モバP「絡新婦の糸」 (106)

モバマスSSです。

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卯月「それでねー…」

凛『卯月、ごめん、そろそろ明日に響きそうだから…』

卯月「あ、そっか。ごめんね凛ちゃん」

凛『別にいいって。卯月と話すの楽しいし』

卯月「そう言ってくれると嬉しいな。それじゃ、明日も頑張ろうねっ!」

凛『そうだね。おやすみ』

卯月「おやすみー」

京極堂?

卯月「…ふぅ。まぁ、凛ちゃん、今日頑張ってたしなぁ…」
卯月(でも、まだ、誰かと電話で話したい気分かも…)

卯月「あ、そうだ。そう言えば、Pさんも長電話が好きって言ってたし、ちょっと電話してみよっと」

卯月(流石にお仕事してたら、切らなきゃだけど…)ピポパ

ガチャ

卯月「あ、もしもし、Pさんですかー?」

卯月「今、時間とか平気ですか?」

 『平気だよ』

卯月「あ、良かった。実は――」ブツッ

卯月「…ん?あ、切れちゃってる」

卯月「トンネルでも入っちゃったのかな?」

卯月「あれれ?私の方が圏外になっちゃってたんだ」

卯月(部屋で圏外になるなんて珍しいなぁ…)

卯月「あ、戻った」

卯月「そ。それだったらPさんからびっくりしてるだろうから、急いで電話返さないと…」ピポパ

ガチャ

卯月「あ、Pさんですか?」

>>3
違うんですよね。申し訳ありません。

確かにタイトルがモロ被りしてますね…。今後は注意します。

事務所

P「いや、仕事が終わらないなぁ…」

ちひろ「嬉しい悲鳴ですね」

杏「杏的には、ただの悲鳴なんだけど」

楓「うふふ…」ポチッ

P「楓さんなにテレビ弄ってるんですか?」

杏『いや、まぁ、杏的には――』

杏「ぐわ、なんて物流してるんだよー…」

P「お、これはこの間の仕事の時のビデオか」

杏「な、なに見てるんだよー。こんなものは」ピッ

楓「あら…残念」

杏「はぁ…、どうしてもって言うから出た番組を録画されてるとは…」

ちひろ「私達はウチのアイドルが出た番組は一応録画してありますからね」

杏「全く、こんな辱めを受けたら、杏はもう部屋から出たくなくなるよ…」

杏「そういやさー」

P「どうした?」

杏「あんまり気になってないんだけど」

P「変な前置きだな」

杏「その蛇みたいなのは、なんで付けてるのさ」

P「楓さんに貰ったからだな」

楓「私のプレゼントですよー」フフーン

杏「意味とかあるの?」

楓「…さぁ?」

杏「なんで、そっちが首を傾げるのさ」

P「縁起は良いと思うものだとは思うけど」

楓「そうですよねー」

杏「ふーん。そうなんだ」

P「縁起がいいと言えば、鶴とか、龍とか、蜘蛛とかもそんな話を聞いたことがあるな」

杏「他のはともかく、流石に蜘蛛のキーホルダーみたいなのしてたら嫌なんだけど…」

ちひろ「私も出来れば、そういうのは…」

P「いや、しないですよ」

P「さて…ようやく終わった」

楓「……」ワクワク

P「生憎ですが、今日はもう帰りますよ」

楓「…はぁい」シュン

P「家まで送りますから」

楓「なら、許してあげます」

杏「あ、杏はどうなるんだ…」

P「送ってくぞ」

杏「ならよし」

P「ちひろさんも乗りますか?」

ちひろ「え、いいんですか?」

P「えぇ、勿論無理にとは言いませんけど…」

ちひろ「お願いしていいですか?」

P「はい。それじゃあ皆で帰りましょうか」

車内

楓「そう言えば…ちひろさんはアイドルにならないんですか?」

ちひろ「わ、私は、そういう感じじゃないんで…」

楓「そうなんですか…」

杏「杏の代わりにやってもいいよ?」

ちひろ「それは絶対無理ですって…」

P「ははは…」

P(そう言えば、今日もいるのかなぁ…)チラッ

文香「あ…」ペコリ

P「……」ペコリ

杏「誰か知り合いでもいたの?」

P「まぁな」

ちひろ「また、新しい子でもスカウトしようとしてるんですか?死んじゃいますよ?」

P「流石に死にはしないと思いますけどね…」

楓「それでは、ありがとうございます。お酒はまた今度にしましょうね」

P「えぇ、楽しみに待ってます」

楓「それでは…やみのまっ!」

P「お疲れ様です」

P(気にいったのかなそれ?)

ちひろ「それじゃ、ありがとうございました。杏ちゃんもお疲れ様」

杏「ん。ばいばーい」

P「お疲れ様です」

ちひろ「はい。お疲れ様です」

P「起きてるか?」

杏「まだ、寝てないよ」

P「また、微妙な言い方だな」

杏「いや、すぐ寝れるけど寝てないって感じかな。どうせちょっとすれば家に着くわけだしね」

P「まぁ、その通りだな」

杏「で、なに?杏が起きてるかなんて確認するなんてさ。着いたら確認すればいいのに」

P「…アイドルはどうだ?」

杏「…いきなりなにさ?」

P「いや、最近事務所に来ても、だらだらしてばっかだからさ」

杏「はぁ…。まだ、杏のことが分からないのかなぁ」

P「どういうことだ?」

杏「どうもこうもないよ。それに、杏はまだ印税稼いでないからね。辞めるわけにはいかないよ」

P「そうなのか?」

杏「ここで辞めた方が面倒だって、杏の楽したいレーダーがビンビンに反応してるからね」

P「そうか。ならいいけど」

杏(意外にこういう生活も悪くないかもしれないし…)

