怜「竜華が亡くなって、もう十年かぁ…」…」 (141)
このssは、怜「ありがとう、竜華」
の続編です
また真面目な話になると思いますが、読んでいただけると幸いです
前スレ http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1379768119
「対局終了~~!!」
「全日本麻雀選手権、見事優勝したのは…」
「昨年度王者、宮永照プロを抑えつけ、1位を500点という僅差で守りきった…」
「園城寺怜プロです!!」
ワー、ワー、ワー
怜「やっ…やったんか、ウチ」
セーラ「怜ィィ。やったな、お前!」
「しかし今大会、終わってみればかなりの接戦でした」
「1位園城寺プロと4位弘世プロの差、わずか2000点!」
「近年稀に見る、素晴らしい試合となりました」
「これには、園城寺プロや宮永プロだけでなく、同卓した江口プロや弘世プロの健闘も讃えなければなりません」
照「おめでとう、園城寺プロ」
菫「ラスこそひいてしまったが、素晴らしい試合だったよ」
怜「宮永プロ…弘世プロ…、こちらこそ、ありがとうな」 グスッ
セーラ「泣くなって、怜。ほら、スマイル、スマイル」 ニッ
怜「…せやな、みんなに顔見せんなんからな」 ニコッ
怜(…竜華)
怜(ウチ、遂にやったで!)
怜(セーラや照破って、日本一や)
怜(竜華との約束、果たしたで!)
~試合後、控え室~
セーラ「改めておめでとう、怜!」
怜「ありがとうな、セーラ」
怜「…なんやいまでも信じられへんわ//」
セーラ「またまた~」 バンバン
照「園城寺さん、おめでとう」
照「正直、オーラスでは捲れると思っていたけど、そのまま逃げられた」
照「今日の園城寺さんは、本当にすごかった」
怜「ありがとうな、照」
怜「でも、いーかげん下の名前で呼んでや。今はウチらしかおらへんし」
怜「照は堅すぎんねん」 ハァ
照「…まだ恥ずかしい//」
怜「えぇ~、菫のことはちゃんと下の名前で呼んどるんに」
菫「まぁまぁ、こいつは意外と恥ずかしいがり屋だから許してやってくれ」
怜「はいはい、わかっとるわ」
菫「しかし、すごい試合だったよ」
菫「私は照と高校からの付き合いだが、こいつがこんな僅差で負けるところは初めて見たよ」
菫「本当におめでとう」
怜「いや~。なんか照れるわ、そんなこと言われると」
セーラ「…照だけにか」 プッ
怜「…なに言ってんの、セーラ」 ハァ
照「………っ!」 ククッ
菫(…必死に笑いこらえてるよ)
怜(なんか、かわええな//)
セーラ「うし、今日は怜の祝勝会やるで~」
菫「ふむ、いいな」
怜「今日寒いし、おでんでも食べたいわ~」
セーラ「よっしゃ、今からおでん屋行くで~」
怜「お~!」
菫「お前もくるだろ、照」
照「…うん、もちろん」
~おでん屋~
ガラガラ
怜「はぁ~、寒い」ブルブル
「いらっしゃい! 4名だね」
セーラ「おぉ。おっちゃん、とりあえず熱燗3つとあったかいお茶頼むわ」
「あいよ」
怜「ごめんなぁ…ウチ、お酒飲めへんから」
セーラ「ええって、気にしとらんわ!」ニッ
菫「人によって向き不向きがあるからな…仕方ないさ」
照「私もビールは苦手」
「あいよ、熱燗とお茶だよ」
怜「あ、すんません」
「ご注文、どうするかい?」
セーラ「せやなぁ…じゃあ俺は大根とこんにゃく!」
菫「私は玉子と牛スジをいただこう」
照「…ちくわぶと白滝」
怜「ウチは餅巾とはんぺんお願いします」
「あいよ……はい、お待ち」
菫「どうもありがとう」
照「美味しいそう」
セーラ「みんな、熱燗とお茶もってな」
怜「お、乾杯するんか」
セーラ「エヘン、エヘン」
セーラ「それじゃ、怜の優勝を祝って…」
カンパーイ!
まだ触りしか書けていませんが、明日用事があるので今日はここまでです
また明日から更新していきます
セーラ「かぁ~、うまいなホンマ」
菫「…親父臭いぞ、江口」
セーラ「おっ、菫が俺にツッコむとは珍しいなぁ」 ニヤニヤ
菫(こいつ、もう酔ってる…)
怜「おっちゃん、ホンマうまいで、ここのおでん」
照「味がよく染みてて美味しい」
「おう、ありがとうよ!」
セーラ「しっかしなぁ、照って話してみると、大分イメージとちゃうなぁ」
照「…そう?」
怜「せや、高校時代は無愛想なやつやなぁ、って思っとったけど…」
セーラ「ホンマはただシャイなだけやもんな!」 ニヤニヤ
照「そ、そんなことない…」
菫「私も、初めてこいつと会った時はそんなイメージを持ったが…」
菫「実際は恥ずかしがり屋で、なんだかほっとけないやつだったよ」 フフッ
照「す、菫まで…やめてよ//」 カァ
セーラ「そーゆーとこ、もっと表面にだせばええんに」
怜「せや! 取材受ける時の営業スマイルより、そっちのほうがずっとエエで」
菫「確かに…正直あのスマイルは、私でも引くぞ」
照「わかってる…でも」
菫「でも?」
照「ファンの人たちがもってる、私のイメージを壊したくない…」
セーラ「へぇ…」
怜(カッコエエこと言うなぁ…)
照「…それに」
セーラ「それに?」
照「…何より私が恥ずかしい//)
菫「おう…」
怜(…やっぱかわええな)
セーラ「話変わるけど、怜」
怜「ん、なんや?」
セーラ「日本一、おめでとう!」
菫「…変わりすぎだろ」
セーラ「おっ、またツッコんだな」 ニヤニヤ
菫「…やれやれ」
怜「そんな、別に改めて言わんでも…」 カァ
セーラ「いやぁ、なんかちょっとな」アハハ
セーラ「…それにな、この時期に日本一になったからな」
セーラ「あいつの代わりに、おめでとう、って言いたくてな」
菫「あいつ?」
怜「…ああ、そっか」
怜「そういや…」
怜「もうすぐ、竜華が亡くなって十年になるんか…」
照「そっか…もう十年経つんだ…」
菫「清水谷竜華…私も覚えているよ」
菫「名門、千里山女子高校で部長と大将を務め、関西随一の平均獲得素点を誇った名選手」
菫「…生きていれば、トッププロ入りは確実だったろうな」
セーラ「あぁ。生きとったら今頃、俺らといっしょにここにおったやろうなぁ」
菫「確か、ガンを患っていたんだったか?」
怜「…せや」
菫「私も是非彼女と一局交えたかったのだが…残念だよ…」
怜「…竜華のおかげで、ウチはプロになれたんや」
怜「竜華には、感謝してもしきれんわ…」
菫「園城寺…」
照「でも…よかったね」
照「十年っていう節目の年に、日本一になれて」
怜「うん、ホンマうれしいわ」
怜「竜華の墓前に、優勝杯持っていけるの」
セーラ「ああ! きっと竜華も喜ぶで!」
怜「…セーラには、会いたくないんとちゃうか、竜華は」
セーラ「はっ!? なんで?」
怜「だってセーラ、あれから女らしい格好、全然しとらんやないか」
セーラ「げっ!?」
菫「確かに…こいつが女らしい格好しているの、一度も見たことがない」
セーラ「うっ!?」
照「約束は、守るべきだと思う」
セーラ「え、ええやろ! 俺がどんな格好しても!//」
怜「必死やな、セーラ」 プフッ
セーラ「う、うるさい!」 カァ
セーラ「も、もうこんな時間やん」
怜(話題変えたか…) ムウ
菫「確かに。 そろそろお開きだな」
セーラ「おっちゃん、お勘定」
「あいよ~」
照「ごちそうさまでした」
怜「また来るわ、絶対」
ガラガラ
怜「うぅ、外寒いなぁ」 ブルブル
照「そうね…」 ブルブル
菫「大阪には帰るのか、二人は?」
セーラ「ああ、竜華の法事もあるからなぁ…」
怜「はよ、竜華に優勝杯見せてやりたいわ」
照「…私も、ついて行っていい?」
怜「えっ?」
照「清水谷さんのお墓に、一度お参りに行きたい」
菫「私も、よければ」
セーラ「…もちろんや! きっと竜華も喜んでくれるで」
セーラ「竜華、アラフォーになった俺ら見て、どう思うやろかなぁ」 ニヤニヤ
怜菫照「「「アラサーだよ(ろ)!!」」」
セーラ「うん、ナイス!」 ビシッ
怜「…アカン、一昔前のギャグにツッコんでもうたわ」 ハァ
菫「やれやれ…」
照(大声だしちゃった…恥ずかしい//)
怜「じゃ、ウチこっちやから…」
菫「ん、そういえばそうだったな」
セーラ「気ぃつけえよ、怜」
照「…風邪ひかないようにね」
怜「うん、ありがとうな」
怜「ほなな~」
テクテク
怜(十年かぁ…)
怜(あっとゆうまやったなぁ…)
怜(…でも、いろんなことあったわ)
怜(セーラや照、菫や洋榎)
怜(ほかにも、いろんな人と戦うことができた)
怜(そんな人たちの中で一番になったなんて…)
怜(正直、信じられへんわ)
怜(これも、竜華のおかげやなぁ)
怜(ありがとうな、竜華!)
