姫「こんにちはー!」魔王「……は?」(823)

姫「こんにちは魔王様、私、或国の姫です!」

魔王「……」

姫「あれっ聞こえなかったかな!?もしもし!?」

魔王「聞こえている……」

姫「やだ聞こえてないふりしてたのー? もーお茶目さんっ」キャッキャッ

魔王「ムカつくからやめろ」

姫「……」

魔王「……一国の姫が、闇の底に沈む我が城に、一人で、しかもそのような軽装で飛び込んでくるとはいい度胸だな? 最後に言い残す事はないか?聞いてやるぞ」カチャ

姫「や、や、やめてよ!その装飾品をごてごてに付けた剣しまってよ! 今日は魔王様にお話があって来たんだから!」

魔王「ほう。姫様はまともな教育も受けていないと見受けられる。それともアポ無しの面会がそちらの国でのマナーなのかな」

姫「それは……ごめんなさい」

魔王「大体よくお前の父、或国の王がこちらに向かうことを許してくれたな」

姫「許してもらってないよ?」

魔王「は?」

姫「え?」

魔王「いや、お前が首を傾げるのはおかしいだろ。じゃあお前本当に一人で来たのか?」

姫「うん」

魔王「ここに来るまで魔物がたくさんいただろ」

姫「私魔法学校首席だし。多少の魔物は私の魔法で眠ってくれたよ」

魔王「こんな小娘一人に我が子供達は何をやっているんだ……」

姫「え!?あれ全部魔王様の子供なの!?元気だね!」

魔王「そんなわけあるか」

姫「え!?違うの!?」

魔王「我が子同然のように民を愛す。これが王のあるべき姿だ」

姫「それはスンバラシイ!素敵だね!」

魔王「……ああ面倒くさい雌餓鬼だ。それで話は何なんだ。手短にしろよ。俺は疲れているんだ」

姫「あ、そうそう!えーっとね……」

魔王「……」

姫「私達の人間の国と和解してほしいの」

魔王「断る」

姫「……」

魔王「……」

姫「一応聞くけど、どうして?」

魔王「どうしてもこうしても、我々魔界と人間界は敵対するものだと最初から決まっているからだ」

姫「どうして?和解しようと思えば……」

魔王「力を持つ者は力を持たない者を支配する。これはお前らの国にもあることだろう」

姫「……奴隷制度のこと? そんなものとっくになくなったよ!」

魔王「別に奴隷制度の事を言った訳ではないが……まぁいい。それを例にしよう。奴隷制度そのものはなくなったかもしれないな。だがな、それでも弱い者を虐める強い者が消えたとは言えないだろう?」

姫「か……かもね」

魔王「そして、何より、我が国もお前の国も、当然のように支配者はいるわけだ」

姫「支配という言葉は気にくわないけど、王様……私の父ね。そしてあなた」

魔王「力を持つ者は同等に力を持つ者を許せない。最上に君臨していた自分なのに、そんな奴がもう一人いるなんて許せない。よくある感情だろう?醜い嫉妬、劣等感。なぁ?」

姫「……私の父はそんな人じゃないよ!優しくて、みんなの意見も取り入れて……支配なんて……!」

魔王「それならもっと質が悪い」

姫「……?」

魔王「優しい生き物は弱い。特に他人の言うことを聞いて、それに多少の自分の意見も混ぜるような奴はな。自分に自信があり他人に優しくするようなら、それは強い生き物だが」

姫「どう違うの……?」

魔王「本当の強さを持つ者は自分の意見を信じ、反映させる。ああ、だからといって自分の好き勝手で決めるということではないぞ?よく民を見、民を信じ、己を信じるのだ。だから毎日俺は民と話す。そして自分で考え、自分で意見をくだすのだ。お前の親父殿は、民と話すか?」

姫「……」

魔王「高く厚いお城に守られて、ただ側近やお偉方の言うことを反映させているんじゃないか? 言うことを聞けば、とりあえず避難されることはないだろうと」

姫「っ……」

魔王「自分を守りたい者は総じて弱虫だ。そんな奴が、自分と同じ位の者と和解したがるかな?」

姫「父は……そうね、父は和解を反対したわ……」

魔王「だろうな。いつかは俺に支配されて地位を奪われてしまうのではないかと考えるんだろうな」

姫「……」

魔王(震えている……泣いているのか。強く言い過ぎたか? いや、このぐらいがいいんだ)

姫「……すっ……」
魔王「?……す?」

姫「すっっごいねえええっ魔王ァアア!!」

魔王「……」キーン

姫「もう私!本当に魔王様と和解したくなったよぉ!」ギュッ

魔王「人の話を聞け。それから抱きつくな」ぐいっ

姫「ああん! もう恥ずかしがりやさんなんだから~」

魔王「おいこいつどうにかしろよ」

姫「私、魔王様に惚れちゃった……!」

魔王「ああ……っはぁ!?」

姫「やだ、驚いた顔もス・テ・キ」

魔王「頭大丈夫か?医者を呼ぶか?本当に心配になってきたんだが」

姫「とりあえず」キリッ

魔王「いきなりマジになるな。驚く」

姫「今の時点で和解は無理ってことは分かったわ」

魔王「そうか。分かってくれたか、じゃあそろそろお引き取り願……おい、何だその荷物は」

姫「今日から私はあなたと一緒に暮らします!ふふふ、よろしくね」

魔王「殺していいかな、いいよな」

―――…


(っ……ひっく……お兄さま、お兄さま、お父さまが……)

(泣くな弟よ、私も戦いに参る。もし私が死んだときは、そなたが王だ。一国を護るのだぞ。お前もお父様のような素晴らしい王となるのだ)

(お兄さま、行かないで! 僕はお父さまにはなれないよ!お兄さまぁああ)



―――……


側近「魔王様、魔王様」

魔王「……む、う?」

側近「酷い汗ですよ。それにうなされていました。大丈夫ですか?」

魔王「ああ、くそ……昔の夢を見ていただけだ……。しばらく、見ていなかったのだがな……」

側近「……先代魔王様と、お兄様の夢ですね」

魔王「ああ。こんな夢、本当に何十年ぶりだろうな……それもこれも――…」

姫「おはよう!魔王様ぁ!」バターン!!

魔王「あの女のせいだということは間違いないな」

側近「おやおや」クスクス

魔王「何がおかしい」

側近「あ、いえ」

姫「魔王様、ご機嫌麗しゅう」すりすり

魔王「ああ、相変わらずお前の頭は空っぽそうだな」

姫「……あら、私頭は悪くないですよ。魔法学校では」

魔王「首席か?そんなもん、戦う時以外役にたたん。そういう頭の良さと、俺の言う頭の良さは違う」

姫「……そうですね。確かに、私は頭が悪いかもしれない」

魔王「?素直だな」

姫「殿方は素直な女の子がお好きでしょ?」

魔王「美人ならな」

姫「もう……それより、魔王様」

魔王「あん?」

姫「今日こそ我が国との和解、考えてくれる?」

魔王「だから断る。そもそも、お前のとこの王も反対なのだろうが」

姫「……お父様は、姫に甘いから。姫がお願いしたらきっと……」

魔王「……?どうした?」

姫「ううん!何でもない! 魔王様、今から何するの?」

魔王「……とりあえず着替えるから」

姫「まぁ、じゃあ姫が脱がせてさしあげますね!」

魔王「出てけと言うつもりだったんだが、面倒くさいから魔法で追い出す」ヒュイッ

バタンッ

姫「あん、もう鬼畜ぅ……」
姫「……」
姫「ヤバイな、本気で好きになってきてるかもしれない」

側近「姫を追い出さないのですか?本当に邪魔なら転移魔法で或国に飛ばせるでしょうに」

魔王「ああ?……フン。あいつをここに置いておくのはただの気まぐれだ。飽きたら飛ばすさ」

側近「そうですか」

魔王「調べたいこともあるしな……」ボソッ

ストック切れたので書きためしてきます
保守は危ういと思ったら自分でします
でも寝落ちしたらすみません
全部書きためてから投下するべきでしたよね
落ちたら全部書きあげてから新しいスレ立てます

姫「側近さん」

側近「はい?」

姫「魔王様は?」

側近「貴女に教える必要はないと魔王様は仰られました」

姫「そっか……そうですよね。仕方ない…自分で探します」
側近「……」
側近「……この時間帯は大抵低級の魔物のふりして民と話をしていますね」

姫「っ! 側近さん…良い人!!」

側近「ふふ、魔王様には内緒ですよ?」

姫「うん!うん!」

側近「あと魔物に殺されてミンチにされて喰われても責任はとりませんよ」

姫「は、はぁ~い」
姫(ちょっと怖いなぁ……この人)


――…

魔王(ふむ、先日より治安がよくなったように感じるな。やはり誰からか意見を聞くより、自分で見て回るのが一番だ)

魔王(……父もそんな人だった、な)

魔王(くそ、夢を……しかもあんな古い夢を引きずるなんて……らしくない)


姫『魔王様』

魔王(あいつ……人間と住むのが良くないのか。ならば人間を全て滅ぼすべきか)

魔王(いいや、無駄な殺生はしたくない。だが和解もしたくない。いつ何時魔物に襲われるか、国を滅ぼされるか、精々怖がるがいい。これが俺のできる、復讐だ)

魔物(フン……情けないな)

姫「まっおー様ぁ!こんなところで会うなんて運命ね!」

魔王「……何故いる」

姫「だ・か・ら運命☆」

魔王「すごく殺したくなってきた。無駄な殺生は嫌なはずだったんだがな」

姫「やだもう過激……っ痛い痛い!」

魔王「それ以上くだらないこと言ったら殺す」

姫「ひゃい……」

姫「しかし魔王様、本当に民の話を聞いてるんですね!」

魔王「ああ。見回ることで現状も把握できるからな」

姫「魔王様……嬉しそう」

魔王「……そう見えるか?」

姫「民の笑顔を見て優しそうな顔してるもの」

魔王「うかつ……」

姫「えー! 可愛いよー!」

魔王「うるさい、馬鹿」

姫「あ、デレた?」

魔王「デ……?」


姫「あーもう!魔王様素敵!惚れた!」

魔王「お前はそればっかだな」くすくす

姫(笑った……!)


――…

魔王(結局今日は何も調べられなかったな。一日中あの女がべったりだ)

魔王(そしてついペースに乗せられてしまってるし……いかんな)


姫「魔王様ぁ、一緒にお風呂入りましょう!」


魔王「お断りだ。マセ餓鬼が」

姫「ちぇー」


魔王「たくっ」

側近「ふふふ」にやにや

魔王「何だ」

側近「いいえ?」


――…


側近「おはようございます。魔王様」

魔王「ああ、今日は……あいついないんだな」

側近「気になります?」

魔王「まさか」

側近「……」

魔王「……」

側近「朝早くからお出掛けになりました」

魔王「そうか」

側近「はい」

魔王「……」

側近「……」

魔王「あれでも一国の姫だ。魔物に殺されたら厄介だからな」スタッ

側近「いってらっしゃいませ」にやにや


――…

魔物(いないな……どこ行ったんだ? まさか本当に喰われちゃいないだろうな? ん?)

ガヤガヤ

魔物(? 騒がしいな?何かもめ事か?)

