あずさ「すべては隣に」 (40)

--事務所

社長「三浦くん、今日もお仕事お疲れ様」

あずさ「お疲れ様です、社長さん、プロデューサーさん」

P「お疲れ様です、あずささん。また明日も朝早くから仕事ですから、充分に休んで、体調管理には気をつけてくださいね」カタカタ……

あずさ「はい、気をつけます~」

社長「それにしても、三浦くんがBランクアイドルになってからというもの、うちには仕事の話がひっきりなしだよ
   社長として、私も鼻が高い。すべて君のおかげだ。ありがとう、三浦くん」

あずさ「ありがとうございます、社長。でも、ここまでこれたのは社長さんのバックアップやスタッフさんたちの協力、
   そしてプロデューサーさんが導いてくださったおかげです
   私からも、お礼を言わせてください」

P「あずささん……」カタ……

社長「わははは、そういう謙虚でやさしいところも、君がアイドルとして大成した所以かも知れんな!」





社長「だがプロデューサーくん、感動してるところ悪いが、手が止まっているよ?」

P「あ、すみません」カタカタ……

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P「なら、あずささん、オレからもお礼を言わせてください。あずささんというすばらしいアイドルがいたからこそ、
 オレもプロデューサーとして大きく成長することができたんです。ありがとうございます、あずささん」カタカタ……

あずさ「プロデューサーさん……私にはもったいない言葉ですが、ありがたく受け取らせていただきますね」

P「はい!これからも、二人、一緒に、二人三脚でがんばっていきましょう!」

あずさ「はい!よろしくお願いします、プロデューサーさん」

社長「うむうむ、仲良きことは美しきことかな……これからも、がんばってくれたまえ!」




社長「ところでプロデューサーくん、また手が止まっているよ?」

P「あ、すみません」カタカタ……

P「あ、そういえば、あずささん、この前の件、考えていただけましたか?」

あずさ「この前の件というと、歌の歌詞のことですか?私の新曲となる歌の歌詞を考えてみてほしいと頼まれたという」

P「はい、そうです!お忙しいところ、恐縮なのですが……」

あずさ「うふふ、私より、よっぽどプロデューサーさんのほうがお忙しいじゃないですか
    歌詞の件ですが、大丈夫です。まだすべてとは言いませんが、だいぶ形になってきたところなんです~」

P「そうですか!それはよかった!少し無理な注文かとおもって、心配していたんですが」

あずさ「私も、最初は不安だったんですが、急に頭の中に歌詞が沸いてきたんです!自分でもビックリしました」

P「あはは、それはすごい!もしかしたら、そういう才能があったのかもしれませんね」

社長「ほほう、それは、出来が楽しみだねえ!」




社長「ところでプロデューサーくん、またまた手が止まっているよ?」

P「あ、すみません」カタカタ……

社長「だめじゃないか、キミィ。確かにキミはすばらしいプロデューサーに成長してくれたと思う
   そのことに感謝しているが、仕事はきちんとしてもらわないと、困るよ
   キミは、わが社のホープなのだからね、期待しているのだよ」

P「す、すみません……」

P「ですが社長、ひとつ言わせていただいてもいいですか?」

社長「なんだね?何でも言ってみたまえ」

P「は、はい、ありがとうございます。では……この場を借りて言わせていただきます」

P「社長……そろそろ……」







P「事 務 員 さ ん を 雇 い ま し ょ う よ ! ! 」





P「プ ロ デ ュ ー サ ー を 雇 い ま し ょ う よ ! ! !」




P「うちの事務所、オレと社長とアイドルのあずささんを含めても





 3 人 し か い な い じ ゃ な い で す か ! ! ! !」

あずさ「あらあら~」

社長「そ、そんなに大きな声を出さずとも聞こえているよ、キミィ」

P「いいえ!この場ではっきり言わせていただきます!!」

P「営業も、仕事&アイドルのスケジュール管理も電話対応も事務仕事も、おまけに掃除も

 ぜええええええんぶ!オレがやっているじゃないですかああああああああああ!!」

社長「お、おちつきたまえよ、キミィ……」

P「はあ、はあ、す、すみません、取り乱したりして……」

あずさ「プロデューサーさん、お茶、どうぞ」

P「あ、ありがとうございます、あずささん……」

P「ですが社長、じっさい、今まではなんとかやりくりできていたとはいっても、
  これから先はもっと忙しくなっていくと思います
  そしたら、とてもオレ一人では手に負えなくなっていくと思います
  そういう意味でも、やはり手は打っておくべきかと」

