杏子「ちょっとした冒険だな」 (634)

魔法少女まどか☆マギカ×轟轟戦隊ボウケンジャークロス
特撮クロス、ご都合主義、唐突な展開、キャラの独自解釈等が苦手な方は注意して下さい
稚拙な部分ばかりですがご勘弁を……




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ほむら「……っ」

ほむら「ダメ……みんなに知らせないと……」

ほむら「みんなキュゥべえに騙されてるっ……!」



ほむら「私たち……みんな……まどかも……」

ほむら「あいつの思う壺になんかさせる訳にいかない……私しかいない……!」

見滝原の郊外に建つ高層ビル……
少しばかり激しい夜風の吹きすさぶ真夜中の闇の中。

シズカ「ふっふーん、ここが見滝原、ね……」

シズカ「ゲッコウ様が『何か不穏な気配を感じる』って言ってたから来てみたけど」

シズカ「もしかしたらプレシャスがいっぱい見つかるかも!」

シズカ「ボウケンジャーに見つかる前に、プレシャス確保!っと……」

「ダークシャドウ」のくのいち、『風のシズカ』も、
この街で起こる怪異の裏に潜む大いなる力・プレシャスの匂いに感づいていた。

シズカ「……ん?なんか、あのビルから変な結界が出来てる……?」

シズカ「もうプレシャス発見ったら私ツイてる~!いや、これは私自身の実力よぅ!」

シズカ「見たところボウケンジャーのお邪魔虫もいないようだし、さっさとプレシャスGET~!!」

サージェス財団、本部……




明石「……久しぶりだな、お前たち。」



ゲキレンジャーと共に「パチャカマック12世」の陰謀を撃破し、その後再び宇宙プレシャスを回収する冒険へ出発した
明石暁と西堀さくらがたった今、地球へ帰還した。





真墨「なんだ明石、もう帰って来たのか!まさか、地球が恋しくなって帰って来た、なんて言うんじゃないだろうなぁ?」

菜月「あー、ホームシックだね!」


さくら「いえ、回収し続けた宇宙プレシャスがダイボイジャーの収納限界に近くなってきたので」

さくら「ダイボイジャーの修繕も兼ねて一度帰還しただけです。」

蒼太「へぇ、やっぱり宇宙にはプレシャスっていっぱいあるんだね。」

蒼太「ところでさくらさん、チーフとは上手く行ってる?」

さくら「ちょっと、蒼太くん、いきなりそんな話……」

明石「ん……?さくらとは上手く行ってるぞ。さくらのおかげで本来一人では回収出来ないはずのプレシャスをいくつも回収出来た。」

さくら「暁さん……もう……!」

蒼太(鈍感なところは相変わらずだね……)

明石「それにしても、チーフ、か」

蒼太「あぁ!そっかそうだった……」

真墨「今のボウケンジャーのチーフは、この俺様だっつーの!」

菜月「そーだよ、まぁ、チーフの事をチーフって呼びたくなるのはわかるけどさ」

明石「旅立つ前に『チーフの座はいつでも奪い返す』と言ったな……どうやら、それも簡単そうだ」

しゃれのめすような口調で明石は言った。

蒼太「でもでも、中々今のチーフも頼りになるチーフだよ……えーと……」

蒼太「暁さん?」

菜月「暁さん……?暁さん!暁さんっ!」

蒼太の口からこぼれた「暁さん」という言葉に理解の出来ぬ面白さを感じたのか、菜月も同調する。

ドンッ!

