【艦これ】響「暖め合い」 (34)
<縁側>
提督(お~寒、今日は冷えるな~)
提督(早く炬燵に入りたいっと…ん?あそこにいるのは…)
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響「…」
提督「響、こんなところでなにしてんだ?」
響「ん?ああ、司令官か」
提督「今日はいつもより一段と冷える、こんなところにいたら風邪ひいちまうぞ」
響「なに、子供は風の子、というじゃないか」
響「それに、今日は君の言う通り、いつもより一段と冷える、もしかしたら雪が降るかもしれない」
提督「まあ、確かに今日は雪が降るかもしれないな…ってお前まさか」
響「ああ、雪が降るのを待っていたのさ」
響「今年初めての雪を、この目で見ようと思ってね」
提督「お前どんだけ雪好きなんだ、子供かよ、って子供か…」
響「まあそういうこと、大丈夫、引き際は弁えているさ」
響「風邪をひきそうになったら、すぐに部屋に戻るよ」
提督「…はあ、もう」
提督「隣、邪魔するぞ、あとこれ着ろ」
響「これ、君の上着…これだと君が風邪をひいてしまう」
提督「簡単に風邪をひくほど軟な体していないさ、それに部下の体調を気遣うのも、願いを聞くのも、上官の務めだ」
提督「ここで一緒に雪を待とう、いいか?」
響「…」
響「…うん、いいよ」
響「…だけど、この上着だけだと、まだ寒いかな」
提督「あ~じゃあもっとちゃんとした防寒着を…」
響「いや、これでいい」ギュッ
提督「おいおい、俺にくっついてどうするんだ」
響「君で暖を取ろうと思ってね、それにこれなら、君も暖かいだろう?」
提督「…まあ確かにな」
響「…ああ、やはり君は暖かいな、悪くない」
提督「…ああ、本当に暖かいな、悪くない気分だ」
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
響「…雪、降るかな」
提督「どうだろうな、こればっかりは空の気分次第だ」
響「そうだろうね、ならば空にお願いをするべきだろうか」
提督「そうだな、気分が良ければ、聞き入れてくれるかもしれない」
響「それじゃあ…」スッ
響「…」
提督「…」
響は手を空に掲げ、そして目を閉じた
今まさに、空に願っているのだろう
そんな響を真似て、俺も顔を空に向け、目を閉じ、願った
響の願いを聞き入れてもらえるよう、願った
そう願った矢先…不意に自分の鼻先に、冷たい何かが触れたのを感じ、目を開いた
響「司令官、見てみなよ」
提督「ああ、見ているよ」
響「雪だ…」
空から幾億もの雪が、私達の元に舞い降りた
私の、私達の願いを、空が聞き入れてくれたからだろうか
まあ、今はそんなことどうでもいい
綺麗だ
彼と見るこの雪が、この光景が、ただただ、綺麗で、美しい
私は手を広げ、舞い降りる雪に触れた
だけど、その雪は、私の手の平に触れた瞬間に、解けてしまった
響「…ああ、やはり、解けてしまうんだね」
提督「響?」
響「君とみる雪は、とても綺麗で、美しい」
響「この光景は、きっと私の思い出として、残り続けるんだ…だけど」
響「この光景を、思い出だけじゃない、思い出だけじゃ、足りない」
響「形として、残したいと、そう思ったんだ」
響「…欲張り、なんだろうけどね」
響「だけど、残したいんだ」
響「それほどに、この光景が、素晴らしいと感じたんだ」
響「…だけど、いや、もう止そう」
響「これ以上は、欲張りなんだ」
響「…」
提督「…」
提督「この雪は、とても寒い空で生まれ、そして響の元に舞い降りた」
響「?」
提督「寒い世界しか知らない雪は、響の手の平に触れた瞬間、こう感じたはずだ」
提督「とても暖かい、心地良い…って」
提督「そして、その暖かさに、身を委ねようと、一つになりたいと、そう思った」
提督「その身を解かしてまでも、そうなりたいと、願ったんだ」
提督「そして、響にその身を委ね、一つになった」
提督「だから響、この雪は残り続ける」
提督「響の、心地良い暖かさがある限り」
提督「いつまでも、いつまでも、な」
響「ああ、そうか…」
響「残り続けて、くれるんだね」
響「ああ、良かった、嬉しい」
響「すごく、嬉しい…」
響「…ねえ、なんだか似ていると思わないかい?」
提督「ん?」
響「この雪と、私」
提督「響と雪が、か?」
響「私も、君の暖かさに触れ、とても心地良いと感じている」
響「まるで、解けてしまいそうになるくらいに…」
響「そうだ、今の私は、雪なんだ」
響「君という暖かさに触れ、解けていく」
響「私の全てを委ねたいと…」
響「一つになりたいと願う、雪なんだ」
提督「…随分、暖かい、心地良い雪だな」ギュッ
響「…」ギュッ
提督「…なあ、響」
響「…なんだい」
提督「雪、綺麗だな」
響「…」
響「…ああ」ギュッ
響「私も、解けていたい」
終わり。
じゃあの
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