魔物「行ってみるか」


――…

魔王(あれは……)

姫「……」

魔物1「人間がァッ何しに来たァアアッ」

魔物2「殺されたいのかァア?」

姫「……そんなわけないでしょ?」

魔物(……姫?いつもと様子が……)

姫「私はここを通りたいだけなの。通してくれる?」

魔物1「ばっかじゃねぇの!?お前は俺らにまわされて殺されて喰われるんだよぉ!」

魔物2「その透き通るような白い肌の下はたいそう美味い内臓がつまってるんだろぉ!?」

姫「ふーん。あくまでも通してくれないんだ。……そういう子にはお仕置きしないとね」カチャ

魔物(刀? ……ッ!? あの装飾……し、しかし、あれを持つのは……)

姫「はぁあああああ!」

魔王(勇者、だけなはず――…)

>>32
すみません、カギカッコ前全部魔王で変換してください

>>33
これも魔物1、2以外の魔物は魔王です
すみません

そして書きためがまた底をつきました
ちょくちょく書きためて今日の夕方にでも投下します
スレ落ちたら立てなおします
おやすみなさい

大変遅くなり申し訳ありません
ちょこちょこ書きためた分を4分間隔で投下します

――…

姫「あーあ、血まみれだ。まぁ魔物達の腕一本切っただけだし、再生するよね」
姫「ドレスも……真っ赤…ピンクだったのに……怒られちゃうかな」

姫「はは……そんなことないか、彼女はたくさんドレス持ってるし…」

姫「何言っても、甘やかされる、愛される」

姫「はは……」

姫「……く、ぅ」

姫「泣いちゃ、ダメだ」ごしごし


ガサッ

姫「……?」

魔王「調べるまでもなかったな」バッ

姫「……!?ま、魔王様!?」

魔王「……貴様、本当は姫なんかじゃないな?」ガチャ

姫「っや、やだぁ……そんな怖い顔しちゃって……け、剣っ……し、しまってよ」

魔王「アホか? お前、誰を前にしてそんなこと言っている?」チャキッ

姫「っ……」ガタガタ

魔王「今一度聞く、貴様、何者だ?」

姫「或、国の、姫……ッあ、あッ」ツーッ

魔王「首から流れる血は赤いな。はは、人間であることは確かだ」

姫「ふ、ふふ」

魔王「笑うな。殺すぞ」

姫「ひっ……!」

姫「あぅ、私、本当に、姫、なんだよ」ガタガタ

魔王「それはないな」

姫「……?」

魔王「その刀は、王族が、姫であるお前が持つはずないんだよ」

姫「ッ……」

魔王「その刀は、代々王族から勇者に与えられる刀だ。使っていいのはただ一人、勇者のみ」

姫「どうして、それを」

魔王「……その刀には、俺の父と兄の目が固めて埋め込まれている」

姫「!?」

魔王「それは、この世で一つのみの刀なんだ……魔王を倒した…勇者の証…ッ」

魔王「それをお前が持つということは……お前は……」

姫「……ごめん……なさい」

魔王「謝るのはあの世で、でいい」

姫「き、聞いて!お願いだから!」

魔王「嫌だと言ったら?」

姫「わ、私、勇者だけど、嘘はついていないよ!」

魔王「……」

姫「私本当に、王の娘ではあるの……!でも、正妻の子じゃないだけなのっ…!だから本当の姫ではないけれど……」

魔王「例え正妻の娘でなかろうと、王族の娘が勇者になるわけないだろう」

姫「……」

姫「私は、生まれてきてはいけない子だったから……」

魔王「……」

姫「私の母親は、先代勇者の娘。父はそのときの勇者が活躍していた時の王の息子。つまり今の王ね」

魔王「勇者の娘……? だがそれは禁じられているはずだろう?」

姫「……勇者の娘は身籠ってはいけない。勇者が子種を捧げ、勇者を作り、その勇者がまた子種を捧げる。しかし勇者の血を受け継いだ娘は、血を増やしてはならない。その子供は再び女で、魔女になるからだ。魔女は災厄を産む。血を増やしてはいけない」

姫「その魔女……と呼ばれるものが、私なのね。生憎、母方の祖父…先代勇者は母を作ってすぐ死んだわ。母は祖父から禁産伝承を聞かなかったらしい。母は父と出会い、恋をし、子を産んだ」

魔王「……王が、その伝承を知らないはずはないが?」

姫「うん、父は知っていて子を産ませたの。勇者の跡継ぎがいない今、魔女ならば魔王に対抗できるかもしれないと」

魔王「……馬鹿な…!」

姫「そうね、馬鹿だわ。でも父は優しくしてくれた。例え偽りの優しさだったとしても、小さい頃から魔法が使えた私を気味悪がって遠ざけていた母親より、ずっとマシ」

姫「……でも、姫にはなれなかった。父には正妻の娘がいたもの。それに私は魔女。勇者という名を借りて魔王退治はできるけど、ドレスや宝石で着飾った姫にはなれないの」

魔王「……その剣は?」

姫「貴方を倒すと言って、授かったもの。父が喜んでくれるなら、魔女として、勇者として、貴方を倒そうと思って」

魔王「なら何故殺さなかった。いくらでも機会はあっただろうに」

姫「……それは」

魔王「何だ、言え」

姫「……惚れたって、言ったよね。魔王様と一緒に過ごす内に、貴方がどれほど魔界を愛し、民のために働いているか知った。私の父より立派な政治を貴方はしていた。
それに考えてみれば、貴方が魔王になってから、魔物の被害を人間は受けていないって聞くわ。魔王様のおかげだよね?」

魔王「……」

魔王「ハッ、そう言えば俺がほだされるとでも? 愛だの恋だのくだらない」

姫「……うん。でも好きになっちゃったんだよ。だから和解を求めたの」

魔王「……」ガチャ

姫「……?魔王様……?」

魔王「帰れ」

姫「……殺さないの?」

魔王「フン、ほだされてやるのさ」

姫「……!」

姫「…優しいね、ますます惚れちゃうな。でも、私は帰れないよ」

魔王「……殺されたいのか?」

姫「……そうなのかもね」

魔王「……」

姫「帰っても、嫌な顔されるだけだもの。父だって、役立たずなんていらないだろうし。それだったら貴方に殺された方がマシ」

姫「結局私は誰からも疎まれる存在なんだよね」

姫「ただの女なのに……」

魔王「……」

魔王「……和解を、」

姫「……?」

魔王「和解をすれば帰ってくれるのか?」

姫「……!どうして…」

魔王「待て、まだするとは言っていない。考えておくだけだ」

姫「……何で、そんな」

魔王「頭の悪い女だな……俺はお前を殺したくないだけだ」

姫「……同情したの?」

魔王「フン、そんな優しさ持ち合わせてない。強いて言えば、やっぱり、ほだされたんだろうな」

姫「……魔王様、だいしゅき」

魔王「殺すぞ」



――…

側近「魔王様、本当に和解するおつもりで?」

魔王「無理だろうな」

側近「では、あの子を騙すのですか?」

魔王「俺は魔王だぞ?それくらいやるだろ。だいたい、最初に騙していたのはあっちだし、俺は考えておくだけと言った。嘘はついていない」

側近「はぁ……ですが、それが彼女に通じますかね」

魔王「側近、お前は頭がいい。分かっているだろう。俺は確かに、過去に囚われて人間を憎んでいる。和解しないのもそのためだ。だが、それだけの理由ではない」

側近「和解したところで、本当の意味の和解はできないでしょうね。人間は魔物を怖がりすぎる。そして魔物は人間をなめすぎる」

魔王「ああ、その通りだ。だから和解はしない。どちらにとってもよくないからな」

結構書きためたつもりなんだけど、投下してみると少ないね
また書きためてきます
保守は危ないと思ったら自分でします

側近「では、あの娘はどうするのです?」

魔王「ほとぼりがさめたら国に返すさ」

側近「いっそ、めとってはいかかです? お似合いだと思いますよ」

魔王「アホか。俺は人間に興味はない……しっ」

側近「……?」

魔王「扉よ……」

バタンッ

姫「……きゃっ」ドサッ

側近「おや……」

姫「あ……っ!」

魔王「……これはこれは、姫様は盗み聞きが趣味かな?」

姫「……っ酷い」キッ

魔王「うむ?」

姫「う、嘘つき……和解なんかしてくれないじゃない!」

魔物「んん?嘘はついていないだろう?俺は"考えておく"と言っただけだ」

姫「ぐっ……そ、んなの」じわ

魔王「……」

姫「私は、嬉しかったのに……!」

姫「魔王が、私に……っ死んで欲しくないって言ってくれて……嬉しかったのに……!」

姫「私、魔王様を殺したくないからっ…でも殺さなければ国にも帰れないから…だから……」

魔王(……)イラッ

姫「和解すれば平和になるじゃない!誰も苦しまないで済むじゃない!貴方は何が不満なの…っ!?」

魔王(……ああ、似ているな)

魔王「……全く、姫君は魔女と呼ばれる身でありながら、その心は誠に人間らしくあられる」

姫「何……?」

魔王「エゴの塊だ。吐き気がする」

側近「魔王様……!」

魔王「聞いていたはずだろう? 和解をすることで、悪い方に向かうことだってあるんだ。それに俺は最初から和解を望んじゃいない。お前の国もな。我々は憎みあっているんだから、当然だ」

姫「……っ」

魔王「それがくだらない情にほだされて……。仮にも勇者として、命を捨てる覚悟で出てきたのだろう? お前の国が、和解を望まない限り、お前のその行為は国を裏切っているようなもんだぞ」

姫「……!」

魔王「やはりお前は目障りだ。さっさと国にー…」

バチンッ

魔王「っく……」

姫「い、…言わせておけばッ……!貴方に何が分かるの!? 私は今まで父のため、国のために色々考えてきた! 和解が最良の選択だと思ったの! 戦って、たくさんの命を亡くすより、よっぽど……私や貴方だって幸せに……」

魔王「……だからそれをエゴと言うんだよ」

ぐいっ ドンッ

姫「か、はッ……!」

魔王「お前が言ったんだぞ? 俺が魔王になって、魔物は人間に手を出さなくなったと。ならばこの状況に甘んじればいい。俺の生きる間は、人間と魔物のどちらも命を落とすことはないだろう。これは幸せじゃないのか?」

姫「げほっ…げほっ…」

魔王「なぁお前、俺に何を求めているんだ?確かに俺の見てくれは人間のようだが、中身は魔物だぞ?」ぐいっ

姫「っ痛……!」

魔王「俺は魔王にしては若いし、何百年とは生きていないが、それでも人間が生きられる年齢ではない」

魔王「人間なら人間らしく、人間を好きになれよ」

側近「魔王様……もう、そこまでにしてあげてください」

魔王「……」

姫「っ……うっ、うぅっ……く…」

魔王「……殴ったのは悪かった」ドサッ

姫「っ……」

魔王「帰ってくれ。俺はもう人間を見たくない。このままではお前を殺してしまうかもしれない」

姫「……」

姫「……」ふら……

バタン

側近「…魔王様、らしくないですよ。あのようなこと」

魔王「そうか」

魔王「……そうかもな」

側近「魔王様……?」

魔王「なぁ、側近。お前、先代の魔王のこと、そしてあの戦争を覚えているか?」

側近「……ええ。忘れるわけありません」

魔王「先代の魔王、俺の父は魔王のくせに平和好きで、人間が好きで、自ら人間に和解を求めに行った」

側近「次期魔王になる兄君もご一緒でしたね」

魔王「俺はその時まだ魔物としては小さくて弱くて、一緒には連れて行ってもらえなかった」


魔王「人間の王……あの姫の祖父はその当時、王にしては珍しく若かった。多分その時の俺とそう離れていなかっただろうな」

魔王「若さというものは時に恐ろしいものだ。力も知識もあるあの若い王は、あろうことか、あの魔王を騙した」

夕方に帰ってきます
ちょこちょこまた書きためてきます

えっ マジで?
ネタ被っちゃってたりするのかな…



ーーー…

父「喜べ小さき息子よ!人間との和解に成功した!」

魔王「本当!? おめでとうおとうさま!!おにいさま!」

兄「ああ、これで本当の平和が訪れるのだ」

家来1「魔王様、おめでとうございます」
父「君たちもよく我々の力になってくれた。君たち人間の力がなければこの和解には成功できなかっただろう。礼を言うよ。ありがとう」

家来2「そんな!我々は何もしていません!全ては魔王様のお力ですよ!」

家来大勢「その通りです!」

父「みんな……よぉし、今日は宴会だ! 魔界中の者を集めよ!宴の準備をしろ!」



ーーー……

魔王「俺も父の影響で人間が大好きだった。周りの家来も俺とよく遊んでくれたし、人間とは優しい生き物なんだと思っていた。あの頃は本当に楽しかった」

魔王「……魔物と人間が和解し、これで平和が訪れると思っていた」

魔王「だが、人間はそうは思っていなかったんだよな。和解なんてできるわけないと」

魔王「食事を囲むように城の外に集められた魔物達。その中には家来以外の人間も何人かいた。和解した後だから不思議には思わなかった」

魔物「まさかそれが、王が寄越した勇者一行だったとはな」




ーーー…

勇者「酒を飲んで、酔っぱらっている今がチャンスだ」

魔法使「魔王を殺して、魔物を殲滅することが私達の平和よ!」


勇者「さぁ!行くぞ皆!」


ワアアアアア!!


