ベルトルト「ゆるい会話」アニ「してるだけ」(72)

※ネタバレ有り
タイトルの通りゆるい会話してるだけ

………


訓練所敷地内、なんか人気のない場所

ベルトルト「ごめん、お待たせ」

アニ「大丈夫、そんなに待ってない。…ライナーは?」

ベルトルト「ライナーは来られない。さっきエレンとジャンがまた喧嘩して、仲裁からのお説教で、周りの注目集めてそのまま雑談に巻き込まれて、抜け出しにくくなっちゃったんだ」

アニ「はぁ…またアイツは…」

ベルトルト「ごめん。ライナーが集めた情報とか、それに関する考えについても僕が聞いておいたから」

アニ「あんたが謝ることじゃないし、まあ、大丈夫ならいいよ」

ベルトルト「ありがと」

アニ「ん。じゃあ私から。クリスタについてたウォール教の奴の件なんだけど──」

ベルトルト「──というわけで、これがライナーの考えだよ。僕が集めた資料とか、さっきのアニの話とかと合わせても整合性はとれてるし、ひとまずはこの方向で考えていくのでいいと思う」

アニ「了解。あとは、何か新情報ない?」

ベルトルト「ああ」

アニ「じゃあ、以上かな」

ベルトルト「以上だね」

アニ「……」

ベルトルト「…解散する?」

アニ「……」

ベルトルト「…せっかく久々に話せる機会だし、何か話す?」

アニ「…そうしよう」

ベルトルト「……」

アニ「……」

ベルトルト「…えっと、今日いい天気だったね」

アニ「…なにその適当な話題の振り方」

ベルトルト「ご、ごめん」

アニ「いや、いいけど…まあ、いい天気だったね」

ベルトルト「ね」

アニ「でも訓練するには少し日差しがきつかったかも」

ベルトルト「あー、ちょっとジリジリきたよね」

アニ「適度に晴れてほしい」

ベルトルト「本当にね」

アニ「日焼けとか嫌なんだよ」

ベルトルト「あー、やっぱり女の子はそういうの気になるんだね」

アニ「なるよ。訓練兵やってる以上仕方ないのは分かっているんだけどさ、そう割り切れもしない」

ベルトルト「そういうもの?」

アニ「そういうもの」

ベルトルト「日焼けかぁ…あんまり気にしたことなかったな」

アニ「まあ男子はね」

ベルトルト「気にしてても気持ち悪いか」

アニ「うん。ライナーとかが気にしてたら問答無用でとりあえず蹴るわ」

ベルトルト「厳しい…」

アニ「男子はある程度日焼けしてたほうがいいやつもいるし」

ベルトルト「へえ」

アニ「あんたとか特に」

ベルトルト「え、僕?なんで?」

アニ「なんか色白のがイメージにはあってるんだけどさ」

ベルトルト「どういうイメージなの」

アニ「ベルトルトのイメージだよ」

ベルトルト「いやそういう意味じゃなくて…まあいいや」

アニ「あんた血色よくないし、色白いと病弱っぽく見えかねないというか、まあ弱そうに見える。ある程度焼けてたほうが強そう」

ベルトルト「そうなんだ…」

アニ「まあだからイメージ的には色白のがあってると思うんだけどね」

ベルトルト「それ僕のイメージって弱そうってこと…?」

アニ「え、あ、ごめん。つい…」

ベルトルト「いやいいよ…自覚はしている…」

アニ「ごめんてば。落ち込まないでよ」

アニ「そういえば、ベルトルト、最近天気予想してるらしいけど、いつの間にそんな特技身に着けたの?」

ベルトルト「えっ、してないよ」

アニ「えっ、だって男子が話してるの聞いたよ。『ベルトルトによると、今日は晴れらしいぞ』とか言ってた」

ベルトルト「……あー」

アニ「何?」

ベルトルト「…それ、僕が予想しているわけじゃないんだ」

アニ「…どういうこと?」

ベルトルト「…恥ずかしいから言いたくないんだけど」

アニ「気になるんだけど」

ベルトルト「…笑わない?」

アニ「どうだろ、内容による」

ベルトルト「じゃあ言いたくない…」

アニ「…わかった、笑わないよ」

ベルトルト「…寝相」

アニ「…は?」

ベルトルト「…僕の寝相がものすごく悪くて、朝になると凄まじい姿勢になってるんだ。で、皆がそれを見て勝手に適当に天気占ったりしてるんだよ」