杏「なになに?杏には辞めて欲しくないってこと?」

P「ははは。そもそも、俺は自分がスカウトしてきた人は、この世界で成功させてやりたいさ」

P「それが、責任だからな。この世界に引き込んだ俺の」

杏「変に義理堅いというか、何と言うか…あーもー」

P「どうかしたか?」

杏「珍しく真面目に話そうと思ったら、体が拒否反応を起こしたよ…」

P「まぁ、確かにこんな風に真面目に話したのは久しぶりだからな」

杏「杏寝るから、着いたら起こしてね」

P「はいよ。おやすみ」

P(辞める訳にはいかない…か。嬉しいな)

駐車場

P「杏起きろ」

杏「ん?もう着いたの?早いね」

P「自分がちょっとで着くって言ってたじゃないか…」

杏「言われてみればそうだった。さぁ、早く布団にダイブしなきゃ」

P「おやすみ」

杏「ん。おやすみ」

P「俺も寝なきゃな。明日も早いし」

ピリリリリ

P「ん?電話か?あ、切れた」

P(非通知か。誰からだろう…?)

P「返せないし、気にしなくていいか」

翌日

事務所

泰葉「おはようございまーす」

P「お、おはよう」

泰葉「あ、おはようございます。今日は机に向かってるんですね」

P「…どういうことだ?」

泰葉「いや、最近来ても、外回りばっかりで会ってなかったなぁって思って」

P「確かに、この時間はいつも外回ってる気がするなぁ。まぁ、たまには整理しないと訳が分からなくなるからな」

泰葉「予定がブッキングしたら、嫌ですもんね」

P「そういうこと。えーと…泰葉は、今日仕事?」

泰葉「いいえ。レッスンです。あと、家にいると一人なんで寂しくて」

P「そういうことか。…変な話、俺が事務所閉めるまでいてもいいぞ?送っていくから」

泰葉「流石にそこまではいないと思いますけど。…その時はお願いしますね」

古典の人来たか?

卯月「おはようございまーす」

P「おはよう。元気だな」

卯月「えぇ!元気ですよ。今日も頑張ります」

卯月「それより、Pさんは元気ですねぇ。あんなにおしゃべりしたのに」

P「…ん?」

卯月「まぁ、お喋りって言っても私がずっと喋ってただけなんですけどね。電波が良くなかったのか、偶にノイズも掛かってましたし」

P「んん?」

卯月「あれ、覚えてないんですか?私、昨日電話しましたよね?」

P(電話…、あぁ、昨日の非通知のやつかな?いや、でも…?)

卯月「Pさん?」

P「あ、あぁ、来たよ」

卯月「ですよねー。昨日は長々と付き合って下さってありがとうございました。それじゃ、今日も一日頑張ってきますね」

P「おう、行ってこい」

卯月「それじゃ、レッスン行ってきまーす」

>>20
こんばんは。他のシリーズ書いてたりでちょっと離れてました。

泰葉「随分と機嫌が良さそうでしたね」

P「そうだなぁ…」

泰葉「どうかされたんですか?」

P「いや、さっき卯月が電話したって話をしてたよな」

泰葉「はい。電話来たって言われてたじゃないですか」

P「実は、心当たりがないんだ」

泰葉「はい?」

P「卯月から掛かってきたか分からない非通知が一本、それに俺は電話に出てないんだよね」

泰葉「え、でも…」

P「卯月は話したらしいしなぁ。夢の可能性もあるけど」

泰葉「それか、勘違いとか」

P「勘違いなのかなぁ…」

P「夢と言えば一つ思い出したんだけど」

泰葉「はい。なんでしょうか」

P「昔の人はさ、夢に誰かが出てきた時、それは向こうが自分のことを思ってるからだって思ったらしいよ」

泰葉「向こうが…?」

P「言い方が悪かったか。えーとな、向こうが自分のことが好きだからわざわざ夢の中にまで会いに来てるんだそうだ」

泰葉「…なるほど」

P「いや、まぁ、実際の真偽は分からないけど」

泰葉「そもそも、その人の頭の中を覗けるわけじゃないですしね」

P「それもそうだな」

ガチャ

杏「本気で疲れたんだけど…」

楓「かみのみっ!」ビシッ

楓「お疲れ様です」

P「はいはい。二人共お疲れ様」

泰葉「あ、お疲れ様です」

杏「あ、飴を…くれ」

泰葉「飴ですか?はい」

杏「ん。…ふぅ。はぁ、生き返った。本当に死ぬかと思ったよ」

泰葉「あはは…。そんなに頑張ったんですか?」

杏「ん?まぁ、杏的には頑張ったよ」

楓「私も疲れてしまいました」チラッ

P「ん?」

楓「疲れちゃったなぁ…」チラッ

P「…お疲れ様です。お茶とお茶菓子持ってくるんでそれまで飴でも舐めてて下さい」

楓「ありがとうございます♪」

菜々「お疲れ様…って今日は珍しいペアですね」

杏「あ、あべななさんじゅうななさいだ」

菜々「同い年ですよー杏ちゃん」

楓「またお酒飲みましょうね」

菜々「だから…もういいです」ハァ

P「お、お疲れ様」

菜々「今日もバッチリでしたよ。Pさんの顔に泥を塗るような真似はしません」

P「流石です。ただ、怪我には気を付けて下さいよ」

菜々「お気遣いありがとうございます。と言うか、そういう無理しないようにスケジュール組んでる癖に」

P「そうでしたか?」

杏「いや、違うと思うよ。杏に対しては酷いって」

泰葉「そんなことはないと思いますけど…」

泰葉「……キャ!」

P「ど、どうした!?」

泰葉「く、蜘蛛がそこに…」

菜々「え、ちょっとそういうのは…ナナもダメなんですけどっ!」

杏「退治したら起こしてね」

楓(どこにいるんだろう…?)キョロキョロ

泰葉「ほらっ、早くお願いします」

菜々「ちゃちゃっとばばっとお願いします」

P「は、はぁ…」

P(結構小さい蜘蛛だなぁ…。たまに俺の部屋にもいるし)

