バラライカ「双子の様子はどう?」(256)

ロック「ええ、大人しいものですよバラライカさん。まるで、借りてきた猫よりも大人しい」
バラライカ「注意することね。あの双子に手を出そうとした間抜けな監視役はサオを“食い千切られた”から」
ロック「……――僕はそんな事はしませんよ、絶対に」
バラライカ「だと良いのだけれどね。――ああ、そうそう。ついでで悪いんだけど、ダッチに伝えておいて貰える?」
ロック「構いませんよ。なんですか?」

バラライカ「“街はほとんど変わりない。少しばかり地図が塗り変わっただけだ。”――とね」

ロック「――わかりました」
バラライカ「面倒な事は嫌よね。――最初に“あれ”出会ったのが貴方で良かったわ、ロック」
ロック「……正直、ここに立っているのが不思議な位ですよ」

バラライカ「……――はははははははははは! 私もそう思うよ、ロック!」

     ・    ・    ・
ラグーン商会事務所

ダッチ「――よう、ロック。ご苦労だったな」
ロック「バラライカさんから伝言だよ。“街に大した変化はない”ってさ」
ダッチ「わかってるさ。ヴェロッキオの野郎が自分を可愛がろうとして特大のクソを踏んじまった。――それだけの話だ」
ロック「……街には変化はなかったかもしれないけど……ね」
ダッチ「ロック、ペイを上げろって話ならお断りだぜ。自分から“望まずとも”背負い込んじまったもんの面倒までは見切れんよ」
ロック「わかってるよ。そんなことは百も承知だ」
ダッチ「それなら良いのさ」ニイッ

ロック「――それじゃ、そろそろ帰るよ。早くしないと、ミルクの時間に遅れるからね」

ダッチ「そうだな。“腹をすかせた獣程恐ろしいもんはねえ”。例えそれが小さなライオンのガキでもだ」

     ・    ・    ・
ロック自宅

トントン

ロック「――帰ったよ。お土産は注文のスイートポテト・パイなんだけど手が塞がってるんだ。
    開けてくれると嬉しいな」

『まあ、本当に買ってきてくれたらしいわ兄様。楽しみね――どんな味がするのかしら』
『そうだね姉様、楽しみで仕方ないよ。――でも、手が塞がってるって事はどうやってノックしたんだろう』
『きっと足を使ったのよ。お兄さんは、口だけじゃなく足を使うのも上手いらしいわ』
『器用なのは良い事だよね。――僕達も、見習うべきだと思うな』
『本当ね』クスクス
『本当だね』クスクス

ロック「……――ハロー? 聞こえてるなら――ね?」

…ガチャッ

ロック「!?」

ヘンゼル「ごめんよお兄さん。焦らすのはよくないよね」
グレーテル「まあ、こんなに買ってきてくれたの?――何かお礼をしないと――」

ロック「――とッ、とりあえず今すぐドアを閉めて服を着てくれるかな!?」

グレーテル「もう少しだけ待って。今、洋服を取り替えていたところなの」
ヘンゼル「わかってるかもしれないけど、中々つくりが複雑なんだ。すぐ、済むから――」
ロック「……――うん、出来れば急いで貰えると助かるな。……“パイが冷めない内にね”」

双子「はーい」

ロック「……」クスリ

ヘンゼル「でも姉様。出来るだけ温かい内にお兄さんの好意はいただきたいよね」
グレーテル「そうね兄様。“何事も”温かい方が素敵だもの」
ヘンゼル「――だから、仕方ないよね」
グレーテル「――ええ、仕方ないわ」

ロック「……――えっと、何が仕方ないんだい?」

ヘンゼル「決まってるじゃない。ラッピングの前にいただくのさ」
グレーテル「ミルクは冷蔵庫に入っていたわよね。――ふふ、私は別にお兄さんのタンクのものでも良いわ」
ヘンゼル「それは良い考えだね。――という訳で、どう? お兄さん」

ロック「……悪いけど、品切れ中なんだ。ココナッツ・ジュースも買ってきたからそれで我慢してくれ」

     ・    ・    ・
同時刻――暴力教会

レヴィ「……あ~、クソうざってェし面白くねェ」

エダ「ヒヒヒ! どうしたよレヴィ。まるで自分の玩具を取られたクソガキみてェな顔じゃないのさ」
レヴィ「黙ンなよクソビッチが。尻の穴を増やしてェのか」
エダ「あたるなよ。――それにしても、ロメオも罪な奴だねェ! ゴリラだけじゃなく、虎のガキまで手懐けるたァ」
レヴィ「それはアタシの事を言ってンのか?――答えは言わなくて良いぜエダ、“とっとと死ね”。――レイズ」
エダ「いいのか~い? こンな所で油を売っててよ。ここにゃア色男は一人しかいないぜ」
レヴィ「クロスになってるマグロなンかにゃ興味はねェよ。そンなもんにまたがるのはてめェ位だビッチ」
エダ「知らないのかい? そのマグロに夢中で腰振ってる奴ってのは“ごまんと”居るんだぜ」
レヴィ「そうかよ。……そいつは忙しくて種も切れちまいそうだな――っと、クソ」
エダ「へへ、とっとと20寄越しな」

