして手も繋いでるわけですから、こうしてると……その、恋人とかに見えてしまいかねないわけでして…」
神裂「……なぁー…?」
上条「それがイヤなんじゃなくて、神裂火織さんがイヤだったら申し訳がないから、あまり目立ちたくないのですよ」
神裂「……なっ!」
ムギュウッ
上条「おわっ!?」
フニフニフニフニ
神裂「にゃあぉん」
上条「……首に抱きつかれると歩き辛いから離れような(うおぉぉ柔らかい! なんかすっごい柔らかいものが背中に当たっちゃってますよ! あとなんか滅茶苦茶いい匂いがしますよぉぉぉぉぉっ!!?)」
受付「ご予約はお有りでしょうか?」
上条「あ、あー…ありません」
受付「何泊のご滞在でしょうか?」
上条「あー……取りあえず二泊くらいで…」
受付「失礼ですが、身分証になるものをご提示願えますでしょうか」
上条「み、身分証? ……コレって役にたちます…?」
受付「失礼いたしました。それではお部屋の方へご案内いたします」
上条「(……学園製の携帯すげー。リアルタイムで両方の音声翻訳とか便利すぎだ…あと土御門からもらったパスポートも助かった…)」
神裂「うなぁ──!」
上条「!!?」
受付「…? お客様、どうかなさいましたか?」
上条「い、いえ、別に」
神裂「むぐぐぐ…」
受付「それでは、ごゆるりとお寛ぎくださいませ」…パタン
神裂「にゃー!」ガブゥ!
上条「ぎゃー!!」
──*──
上条「痛たたた……さっき無理やり抑えつけたから怒ったんだろうけど、なにもインデックスみたいに噛みつかなくても…」
神裂「………(ツーン)」ポリポリポリ
上条「あれぇ!? ベッドの上にいる神裂さんが猫みたいに足で耳の裏を掻いてるぅ!? な、なんでだよ、さっきまで人間ぽく二足歩行してたじゃないかよ!!」
神裂「にゃあー!」
上条「うぎゃあ今度は四つん這いで襲いかかって来たぁ! もう機嫌なおったのか流石に猫だなって言うか仕草が段々と本物の猫っぽくなってるんですけれどもぉー!!」
神裂「なぁ~、なぁ~、なぁ~」スーリスーリスーリ
上条「ま、また胸に顔を……今回は押し倒されて覆い被さられてるから接着面積が色々とヤバい事に……」
神裂「なぁ~…なぁ~……な…ぁ……」
上条「……神裂? …神裂さん?」
神裂「…Zzz…Zzz…」
上条「(この体勢で寝るのかよ!?)」
上条「よっこいしょ…と」
神裂「Zzz…Zzz…」
上条「朝から猫を探しまわってたみたいだし、疲れたのかな……憑かれてるけど」
神裂「んにゃぁ……Zzz…」
上条「………やばい可愛い…」
グ────ゥ。
上条「なんてやましい気持ちに苛まれていたら腹の虫が」キュルキュルキュル…
上条「……ルームサービスって……まぁ、全部英語で書かれたメニューなんて当然ろくに読めません。そこで我がmy携帯の出番です」スチャ
上条「アプリを起動させてカメラに指定した国の文字を映しただけで、なんと! 画面上で翻訳をしてくれます! どういうシステムかわかんないけどこれは便利の域を超えている!」
神裂「にゃあぁ……Zzz…」
上条「(おっと……ごめん神裂…)」
上条「さーて、メニューの方はーっと……」
上条「とんでもなく高い……」
上条「売店とかはないよなぁ……日本のホテルみたいにドリンクセラーならついてるけど腹には溜まんないし……」
神裂「Zzz…Zzz…」
上条「外ももう薄暗い。かと言っていまの神裂を独り置いて買い物に出ても良いものだろうか…」グーキュルキュル
上条「……神裂も起きたらなにか食べるかも知れないし、閉め出されない内にちょちょっと買い出しに行ってくるか」
神裂「ん…にゃあ……」
上条「ちょっとだけ出掛けてくるけど、大人しくしててくれな」左手ナデリナデリ
インフルの疑い。
21時前には再開したいです。
上条「ただいまー」
神裂「にゃー!!」
上条「うぉあっ!?」
ゴチャグチャゴチャグチャ
上条「こ…これは? 部屋ん中がなにやら大変なことに……って神裂さん起きてらっしゃる!?」
神裂「にゃ~にゃ~、にゃふにゃは~」
上条「酒臭っ!! …おぁっ!? ドリンクセラーから高そうなワインやらが開封されてる!!?」
神裂「ごろにゃごごろにゃ~ご~」
上条「腹が減って開けちゃったのか? しかも出来上がってるし……ほ、ほら神裂さん、未成年の飲酒はいけないのでございますよ」
神裂「にゃっ! にゃっ! にゃっ!」