魔物A「グァアアアアッ!?」

子魔「痛いっ痛いよぉおおっおかぁああさん」

ワアアアアア!!
ギャアアアアア!!

父「な、何が起きているんだ!?」

父「!? あれは勇者達ではないかっ……な、何故攻撃をしてくる? 和解したはずだぞっ……!」

勇者「和解なんてするわけがないだろう!! 俺はお前を倒して国に平和を与えるんだ! 死ねぇええ魔王ぅうう!!」ザシュッ

父「ゥグッ……!!」

魔王「おとうさま!?」

兄「そんな……裏切りだと……ッ」

父「う……ううっ……げほっ…」

魔王「おとうさまっ おとうさまぁああ」

兄「くそっ……!人間め…!」

兄「……弟よ!お前はこちらに来るのだ……!」

魔王「うっううっ……!おとうさまっ…!」


【城内】


家来達「あ、兄君に弟君! よくぞご無事で……!」

兄「ああ。すまないが、私は戦いに行かなくてはならない……魔物達を、我が息子達を守らねば……」

家来「む、無茶です! あちらが武器を持ち軍を率いているのに対してこちらは何も用意していない!」

兄「それでも……みんなを守らねばならぬのだ!」

兄「家来達、頼みがある。弟を、守ってくれないか……」

魔王「お、おにいさま!?」

兄「父上は今血まみれになりながら戦っている。そして私も命をかける。もし私が死んでしまったときは、お前が魔王になるのだ」

魔王「い、嫌だよっ!! 僕には無理だよぉ!みんなが命をかけて戦うなら、僕も一緒に……一緒に行かせてよ!!」

兄「駄目だ! お前は、私と父の誇りだ。どうか今度は、間違いのない平和を作ってくれ……」

魔王「で、できないよぉっ おとうさまやおにいさまがいなければ、僕には何もできないよ!! おとうさまやおにいさまが作れなかった平和が、僕に作れるわけないよ!」

兄「弟よ、我が儘を言って私を困らせないでくれ……お前ならできる。できるから……」

兄「家来は人間だから、家来に守られれば、きっとあいつらも手出しはできないだろう。頼んだぞ……」

家来1「う…うっうう……どうして…こんな……」

家来2「分かりました!我々の命に代えても、弟君を……!」

兄「命に代えては駄目だ。お前らも命を大切にしてくれ……では、な」ザッ

魔王「おにいさまぁあああ!!行っちゃやだぁあああ!!おにいさまぁあああ!!」

ーーー…

魔王「兄も父も、殺された。魔物もたくさん死んだ」

側近「はい……」

魔王「それどころか……よりによってあいつらはッ…!」ぶるぶる

側近「魔王様……?」

魔王「よりによってあいつらは、同じ人間である家来達までをも殺したんだ!!」



ーーー…


魔王「ひっく……うっうっ……おにいさまぁ……おとうさまぁ……」

家来1「弟君……」

家来2「外は一体どうなっているのだろうか……大分静かになったが。魔王様や兄君達が戦っている間に、魔物達は逃げることができただろうか?」

家来3「窓から見えるだろうか……?」ぐいっ

家来3「!?」

家来3「うっ……ま、魔王様……兄君……何てことだっ……」ガタガタ…

家来1「おい、どうした!?」

魔王「……何なの?」

家来1「!? これは……弟君!見てはいけません!」

魔王「な、何するの……やめて、やめてよぉお!!わぁあああおとうさまっおにいさまぁあああ!!」

家来2「酷い……酷すぎる…!」

魔王「うっううっ……!うぐっおええっ!!」ぼたぼた

家来1「弟君……!!」

家来3「無理もない……あんな光景……殺しただけではあきたらず、目をくり貫いて……」

家来1「くそっ……!何が魔王様を殺して平和を得るだ! あれではどちらが悪だかわかったもんじゃない!」

勇者「へえ……言ってくれるじゃねえか」ザッ

家来1「!?……ゆ、勇者……!何故ここにっ」

勇者「決まってんじゃん、そこで吐いている子供、魔王の子だろ? 殺しに来たんだよ」

魔王「……けほっ」

勇者「まだまだ子供に見えるが、危険因子は残さない方がいいからな」ジャキン

家来1「やめろっ!」バッ

勇者「……邪魔するなら容赦なく殺すから」バシュッ

家来1「がっ……!!」ドサッ

魔王「……!?」

家来2「家来1……!!」

家来3「な……!」

勇者「はん、弱いな。一太刀で死ぬなんてな」

魔王「き、……きさま! な、何故きさまと同じ人間を殺す!?」

勇者「人間?だから?魔王の味方についた人間なんか人間じゃねえよ。俺らにとっちゃ危険な奴だ。魔物と同じだ。ああ、お前らも殺してやるからな」

家来2、3「くそっ…家来1の仇ぃい!」ダッ

勇者「やめとけやめとけ」バッ ドンッ

家来2「っうぐぅっ…!!」バシャッ

家来3「ガァアッ……!!」ドシャッ

魔王「家来……!!」

勇者「だから言ったろ?邪魔するなら殺すって」
魔王「……ない」

勇者「は?」

魔王「……お前こそ、人間じゃない」

勇者「……」ぴくっ

魔王「さいていだ……悪、だ」

勇者「んだと……餓鬼のくせに生意気言ってンじゃ」ビキビキ

魔王「がきじゃない」

勇者「うるせぇっ!!殺してやるよ糞餓鬼がぁあああ!」ダッ

魔王「"魔王"だ」ブワッ

勇者「なっ……ぐぁっ!?」ドガッ

勇者「…がはっ…が、ああっ…!」ビクッビクッ

魔王「……僕は、許さない。お前を、お前の血を。王族を、そしてお前ら人間を」

勇者「げほっ…げほっ…」ヒューッヒューッ

魔王「殺してもやらない。僕は殺生は嫌いだし、何より死んだらそれで終わりだ。お前は生き続けろ、血を増やせ。七代先まで呪ってやる。僕なりの、やり方で」

勇者「」ヒューッヒューッ

魔王「瀕死だな。痛い?辛い? もっと痛がってよ。ね。お父様も、お兄様も、もっと痛かったんだから。家来達だって」

家来達「」

魔王「……っ」ギリッ

魔王「……そこに、女がいるね?」

魔法使「ひっ……」カタッ

魔王「こいつを連れて帰って。ほっとくと死ぬよ」

魔法使「あ、あ……私は、あなたを……」

魔王「殺す? あはは、できないだろう? こんな小さな子供に、そんなにおびえているくせに?」

魔法使「っ……!」

魔王「早く連れて帰りなよ。殺されたいのか?」

魔法使「………」そっ…

勇者「……っ」ヒューッヒューッ ポタッ…ポタッ…

魔法使「う、うあ……あ、ああ」ガタガタ

魔王「……面倒くさい奴らだ。いいよ。転移魔法で送ってやる。動くなよ。動くとミンチになるからな」ブワッ

勇者、魔法使「っ……!」パァアアア ヒュンッ

魔王「……」

……。


魔王「静かだ……誰もいなくなっちゃった……僕一人だ……」

魔王「……僕一人」

魔王「……う、」

魔王「うっ、くぅっ…う、うわああああああ!!わああああああっ!!」


―――…

書きためてきます
23時から0時の間に投下予定
見切り発車で書いたので思いの外長くなりそうで申し訳ないです
あと明日は仕事なので夜にしか来れないのです…
落ちたらいつになるか分かりませんが全部書き上げてからスレ立てます



―――…

魔王「そして、再び魔界と人間界は忌み合う仲になった」

側近「そんなことがあったのですか……」

魔王「ああ、だから俺は今も復讐し続けている。和解しない、ことで」

側近「いっそ、滅ぼしてしまえばよろしいのでは」

魔王「そうも考えたさ。俺の力ならできるだろう。でも、俺の周りには家来のような人間もいたんだ」

側近「そう、ですね」

魔王「……」

魔王「お前は反対か? こんな魔王。やはり人間を征服すべきだと思うか?」

側近「どうでしょうね。でも、私も魔界のものもあなたを慕っているのは確かですよ」

魔王「……」

側近「あなたが人間を征服しようが、和解しようが、きっと魔界の者達はあなたについていきます」

側近「だって、私達はあの戦争で、あなたに命を助けられたのですから」

側近「あなたが勇者を追い払わなければ、私達は根絶やしにされていました。だからこそ人間を恨む者は多いですが、それ以上にあなたを崇拝しているのです」

魔王「まるで宗教だな」クスクス

側近「ふふ、否定はできませんね」

魔王「嬉しい言葉をありがとな。だがな、俺は……俺は俺が嫌いだ」

側近「……」

魔王「散々あの姫にエゴだの何だの言ってきた。あいつを見ているとな、苛々するんだよ」

側近「勇者の孫だから、ですか?」

魔王「それは……違うな。そりゃ勇者への憎しみは強い。今だって思い出しただけで腸煮えくりかえる思いだ。だがもう勇者の血を受け継ぐ勇者はいない。あいつは勇者じゃない。魔女だの何だの言ったって、ただの人間だ」

側近「ではどうして」

魔王「……ただの、八つ当たりだ。あいつを見ているとな、弱い自分がいることを嫌でも理解させられるんだ」

側近「魔王様が弱い?」

魔王「弱いさ。復讐のためと言っていたって、結局俺は和解を怖がっているに過ぎないんだ」

魔王「また誰かが死ぬのが怖い。俺が誰かを殺してしまうのが怖い。憎しみに心を侵されるのは嫌だ、とな」

魔王「復讐のためだと銘打って、俺は自分を守っている。そんなことない、違うんだって思いたくても、否定できない」

魔王「結局俺が一番弱いんだ。だからこのままの状態に自分こそが甘んじている。そしてこの俺の考えこそ、エゴそのものだ」

側近「……魔王様。ですがそれは……」

魔王「いいんだ。弱虫だろうが何だろうが。もう姫もいなくなったし、新しく勇者を作るには時間がかかる。勇者なんて、王や魔王以上になりたくない仕事だからな」

魔王「またしばらくは、このままの状態でいられるんだ」

側近「私はあなたに従うだけです。おそばにおります」

魔王「側近……」

側近「魔王様……」ぎゅっ

魔王「……ありがたいが、他の家来に見られたら誤解されそうだからやめてくれ」

側近「すみません、自分でもちょっと気持ち悪かったです」



―――……

姫(もういなくなった? そんなわけないでしょ。ばっちり聞いてましたー!)