怜(優勝杯、持っていくから待っとってな!)
~ ♪~♪
怜(っ! 電話…菫からや)
怜(何やろ?) ピッ
怜「もしもし、どないしたん?」
菫「ハァ…ハァ…」
怜「なんや菫、えらい息荒いなぁ」
菫「ハァ…ハァ…、園城寺」
菫「江口が…江口が…ッ!」
怜「セーラ? セーラがどないしたん?」
菫「江口が…ッ!」
菫「江口が…江口が車に轢かれた…ッ!」
怜「…は!?」
今日はここまでです
~都内の病院~
タッタッタッ
怜「ハァ…ハァ…」
怜「菫っ!」
菫「ッ! 来たか、園城寺」
怜「ハァ…ハァ… ゴホッゴホッ」
照「だ、大丈夫?」
怜「大丈夫や、それより」
怜「なんで…」
怜「なんでセーラが車に…ッ!」
照「落ち着いて、今説明する…」
~~~~~~~
照「園城寺さんと別れた後、私たちは駅に向かって歩いていた」
照「そしたら、目の前を男の子が歩いていた。多分、塾帰りだったんだと思う」
照「その子はニット帽をしていた」
照「江口さんは『こんな夜にひとりで危ないなぁ』って言ってた」
照「その瞬間、いきなり風が吹いたの」
照「そして、その子のニット帽が、風に煽られて道路へ…」
照「その子は、ニット帽を拾おうと道路に」
照「その直後、車が迫ってきた」
照「ブレーキを掛けても、間に合わない距離だった」
照「轢かれる、私はそう思って目をつぶった」
照「その時、江口さんが道路に飛び出したの。とっさの判断だったと思う」
照「江口さんは、その子の前に躍り出た」
照「そして…その子を庇う形で車に…」
怜「……」
菫「…すまない、園城寺」
菫「私たちが、そばにいながら…」
怜「…ええって、別に菫や照に責任なんかない」
照「園城寺さん…」
怜「セーラもセーラやな」
怜「何の考えもなしに道路に飛び出すなんて…アホやん」
怜「でも…」
怜「そこが…セーラらしいところやなぁ」
怜「男気あって、カッコいいわ」
怜「…女やけど」
菫「園城寺…」
照「……」
怜(セーラ…)
怜(アンタが、こんなことで死ぬわけないよな)
怜(……)
怜(…頼むから)
怜(頼むから、無事でおってな…) ギュ
~数日後 大阪、浩子の家~
浩子「で、どうやったんや?」
泉『ええ、お店のほうはバッチリ予約できました!』
浩子「そうか、そりゃよかったわ~」
浩子「悪いなぁ、泉。ウチの代わりに幹事ひきうけてもろうて…」
泉『いえいえ、先輩は仕事忙しいんですし…』
泉『それに、先輩のために働くんも後輩の大事な仕事ですよ』
浩子「泉…」
泉『せっかく園城寺先輩と江口先輩が帰ってくるんです』
泉『同窓会の準備は抜かりなくしないと』
浩子「せやなぁ…」
浩子「しかしすごかったな、園城寺先輩」
泉『ええ、日本一ですもんね!』
泉『しかも、清水谷先輩が亡くなって十年って言うこの年に…』
浩子「…もしかしたら、清水谷先輩の加護があったんかもなぁ…」
泉『そうかも、しれませんねぇ…』
浩子「まぁとりあえず、準備ありがとな」
泉『いえいえ』
浩子「ついでに…当日、余興でなんかしてもらおうかなぁ」 ニヤリ
泉『えぇ!? 私がですか!?』
浩子「じょーだんや、冗談。 …多分な」
泉『ちょっ、船久保センパ…』
泉『……』
泉『……えっ?』
浩子「ん、どうしたん?」
泉『…せ、先輩」
泉『テレビ…つけてみてください』
カタカタ
浩子「は? テレビか…」 ピッ
浩子「……ッ!」
『今日午後○○時、麻雀プロとして知られる江口セーラさんが交通事故による全身打撲のため、都内の病院で亡くなられたことがわかりました』
『情報によると、江口さんは先日夜、道路に飛び出だした塾帰りの児童を守るため、自ら道路に躍り出て子供を庇い、車に轢かれました』
『その後病院に運ばれ、集中治療室にて懸命の治療が行われましたが、その甲斐虚しく、今日の午後、息を引き取られたそうです』
『江口さんは麻雀において、そのプレイングと性格から、多くのファンの間で人気を博していました』
『先日行われた全日本選手権では好成績を修め、関係者からはその死を惜しむ声が……』
浩子「う、嘘やろ…ッ!?」 ガタッ
今日はここまでです
明日はもしかしたら更新できないかもしれません
~三日後、大阪、葬祭場~
浩子「江口センパイ…」 グスッ
泉「子供庇って死ぬなんて、ヒック、カッコよ過ぎますよ…」
泉「…うぅ!」 ポロポロ
雅枝「おぉ、浩子… それに泉も…」
泉「監督…それに洋榎さんに絹恵さんも…」
絹恵「こんにちは、二条さん。それに浩子も」
洋榎「……」
浩子「…洋榎?」
洋榎「……」
泉「洋榎さん?」
雅枝「…洋榎、ずっとああなんや」
泉「えっ…」
絹恵「お姉ちゃん、セーラさんの訃報聞いてからずっと…」
洋榎「……」
浩子(…無理もないか)
泉(ライバルやったからなぁ、江口先輩は…洋榎さんにとって…)
洋榎「…なに」 ボソ
絹恵「…お姉ちゃん?」
洋榎「なに勝手に死んどるんよ、セーラのやつ!」
洋榎「ウチとの決着も、まだついとらんちゅーんに…ッ!」 ギリッ
雅枝「洋榎…」
洋榎「第一、子供庇って死ぬなんて、アホやで」
洋榎「子供が助かっても、お前が死んだら…」
洋榎「…元も子もないやないかッ!」ウル
浩子「……」 グスッ
洋榎「…クソッ、セーラ!」
洋榎「戻ってこいや…セーラッ!」
洋榎「くっ…ふぐっ、ヒック」 ポロポロ
絹恵「お姉ちゃん…」 グスッ
ザワザワ
浩子「ん、なんや?」
泉「あっ!? あれって…」
絹恵「弘世プロに宮永照プロ…」
雅枝「それに…」
洋榎「…園城寺」
菫「愛宕…、それに妹さんも…」
照「それと、千里山の監督さんにOGのみなさん…ですよね」
浩子「はい、そうです」
菫「……」
菫「…この度のことは、正直、責任を感じている…」
泉「な、何言うてるんですか、そんな…」
照「…菫の言う通りです」
照「私たちが側にいながら、こんなことになってしまって…」
照「本当に、申し訳ありません」 スッ
浩子「……ッ!」
絹恵「み、宮永プロ…」
雅枝「…頭上げぇや、宮永プロ」
照「えっ…!?」
雅枝「あんたらに、セーラを死なせてしまった責任なんかあらへん」
照「で、でも…」
雅枝「あいつが道路に飛び出したんは、あくまであいつ自身の判断や」