上条「ああもぉ服もそんなに汚しちゃって、これじゃあ風呂にはいらないとダメじゃな……い…か…?」
神裂「…うにゃあぁん?」
スケスケピチピチ
上条「」
上条「あ、もしもしフロントですか?」
上条「あのぅ、つかぬことをお訊きしたいのですが、このホテルにはマッサージのサービスとかはございますでせうか?」
上条「あの、女性の方にお風呂で体を洗っていただきたいのですけれども」
上条「はい、女性の方に」
上条「……え? そんなサービスやっていない?」
上条「あ、違うんですよ。なにも私が性的なサービスを求めているわけでは無くてですね、」
上条「連れの女性が入浴に介助を必要として…あ、はい、ここはジャパニーズソープではないですね、はい」
上条「あ、いえ、あのですね、そのぉ…」
──*──
上条「……助けはこないようだ……」
上条「……神裂」
神裂「にゃあん?」
上条「いまのお前に自我が有るのか、この時の記憶をあとで覚えているのか、魔術のわからない俺には全く想像もつかないけど、」
神裂「ふにゃふにゃふにゃ」
上条「目が覚めたら、思い切り俺をぶっ飛ばしてくれ。お前の為だったからだとか、言い訳はしないから」
上条「女の子がよくも知らない男に肌を晒すのは嫌なことだっていうのはわかってる。けど神裂の面倒をみろと言われた俺は、土や泥や埃や酒で汚れ切ったお前を風呂にいれる」
上条「あとでぶっ飛ばしてくれて構わない。それで気が済まなかったら、いっそ首をハネられたとしても文句は言わないから」
上条「……ごめんな、神裂」
神裂「にゃあぁ~」
スリスリスリ
上条「神裂を……脱がせるのか…」
神裂「へっきち!」
上条「ただでさえこんな格好をしてる神裂を自分の手で脱がせるとか……上条さんはどこか壊れてしまう自信があります」
神裂「ぅなぁ~…」フルフルフル
上条「服が濡れたから寒くなったのか…待ってろ、いまぬ…脱がしてやるから、な」
神裂「なぁー!」
上条「頼むから無邪気な笑顔を向けてこないで! なんか罪悪感で死にそうだから!」
──*──
上条「下手に目をつぶったら“幻想殺し”でカチューシャに触りかねないしな……ここは極力、見ないように視線をそらすしかないか……」
上条「……死にたい」
上条「………」
神裂「ふにゃ~」ホコホコ
上条「………」
神裂「なぁ~?」スリスリ
上条「……神裂さん、さっきお風呂で起きた事は忘れてくださいね。入る前にあんなこと言っておいて情けないのですが、“さっきのアレ”はダメージがデカすぎます。俺にとっても、貴女にとっても」
神裂「…?」
上条「──さぁ! 風呂にも入ったし、順序が違うけど飯にしよう!」
神裂「にゃ、にゃにゃっ」
上条「日本のコンビニのチェーンがあってビックリしましたよ。前にレッサーが言ってた通り、気軽に手に入る味って言うのは案外便利なものですね」
神裂「……! にゃにゃ! ななな!!」
上条「ん…? 『鯛の一夜干しご飯』……食いたいのか?」
神裂「にゃー!」スンスンスン
上条「はぁ……案の定お箸どころかフォークにナイフそれにスプーンすら使えない神裂さんにご飯を食べさせてあげるのは中々に骨が折れたな…」
神裂「けぷ」
上条「本当に、ホテルに来てから猫化が増してるような気がするな……部屋のなか移動するときも四つん這いだし…」
神裂「ふに~ん?」フリフリ
上条「ちょ…、バスローブ一枚で女豹のポーズとかやめてください」
神裂「にゃあ…」
上条「(……もしかして、外では“神裂火織”が最低限の理性で抗っていたのかな……ホテルに入ったら俺しかいないから気を張らなくてもよくなった…とか…)」
オルソラ「まぁ、神裂さんが発情期ですか?」
アニェーゼ「ち、違います! 私はただ、今日のお昼に猫みたいににゃーにゃーと叫んでる神裂さんを見掛けたと言ったんです!」
ルチア「…何かの見間違いでは? 彼女のような方が、そんな街中で一目もはばからぬ奇行をするとは考え難いですが」
アニェーゼ「右袖を肩から、左裾を付け根までバッサリ切り落としてる高身長ポニテールヘソ出しルックの女性がこのロンドンに他に居ますかね」
オルソラ「それはそれは、間違いはなく神裂さんでございますね」
アンジェレネ「あ、天草式の皆さんといっしょに、動物の耳をつけて何かを探していたみたいですけど…」
ルチア「シスターアンジェレネ? 貴女は今日自分の当番も果たさずに外出をしていたのですか?」