さくらがやにわに机を強く叩き立ち上がった。突然の自体に菜月は驚愕し黙り込んだ。

さくら「暁さんの名前をそんな軽々しく……っ!」

しばしの沈黙のあと、菜月が笑い出した。

菜月「はははは!さくらさんってば、おっかない!」

さくら「ちょ、ちょっとからかわないでください!」

蒼太「顔、真っ赤にしちゃって」

真墨「なんだなんだ、明石、ホントに気づいてないのか、お前?」

明石「……なんの事だ?」

真墨「ダメだこりゃ」




菜月「そーいえばさ、えいちゃんはまだ帰ってこないの?」

真墨「アイツはサージェスレスキューの方で手一杯なんだろ。」

蒼太「明日くらいには帰ってくると思うよ、そうだ、暁さんが帰って来た事は内緒にしておこうよ」

菜月「そうだね、暁さんをいきなり見たえいちゃん、きっとビックリするゾ~」

その時、サージェス基地の壁に大きく設けられているモニターが映像を映し出した。

「いや~明石くん、さくらくん、お久しぶりです。」

サージェスの一大技術者、牧野森男である。

牧野「宇宙でのお勤め、ご苦労様です。久しぶりの地球なんですから、ゆっくりしていってくださいね~」

牧野「本当は私も二人の宇宙の冒険のお話、聞きたいんですが、あいにくプレシャスの分析が先で……」

牧野「次の出発は一ヶ月後ですね。早く終わらせるよう、頑張るので終わったらゆっくり聞かせてください!」

明石「久しぶりです。牧野先生。こちらも持っていった冒険小説を全部読み終わったので」

明石「先生おすすめの本を紹介して欲しかったんです。」

牧野「はは。さくらくんも羽を伸ばしてくださいね。」

さくら「はい。」

明石「ふたり揃って久しぶりに地球の上で冒険したくなってきた所です。」

牧野「冒険の休憩も冒険とは、やっぱり明石くんですねぇ~」

久々の仲間との再開に皆それぞれ喜び、歓喜に浸っていた。
だが、そんな他愛のない話もつかの間、モニターからコールが響いた。



『レッドくんとピンクちゃんの帰りで浮かれるのはそこまでにしてほしいな』


蒼太「ボイス……」

サージェス上層部からの命令を伝える橋渡しの存在である、ミスターボイスであった。

ボイス『君たちはいつでも出動出来るように心構えしておいてね、ってボイス何度も言ったよね』

真墨「チッ……わかってるっつうの……」



ボイス『とりあえず要件を伝えるよ ダークシャドウがまた動き始めた』

通学路……

さやか「そ、そういえばさ、聞いた、あの胡散臭い『薔薇』の話」

まどか「ばら……?」

マミ「薔薇ってあのお花の?」

さやか「お、モテモテそうなマミさんも気になるか!てっきり毎日ラブレターでももらってそうだったけど」

仁美「ああ、そういえば屋台……?みたいな所で美人の淑女さんが叩き売りしてましたわね」

仁美「女性の客に大人気!注文が殺到!らしいですわね……いつから」

さやか「そうそう!薔薇が山盛りになってて!なんかさ、その薔薇を渡したらどんな恋も成就するって!」

さやか「なんかその場で彼氏に告白したら即OK貰った!百発百中ハズレ無しなんて噂がさ!」

さやか「もう屋台の周りカップルだらけだったよ!」

仁美「山盛り……?私が見たときはもう売れてて何もありませんでしたわ」

さやか「ホント?やっぱ売れるんだねー」

仁美「まぁ、空になった後も人だかりは消えてませんでしたね」

マミ「え……なんか、ちょっと、気味悪いわね……」

さやか「そーすか?……あ、そーだ、じゃあさ、まどか、今日見に行かない?」

まどか「え、えぇ?うん」

マミ(人を魅惑する薔薇、ね……)

不穏な気配を察したのか、まどかとマミは顔を見合わせた。


学校

まどか(さやかちゃんの言ってた薔薇……って、もしかして、やっぱり……)

まどか(……やっぱ考えすぎ、かなぁ。どんな恋も成就する、なんて売り文句、何処でだってやるもんね)

まどか(でも不安だし……マミさんも気になってるみたいだからパトロールしておかないと!)