姫(どんだけ私が国で虐げられてきたか分かってんの? 殴られた痛みだって母親に苛められていたときに比べれば優しいもんだっつーの!)

姫(……それにしても)

姫(魔王様にそんな過去があったのか……私、知りもしないで……本当に、エゴだって言われても仕方ないな…)

姫(考えもなしに、勝手で無責任な事を言って魔王様に押し付けようとしてた)

姫(……ごめんなさい)

姫(でもね、やっぱり和解は諦めきれないの! 魔王様が和解を恐れているなら、和解をすべきだと思う。乗り越えるためにも)

姫(勇者じゃないと言われたけれども、私は魔女で、勇者なのよ。前回は勇者が敵だった。でも今回は違う!私が味方につく限り、和解を成功させてみせる!)

姫(でも……本当に?)

姫(本当に私にできる? 信用も何もない私に?)

姫(……信用か)

姫(どうにかするしかないよ……私は仮にも、勇者の孫なんだから!)

姫(魔王様のことだって、諦めないんだから、ね)

姫(そういや、さっきは聞いていたのバレたのに何で今回はバレなかったんだろう……不思議)


―――…


側近「へっくしょーい!」

魔王「うおっ 風邪か?」

側近「さぁ~誰かが噂してるんじゃないですかね……ふふ」

魔王「……?」


―――…

姫(とりあえず、国に戻ろう!こ、怖いけど!)

ほしゅう

保守時間目安表 (休日用)

00:00-02:00 40分以内                   __
02:00-04:00 90分以内            _□.--‐<´ヽ`、
04:00-09:00 180分以内         ,.-"`: :.|___\  ヽ、_ノ
09:00-16:00 80分以内         /: : : :,ヽ、\/l`ヽ、  \
16:00-19:00 60分以内         /::/: :〆、 ,×l/:l : l : ̄ヘ<
19:00-00:00 30分以内       |/|: :/●  ●|_!_l_l=:-:‐i´

                  .,-、  |: :|@   @|::|=|: : : : l
保守時間の目安 (平日用)  ;|!:::::::`ヽ、|!_ ⌒  _/:/ : : : : : l
00:00-02:00 60分以内    |!:::::::::::::::::∥r:‐t-t//::ヽ, : : : : : l

02:00-04:00 120分以内     ヾー──'‐(::|×|:::ト==l: : : : : : l
04:00-09:00 210分以内       ./: : : : :ノ:|×|:::|:::::::|: : : :l : : l
09:00-16:00 120分以内      /: :/: : :._|=ェ==|:::::::::ゝ、: :l : : :l

16:00-19:00 60分以内      /: :/|:.__/:::/:/:/ヘ|:::::::::::ノ: : l: : : l
19:00-00:00 30分以内.     /: :/,|/_/_/_/_/∧_l_lエ´ヘ、:l l: : : l
                  /: :/ゝ、/_/_/_/_/_l_l_ヘ_ヘ_ヘ,.ゝl : : :|
                   ̄      .|:×|:×|      ̄ ̄
                         .ヽ_人_ノ

側近は♀か?

>>281
みなさんいろいろな像があると思うので、ご想像にお任せします

バイト終わったので今から書きためます
21時~22時には投下予定
明日も来るとしたら夜になると思いますので、前回も書いた通り
落ちたときは書き上げてからたてなおします


姫「戻って来ちゃった……」

姫「とりあえず、父に…王に会わないとね!」


―――…


門番1「これは、魔じ…勇者様!お帰りなさいませ」

門番2「よ、よくぞご無事で、魔王は……」

姫「……急いでるんだ、王に会わせて」

門番1「……は、はぁ。おい、門を開けろ」

門番「……ああ」


ギィイイイ


姫(気まずそうな顔)

姫(やっぱり、帰ってきても私なんか迎え入れてくれないのよね)

姫(別にもう慣れたけど。……そんなことより今は王と話し合うのが先だもの!)


―――…


二姫「お姉さま!お姉さまではありませんか!」だきっ

姫「わぁ!?に、二姫!? 部屋から出て大丈夫なの!? 病気は……」

二姫「この頃は調子が良いのです! それよりも、ああ、お姉さま……勇者として魔王を倒しに行くとお聞きしましたが……無事に帰って来られたのですね! 私、本当に心配で……」

姫「二姫……ありがとう。あなただけだよ、そんな風に思ってくれるの」

二姫「そんなこと…! お父さまだって心配なさっていましたわ!」

姫(お父様が心配していたのは、私じゃなくて魔王を倒せたかどうかよ……)

姫「二姫、お父様はいるかしら? お話がしたいの……この国の行く末を決める、大切な話」

二姫「……お姉、さま? あ、えと、お父さまなら、王室に居られますわ」

姫「ありがとう。……ねぇ、二姫」

二姫「は、はい」

姫「二姫は、戦争は嫌よね?」

二姫「も、もちろんです! 戦争は悲しみしか産みませんもの…!」

姫「ふふ……いい子ね」なでなで

姫「そうよ……」

姫「私がいる限り、悲しみは産ませないわ」キッ



―――…

【王室】

王「よくぞ、戻って参られた。心配したぞ」

姫「お久しぶりでございます。王様」

王「頭を上げよ、そしていつもの呼びで構わぬ。して、姫よ、魔王は倒したか」

姫「……そのことについてお話があります。お時間の方、よろしいでしょうか」

王「わ、私は魔王を倒したかと聞いおるのじゃが」

姫「……倒して、おりません。ただ、話を、してきました」

王「……」

姫「お父様、突然ですが私は、この国のためにも、魔族との和解を求めます!」

王「!? 何を寝ぼけたことを……和解などできるわけない!」

姫「いいえ、できないわけがないのです! 私達も魔族も、同じ生き物です! 我々が平和を望むように、魔族だって平和を望んでいる!」

王「お、お前に何が分かるというのだ!?」

姫「お父様こそ、何をそんなに怖がっているのですか!?」

王「私が怖がっている……!?我が娘とて……私を愚弄する言葉を吐くことは許さんぞ!」

娘「いいえ! あなたは怖がっています!魔王を恐れています! 何故ならば、あなたは知っているから!」

王「な、な……何を……!」

姫「あなたの父とその時の勇者が、魔族にしたことをですよ!」バサッ

王「……こ、これは!?」

姫「……亡くなった私の母親が、私に預けていったものです」

王「! か……彼女が……?」


姫(私の事を散々虐めてきた、母親らしからぬ母親だったけれど、私に……チャンスを与えてくれた)

姫(ありがとう……お母さん)

王「これは、日記か……?」ペラッ

姫「私の母方の祖父、つまり勇者の日記です……最初に読んだ時は、あまりの内容に目を疑いました」

王「……!」ペラッ

○月×日『魔王を滅ぼした日から、もう何年もたった。私は今、あのときのことを深く反省している』

姫「だって祖父は勇者ですもの。勇者は正義のはず……こんなことあってはいけないはずだわ…」

『あのとき、王の言うことをどうして聞いてしまったのだろう? 魔王は和解を求めていた。この国は平和になるはずだったのだ。それを私は自分から壊してしまった。本当に、私が悪のようなものだ……』

姫「ですが、魔王に会って、私はこの日記を信じたくなくとも、信じざるをえなくなった」


『王は、このことを国には内緒にしていた。和解を締結した話はもちろん、むしろ魔王が戦いを挑んできたと偽った。魔王を倒した私はヒーローだと言われた。広場には銅像が立つ予定だ。赤と金の硝子細工が埋め込まれた剣を持って、誇らしげな顔を浮かべた私の像が』

王「こんな……こんなのは嘘だ! 本当ではない!!全て偽りだ!!」

『だが、皆は知らないのだ。剣に埋まったあの硝子細工は、元々罪のない魔王とその子供の眼をくり貫いたものを固めて作ったものだと。皆は知らないのだ。誇らしげな顔を浮かべた私が、どんなに悪逆非道なことをしたのかを。私は、あの像をまともに見ることができない』

姫「では、どうして…何も恐れることはないはずでしょう!?」

『私は、あの子に謝りたい。私を目覚めさせてくれたあの魔王の子に。もう思うように動くこともできない我が身、誰か私の代わりに謝ってはくれないだろうか……』

姫「あなたは、あなたの父がしたことを、魔族にいつか復讐されるのではないかと、恐れているのでしょう!?」

『誰か、私の代わりに、本当の平和を――…』

王「……誰か、」

姫「……え?」

王「…誰か来い!! この者を、捕らえよ!」

姫「おっお父様……!?」

バタンッ

従者達「いかがなされました!王様!」

王「この者は魔王に洗脳されておる!洗脳がとけるまで牢にぶちこんでおけ!」

姫「なっ…!?」

ふむ

従者2「し、しかし彼女は勇者……そしてあなたの……」

王「うるさい!この国の平和を乱すものに勇者も何も関係ない!早くしろ!」

従者達「は、はい!!」

姫(し、信じられない……あの優しいお父様が……)

姫「お父様!! 私を牢に入れるだけでは何の解決にもならないのですよ!!」

姫「それに魔王はっ……あの人は、あなたに復讐をする気はないのよっ!!確かに恨みはあるだろうけどっ…! あの人はそんな人じゃないっ!誰よりも…優しくて平和を愛してっ…かはァっ……!?」がくんっ

従者2「お許しください……勇者様…」

従者1「……さぁ、早くしろ…!運べ!」


―――…

王「……」カタ…

王「……っ体が…震える……」

王「今さら、どうにもできぬのじゃ……自ら作り上げた恐怖の像は……思ったよりも大きかった……」

王「きっと彼女も、恐ろしかったに違いない……だからこの日記を、捨てることもできずに…」

王「許しておくれ……姫よ、愛する恋人よ……」

王「私は、恐怖を無くすために、同じ過ちを繰り返そうとしている。過ちじゃ。決して正しくはない。だが、それで恐怖を無くせるならそれでいい。私は魔王を……」

王「殺さねばならない」

王「……戦争だ」

と、いうわけで短いですがまた明日か立てなおしでお会いしましょう…

お望み通りの展開には書けると思わないけど、頑張って書くよ
おやすみ

だが事実書きにくくはある

側近「魔王様ほんとに宜しいのですか?今、王の元には…」

魔王「構わぬ。いつかはあの日と決別せねばならんからな」

魔王「悪く思わないでくれ姫…いや勇気ある者よ」

側近(魔王様…)

魔王「全軍に告ぐ!!全力を挙げて保守をしろ!!」

魔物ABC[「『オー』」]

保守ありがとうございます
今から書きためてまた昨日と同じ時間くらいに投下します

予想とかはしてくれて構わないんだ
自分の書いているものを楽しんでくれてるようで嬉しいから
ただ、こうなったらな~っていうのには必ずしもそえないからって申し訳なるんだ
>>356を書いたことで気分を害させてしまったらごめんなさい

そして誤字多くてすみません
もう黙りますね

ぬる





po

予想はよそうか

>>393
山田く~ん
座布団全部持ってっちゃえ。。。


―――…

側近「王国にいる魔物から報告が入りました」

魔王「何だ」

側近「どうやら、あちら側は戦争の準備をしているようです」

魔王「ほう? ずいぶん急だな」

側近「今、城の牢に姫が入れられています。多分、姫が和解の件を持ち出して、そうなったのではないかと……」

魔王「……あの馬鹿」

側近「……」

魔王「く、」

側近「……魔王様」

魔王様「く、くく、あっはっはっは!」
側近「……その笑い方は、はしたないですよ」

魔王「ふっ…ふ、ふ……はぁっ。……いやぁ?とうとう戦争まで持ち出してきたとはな! あの姫は確かに災いを産む魔女なのかもしれんな!あっはっは!」

(((o(*゚▽゚*)o)))