アンジェレネ「───」
シェリー「キティーねぇ……」
アニェーゼ「シェリーさん?」
シェリー「神裂がニャーとか言ってたんだったら、多分頭にゃ猫の耳つけてたんだろ?」
アンジェレネ「あ…そうです、ニャンコの耳つけてました」
シェリー「猫がやかましく鳴くってのは、何かを求めているときに限んだよ」
ルチア「それが…発情期ですか?」
アンジェレネ「………」ポッ
シェリー「アイツ、いつも澄ました顔してしっかり男に飢えてやがったんだな。…ま、あの歳じゃそれが健全か」
アニェーゼ「──あ。男と言えば」
ルチア「?」
アニェーゼ「その、猫耳神裂さんの隣に、見たことのある黒いツンツン髪の学生服が居た気がしたんですが……気のせいでしたかね」
オルソラ「……あらあらあらあら」
上条「………」
神裂「…にゃあ」
上条「ここは上条さんのベッドです」
神裂「にゃにゃー」
上条「貴女のベッドはそちらです」
神裂「…にゃ、なぁお…」
上条「さぁ、自分のベッドに帰りなさい! 上条さんの眠気はマックスなのですよ」
神裂「な~ぉ、な~ぉぉ…」スーリスーリスーリ
上条「寂しくても我慢なさい! 若い男女が一つのベッドにだなんて不健全窮まった行為ですよ!?」
神裂「にゃぁー…」
上条「貴女が自分のベッドで眠るまで上条さんも寝ませんからね。貴女が自分のベッドで眠るまで、上条さんは寝れませんからね!」
神裂「…!!」
スゴスゴ
上条「(自ずからベッドに入ってくれた……)」
上条「それじゃあ、電気けしますよ」
神裂「………」モソモソ
上条「…明日には、もとにもどれるといいな」
神裂「………」モゾモゾ
上条「……それじゃ、おやすみなさいませ」
消灯。
上条「…Zzz……Zzz…」
神裂「………」モゾモゾモゾモゾ
上条「Zzz…う、うぅん…」
神裂「…!?」
上条「……Zzz…Zzz…」
神裂「…なぁお…」モゾモゾ…ムギュゥ
上条「Zzz……ふ…ふがが…」
神裂「なぁ~…おぉ……」ギュウゥ…スーリスーリスーリスーリ
上条「むぐががが…」
神裂「…Zzz…Zzz…」
上条「──ぶはぁッ!」
神裂「Zzz……」
上条「ゴホッ、ゴホッ……寝ているあいだに濡れ新聞紙を顔にかけられたような窒息感が──って神裂!!?」
神裂「なぁぉ……Zzz……」
上条「こいつ、俺が寝静まったあとに潜り込んできたのか……」
神裂「Zzz……な~ぉ…Zzz…」スリスリ
上条「まったく…そんな懐かれてもウチで飼ってあげることは出来ないのですよ? ただでさえウチには大食いらいな居候が──」
神裂「Zzz…Zzz…」
上条「……インデックスのこと忘れてた……」
上条「(帰ったらなんて謝ろう……というか、食べ物がなくて犯罪なんて犯してないですよねインデックスさん…!?)」
──*──
ピンポーン
インデックス「はぁーい」パタパタ
インデックス「…どちらさまですか?」
インデックス「………」ガチャ
インデックス「…やっぱり誰もいない…」
インデックス「そしてまたご飯が沢山入ったビニール袋が置いてある」ガサゴソ
インデックス「朝昼晩、もうずっとこの調子だよねスフィンクス」
スフィンクス「ナーゴ」
インデックス「とうまも帰ってこないし…、まるでとうまの代わりにご飯を用意してくれているみたいに感じるよね」
物陰『…!』
インデックス「……誰だかわからないけど、どうもありがとう。もしよかったら、今度とうまと一緒にご飯食べようね!」
ギィィ……バタンッ
ステイル「……ふぅ……」
(土御門「猫の霊体を用いてるんだぜぃ」)
上条「(……いま神裂は、猫と意識を同化させてるって言ってたな)」
神裂「……にゃぁ…」
上条「(神裂が、自我を取り戻してこの霊装を外したら、いま神裂と同化してる猫の霊はどこにいくんだろう)」
(土御門「時間が解決するから…」)
上条「(……死ぬ、ってことなのかな)」
神裂「…Zzz…Zzz…」スリ…スリ…
上条「(いや、幽霊なんだからもう死んでるのか。……でも、それじゃあ…)」
左手ナデリナデリ
神裂「…、ふにゃっ、ふにっ…!」グリグリスリスリ
上条「…なにか、してやれるわけじゃないけど、」
神裂「ぅなぁ~…Zzz…Zzz…」
上条「“お前”がそんな霊装にいつまでも縛られているのが“コレ”を造ったヤツの願いだって言うのなら……」
上条「その幻想は、ぶち壊す」