泰葉「てぃ、ティッシュ入りますか?」

P「いや、平気だよ。潰すわけじゃないから」

菜々「ど、どうするんですか?」

P「ちょっとこうして…」ポイ

菜々「さ、流石ですね…」

泰葉「寿命が縮みました…」

P「蜘蛛が苦手なんだな」

菜々「得意な子なんてあんまりいないと思いますよ」

杏「…ん?もう終わったの?」

P「本当に寝てたのか…」

杏「まぁね。それよりどうして潰さなかったの?」

P「なんとなくな」

杏「ふぅん?」

菜々「それじゃ、お疲れ様でーす」

泰葉「お疲れ様でした」

P「あ、お疲れ様。送るよ。楓さんや杏はどうする?」

杏「勿論帰る」

楓「私も帰りますよ」

P「それじゃ皆纏めて送りますね」

菜々「ありがとうございます。それじゃ若い順に…」

杏「菜々さんが最後かぁ…」

菜々「ちょ、ナナはリアルJKですってば!」

事務所

P「ただいま帰りました」

ちひろ「あ、お疲れ様です」

P「ちひろさんもそろそろ帰らなくて平気なんですか?」

ちひろ「その言葉をそのままお返ししますよ」

P「そうですかね…?」

ちひろ「勤怠管理を付けてるのは私なんですからね。エナドリとスタドリで誤魔化しているとはいえ…」

P「大丈夫ですよ。ちゃんとリフレッシュしてますから」

ちひろ「…でも」

P「そうですねぇ…。それじゃ、近い内に半休を何日か取らせていただきますよ」

ちひろ「そうして下さいね」

ちひろ「それじゃ、私はお先に失礼します。八時過ぎに上がってしまうなんて申し訳ない気もするんですが…」

P「いえいえ、お仕事お疲れ様でした」

ちひろ「はい。お疲れ様でした。プロデューサーさんも九時には帰って下さいよ。残業しすぎると光熱費がその分かかっちゃうんですから」

P「それもそうですね。それじゃ、今取り掛かってるものを終わらせたら帰ります」

ちひろ「約束ですよ」

P「はい。約束です」

ちひろ「それじゃ、お先に失礼します」

P「さてと、もう一息だな」

P「よし、終わった。時間は……九時か」

P(ちひろさんとの約束は守れたか)

ピリリリ

P「はい?」

ちひろ『ちゃんと帰る準備してますか?』

P「えぇ、丁度帰ろうとしてました」

ちひろ『なら、いいです。おやすみなさい』

P「はい。おやすみなさい」

P「ちょっと前の自販機でコーヒーでも買ってくるか」

P(今の時間にエナドリ飲んでも変に目が覚めちゃうし)

P「あ、どうも」

文香「……はい?」

P「どうも、こんばんは」

文香「…あっ、こ、こんばんは」

P「奇遇ですね」

文香「そ、そうですね」

P「お手伝い帰りですか?」

文香「はい。今日もお客さんはほとんど来ませんでしたが…」

P「まぁ、商売繁盛を掲げるような商売じゃないですからね」

文香「そうですね。それに…そうじゃない方が私は嬉しいです」

文香「静かで、落ち着きますから」

一時中座します。

P「そうですか。これから、お帰りですか?」

文香「はい。そうですけど…」

P「もし、よければお送りしますよ」

文香「え、わ、悪いですよ」

P「大丈夫ですよ。あ、でも…車だしなぁ」

文香「く、車はちょっと…」

P「そうですね。それじゃ、駅まで歩いて送りますよ」

文香「あ、どうもすみません…」

P「そう言えば、本関係の話で聞きたいことがあるんですが」

文香「はい、なんでしょうか?」

P「本の整理や、管理をしている時に虫とかいませんか?」

文香「虫ですか?そうですね…、恐らく店の形態的にいるとは思うんですが、
私は見たことがないですね」

P「そうですか。…あ」

文香「どうかされましたか?」

P「靴に虫が…」

文香「ひっ!と、取って下さい」

P「…はい。取れました」

文香「……ありがとうございます」

P「あの、抱き着かれたままだと、一目が…」

文香「す、すみません…」

文香「これは、えーと…その…」

P「いや、うちの事務所でも虫が苦手な子が多いですから、気にしないでも平気ですよ」

文香「そ、そうですか?」

P「えぇ」

P(いきなり、抱き着かれたから少し、びっくりしたけど…)