さやか「お!まどかったら随分考え込んでますなぁ!」

さやか「もしやもしやもしや!あの薔薇を渡したい気になる人でもいるのかな?ん?ん?」

まどか「や、やめてよぉ!そんなんじゃないって!」

さやか「ふぅ~ん……ホントかなぁ」



早乙女「はいはい、みんなお静かにしてちょーだい。さて、ところで皆さん?」

さやか「あ、先生来た。」

まどか「あっ……」

早乙女「ホームルームの時間ですよっ!今日の日直は誰?日誌取り忘れてるわよ」

さやか「や、やべっ、あたしだったじゃん」

早乙女「はい、今日は皆さんに大事なお話がありますッ!心して聞くように!」

早乙女「女性はどんな事があっても家庭を守るべき存在であるか!それとも外へ出て夢を追いかけるべきかッ!」

早乙女「はいッ!中沢くんッ!」

中沢「ど……どっちでもいいんじゃ……」

早乙女「よろしくないッ!!」

早乙女「女性にだって誰だって夢を追いかける権利はありますッ!それをわからず家庭の仕事をしてろとかぬかす男性とは交際しないように!」

早乙女「男子諸君らもそんなくだらない固定観念にとらわれる大人にならないようにッ!」


さやか「ゲ……先生今回はマジのマジに怒ってるよ……どうしよう……」

さやか「あー!もう!なんで今日に限って日直!それに日誌取り忘れなんて……もう!」

まどか「え、えへへ……災難だったね……」

さやか「災難なんてもんじゃあないよ全く!また放課後愚痴に付き合わされるじゃん!」

さやか「はぁ……中学生に温もりを求める教師ってどうなんだろう……」

まどか「た、溜まってるねー……」



早乙女「ふぅー……心しておくように……さて、転校生の紹介です」


さやか「そ、そっちが後回しかよぉ……でもラッキーかな……」

さやか「もしかしたら転校生関連で忙しいからすっぽかせるかも!」


早乙女「はい、こちらが転校生の暁美さん、です!」



ほむら「……」


だが、その少女は声を発さず、震えていた。


早乙女「ア、アレ?暁美さん……?緊張してるのかな……?」

早乙女「あ、焦る事ないのよ、自己紹介、ね」


さやか「あちゃー……あれ完全に人見知り激しいタイプだよね、あれね」

まどか「はは……無理もないよ、初めて来たところだもん、私だってああなっちゃうよ」


他、大勢の生徒たちの目からはほむらは人見知り、と思われた。


しばしの沈黙の後、ほむらの口から言葉が漏れた。



ほむら「……鹿目……さん……ッ!」


まどか「……ほぇ?」


ほむら「鹿目さん……!」


さやか「……は?」


ほむらはまどかの目を見て、感極まった表情で、目尻に涙を浮かべながら、震えていた。


早乙女「え……?あ、鹿目さんと昔の知り合いだったとかかな?な、なら良かった!」

早乙女「よろしくね、鹿目さん!」

まどか「へ……?あ、はい……っ」

ほむら「……。」

指定された席に着席した。少し緊張がほぐれたのか、ほむらは顔をあげた。


「ねね、さっき鹿目さんの名前呼んでたけど、どんな関係だったの?」

「知り合い、でしょ?」

「前はどんな学校行ってた、の?」


ほむら「う……その、あの……」

まどか「ごめんね、みんな、暁美さん、保健室行かないといけないんだったよね。」

ほむら「……。」

廊下、保健室へ向かい歩いていく二人……

まどか「え、えへへ、いきなりなんか、びっくりしちゃったな」

ほむら「……ごめんなさい。」

保健室の道のりは知っていたが、あんなことをしてしまった手前、足がなかなか思うように運ばない。

まどか「私たちってどこかであったことあるかな……?なんか、どっかに心当たりあってさ……」

まどか「私が忘れてるだけ、かなぁ……?」

ほむら「い、いや、その……」

まどか「ん……?」

ほむら「鹿目さん、って、大切な人、いるんですか……?」

まどか「え……?あ、うん、もちろんだよ、急だね……」

まどか「パパもママも、弟も、友達も、みーんな大事な人だよ?」

ほむら「そう……なら、それ、絶対に、忘れないで下さいっ……」

ほむら「貴方が大切に思ってるように、貴方の事を大切に思ってる人の事、絶対に、忘れないでいて下さい!」

ほむら「みんなが助かれば、自分がどうなってもいいなんて、絶対、絶対、思わないで!」





まどか「……」

まどか「……へ?」

まどか「う、うん、わかったよ、……あ!」

まどか「保健室、ここだよ!」





ほむら「あ……はい、ありがとうございます、鹿目さん……」



突然の出来事に、まどかは気が動揺した。


まどか(変な、の……なんで私の事知ってるんだろう……)

まどか(もしかするとほむらちゃんって……)






ジュウレンの次はボウケンか
もしかして同じ人?

シズカ「げへへへ、もーけた、もーけた!」

見滝原、街中。手にした札束を眺め、、風のシズカは笑っていた。

シズカ「へんなチビヒゲが持ってた薔薇をもしやと思って売ってみたけど、……!」

シズカ「噂が噂を呼んで、買いに来る客が来る、来る!」

シズカ「こんな得体のしれない薔薇に金払うなんて……バッカでぇ~い!」

シズカ「まだまだ売らないといけないし、早速回収にGO、GO!」

シズカ「アホなボウケンジャーに見つかっちゃいないし……売りさばくなら今よ!」

シズカ「……ん?」


浮かれているシズカの手を、誰かが掴んだ。


蒼太「噂をすれば、なんとやら、だよ。シズカちゃん?まーたこんな事して」

シズカ「うげぇ!もう感づかれたッ!なんで上手く行くと思った矢先に感づいてくんのよ!キーッ!」

蒼太「……で、何売ってんのさ。薔薇?どこにあるのさ」

シズカ「で……今来てるのはあんただけなの?」

蒼太「ん?まぁね。あくまで調査だから、僕と菜月ちゃんだけがこの街に来てる。」

蒼太「ダークシャドウがまた何かやってる、って聞いてね。菜月ちゃんは今別のところ探してるハズさ。」

蒼太「ま、連絡すれば、いつでも来れるけど。」



シズカ「へー……」

ボゥンッ!