社長「うむ……確かに、君の言うとおりだ。私もそろそろ何とかすべき頃合だと思っていた」

P「本当ですか!?」

社長「うむ、ではこの件、前向きに検討しておこう」

P「ありがとうございます、社長!」

社長「いやいや、今までまかせっきりですまなかった。これからも、何かあったら遠慮せず言ってくれたまえよ」

P「本当ですか!?なら……

 みどりの黒髪といわれるくらい綺麗な髪をもち、カチューシャが似合って、
 大人の雰囲気をもってるが、少し子供っぽいところもある、
 口元にホクロがチャームポイントになってるような、素敵な女性の事務員さんをお願いします!!」

P「社長の知り合いにいませんか?そういう人」

社長「ずいぶん遠慮しなくなったねえ、キミィ……」

あずさ「あらあら~」

今日はここまで。またそのうち投下していきます

社長「すまないが、そんな女性は私の知り合いにはいないな」

P「そうですか、残念だなあ~」

社長「だが、まあ、美人という点では、善処しよう……
   私も、なるべくならそのほうがいいからね」

P「さすがです、社長!765プロの社員として、幸せです!!」

社長「なかなか現金だねえ、キミィ」

あずさ「うふふ、では、そろそろ私は帰ります~
    社長さん、プロデューサーさん、お疲れ様でした」

社長「お疲れ様」

P「駅まで送りますよ、あずささん」

あずさ「よろしいんですか?まだお仕事残っているのでしょう?」

P「平気ですよ、それに、あずささんのほうが大切ですしね
 大事なアイドルに何かあったら、そっちのほうが大変ですよ

P「それに、デスクワークばかりやっていてはストレスがたまりますし
 いい気分転換になります」

あずさ「ありがとうございます、プロデューサーさん
    では、私も及ばずながらプロデューサーさんの気分転換を手伝わせていただきますね」

P「それはうれしいですね、こちらこそありがとうございます、あずささん
  では、いってきます、社長」

社長「うむ、二人とも、気をつけていきなさい」

……そして

--夜道

あずさ「最近、よく夢を見るんです」

P「夢、ですか。最近オレは見ていないなあ。どんな夢を?」

あずさ「それが……

    知らないアイドルたちと一緒に、アイドル活動をする夢なんです」

P「へえ?」

あずさ「私より若くてかわいいアイドルたちばかりで……でも、とっても楽しい夢でした」

P「ほお、今や日本の注目アイドルたるあずささんよりもかわいいアイドルとは、相当ですね
 ぜひ、紹介してもらいたいです」

あずさ「もう、プロデューサーさんったら」

P「あははは、それで、どうだったんです?」

あずさ「ええ、一人はリボンが特徴的で、まさに女の子、という感じのかわいらしい子や……

    金髪にスタイルも抜群で、ダンスも上手でアイドルになるために生まれてきたような子……

    長くてきれいな髪に、スレンダーでキリッとした顔立ち、クールでストイックな印象を受けるかわいい子……」

あずさ「その子達以外にも、最近だと他に大勢……
    私を含めて13人くらいでライブをしている夢も見るんです」

P「13人!ずいぶん大人数でやるんですね、そりゃすごい」

あずさ「その夢の中でときどき、私は竜宮城のお姫様のような衣装を着て、
    トリオユニットを組んでライブをしたりもするんです」

P「さしずめ、プロデューサーはウラシマさんですか?」

あずさ「ファンの方たちがウラシマさんなんじゃないでしょうか?
    時を忘れて歌や舞を楽しんでいただけるようにと、
    プロデューサーさんは考えていたのかもしれません」

P「あはは、それは素敵なユニットですね
 なら、ライブの場所自体が『ハコ』ならぬ『玉手箱』ですか
 年老いるまで歌や舞を楽しんでも、あずささんたちならファンは幸せでしょう」

あずさ(でも……
    あのユニットを担当していたプロデューサーは、
    プロデューサーさんとは別の方が担当していたような……)

あずさ(ビシッとしていて、メガネをかけたかっこいい女性……
    でも、あの人は私たちと一緒にアイドルをやっていたような気も……?)
    