雅枝「それに、例えあんたらがセーラを止めても、聞かんかったと思うで」
雅枝「セーラは…そうゆうやつなんや…」 グスッ
照「……ッ!」 フルフル
怜「……」
泉「先輩…」
浩子「…お久しぶりです」
怜「…久しぶりやな、船Q、泉」
怜「…元気にしとったか?」
泉「えぇ…もちろんです…」
怜「そうか…」
浩子(先輩、あからさまにやつれとるな…)
浩子(…無理もないか)
泉(清水谷先輩が亡くなられてから10年…)
泉(江口先輩は…ずっと園城寺先輩のそばにおった…)
泉(園城寺先輩を、寂しがらせんように)
泉(江口先輩も、清水谷先輩をなくして、きっと辛かったはずや)
泉(それでも、笑顔で園城寺先輩のそばにいた…)
泉(園城寺先輩も、そのことをわかっていたはず…)
浩子(その、共に痛みを分かち合える、大事な親友を失ったんや…)
浩子(ショックをうけんわけ、ないわな…)
絹恵「大丈夫ですか、園城寺さん…」
雅枝「お前…なんか足元おぼついとらんで」
怜「…大丈夫や、絹ちゃん、監督」 フラフラ
怜「今日はセーラの通夜なんですし…」
雅枝「……」
ーーーーーーーーーーーーーー
~通夜も終わり~
怜「……」
浩子(先輩、泣きもせんとずっと黙ったままやったな…)
泉(ホンマに大丈夫やろか…)
怜「……」
怜「…なぁ船Q」
浩子「…なんです、先輩?」
怜「ウチ、疑問に思うことがあるんよ…」
泉「…?」
怜「……」
怜「…なんで」
怜「なんでセーラや竜華が、ウチより先に死ななあかんかったんやろなぁ…って」
浩子「…えっ?」
泉「…ッ!」
中途半端ですが、今日はここまでです
怜「竜華がガンやってわかったとき…」
怜「なんであんな元気な竜華がガンになったんやろなぁ、って思うたんよ」
怜「ガンやったら…もともと病弱なウチがなればよかったんに」
怜「そう思えて、仕方なかったんや…」
菫「園城寺…」
怜「今やってそうや」
怜「セーラなんて、絶対ウチより長生きしそうやったんに…」
怜「それなんに、交通事故で…」
怜「そして…病弱なウチが、一人生き残っとる…」
照「……」
怜「…まるで」
怜「まるで、二人がウチの代わりに死んだみたいや…」
洋榎「…はっ!?」
怜「竜華は遺言で、ウチの分まで生きてなぁ、って言ってた」
怜「最初はそうしようと思ったわ」
怜「でも、だんだん…」
怜「ウチは、竜華の命を糧にして生きとる」
怜「…そう思えるようになってきたんよ」
怜「セーラかてそうや」
怜「長生きするはずやったセーラが、こんなことで…」
絹恵「……」
怜「…死神」 ボソ
雅枝「…ッ?」
怜「親しい人の命を糧に生きる…死神」
怜「ウチは、まるで死神みたいやなぁ…」 フフッ
洋榎「園城寺…お前ッ!」 ギリッ
バチン
洋榎「…ッ!?」
怜「…ッ!?」
照「……」
菫「て、照!?」
照「…ふざけないで、怜」
菫(ッ! あいつ、園城寺のことを名前で…)
照「あなた、自分の所為で二人が死んだと思ってるの?」
照「そんなの…怜の思い込みに過ぎない」
怜「……」
照「それに…」
照「怜は、自分が二人の代わりに死ねばよかったって思ってるんじゃないの?」
怜「……ッ!」
照「二人は…清水谷さんや江口さんは、そんなこと思ってないはず」
照「…むしろ」
照「むしろ二人は、あなたに自分達よりも長生きして欲しいと思っていたはず」
照「…いや、絶対にそう思ってい
た」
洋榎「宮永…」
照「…あなたは」
照「あなたは、その二人の気持ちを、冒涜するって言うの」
照「それは…」
照「…それは、間違ってる!」
怜「……」
怜「…うるさい」ボソ
照「…えっ?」
怜「…照に」
怜「照に…ウチの何がわかるっちゅうんや!」
照「…ッ!」 ビクッ
怜「二人が思っとったこと…」
怜「ウチが…ウチが気づかんわけがないやろが!」
照「……」
怜「二人はいつも、ウチのこと気遣ってくれた」
怜「竜華は、ウチのために膝枕をしてくれた…」
怜「セーラは、プロになってからもウチの面倒をみてくれた…」
怜「そんな二人の優しさには、いつも感謝しとった…」
怜「…やからこそ」
怜「やからこそ、二人には病弱なウチよりも幸せになってほしかった!」
怜「いつ、病気で倒れるかもわからんウチよりも…」
雅枝「怜…」
怜「それなんに…」
怜「なんで、なんで二人とも死んでまうんよ…」
怜「なんでウチよりも先に逝ってまうんよ…ッ!」
怜「なんで…」
怜「なんで…ウチ一人だけ残されてしまうんよ…」 ウルッ
照「…ッ!」
怜「…セーラぁ」
怜「…りゅうかぁ」
怜「ウチ…ウチ…ッ!」
怜「…うぅ」ポロポロ
怜「うわぁぁぁぁあぁぁぁあぁ!!」
照「……」 フルフル
浩子「先輩…」 グスッ
泉「園城寺先輩…」 ヒック
ウワァァァァァァァァァァァ
今日はここまでです
明日は休みなのでいつもよりは多く投稿できると思います
~数週間後 東京~
照「園城寺さんは…今日も休みなの?」
菫「ああ、しばらく休暇をとるって」
菫「今は大会もないしな、ゆっくり心を落ち着かせたいんだろう…」
照「…そう」
照「……」
菫「…なぁ、照」
照「なに?」
菫「お前…なんであの時、あんなことを…」
照「えっ?」
菫「その…なんというか、お前らしくない行動だったからな」
照「……」
照「…自分でも、わからない」
菫「はっ!?」
照「なんでかわからないけど、勝手に体が動いたの」
照「それで、気づいたら園城寺さんをはたいて…名前でよんで…」
照「それで…ああなった」
菫「…そうか」
照「きっと…ほっとけなくなったからだと思う」
照「園城寺さんのこと…」
菫(…照)
菫「…重なったのか、妹さんと」
照「…ッ!」
菫「園城寺の姿と、妹さんの姿が」
照「……」
照「…ええ」
照「10年前のインターハイ…」
照「わたしは、そこで数年ぶりに妹と…咲と再会した」
菫「ああ、知ってるよ」
菫「確か…家庭の問題があって、離れ離れになっていたんだよな」
照「うん、だけどそれだけじゃない」
照「私たち姉妹の間には、ある確執があった」
照「それで…インターハイで会うまで、私は咲と音信不通だった」
菫「そう…だったのか」
照「咲は…私とどうにか仲直りしたかった」