レヴィ「……――面白くねェ」

     ・    ・    ・
少し後――ロック自宅

グレーテル「――ああ、美味しかった!」
ヘンゼル「そうだね姉様。――あ、頬にパイがついてるよ」
グレーテル「まあ、本当に? 嫌だわ、取ってくれる兄様」
ヘンゼル「勿論だよ姉様。――さあ、動かないで……」スッ…

ロック「――流石に頬についたパイを“口で”取るのはお行儀が悪いよ」

ヒョイッ

双子「むー」
ロック「むくれても駄目。……パクッ」
双子「……」
ロック「? どうかしたかい?」
グレーテル「――お兄さん、頬についた食べ物を指で取って食べてしまうのは、お行儀が悪くないのかしら?」
ヘンゼル「それは良いんじゃないかな姉様。――だって、お兄さんが自然にやったこのだもの」

ロック「……真似しちゃ駄目だよ。今のは、“悪い大人”の見本だから」

グレーテル「ふふっ、悪い大人ですって。聞いた? 兄様」
ヘンゼル「聞いたよ姉様。おかしいよね、お兄さんがそんな事を言うなんて」
グレーテル「私達を――一時的にでも世話するなんて事をする人が、悪い見本なんて、ね」
ヘンゼル「姉様。もしかしたらお兄さんは何か“狙い”があるのかもしれないよ。――ふふふ」
グレーテル「だとしたら、“分りやすくて良いのだけどね”。……でも、そんな様子が見られないわ」
ヘンゼル「もしかして、子供には“興味が無い”のかもしれないね」
グレーテル「それはそれで悲しい事よね、兄様」
ヘンゼル「何かお礼をしないとね、姉様」

ロック「――ちょっと良いかな? 内緒話は、本人を前にしてやるものじゃないね……」

ヘンゼル「――ねえお兄さん。僕達をここへ連れてきた人たちはどうなったの?」
グレーテル「イワンの女にあの人たちの事を話した時は、とても無事でいられる様子ではなかったわ」

ロック「……――君達は何も気にしなくて良い。“世の中ってのは、そういう風にに出来てるのさ”」

双子「ふーん」

ロック「とにかく、今日はもう遅い。歯を磨いて、ベッドの中に入る時間だ」

ヘンゼル「また?――お兄さん、“夜はまだまだこれから”じゃない」
グレーテル「そうよ。私達はまだ子供だけど、お兄さんが思っているような“もの”じゃないわ」
ヘンゼル「今日は一緒にベッドで寝ようよ。――その方が、きっと“楽しい”よ?」
グレーテル「遠慮はしないで。兄様も私も、お兄さんの事がとてもとても気に入っているから」

ロック「――ッ!」

グレーテル「……なんだか怒らせてしまったみたい。どうしてかしら、兄様」
ヘンゼル「僕にもわからないよ、姉様。ねえお兄さん、どうして?」

ロック「……いいかい。僕は、君達にお礼をして貰いたくて“こう”してるんじゃないんだ」

ヘンゼル「なら――」
グレーテル「――どうして?」

ロック「……――ただの“趣味”さ。それ以上でも、それ以下でもない」

     ・    ・    ・
翌早朝

ロック「……zzz」

ヘンゼル「――よく寝てるね、姉様」
グレーテル「そうね兄様。見て、私達が部屋に居るのに――とても安心して眠っているわ」
ヘンゼル「うん。――昨日の夜はああ言ってたけど、何かお礼をしないとね」
グレーテル「でも、何をすればお兄さんは喜んでくれるのかしら?」
ヘンゼル「“今まで通り”で良いんじゃないかな。――でも、怒られちゃいそうでもあるよね」
グレーテル「……怒られるのは嫌だわ。お兄さんに怒られると、悲しいのが溢れてしまいそう」
ヘンゼル「どうすればいいのかな、姉様」
グレーテル「――バレなければ良いのよ、兄様」
ヘンゼル「……ああ、さすがは姉様だ。その通りだよ」
グレーテル「それじゃあ、お兄さんが眠っている間に準備を済ませましょう」