側近「……随分嬉しそうになされますね?」

魔王「ああ、何だか清々しい気分だ。俺は自分が思ってたより、優柔不断な人間だったのだな」

側近「はぁ」

魔王「側近、俺は平和を望んでいる。だから和解を望まなかった。だが今は状況が違う。戦争は和解よりも平和から遠ざかる」にやり

側近「……つまり」にやり

魔王「ああ、宣戦布告をされる前に、王と面会する!宣戦布告されてからでは遅いからな! 紙と筆を出せ! そして、魔界中に、伝えろ」

側近「は!」ダッ

魔王「……」

魔王「ふ、本当に俺に和解を望ませるとはな……負けたよ」

魔王「さぁて、あの馬鹿は今どんな顔をしているのだろうな……?」

―――…

姫「……私の馬鹿。あー!何でこんなに馬鹿なのよ!!」

姫「結局魔王に迷惑かけて……あーあーあー!!ばーかばーか!!あほ!!」

姫「…………はぁ」

姫「どうしよう……」

カタッ

姫「っ……誰っ!?」

王「……私じゃ」

姫「……お父…様」

王「こんな所に閉じ込めて、すまないな……」

姫「……」

王「…姫よ、よく聞け。私は魔族に宣戦布告をする」

姫「なっ……!?」

王「だが、魔王を倒すことができるのは勇者だけじゃ」

姫「……それで?」

姫「私の力を借りたいというのなら、お断りよ」

王「……よいのか? お前が魔王を倒せば、お前を忌み嫌う者はきっといなくなるのだぞ?」

姫「……」

王「会ったばかりの者を、それも魔王を、どうしてそんなに庇う? あれさえ殺せばお前は……」

姫「っやめてよ!!」

姫「そもそも私をこんな目にあわせたのはあなたじゃない!あなたは禁産伝承を知っていて母に近付いた!」

姫「あなたが母と出会わなければ……私は産まれなかったのに!」

王「……」

王「……知っていて、彼女を好きになった私は……罪か」ぼそっ

姫「……っ」

姫「出て行って。私は絶対あなたに力を貸さない……!」

王「……また来る」

バタン

姫「……っ」

姫「……っう……うう……!」

魔王「……相変わらず姫君は、泣き虫であられる」

姫「う、うるさいわねっ! ほっとい……てぇえええええむぐっ!!?」ガッ

魔王「この……馬鹿!見つかったらどうする!」 バシッ

姫「もがっ……!」

魔王「まったく、困ったお姫様だ……」
姫「……」ずずっ…

魔王「あーしかしまぁ、そんなに泣いたんじゃせっかくの顔も台無しだな」

姫「……何でいるのよ?」

魔王「馬鹿の間抜け面が見たくてな。ふむ、思った通りの間抜け面で安心した」

姫「……」

魔王「何だ?言い返してくれないのか、つまらんな」

姫「あ……あの、魔王様……実は、父が…いえ、私が…和解の話をして、それで……」

魔王「ああ……そのことか。戦争だろう?とっくに知っているさ」

姫「私のせいで……本当に、ごめんなさい!!」

魔王「……」

魔王「いや……お前には感謝してるよ」

姫「……は?」

魔王「は?ってお前……またぶっさいくな顔で…」

姫「だ、だっておかしいじゃない!戦争が始まるかもしれないのに感謝してるって! 何なの?滅びたいの?マゾなの!?」ハァハァ

魔王「その息遣い気持ち悪いからやめろ」

魔王「……」

魔王「戦争は、起こさない」

姫「……!」

魔王「明日、面会を望む文を送る。宣戦布告される前に、和解の話を持ち出してやるさ」

姫「ほ、本当に……?できるの……?」

魔王「さぁな。でもやらないよりは、ましだろう?」にやり

姫「……うん、うん…!」

姫(でも本当は、話をするだけでは無理なんだろうなぁ……。せっかく魔王様がやる気を出したんだから…何か良い手はないかな……何か)

??「……」

??「……そこに、誰かおりますの?」

姫「!?」

魔王「!」

二姫「あ、あ……まさか…まさか!お前は…魔王!?」

姫「二、二姫!? 何故ここに…!?」

魔王(……二姫? ああ、本物の姫君か。なるほど、姫に似ているが幾分こちらのが賢そうな顔をしている)

訂正
>>410の前にこれが入ります


魔王「…よし、お前のあほ面も拝めたし、そろそろ帰るかな」

姫「そ、そういえばどうやってここまで来たの?」

魔王「ああ……転移魔法だ。意外と疲れるんだぞ。一歩間違えればミンチになるしな」

姫「ひぇ~……怖いね」

魔王「まあ俺はヘマしないし」

姫「ふふふ」

二姫「お姉さまから離れなさい!!」バッ

魔王「お……っと。おい、何か勘違いして……」

二姫「お黙りなさい!魔王め! お姉さまをたぶらかし、こんな酷いところへ入れて……!」

魔王「いや入れたのはお前の親……はぁ、姉妹揃って話を聞かない奴らだなぁ」

姫「どうしてこんなところにいるの二姫!?」

二姫「私はお姉さまの様子が気になって……!そんなことより!」

魔王(……嫌な予感)

二姫「お姉さま、今従者を呼びますからね! 魔王を捕まえるのです!」

姫「!? だ、駄目だよ!!」

魔王「だぁあ……めんどくさい」

二姫「魔王!」キッ

魔王「……うむ?」

二姫「わ、私は! 私はあなたを許しませんわ! せ、戦争を起こす元凶のあなた、を……うっ!?」

姫「に、二姫!?」

二姫「げほっげほっ!!…げほっ…は、っはぁっ…げほっ!!」

姫「大変……発作だわ!」

魔王「発作……?」

姫「二姫は昔から身体が弱くて、ずっとこうなの…!お医者さんを呼ばなきゃ……魔王様…誰か呼んできて!」

魔王「医者?だがこれは……」

二姫「げほっげほっ…!く、苦しいっ…げほっ…お、お姉さまっ……」

姫「おかしい……いつもはこんなに酷くないのに……おかしいよ!」

魔王「この病気の病名は?」

姫「今そんなこと言ってる場合じゃないでしょ……!? それに、まだ分かってないわ! 原因不明なの!」

魔王「ふむ……」カツカツ

二姫「……!?来ないでっ……ひっ!?」にゅるっ

姫「うわっ!?な、なななな何してるのぉ!?痛い痛い痛い!!!!魔王様の手が!!二姫の胸の中に!!!」

魔王「やはりなぁ」にゅる……にゅる

二姫「ひぃっ!?」

姫「や、やめてよ!二姫を殺さないで」

魔王「ああもううるさい、待ってろ」

ずる…ずるずるっにゅるんっ

姫「ひぃいいっ!?」

魔王「おお、まれにみる大きさだな」

ビチッビチチッ

魔王「"燃えろ"」

ボッ

二姫「……っけほ…けほ……今のは……」

姫「何、なの……?」

魔王「何って、蟲だろ? 珍しくもない。お前も治ったろう?」

二姫「あ……すごくすっきりしています…!信じられない……」

姫「珍しくなくないよぉー!? え、じゃあ何!? 二姫も、その他この病気にかかっている人は、この蟲?に苦しめられていたってわけ!?」

魔王「ああ、そうだろうな」

猿さんです。ちょうど書き溜めもなくなったのでまた明日に、お会いできれば

もっと見たいお~(; ̄ェ ̄)

ほっしゅ

魔王「普通人間界にはいないんだけどな……誰かが何かの弾みで連れて来たのか…?そして繁殖した、と」

姫「……こ、」

魔王「こ?」

姫「これだぁ!!流石魔王様だよぉ!」

魔王「は……?」

姫「こ、この蟲って、魔界の人以外も治せるの!?」

魔王「いや、無理だろうな。魔界のものでもなかなか難しいと思うぞ。側近とかは余裕だが」

姫「魔王様ももちろん楽々できるんだよね!?」

魔王「あ、ああ。まあな……」

姫「っしゃー! 和解の手助けゲットだぜ!」

魔王「……うむ?」

キター☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆


どんどん続けてお

明後日が休みのため、明日は夜になればずっと書きこめるからそれで許しておくれ

>>432
待ってるお~~

乙( ̄^ ̄)ゞ

側近「くっ…魔王様が居ない時に限って、現れるなんて…」

魔物A「防衛ラインが…このままだとやられます…ご指示を下さい!!」

側近「くそっ…ここまでなのか…。まずは体の不自由な者、女、子供を優先に逃がすんだ」

魔物B「時間が…時間が足りません…落ちます!!」

側近「落とさせるものか!!このスレだけは命に変えても保守しなければ魔王様の顔に泥を塗ることになるんだぞ」

側近「全軍に告ぐ!!全力を挙げて保守だ!!!」

魔物ABC[『「オー』」]


姫「二姫も手伝ってくれるよね!!」

二姫「えっ…わ、私は……」チラッ

魔王「……俺が怖い、か?」

姫「ま、魔王様は良い人だよ! 二姫の病気だって、治してくれたじゃない!?」

二姫「それはそうですけど…」

姫「お願い、二姫! 二姫の口添えがあれば少しは良くなると思うの…。私は戦争なんか嫌!二姫もそうでしょう!?」

二姫「お姉さま…」

二姫「……」

二姫「分かりました……お役にたてるかは分かりませんが…」

姫「ありがとうっ…二姫!」ぎゅうっ

二姫「魔王様」

魔王「うむ?」

二姫「先程は御無礼を申し訳ございませんでした。取り乱して、はしたない姿をお見せして……お恥ずかしいかぎりです。どうぞ失礼をお許しくださいませ」

魔王「ああ…。……」 ジッ…

姫「どうしたの?」

魔王「いや、お前ら本当に姉妹なのかと思って。むしろお前が妹なんじゃないのか」

姫「ムカつくけど、確かに二姫は良い子だから、言い返せないわ…」

魔王「俺は大人しいのより喧しい方が好きだけどな」

姫「えっ……そ、それって…!?」 ドキドキ

魔王「見ていて飽きないだろう?」にやにや

姫「……あ、そういう……ね」 がっくり

魔王「ははは、やはり飽きないな」


魔王「……さて、それでは今度こそ帰ろう。あまり遅いと側近が心配するからな。あいつはいつもはクールなんだがな…
   俺に関する事になるとちょっと性格が変わるんだ。全く親馬鹿というか…」

側近「……それだけ心配なんですよ、魔王様のことが」 ゴホン

魔王「うおっ……!? どうしているんだお前…」

側近「帰るのが遅いから様子を見に来たのですよ。ああ、姫様。お久しゅうございますね。相も変わらぬご様子で安心いたしましたよ」

姫「結構ボロボロなんだけど、本当にそう見えるのかな…それとも嫌味かな…」

魔王「……こういう奴なんだ、気にするな」

側近「おや、そちらの方は……?」

姫「あ、この子は私の自慢の妹の二姫です。ほら二姫、御挨拶して」

二姫「は、初めまして…ええと……」

側近「初めまして、二姫様。側近と申します。お姉様と同じでまことに愛らしいお顔でございますね。弥生に咲く満開の花も、あなたの愛らしさには適わないでしょうね…」

二姫「えっ…ええっ…あ、あのッ!?」 カアア

姫「あれも素なの……? あんなに顔を真っ赤にする二姫初めて見たよ…」

魔王「…素だ。あいつあれで口説いているつもりないからな。それにあいつ、男か女かも分からんし」

姫「えっ!魔王様も知らないの!?」

魔王「あいつは色々と謎なんだよ…だが、信頼はできる奴だ」

側近「ああ、魔王様。ありがたきお言葉…骨身に染みます」

魔王「はぁ……もういいから、帰るぞ」

側近「はっ」

魔王「では、二姫。話し合いの時はよろしく頼む」

二姫「はいっ…!」

魔王「姫も……頼むな」

姫「……うん」ぎゅっ

魔王「……こら、裾をつかむな。帰りづらくなるだろう」

姫「ん…ごめん……」 そっ…

側近「魔王様、帰りますよ」

魔王「……ああ」



・・・ ・・・


二姫「行ってしまわれましたね……」

姫「そうだね……」 ぽー…

二姫(やはりお姉さまは、魔王様のことが……)