照「だからこそ、私と会うためにインターハイまでやってきた…」
照「…だけど」
照「私は…そこまでして会いにきた妹と、会おうとしなかった」
照「いくら訪ねてきても、そのたびに追い払った」
菫「……」
照「…後で、大人気なかったと後悔したわ」
照「でも、こっちから会おうと思った時には、咲は長野に帰った後だった…」
照「長野の実家に行っても、引っ越してしまったらしくて…会えなかった」
照「咲の通う学校にも行ったけど、ダメだった」
照「それ以来、咲とは一度も会っていない」
菫「……」
照「それから数年、プロの世界に入って…」
照「園城寺さんと再会した」
照「インハイで同卓した時から思っていたけど」
照「園城寺さんは、何処か妹と似ていた」
照「少し甘えん坊な姿に、ひたむきに頑張る姿…」
照「それを見て、いつのまにか咲の姿を、園城寺さんに重ねてしまった」
照「だからこそあの時、園城寺さんをほっとけなかった」
照「…姉の本能かな」
照「まぁ、私の勝手な妄想に過ぎないけど…」 フフッ
菫「照…」
照「でも今は、正直後悔してる」
照「園城寺さんに、あんなこと言ったこと…」
菫「……」
照「私、園城寺さんのこと、ひとつも考えてなかった」
照「大切な親友を二人も失って…」
照「一番つらいのは…園城寺さんなのに」
照「私、園城寺さんのことをさらに傷つけてしまった…」
照「私のせいで…」
菫「……」
菫「…照」
照「なに、菫」
菫「確かに、お前の言葉は園城寺を傷つけたのかもしれない」
照「…そうよね」
菫「…だが」
菫「お前の、園城寺のことを心配しているという気持ちは、ちゃんと伝わったと思うぞ」
照「…ッ!」
菫「あいつだって、わかっているさ」
菫「お前が心配してくれていたことくらい」
菫「だから、そう落ちこむな」
照「…菫」
菫「よし、いまから園城寺の所へ行くぞ」
照「え!?」
菫「あいつのことだ、きっと部屋にこもってばかりいるだろう」
菫「気晴らしに、どこか連れていってやろうじゃないか」
照「…うん」
照「…菫」
菫「なんだ?」
照「…ありがとう」
菫「ふっ…気にするな、照」
菫「私だって、園城寺が心配だからな」
~怜の家~
怜(……)
怜(……)
怜(…ウチは)
怜(…いま、ひとりぼっちや)
怜(前やったら…)
怜(竜華が膝枕してくれて…)
怜(セーラがその横で、面白いこと言っとった)
怜(それが…いつものことやった)
怜(…でも)
怜(もう、その二人はおらへん)
怜(……)
怜(…せっかく)
怜(麻雀で、日本一になったんに…)
怜(一緒に喜んでくれる人も…もうおらへん…)
怜(……) グスッ
怜「…りゅうかぁ」
怜「…セーラぁ」
怜「…ウチ、寂しいよ」 ウルッ
怜「ひとりぼっちなんて、そんなん寂しすぎるわ…」
怜「…ウチは」
怜「二人がおるから、いままで頑張れたんに…」
怜「ウチは…」
怜「これから…どうやって生きていけばいいんよ…」
怜「…うぅ」 ポロポロ
怜「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
怜「…グスッ…ヒック…」
怜「セーラぁぁぁぁ!、りゅうかぁぁぁぁぁ!」
ウワァァァァァァァァ!!
ーーーーーーーーーーーーーーーー
怜「…グスッ」
怜「……」
怜「……」
怜「…竜華」
怜「…セーラ」
怜「……」
怜「…いま」
怜「いま…会いにいくからな…」
ゴトッ、ビリビリ
~数時間後、怜の家~
照「ここね…」
菫「ああ、この借家だ」
洋榎「なんや、あいつ一戸建ての借家かいな。ぜいたくやなぁ」
照「……」
菫「…愛宕」
照「…いつの間にいたの」
洋榎「へ…なんや気づいとらんだんか!?」
菫「…すまない」
照「まったく気がつかなかった」
洋榎「なんでやねん。ウチ、オーラがひとの10倍くらいでとんのになぁ」 ハァ
菫「…で、なんでいるんだ?」
洋榎「決まっとるやろが! ウチも園城寺のこと心配やからきたんやろ」
照「…そうだったの」
洋榎「当たり前や!」
洋榎「同じ大阪出身なんや。心配せんわけないやろうが」 ポリポリ
菫「愛宕…」
洋榎「ほら、早よいくで。ウチ、この後予定あるし」
照「うん…わかった」
ピンポーン
菫「ん? 反応がないな」
洋榎「はぁー、なにやっとんねんアイツ」
洋榎「おーい、園城寺~」 ゴンゴン
菫「おい、やめろ。 ドアが壊れる」
洋榎「んなこと言ったってなぁ」
照「…あれ」 ガチャン
洋榎「なんや、鍵開いとるんかいな」
菫「…仕方ない、入ってみるか」
ガチャ
照「…お邪魔します」
洋榎「邪魔するで~」
菫「失礼する」
…シーン
菫「入っても、反応なしか…」
洋榎「ったく…昼間から寝とるんか、アイツ」
照「…?」
菫「ん、どうした照?」
照「……」 クンクン
照「…ねぇ」
照「なんだか…変な臭いしない?」
菫「…臭い?」 クンクン
洋榎「…ホンマや、なんやこの臭い?」
菫「……」 クンクン
菫「…ッ!」
菫「この臭い…まさか!」
洋榎「なんや、どうしたんや?」
菫「…照!」
菫「この臭い、どの部屋からするんだ?」
照「えっ…多分奥の部屋から…」
菫「…わかった!」 ダッ
洋榎「ちょっ!? なんなんや弘世」
菫「…園城寺が」
菫「園城寺が危ないっ!」
照「ッ!?」
洋榎「…はっ!?」
ダッダッダッ
ガチャ、バタン
菫「…うっ!」 ゴホッゴホッ
洋榎「な、なんやこれ!?」 ゴホッゴホッ
照「ッ! あれって…練炭!?」 ゴホッゴホッ
洋榎「まさか…練炭自殺かいな!?」
菫「愛宕! 今すぐ窓を開けるんだ、早く!」 ゴホッゴホッ
洋榎「お、おう! わかった!」
ガチャ、ガチャ
菫「照! 園城寺を探すぞ!」
照「うん!」 ゴホッゴホッ
照(……)
照(どこ…園城寺さん)
菫「…ッ! いたぞ!」
照「園城寺さん!」
怜「……」 グッタリ
照「す、菫…」
菫「……」 スッ
菫「…大丈夫だ、まだ脈はある」
照「…本当に!?」 ゴホッゴホッ
菫「愛宕! 救急車を…」
洋榎「いま呼んどるわ!」 ピッ、ピッ
菫「よし…照、ここから園城寺を
運びだすぞ!」 ガシッ
照「わかった!」 ガシッ
照(園城寺さん…)
照(しっかりして、園城寺さん!)