ヘンゼル「――楽しみだね、姉様」
グレーテル「――そうね、兄様」

     ・    ・    ・

ロック「説明してくれ。いや――その前にこの縄をほどくんだ」

グレーテル「どうしましょう兄様……お兄さんが起きてしまったわ」
ヘンゼル「僕に聞かないで姉様……どうしたら良いんだろう」
グレーテル「お兄さん、怒っているわ。――駄目、悲しくなってきたわ……」
ヘンゼル「それは僕も同じだよ姉様。もう少し――起きるまで時間があったと思ったのに」

ロック「……怒らないから、縄をほどいて。――その前に、腰に何かかけてくれると凄く嬉しいというかお願い!」

ヘンゼル「ごめんよお兄さん。――本当は、お兄さんが一番気持ちよくなった瞬間に起こすつもりだったんだ」
グレーテル「――やっぱりお兄さんは真面目ね。目覚まし時計がなくても、パッチリ目を覚ますんだもの」

ロック「“裸で椅子に縛られてたら嫌でもそうなるよ”!」

ヘンゼル「怒鳴らないでお兄さん。悪気は無かったんだ」
グレーテル「そうなの。私達はお兄さんが喜ぶと思ったのよ」

ロック「……うん、その気持ちはとても嬉しいけど。――気持ちだけ受け取っておくよ」

グレーテル「とりあえずじっくり見ましょう兄様」
ヘンゼル「そうだね姉様。それ位は許してくれるよね」

ロック「それも勘弁してええッ!」ジタバタ!

ヘンゼル「見てよ姉様。お兄さんが動くたびに、メトロ・ノームみたいにプルプルと揺れてるよ」
グレーテル「まあ、本当だわ。チクタク、チクタク――とても素敵で正確ね」

ロック「――っぐ!」ピタッ

グレーテル「……残念、もう止まってしまったわ」シュン…
ヘンゼル「……うん、もう少し見ていたかったね」シュン…

ロック「……――落ち込む前に、縄を解いてくれるかな。――さすがに僕も泣きそうだ」

     ・    ・    ・

ロック「――いいかい。僕は、“そんな”つもりで君達を預かってるんじゃない」
双子「……」
ロック「僕は善人ではないけれど、“その程度”の事は分別が出来る程度にはおかしくない。
    今までは――周りの大人が“悪党以下”だっただけなんだ」
ヘンゼル「……それじゃあ、お兄さんは僕達を殴らない?」
ロック「当たり前じゃないか。――そりゃあ、悪い事をしたら叱るけど、理由もなしに殴ったりなんかしない」
グレーテル「お兄さん――」

…ふわっ

ロック「――今までは、君達は辛い思いをしてきたかもしれない。
    ……だけど――僕は、君達にそんな思いをさせないよ」

ぎゅっ!

双子「……」ホワッ

――ガチャッ!

レヴィ「――ロック! 仕事の時間はとっくに過ぎ――……」
ロック「ああ、すまない。すぐに支度を――」

レヴィ「――なッんッでッてめェは素っ裸でガキをハグしてンだコラアァァァ!!」

ロック「!? ちがっ――これは誤解だ!」
レヴィ「何言ってンだ、ああ゙ん!? 何がどうなって“そう”なるってンだ。
    それとも何か? てめェの服は朝っぱらからどっかへお出かけでもしてるってのか?」

ヘンゼル「お兄さんは気付いてなかったみたいだね、姉様」
グレーテル「そうらしいわね、兄様。けれど――ふふっ、ドキドキしちゃったわ」
ヘンゼル「うん。耳元で、あんなに甘い言葉を囁かれたらとろけちゃうよね」
グレーテル「それにお兄さんの匂い、とても素敵だったわよね」

ロック「ちょっと! 誤解をさらに“こじらせる”ような発言はやめて!?」
レヴィ「――そうかいそうかい。仕事に遅れた上、ピロートークもカマすたァすみにおけねェなァロック」

ヘンゼル「今晩は、どうやって僕達を楽しませてくれるのかな」
グレーテル「昨日はあんなに甘いものだったから、今日はどうなるかしら」
ヘンゼル「早く夜になると良いね、姉様」
グレーテル「待ち遠しいわね、兄様」

ロック「……誤解だ」
レヴィ「――ヘイ、ヘイロック。そんなにビビるこたァねえだろう。“縮みあがっちまってンぞ”」

     ・    ・    ・
ラグーン商会事務所

ロック「……――遅れてごめんよ、ダッチ」

ダッチ「――どうしたロック。やけにサエねえツラが“イカした”アロハに乗ってるじゃねえか。
    何かあったのか? そいつは仕事に遅れた自分への戒めか?」
ロック「手持ちのシャツが鉛の虫に全部食われてね。――これしか残ってなかったんだ」
ダッチ「そいつは災難だったな。――残念だが、“労災はおりねえぞ”」
ロック「わかってるさ……はぁ」
ダッチ「ところでレヴィはどうした。お前さんを拾うついでに一緒に回ってくるって出ってったんだが」
ロック「――今日は一人で回るってさ。……――全く、俺は変態じゃないのに……」
ダッチ「“ボヤくなよ”。お前さんとレヴィの揉め事は俺には関係ねえ、従業員同士で何とかしてくれや」
ロック「……冷たいじゃないか」
ダッチ「犬も食わねえし、豚の餌にもなりゃしねえ問題だ。“面白え”が、見ているだけで満足なのさ」