アニ「なにそれ。…呆れた、男子ってバカばっかだね。そんなことして楽しいの?」

ベルトルト「ん…まあ、娯楽少ない生活だし…」

アニ「あんたが遊ばれる対象になってどうする」

ベルトルト「あはは…」

アニ「…ベルトルト」

ベルトルト「ん?」

アニ「…寝相があまりに酷いのって、ストレスとかも関係するらしいよ。…あんた、大丈夫なの?」

ベルトルト「…ありがとう、大丈夫だよ」

アニ「……」

ベルトルト「…えっと、どっちかっていうと隣で寝てるライナーのほうが大丈夫じゃないかも。無意識に蹴ってたりしないか心配かなー、なんて…」

アニ「……」

ベルトルト「……」

アニ「…ライナーは無駄に頑丈だから、多少のことなら、まあ大丈夫でしょ」

ベルトルト「はは、そうかも」

ベルトルト「えーっと、…あと多分、寝相は成長痛が酷いのも関係してると思うし、気にしなくて平気だよ」

アニ「…成長痛?」

ベルトルト「うん、だいぶ酷くて」

アニ「羨ましい」

ベルトルト「えっ、なんで?凄くミシミシってなってかなり痛いんだよ」

アニ「…だって身長伸びるんでしょ?」

ベルトルト「うーん、まあそうらしいけど」

アニ「…私も身長がほしい」

ベルトルト「そういうことか…。にしても、唐突だね」

アニ「言い出したのは唐突だけどわりと常に思ってる」

ベルトルト「そ、そうなんだ」

アニ「あんたもライナーもでかすぎるんだよ。話してて首が痛くなる」

ベルトルト「ああ、そういう…」

アニ「あと20cmくらいほしい」

ベルトルト「え、そんなに!?…アニ今身長いくつ?」

アニ「150ちょっと」

ベルトルト「20cm伸びたら170じゃないか…。女子だと高身長の域だよね…ユミルとかミカサくらい?そんなほしいの?」

アニ「ほしい」

ベルトルト「そ、そっか」

アニ「…ベルトルトは今何センチあるの?」

ベルトルト「え?僕?えっと180…あ、いや、そろそろ190いきそう、かな」

アニ「…巨人」

ベルトルト「はは…」

アニ「超大型」

ベルトルト「事実すぎて反論の余地がない」

アニ「…やっぱり20cmよりもっとほしいかも」

ベルトルト「えっ」

アニ「身長差悔しい」

ベルトルト「うーん…」

アニ「もしくはベルトルトが縮むんでもいいよ」

ベルトルト「…難しい問題だ。実際自分でも大きすぎるとは思うけどね。縮みたい」

アニ「贅沢言わないで。でも縮んで」

ベルトルト「どうしろと」

支援・コメントありがとうございます、嬉しいです
昨日もうちょい投下するはずだったのに変なとこで途切れらせてしまった…

つづき

アニ「じゃあとりあえず縮まなくていいから私の背が伸びる方法教えて」

ベルトルト「えー…なんだろ、食べ物とかは同じはずだよね」

アニ「運動量も同じくらいだろうし」

ベルトルト「能力も関係なさそうだよね」

アニ「有無はまず関係ないだろうし、巨人体のサイズにしたって、あんたはともかくライナーと私は同じくらいになるからね」

ベルトルト「うーん、となるとなんだろうね」

アニ「なんだろう」

ベルトルト「…あ、あとよく言われてるのだと、睡眠じゃないかな」

アニ「なるほど、睡眠ね。…あんたそんなに良く寝てるようにも見えないけど」

ベルトルト「うーん、まあよく分からないけどさ」

ベルトルト「…アニ」

アニ「ん?」

ベルトルト「…最近、隈が酷い時があるよ。…ちゃんと寝られてる?無理してない?」

アニ「…寝てるよ。ありがとう、大丈夫」

ベルトルト「……」

アニ「…えっと、実はこの間買った本が面白くて時々夜更かししているだけだよ。心配いらない」

ベルトルト「……」

アニ「……」

ベルトルト「…そっか。今度、おすすめの本教えてね」

アニ「ん、わかった、選んでおく」

peeping life を思い出したw

アニ「でも、本なんて、私よりベルトルトのほうがよく読んでると思うし詳しいと思うけど。私そこまで読書家じゃないけど、おすすめとか要る?」