ピーポーピーポー
すいません、寝落ちしてました
~病院~
ガラガラ
洋榎「…弘世!」
照「菫、園城寺さんの様子は…?」
菫「……」
洋榎「お、おい、なんとか言えや」
菫「……」
菫「かなり…危険な状態だ…」
菫「…今夜が峠らしい」
照「そ、そんな…」
洋榎「クソッ、園城寺のやつ!」
洋榎「自殺なんて、アホなことしやがって…ッ!」
照「私の…せい」ボソ
菫「ッ!? 照?」
照「私があの時、あんな事を言わなければ…」
照「私が…」
照「私が…園城寺さんを追い詰めてしまった…ッ!」
洋榎「宮永…」
菫「…落ち着け、照」
菫「今は…今は落ち込んでいる時じゃない!」
菫「それより…園城寺の無事を祈ろう」
照「…うん」
照(…園城寺さん!) ギュ
続きは夜に書きます
もうしばらくしたら続きを上げたいと思います
が、ここからしばらく、かなりオカルト要素を含む描写となります
SOAと言いたくなるとは思いますが、そこのところはご了承下さい
ーーーーーーーーーーーーーーー
怜(……)
怜(…どこや、ここ?)
怜(ウチは…自分の家で練炭自殺しようとして…)
怜(……)
怜(真っ暗で…なんもないとこやな…)
怜(……)
怜(…前にも)
怜(前にも、ここに来たような…)
怜(……)
怜(…そうや)
怜(…あん時や)
怜(高校時代、病気で倒れた時…)
怜(あん時も…こんな感じやった)
怜(前とは…ちょっと違う気がするけど…)
怜(…つまり)
怜(…ここは、生と死の狭間ってことか)
怜(……)
怜(…あん時は)
怜(竜華やセーラと別れたくない一心で、目を覚ました…)
怜(それで、一巡先を見る能力に目覚めた…)
怜(…でも)
怜(…今は、竜華もセーラも、もうおらへん)
怜(……)
怜(…このまま)
怜(このまま…死んでもいいかなぁ)
怜(そしたら…また竜華やセーラと会えるかもしれへんし…)
トキィィィィィィ
怜(ん、なんや…?)
ドコヤー、トキィ
怜(誰か…ウチのこと呼んどるわ)
オーイ、トキィ
怜(フフッ、ついに幻聴まで聞こえてきたか…)
怜(もう…死ぬ直前やなぁ)
ヘンジセェー、トキィ
怜(でも、なんやろ?)
怜(この声…どっかで…)
トキィィィ
怜(…ッ!)
怜(…まさか、ありえへん)
ドコヤー
怜(この声…この声は…ッ!)
ッ! イタデー、アソコニ
怜「あ、ああ…!」
竜華「怜ぃぃぃぃぃぃ!」 ダッダッダッ
セーラ「やっと見つけたでー!」 ダッダッダッ
怜「…ッ!!」
怜「…セーラぁ!」
怜「…りゅうかぁ!」
ガバッ
セーラ「おわ!?」
竜華「ちょっ!? 怜」
怜「グスッ…りゅうかぁ、セーラぁ」
怜「会いたかった…ヒック…会いたかった…!」
竜華「怜…」
セーラ「まったく、怜は相変わらず泣き虫やなぁ」
怜「グスッ…ヒック…」
竜華「落ち着いたか、怜?」
怜「……」 コクリ
セーラ「…なぁ、怜」
怜「…?」
セーラ「お前…ここが何処か、わかるか?」
怜「…うん」
怜「…ここは、生と死の狭間なんやろ?」
セーラ「…せや」
セーラ「さしずめ、三途の川の中間地点、って感じやな」
セーラ「ほら、あそことあそこにラインが見えるやろ」
怜「ライン? …ホンマや、さっきまで何もなかったんに」
セーラ「左に見えるのが、現世との境界線、右に見えるのがあの世との境界線や」
セーラ「左を越えれば、現世に戻れるし、右を越えれば、あの世行きや」
怜「ふーん」
怜「……」
怜「なぁ、ふたりとも」
竜華「なんや、怜?」
怜「ふたりは、なんでここにおるん?」
竜華「ん、ウチらか?」
竜華「ウチらはもう死んどるからな、あっちからここには簡単に来れるんよ」
竜華「まぁ…さすがにここから現世には行けへんけど」 アハハ
怜「…いや、そうじゃなくて」
怜「ウチが聞いとるのは…」
怜「ふたりがここに来た理由や」
竜華「あっ!? そうやった…、ゴメン怜」
怜(死んでも、天然ぶりは相変わらずやな) クスッ
セーラ「俺らがここに来たんは…」
竜華「…怜を説得するためや」
怜「…説得?」
今日はここまでです
竜華「…話の前にな、怜」
竜華「日本一、ホンマおめでとう!」
怜「ッ! 竜華…」
怜「…見とったんか?」
竜華「もちろんや!」
竜華「あっちでは、いっつも怜のこと見守っとったんやで!」
怜「…ずっとかいな、なんか怖いなぁ」
竜華「えへへ…//」
竜華「ホンマ感動したで、怜が優勝した時は」
竜華「…それに、嬉しかったで」
竜華「ウチとの約束を守ってくれて!」
怜「竜華…ありがと」
怜「…まさか、本人に報告できるとは、夢にも思わんだわ」 アハハ
竜華「…でもな、怜」
竜華「悲しいこともあるんよ…」
怜「……?」
竜華「…なんで」
竜華「…なんで自殺しようなんて考えたんよ?」
怜「…ッ!」
竜華「…ウチ、ホンマびっくりしたんや」
竜華「アンタが…練炭使って自殺しようとする所を見た時…」
怜「……」
竜華「…なんでや!」
竜華「…なんで自殺なんてアホなこと…ッ!」
怜「……」
セーラ「…俺らが」
セーラ「…俺らが、怜より先に死んでしもうたからか?」
怜「……」
怜「…そうや」
竜華「…ッ!」
怜「…竜華が死んだ時」
怜「…しばらくは、竜華の分まで生きようと思えたんよ」
怜「…やけど、やっぱ無理やった」
怜「どうしても、竜華の命を糧にして自分は生きとるって、思えてしまったんよ」
竜華「怜…」
怜「…その度に辛くなった」
怜「…やけど、そんなウチをセーラはいつも励ましてくれた」
怜「…セーラのおかげで、ウチは、前を向くことができた」
怜「…そのセーラも」
怜「…交通事故で死んでもうた」
セーラ「…正直、自分でもビックリやったわ。まさか、死んでまうなんて」
セーラ「…まぁ、目の前におる子供を、ほっとくこともできひんかったからな」
怜「…そんなんわかっとる」
怜「…それでも辛かったんや、セーラが死んだ時」
怜「…そして考えたんよ」
怜「なんで病弱なウチより、健全な二人が先に死んでまうんよ、って」
怜「普通は、ウチの方が先に死ぬべきなんに…」
セーラ「…なに言うとんねん」
竜華「そんなん、関係あらへん!」
続きは夜に更新します
怜「…それにな」
セーラ「…まだなんかあるんか?」
怜「…ウチな」
怜「…生きる理由を、失くしてもうたんや」
セーラ「…は!?」
怜「…いままで」
怜「…いままで、ウチの前にはいつも、竜華やセーラがいた」
怜「そしていつも、二人の背中を追いかけていた」
怜「二人がおるから、ウチ、頑張れたんや」
怜「高校の時から、ずっと…」
怜「でも…二人はもう、この世におらへん」
怜「目標となる二人が、もうおらへん…」
怜「ウチは…ウチはこれからどうすればええんよ…」
怜「これから、何のために生きればええんよ…って」
怜「そう思うと、たまらなく悲しくて、寂しくて…」