二姫「あ……お、お父さまは、面会を受け入れるのでしょうかね!?」

姫「受け入れるよ。受け入れなかったら後が怖いって、お父様なら思うはず」

二姫「そうです、ね」

姫「絶対、成功させるんだから……!」


―――…

側近「魔王様は、とうとう姫君の事を好きになったのですか?」

魔王「うん?」

側近「だって先程あんなにも熱視線を飛ばしていたではないですか」にやにや

魔王「……」

魔王「好きだが、これが恋愛感情であるとは思わない」

側近「……」

魔王「どちらかと言えば家族愛に近いもんだと思うよ、俺はな」

側近「そうですか……」

側近「ですが、彼女はそうではないでしょうね。あなたを本気で愛していらっしゃる」

魔王「ふ……魔王に恋する姫か。童話だったら悲恋に終わるだろうな…」

側近「……あなたが、彼女をそういった意味で好きでないならば、きちんと伝えるべきですよ」

側近「……彼女が諦めるかは分かりませんがね」

魔王「……ふぅむ」

側近「ま、何はともあれ、まずは和解のことを考えましょう! 手紙は送りましたし、早くお返事来るといいですね~」

魔王「……そうだな」


―――…

従者1「大変です!王様!」 タッタッタッ

王「どうしたのだ。騒がしいの……」

従者1「せ、先刻!魔王より手紙が届きました!」

王「!? ……な、何…!? 一体どうして……まさかこちらの情報が漏れて…?」

従者1「は、はぁ。それは分かりませぬが、手紙はこちらにございます」 サッ

王「……っごくり…」 ペリッ…

王「……これは…」

王「……従者1」

従者1「はっ」

王「早急に軍に告げよ。明後日、魔王が来ると…」

従者1「なっ……それはまことですか!?」

王「ああ、そして明後日の話し合いの日、軍を城内と外に満遍なく配置させよ」

従者1「は、はっ!伝えてきます…!」 タッタッタッ…

王「……」

王「……私は…どうすればいいのだ…」


―――…

王「姫よ」

姫「……何かご用?」

王「ここから出て良い。風呂に浸かり、身体を休めよ」

姫「あら、魔王にたぶらかされた私を外に出して良いのかしら?」

王「……明後日、魔王が来る」

姫「……!」

王「手紙が届いたのじゃ。是非話がしたいと」

落としてください すみませんでした

すみません、本当にめんどくさい奴ですみません
何分、長文書くのは久しぶりなので…

書きます。保守はいりません自分でします
落ちたらそういう運命です

「結局書くのかよ」って思う人もいることでしょう
罵りたい人はどうぞ罵ってください
ただ、苛々させてしまうのは本当に申し訳ないのです
自分は遅筆なので、これからも早く書けるとは思いません
なので、許せない人は罵って、そしてスレを閉じていただければ幸いです
でもマゾではないのですよ
長文失礼しました

姫「……ふうん。それで?」

王「わかるじゃろう?もしもの時の場合じゃ。姫よ、再びこの剣をそなたに授ける」

姫「……勇者の剣…」

王「魔王が不審な動きを見せたら、その時はお前が……」

姫「……いいわ」

王「すまぬ……」

姫「謝ることはないわ。私は魔王を信じているもの」

王「……」

王「……もうすぐ鍵番が来る。ゆっくり休むといい…」

姫「ええ……」

姫(きっと、うまく和解できる……)ぎゅっ


―――…

側近「魔王様、王国よりお返事が届きましたよ」

魔王「ほう、そうか。思ったより早いな。何て書いてある?」

側近「ええ~と……さわやかな秋となりましたが……ふむふむ……ええ~と」 ペラッ…ペラッ

魔王「……要約でいい」

側近「明後日の昼、是非おいでくださいと」

魔王「よし、とりあえずは安心だな」

側近「魔王様、あちらはきっと警戒して軍やら兵やらを待機させてますよ。こちらも準備するべきでは?」

魔王「いや……その必要はない。こちら側が大人数で参れば、あちらは余計警戒するだろう。それに和解を望みに行くのに、大勢で押しかけたら失礼だ」

側近「それもそうですね。失礼しました」

魔王「それに」

側近「はい?」

魔王「お前がいてくれれば百人力だよ」

側近「ま、魔王様……!」 じーん

魔王「問題は、どう説得するかだ……」

側近「そうですねぇ……ああ、蟲の話を持ち出せばいいではないですか」

魔王「まぁそれも一つの手だが……ん?」

側近「どうしました?」

魔王「……お前、蟲の件の時、いなかったよな?」

側近「えっ」

魔王「まさか……病蟲を人間界に持ち出したのは」

側近「……えっと……申し訳、ありません」

魔王「はぁ……やっぱりか。あーあー、いいよ。今回は許す。お前も先を見越してやったことなのだろう?」

側近「すみません……」

魔王「病蟲はとりついても死に至る程ではないしな。二姫のはずいぶん大きくなっていたからヤバかったが」

側近「二姫にまで……それは申し訳ないことをしました」

魔王「とりあえず病蟲が一つだな……あとは…思い付かん……」

側近「即興で何とかしてみたらいかがです?」

魔王「簡単に言ってくれるなよ。和解するってことは妥協と固執のどちらも必要なんだ。相手の主張を認めることと自分の主張を認めさせること。これがきちんと平等になされない限り、和解は成功しない」

側近「できますかねえ……」

魔王「だから悩んでるんだろ」

側近「ふふ、でも魔王様ならできると私は信じていますよ」

魔王「お前は俺に甘いからな。親馬鹿め」

側近「そうです。あの日あなたが私を側近に選んでくれた日から側にいるのですもの。こんな利口な子の側にいて、親馬鹿にならない訳がないでしょう」

側近「あなたはいつでも頑張ってきた。だから大丈夫。大丈夫です」

魔王「……ありがとな」

少し考えさせてください

【当日】

―――…

従者1「王様! 軍の用意、兵の用意それぞれできました! 皆、お達しの通りの配置に位置しています」

王「うむ。武具の用意も大丈夫かの?」

従者2「大丈夫です!」

王「そうか。では、ここでゆっくり魔王を待つとしようではないか」

従者達「はっ!」

王「姫……いや、勇者と二姫も、私の後ろに下がっておりなさい」

姫「……はい」

二姫「はい!」

王「……っ」 カタ…

姫(……!)

王「……」 カタカタカタ…

姫(お父様……真っ青。それに震えてらっしゃる…)

姫「……」ぎゅっ

王「……! 姫……?」

姫「……大丈夫です。大丈夫」

王「……ありがとう。姫…」


従者3「王様、魔王とその側近が参りました!」

王「…ああ、通せ」

従者3「はっ」

二姫「……ついに」

姫「来たわね……!」

姫「魔王、様!」


側近「……案内の方、ありがとうございました」にっこり

従者3「い、いえ……!」

魔王「……」

王「……」


姫(ふ、ふわ~…今さらだけど緊張するなぁ……)

側近「魔王様、私が……」 スッ

魔王「いや、良い。下がれ」

側近「は、失礼しました」

魔王「……王様、お初にお目にかかります。魔の国の王、魔王です。以後お見知りおきを」

王「!……あ、ああ……初めまして。遠路はるばる訪ねていただき、ありがとう」

魔王「そちらのお嬢様方も、ご機嫌麗しゅう」

二姫「……」 ぺこり

姫「……お久しぶりでございます」 ぺこり

魔王「先日は丁寧なお返事ありがとうございました。突然の来訪の願いの手紙だったので、受け入れていただけるか心配だったのですよ」 くすくす

姫(キャ、キャラが違う……! 何あの外面モード!)

魔王「ですが、流石或国の王ですね。噂に聞いた通りの優しいお方だ」

王「……前置きはもう良いではないかの? 本題に入ってはいかがだろうか? 手紙には詳しく書かれていなかったが…」

魔王「……これは失礼いたしました。そうですね、話を始めましょう」

魔王「私は魔界と人間界での和解を結びたく、こちらに参ったのです」

王「! 和解を……? 随分突然な話ですな……ここ数百年そんな話はなかったらしいが…」

魔王(数百年……) ぴくっ

側近(魔王様、駄目です……!)

魔王「っ……ええ、私も今までは全く考えていなかったのですがね……」 チラッ

姫「……」

魔王「……彼女、勇者とお呼びすべきでしょうか、姫とお呼びすべきでしょうか、とにかく彼女から和解を申し込まれて、和解について考えるようになったのです」

王「ああ、その報告は確かに勇者から聞いております。だが、魔王様は確かお断りしたのでは……?」

魔王「……」

魔王「彼女が去ってから、考え直したのですよ。この国とそちらの国は長い間接触のないままである。これではいけないと」

王「そうかな? 例えば、こちらと和解したところでそちらにどんな利益があるだろうか?」

魔王「……それは、」

側室「……魔王様、前に言いましたでしょう。こちらでは無限のように採れる植物が、魔界ではもう咲かなくなってきています。そのため、ある種族が食糧難にあっていると」

魔王「あ、ああ。それと、もう一つ。私の国は科学の発達が遅いのです。原始的な暮らしをするのにそれほど問題はないのですが、こちらの進んだ科学の技術を学ぶことは私の国にとって悪いことではない。むしろ住みやすい暮らしになるでしょう」

王「ふむ、そちらの言い分は分かった。だが、こちらにとっての利益は何もないと思われるのだが?」

魔王「……そのことを話す前に一つ、王様に謝らねばならぬことがあります」

王「ううむ、何かね?」

魔王「実は一度、魔界と人間界の境界で、二姫にお会いしたことがありまして……」

王「な、何!? まことか二姫よ!?」
姫(……よし。ここまでは順調だわ…二姫、お願いね…!)