ベルトルト「うーん、まあ確かに割とよく読むしそこそこ詳しいかもしれないけど。他の人にすすめてもらった本読むのもまた一興というか」

アニ「へえ、そういうものなんだね」

ベルトルト「うん、そういうもの」

アニ「ベルトルトってどういう本読むの?」

ベルトルト「ええと、割と色々読むかな」

アニ「色々って」

ベルトルト「うーん、論文、小説、随筆、詩集、伝記、歴史書、戦術書、参考書、政治、経済、芸術、…エトセトラ」

アニ「本当に色々だった」

ベルトルト「うん」

アニ「ジャンルにこだわりとかないの」

ベルトルト「うーん、あんまりないかも。本読むの好きだし、あと…必要な情報も、そこから得たりするから。趣味と実益とカモフラージュを兼ねて」

アニ「なるほど、良い手だね」

ベルトルト「ありがと」

アニ「でも本ばっかり読んでて逆に目立たないの?」

ベルトルト「そこまで四六時中読んでるわけでもないし。あと、アルミンやマルコも相当色々読むよ。彼らは僕よりはジャンルの好みあるだろうけど」

アニ「ああ、確かにあの二人も本好きそう」

ベルトルト「図書室とかでよく会うんだ」

アニ「話とか合いそうだね」

ベルトルト「うん。…本とかおすすめしてもらったり、トロスト区にあるいい感じの本屋紹介してもらったり、したよ」

アニ「…そう」

ベルトルト「…うん」

アニ「…その死にそうな顔やめなよ」

ベルトルト「え、死にそうな顔してる?」

アニ「うん」

ベルトルト「うわあ…ごめん…」

アニ「死にそうな顔と言えば」

ベルトルト「わ、なんか凄い前フリだね」

アニ「まあいいじゃない。…サシャが、この間死にそうな顔してて」

ベルトルト「ああ、食べ物関連?」

アニ「だと思うでしょ?」

ベルトルト「えっ、違うの!?」

アニ「なんと違う」

ベルトルト「そんな馬鹿な」

アニ「驚きだよね」

ベルトルト「うん。一体サシャに何があったの」

アニ「それがさ、なんかこの間の考査で点数をコニーと競って負けたらしいんだよね」

ベルトルト「へっ」

アニ「まさかそんなことで死にそうな顔するなんて…」

ベルトルト「それは予想外だった、そんなことで落ち込むとか…」

アニ「何事かと思ったよ」

ベルトルト「確かに…」

アニ「あのサシャが急に真面目になるとか…これは何か起こる前兆かもしれない」

ベルトルト「それはさすがに大袈裟では…」

アニ「サシャのキャラ的に仕方ない」

ベルトルト「そうかもしれないけど…」


ベルトルト「…ん?」

アニ「ん?」

ベルトルト「アニ、その考査って2週間前のやつだよね?」

アニ「そうだけど」

ベルトルト「…あー…」

アニ「え、どうしたの」

ベルトルト「…それさ、やっぱり食べ物関連だよ」

アニ「えっ」

ベルトルト「うん」

アニ「だってテストだよ?」

ベルトルト「そうなんだけどさ」

アニ「何?」

ベルトルト「コニーがあの日、すごい上機嫌だったから、マルコが理由を尋ねてたんだ」

アニ「上機嫌だったのは勝負に勝ったからでしょ」

ベルトルト「いや、まあそうなんだけど、単純にそれだけではないんだ」

アニ「というと?」

ベルトルト「『今日の考査でサシャに勝った』コニーはそう答えた後言ったんだ。『まさか食べ物賭けたあいつに勝てるとは思わなかった、やっぱり俺は天才だ』って」

アニ「……」

ベルトルト「……」

アニ「…食べ物関連だった」

ベルトルト「食べ物関連だったね」

アニ「なんだ、結局そうなのか、残念」

ベルトルト「やっぱりサシャはサシャだね」

アニ「凄い驚いたのに」

ベルトルト「まあびっくりだよね」

アニ「世界にもの凄い異変が起こる前兆だと思ったのに」

ベルトルト「そんなに?」

アニ「うん。…私たちがやらなくても、壁内人類が滅ぶくらい、の」

ベルトルト「…そっか」

アニ「…うん」

ベルトルト「…残念だね」

アニ「…残念だよ」