怜「…そしたら、二人のおらん世界なんか、どうでもよくなって…」
怜「…やから、自殺しようと思うたんや」
セーラ「…ッ!」
竜華「……」 ブルブル
バチン、バチン
怜「…へっ?」 ヒリヒリ
竜華「……」
セーラ「……」
怜「な、なにすんねんっ!」
竜華「…アホか」
セーラ「お前…そんな理由で自殺なんか…」
怜「…なんやて」 ギリッ
怜「ウチ…ウチがどんだけ苦しんどったんか…二人にはわかるんか!」
怜「二人がおらんくなったんが、どんなに悲しいことやったんか…」
怜「あんたらに、わかるんか!」 ウルッ
セーラ「……」
竜華「…なぁ、怜」
怜「…なんや?」
竜華「怜は、ウチらに追いつくために麻雀しとったんやよな」
怜「…せや」
竜華「それやったら、怜」
竜華「もうアンタはウチらに追いついとる。いや…追い越しとるくらいや」
怜「…ッ!」
竜華「現にあんた、日本一になっとるやないか」
竜華「怜がウチらを追いかける必要なんか、もうないんよ」
怜「そんなこと…」
セーラ「それに、怜」
セーラ「お前、自分がひとりぼっちやと思っとるんやないか?」
怜「…ッ!」
セーラ「そんなことはあらへん」
セーラ「宮永や弘世、それに洋榎やって」
セーラ「お前にはもう、俺ら以外にも、たくさんの仲間がおる」
怜「……」
セーラ「それだけやない」
怜「…えっ?」
セーラ「お前の麻雀みてくれる、フ
ァンの人もたくさんおるやないか」
セーラ「その中には、お前に追いつけるように頑張ろうって思う人もおるはずや」
セーラ「…昔のお前みたいにな」
怜「…ッ!」
セーラ「もう、お前はひとりやない」
セーラ「仲間やファン、それに、お前を慕ってくれる人もおるんや」
セーラ「…それでも、俺らと一緒におりたい、って言うんか?」
怜「……」
竜華「…ウチらはまだ、怜に死んで欲しくないんよ」
セーラ「お前には生きて、麻雀を続けてほしいんや」
怜「竜華…、セーラ…」
怜「……」
竜華「…とまぁ、これでウチらからの説得は終わりや」
怜「…へっ!? どうゆう…」
セーラ「…俺らは、お前に生きて欲しいと思っとる」
セーラ「せやけど、それを決めるのは、あくまで怜自身や」
竜華「…怜がこのままウチらと一緒におりたいって言うんなら、ウチらは止めへん」
竜華「…それが、怜の決めたことやらかな」
怜「……」
竜華「怜、アンタはどっちがいいんや?」
竜華「左にいって、現世で麻雀をうち続けるか…」
竜華「右にいって、ウチらと一緒にあの世で暮らすか…」
セーラ「ちなみに、ここにずっとおるって選択肢はないからな」
セーラ「二者択一、必ずどっちか選ばなあかんで」
怜「……」
怜(ウチは…)
怜(ウチは…竜華やセーラと一緒におりたい)
怜(…でも)
怜(二人の言うとおり、ウチはもう一人やない)
怜(麻雀仲間や、ウチを応援してくれるたくさんファンの人たちもいる…)
怜(…どうすればいいんや)
怜(…ウチは)
ーーーーーーーーーーーーーーーー
怜(……)
怜(……)
竜華(怜…)
セーラ(大分悩んどるな…)
怜「……」
怜「…決めた」
竜華「…ッ!」
セーラ「そうか、じゃあ怜」
セーラ「お前…どっちを選ぶんや?」
怜「…ウチは」
怜「ウチは…っ!」
今日はここまでです
怜「ウチは…現世に戻る」
竜華「…怜」
怜「…二人の言う通りや」
怜「ウチはもう、一人やない」
怜「洋榎や菫、それに照」
怜「プロになって、新しい仲間も増えた」
怜「それになにより、こんなウチを応援してくれるファンの人もたくさんおる」
怜「…それなのにウチ、自殺なんか考えて…」
怜「…きっと、二人に甘えたかっただけやな」
怜「このまま死んだら、その人たちに申し訳ないわ」
怜「やから…ウチは生きる!」
セーラ「おう、それでこそ、怜や!」
怜「ありがとな、二人とも。大事なこと気づかせてくれて」
竜華「怜…よかった」 グス
怜「…なぁ、竜華」
竜華「…わかっとるよ、怜」 ニコッ
竜華「現世戻る前に、膝枕やろ」
竜華「ほら、おいで」 ポンポン
怜「…さすが竜華や、お見通しやなぁ」 ゴロン
怜「~♪」
セーラ「やれやれ、この光景も久しぶりやなぁ」
竜華「どや、10年ぶりの膝枕は?」
怜「…やっぱええわ。もう現世に戻りたくなくなってきたわ~」
竜華「えぇ!? ちょっと怜!」
怜「…フフッ、冗談やって」
セーラ(…冗談に聞こえへんかったな)
セーラ「そや、怜」
怜「…ん、なんや?」
セーラ「あっち戻ったら、照に喝入れといてくれんか?」
怜「…へ、なんで?」
セーラ「実はな…」
カクカクシカジカ
怜「…そうやったんか、照が」
セーラ「やからな、お前の口からきっちり言って欲しいんや」
セーラ「ちゃんと妹と仲直りせえって」
怜「うん、わかったわ」
怜「…名残り惜しいけど、そろそろ行くわ」 ムクッ
セーラ「…そうか」
竜華「なぁ、怜」
竜華「これだけは、忘れんといて欲しいんや」
怜「…?」
竜華「確かにウチらは、もう死んでしもうとる」
竜華「けどな…」
竜華「ウチらの心は、ちゃんと怜のそばにおる」
怜「……ッ!」
セーラ「竜華の言う通りや」
セーラ「死んどっても関係ない、俺らの心はずっと怜と一緒や!」
竜華「やから、これからも挫けんと頑張ってや!」
怜「竜華…」 グスッ
怜「…ありがと」 ダキッ
竜華「…ええってええって」 ダキッ
怜「じゃあ、そろそろ…」
セーラ「おう! 俺たちも、こっちからずっと怜のこと応援しとるからな!」
竜華「無理せんと頑張ってや、怜!」
怜「うん!」
怜「セーラ…、竜華…」
怜「それじゃあ、またな!」
パァァァァァァ
~病院~
怜「………」
怜「……んっ」 パチリ
菫「…ッ! 園城寺!!」
洋榎「園城寺っ!」
怜「菫…洋榎…」
怜「…どこや、ここ?」
洋榎「病院に決まっとるやろが、ドアホ!」
菫「お前…意識不明だったんだぞ、二日間も」
怜「…そうなんか、二日も」
洋榎「園城寺! お前、練炭自殺なんてアホなことしやがって…!」
洋榎「ホンマ心配しとったんやぞ、この野郎っ!」 グスッ
怜「…申し訳ないわ、迷惑かけて」
洋榎「アホ! 申し訳ないですんだら、警察なんかいらへんわ!」 ヒック
菫「とにかくよかったよ、意識が戻って」 グスッ
怜「…ん?」
怜「なぁ、照は…?」
洋榎「宮永か? 宮永ならそこに…」
照「スー…スー…」 Zzz
怜「…寝とるやん」
菫「…無理もないさ」
菫「こいつ、昨日も一昨日も、一睡もせずお前の側にいたんだ」
菫「…きっと、責任を感じていたんだろう」
怜(照…)
照「…んん」 ムクッ
照「…ッ!」
照「お、園城寺さん…」
怜「…おはよう、照」
照「……」 ポロポロ
怜「ちょっ!? 照」
照「よかった…」 グスッ
照「園城寺さんが、ヒック、目を覚まして…っ!」
照「本当に…」 グスッ
怜「…ごめんな、心配かけて」