シズカが煙幕弾を炸裂させた。


蒼太「ゲホッ!あーもう、逃げられちゃったなぁ……」

蒼太「やれやれ、でも、シズカちゃんの売ってるプレシャスの元手はこの街にあるらしいし」

蒼太「それが解っただけで、今回は大丈夫かな。チビヒゲ?ってのを探せば良いみたいだね」




マミ「そう、そんな事があったの……」

まどか「マミさん、やっぱり、ほむらちゃんって子、私たちと同じ……」

マミ「そうね。魔法少女の可能性が高いわよね。」

QB「でも、不思議だよね。僕と契約した覚えがないんだ。普通、そんなことはありえないんだけど」


夕暮れ時。まどかとマミは街に潜む魔女を探し出す為、気配を頼りに街道を歩いていた。


まどか「だけど私たちの仲間に入れても……」

マミ「……まだ、やめておいた方がいいかもしれないわ。」

まどか「え……?どうしてですか?」

マミ「いくらなんでも怪しいと思わないかしら。そんな風にいきなり話かけるなんて。」

マミ「キュゥべえにだってわからない存在を、迂闊に仲間にするのは危険よ。」

まどか「でも、そんな事するような子には見えなかったですけど……」

マミ「そうやって油断を誘って……かもしれないわよ。とにかく、用心するにこした事は無いわよ。」

まどか「確かに、そうですね……」

マミ「いざって時は私たちは二人ですもの、何があっても大丈夫よ。」

マミ「判断は、二人でしましょう。私と、鹿目さんでね。」

今はここまでにします
時系列はゴセイジャー~レジェンド大戦の間くらい

色の都合上主人公は杏子ですが話の都合上出番は遅いです
3話くらいまでまどマギキャラとボウケンジャーのキャラは別行動みたいな形になります


>>16
違いますよ

マミ「それより、美樹さんが言ってた、『人を魅惑する薔薇』よ……」

マミ「おかしいと思わないかしら……?ただの薔薇に、人だかりが出来て、しかもすぐ完売だなんて」

マミ「しかも、その薔薇を渡すと恋が実る、百発百中って……どう考えても」

まどか「人の心を操る魔女の仕業……ですよね」

マミ「えぇ……まぁ、思い過ごしであれば、それがベストなんでしょうけど。」

マミ「……ごめんね、美樹さんとの約束、破らせちゃって……」

まどか「大丈夫ですよ、だから、今日の内に終わらせて、さやかちゃんとの約束は明日です!」

QB「いいや、知ってるとおり魔女にはほぼ全て、人間を喰らう為の能力が備わってるんだ。」

QB「その薔薇は予想通りで間違いないよ。」



その時、二人のソウルジェムが鋭く魔女の気配を察した。


マミ「……見つかったわね。」






ショッピングモール地下……

シズカ「にひひっ、ココだココだっ!ココから昨日のチビヒゲの匂いがするゾ~!」

マミとまどかより先に、『魔女』の気配を嗅ぎつけた風のシズカが
魔女から薔薇を奪うべく、結界に侵入していた。

シズカ「ま、この結界、ってのに入るのがなかなか手間なんだけれど……この私の術にかかれば!」

シズカ「ぺぺぺのぺー!よ!」



シズカ「どれどれ……よこしなさいよ!」

背に籠を背負い、火バサミで使い魔から薔薇を奪っていく。
無論、使い魔も抵抗するが、抵抗むなしく次々とシズカに薔薇を奪われていく。


シズカ「なになに、今日は大量よ!明日になれば昨日よりたっくさん売りさばける!」

シズカ「こんなちんけな街に、こんな宝が眠ってるなんてね~!さっき気づかれた時はビビったけど、ボウケンジャーも来てないみたいだし……!」

シズカ「さっさと全部集めて、退散よ~!」

目の前の光景に、浮かれ、鼻歌を歌いながら籠に薔薇を詰めて行く

……ドゥンッ!


シズカ「……ギャッ!?」

だが、突然、火バサミごと薔薇を何者かが打ち抜いた。


シズカ「な、何すんのよーッ!ゲッ!ピンク!黄色!ボウケンジャー!?」




マミ「……魔女の薔薇を使って、何をしてるのかしら。」

マミ「魔女の薔薇を街で売りさばいてたって、まさか貴方?」


結界の奥から、マミとまどかが現れた。


シズカ「ほぇ?アンタ誰?」

マミ「先に質問してるのは、こっちよ。薔薇を売りさばいてたのは、貴方かしら?」

シズカ「そーだけど、なんか文句あるっての?」

マミ「文句って……それが何か解ってるの?」

シズカ「そーよ、どういう物かわかってるからこうやっていただいてるのよン!」

マミ「……それは凄く危険な物なのよ、そんな物人に売る何て……ッ!」

シズカ「うるさいわね、邪魔するなら、ただじゃおかないよ!」

手に刃を持ち、マミに向かって走り出した。
すかさず、マミは銃を放つ。


ガキィンッ!


シズカ「じゅ、銃……!ヘン!こ、こんなもんへっちゃらよ!」


マミの隣にいたまどかも身構えた。


まどか「キュゥべえ……?あの人、誰……?」

QB「さぁね、どうやって結界に入ったのかは知らないけど、少なくとも魔法少女ではないね。」

まどか「ど……どういう事?」

QB「ソウルジェムの反応が感じられない。というか、そもそも……」

QB「彼女程の年齢じゃあ、僕と契約する事自体難しいかもね。」

まどか「確かに、結構私たちより年上そうだけど……」



シズカ「……っ!」



シズカ「い……今なんて言ったあああ!」


まどか「へっ……?」

まどか「あ……キュゥべえ……?もしかして、すごい怒らせちゃった……かな?」


シズカ「だっ……誰が……誰が……」

シズカ「誰がおばさんですってェー!」


まどか「ひぇっ!?そ、そんな事言ってないです!」


マミ(……今よ!)

シズカが怒りにかられた瞬間を見抜いてマミのリボンがシズカを捕らえた。

マミ「……おとなしく、その薔薇を捨てて退散しなさい。」

まどか「あ……マミさん、ありがとうございます」


シズカ「くっ……こんくらい……ッ!」

ザクッ!ザクッ!

シズカの刃がリボンを切り裂いた。
拘束から逃れたシズカが走り出す。




マミ「……来るわッ!構えて!」

まどか「は……ハイッ!」



シズカ「許さないわよ……!覚悟なさい!影忍法……」


ゴッ!


シズカ「……ギャッ!?」


しかし、突然の衝撃がシズカの後頭部を襲った。


シズカ「ぐ……いった……だ、誰だッ!」


ほむら「……」




まどか「ほむら……ちゃん……?」


ほむら「……あ、あの、その……」

マミ「あら?鹿目さんの言ってた暁美さんって……あなた?」


ほむら「え……えっと、……」



シュウウウウウウ……



まどか「あ……あれ?結界が……」

マミ「この使い魔を作り出した魔女に逃げられたって訳ね……」



シズカ(『使い魔を作り出した魔女』……?)

シズカ(あのチビヒゲは魔女ってのが作り出したの……?)

シズカ(じゃあ魔女って親玉が無事ならあのチビヒゲは無限に湧いてくるってこと!)


シズカ「ヘンッ!へんぴなコスプレ集団さん、バイビー!」


ボゥンッ!