スローペースですいませぬが今回ここまで
読んでくれてる方ありがとうございます

>>20
知らなかったので調べました、あれかわいいですね

つづき

アニ「そういえば、ライナーはエレンとジャンの喧嘩の仲裁してたって言ってたけど、あの2人また喧嘩したの」

ベルトルト「うん。エレンとミカサが、また言い合いしてたからね。ジャンが『羨ましい!』って怒ってた」

アニ「あぁ、またミカサ関係ね」

ベルトルト「うん。なんか微笑ましいよね」

アニ「そう?馬鹿らしいけど」

ベルトルト「手厳しい」

アニ「ところで、エレンとミカサって言い合いっていうかエレンが一方的に突っかかってる感じじゃない?」

ベルトルト「そうかな、ミカサも結構言い返してるよね」

アニ「ん、まあでも先に怒り出すのはエレンだし。あとミカサは淡々と喋るからエレンだけ怒ってるようなイメージが強い気がする」

ベルトルト「なるほど」

アニ「それにしても、エレンはミカサに反抗的というかなんというか…」

ベルトルト「反抗期なのかな。ミカサもちょっと構い過ぎな感じはするけどね」

アニ「まあね。だからエレンも『俺はお前の弟じゃねえって言ってんだろ!』とか怒るんだろうけど」

ベルトルト「弟ねえ…」

アニ「本人は兄だと思いたいのかもね」

ベルトルト「外野から見た限りで言わせてもらえば、無理そうだけどね…」

アニ「無理そうだよね」

ベルトルト「なんで兄姉のポジションを争うんだろ。同い年の幼馴染だからなのかなぁ」

アニ「それだとアルミンもでしょ。あの2人は別になんか特殊な事情でもあるんじゃないの」

ベルトルト「あー…、なんかそういえば色々あってシガンシナ、ウォール・マリア陥落前から一緒に暮らしてたって言ってた気がする」

アニ「色々って?」

ベルトルト「ごめん、そこまでは知らない」

アニ「そっか」

ベルトルト「うん」

アニ「…同い年の幼馴染で、きょうだい、ね」

ベルトルト「なに?」

アニ「いや、任務つく前に一緒に暮らしたりとかはなかったから幼馴染って言えるかは微妙だけどさ、私とベルトルトだったらやっぱり私がお姉さんかなと思って」

ベルトルト「え、いやいや僕がお兄さんでしょ」

アニ「それはない」

ベルトルト「えー、僕の方が背大きいのに」

アニ「性別違うんだから身長関係ないでしょ。それに私のほうがお姉さんぽい」

ベルトルト「アニは妹って感じだと思うけど」

アニ「それはないね。むしろベルトルトこそ弟系でしょ」

ベルトルト「こんなでかい弟嫌だよ」

アニ「私は構わないけど」

ベルトルト「本当?」

アニ「むしろ歓迎する」

ベルトルト「えっ嬉しいかも」

ベルトルト「でもやっぱり僕がお兄さんがいいなあ。アニのこと守れる立ち位置がいい」

アニ「なにそれ馬鹿にしてるの?私はそんな弱くないよ」

ベルトルト「違うよ!…アニだって、自分のことか弱い乙女とか言うくせに」

アニ「そう、私はか弱い乙女だよ。でもベルトルトに守ってもらうほど弱くない」

ベルトルト「なにそれ傷つく」

アニ「冗談だよ」

ベルトルト「でも絶対本当にそう思ってる部分はあるだろ」

アニ「バレた?」

ベルトルト「バレバレだよ」

アニ「ごめん、拗ねないでよ」

ベルトルト「拗ねてないけど、なんかさあ…」

アニ「拗ねてるじゃない」

ベルトルト「だってさっきも僕のこと弱そうとか言うし…」

アニ「それは謝ったじゃないか、引きずらないでよもう」

ベルトルト「…アニ」

アニ「何?」

ベルトルト「…そりゃ、僕はそんなに強くないよ。臆病だし、意志はないし、決断力にも欠けるし、メンタル弱いし、ヘタレだし…」

アニ「えぇ…唐突に聞いてて悲しくなる自虐始めた…」

ベルトルト「ご、ごめん…」

ベルトルト「…でも、頼りないかもしれないけどさ、それでも、もうちょっと頼ってくれても、いいじゃないか」

アニ「…ベルトルト」

ベルトルト「アニがそんなに弱くないのは分かってるよ。人間体でも運動能力に秀でてるし、巨人化能力もかなりうまく扱えてる。そういう意味では強いと思うよ」