ロック「……ダッチ~」

     ・    ・    ・
翌日――ホテル・ホスクワ事務所

ロック「……――あの、どうして呼び出されたんでしょうか」
バラライカ「オフだったのに悪かったわね。とりあえず座ってちょうだい」
ロック「……長くなるんですね」
バラライカ「ええ、“わかっていると思うけれど”」

ロック「――用件は?」
バラライカ「“妙な噂”を耳にしたの。それも、とびきり妙な噂をね」
ロック「妙な噂?」
バラライカ「ええ。――単刀直入に聞くわ、ロック」
ロック「?」

バラライカ「貴方――変態なの? それも、子供に手を出す類の」

ロック「……は?」

ロック「ちょっ、ちょっと待ってください、ミス・バラライカ!
    どうしてそんな噂が立ってるんですか!?」

バラライカ「“答えろ”」

ロック「……そんな事はありません。そんな事は、一度もした事がない」
バラライカ「――なら、“これから”するかもしれないという事かしら?」
ロック「どうしてそうなるんですかッ!?」
バラライカ「いい、ロック。あの双子は、私達にヴェロッキオを売ったの。おわかり?」
ロック「……勿論、それはわかってます」
バラライカ「つまり、私達はあの双子に借りがある状態なのよ。それも、かなり大きめの。
     ――だから、多少は面倒を見るつもりだったのだけど、あの子達は貴方の所が良いと言った」
ロック「――はい」
バラライカ「貴方が変態な事を責めてるんじゃないのよ。“個人的な感情はどうあれ”ね」
ロック「俺は変態じゃありませんってば!?」
バラライカ「ロック。ホテル・モスクワは――あの双子に手を出すのは“快く思わないわ”。
     ――これは、義理の問題よクソ虫」
ロック「……――はい。……グスッ」

バラライカ「泣くな。バカモンが」

メシ

バラライカ「――貴方は、今後双子に“手を出さない”。誓える?」
ロック「当たり前でしょう! バラライカさん、俺を何だと思ってるんですか!?」

バラライカ「どう思う」
ボリス「信用できませんな」
バラライカ「――だそうよ、ロック?」

ロック「待ってくれ、これじゃあまりに“ひどすぎる”!」
バラライカ「――問題は、貴方がどう考えてるかじゃない。私を含め、隊の人間がどう思ってるか」
ロック「……――どうすれば……信用してもらえるんですか?」

バラライカ「ははははは! 聞いたか? まだ信用を得られると思っている」
ボリス「一度ついた傷というものは――中々消えないものだ」
バラライカ「そう――私が言いたいのは“それ”。
     ……ロック――貴方はもう、“この件”に関しての信用を取り返すことは出来ないの」

ロック「……――つまり、俺をここに呼び出したのは“別の話”があるって事ですね」

バラライカ「さすがに賢いわね。話が早くて助かるわ」ニィィ

バラライカ「――そういう訳で話は決まった。席をはずして」
ボリス「了解しました」

―ガチャッ…バタンッ!

バラライカ「――良い? これからする話は、一切他言無用。喋った場合は、“残念な事になる”わ」
ロック「……れは――ダッチ達にも、ですか?」
バラライカ「ダッチ達にも、よ。これからする話は――“私と貴方だけが知っていれば良い”」
ロック「それでバラライカさん――俺に何をしろ、と?」
バラライカ「正確には貴方が、じゃあないわ。――私は、貴方に撮って来て欲しいものがあるの。
     ……そこにビデオ・カメラがあるでしょう? 日本製の家電は良いわね、ロック」
ロック「……はぁ。――ん? どこかで見た事があるカメラだな……」

バラライカ「使い方はわかるわね? 何せ、“貴方も馴染みのあるものでしょうから”」

ロック「ッ! バラライカさんッ! まさか――このビデオカメラは――」
バラライカ「その“まさか”よ。子供の頃、それを使って遊んでいたそうじゃない。微笑ましい事だわ」ニヤァ