あずさ(プロデューサーさんはどこかに隠れていなかったか、
    夢だからいなかっただけかもしれないけど……)

P「あずささん、どうしました?疲れましたか?」

あずさ「え?あ、いえ……」

あずさ(バカね、どうせ夢なんだから、気にすることもないのに
    忘れましょう、もう)

あずさ「大丈夫です、プロデューサーさん」

P「そうですか?よかった。はい、駅に着きましたよ」

あずさ「あ、本当ですね、送っていただいて、ありがとうございました~」

P「こちらこそ、いい気分転換になりました」

「では、明日は朝から今度のライブのための下見とリハに行きますからね、
 何度も言うようですが、じっくり休んで、明日に備えてください」

あずさ「はい、今日は目覚ましを5こくらい用意しておきます~」

P「それは頼もしい。明日はリハといっても、武道館ですからね
  アイドルなら誰もが一度は憧れる場所です。がんばっていきましょう」

あずさ「はい、でも、プロデューサーさんも、無理はなさらないようにしてくださいね」

P「お気遣いありがとうございます、あずささん」

あずさ「では、また明日……」

P「はい、また明日」

あずさ「……」スタスタ……

P「……」

P「夢、か」

P(思えばずうっと、あずささんは一人でアイドルをしてきたものなあ
  夢は深層心理の表れとも聞くし、もしかしたら寂しいのかもしれないな)

P(プロデューサーのオレがいるといっても、
 同じ悩みを共有できるアイドル仲間がいることとは心持ちが変わってくるだろうし)

P(……そろそろ、アイドルスカウトに手を出してみるかな)

--次の日

--武道館

P「あずささん、すごいじゃないですか!」

あずさ「プロデューサーさん」

P「今のリハ、すごくよかったですよ!本番でもあれができたら、大成功間違いなしです!」

あずさ「ありがとうございます~プロデューサーさん
    私も、今日はビックリするくらい調子が良くって……
    今日の占いはしていませんでしたが、きっと大吉ですね」

P「この後の仕事も、その調子でよろしくお願いしますよ、あずささん!」

スタッフ「プロデューサーさん、よろしいですかー!?」

P「はーい、今行きます!
  では、あずささん、オレはスタッフと打ち合わせに行ってきます
  少しの間、そこの控え室で待機していてください」

あずさ「はい、わかりました~」

P「いいですか、そこのドアが控え室ですよ、奥じゃありません、手前のドアです
 上にも控え室と書いてあるでしょう?」

あずさ「もう、プロデューサーさん、いくら私だって、これでどうやって迷うって言うんですか?」

P「あ、あはは、すみません」

あずさ「私は平気ですから、安心していってきてください」

P「はい、では、いってきます!」スタスタスタ……

あずさ「プロデューサーさんにはああ言ったけど……一応……
    うん、控え室ってちゃんと書いてある」

あずさ(それにしても、さっきのリハのワクワクするような、ゾクゾクするような、
    言葉では言い表せないすごい気持ち、
    まだ残っているわ。本番でもこの気持ちで行きたいわ)

あずさ(なんだか、創作意欲までわいてきちゃった
    この気持ちを忘れないうちに、
    あの歌の歌詞を完成させましょう
    すごくいい曲ができそう)

あずさ「~♪」

あずさ「~♪」ガチャ

P「あ、そうだ、そういえば……!」タッタッタッ!

あずさ「~♪」

P「あずささーん!」

あずさ「~♪」

バタン

 





キイイイイイイイイイイイイイン……





 

ガチャ!

P「あずささん、ちょっと……」

P「……あれ?」

P「あずささん?……どこですか?」

P「今、ここ入ってったよな……」

P「あずささーん!?」

あずさ「? プロデューサーさん?」ガチャ!