上条「……まぁ、“幻想殺し”で壊すことは出来ないから、明日以降土御門に方法を訊いてみるか」
全力で死に体……マジすみません
書きます。
朝になると、見知らぬ布に包まれていた。
それだけで、いま自分はいつもの場所で寝ていたのではないと理解する。
まだ瞼を上げるには気だるくて、小さく身じろぎをすると、すぐ傍に温かなものを感じた。
つい、反射的に自分の体温が移った毛布かなにかだと判断して、それを自らに引き寄せる。
だがそれは意外にも重く、引き寄せようとした自分がそちらにつられてしまった。
密着するほど近寄ったそれは自分とは独立した温度を持っており、朝の到来によって体温の下がっていた自分はその温度を喜んでしまう。
──と、
そこまでの一連を終えた“彼女”は、そうして初めて自分以外の『体温』に疑問を覚え、そうして初めて“隣に居るもの”が自分らしからぬ匂いを持つものだと認識した。
重々しい瞼をゆっくりと持ち上げる。
はじめに視界に飛び込んだのは白いシャツ。ついでこれもまたゆっくりと視線を上方へとうつしていき、そのシャツはあどけのない寝顔をさらす少年のものだと理解できた。
そう。
自分──神裂火織は、少年、上条当麻と同じ部屋で、同じベッドで、同じ布団の中で、腕枕をされて寝ているのだということを、理解した。
上条「……えーと…?」
ベッドなどと言う、最近では縁遠くなった寝具に全力で身を預けていた上条当麻は、突如として全身を苛んだ痛みによって目を覚ました。
見れば、自分の体が壁に張り付いている。昆虫採集の標本みたいだなと、寝起きで鈍っている思考は無駄な感想を抱いて、そして体は重力の慣性に従い床へ落下した。
上条「──ふぎゃ!」
何故か体に力が入らなくて──壁に叩きつけられた衝撃によって感覚が麻痺していた為──受け身をとることもままならず、無様な声をあげてしまう。
畳みかけるように痛みが全身を駆け巡り暫く身悶えた後、ようやく起き上がった上条当麻はベッドの上に居る人物へと向かい合った。
上条「危うく目が覚めるまえに深い眠りに堕ちるところだったのですが……何故?」
ベッドの人物は答えない。
頬どころか顔すべてを朱に染めて、体に纏う一枚のバスローブをキツく締め直し、いままで“上条当麻一緒に寝ていた”布団を体に引き寄せている。
いま起きている事態がいまいち呑み込めていない両者。だが、上条当麻が放つ一言で互いは理解を始めた。
上条「……“神裂”…か?」
神裂火織は困惑していた。
何故自分が、知人とはいえ一人の男と同衾していたのか。
慌てて──聖人の力を抑えもせずに放り飛ばした少年が、床に落ちた。
困惑しながらも状況を理解しようと、部屋の中を見渡す。
どうやらホテルの一室のようだ。ベッドは二つ、並ぶように配置された、向こう側にあるベッドの脇に、相棒と言える七天七刀が立てかけてあった。
これでは、自分が少年のベッドに潜り込んだようではないか。
不意に寒気を感じて、自分の体を見下ろす。
普段結ってある髪はとかれ、無造作に投げ出されている。
他人から褒められることも多い肌と、妬まれることもある胸元が、寝相で緩んだバスローブから大きく覗いていた。
慌てて乱れを整え帯を締め直す。
事情を知るものならばそれは単なる寝仕草の結果だと理解出来るのだが、事において神裂火織と言う人物はこの場において、『事後』という言葉を強く連想してしまった。
耳まで真っ赤に紅潮し、起き上がる少年から身を隠すように掛け布団を引き寄せる。
どうしたらいいのか、どのような態度で少年と接したらいいのかがわからず、沈黙してしまう。
少年が、言葉を紡ぐ。
神裂「───」
少年の、確認するような言葉を聞いた瞬間に、神裂火織は前日に起きた“すべての事柄”を思い出した。
それは主に、
・自分が人目もはばからず「にゃーにゃー」と言っていたこと。
・土御門の画策により上条当麻を巻き込んでしまったこと。
・上条当麻に抱きついたりすり寄ったりしていたこと。
・上条当麻の体温を感じたり匂いを嗅ぐのが心地好かったこと。
・上条当麻とお風呂に入ったこと。
・上条当麻の【ピ──】に【ピ──】して、嫌がる上条当麻を無理矢理【ピ────】こと。
・食器を扱えず、上条当麻に食べさせてもらったこと。
・上条当麻と離れて眠るのがイヤで、寝静まった後に自分からベッドに忍び込んだこと。
昨日一日の記憶の中でも特に恥じたくなる部分が強調して、まるでMADのように編集された思考と映像が脳内をリフレインする。