ロック「俺の実家の――ハンディ……!」

ロック「――“絶対に失敗は許されないし、他言も許さない――そういう事ですか”」
バラライカ「わかってもらえて嬉しいわ。使い方は覚えてる?」
ロック「ええ、“嫌でも”思い出しますよ」
バラライカ「――ああ、そうそう。この事をレヴィに相談するのもやめなさい。
     彼女に対しても、こちらは“切り札”を用意しているから」
ロック「レヴィにまで何かしたのか!?」
バラライカ「そうじゃないわ。――そこに貴方の家のビデオカメラがあるという事は、
     “ついでに何かを持ってきても”おかしくないでしょう?」
ロック「……?」

バラライカ「――“かけっこで二番だったのは残念だったわね、ロック”。
     それに、おねしょをして泣くなんて男らしくないわよ。――今はどうなのかしら?」

ロック「……――俺は、何を撮って来れば良いんですか」
バラライカ「そうねぇ――貴方が“やる気”を出してくれたようだから、色々頼もうかしら」
ロック「……色々?」
バラライカ「ねえ、ロック」

バラライカ「――猫耳はどう思う? きっと、あの二人に似合うと思うんだけど」

ロック「…………はい?」

     ・    ・    ・

ロック「……――バラライカさんにも困ったもんだ――本当に……」

ロック「結局個人的なお願いを――脅しをかけてしただけじゃないか」

ロック「――まあ、これで“最悪な噂”もかき消してもらえるとなれば安いと……思わなきゃやってられないよ」


「どうした、景気の悪い顔をして」


ロック「――ミスター・張?」
張「女狐に“食われ”そうにでもなったのかい?」
ロック「笑い事じゃないですよ……はぁ」
張「どうだいロック、良かったら俺の店で飲んでいかないか? ちょいと聞きたい事があるんだ」
ロック「……まさか」
張「はっは、その“まさか”だよロック」

張「――“悪い噂”についてさ」

     ・    ・    ・
三合会、張のオフィス

張「――ゆっくりくつろいでくれ。人払いは済ませてある。
  ……この階には俺とお前さんしかいない」
ロック「そう……ですか」
張「バラライカがお前に何を言ったかは――大体わかるさ。
  おっと、何も言わなくても結構だ。――これから少しだけ、俺の独り言に付き合ってくれりゃ良い」
ロック「……」コクリ
張「ロック――この街はクソ溜めと同じだ。何から何まで例外なく、な。
  争いは絶えないし、俺もそれを尻に火がつくのがわかってるから止める気はねえ」
ロック「――はい」
張「だがな、“付いちゃいけねえ火”が付いちまったのさ」

カチッ…シュボッ

張「……フーッ……」
ロック「……」

張「――ロック……犬耳についてどう思う?」

ロック「――い、犬耳……ですか?」
張「ああ、そうだ。ツンと立ったもんに、ロップ・イヤー。――どれでも良い」
ロック「――え~……」

張「――ちなみに俺は“嫌いじゃない”」

ロック「大好きです」

張「はっは、そうかそうか! “噂”通り、中々のもんだなお前は!」
ロック「は、ははは……」
張「そんなお前にプレゼントがある」

ドシッ

ロック「――このトランクは?」
張「お前さんが思ってる通りのもんさ。――“よりどりみどり”ってやつだ」
ロック「……そうですか。なんだか“嬉しくて”涙が出そうですよ、ミスター・張」
張「そいつをどうしようとお前さんの勝手だ。――だが、忘れるなよ。そして、考えろ。
  ――俺がそいつをお前に渡した意味、ってやつをな」
ロック「……――わかりました」
張「どうしたロック、もっと景気の良いツラをしろよ!」

張「――ちゃあんと尻尾も一緒に入れといて“やった”からよ」

ロック「…………ありがとう、ございます……」

     ・    ・    ・
ロック自宅前

ロック(バラライカさんとミスター・張に渡されたけど……)

ロック「――やるしか……ないのか……?」

ロック(あの子達は、俺が帰るのをどんな気持ちで待ってるんだろうな。
    そして――“耳を二つ増やしてくれ”って言ったらどんな顔をするんだろう)

ロック「……――はは、結局俺は――駄目な大人じゃないか」

ロック「……」

ロック「……――ただいまー」

――ガチャッ…バタンッ!