アニ「だったら」

ベルトルト「けどアニは、強がって孤高ぶってるけれど、本当は優しいし、寂しがり屋で繊細で、傷つきやすい、『普通の女の子』だろ」

アニ「……」

ベルトルト「それで、他人のことなんて気にしてないふりをしながら、その実かなり気にしている。だからここでの生活は、とてもつらいはずだ」

アニ「…私だって、自覚はしてるんだよ」

ベルトルト「じゃあ」

アニ「でも、だから私は自分のことをまず優先して考えることにしている。悪いけど、他の人も守るとか、そんな余裕までないんだ」

ベルトルト「……」

アニ「あんただって、そんな余裕はないでしょ」

そベルトルト「れは…余裕があるかって言われたら肯定はできないけど…、でも」

アニ「…そうやって、無理しようとするから、あんたには守られたくないんだよ」

>>43
間違えた

×そベルトルト「れは…余裕があるかって言われたら肯定はできないけど…、でも」
○ベルトルト「それは…余裕があるかって言われたら肯定はできないけど…、でも」

ベルトルト「 が変なところに入ったせいで真面目シーンのつもりがシュールに

ベルトルト「無理なんか…」

アニ「してる」

ベルトルト「うっ…」

アニ「見縊ってるわけじゃない。あんたが能力的に強いことは知ってるし、精神的にだって芯の部分は強いことも分かってる」

ベルトルト「…そんなことも、ないけど」

アニ「あるよ。それは知ってる。…それでもやっぱり同時に、脆い。臆病で神経質で後ろ向きなくせに、優しくて他人の気持ちを考える、そんな性格をしているからこそ、ね」

ベルトルト「アニ…」

アニ「無駄に傷つく必要なんか、ないんだよ」

ベルトルト「……」

アニ「…あんたはとりあえず自分のことを気にしてればいい。…私だって、第一には自分のことしか考えてないんだから」

ベルトルト「…はは、随分自分勝手なきょうだいだね」

アニ「それくらいの方がちょうどいいでしょ。…色々抱え過ぎると、こわれてしまうよ」

ベルトルト「…うん」

アニ「…まあこんな議論しててもそもそも『家族』とやらじゃないから意味ないけどね」

ベルトルト「…まあね。でも想像するの楽しいよ」

アニ「そう?」

ベルトルト「うん」

アニ「まああんたがいいならいいけど…」

ベルトルト「ライナーも入れてさ、僕らがきょうだいだとしたら、やっぱり彼はお兄さんだよね。年齢的にも性格的にも」

アニ「…まあ、適役なんじゃないの」

ベルトルト「ふふ、ライナーってアニのこと反抗期の娘みたいに扱いそうだよね」

アニ「実際あいつが身内だったら反抗するよ私は」

ベルトルト「可哀想だからやめてあげてよ…」

アニ「いいじゃない別に」

ベルトルト「さすがに不憫…」

アニ「…信頼してるんだよ、多少反抗してみたって、きっと許してくれるって。甘えてるのかも」

ベルトルト「おお…反抗期の娘さんの複雑な心境が垣間見えた気がする」

アニ「どうでもいいけどライナーの立ち位置が兄じゃなくて父親になってるよ」

ベルトルト「あ」

アニ「きょうだいの話の続きだけど、そういえば、この間ミーナが私のこと『妹にしたい』とか言ったんだよね」

ベルトルト「やっぱりアニは妹キャラなんじゃないか」

アニ「違うし。…でもミーナが姉ならまあ、妹でもいいかなってちょっと思った」

ベルトルト「ひどい。僕の時は嫌だって言ったのに」

アニ「だから弟としてなら歓迎してやるって」

ベルトルト「複雑な気分です」

ベルトルト「…弟ならもっと向いてそうな人いると思うけどなあ」

アニ「そう?例えば?」

ベルトルト「アルミンとかコニーとか」

アニ「…身長で選んでない?」

ベルトルト「…否定はしきれない。いや、でも内面も考慮したよ」

アニ「本当に?…んー、でもまあマルコとかジャンとかよりはアリかもね。アルミンもだけど、特にコニーとか兄って感じあまりないし」

ベルトルト「あ、でもコニー、弟と妹いるらしいよ」

アニ「へえ、意外」

