貴音「面妖ですから」 (30)
貴音「………………」ズルズルルズルルルズルル
美希「………………」チュルチュル
響「………………」チュルチュル
貴音「……ご馳走、様でした」パンッ
響「ふえー。はっやー」
美希「貴音は相変わらずなのー。一体どこに入ってるの?なんでそんなに食べられるの?」
貴音「ふふ……。面妖ですから」
響「なんか得意げに妙な解説し始めた」
美希「なるほどー。確かに貴音は面妖だからね」
響「なんで納得するんだ」
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美希「あれ?ミキの携帯どこ?」
響「携帯かー?うーん、無いなー」
貴音「美希」チョイチョイ
美希「ん?」
貴音「どうぞ」
美希「あっ、ミキの携帯!貴音、ありがとうなの!」センキュー
貴音「礼には及びません。面妖ですから」
美希「あはは。それもそうなの」
響「だからなんで納得するんだ」
美希「響ー、貴音ー。そろそろお昼だし、ご飯でも食べに行かない?」
響「おぉっ!さんせー!」
貴音「是非ともお供いたします」
美希「何食べるー?」
貴音「らぁめんで」
響「即答だな」
美希「んー。ラーメンは昨日食べたばっかしだからなー。他のもの食べたいなーってカンジ」
貴音「……承知いたしました。ここは引き下がりましょう。……面妖ですので」
響「使いどころが分からないぞ」
響「自分たちが今出てったら、事務所に誰もいなくなっちゃうな」
貴音「小鳥嬢に書置きを残しておけば問題はないでしょう」
美希「よーし!ミキにお任せなのー」カキカキ
美希「えーと、小鳥へ……と。……あれっ、インクが切れちゃった……」
貴音「ちょっとペンを貸してください」
美希「ん?はい」ヒョイ
貴音「…………ッ!!……はい、どうぞ」
響「……何がしたいんだ?」
貴音「続きを、美希」
美希「…………?……おぉっ!書ける!書けるの!」カキカキカキ
響「えっ!?」
貴音「ふふ……。面妖の成せる技、ですね」
響「面妖って凄い!」
美希「いよーし!じゃあ出るの!」
響「いぇーい!」
響「事務所誰もいなくなるし、暖房も切って、電気も消して……と」
貴音「……ふんっ」パチン
美希「あ、暖房消えた」
貴音「……ふんっ」プツン
響「あ、電気も消えた」
美希「凄いの貴音!さっすが面妖なだけあるの」
貴音「いえいえ。わたくしの面妖もまだまだです」
響「め、面妖って凄い!!」
スラムダンクSSだと思ったら違った
響「貴音はホントになんでも出来るなー。……ホントに、なーんでも」
貴音「面妖ですから」
響「も、もうつっこまないぞ」
美希「んじゃ行こうか。貴音もいるし、バイキングにしようよ。この前家族で行ってきたんだー。美味しかったなー」
響「うん、そうだなー。普通のお店で貴音が食べたら、いったいいくらかかることやら……」
美希「ミキ、お皿洗いはしたくないの」
貴音「さっそく参りましょう。面妖に」
響「そういう使い方もあるのか」
>>7
タイトルはその通りスラダンの某セリフからとりました。
でもこの話しとスラムダンクは何の関連もありません。
最初に明記しとけば良かったですね。すいません。
貴音「おぉ……!これは……これは……」
響「面妖だぞー!」
美希「面妖なのー!」
貴音「美希……。響…………」
響「ごめん貴音……」
美希「つい言いたくなっちゃって」
貴音「……構いません。面妖は皆の面妖ですから」
響「面妖の概念が分からないぞ」
美希「好きなのを好きなだけお皿にとって食べるんだよー」
貴音「好きなもの……好きなだけ!?……め、面妖な……!」
貴音「……では」スッ
響「貴音。ちゃんと他の人の分も考えておくんだぞ?だからお料理が乗っている皿本体へと伸びているその手を引っ込めよう」
貴音「そうですか……。仕方ありませんね」シュン
貴音「……では」ガッ
響「あ、結局一回でほぼ持ってった」
貴音「……ふむ」
貴音「この取り皿、少々小さくはありませんか?これではふたくちみくち分しか取る事が出来ません」