あずさ「?」キョロキョロ

あずさ「変ねえ、今、プロデューサーさんに呼ばれたような気がしたんだけど……?」

あずさ「気のせいかしら……?」

あずさ「プロデューサーさーん?」

あずさ「どうやら、気のせいみたいね、戻っていましょう」

あずさ「……ん?」



???「……」スタスタ……

あずさ「え……?」

???「……」スタスタ……

あずさ「あの子、どこかで……? あ!」

あずさ「おでこ……長い髪
    ……そして……

    ウサギのぬいぐるみ……」

あずさ「竜宮城のお姫様みたいな恰好はしていないけど、間違いない
    
    夢に出てきた子!?」

あずさ「もしかして、あれは正夢だったのかしら……?」

あずさ「……
    ごめんなさい、プロデューサーさん
    すぐ、すぐ戻りますから!」

タッタッタッ……

今日はここで終わりです

また今度投下します

?「……」スタスタ……

あずさ「あ、あの!そこのあなた、ちょっと待って……!」タッタッタッ

警備員A「おっと!あなたこそ待っていただきましょう」

あずさ「え?」

警備員B「困りますねぇ。ここは関係者以外立ち入り禁止なんですよ。勝手に入らないでください」

あずさ「え?え?」

警備員A「ほら、こちらからお戻りになってください」

あずさ「ま、まってください!私、ここの関係者です!」

警備員A「関係者?」

あずさ「私、アイドルの三浦あずさです、今日、今度のライブのために準備に来た……」

警備員B「三浦あずさ……?」

警備員A「聞いたことないな」

あずさ「え?」

警備員A「おまえ、知ってる?」

警備員B「いえ、全然……」

あずさ「え、そ、そんな」

あずさ(Bランクアイドルなら、ほとんど知らない人はいないメジャーなアイドルだってプロデューサーさんも言ってたのに……
    思い上がる気はないけれど、私自身、有名なほうだと思っていたのに
    アイドルには興味のない人たちなのかしら?)

警備員A「超アイドルオタクのお前が知らないなら、最近でたばっかりの新人さんかな?」

あずさ「え?」

警備員B「うーん、新人もけっこうチェックしてるんですけどねえ。オレのチェック忘れか」

警備員B「それか、この人がやっぱりウソをついてるか」

あずさ「そ、そんな、私、本当に……!」

スタッフA「……」スタスタ……

あずさ「あ!スタッフさん!」

スタッフA「?」

あずさ「あの方に聞いてもらえればわかると思います!」

警備員A「ふむ……」

あずさ「スタッフさん!わたしです!三浦あずさです」

スタッフA「三浦あずさ……?」

あずさ「そうです!さっき、私にお弁当を運んでくださいましたよね」

スタッフA「……?どうして、私があなたにお弁当を運ばなければいけないんです?」

あずさ「え?」

スタッフA「申し訳ありませんが急いでいます。初対面のあなたにお弁当を運ぶ余裕もないくらいにね。では」

あずさ「そ、そんな?どうして……」

あずさ「そ、そうだわ!私のプロデューサーさんが、今、スタッフの方と打ち合わせに行ってるんです!
    調べていただければわかると思います!」

警備員B「あのねえ、そろそろいい加減にしとかないと、美人が台無しだよ?」

警備員A「困るんですよねえ、最近のファンは。アイドルに会いに来たんだろうけど、きちんとマナーは守っていただかないと」

あずさ「な……!」

警備員B「それにねえ、ここどこだかわかってます?天下の武道館ですよ。あなたみたいな無名のアイドルが
    たとえ前座にのぼるのだって恐れ多いところなんです」

警備員B「もっと名を売ってから言ってほしいですね、そういうことは。ほかのここまで上り詰めたアイドルたちに失礼でしょ」

あずさ「……」

あずさ(そ、そんな……)

あずさ(いったい、どうしてこんなことに……なにが起こっているの……)

あずさ(プロデューサーさんに会うことができれば、すぐにわかってもらえるのに……)

あずさ(この人たちはなにを言っても信じてもらえなさそうだし……)

あずさ(私、もうどうしたらいいか……)

あずさ(プロデューサーさん……)



??「ごめんなさい、ちょっと、ここ通してもらってもいいかしら」

あずさ「え?」

警備員B「なんだ、キミ……って?え?」

警備員A「あ、あなたは!」

あずさ「さっきの子……?」

警備員A「伊織お嬢様!」」

伊織「そうよ。私は水瀬伊織」

伊織「わかったら通していただけるかしら」

あずさ(水瀬、伊織……それがこの子の名前……)

今日はここまでです
更新遅くてすまんです

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