ベルトルト「そうかな。お調子者だけど、なんだかんだ良い奴だよ。案外いいお兄さんしてるかも」

アニ「あんたも結局『案外』って言ってるけど」

ベルトルト「…しまった、ついうっかり」

アニ「まあでも、なんか小さい子と一緒になって遊んでるのはなんとなく想像できるか。ただ、自分にとって兄か弟かってなったら弟ポジションだろうね」

ベルトルト「だねえ。コニー、元気のいい楽しい弟だろうなあ。ちょっと手がかかりそうだけど」

アニ「弟だった場合、面倒見るの大変そう。その分。アルミンだったら賢くて大人しいし手のかからない弟だね」

ベルトルト「いいよね。本の話とかしたい」

アニ「そして図書室に引きこもる兄弟が誕生する」

ベルトルト「なんか嫌だなそれ」

アニ「…兄なら誰がいい?」

ベルトルト「兄ならマルコかな。面倒見良いよね」

アニ「だよね。わかる」

ベルトルト「なんか色々世話してくれそう」

アニ「あー、料理とか洗濯とか」

ベルトルト「どっちかっていうとそれ母親じゃ…」

アニ「まあいいじゃない。ていうかマルコ母親似合うね」

ベルトルト「絶対それ本人喜ばないよ」

アニ「褒めたのに」

ベルトルト「母親が似合うと言われて喜ぶ男子は多分いないんじゃないかな…」

アニ「そうなんだ」

ベルトルト「うん」

アニ「残念」

ベルトルト「何が」

アニ「色々」

ベルトルト「えぇー…」

アニ「…あ、ジャンは兄弟どっちがいい?」

ベルトルト「えー…。…近所の友達とか?」

アニ「兄弟にはいらない?酷いね」

ベルトルト「そこまで酷いことは考えてないよ。正直どっちも想像できないんだ」

アニ「一人っ子ぽい?」

ベルトルト「かも」

アニ「まあ私もジャンは別に兄弟にしたくないけど」

ベルトルト「わあ…、酷いのはアニのほうじゃないか」

アニ「だってなんか…ねえ」

ベルトルト「ああ…」

アニ「…うん」

ベルトルト「…あっ、えっと、マルコが、ジャンは皆が思ってるよりもいい奴だって言ってたよ」

アニ「へえ、マルコが言うならそうなのか」

ベルトルト「うん、マルコが言うんだから」

アニ「…でもやっぱり兄でも弟でも想像できないけど」

ベルトルト「やっぱり一人っ子っぽいのかな?」

アニ「かも」

ベルトルト「あー、でもなんかジャンには姉とかなら居そうな気もだんだんしてきた。よく分かんないや」

アニ「仮に姉とかがいそうでもやっぱり私はなりたくないかな」

ベルトルト「わあ…酷い…」

アニ「まあいいじゃないどうでも」

ベルトルト「えぇー…」

アニ「まあまあ。…逆に姉とか妹にするなら?」

ベルトルト「うーん、誰だろうなあ…」

アニ「…自分で振っておいてなんだけど、難しいね」

ベルトルト「うん。あまり『これだ!』みたいな人がいない」

アニ「ね」

ベルトルト「…姉ならユミル、妹ならクリスタとか?」

アニ「…身長?」

ベルトルト「だいたいそうですが内面も以下略。まあ彼女たちの内面なんて良く知らないけど、イメージ」

アニ「まあ分からないでもない」

ベルトルト「でもなんかあの二人そこで完結しそうだよね」

アニ「ああ、なんかね。ユミルは憎まれ口ばっかりだしクリスタもそれに言い返してるんけど、なんか独特の世界が形成されてるっていうか」

ベルトルト「ね」

アニ「あそこにはせいぜい足してサシャかな。自分は入れない気がする」

ベルトルト「ああ、仲いいよねあの3人。…サシャは自分の姉か妹にするとしたらどう?」

アニ「んー、するとしたら妹かな。姉って感じしない」

ベルトルト「なんかコニーと似たイメージだよね。年下相手ならいいお姉さんになりそう。彼女には兄弟いるのか知らないけど」

アニ「いないらしいよ」

ベルトルト「あ、そうなんだ」

アニ「サシャね…」

ベルトルト「ん?」

アニ「なんか姉にしろ妹にしろ、同じ家にいると自分が飢え死にしそう」

ベルトルト「ひどい。けど分かるなあ…彼女の食欲はすさまじいよね」

アニ「入団式で芋を食べていたあの衝撃が忘れられない」