美希「め、面妖なの……」
貴音「……………………」パクパク ズルズル ムシャムシャ
響「テーブル中、所狭しと皿が並んでるぞ……」
美希「ほとんど貴音のだけどね」モグモグ
貴音「おや、響。手が止まっていますよ。さては満腹なのですね?それならば仕方ありません。わたくしが……」
響「ちょっ、ちょっと!ストップ!まだまだ食べるからな自分!」パシッ
貴音「そ、そんな面妖な」
響「そこは殺生なって言うところじゃないか?」
響「あっ、美希が食べてるの美味しそうだな〜。自分も後で取ってこよっと」
美希「うん!美味しいよー。さっきちょうど出来立てがあがってたの。……それより響、よそ見すると危ないよ」
響「え?あぁっ!自分のナポリタンが消えた!跡形も無く!!」
貴音「それは面妖な」モグモグ
響「間違いなく盗品の現在地は貴音の口の中だな」ジトー
貴音「正確には今現在わたくしの食道を通過中ですね」ゴックン
響「説明しなくていいよ!」
貴音「この辺りにあります」ユビサシッ
響「示さなくていいよ!」
貴音「おおっと。たった今胃袋に到達しました」
響「実況しなくていいよ!」
美希「あ、ミキ小銭あんまりないや」
響「それくらいなら自分が出すよ」
貴音「おや、わたくしもあまり持ち合わせが……」
響「え?貴音お金無いのか?」
貴音「この通りです」バッ
響「なぁんだ。ちゃんとお札入ってるじゃん。えーと……。十枚全部二千円札!?め、面妖な……!」
貴音「………………」ドヤァァア
響「ひょっとしてこれを自慢したかっただけか?」
貴音「さあ。どうでしょうか。真偽の程は誰にも分かりませんね」
響「いや分かるでしょ。他ならぬ貴音自身が」
美希「貴音ー。千円二枚と二千円、後で交換してー」
貴音「お安い御用です」
「おい、今の客」
「今出て行ったお客様ですか?」
「そうだ。三人の中の、あの面妖な銀髪の娘……。あれをブラックリストに載せておけ」
「ブ、ブラックリストですか!?一体なぜ……」
「馬鹿野郎!あんなのに何度も何度も来店されてみろ!食材も間に合わないし、なにより料理人が過労死しちまうだろう!」
「ああ、今日は大変でしたねー。厨房」
「あの娘、とてつもない勢いで料理を平らげていくからな。供給が追いつかん」
「それでブラックリストに?」
「ああ」
「でも、美人ですよ?」
「お前は店の存続と美人の来店と、どっちを取るんだ」
「美人ですよもちろん。二対八くらいであの銀髪美人です」
「へぇ。お前ってアホだったんだな」
今日はとりあえずここまでで。
明日また来ます。
響「はいさい!自分、我那覇響!今日は久しぶりに一日オフなんだー!」
響「ここ最近ちょっとお仕事がたくさんで、ちょっと疲れてるから……」
響「今日は家でのんびりしようかなー」
貴音「ええ、そうですね。そうしましょう」
美希「うん!ミキも最近ちょっとお疲れ気味で……。ちょうどお休みが欲しいと思ってたんだー」
響「へぇ、そうなのかぁ」
響「……………………」
貴音「……………………」
美希「……………………」
響「どこから入った」
貴音「屋根から」
響「……………!!」バッ
貴音「入れる訳などないでしょう?」
響「……………………」イラッ
美希「普通に玄関から入ったよ?」
響「ああそっか……」
響「いやちょっと待て鍵は」
美希「た、貴音が……」チラッ
貴音「面妖、ですから」ドヤァ
響「……………………」
響「……………………」ピポパ
美希「ごめんなさいなの響」ドゲー
貴音「その番号だけはご容赦を」ザー
響「で、二人とも……なんでここにいるの?」
美希「冷たいの響……。ミキ、傷ついちゃうな」シクシク
貴音「わたくし達の絆は、それほど薄いものだったのでしょうか」メソメソ
響「いやそうじゃなくて」
響「仕事は!?今日は二人で仕事入ってなかったっけ?」ガーッ
貴音「わたくしの面妖力で無かったことにいたしました」
響「こら!」
美希「う、うそうそ!向こうの都合で、急に撮影日が変更になったの」