P「今日も小さい蜘蛛が出ましてね。大騒ぎしてましたし」

文香「蜘蛛ですか。私もあまり得意ではないですね」

P「男からすると虫とかは結構好きなんですけどね」

文香「そう…なんですか?」

P「えぇ、子供の頃はよく虫取りをしてました」

文香「なるほど…」

文香「そう言えば、蜘蛛ってちょっと、妖怪みたいですよね」

P「言われてみれば、昆虫…、あ、昆虫じゃないのか、そういう感じの虫の中では結構奇抜ですね」

文香「お話でも、巣を張って人を待ち構えて、襲うという類の話が結構ありますね」

P「まぁ、妖怪として描かれる場合は大体人と戦ってますからね」

文香「言われてみれば、そうですね」

文香「…もし、現代風の蜘蛛の妖怪がいたとしたら」

P「はい?」

文香「今だったらどういう風に描かれるのかなと思いまして。いつの時代でも話の骨子は変わらず残っていますから。」

文香「醜女が山姥になったように」

P「確かにそうですね」

文香「あれですかね。今の時代に巣を張るんだったら私だったら電話回線とか、そういう糸で巣を作りますかね。それの方が人を効率的に集められそうですし…」

P「面白いことを言いますね。都会を生きるカラスの巣みたいですよ」

文香「本ばかり読んでるとこういうことばかり考えてしまってですね…」

P「月が綺麗ですね」

文香「そうですね…。晴れてますし」

P「知ってましたか?月には兎がいるらしいですよ」

文香「ロマンチックですね。私は蟹もいると思いますけど…」

P「そうですね。いましたよ」

文香「…実際に行かれたんですか?」

P「そこは企業秘密ですね」

文香「…ふふ。そうですか」

文香「そう言えば…」

P「なんですか?」

文香「かつて、ある作家が『I Love You』を『月が綺麗ですね』と訳したことがあることをご存知ですか?」

P「えぇ。あ、でもさっきのはそう言う意味じゃ…」

文香「えぇ、分かってます。いきなり…そんなことを言われてしまっても…ムードもへったくれもありません」

P「そうですね」

文香「あの時代は愛という言葉自体一般的ではなく、情の時代でした」

文香「その時代の人にとって愛しているなんて直接的な表現は無粋だったんでしょうね」

文香「だから月が綺麗と言ったそうです」

P「そうなんですね」

文香「まぁ、尤も、最近は恋愛小説なども流行り、好きだ、愛してると言う言葉も少し軽くなったような気もしますけどね」

P「確かにドラマでもよく言いますからね」

文香「同じように、二葉亭は死んでもいいと訳しましたね」

文香「ツルゲーネフからの引用ですが、私は愛しい人に死んで欲しくはないのですけれど」

P「皆そうでしょうね。ただ、それほどまでに思っていると言うことでしょうか」

文香「…そうなのかもしれませんね」

P「ちなみに鷺沢さんだったらなんて訳をつけますか?」

文香「わ、私ですか?」

文香「そ、そうですねぇ…」

文香「……」

P「さ、鷺沢さん?」

文香「待って下さい。考えていますから…」

文香「…どうやら私には彼らのような才能はないようです」ハァ

P「ど、どうかしましたか?」

文香「……下さい」

P「はい」

文香「『傍にいて下さい』ですかね…」

文香「愛してくれなんて言いません。ただ、傍に入れるだけで…」カァァ

P「素敵ですね」

文香「や、やっぱり…わ、忘れて下さいっ!」

P「それでは、お疲れ様でした」

文香「はい。それではありがとうございました」

P「今日は、御茶ノ水でいいんですね」

文香「え、あ、はい。そうですね。そういう気分なんです」

P「それじゃ、失礼します」

P「今日は割と早く帰ってこれたな」

ガチャ

美嘉「それじゃあねー」

P「ん?なんだ来てたのか」

周子「んー?あ、Pさんじゃんお疲れ」

美嘉「本当に隣なんだね…」ハハハ

P「まぁ、隣だよ。どうかしたのか?」

周子「いやいや、ちょっと女の子だけでお話をね」

美嘉「Pさんには秘密だよ」

P「そうか。まぁいいけど…」

周子「そこはもう少し興味を持って欲しいんだけどね」

美嘉「まぁ、Pさんだしね。それじゃ★」

周子「じゃあねー」

P「ちゃんと帰れよー」

美嘉「大丈夫。ママに迎えに来てもらえるからっ」

周子「元気だねぇ…」

P「そんな年寄みたいなこと言うなって」

周子「あはは。そうだね」ピロリロリーン

P「ん?なんの音だ?」

周子「あ、アタシの携帯みたい」

P「誰からだ?」

周子「えーと、泰葉ちゃんだね。ってなんでPさんに教えてるんだろ、アタシは…」

P「まぁ、内容までは聞かないからさ」

周子「…ふーん」チラッ

P「ん?」

周子「Pさんちょっとこっち来て」

P「ん?あぁ…」

パシャ

周子「ありがと。送信と」