怜「…ウチな、夢見とったわ」
菫「…夢?」
怜「うん。 三途の川におる夢や」
洋榎「…なんつー縁起の悪い夢や」
怜「そこでな、竜華とセーラに会ったんや」
照「…ッ!」
怜「二人はな、教えくれたんや。ウチはもう一人やないって」
怜「…みんなや、ウチを応援してくれるファンがいるって」
怜「その言葉のおかげで、ウチは生きようって思ったんや」
菫「…そうか」
洋榎「ったく、あいつら。 死んでも過保護なやつらやな」
怜「それともうひとつ、教えてくれたことがあるんや」
菫「……?」
怜「…照のことや」
照「…私?」
怜「菫、洋榎」
怜「ちょっと、照と二人きりにさせてくれんか?」
菫「…? 構わないが」
洋榎「なんや、ウチらには聞かせれんことか? ま、まさかプロポーズ…」
怜「…アホ、そんなわけないやろ」
菫「第一、女同士で結婚はできないぞ」
洋榎「わかっとるわ、そんなこと!!」
洋榎「ほな、ごゆっくりどーぞ」
菫「話が終わったら呼んでくれ」
ガラガラ
照「で…話って何?」
怜「…セーラが言っとったんや」
怜「照が、ウチに妹さんの影を重ねとるって」
照「…ッ!?」
照(ど、どうして知ってるの!? 江口さんには話したことないのに…)
怜「その反応、図星やな」
照「……」
怜「照、妹さんと喧嘩したままなんやろ?」
照「…うん」
怜「それで、ウチのことを妹さんのように見とったんか?」
照「…そうよ」
照「園城寺さんは、何処か咲に似ていた」
照「それで私は、勝手に園城寺さんに咲の影を重ねてしまっていた…」
怜「……」
照「もう…咲には会えないと思う。だから私は…」
怜「…アホか」
照「…えっ!?」
怜「そんな簡単に諦めてええんか?」
怜「きっと咲ちゃんは、今でもアンタに会いたいはずとちゃうんか?」
照「そ、それは…」
怜「それなのに、いつまでも過去の負い目感じて」
怜「挙句、ウチを咲ちゃんの代わりにして
怜「アホちゃうか!」
照「……」
怜「会いたくないと思ってるのは、照自身やろ」
怜「妹の気持ちも考えんと、アンタ」
怜「姉として失格やで!」
照「…ッ!」 フルフル
怜「…照は逃げとるんや、咲ちゃんから」
怜「逃げずに、ちゃんと向き合わんなんアカンで」
照「……」
照「…咲は」
怜「…ん?」
照「…咲は、本当にまだ私に会いたがっていると思う?」
怜「…きっとな」
照「……」
照「…園城寺さんの言う通り」
照「私はあの日から、咲に会うことから逃げていた」
照「会っても、きっと私を姉として見てくれない…」
照「…そう思ってた」
照「だから私は、園城寺さんに咲の影を重ねてしまった」
照「だけど、それは私の勝手な想像よね」
照「咲はきっと、私に会いたがっている」
照「そんなことに気づかないなんて私、姉失格ね」
怜「……」
照「…ありがとう、園城寺さん」
照「おかげで大事なことを思い出した」
怜「ええって、これくらい」
怜「ちゃんと咲ちゃんと仲直りできたらええな」
照「うん! きっとしてみせる」
怜(…セーラ)
怜(これで…よかったんやよな!)
~数日後~
菫「調子はどうだ?」
怜「うん、大分よくなったわ」
怜「先生は、明日で退院できるやって」
洋榎「そりゃよかったなぁ」
ガラガラ
照「こんにちは」
怜「おぉ、やっと来たか照」
照「園城寺さん、私やったよ」
怜「…どうしたん? あ、もしかして…」
照「うん、やっと咲の消息をつかんだの」
洋榎「マジで!?」
照「咲、小説家になってた」
怜「小説家かぁ」
照「それで…今度会うことになったの」
菫「本当か!?」
怜「よかったなぁ、照」
照「これも園城寺さんのおかげ」
照「本当にありがとう!」
怜「ええって、ええって。ウチ、何もしとらんし」
コンコン
「失礼する」
菫「…ん?」
洋榎「あっ! 辻垣内」
智葉「おぉ、お前ら全員ここにいたのか。ちょうどいい」
照「何かあったの?」
智葉「あぁ、大有りだ」
智葉「さっき、半年後に開かれる世界麻雀東京大会のオーダーが発表されたんだ」
智葉「その報告を、園城寺に」
怜「ふぅん。で、誰が選ばれたんや?」
智葉「まず、先鋒は私だ」
洋榎「ほぉ~、アンタが先鋒かいな」
智葉「ああ。で、次鋒が弘世」
菫「私か…っ!?」
智葉「中堅は愛宕」
洋榎「おっ、ウチの得意ポジやな!」
智葉「副将は宮永だ」
照「…私が副将」
智葉「そして…大将がお前だ、園城寺」
怜「う、ウチが大将!?」
智葉「ああ。 世界麻雀の大将は、その年の各国一がなる決まりだからな」
智葉「お前が今年の日本一だろ、だからだ」
怜「信じれんわ、ウチが大将なんて…」
照「頑張って、園城寺さん」
菫「私たちも、お前が楽できるよう頑張るさ」
洋榎「その代わり、お前で負けたら承知せえへんからな!」
怜「…うん、頑張るわ」
怜(竜華、セーラ)
怜(今度は世界が相手やって)
怜(でも、ウチ頑張るで!)
~半年後~
「決勝副将戦終了~!!」
「日本の宮永選手、ニュージーランド、アメリカ、中国相手に僅差ながらなんとか1位でバトンを繋げました」
「そして、日本の優勝は大将、園城寺怜プロの手に委ねられました」
照「ただいま」 ガチャ
咲「おかえり、お姉ちゃん!」
照「ッ! 咲、来てたのか」
菫「ああ、さっき来た所だ」
咲「すごいよお姉ちゃん! 1位でバトンを繋ぐなんて」
照「咲の応援もあったからだよ、ありがとう」
怜「おつかれ、照」
照「園城寺さん。…ごめんなさい、もう少し稼ぎたかったけど」
怜「ええって、照はちゃんと自分の役割を果たしたわ」
智葉「くっ…私があんなヘマをしなければ…」 バンッ
洋榎「気にすんなって。あんなん、誰だって振り込んでまうわ」
怜「せや。それに…智葉やみんなの分も、ちゃんとウチが取り返してくるわ」
怜「やから、安心してな」
智葉「園城寺…」
怜「…それじゃ、行ってくるわ」
智葉「…ああ、頼んだ」
菫「がんばってくれ、園城寺」
洋榎「グッドラックや!」
照「ファイト! 園城寺さん」
怜「みんな…ありがと」
怜「じゃ、行ってくる」 グッ
~試合会場~
怜「ほな、よろしくな」
エイスリン「ヨロシクオネガイシマス!」
ダヴァン「よろしくデス」
?「よろしく!」
怜(…なんや、インハイで見たことある顔ぶれやな)
ダヴァン「しかし、日本の大将がサトハや宮永さんじゃないナンテ」
?「正直、驚きです」
怜「そりゃ、どーも」
ダヴァン「まぁ、誰であろうと構いません。優勝は我々USAのものデス」
?「私だって、国を背負ってるんです。負けられません!」
エイスリン「ゼッタイ、マケナイ!」
怜「…うちもな」
怜(…そうや)
怜(一緒に戦ってきた仲間…)
怜(応援してくれてるファンの人々…)
怜(そして…あの世で応援してくれてる、竜華やセーラのためにも…)
怜(この勝負、ゼッタイ負けられへん!)