ヘンゼル「あっ、おかえりなさいお兄さん」
グレーテル「今日のおみやげは、随分大きいのね」

ロック「――うん。……多分こいつは、“どこかの誰かさんの命位重いよ”」

グレーテル「まあ、そんな物を私達に? どうしましょう兄様!」
ヘンゼル「なんだろう姉様、なんだか――不思議な気分だよ」

ロック「……あまり期待はしないで欲しいなぁ。――なんだか“死にたくなる”……」

ヘンゼル「ねえ、お兄さん。ちょっとお願いがあるんだけどいいかな?」
グレーテル「お兄さんは、私達を“他の人達がするような扱い”はしたくないのよね」
ヘンゼル「だから、僕と姉様は考えたんだよ」
グレーテル「せめて、お家のことのお手伝いはさせて貰おう、って」
ヘンゼル「お礼がしたいんだよ……良いでしょ?」
グレーテル「お願い、お兄さん……」

ロック「――うわぁ、凄く嬉しいよ!……――はは、“死のうかな”」

     ・    ・    ・

双子「――耳?」

ロック「……――うん。――ああ言ったのに、申し訳ないと思ってるんだ、凄く……」

グレーテル「耳を付けて“すれ”ば良いの、お兄さん?」
ヘンゼル「そのトランクに入ってるのがそうなの?」

ロック「いや! ただちょっと撮影をするだけで良いんだよ!」

グレーテル「――うふふ、ビデオに撮られながらですって、兄様」
ヘンゼル「――楽しみだね姉様。お家の手伝いも良いけど、やっぱり“慣れてる”方が良いよね」
グレーテル「そうね、兄様。――先に私が“しても”いいかしら?」
ヘンゼル「ずるいよ姉様。僕だってお兄さんと“したい”よ」

ロック「ストップ! スト~~ップ! “そういうの”は一切無しだから!」

双子「えー?」

ロック「そんな真似をしたら――僕は、穴だらけ所か粉みじんになっちまう!」

ヘンゼル「お兄さんは、“穴を埋める”だけで良いよ?」
グレーテル「私達に任せて。それだけで“良い”から」

ロック「――ととッ、とにかく! 耳を付けてる恰好を撮影させて貰えれば十分だから! 本当に!」

ゴソゴソッ!

双子「むー」
ロック「うん、ほら、コッチのトランクには猫耳が入ってて、こっちのトランクには犬耳と尻尾、が……」
グレーテル「――あ、お兄さんは“後ろ”の方が好みだったのね」
ヘンゼル「でも、一つしかないよ?――それにしても、なつかしいなぁ」

バタンッ!

ロック「……――こっ、これは違うんだ!」
ヘンゼル「? 僕達に、あれをつけろってことじゃないの?」
グレーテル「恥ずかしがらなくても良いのよお兄さん」
ロック「こ、これは……その……」

双子「?」

ロック「……――僕が使おうと思って――後で、自分で……」

グレーテル「まあ、そういう事だったのね!」
ヘンゼル「早く言ってくれたら良かったのに!」

ロック「……――だけど、それは“一人でする”のが好きなんだ。
    人に見られてってのは――趣味じゃない」

ヘンゼル「大丈夫だよ、お兄さん。僕達だったら、絶対お兄さんを満足させてあげる」
グレーテル「さあ、お兄さん。ズボンを脱いで、お尻をこちらに向けて――」

ロック「――いいかい? 君たちはまだ子供だし、僕はもう大人なんだ。
    “大人には、大人のやりかた”ってもんがある。――こればっかりは、絶対駄目だ」

双子「……」

ロック「……気持ちだけ受け取っておくよ。そして、今は僕は“あっちで”楽しむつもりはない。
    今は――君達が可愛い耳をつけてポーズをとってるのを撮影したいんだ」

ヘンゼル「……――つまり、僕達がお兄さんの“あっち”の世話をするのって……」
グレーテル「もしかして……余計な事だったのかしら。――ごめんなさい、お兄さん」

ロック「――いや、気にしなくて良いよ。……本当に気にしないで、お願い……」

戦闘力はなし

強いて言うなら強いのは運と話術と…

あと何だ?

     ・    ・    ・
翌日――ホテル・モスクワ事務所

ロック「――これが約束のものです」
バラライカ「スマートな仕事って好きよ、ロック」
ロック「……もう、こんな事は二度とごめんですからね」
バラライカ「ふふっ、何度もお願いしたい所だけど、
     貴方を怒らせるとあの子達が悲しみそうだからやめておくわ」
ロック「……例のテープは?」
バラライカ「“何のことかわからないわ、ロック”」
ロック「――ええ、俺も“どうしてここに来たのかサッパリ思い出せませんよ”」

バラライカ「歳をとるのは嫌よね、ロック」

ロック「俺は、バラライカさん位の年齢の女性が一番好みなんですよ」

バラライカ「……――冗談でしょう?」
ロック「さあ、“どうでしょうね”」
バラライカ「――くくく……ロック、仕返しとは良い度胸じゃないか。また一つ悪党になったな」
ロック「光栄ですよ、ミス・バラライカ」

                       ,.ヘ、___ __
                    ,心、_| ハ \ミ\ \ヘ癶、

                  /ノ ノ rミl:l:lハ  ヽ `ヽ \ー'\
                 〈  /  |ジ´,,´´} /Nヽ ト,l\ V Yヘ
                 ノ 〈l  lハ  ゞjノー--H/、| } lハ \〉