神裂「ぅああああああぁあああああぁぁぁぁぁぁぁああッッッ────────────────!!!!」
上条「か、神裂さん!? いったいどうされたんですか!?」
神裂「……上条当麻アアァァァッ!!」
上条「はい!? …あ、そうか、約束した通り私を御殺しになさるんですね? どうぞどうぞ、もう覚悟は決まっております。でもできれば一思いにヤってもらえたらいいなーなんて」
神裂「介錯を頼みますッ!!」
上条「あーはいはい介錯ですね了解しまし…ええぇぇぇぇぇぇ!!?」
神裂「私は…私というヤツは! 鍛錬が足りないばかりにまた貴方に迷惑をかけて…!! 然も公衆の面前で…ああああの様な醜態まで晒してしまっては、もはや私にこのまま生きる道はありません…!!!」
上条「ちょ…落ち着け神裂! 俺は土御門が連れてきたから来ただけで、お前に迷惑かけられたなんて全然思ってないから!! だからその首に押し当ててる刀をしまいなさい! …って言うか介錯いらねぇじゃん!!」
神裂「公衆の面前で醜態を晒した事実は覆りません!!」
上条「それは、ほら!!」
神裂「…?」
上条「可愛かったからオーケーだと思いますよ?」
神裂「───」
神裂「……済みません」
上条「謝るのはこっちですよ……その…風呂のこととか」
神裂「…!! そ、それについては、貴方は誠実に対応してくれたと思います。そもそも迷惑をかけたのは私なのですから、はっははは裸の一つや二つくらいでどうという…ことは…!!!」
上条「だから迷惑じゃないって……あの、神裂さん?」
神裂「はっ、はい?」
上条「お風呂でのこととか、やっぱり覚えていらっしゃりますか…?」
神裂「風呂? ……ッ!!」
上条「いやいやいや! “アレ”は上条さんが悪いですから! 貴女は無邪気に遊んでいただけですから! だから刀を下ろしてください!!」
神裂「済みません済みません済みません済みません済みません済みません…」
上条「全力の謝罪!!?」
──*──
上条「じゃあ神裂さんは、猫化していたときの事は覚えてるんですネ?」
神裂「そ、そうですね、一応記憶はありますが、半ば夢だったようにも感じます」
上条「…どうして猫化が解けたんだ? まさか寝てる時に“幻想殺し”で触ったのか…?」
神裂「“時間が解決する”と言われていたのですから、時間が経過したから解けたのでは?」
上条「じゃあ、もう猫はその中に戻って閉じ込められてるってことか……」
神裂「その中…? そう言えば、件のカチューシャはどこに?」
上条「どこにって神裂さん、頭につけっぱなしですよ?」
神裂「ぬぁっ!?」
上条「上条さんとしては、“それ”に縛りつけられている猫の霊を何とかして解放してあげられないか考えたいのですが……どうかしましたか神裂さん?」
神裂「……上条当麻」
上条「はい」
神裂「とれにゃい……」
上条「はいぃぃぃ!?」
土御門『いやー、ねーちんがそんなに早く狐憑きから解かれるとはにゃー。これも聖人の力かにゃー?』
上条「そうじゃなくて、この霊装に閉じ込められてる猫の霊を解放してやりたいんだけど、どうしたらいいかわかるか?」
土御門『とは言ってもにゃー。それは一応イギリス清教の財産なわけだし、どうしたらいいかなんてオレにはわからんぜぃ』
上条「そうか……でも、」
神裂「代わって下さい」
土御門『んー? …おやねーちん、元気そうでなによりだにゃー』
神裂「土御門。折り入って話がありますから今すぐに私の前に現れなさい」
土御門『はっはー、そいつは無理な注文ってやつなんだぜぃ』
上条「なんでだよ。とりあえず話がしたいから、一度どこかで落ち合えると助かるんだけど」
土御門『オレいま学園都市だし』
上条「……はぁ!? ちょ、お前、なに一人で帰っちゃってんの!? 自由人過ぎんだろ!!」
土御門『オレにも色々あるんだよ』
神裂「土御門。今度会う時までに、八つに解体されても蘇生できるように体を鍛えておきなさい」
土御門『にゃー、出会い頭の七閃は勘弁願いたいぜぃ』
上条「土御門、神裂の頭についたまま外れないカチューシャは、“幻想殺し”で触ったらまずいよな」
土御門『上やんが猫を助けたいって言うんなら、幻想殺しは使わない方がいいぜぃ。使ったら確実に外せるとおもうけど』
上条「(俺次第……か)」チラリ
神裂「……いいですよ、私は。今更ですし、貴方にも迷惑をかけましたから」