響「な、なんだ。そゆことか。…………ふ〜ん」ジト
美希「ホントだからね!」アセッ
貴音「はい。本当です」キリッ
響「う、う〜ん……。ま、いいか」
貴音「して、響。お腹が空きませんか?」
響「いやいや。まだ二時半。さっきお昼食べたばっかりだぞ」
貴音「そうですか……。わたくしもです」
響「……………………」
貴音「…………………響」
貴音「お腹が空きませんか?」
響「な、なんでそうなるんだ……?」
美希「仕方ないの。貴音は面妖だから」パクパク
響「あぁ!勝手にみかん食べてるし!しかもまだ開けてなかったヤツ!」
美希「うん。すっごく甘くて美味しいよ」
響「そう?良かったー。アタリのみかんだな。……ってオイッ!」
貴音「美希ばかりずるいです。わたくしも……」フラリ
響「ストップ!冷蔵庫の方には行かせないぞー!今月分の食料が全部消えてなくなっちゃう!」
貴音「ですが響……。本当にお腹が減ったのです」
響「う〜ん……。そうは言っても……」
美希「あ、実はミキもお昼食べてないんだー」
響「え、そうなのか?……しょうがない。何か頼もうか」
貴音「お寿司で構いませんよ」
響「……………………」イラッ
響「へび香。カモン」
貴音「銀杏で結構です」ドゲザー
響「また微妙なチョイスを」ハァ
美希「渋いの!貴音!」ヒュウ
響「はいピザが来たぞー」
美希「待ってましたなの!」
貴音「なんと面妖な香りでしょう」ウットリ
響「自分は一枚だけでいいかなー。いただきまーす」
貴音「いただきます」
美希「まーす」
貴音「あぁ、なんと……。ご覧なさい美希。チーズがこのような面妖な事に……」デローン
美希「うぅん。とろとろなの。ミキまでとろけちゃいそう」ドローン
響「床にこぼさないようにお皿の上で食べてよ」
美希「あ、あと二枚だね」
貴音「わたくしと美希で一枚ずつ……おや美希。何やら満腹そうな顔を」
美希「してないよ。ささ、分けて分けて」
貴音「承知しました。では……」デロリーン
響「あっ、片方のチーズが滑り落ちてもう片っぽの上に落ちた」
響「あっ、貴音が物凄い速さで落ちたチーズをピザで絡め取って口の中へ」
響「あっ、美希のピザの上、もうトマトソースしか残ってない」
美希「……………………」
貴音「……………………」モグモグ
美希「………………貴音」
貴音「……………………」ゴクン
貴音「面妖ですから」ドヤアァアァァァ
美希「へび香。カモンなの」
貴音「申し訳ありませんでした」ドゲザアァアァァァ
美希「ふぅ。お腹いっぱいなの」
貴音「わたくしはまだ三合目という所でしょうか……」
響「相変わらず燃費悪いなー」ヤレヤレ
美希「んー。なんだか眠くなってきちゃったの」アフゥ
貴音「そうですね。真に天気もよろしいので」
響「…………昼寝する?」
美希「ナイス響ー。寝よ寝よー」
貴音「ではわたくしはここで」ボフッ
響「なんの迷いもなくベッドを選択する所が凄いよな」
貴音「ええ。面妖ですので」
響「あはは。褒めてないぞー」
美希「ミキも響のベッドもーらいっ!んー。いい気持ちなのー。響いいお布団使ってるねー」
響「ありがと」
美希「えいっ」バフッ
美希「うぅん。響の枕ー。響の匂いー」スンスン
貴音「しかもですよ美希。掛け布団にこうして潜り込めば……。なんと!360度響の匂い!面妖な……。なんと面妖な……」クンクン
響「うぎゃー!何やってるんだ二人ともー!」
美希「で、結局響も一緒にベッドで寝るんだね」ニヤニヤ
響「だっ、だってこれ、自分のベッドだしっ」アセアセ
美希「うぅん。もう、響は可愛いの!」
貴音「家主の特権です響。どうぞ真ん中に」
響「え?いいのか」モゾモゾ
響「……ん。ごめん、腕とか二人に当たっちゃうな」
貴音「構いませんよ響」
美希「そもそも、こんなにぴったりくっついて寝てるんだから、そんなの当たり前なの」
響「それじゃ、布団を掛けて……と」
響「じゃ、お休みだなー」
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