                // / Nゝ!'^`ヽ  ~''´_,z≧、_N | l ∧ ヽ
               /  l {イ弓彡、ミ_j  、_´¬‐’='^j/ l ハj)ハ  ラララライ!ラララライ!
                |  l ! トト!〃_(・'`/        ゚ // /イ 〉 |
                \l,! ヘ|Z彡7ヽ r、      !イ/ /ト! } |      ∫⌒
                 ヽ、|ミ彡彡{          ス//|rノ |

                   |lマ三彡7∠_ 二`ニー'    j/´| ! |       ((
                   | l∨辷/           |  | ! |    ( ⌒ )
                   | ll \払   ´ ミ      /|  | ! l   (~  ノ
              /}       | |l  l\}         /ケl  |   |   ノ
     ヾ 彡\ /ー'/        ! li  | l |\           |  |   lヽ∫
    /`ヾ /  /       ノ| l  | llハ ::::\ _ ィ   _ィ|  |l   r_i~\
   /  /  / \─‐-、_/ム|  l  l/ハ  ヾ壬/   `ヾ|  l|ハノ人、ヽ_三⌒ヽ
  | _/  /‐ヾ、ノリ\::::::::::::::::|  l |三∧    _ _    __,|z ニ1'\ヘ\ _`ヽ_ミリ
  ヽ  ー'´ー=ハヾ、ジ ==二_ァこ- |-¬'}^´ ̄ー´  ̄   │! lヘ:::::::`ー--..、ル(_rヘ
   l     _/  〉:::::::::::::::::::::::/  ノ |  /     ノ    ',  、、\::::::::::::::::::::`丶、
   |l       .ィ:::::::::::::::::::::::/ ハ/  l ─--、   く_.. --─∧ゞ ニ _\__:::::::::::::::::::::
   /::\    ´ ヽ:::::::::::::::::/{ !  _ノ|ゝヘ   `~    z‐、/::::::\ _ ヽ ム:::::::::::::::::
  /:::::::::∧      }::::::::::::〈 ノヽソ (::::||彡〈       〈ミ/::::::::::::::::::ソ フ ノ::::::::::::::::

ああ…まさにそれだ。
スキル主人公だ。

誰かこれでスレ立てて

スレタイ

ナヴィ「ヘイ、リンクいつまで寝てやがんだ!」

本文

リンク「黙れこのアマ、切り刻まれたいのか?」

>>175
ヘイ!
ワッチャウト!

全然読んでないがまさかバラライカSSやってるとは
早くかえってゆっくり『俺の嫁』を堪能してぇぜベイビー

     ・    ・    ・
三合会、張のオフィス

張「――あんまり怒るなよ、ロック。もう済んだ話じゃねえか」
ロック「ミスター・張……俺は、あんたのおかげであの子達に……クソッ!」
張「ちょいとしたミスさ。ミスは誰にだってある、そうだろう?」
ロック「……はぁ、ミスじゃ済みませんよ……もう……」
張「――それで、テープの方は?」
ロック「ここに」

スッ―

張「さすがだな。今度もまた――おいおい、そんな顔をするな。冗談だよ、冗談」
ロック「冗談に聞こえませんよ、全く……」
張「なあ、所で俺が渡したブツはどうしたんだ?」
ロック「ああ、アレですか。――実はですね、少しの間化してもらいたいんですよ。
    玩具の少ないここじゃ、ミスター・張と“ミス・X”の物は遊び道具に適してるみたいなんで」
張「成る程、そういう事か。――それなら良いぜ、プレゼントするさ」
ロック「良いんですか?」
張「当たり前だろう?」

張「――耳ってのはな、それだけじゃ何の役にも立たねえのさ」

じゃあさロックを好きな女性or男性はどのくらいなのかな

原作見たこと無い奴用
http://imepita.jp/20090131/769230

>>181
レヴィはフラグ立ってる
但し相手がレヴィの時点で(ry
>>182
確信犯乙

レヴィが答えたくねえなって言ってたとこから迫ったけどスルーされたと思ってるがどうなんだろう

>>190
あれは「それどころじゃなかったんだよクソが」の意かと

>>194
気はあるけどそういう状況でもなかったからって事?まあ確かにレヴィ的には気があるって事を言いたくないだろうしなあ
特に相手が相手だったしwww

     ・    ・    ・
同時刻――ロック自宅

レヴィ「……」

グレーテル「どうしたのお姉さん、まるで目が空洞のよう」
にゃーん
ヘンゼル「口も開きっぱなしだよ。何かあったの?」
わんっ

レヴィ「……――おい、クソガキ共。こりゃ一体どういう事だ?
    いつからここは――楽しい楽しいわんにゃんランドになっちまったンだ?」

ヘンゼル「昨日の夜からだよ、お姉さん。――お兄さんが持ってきてくれたんだワン」
グレーテル「楽しかったわね、撮影会。またやりたいわわ。――今度はお姉さんも一緒にどうだニャ?」