上条「…ありがとう」
神裂「御礼を言われることは…」
上条「………」
神裂「………」
土御門『にゃーにゃーにゃー』
上条「とりあえず、土御門は頼りにならないわけだけど……どうしたらいい?」
神裂「そうですね…『最大主教』が手を貸してくれるとは思えませんし…」
上条「インデックスならなにかわかるかも知れないけど、昨日から連絡してないからちょっと怖い…」
神裂「……じっとしていても始まりませんし、先ずは私の住んでいる寮に行きませんか?」
上条「神裂の? 構わないけど…それ、見られてもいいのか?」
神裂「良くはありません。良くはありませんが、時間を浪費するよりも有意義だと思いますよ」
上条「そっか……それもそうだな!」
神裂「では私は着替えを……? 上条当麻、昨日濡れたはずの私の服はどちらに?」
上条「ああ、それなら部屋干しして、ホテルから借りたアイロン使って畳んでありますよ。はい」
神裂「(……なんという主夫…)」
神裂「神裂です、ただいま戻りました」
オルソラ「あらあら神裂さん、昨日は一日連絡も無くどちらへ……」
上条「オルソラじゃないか、久しぶり!」
オルソラ「……あらあらあらあら」
──*──
上条「ここって女子寮だったのか……俺みたいな男が入ってもいいのか?」
神裂「一応この食堂は、来客を迎える応接室の意も兼ねていますから、多少は」
ルチア「その他の部屋へ入ろうものならその尖った髪の毛を全てむしり取って代わりに虫ピンを刺し込まれるくらいは覚悟しておいて下さい」
上条「怖っ! 物理的に怖っ!!」
アンジェレネ「シスタールチア、シスタールチア」
ルチア「なんですか、シスターアンジェレネ」
アンジェレネ「いまのって、“むしりとる”と“虫ピン”を掛けたのかなって…痛たたたた!」
アニェーゼ「──まぁ? 上条さんに真っ向から女性に手を出せるような度量があるとは思えねぇですけどね」
アニェーゼ「……上条さん、には」
神裂「……?」
──*──
オルソラ「まぁ…そのようなことが…」
上条「これ以上はただの俺の自己満足なんだけど、どうしても猫のことが気になって…」
オルソラ「自己満足だなんて、そんな風に自分を卑下する必要は無いと思うのでございますよ」ギュッ
上条「オ、オルソラ?」
オルソラ「その自己満足の結果で、私たちは救われているのですよ」
上条「お、おぅ……ありがとう」
オルソラ「いえいえ」
神裂「………」
アニェーゼ「なんですかねぇ、あの雰囲気は」
ルチア「…まぁ、私達からシスターオルソラを助けた本人なわけですから」
アンジェレネ「えっ? それってどう言う意味で…」
シェリー「はーん。これがその霊媒髪飾りか?」
上条「──シェリー!?」
神裂「あ…貴女、いつの間に背後に…!?」
シェリー「アンタらがオルソラとウニ頭を勘ぐってる間にだよ」
上条「はぁ?」
オルソラ「まぁ…」ポッ
アニェーゼ「…なにか解るんですか? 確か貴女は“解読”の専門でしたよね?」
シェリー「あー、悪いが知らねー。実は言うとソレな、一度あたしに解読依頼が来たことあるんだよ。魔術的にもつ意味を調べる為にな」
ルチア「では…?」
シェリー「だから解らないんだっての。だいたい、効力は切れてるはずなのに外すことが出来ないなんて、安っぽい呪いと同じじゃないか」
上条「呪い…か」
シェリー「呪われた聖人……なんかB級映画のタイトルみたいだなぁ」
上条「絶対観に行きたくねぇ」
神裂「……、」シュン
アニェーゼ「この後はどうするんですか?」
上条「自分のわがままなのに他人に頼りっきりで悪いんだけど、呪いを解くのに詳しい人とか知らないか?」
アニェーゼ「そんな都合の良い人脈なんてもってねぇですよ」
上条「そうだよなぁ~……他に知り合いって言ったら天草式の建宮たちに、どこに居るかもわからないオリアナやレッサー、あとは女王様たちとかか……」
オルソラ「現実的なのは、天草式の皆さんしか居なさそうですが…」
神裂「彼らも、解呪というのは得意ではないでしょう。上条当麻の願いと言えば、手助けはしてくれるでしょうが…(主に五和が)」
上条「……インデックスに訊いてみるしかないか…?」
済みません…
結局インフルではなかったものの、38くらいが繰り返してて体力どうにも……
書く気はあるのですがこれ以上どれだけ待たせてまうかわかりません、