P「何がなにやら…」

周子「えっとね、泰葉ちゃんがドールハウスを作る時の参考にしたいから、部屋の写真送ってって、以前作ったラインのグループで言われたんだよね」

周子「だから次いでにツーショットも撮ったんだよ」

P「だから。って話繋がってるか?」

周子「細かいことはいいんだよ。Pさんらしくもない」

周子「あはは。思った通りの反応が返ってきたよ」

夕美『なになに?新婚さん?』

泰葉『今、二人きりなんですか?』

P「卯月は見てないんだな」

周子「まぁ、寝てたりするんじゃない?」

ピロリロリーン

周子「あ、卯月からも反応が返ってきた」

卯月『今、Pさんと電話してるからあとで送るねっ』

周子「……ん?」

P「どうかしたか周子?」

周子「いや、卯月がさ――」

P「俺と電話?いや、どう考えてもしてないだろ?」

周子「だよね」

P「寝惚けてるのかな?」

周子「いや、絵文字顔文字使って返事してるのに寝てるってことはないでしょうに」

P「だよなぁ…」

周子「もしかして、卯月のプロデューサーが代わったとかってことは?」

P「ない。絶対にない。あり得ない」

周子「そこまで言うならそうなんだろうね…」

周子「それじゃ、なんだろうね」

P「ちょっと、電話してみるか…あ、圏外だ」

周子「いやいや。圏外じゃないでしょ。あたしが使えてるんだし」

P「そうだよな…。あ、wi-fiなら入るみたいだ」

周子「故障でもしたのかね?」

P「さぁな。とりあえず電話してみる」

卯月『もしもーし?』

P「あ、卯月か。今大丈夫か?」

卯月『大丈夫もなにも今まで電話してたじゃないですか』

P「あ、そうだったな。それでなんだが、明日事務所に来てくれるか?予定が変更になったんだが、口頭で伝えるのが心配でさ」

卯月『分かりましたー』

P「それじゃ、ちゃんと寝ろよ」

卯月『はーい。おやすみなさい』

周子「Pさんやっぱり電話してたの?」

P「してないよ。だけど俺がしてないって言うと不安に思うかなと思ってさ」

P「それに、予定が変更になったのは事実だし」

周子「なるほどね。流石はプロデューサー」

P「茶化すなって」

周子「そう言えば、ご飯食べたの?」

P「いや、食べてないな」

周子「食べてく?美嘉と一緒に作ったんだけど」

P「そうなのか?」

周子「自分たちで食べる分を作ったつもりだったんだけど、ちょっと余っちゃってね」

周子「朝ごはんにでもしようと思ったんだけど」

周子「食べたいなら食べさせてあげるけど?」

P「いいのか?」

周子「別にいいよ。それじゃ、そっちの部屋に運ぶから着替えてきなよ」

P「悪いな」

周子「まぁ、いつもお世話になってるんでこれくらいはね」

周子「失礼しまーす」

P「悪いな」

周子「いえいえ。ほら、どうぞ。現役アイドルのごはんが食べられるなんて幸せだねPさんは」

P「本当にそうだな」

周子「心して食べてね」

P「いただきます」

周子「……」ジー

P「向こうに行かないのか?」

周子「だって、片づけるのアタシだし」

P「まぁ、いいか」

周子「そうそう。そう言えば、どうするの?」

P「どうって?」

周子「だから、よく分からない状況になってるんじゃん」

P「まぁ、何とかなるさ」

周子「なるといいね…」

P「大丈夫だよ」

周子「そこまで言うならいいけど…。あ、と言うかこの間ダーツ貸してあげたじゃん?」

P「借りたな。その節はどうも」

周子「返して貰ってからよーく見たら微妙に曲がってるんだけど?」

P「あ、ごめん。それじゃ、新しいの買ってやるからさ」

P(流石に梟退治してましたとは言えないな)

周子「それじゃ、一緒にPさんのも買おうよ」

P「俺が買っても使う暇ないと思うんだけど…」

周子「いいじゃん。持ってるだけでも。お洒落だし」

P「ま、まぁ、いいけど」



周子「それじゃ、おやすみなさい」

P「おやすみ。ごちそうさま」

周子「いえいえ。どういたしまして」

事務所

P「今日も一日頑張るか」

P(でも、電話回線で巣を張る蜘蛛か…。面白いことを言うなぁ鷺沢さん)

ちひろ「あ、おはようございます」

P「あ、ちひろさん早いですね」

ちひろ「プロデューサーさんと変わらないですよ」

P「今日も一日頑張りましょうか」

ちひろ「はいっ、千川ちひろ頑張りますっ!」

P「…卯月のマネですか?」

ちひろ「はい。元気が出ると思って」

P「確かに元気出そうですね」

ちひろ「私は出ましたよ!」

P「それは良かったです」

P「朝の静かな空気って結構好きなんですよね」

ちひろ「私も好きですよ」

P「換気でもしてきますね」

ちひろ「だったら、私はお茶でも淹れてきますね」

P「お願いします」

P(どうしたものか…)