レヴィ「ちっと黙れ、ッつうかそのムカつく喋り方はなンだ? 保健所でガスを吸いたいってンなら手伝うぜ」

ヘンゼル「これは、お兄さんの要望だワン」
グレーテル「お姉さんはゴリラさんかしらニャ」

双子「――フフフフ」

レヴィ「……――オーケー、園長先生が帰ってきたらまとめてミンチにしてやっから覚悟しな」

>>196
日本編でかなりシビアな展開があったから。
気ぃ使って「さっさと行っちまえよ」言ったのに残ったことでフラグはバッチリ立ったが…

あの状況でヤれるほどレヴィもアレじゃないだろ。

>>200
レヴィけものみみフラグ…!

立ってませんねそうですね。

ヘンゼル「どうする姉様、このままじゃ僕達はハンティングの的になっちゃうみたいだワン」
グレーテル「大丈夫よ兄様、このお姉さんはお兄さんがお気に入りみたいだニャン」

レヴィ「ヘイ、黙れよクソガキ共が。勝手な事ゴチャゴチャ言ってンじゃネェ。
    ――いいか? アタシは今すぐにでもお前らを豚の餌にしてやっても良いんだぞ」

グレーテル「――あまりからかうのはやめてあげましょうか。だって、ねえ兄様?」
ヘンゼル「そうだね。ここでやってもいいけど――掃除が面倒そうだしね、姉様」

レヴィ「……上等だよ――ぶっ殺してやる」

ヘンゼル「ねえ、お姉さん。――お姉さんは、お兄さんと仲が良いんだよね?」
グレーテル「毎日のように会ってるんだもの。仲が悪いとは思えないわ」

レヴィ「命乞いか?」

グレーテル「質問があるの。“お姉さんは、どうやって一人でお尻でするのが好きなお兄さんを落としたの”?」
ヘンゼル「それを教えてくれるなら、お姉さんを殺すのは許してあげるよ。“お兄さんとするためだしね”」

レヴィ「……――お前ら、誰のことを言ってンだ?」

oh…

     ・    ・    ・

ロック「――やれやれ、ようやく厄介事が全部片付いた。
    全く、“すり減る”だけで何の得もない“お願い”だったよ……はぁ」

ガチャッ

ロック「ただい――」

レヴィ「――よう、ロック。お前がこンなに動物好きとは思わなかったぜ?」

ロック「――ま……」

グレーテル「おかえりなさい、お兄さん。今日はどんな事をして楽しむのかしら」
ヘンゼル「今日はお姉さんも入れて、四人で楽しむのはどう? ねえ、きっと楽しいよ」

レヴィ「おーおー、随分懐かれてるじゃねェかよ園長さん。一体どンなマジックを使ったンだ?
    ――はっは、そうか。お前のジャパニーズ・マジカル・ステッキでも使ったンだな!」
ロック「なっ、何を言ってるんだ!?」
レヴィ「……ああ、悪ィ悪ィ。お前は一人遊びが好きだったらしいな。
    ――それも、バック・ファイヤーが出る程強烈に」スッ…
ロック「!? そ、それは違――待て! 違うんだレヴィ!」
レヴィ「――尻を出せロック、弾代がもったいねェからコイツを使ってやるよ、感謝しな」

ロック「や、やめ――」

レヴィ「――動物好きのお前には二発ぶち込んでやるよ、ロック。――アホウドリは好きかい?」


おわり

[おまけ チャンバラ編]

バラライカ「さて……ロックの届けてくれたブツを楽しむとするかな」

     ・    ・    ・

張「人払いは済んだ。――ショー・タイムの始まりだ」

     ・    ・    ・

ヘンゼル『ねえ、姉様。僕の方が犬耳で良かったワン?』
グレーテル『その方が合ってるって“お告げ”が合ったらしいニャン』
ヘンゼル『でも、姉様。そのお告げって、一つ忘れてるワン』
グレーテル『そうね、兄様。ちょっと試してみるニャン』

双子『男ー』

双子『女―』

     ・    ・    ・

張「――はん、くだらねえな。“そんな事は問題じゃあない”」

     ・    ・    ・

バラライカ「重要なのは――獣耳、だもの」

アト 俺 ガキ。

こんなくだらねえもん最後まで読んでくれてありがとうよ、クソッタレ共

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