怜「…おっしゃ」
怜「試合開始や!」 ゴッ
カン
なんか文字化けしてました
>>118の?はハオです
バッドエンドは書く予定です
蛇足になるかもしれませんが読んでいただけると幸いです
怜「…確かに、ウチはもう一人やないかもしれん」
怜「新しい仲間や、ファンの人もできた」
怜「…それでも」
怜「ウチは…ウチは竜華やセーラと一緒におりたいんや」
怜「…もう、耐えられへんのや。二人がおらんことが」
セーラ「……」
怜「…死んでもいい」
怜「…二人と一緒におれるのなら」
竜華「怜…」
セーラ「…ホンマにいいんやな」
怜「……」 コクン
セーラ「……」
竜華「……」
セーラ「…わかった、それが怜の決断なんやな」
竜華「怜がそうしたいって言うんなら、ウチらは止めへんよ」
怜「ありがとう、二人とも」
セーラ「…じゃ、行くか」
竜華「あっちの世界に…」
怜「…うん」
怜(……)
怜(…ごめんな、みんな)
パァァァァァァァァァァ
ピーーーーーーー
菫「お、園城寺ッ!」
洋榎「おい! しっかいせい園城寺!」
照「園城寺さん!」
「そこをどいてください!」 グイッ
「………」 スッ
菫「せ…先生、園城寺は?」
「……ッ!」
「…残念ながら」
「息を…引き取られました」
菫「そ、そんな…ッ!?」 ガクッ
洋榎「クソッ、こんな事って…」バンッ
照「園城寺さん…園城寺さんっ!」
照「園城寺さん…」 ポロポロ
菫「…くっ」 グスッ
照「……うぅ」
ウワァァァァァァァァ
~数日後、大阪~
泉「…なんでですか」
泉「なんで先輩方が3人とも亡くなるんですか…っ!」 ポロポロ
浩子「落ち着きぃ、泉」
浩子「ウチかて、辛いわ…」 ポロポロ
洋榎「浩子…それに二条…」
泉「…洋榎さん」
浩子「…あれ、叔母さんは?」
絹恵「…入院してもうた」
浩子「…な、なんやて!?」
洋榎「園城寺の訃報を聞いた後、ショックで倒れてもうたんや」
洋榎「ストレス性の胃潰瘍やって…」
絹恵「…無理もないわ」
絹恵「セーラさんが亡くなって、日も浅いのに…」
絹恵「…今度は、園城寺さんが」 グスッ
洋榎「…くそっ、ウチがもっと早く園城寺の所に駆けつけていれば…っ!」 フルフル
浩子「…洋榎のせいじゃないって」
洋榎「やけど…くそっ!」 ポロポロ
絹恵「お姉ちゃん…」 グスッ
ザワザワ
絹恵「あ、あれは…」
浩子「弘世プロに、宮永プロ…」
泉「…ッ!」
菫「ここにいたか、愛宕」
洋榎「グスッ…ヒック…」
絹恵「どうも、弘世プロ」
菫「やあ、絹恵さん…だったかな」
絹恵「ええ、姉がいつもお世話になっております」 ペコリ
菫「いやいや…それより」
菫「私も、この度のことは本当に…」
浩子「やめてください、弘世プロには何の責任もありませんよ」
菫「し、しかし…」
絹恵「浩子の言う通りです」
絹恵「それに…謝っても園城寺さんが戻ってくるわけやないんですし…」
菫「…くっ!」 ギリッ
泉「……」 ザッ、ザッ
照「……?」
浩子「…泉?」
泉「…宮永さん」
泉「あなた…」 ググッ
泉「アンタ…よくここに来れましたね」
浩子「ちょっ、泉」
泉「…アンタが、あの時あんな余計なことせんだら」
泉「園城寺先輩は、自殺なんて考えなかったかもしれへんのに…」
絹恵「に、二条さん…」
泉「…アンタが」
泉「アンタが、園城寺先輩を追い込んだんやっ!!」
照「…ッ!」
泉「アンタのせいで…園城寺先輩は…っ!」 ギリッ
洋榎「二条、もうやめぇや!」
泉「洋榎さん、黙っとってください!!」
照「……なさい」ボソ
泉「…は?」
照「…ごめんなさい」ポロポロ
洋榎「…ッ!」
照「本当に…ごめんなさい!」 ザッ
絹恵「み、宮永プロ…」
泉「…なんやて」 ギロッ
泉「土下座して謝れば許されるとでも思っとるんか!」 クワッ
菫「いい加減にしろっ!」 ガシッ
浩子「泉! 落ち着き!」 ガシッ
泉「…グッ、離せ!」
泉「…謝るくらいなら先輩を」
泉「…園城寺先輩を返せ!」
泉「この…人殺し…ッ!」 ギリッ
照「……」 ガタガタ
~???~
竜華「どや、膝枕は?」
怜「…やっぱ最高やわ~」 ~♪
竜華「フフッ、そりゃよかったわ」
怜「~~♪」
竜華「なあ、怜」
竜華「ウチな、確かにアンタには生きて欲しいって言うたけど…」
竜華「ホンマはな、怜と一緒におりたかったんや」
竜華「死んでから10年間、ずっと一人やったからな…」
怜「…そうなんか、竜華」
竜華「やからな、めっちゃ嬉しいわ」
怜「…ウチも嬉しいわ」
怜「これからは…ずっと一緒やで、竜華」
竜華「うん!」
セーラ「おーい二人とも、たまには麻雀しようや」
竜華「おぉ、エエな」
怜「じゃ、行こ。竜華」
竜華「うん!」
~数ヶ月後~
洋榎「どうなんや、宮永は?」
菫「…ダメだ。もう、麻雀が打てる状態じゃない」
菫「…引退せざるを得ないだろうな」
~~~~~~~~~~~~~~~~
照「………」
照「咲…」
照「園城寺さん…」
照「…ごめんなさい」
照「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
照「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
~~~~~~~~~~~~~~~~
洋榎「さよか…」
菫「…無理もない」
菫「…妹を失くし、今度は園城寺まで…」
菫「私だって、精神を病んでしまうさ…」
洋榎「むぅ…」
洋榎「…で、あんたはどうするんや、今後?」
菫「私か? 私は麻雀を続けながら…」
菫「照の面倒を見るさ…」
菫「お前はどうする、愛宕?」
洋榎「…ウチは引退するわ」
洋榎「宮永と戦えんのなら、プロにおってもしゃーないわ…」
洋榎「これからは、絹と姫松でコーチでもしとるわ」
菫「そうか…頑張れよ」
洋榎「…アンタもな」
宮永照は精神病のため、やむなくプロを引退…。
今は精神病院にて治療に専念している。
が、治療にはかなりの時間がかかるだろう…
弘世菫はプロ雀士として活躍する傍ら、そんな彼女を金銭面や生活面でサポートしている。
愛宕洋榎は、宮永照の引退をきっかけにプロを引退。
今は母校、姫松高校で麻雀部コーチとして妹、絹恵と共に後進の指導に当たっている。
船久保浩子は、病気により退職した叔母、愛宕雅恵の後任として、母校、千里山女子麻雀部の監督に就任。
彼女もまた、後進の指導に当たっている
二条泉は先日、宮永照と弘世菫にナイフで斬りかかりその場で現行犯逮捕。
現在、殺人未遂の容疑で大阪地方裁にて裁判が行われている…。
カン
これでこのシリーズは完結です
どちらのエンドが本当のエンドかは、みなさん自身で決めてください
長い間、支援、ありがとうございました
乙
自演か誤爆か、 それが問題だ
まぁ乙
>>136
誤爆です、すいませんでした
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