マミ「ッ……!?ゲホッ!ゲホッ!……逃げられたわ。二つの意味でね……」

まどか「……明日、ゆっくり探しましょう、マミさん」





QB「……誰だい、君は」

ほむら「……」


まどか「魔法少女、だよね……?」

まどか「私たちの事知ってた……のかな……?」

マミ(……鹿目さん!あまり知り合わない内に仲間を作るのは、あまり感心しないわ)


ほむら「あ、あの、鹿目さん、巴さん……私、今までずっと一人で戦ってて……」

ほむら「たまたま転校してきたここに二人の魔法少女がいる……って聞いて、その……」


マミ「仲間になりたい、って……?」

ほむら「はい……巴マミって人が優しくて強い人って聞いて……」

ほむら「お、お願いします!」ペコッ



まどか「え、あ、ちょっと、そんな頭下げなくても大丈夫だよ!ね?マミさん?」

マミ(私が優しくて強い人、ね……)

マミ(……もし私達が邪魔で排除したいなら、さっきの戦ってる最中に闇討ちするチャンスなんて、いくらでもあったのに、それをしないって事は……)

マミ「……何だ、私たちの事知ってるから誰かって思ったら、そうだったの。」

ほむら「……はい」

マミ「だったら、大歓迎よ。嬉しいわ、私たちの事、知ってくれてる人がいたなんて!」

まどか「……!ありがとう、マミさん!ほむらちゃん、よろしくね!」

ほむら「はい!ありがとうございます!」

まどか「これから、三人で頑張ろ!」




こんな風にちまちま投下していきたいと思います
最後の展開までは決まってるんであとは書き溜めだけ……




……サージェス本部


真墨「……は?チビヒゲ?」

菜月『ねね、可愛い名前だと思わない?』

蒼太『シズカちゃんがそう言ってたんだ。でも、調べてみてもどこかのマスコットキャラクターしか……』

サージェス本部で待機している3人に、見滝原から蒼太・菜月からの通信が届いた。


蒼太『……街の様子を伺っても、特に変わった様子は。』

菜月『恋愛が必ず結ばれる薔薇なんて、素敵じゃない?さくらさん』

さくら「思いません。そんな努力もしないで道具で何かを得ようなんて、浅はかにも程があります。」

真墨「相手はダークシャドウだろ?まさか、売り出した商品で人が死んだりしたらDSカンパニーの評判ガタ落ちどころの話じゃねーだろ」

真墨「だから、人が死んだりする危険も無いと思うぜ。焦る必要も無いんじゃ……」

明石「いいや、確かにダークシャドウはそのつもりが無いのかもしれないが、プレシャス自身が危険性を帯びている可能性も否定出来ないだろう。」


ボイス『ブラック君、プレシャスに対してそういう態度は感心しないんだけどな』

真墨「あー、解ってる、解ってる」

真墨「焦って息切れするより、落ち着いて探す方が確実だって言いたかったんだよ」

ボイス『そーぉ?なら別に構わないんだけど』

さくら「とにかく、人の心を操る薔薇です。見逃す訳には行きません。」

蒼太『……もうちょっと調査続けてみます。わかったことがあったら、連絡するんで、じゃ!』

明石「……百聞は一見に如かずだ。俺たちもそこに向かう。幸い、ここからそれほど離れていないからな。」

明石「総員、出……」

真墨「おい、ちょっと待った。今のボウケンジャーのチーフは?」




真墨「ボウケンジャー、総員出動!」


真墨「っと……、明石とさくら姉さんはここで待機してて良いんだぜ。俺たちに任せてくれよ」

さくら「そういう訳には行きません。ここにいる以上、私たちもボウケンジャーの一員です。」

明石「そうだ。それに……」

明石「お前がチーフにふさわしいかどうか、今一度確かめてやる。」

真墨「へっ、そういうと思ったぜ。チーフの座は譲れねえよって事教えてやるからよ!」


翌日朝、通学路


ほむら「鹿目さん、巴さん、おはようございます!」

マミ「おはよう!」

まどか「おはよう!」

さやか「おっ、昨日の転校生じゃん!何、もうお友達?やっぱ知り合いだったの?」

まどか「うん、まぁ、そんな感じ、かな……?」

さやか「へぇ、まどかに幼馴染も知らない秘密のお友達がいたなんてねぇ~」

さやか「まどかの意外な一面とか知ってたりするのかな……?」

ほむら「へ……あ、まぁ、その、一応……」

まどか「え?」

さやか「昨日、予定あるって言ってたの、やっぱこの子と再会の喜びを分かち合ってたとか?」

仁美「そ、それは……!?」

まどか「そうだけどそんなんじゃないって」

さやか「あ、そうそう、見てよ、これ!あたし昨日買えたんだ!見てみて!」

まどか「そ、それ……!?」

さやか「人ごみかき分けて買ったんだ!」

マミ「美樹さん……!?……」

マミ(どうしましょう……まさか美樹さんが……)

マミ(魔女の薔薇だ、なんて言っても信じてくれる訳無いし……でも、持たせておくのは危険すぎるし……!)



マミ「あ、あんまり見せびらかすのはよくないんじゃないかしら……?人気商品なんだから、盗まれるかもしれないわよ」

まどか「そう……そうですね!私もマミさんの言うとおりだと思うよ」

さやか「……あー、確かにそうですね。鞄の中仕舞っておこうっと」

仁美(ん……?よく見えませんわ)

仁美「誰か渡すアテがあるのですか?」

さやか「い、いや、そんなの、ないって!ただの珍しい物欲しさだよ!」

さやか「ほ、ほらもう!学校着いたよ!」


マミ(……美樹さんが危険な目に合う可能性がある以上、今日もパトロールね……)

まどか(早く魔女をやっつけなきゃ)

ほむら(私も手伝います……)







ダークシャドウ、本拠地……

シズカ「ゲッコウ様!昨日はこんだけ儲けましたよ~!DSカンパニー新商品!『恋慕成就の薔薇』」

ゲッコウ「うむ。よくやった、シズカ。」


山奥に潜む屋敷……それがダークシャドウの本拠地である。
ダークシャドウは本来、ただの商売取引による利益のみを求める組織である。
今回の薔薇騒動の目的もただの金儲けであった。そこには「人類滅亡」や「地球侵略」などの目的は一切存在していない。
もっとも、その目的が今、多くの人々を魔女の危機に晒している事に当の本人たちは気づいていない。