二姫「は、はい……。私、お姉さまが行った魔界というものが気になって……。お姉さまが牢に入れられたあの日、魔界の一歩手前まで散歩に出たのです」

二姫「お父様も知っていらっしゃる通り、最近ある原因不明の病気が流行っていて、私もその病気にかかっておりました」

王「……そういえば、最近発作を起こさぬようになったな?」

二姫「はい。それもこれも、魔王様のおかげなのです……」

王「ど、どういうことじゃ!?」

二姫「私、境に来た時急に発作を起こしてしまいまして……しかもいつもより酷くて……!」

二姫「そんなとき、丁度、同じく境を散歩していた魔王様に見つかったのです……」

魔王「謝りたいのは、その時国境を無断で越えてしまったことです。あとは……、病気を見るためとはいえ、嫁入り前の二姫の身体に触ったことでしょうか」

姫「こ、国境を無断で越えたのは私もだから……文句は言えないですよ…! ね、お父様!」

王「……ぐぬぬ。そ、それで?」

二姫「私は、魔王様に病を治していただいたのです! 病は病蟲というものらしく…身体の中に入り込んでは、私の身体の養分を吸いとっていたらしいのです。それを魔王様が取り除いてくださった…!」

王「し、信じられん……しかし、身体の中のものをどうやって取ったというのだ…!?」

魔王「それは、魔力です」

魔王「強い魔力を持つものは、その病蟲を取り除くことができます」

魔王「この国には、今も病蟲にとりつかれている方がいらっしゃるようですね?」

魔王「例えば、そちらの従者さんとか……」

従者2「…!!な、なぜ分かる…!?」

魔王「見えるのですよ。胸の中に黒く渦巻くものが、ね」

従者2「う……うう! 頼みます!治してください!」ザッ

従者2「毎日毎日、夜中に苦しみ出して、眠れないのです! 頼む…お願いしますっ!!」

魔王「……側近」

側近「よろしいので?」

魔王「ああ」


魔王「あまり、見て気持ちいいものではないとだけ言っておきます」

側近「……」 つつ…ずるっにゅるんっ

従者「ううっ……!?」

王「ひっ……!? て、手が!! 刺さっとる…!」

二姫「うっ……」

姫「二姫、大丈夫?」

二姫「え……ええ…お姉さまは?」 こそこそ

姫「う~ん。一度見たから慣れちゃったなぁ」 こそこそ

二姫「さ、流石お姉さまです…! ううっ…」

従者「あっあがぁっ…!?」

側近「ああ。これですね」 ずぷ…ずずずずるっ ずるんっ

ピチッ ピチチチチッ

王「おっおぞましい!! こんなものが二姫や他の者を苦しめていたというのか…!?」

魔王「……そうなりますね」

魔王(元凶は側近だけどな……)

側近「"凍れ" "砕けよ"」

バキンッ バキバキッ

側近「……お粗末様でした」にっこり

側近「具合はどうです?どこか痛いところは?」

従者2「いっいえ!! すごく清々しい気分だ……!ありがとうございます…!本当にありがとうっ…」

従者4「お、俺も!俺も苦しいんだ!助けてくれぇ!」

従者5「いいや!俺の方が酷いんだ! 頼むぅうう!!」

側近「おやおや……」

魔王「……どうでしょう? そちらにとっても悪くない取引だと思いませんか?」

王「ぐ……!」

すみません、少し寝ます
起きられれば7時半くらいから10時までは書き込めると思います
それでも終わらなかったら夜になります

わーすみません!
せめて夕方には帰ってきます!
保守も保守目安にしたがって自分で書き込むので保守しなくて大丈夫です!

保守

魔王「それとも、何か不都合でも?」

王「……私は、私は……」 カタカタ…

姫「……いっそ、伝えたたらどうです、お父様。わだかまりを残したままでは、和解など成功しないでしょう」

王「姫……だが…」 チラッ

魔王「どうぞ。何か言いたいことがあるのならば、存分にお話ください」

王「……」


王「わ、私は……」 グッ

王「私は魔王が、怖い…!」

魔王「……」

王「あなたは覚えているのだろう!? 私の父が、そのときの勇者が、魔族にしてきたことを……!
  なのに、何故その話題に触れぬのじゃ…! 何か腹に一物を抱えているとしか思えぬ!」

魔王「……覚えていますよ。昨日あったことのように、鮮明にね」

王「……!」 ビクッ

魔王「…王様、あなたは私を怖いと仰った。ですがそれは私も同じなのです」

王「何…?」

魔王「私だって、怖い。数百年前のように、また魔族が裏切られることになるのではないかと」

魔王「だから和解など、彼女に頼まれたときも、考えることなく断ってしまった」

魔王「私は弱いのです。今だって、落ち着いてるように見せているけれども、体中冷たい汗が流れている」

王「では、何故……何があなたに勇気を与えたのだ」

魔王「はは、勇気なんてそんな大層なものじゃあありません。ただ私は、本当の平和が欲しくなった。忌まわしい過去に、終止符を打ちたかったのです。それは、勇気からじゃない。弱さからだ」

王「弱さ、から…」

魔王「ですが、考えさせてくれる機会を与えてくれたのは、彼女ですね。そして、私の話を親身になって聞いてくれた側近だ」

姫「魔王様……」

側近「……ふふ」

王「恨んでは、おらぬのですか……! あんなこと、許せることではないでしょう!?復讐しようとは思わないのですか!?」

魔王「…恨み…ですか。当然、恨みましたよ。こちらはただ和解を望んでいたのに、成功したと思ったのに、裏切られ、父や兄や家来を殺され…その上…」

姫「……この剣の、飾りの一部にされた」

魔王「腹ただしかった、殺してやりたかった。すぐに戦争でも何でもして、あなたの国を滅ぼしてやろうと思ったこともありました

王「……」

魔王「でも、考えたんです。私が戦争をすると言えば、確かに魔界のものは喜んで手伝ってくれるでしょう。しかし、自分の憎しみを優先して、魔界のものを巻き込むのが、国を統べる者として、本当に正しいのかと。
   戦争になれば、魔界の者だって何人も命を落とすことになる。私怨で他人の命をどうこうできるほど、果たして私は偉いのかと」

魔王「それに、もう誰かを失う悲しみは、知りたくないし、誰かに味合わせたくもないんだ…」

魔王「だから私は戦争だけは起こさないと誓った。無下に人を殺すこともしないと。そして考えて、平和に近付くための一番良い選択はやはり和解だと思ったため、こちらに参ったのです」

王「…私は、何て愚かなんだ……!」

魔王「……」

王「私は自分のことばかり…いや、自分のことしか考えていなかった! 国民のことはおろか、国のためにと考えてくれた姫の言葉を無視して…自分の意思を優先させた……!」

姫「お父様……」

王「今日だって! あなたが本当に和解をしたいと申しておるのに、疑って、怯えていた!」

王「その上、過去のことを謝りもしないで……本当に、申し訳なかった…! 私は自分が恥ずかしくて仕方がない……!」 バッ

魔王「……顔を上げてください、王様。昔のことはもう過ぎたことです。それにあのことは、あなたが関与したことではない。あなたは悪くありません」

王「だが、それでは私の気がすまぬ……! あなたの話を聞き、あなたの懐の大きさと真摯な言葉に感動いたしました! 許していただけるなら、許していただきたい! だが、そのためにも償いをしたいのです…!」

魔王「……償い、ですか…」

王「ええ……! 償いをして、そして魔族との和解をしたい……!」

魔王「和解していただけるだけでもありがたいのですが……そうですね…では、3つだけお願いがあります」

王「は!」

魔王「一つは、国民に昔あったことの本当のことを知らせてください。魔族が歩み寄ろうとしたこと。そしてこれは、あなたには酷というものかも知れませんが……当時の王と勇者がしたことを」

王「……!」

魔王「できますか?」

王「必ず……必ずさせていただく!」

魔王「もう一つは、この勇者の剣の飾りになった、私の父と兄の目を返していただきたい」

姫「あ……それもそうよね。お父様、外してもいい?」

王「ああ……とってくれ」

姫「……」 ぐ、ぐ

魔王「……」

姫「はい……」

魔王「……ありがとう」

魔王「……」

魔王「お帰りなさい、お父様……お兄様」

側近(魔王様……あんなに優しい微笑みは…初めて見ました…) じわ…

魔王「最後に一つですが……」 ちらっ

姫「?」

魔王「あなたは素晴らしい姫君をお二人お持ちでいらっしゃる。どうか、お二人とも同じように大事にしてあげてください。彼女達は、この国にとってかけがえのない存在になるでしょう」

姫「ま、魔王様……!」

魔王「……これで、私の願いは終わりです」

王「ほ、本当にそれだけでよいのですか!?」

魔王「ええ。あなたが本当に守ってくれるのならば」

王「それはもちろんですが……そうだ!」

魔王「?」

王「どうぞ、二姫をあなたの妃にしてくださいませ!」

魔王「は……」

二姫「なっ」

姫「えええええええええええええええ!?」

魔王「あ、あの。それはいくらなんでも急な話じゃないかと!?」

王「なに、この二姫はまだまだ若いが器量の良い娘です。親の私が言うのもなんですが、見た目も申し分なく育った」

魔王「それは否定しませんが……! そもそも私は嫁を娶るつもりはないのです!」

王「でも…」

魔王「ああああ!! なれば、私はこちらの姫をいただきたく存じます!」 バッ

姫「!! ままままままま魔王様!?」 カアアアア

側近「おやおや」にこにこ

王「おお、それはいい考えであるの! 姫も年頃じゃ、ちょうど良い」

魔王(…この王は何を考えているんだ……俺は魔物だぞ…!?)

魔王「と、とにかく。お互いの意見も一致したことですし、和解はこれで決まりということでよろしいですね…?」

王「ああ。すぐに過去の話を新聞にして配ろう。そして、明日には城の外で国民に謝り、和解の件を話す」

魔王「……これから、どうぞよろしく」 さっ

王「こちらこそ…!」 ぎゅっ

姫「……良かった。本当に…良かった!」

二姫「おめでとうございます!お姉さま……!」



―――…

姫「魔王様、本当にありがとうございました」

魔王「ああ、姫も。よくやった」

姫「……お帰りに、なるのですか?」

魔王「ああ。俺も魔界の者に和解の話をしなければならないからな」

姫「さみしくなりますね」

魔王「なあに、いつでも会えるさ。和解したんだから」

姫「…魔王様」

魔王「うん?」

姫「私、本気で魔王様が好きなの……! さっきの話はうやむやのまま終わったけれども、私は本気なの!」

魔王「姫……」

姫「魔王様は…?さっきの、私をいただくっていうのは……?」

魔王「……」

魔王「姫。駄目なんだ。俺は魔物で、お前は人間だ。…許されない」

姫「そ、そんなの関係ないよ! 大切なのは気持ちじゃないの!?」

魔王「俺は、お前らと違って年をとるのも遅い。死ぬのだって何百年後だ。俺は確かにお前に魅かれているよ。だからこそ、駄目なんだ。分かってくれ」

姫「……私はあきらめないよ! 和解だってできたんだもの! ずっとあきらめない!絶対あなたと結ばれてみせる!」

魔王「……お前ならやりそうで、怖いな」 くすっ

姫「……」

魔王「時間だ…帰らねばならん」

魔王「元気でな。二姫にもよろしく」

姫「魔王様ァ…」 ぐすんっ

魔王「お前の泣き顔は、愛くるしくて困るな…」 ちゅっ

姫「……!」

魔王「じゃあな」 フッ

姫「あ、魔王様…!」


姫「………」

二姫「…お姉さま? 魔王様は帰られたのですか?」

姫「っ二姫……う、う、うあ…うああああああああああんっ!」ぎゅうっ

二姫「お、お姉さま!?」

姫「魔王様のアホー! ばかあああああ!」 ぐすぐす

二姫「お姉さま…」


―――…


―――…

側近「よろしかったのですか」

魔王「…うん?」

側近「あのまま姫をさらっても、何の問題もなかったでしょうに」

魔王「だから、言ったろ。俺はあいつと違って長く生きるんだ。俺はこれ以上誰かの死で悲しみたくないんだよ」

側近「…本当に弱虫ですね、ちょっとあきれましたよ」

魔王「なんとでも言え。どうせ、すぐに忘れるさ」

魔王「……いい男なんて、五万といるからな」

姫「魔王様ほどの良い人そうそういないよ」 ぬっ

魔王「そんなことは…って、何でいるんだよ!?」

側近「あら、こんにちは姫様」 にこにこ

姫「お、お忘れかしら? 私は魔法学校主席の姫よ! 転移魔法くらいよ、余裕よ」 ぜーはーぜーはー

魔王「言葉と身体があってないぞ」

姫「その言葉はぜひベッドの中でいやらしく言ってもらいたいですね!」

魔王「死ね」

姫「やだもう過激ぃ☆」

魔王「…何しに来たんだよ?」

姫「言ったでしょ、私はあなたをあきらめないと! だから私は今日からここで暮らします!」

魔王「なんだかすごくデジャヴなんだが…」

姫「ふふふ、覚悟してね、魔王様!」

魔王「……手加減してくれよ、お姫さま」 ふっ




end

長い間本当に保守や支援ありがとうございました
皆様には感謝してもしつくせません
なにか質問等あれば受け付けます
本当にありがとうございました



一旦休憩したら簡単な短いおまけの話(サイドストーリー的な)を書きます
側近のキャラが激しく崩壊しているのと、下ネタが多くなると思われますので、苦手な方は御遠慮ください

こんにちは。私の名前は側近です。日々魔王様のお世話をする、頭脳明晰温厚篤実の無敵側近キャラクター。
魔王様の成長を見ることに命をかけています。
ああ、私の魔王様はなんて素晴らしいのでしょう!