ベルトルト「教官に芋分けた時のサイズとドヤ顔とあわせてインパクトすごかったよね」

アニ「消化器官を持ち合わせた人間以外を食べる超小型巨人って言われても信じるよ、私は」

ベルトルト「それは普通に人間なのでは…食欲はともかく」

アニ「細かいことは気にしない」

ベルトルト「細かいかな?」

アニ「細かいよ」

ベルトルト「いや細かくないよね?」

今回ここで区切ります
読んでくれてる方ありがとうございます
もうちょいで終わる

つづき

アニ「…そういえばエレンとミカサは話題にできなかったけど」

ベルトルト「あー、なんかあそこはあそこで姉弟って感じがするからなあ。そこにアルミンたして、あそこもそれで完結しそう」

アニ「あぁ、確かに」

ベルトルト「姉ミカサ、兄エレン、弟アルミン?」

アニ「兄と弟逆じゃない?なんかエレンってアルミンに諌められがちだし」

ベルトルト「うーん、なんかエレンとアルミンの場合大人びた弟に注意される兄ってイメージが」

アニ「…あっ、なんかわかるかも」

ベルトルト「こう、引っ張っていくのは兄のエレンなんだけど、冷静に慎重にものを見る弟が時々抑える感じというか」

アニ「あぁー…」

ベルトルト「そして最強の姉ミカサ」

アニ「そこのきょうだいに喧嘩売ると死ぬと話題に」

ベルトルト「怖い」

アニ「ふふ」

ベルトルト「あの3人も仲いいよね」

アニ「幼馴染でね」

ベルトルト「よく一緒にいるよね」

アニ「羨ましい?」

ベルトルト「…うん」

アニ「そう。…私もだよ」

アニ「…まあでもなんだかんだ、大抵の人とはそれなりに暮らしていけそうな気もする」

ベルトルト「そう?」

アニ「ん。そりゃ、嫌な奴もたくさんいるけどさ、…良い奴も、たくさんいるから」

ベルトルト「…うん」

アニ「…良い奴、いるんだよね…たくさん」

ベルトルト「……」

アニ「それを私たちは…」

ベルトルト「…うん」

アニ「……」

ベルトルト「…でも、それでも、誰かが…僕らがやらなきゃ、いけないんだ」

アニ「…うん」

ベルトルト「……」

アニ「……」

ベルトルト「…この話は、やめようか」

アニ「…うん、ごめん」

ベルトルト「ううん、こっちこそ、ごめん」

ベルトルト「…えっと、星が綺麗だね」

アニ「なに、その適当な話題転換」

ベルトルト「ご、ごめん」

アニ「いや、いいけど…あんた会話下手だよね」

ベルトルト「…アニがそれいうかなぁ」

アニ「は?どういう意味?」

ベルトルト「すいません」

アニ「…ん。まあ、星、綺麗だね」

ベルトルト「ね」

アニ「でも故郷ほどじゃない」

ベルトルト「あー、確かに。田舎だったからかな、凄く夜空綺麗だったよね」

アニ「うん」

ベルトルト「小さいころさ、こっそり夜更かしして星眺めたりとか」

アニ「やった。やりすぎて体調崩してお父さんに怒られたことある」

ベルトルト「一時期何故か流行ったよね」

アニ「不思議なくらいにね」

ベルトルト「次の日に、何時ごろまで起きて星見てた、とか自慢したり」

アニ「流れ星いくつ発見した、とかもね」

アニ「星座とかもすごい頑張って覚えたりしたなぁ」

ベルトルト「村のお年寄りにせがんで教えてもらったり、本見て勉強したりして」

ベルトルト「…懐かしいね」

アニ「うん」

ベルトルト「…帰りたいね」

アニ「…うん」

ベルトルト「…帰れる、かな…」

アニ「『かな』じゃない。帰るんだよ」

ベルトルト「…そうだね」

アニ「…そう」

ベルトルト「うん、…帰ろうね」

アニ「…うん、帰ろう」

おしまい

見てくれた方ありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年09月13日 (火) 21:21:14   ID: szTivYKN

乙。感動をありがとう!

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