シズカ「それより、もっと耳よりな情報が……!」

ゲッコウ「なんじゃ、言ってみるがいい」

シズカ「それが……ゴニョゴニョ……」

ゲッコウ「なんじゃと!つまり、その魔女というのを捕まえれば……!」

シズカ「この薔薇を、無限に生産させられるって事ですよぉ~!!」

ゲッコウ「うむ、よくやったぞシズカ!」

シズカ「よし!じゃあ行きましょう!」

ゲッコウ「え?儂も行くのか?」

シズカ「当然ですよ、いい考えがあります!」

ゲッコウ「そうか……」

シズカ「こんな事もあろうかと、あのヘンピなコスプレ三人組の服に、逆探知用の御札を貼っておいたんです!」

夕方。
すべての授業を終え、下校時間。
通学路を、さやかと仁美が歩いていた。

さやか「ったく、まどかったら、昨日、今日一緒にどっか行こうって約束してたのに……」

仁美「仕方ないですわ、昔の知り合いといきなりの再会、なんて事になったんですもの。」

さやか「まぁ、別に恨んじゃないけどさ……あたしも混ぜてくれたっていいのに……」



心の中に浮かぶ寂しさを誤魔化す為か、鞄から薔薇を取り出した。
その薔薇を見つめ、言葉を紡いだ。


さやか「まったく、友達づきあい悪いぞ、もう……」

さやか「友達づきあい、悪いって……」

仁美「……?大丈夫ですか?目が虚ろに……」

さやか「大丈夫、大丈夫、……」

見滝原の市街地。

菜月「もー、全然見つかんないよぉ!」

蒼太「はぁ、シズカちゃんさえ見つかれば、色々手がかりもつかめると思うんだけど……」

『薔薇』『チビヒゲ』の二つの言葉のみを鍵に薔薇の正体を探っていた。
だが、その殆どは徒労に過ぎず、もはや、徘徊と言っても過言ですら無い状態に陥っていた。

その時、アクセルラーの真墨からの通信コールが鳴った。

菜月「あ!真墨!なんか見つかった?」

真墨『いや、全然だ……そっちは?』

蒼太「こっちも、てんで、だよ」

菜月「なーんだ……期待したのに……」

真墨『おいおい、そんなんじゃあいつに笑われちまうぞ!』

蒼太「お、随分対抗意識燃やしてるね」

真墨『ったりめーだ、あいつを超えられるチャンスだからな!』

真墨『あいつとさくら姉さんからも連絡は来てねーけど』

真墨『だから、さっさと俺たちで見つけるんだ!映士もこっちに向かってる。俺がチーフの新ボウケンジャーの力、見せてやろうぜ!』

菜月「真墨、随分やる気だね」

蒼太「ま、こんな機会めったに無いし。燃えるのも仕方ない、かな?」

真墨『おう!』






夕暮れの市街地。
薔薇の魔女の気配を追い、3人は街を彷徨っていた。

まどか「さやかちゃん、大丈夫かな……」

マミ「あの薔薇は危険だわ……一刻も早く魔女をやっつけないと」

ほむら「はい……」

マミ「あそこだわ。あの廃ビルの地下よ。」

ビルの並立する中の一つに、廃墟となったビルが一棟あった。
その地下に、魔女は結界を張っていた。

マミ「ここで魔女に暴れられたら……人通りが多い場所、危険すぎるわ!」

ほむら「じゃあ早く倒さないと……!」

シズカ「よぉし、そのまま、そのまま……」

ゲッコウ「うぅむ、手際が良くなったな、シズカ」

シズカ「でしょでしょ!」

御札を探知し、ダークシャドウが3人を尾行していた。

シズカ「あとはあいつらの隙を見て魔女を確保するだけです!頼んだよ、ツカミガミ!」

ツカミガミ「私ニオ任セ下サーイ!」



ツカミガミ……『手袋』と『鳥かご』から作り出された。
        魔女を捕らえる為に作られたツクモガミである。

マミ「ここが魔女の結界よ……みんな、気を引き締めて」

まどか「3人いれば大丈夫だよ!ね、ほむらちゃん……ん……あれ?ほむらちゃん、背中に何か付いてるよ……」ペリッ

ほむら「え……?」

まどか「何かなこれ……?何て書いてあるのか」

マミ「この文字は……起請文……?じゃあ、これは神札かしら……?」



まどか「詳しいんですね、マミさん」

まどか「神札って何ですか……?」

マミ「神札っていうのは……御札、って言えばわかり易いかしら」

ほむら「御札……?御札って、昨日戦ったあの忍者の……!?」

まどか「御札……忍者……!?」

マミ「……昨日のあのくノ一の仕業かしら!?だとしたら、私たちを追って……!?」

まどか「じゃ、じゃあまた昨日みたいに……!?」

ほむら「あいつと争いになる……って?」

まどか「そうなったら、どうしましょう!?」



マミ「そうね……リボンで縛って、結界の外に追い出しましょうか」

マミ「流石にどう見ても人間の相手を打つなんて、したくないわよね。」

ほむら「そう、ですね……」

まどか「心配ないですよぉ!マミさんが一緒なら百人力です!」

マミ「ふふ、あんまり宛にしないで、鹿目さんも頼りにしてるんだから。」