そんな私ですが、最近悩みがあるのです。それはーー…

姫「魔王様、はいアーン♪」

魔王「自分で食えるからいらん」

側近「……」

いい加減、この二人くっつけよ!って事なのです。
最近は人間と魔族の恋愛も増えてきました。それなのに…この二人は!

姫「魔王様、この下着どうです? ムラムラしませんか?」

魔王「寒そうだな、服を着ろ」


あああああ!もどかしいもどかしい!もどかしすぎます!
あの二人の姿を見てはぎりぎりと歯を鳴らす日々です
どうやったらこの二人はくっつくのか……!
私は早く魔王様の子供をお目にかかりたいのですよ!
そして魔王様をお世話しつつ、魔王様の子もお世話する。
ああ、なんてハーレム!

こほん。取り乱して申し訳ありませんでした……
大事なことを忘れていました。私実はもう一つだけ、悩みがあります

二姫「こんにちは……」

側近「……おや、これはこれは。二姫様ごきげんよう。今日はどうなされました?」

そう、それはこの二姫様のことなのです

二姫「あの、今日は側近様にお会いしたく参りましたのです」 ポッ

側近「あ、あ~……それはありがとうございます……」

二姫「……はい」

このお姫様、どうやら私のことを好きなご様子なのです
散々魔王様と姫君の恋愛を応援している私ですが、自分のこととなれば別!
私は生涯独身のまま魔王様にお仕えしたいのです
しかし、二姫を傷付けることなく私を諦めていただくにはどうすれば良いのでしょうか


二姫「あの……側近様は、お好きな方はいらっしゃるのでしょうか……私、その…」

側近「……!」びくっ

側近「あ、あの、二姫様! 美味しい茶葉が手に入ったのですが、いかがです?」

二姫「あ、はい……いただきます」

ふっ…あぶないあぶない。
こうやって告白されそうになる度、話をそらしているのですが……いくらなんでも限界ですね

姫「魔王様~~」

魔王「あんまりしつこいと押し倒すぞ」

姫「えっ」

うわああああ!あちらは良い展開になってるじゃありませんか!
くそ……二姫がいなければビデオカメラを持って撮りにいったというのに…!ギリギリギリギリ…!

二姫「わ、これ本当に美味しいです!」

側近「それは良かった! それでいつ二姫様はお帰りになられるのでしょう?」にっこり

二姫「えっ……?」

側近「あ……!」

し、しまった。
私ったら何てことを!
いくら魔王様と姫様の様子が見たいからってつい本音を言ってしまうなんて…!
私らしくない!

二姫「あ、あの……私邪魔でしょうか?」

側近「(そうだなんて言えるわけない…)そ、そんなことないですよ! ただ……」

二姫「ただ?」

側近「あなたがすぐに帰られてしまっては、寂しいので……今日はどれくらい長くいてくださるのだろうかお聞きしたかったのです……」

二姫「ま、まぁ…!」 ぽー

ああああ私の馬鹿…!
もっと惚れさせるようなことを言ってどうするのです!
二姫の顔をご覧なさい。あの今にも抱いて…!と言いかねない顔を!

二姫「……側近様、お話がありますわ!」

側近「え……」

ほら、ほーら来ちゃった!
私がとどめの一発をさすような事を言ったから、二姫様本気モードに入られてしまったではないですか…!

二姫「私……昔はお姉さまが大好きでしたの。強くて美しい、王子様のようなお姉さまが」

側近「はい……?」

二姫「というより、男性が苦手だったのです…! あ、汗臭くて筋肉質で…とにかく昔の私はお姉さまが大好きで、結婚したいと思ってました…!」

うわー…この子モノホンですよ!
前々からそっちの気があるとは思っていましたが、まさかモノホンだったなんて…と、鳥肌が…!

側近「そ……それで?」

ぶっちゃけもう聞きたくないのですが…。

二姫「はい。私、絶対男性には恋しないだろうと思っていました…ですが…!」チラッ

側近「……」に、にこっ

二姫「……!」 キュンッ

二姫「私、あなた様に恋してしまったのです……!」

側近「…そ、それは……光栄の極みですね…」 ゾゾッ…

二姫「本当ですか!?」ぐいっ

側近「ヒッ…!!」

二姫「あ、すみません私ったら興奮して……失礼しました!」

側近「い、いえ……」

何なんでしょう。姫といいこの方といい。魔族に恋なんてしてしまって…お父様が知ったら泣きますよ。
っていうかなんか呪われているんじゃないですかこの姉妹は。

側近「……私が男だと、貴女はそう思うのですか」

二姫「あ……違うのですか…?」

側近(まー違うわけではありませんがね……ですがここは嘘をついた方がいいでしょうね)

側近「残念ながら私は女なのです……貴女の期待に答えられず申し訳ありません」

二姫「そんな……」

側近(あながち嘘でもないですからね。私には性別がありませんから。男の体になりたかったらなれるし女の体になりたかったらなれる。便利~)

二姫「最高じゃないですかぁ……!」

側近「……え、えー?」

すみません、飯買いに行ってきます

二姫「私益々あなたを好きになりました!」

側近(か、勘弁してください……!)

こうなったら姫様に相談すべきでしょうか…!
いやそんなことしたら……

姫『え! 二姫、側近さんのことを好きになっちゃったの!?』

二姫『え、ええ……』

姫『そうなんだ……でも側近さんなら二姫をまかせられるよ!』

二姫『お、お姉さま!』

姫『幸せにね!』


駄目だ、悪い結果しか思いつきません……!
こうなれば……なるべく当たり障りないように本音を申すしかないでしょう!

側近「……二姫」

二姫「はい?」

側近「私は、どなたとも付き合う気はございません」

二姫「……」

側近「私の幸せは、魔王様が幸せになること。魔王様が幸せになるまでは、私だけ幸せになることは私が許しません」

二姫「そうなんですか……じゃあ」

側近「はい。二姫には申し訳ありませんが、」

二姫「お姉さまと魔王様がくっつけば、私達も愛を育むことができるってわけですね!」

側近「……」

どうしてこうなるのですかー!

二姫「なれば私もあの二人の恋路をより一層応援しなければなりませんね!!」

側近「あ…あの、二姫様……?」

二姫「頑張りましょう!側近様!」

……あれ、もしかしてこれって最悪な状態なんじゃあ…。
姫と魔王様にはくっついていただきたいですが、くっつけばもれなく我々も……!?

二姫「色々作戦を練りましょう!側近様!」

側近「か……勘弁してくださいよ…」

私の受難は、まだまだ続きそうです……。



おまけ:END

さてはお前おまけを書くためにスレを立てたなww乙www

今度こそ終わりです!
皆さんありがとうございました!
色々展開迷ったりごちゃごちゃしたりしましたが、楽しかったです!

>>753
実は魔王が姫をぶん殴るシーンとおまけが書いてて一番楽しかったwww
シリアスよりギャグの方が書きやすいよね!

ばっかwww

姫と魔王をくっつけてから側近(♀)が魔王と関係をもってドロドロ展開になるのが面白いんじゃないかwwww

>>781
>>1がアップを始めたようです

魔王SSはまたいつか違うお話を書きたいと思っているので、もし出会えたときはよろしくお願いします
今度はもう少し計画的に立てたいです
流石に一週間は長すぎたね
ありがとうございました

>>783
二人は広いベッドに並んで寝ていた

側近♀「ふふふ…私の可愛い魔王様」

側近♀は魔王の寝顔を見て微笑んだ

シルクのシーツの盛り上がりが
二人が裸であること示している

側近♀はふとベッド脇の肖像画を見た

姫と魔王が並んで幸せそうに笑っている結婚式の時の肖像画だ

側近♀「…魔王様の幸せはわたしの幸せ」ポツリ

だが、実際に姫と魔王様が結婚したとき、その胸を襲ったのは強烈な喪失感だった

悩んで悩んで出した答え、その結果が今の二人を表していた

コンコン ガチャ

姫「魔王!いつまで寝て!」

側近♀「!?」

姫「!?」

これはまた別のお話 おしまい 駄文とも呼べない廃棄物で汚してすまんwww
>>1乙!!!!楽しかった!!!!

何でまだあるんだよwww

魔王「和解から5年がたつのか」

姫「魔王様にとっては5年なんて1日みたいなもんだよね~」

魔王「……」 じっ

姫「……?」

魔王「お前今いくつだ?」

姫「……2○だけど」

魔王「初めて会ったときが1○か…成長しないなお前」

姫「ちょ!? 失礼じゃないそれ!?」

魔王「ああ悪い。老けないって意味で言ったんだよ」

姫「魔女の血かな! あはは!」

魔王「5年か……」

魔王(こいつも本当にしつこいな。俺ばっか追いかけて……婚期逃すだろうに)

魔王(……)

魔王「姫」

姫「はい?」

魔王「お前、男作らないのか」

姫「えっ……それはまさか魔王様との間にってこと……!? やだもう!気が早いんだから!」

魔王「……真面目に聞いているんだよ」

姫「え……」

キタッ!!wwwwww

魔王「結婚して、子を産むのは女の幸せだろう? お前もいつまでも俺を追いかけてないで、良い旦那を見つけろ。……っ!? おい、何で脱いでるんだ!?」

姫「私の幸せは魔王様の側にいることだよ! いつも言ってるのに、どーして分かってくれないのよ!?」

魔王「それと服を脱ぐことに何の関係があるんだ……おい下着にまで手をかけるな」

姫「悔しいから既成事実でも作ってやろうかと思ったのよ……!馬鹿魔王様!鈍感!サディスト!エロテロリスト!」 ぐすっ

魔王「ああもう……」 ぎゅっ

姫「……!」

魔王「悪かった。悪かったよ。だがな、俺はお前とは……」

姫「知ってるよ……」

魔王「……」

姫「知ってるけど、側にいたいの……それじゃダメなの…?」 ぎゅうう

魔王「……すまん」

姫「……私こそ、ごめんなさい」

側近(押し倒してしまえば良かったのに……!魔王様の子供!魔王様と子供!)

二姫(ああ…素敵……私も側近様とあんな風に…) すり…

側近「二、二姫様!?」 ぎょっ


二姫「あ、すみません! つい……」 ぱっ

側近「あ、あは……あはははは…」 ぞわぞわぞわ…

二姫(側近様ったら優しく微笑んでくださるなんて…!素敵すぎますわ…!)



魔王「何だあいつらできてるのか?」

姫「えー本当に!? 応援してあげなくちゃね!」わくわく

魔王「お節介な姫君だなぁ?」

姫「魔王様も一緒に応援してあげるの! 二人には幸せになってほしいでしょ!」

魔王「はいはい……姫君には敵わんよ」

姫「ふふふ!ありがとう魔王様!」

終わってからも乙や保守をいただいて嬉しかったので、ちょっと書いちゃいました
感想等ありがとうございました!では!

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