見限っていただいても文句を言うはないですので、お願いいたします。
──◆──
Prrrrrr…
インデックス「は、はい! これはとうまの家の電話だよ!!」
上条『……その、お元気…ですか?』
インデックス「──、」
上条『…? もしもし、インデックス? 上条さんですけど…』
インデックス「──とうまのバカっ!!!」
上条『いっ!?』
インデックス「いま何してるの? いまどこに居るの? どうしていままで連絡くれなかったの!!?」
上条『い、いやそれはですね? 掻い摘んで説明しても伝わり難いことが重ね重ねでミルフィーユ状態といいますか…』
インデックス「……ねぇ、怪我とかしてないの? もしかしてまた知らない誰かの為に命を張って入院してたりしない?」
上条『だ、大丈夫だよ。今回はなんで俺が喚ばれたのかもわからねぇくらいの事だし、別段怪我なんかもしてないから』
インデックス「──そう言えば、後ろから随分と賑やかな声が聴こえるねとうま」
上条『うん? …ああ、いま神裂やオルソラたちが住んでる寮からかけてるからかな』
インデックス「『必要悪の教会』の女子寮……とうま、いまイギリスにいるの?」
上条『え? あ、うん』
インデックス「“かおり”や“おるそら”と一緒に?」
上条『他にはアニェーゼたちも居るけど……』
インデックス「おるそらの作った美味しいものとか食べて?」
上条『はい? 俺は起きてから朝一で来たばかりで朝飯なんて食べてな……え? オルソラが朝食作ってくれる? いやそれは嬉しいけどいまは…』
インデックス「……とうま?」
上条『は、はい?』
インデックス「わたしが、どれだけとうまの事心配してたか、わかる?」
上条『……すみませんでした…』
インデックス「と…とうまなんか、あいさに“イッペン死ンデミル?”でもされて悶え苦しんで泣き崩れるといいんだよっ!!!」
上条「……頼りの綱に死ねと言われた……」
アニェーゼ「そりゃー自業自得って奴でしょうよ」
アンジェレネ「(し、シスタールチア…!)」
ルチア「(なんですか?)」
アンジェレネ「(さっき、オルソラさんってわざと会話に割り込んだよね!?)」
ルチア「(そんなまさか……とは、言いにくいですね…)」
アンジェレネ「(女ってコワイ…!!)」ガタガタブルブル
アニェーゼ「(アンジェレネ、自分の性別を忘れてやがりますね)」
アニェーゼ「で、改めて訊きやすが、この後どーするんですかい?」
上条「うぅ…八方塞がりだ…」
神裂「……上条当麻、こうなったら『最大主教』のところに行きましょう」
上条「アークビショップさんの?」
神裂「そもそも、この霊装はあの人からの借り物です。それを返そうにも返せない状態になったのですから、何らかの対応策を講じてくれるやも知れません」
上条「おお…!」
神裂「ただ…」
シェリー「あのババァの事だから、ちょちょいと外してそのまま懐に戻してハイサヨナラ、ってことにもなるだろうなぁ」
上条「おぉ…?」
神裂「……賢い、方なんです。抜け目が無いほどに」
オルソラ「伊達に長生きをなさっているわけではないという事なのですよ」
シェリー「アンタもだいぶイッてるように見えるけどね。ババ臭い仕草とか」
オルソラ「まぁ。最年長の方が仰ることには説得力が御座いますね」
シェリー「……手前ェ…今日はやけに牙剥いてんじゃねぇか。…突然惚れた男が現れて女を意識しだしたのかぁ?」
オルソラ「そんな。私は、ただただ、敬虔な気持ちで神に遣えるシスターです。…でも、女性らしさと言うものを棄てる気にはなれないので御座いますよ?」
シェリー「なんだその意味深な言葉は……馬鹿らしい」
オルソラ「あらあら…」
ルチア「(話がそれていますね…)」
アニェーゼ「(これでシスターオルソラの発言が全部天然だったらイギリス清教は二度と敵に回したくなくなるんですが)」
アンジェレネ「(女って…!!)」ガタガタブルブル
済みません。
座薬がかなり効いたので今日は筆が遅くても頑張りたいのですが、宜しいでしょうか。
寝ているあいだこの話のばかり考えていて夢の中で猫耳つけてました。
生存報告もしないでむしのいい話だとは承知しているのですが、いま少し頑張らせてください。お願いします。
──◆──
上条「それじゃあ…みんな、わざわざありがとうな!」
アニェーゼ「あなたの方から此処に来たんじゃないですか」