シズカ「今だッ!」

3人が結界前で相談している隙を見て、シズカが飛び出した。

シズカ「影忍法・ひらけごまの術~!!!」

ほむら「あっ!?しまった!」

三人があっけにとられた瞬間を見て結界に侵入する。

シズカ「お先に失礼!」

ツカミガミ「置イテカナイデ下サイ~!」

マミ「追うわよ!早く魔女を倒さないとどうなるか!」

マミ「あんなセンスの無い術名で先を越すなんて……ッ!!」

まどか「はいっ!……え?」

マミ「急ぐわよ!」







さやか「……」ウトウト

さやか「……よく見ると、綺麗な薔薇」

さやか「……」ユラァ

下校途中、道端に立ち止まり、薔薇を見つめていたさやかが、ふいにふらりと歩き出した。

 薔薇の魔女結界

シズカ「ぼーっとしてやんの!先越されてやんの!」

シズカ「ま、この私にかかれば当然だけどね!」

ツカミガミ「シズカ様!速スギデス!」

シズカ「あんたが遅すぎんのよ!のろま!」


薔薇の魔女結界を最深部めがけて一目散に走り出す。


アンソニー「!!」


シズカ「悪いけど、今興味あんのはあんたじゃなくて、親玉の方だからね!」

使い魔もお構いなしに進んでゆく。









そして、いくつかの階段を経て、魔女の目前に到達した。


ゲルトルート「ウウウ……」

シズカ「うわぁ……何あれ、キモイ!」

ゲッコウ「シズカよ、本当にこやつで合っているのか……?」

シズカ「でもチビヒゲの親玉だし、間違いないですよ!さて、早速……」

マミ「待ちなさい!それ以上は許さないわ!」


シズカ「ゲゲッ!?もう追ってきた!」

ツカミガミ「ド、ドウシマショウ」

マミ「鹿目さん、暁美さんはここで彼女たちを足止めして!魔女は私に任せて!」

ツカミガミ「ソウハ行カナイゾ!」

シズカ「ツカミガミはここで彼女たちを足止めして!魔女は私に任せて!」


マミ「ッ!真似しないで!」

シズカ「ぺぺぺの、ぺーだ」

ツカミガミ「今デス!」


一瞬、シズカに反応したマミの隙を狙って、ツカミガミが巨大な手袋を作り出し、3人を掴み捕らえた。

まどか「ひっ!?何これ!?」

ほむら「うっ……て、手袋……!?」

ほむら(なんなのコイツ……!?魔女じゃ、ないよね……?)

ツカミガミ「ドウダ!ザマミロ!」

シズカ「よぉし、あんたたちはそこで見てなさい!ゲッコウさま!」

ゲッコウ「うむ。」

シズカとゲッコウが魔女へ向かってゆく。


マミ「……ちょっと、油断したわ。……でも!後輩にこれ以上カッコ悪いところは見せられないわよね。」


そう言うと、マミは胸元のリボンを解いた。すると、そのリボンは意思があるかのように舞い、
3人を捉えている巨大な手の親指を断った。


ツカミガミ「ヒイッ!?」

ほむら「今だッ!」カチッ……



ツカミガミ「オノレ……!?貴様イツノ間にソコに!?」

ほむらは時間を止め、ツカミガミの右方向に回った。

ほむら「えいッ!!」パァンッ!

ツカミガミ「銃……?ヘンッ!ソンナモノデコノ……ギャアアア!?」

ツカミガミ「何ダ今ノハ……!?タダノ銃ノ威力ジャネェ……」

まどか「えいっ!えいっ!」シュンッ!シュンッ!

ツカミガミ「コンドハ弓矢……ギャアア!!!」


マミ「行くわよ……!!!」

ドォンッッッ!

空中に銃を大量に作り出し、打ち出す。


ツカミガミ「ギヒィッ……セ、セーフ……」

とっさに横方向に転がり込み、直撃を防いだ。

ツカミガミ「アノ黄色イ奴ガ司令塔ダナ……ナラ!」

マミ「!?」

ガシャァアアアンッ!


とっさに手を振り上げると、マミの頭上から巨大な籠が落下した。
その籠はマミの身体を覆い、閉じ込めた。



マミ「籠……!」

ツカミガミ「ドウダ!コレデ動ケナイダロ!」

マミ「……フフッ♪」

ツカミガミ「ソノママ土下座デモシテ許シテクダサイッテイウナラ命ダケハ……!?」

マミ「動けないのは……どっちかしらね!」

ツカミガミ「……?」

地面に打ち込まれた銃弾跡からリボンが飛び出し、ツカミガミに絡みついた。


ツカミガミ「何……!?」

マミ「……私はこの籠の中からでも、貴方を狙い撃てるけど、あなたは私を狙い撃てない……」

マミ「形勢逆転よ!」

まどか「マミさん!」

バシュゥッ!

籠の頭頂部めがけ矢を放つ。
籠は消滅した。


マミ「……どうかしら」

まどか「ど、どうだぁッ!参ったか!」


ツカミガミ「シ、シズカ様~!ゲッコウ様~!コイツラ強スギマス……!」

シズカ「嘘~!?」

シズカ(ちんちくりんのガキ共だと思ってたのに……)

シズカ「でも、私の狙いはこっち…だから…!」

マミたちとツカミガミが攻防を繰り広げている隙にシズカが既に魔女に急接近していた。

シズカ「ここまで来たら……ゲッコウ様、あとはよろし……ギャッ!?」

ドゥンッ!