ちひろ「何か考えごとですか?」

P「えぇ、ちょっと。絡新婦を倒す方法を…」

ちひろ「えっ!?ど、どこですか…」

P「あ、ここにはいませんよ」

ちひろ「じゃ、じゃあどこにいるんですかっ!?」

P「とりあえず、虫の蜘蛛の話じゃないです」

ちひろ「それじゃあ…ゲームの話ですか?」

P「いや、ゲームじゃないですけどね」

ちひろ「うーん…じゃあミステリーか何かですか?敢えて読み進めずにトリックを考えているとか?」

P「いや、そんな話じゃないんですけどね」

ちひろ「それじゃ、なんですか?」

P「いや、なんて言うんでしょうか…」

ちひろ「まさか、大きな闇に関わっているとか?」

P「ドラマの観過ぎですよ」

ちひろ「プロデューサーさんが言ってくれないからじゃないですか」プー

P「安心して下さい。ちひろさんには迷惑を掛けませんから」

ちひろ「そういうことを言っているわけじゃないですけどね…」

P「もしかして…心配してくれてるんですか?」

ちひろ「そ、そんなわけないじゃないですか。私は仕事してくれればいいんですよー」

P「そうですか。それじゃ、簡単にアイドルのスケジュールの確認から始めていきましょうか」

ちひろ「はーい」

P「えーと、幸子は十一時にこのスタジオですね」

ちひろ「はい。了解しました。あ、菜々ちゃんはどうしましょう」

P「そうですねぇ…、ちょっと早くなりますが、幸子を送ったあとそのまま送ることにします」

ちひろ「分かりました」

P「残りの人たちは、午前中、レッスンか学校ですね」

ちひろ「こう考えると…皆忙しいですねぇ…」

P「えぇ、嬉しい限りです」

ちひろ「私たちも負けてられませんね」

卯月「こんにちはー?」

ちひろ「あれ、卯月ちゃん?」

卯月「おはようございますちひろさん」

ちひろ「今日はお仕事?」

卯月「いえ、Pさんに呼ばれて…」

ちひろ「プロデューサーさんにですか?」

卯月「はい…。いませんか?」

P「お、卯月おはよう」

卯月「あ、どうしたんですか? あ、そう言えばお仕事の予定の変更があったとかでしたっけ」

P「そうなんだよ。まぁ、そこ座ってくれ」

卯月「はーい」

P「えーと、三日後の仕事なんだけど、時間が午後から午前になったんだ」

卯月「あ、分かりました。うぅ…、起きるの苦手なんだけどなぁ…」

P「その分、午後はレッスンだけだから頑張ってくれ」

卯月「あ、だったら、ご褒美とか貰えたら頑張れるかなーって」

P「その仕事終わったらケーキ屋でも行くか?」

卯月「ありがとうございまーす♪」

P「あ、そうだ。一つ聞いていいか?」

卯月「なんですか?」

P「昨日、俺と電話してたんだよな?」

卯月「はい。それがどうかしたんですか?」

P「いや、最近疲れがとれないのは何でかなぁと思ってさ」

卯月「やっぱり、夜遅くまで電話しちゃうと、次の日は、辛いですよね」

卯月「あ、ちょっと…」チョイチョイ

P「ん?」

卯月「明日の約束って夜の七時に事務所の屋上でいいんでしたっけ?」ヒソヒソ

P「うん?あぁ、なんの話だっけ?」

卯月「あ、寝惚けて忘れちゃったんですか? 明日の七時に誰にもばれずに屋上に来て欲しいって言ってたじゃないですか」

P「あぁ、そうだった。忘れてたわけじゃないんだ。ちょっと今朝皆の予定を確認しててごっちゃになっただけなんだ」

卯月「大丈夫ですか?」

P「平気だよ。ありがとう」

卯月「どういたしましてー」

P「あ、でも、出来たらでいいんだが、その約束を八時に変更できないか?」

卯月「いいですけど…」

P「ありがとな、実は色々打ち合わせが入っちゃってさ」

卯月「それは、しょうがないですね」

P「ちゃんとご飯奢るからさ」

卯月「本当ですか?ありがとうございますっ」

凛「あ、卯月。おはよ」

卯月「おはよー」

凛「なに?仕事?」

卯月「違うよー。もう帰るし」

凛「あ、あたしも帰るからちょっと待っててくれない?」

卯月「うん。待ってる」

凛「ごめんね。ありがと」

凛「えーと、明日の予定は…」

P「今日のレッスンはどうだった?」

凛「え?いや、うん。まぁ普通かな…」

P「最近頑張ってるって聞いてるからな。無理だけはするなよ」

凛「それくらい分かってるって。…でも、ありがと」

P「おう。もし、辛い時はエナドリでも分けてあげるから」

凛「…それは遠慮しとくね。それじゃ、ばいばい」

卯月「お先に失礼しますねー」

P「ふぅ…」

幸子「溜息なんて吐いてどうかしましたか?」

P「いや、ちょっと考え事を」

幸子「考え事ですか。そんなものはこのカワイイボクに相談すれば一発でビビっと解決ですよ」ドヤァ

P「そうか。それじゃあ相談するんだが」

幸子「え、あ、はい」

幸子(本当にしてくるとは思わなかった…。なんだろボクに答えられることならいいんだけど…)