オルソラ「お力になれるようなことが御座いましたら、いつでもご連絡くださいませ」
ルチア「…貴女がたお二人だけで大丈夫なのですか? 相当注意せねばならぬ相手なのでしょう?」
アンジェレネ「『最大主教』さんてアレですよね、“イギリス清教最強の若作り”って呼ばれている人ですよね?」
アニェーゼ「かなりの曲者だそうじゃないですか。ちゃんと会ったことは少ししかありやせんが、果たして一筋縄でいくかどうか……」
神裂「貴女達…もしかしてついてくるつもりですか?」
上条「気持ちは嬉しいけど…そんなに迷惑はかけられない。気持ちだけ受け取っておくよ」
オルソラ「そうですか…」
上条「──それじゃあ、行くか 」
神裂「はい」
上条「オルソラ、朝飯ありがとう! みんなも元気でなー!!」
──◆──
アニェーゼ「……行っちまいましたね」
オルソラ「最近は平和でやることも有りませんし、お手伝いできるのなら、と思ったのですけれど…」
ルチア「平和なのは良いことではありませんか。さぁ、シスターアンジェレネ。先日から当番をサボタージュしていた分、今日は沢山やることがありますよ」
アンジェレネ「ぎゃあ!」
ローラ「なるほど、言いたきことは理解出来てよ」
上条「(…『最大主教』…前にも会ったことはある…よな)」ゴクリ
神裂「どうすれば…この、猫耳カチューシャは外せますか?」
ローラ「んー? 別に外せなくても構わぬでないの? 普段として露出の高い服を着ている貴女には、可愛いものがあまりに似合いていて腹が捻転してしまいそうよ」
神裂「それは笑って腹がよじれているんじゃないですか!!」
上条「…かわいいと言うのは否定しない。うむ否定できない」
神裂「──か、上条当麻からも何か言ってください! 日本からわざわざ召喚された者として、事の収まりを見届ける必要があるでしょう!?」
上条「そ、そうですね。…あの、『最大主教』さん?」
ローラ「何かしら“幻想殺し”」
上条「えっと、このカチューシャを外すことは出来るんでせうか?」
ローラ「容易なことよ。ただ、“誰にでも”と言う訳にはまいらぬけれど」
上条「……『最大主教』さんには出来ないんですか?」
ローラ「“無理矢理”ならば可能よ。それこそ誰にでも出来ることよ。…けれど、貴方たちはそれを望んではおらぬわよね」
上条「…!?」
神裂「───」
ローラ「おや、怖い顔の方が似合うわね神裂火織」
上条「…どうして、俺たちの目的を…」
ローラ「そこはほれ、乙女のヒミツと言うやつよ」
上条「……要するに、カチューシャに縛られているはずの猫の霊はいま、“なぜか”神裂の魂とくっついている、と」
ローラ「きっかけは件の『霊装の過度な使用』だと思いけるけど、いままではそれでカチューシャが外れなくなる何てことは無きにしよ」
神裂「では今までの者たちはどうなったのですか」
ローラ「廃人と化したわ。カチューシャをつけている間は猫の霊が体を動かして居ったけど、いざカチューシャを取れば“中”はスカスカ、精神を上から圧し消されたと言うわけね」
神裂「そんな…」
上条「──そんな危険な物を神裂に使わせたって言うのか!?」
ローラ「そうよ」
上条「…! (これが、『最大主教』…!? “こんなのが”インデックスに『首輪』を着けたヤツだってのか…!!?)」
ローラ「──もっとも、神裂を失う気は無かった。神裂がヤケになって過度に使用するとは…考えておらぬかったことよ」
上条「……、そうか」
神裂「…申し訳も有りません」
上条「…それじゃあ、いまの神裂の状態はやっぱイレギュラーなことなのか」
神裂「そうなります。しかしなぜ魂が癒着するなんて……」
ローラ「そればかりは解らぬわね。『聖人』に依るものかも知れぬし、たまたま魂の相性が良かっただけかも知れぬわ」
上条「魂に相性なんてあるのか?」
ローラ「血液型とか、十二星座の占いのようなものではなくて、この場合の相性というのは…持ち主の性格、と言ったところかしら」
上条「性格? 猫と神裂の?」
ローラ「プライドの高い猫と──いまは大分柔らかくなったようだけど、『聖人』の神裂」
上条「(柔らかい…たしかに柔らかい…)」
ローラ「いつも凛と澄ました神裂だけれど、実は寂しがり屋だったり構ってちゃんだったり、甘えん坊なところがあるのだと言うことね」
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