P「圏外の携帯で電話する方法ってあるかな?」

幸子「……とんちか何かですか?」

P「いや、普通に」

幸子「それって圏外って表示が嘘になるじゃないですか」

P「だよなぁ」

幸子「そんなことも分からないなんて…大丈夫ですか?」

P「真面目なトーンで心配しないでくれ。少しだけ辛い」

幸子「あ、ごめんなさい」

P「ちゃんと謝れる幸子は偉いなぁ」

幸子「いきなり何を言い出すんですか…」

P「話を戻すんだが、実際に圏外で電話が掛かって来たんだよ。なんでかな?」

幸子「や、やけに切り替えが早いですね」

幸子「…そうですねぇ。携帯が壊れてないんだとしたら、wi-fiとか入っててそれの代わりでもしたんじゃないですか?」

P「そうなのかなぁ」

幸子「もしかしたら、電波を使わないそれこそ幽霊からの電話だったりして。まぁ、そんな――」

P「なるほどな。ありがとな幸子」

幸子「そんなことありえ…ってそんな答えでいいんですか?」

P「あぁ、ありがとな幸子」

幸子「いえ、別に…。それじゃ、ボクはカワイさを磨く為にレッスンに勤しんできますね」

P「あぁ、頑張れ幸子」

幸子「任せて下さいよっ。何たってボクですからね」ドヤ

P「幽霊からの電話…か。全くいつの時代だよ」

P「さてと、仕事仕事」



卯月「凛ちゃーん」

凛「ん?どうしたの」

卯月「いや、最近悩みでもあるのかなって」

凛「唐突だね」

卯月「だって、顔にそう書いてあるもん」

凛「…本当?」

卯月「うん。大丈夫?」

凛「平気だよ。うん。ありがと」

卯月「うん。分かった。それじゃ、何か食べに行こっか」

凛「いいね。何食べる?」

卯月「うーん…あ、あれにしよっ!」

夕美「さて、今日も元気だったかなぁ?」

P「何してるんだ夕美?」

夕美「ん?今日もお花に水やりして、お話してるんだよ」

P「話しかけると効果があるんだよな」

夕美「うん。多分、お花にも意志があるんだよ。こっちに伝える手段がないだけで」

P「夕美が言うと何となく分かる気がするな」

夕美「あ、そう? アタシが、ってのが嬉しいね」

P「いつか喋れるようになるといいな」

夕美「いや、アタシは今のままでいいけどね。酷いこと言われてたら悲しいし。お互い適度に知らないことがあった方が幸せだと思うよ」

P「でも、夕美は愛されてると思うけどなぁ…」

夕美「ん?なんで?」

P「だってさ、あの時、夕美が危ないって知らせてくれたのって花じゃないのか?」

夕美「え?いや、だって、喋らない私が来たんじゃないの?私はずっと山にいたけど」

P「そうなんだけどさ。でも、夕美じゃない夕美の正体は、実は、いつも育てていた植物たちの姿でした。とかだったら面白くないか?」

夕美「……そうだね。そうだとしたら泣くかも」

P「それじゃ、そういうことにしようか」

夕美「しよう。って言うと何だか夢がないよね。そうなんだよ。きっとそう」

夕美「それじゃ、帰って、皆にお礼言ってくるね。それじゃ、ばいばい」

P「あぁ、お疲れ様」

頼子「…お疲れ様です」

P「お疲れ。疲れてるな」

頼子「いえ…はい。そうですね。疲れています。久しぶりに…あんなに喋りました」

P「二本撮りだっけか」

頼子「はい…。明日口が筋肉痛になってそうで心配です…」

P「マッサージでもしてやろうか?」

頼子「マッサージ…ですか?」

P「そう言っても、頬の筋肉を伸ばすだけなんだけどな」

頼子「そういうのは…少し恥ずかしいので」

P「だよな。悪い悪い」

頼子「あ、いえ、お心遣いはとても嬉しいです」

P「そう言えば頼子」

頼子「はい…なんでしょうか?」

P「最近どうだ?」

頼子「最近…ですか? 楽しくやらせて頂いてますよ」

P「そうか。それは良かった」

頼子「でも…いきなりどうして?」

P「いや、今日皆のスケジュールを再確認した時にさ、ふと、皆は今の状況をどう思ってるのか気になってさ」

頼子「今の…状況?」

P「あー、分かり易く言うと、今の所、悩みごととか不安はないのかなって思ってさ」

頼子「なるほど…。よく、ちひろさんも言われてますしね」

P「そういうことだ。何もないなら良かった」

頼子「…いえ、一つだけありました」

P「なんだ?」

頼子「Pさんが最近あの本屋に行く回数が増えてきているということですかね」

P「あ、なるほど…」

頼子「何を目当てに行ってるのかは知りませんが、ね?」

P「ふむふむ…」

頼子「まぁ、全ては私があなたの心を奪えていないのが問題なのですけれど」

ちひろ「お、お二人共お茶でもどうですかー?」

ちひろ(空気がピリピリしすぎて心臓に悪いですよ…)

見ている方がいらしたら、夜遅くまでお付き合い頂いてありがとうございます。

あと三十分もかからずに終わらせる予定ですので、どうかお付き合いください。

翌日

P「さて…そろそろ七時か」

P(卯月は時間が空いたからってレッスン行ったし…平気だな)



屋上

P「全く、電話の主はどうしてこんな時間にこんな場所を指定したんだよ…」

P「……ん?」

P(あれは…卯月か?)

P「おーい、卯月?」

 「あ、なんですかー?」

P「八時に変更って言ったはずだ…が?」

 「あ、忘れてました。ごめんなさい」

P「前言撤回します。どちら様ですか?」

 「いや、だから、島村卯月ですよー」

P「どちら様ですか?」

 「だから……って無駄みたいですね」

 「確かに私はあの子じゃありません。そもそも私があの子の姿に見えるのもあなただけでしょうねプロデューサーさん」

P「俺だけ?」

 「えぇ、私はあなたが望む姿に見えるはずです。そうでもしないと誰も私と会話なんてしないでしょうし」

P「そうですか…。あなたとここで会ったことは金輪際誰にも話しません。話す相手が欲しければ満足するまで話します。だから卯月から手を引いて下さい。なんなら携帯を…」

 「手を引く…その表現が正しいとは思えませんけれど。あぁ、携帯を持っていて下さいよ。それこそあの子が本当のあなたと繋がる手段が一つ断たれてしまうのだから」

 「ただ…そうですね。このお守りでも頂きましょうか。価値がありそうですし」

P「それは…いえ、分かりました」

 「お守りも役目を果たせて本望かもしれませんね。それじゃ、失礼します。 あの子、良い子でしたよ。たまには電話くらい付き合ってあげたらどうですかね」

P「…あとで、楓さんに謝らないとな」

P(それにしても、何でこんな所に呼び出したんだろう…)

P「てっきり食べられるのかと思ったけど」

バタンッ

卯月「Pさんっ!」

P「ん?え、どうした?」

卯月「良かった。生きてた…」ホッ

P「いや、どういうことだ?」

卯月「どうしたもこうしたもありませんよ。いきなりメール打ってきたのそっちじゃないですかっ!」

P「なんて?」

卯月「これですよっ!」

P「『さよなら。楽しかったよ』か」

卯月「それで、慌ててレッスン室抜け出して来たんですよ!」

卯月「…死んじゃわないですよね?」

P「当たり前じゃないか。卯月たちをトップにすらしてないんだから」

卯月「私がトップになっても死なないで下さいよ」

P「大丈夫。死なないって」

卯月「私達の…私の傍にいて下さいね」

卯月「そう言えば、なんで屋上になんて呼んだんですか?」


P「え?」

卯月「いや、だからなんでかなぁって。もしかして、私と決闘をするつもりじゃないでしょうし」

P「いつの時代の話だよ…」

卯月「ちょっと前に観た漫画の影響で…」アハハ

P「そうだな、星を観ようかなと思って」

卯月「星ですか?」

P「ここら辺はこのビルより高いものが少ないから綺麗に見えると思ってな」

卯月「確かに綺麗ですねー!」

P「卯月、あれ見えるか?」

卯月「え、どれですか?」

P「おとめ座とウミヘビ座の間の星座なんだが」

卯月「むむむ、見えませんね」

P「そうか、あっ、流れ星」

卯月「えっ、あー、消えちゃった」

P「願いごとは言えたか?」

卯月「…忘れちゃいました」

P「まぁ、難しいよな、三回言うなんて」

P(そう言えば、子供の頃に漫画の主人公になりたいって三回願ったけど叶わなかったなぁ…)

卯月「残念です…。でも、私は、お星さまに頼らなくたって夢は叶えてみせますから」

P「強いな卯月は」

卯月「…誰かさんが私を見つけてくれたからなんですけどねー」

P「俺の目は間違ってなかったようで何よりだ」

卯月「はい。そうですよ。これからも島村卯月頑張りますっ!」

P「さてと、帰るか」

卯月「皆帰っちゃったみたいですね」

P「ちょっと寄り道していいか?」

卯月「はい。どうぞ」

古本屋

文香「いらっしゃい…あ、どうも」

P「こんばんは。本を探しているんですが…」

文香「どのような本でしょうか?」

P「絡新婦に関する本はありますか?」

文香「…ちょっと探してきます」


文香「叔父に聞いた所これだけだそうです」

P「ありがとうございます。いくらになりますか?」

文香「なんでも、売れないそうなので、読み終わったら返して欲しいとのことです」

P「分かりました。近い内に返しますとお伝え下さい」

文香「はい。分かりました」

P「あ、それと」

文香「まだ…なにか?」

P「鷺沢さんの『I Love You』の訳は意外に合ってるかもしれませんね」

文香「えっ、それって、どういう――」

車内

卯月「あ、お帰りなさい」

P「ただいま」

卯月「本買ってきたんですか?」

P「そうだよ。それじゃ、夕飯食べに行くか」

卯月「やったー♪ 泰葉ちゃんとか呼んでいいですか?」

P「別にいいけど、どこで食べる気なんだ?」

卯月「えーと、いつものファミレスで」

P「無理はさせるなよ?」

卯月「分かってますよって」

ファミレス

蘭子「ふふふ、我が血塗られた晩餐にようこそ」

P「むしろお前は招待された側だろうが」

蘭子「……むー」

泰葉「まぁまぁ」

卯月「二人共平気だった?」

泰葉「はい。問題ないですよ」

蘭子「オールグリーン、万物は我に…」

P「それじゃ、ちょっと遅いけど好きに頼んでくれ」

泰葉「あ、プロデューサーさんちょっといいですか?」

P「ん?どうした?」

泰葉「卯月さんて優しい方なんですね」ヒソヒソ

P「いや、優しいとは思うがいきなりどうした?」ヒソヒソ

泰葉「え?だって、私達を誘ってくれたのって一人暮らしだからじゃないんですか?」

P「あぁ、なるほどな」

P(周子とか杏は家が近いから一人暮らしって感じじゃないけど、二人はそういう共通点があったんだな)

泰葉「蘭子ちゃんは梟の一件から私と仲良くなって偶に泊まりに来るんですよ」

P「そんな仲良いのか」

泰葉「えぇ、とっても仲がいいです」

卯月「二人共決まったんですか?」

P「あぁ、悪い悪い。俺は――」

泰葉「わざわざ送って頂いてありがとうございます」

蘭子「闇にのまれよっ!」

P「二人共気を付けてな」

泰葉「もう、見えてますけどね。それでは、お疲れ様でした」



卯月「いやー、楽しかったですね」

P「そうだな。皆が楽しそうで嬉しかったよ」

卯月「Pさんはどうでしたか?」

P「俺も楽しかったよ」

卯月「なら良かったですっ」



卯月「また、明日からも頑張りましょうねっ!」

P「おうっ、じゃあな」

Pの部屋

P「思ったより遅くなったか…」

P「それでは、早速、読んでみるか」

P「……」ペラッ

P「なるほど」

P「絡新婦は小蜘蛛を操り人を喰う…か」

P「そうだ」

ピポパポ

P「あ、もしもし」

卯月『はい。なんですか? 伝え忘れたことでもありました?』

P「いや、久々に、じっくりと電話でもしようと思ってな」

終わりです。見て下さった方ありがとうございました。

今回は、都市伝説と絡新婦関係の古典を合わせたものになります。

絡新婦は一般的な蜘蛛ではなく、美しい女に化けることが出来る妖怪です。

絡新婦を取り扱った話の一つに、浅井了意の伽婢子の中に、蜘蛛の鏡と言う話があります。

鏡にしろ、電話にしろ、ここではない別の世界に繋がっているという話をよく見るので今回はこのような形になりました。

何かあれば、答えられる範囲でなら答えます。

おつでした

卯月の姿をした何かの正体は卯月に化けた絡新婦って考えていいのかな?

>>96
はい。大体はそれであっています。

ただ、化けたというか、プロデューサーにはそう見えたという感じです。

古典の一つに蜘蛛が鏡に化けるという話があるのでそこから、少しばかり拡大解釈してみました。

例えば、文中には出てきませんでしたが、もし、島村さんが屋上に行った時に絡新婦の姿を見た時はプロデューサーの姿に見えるということですね。

分かり辛くてすみません。

>>99
読んで下さりありがとうございます。

そうですね…目的と言うと説明し辛いのが正直な所です。

以前書いた モバP「殺生石」 に出てきた狐と同じような感じですね。

勿論、物語にある通り襲う目的で電話線の巣に掛かった卯月の元に行ったのかもしれませんし、偶然チャネルがあってしまったので面白半分で会話していたのかもしれません。

文学作品をを題名にしてる作者さんだっけ??

鷺沢さん所属まだですかね!?

毎度頼まれてそうだけど過去作おせーてください

>>100
個人的には人違いだと思います…。

>>101
鷺沢さんは…いつか所属してくれるんじゃないですかねぇ。

そうですね、過去作は…

前作は、 モバP「人の間に潜む靄」ですかね。

全部あげるとキリがないので、これを検索して貰えると過去作に引っ掛かるかもしれません。

もし引っ掛からなければ、『モバマス 古典』と打てば出てくるかもしれません。

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