ゲッコウ「シズカ!?」

ほむら「……ッ!」

まどか「ほむらちゃんが……打った……!?」


走ろうとした途端にほむらの銃弾がシズカの右足を打ち抜いた



シズカ「うぐっ、い、痛ッ……ううッ……」




マミ「暁美さん……!?」

シュルシュルシュル……

シズカ「うっ……リボン……!?むぐ、むーむー!」

ツカミガミ「シ、シズカ様ぁ……モウ引キ上ゲマショウヨ……」

マミ「貴方の部下もあの様子。もう私たちと戦っても勝敗は見えているわ。」

マミ「足の怪我は治してあげるから、もうこの結界から出て行って。」




マミ(このくノ一さんの足止め出来たのはよくやったけど……)

マミ(いくら何でも人の足を打っちゃうのはちょっとやりすぎ……かな?)

シズカ「むっ……」

治癒魔法でシズカの足の傷を癒した。


マミ「さぁ、治ったわよ。鹿目さん!暁美さん!魔女をやっつけましょう!」

シズカ「……にひひ」

マミ「……?何がおかしいの?」







シズカ「ゲッコウ様!」


ゲッコウ「影忍法・オオガミの術!」





マミ「ッ!しまった、あの鳥を忘れていたわ!」

ほむら「私が気づいていれば……」





ゲッコウ「シズカ……すまん。だがそのおかげで儂がこやつまで近づけたぞ」

ゲッコウ(果たしてこやつに効くのかどうかは定かではないが……うむ)


ゲルトルート「グゥゥウウウ……」

まどか「でも、何も起きないよ……?」





ガタガタガタガタ……



マミ「地震ッ!?」

まどか「あ……あぁ……!!」

ほむら「魔女が……大きく……うあっ!」

マミ「嘘……!?」

マミ「結界が崩れるわ!飲み込まれたらどうなるかわからない!脱出よ!」

シズカ「へん、3人ともビビって逃げちゃって。さ、ツカミガミ、さっさとこいつを捕まえて!」

シズカ「巨大化したこいつを捕らえておけば、無限供給、一度に大量生産の夢の永久機関の誕生よ~!」

ツカミガミ「ヘイ!カシコマリ!エイヤッ!」

崩壊する結界の中、ツカミガミが手袋を巨大化させ、魔女を押さえ込む。

ツカミガミ「ア、アレ、コイツ、動クナ、動クナ!」


ゲルトルート「グワアアアアオオオオォォォゥウウウウ!」

バシィイイイイイ!

ツカミガミ「アベシッ!」




シズカ「ウワッ!ツカミガミが叩き潰された!?」

シズカ「何でよぉ~!計画台無しじゃないの~ッ!」

ゲッコウ「シズカ、ここは一度退くぞ!」

ゲッコウ「影忍法・どろろん!」

ボゥンッ!

形勢不利と判断し、ダークシャドウの二人は結界から姿を消した。

廃ビル前

ほむら(あんな事、今まで無かったのに……!どうして……)

まどか「まさか魔女が大きくなっちゃうなんて……」

QB「巨大化はともかく、魔女が結界から逃げ出すなんて前代未聞だよ」

マミ「なんとか結界から逃げられたけど、これからあの魔女はどうな……えッ!?」

結界から逃げ出した3人の目には、大勢の人間が歩いていく光景が飛び込んだ。
その人々は全員、一方の方向を目指し、進んでいた。


まどか「み、みなさん、何処行くんですか!しっかりして……これ、薔薇……!」

マミ「こっちの人も……みんな薔薇を持ってるわ!ここまで広まってたなんて……」

ほむら「鹿目さん!あれ!」


さやか「……」ボー


まどか「さやかちゃん!」

マミ「この人だかり……どこまで続いてるのかしら……!」

マミ「一番先頭がここからじゃ見えないわ!」

まどか「ここって、一番後ろじゃ……」

ほむら「この人たちはどこに向かってるんでしょう……?」













その時、街に巨大化したゲルトルートが降り立った。

ゲルトルート「ガアアアアウウウウウ……」



まどか「あ!魔女!」

マミ「この方向……!魔女の方向だわ!まずい……!」

ほむら「みんな魔女の餌……!?」

まどか「止めなきゃ!」

マミ「本当にどこまで続いてるの……!」



ゲルトルート「グアアアオオオ!!!」

ドォンッ!ダァンッ!

ゲルトルートがムチを振り回し、暴れまわる。
周囲のビルが崩れ、瓦礫が人々目掛けて落下する。



まどか「あっ……瓦礫が……!!!」

マミ「ッ!!間に合わないッ……!!」












ドォォォンッ!ダァアアアンッ!




まどか「へっ……!?」

ほむら「瓦礫が爆発した……?」














「……サガスナイパー!ふう、間一髪だったぜ」

「なんだよ、この行列は……!みんなあの気味の悪いバケモン向かって歩いてんのか!?」

「見滝原に来いって真墨に呼び出されてやっと来たと思ったらいきなりこれかよ!」

「クソッ!おい、止まれ!……やっぱり操られてるぜ!」

瓦礫を打ち砕いたのは高丘映士・ボウケンシルバーであった。
ゲルトルートへ向かう行列の先頭に現れた。

シルバー「こうなったら力ずくで止めるしかねぇな!」

シルバー「オイ!止まれ!」

行列を真っ向からボウケンシルバーが壁になり押さえつける。

シルバー「聞こえるか!真墨!菜月!蒼太!今俺様のいる所ででっかいバケモンが暴れてやがる!」

シルバー「さっさと来てくれ!」









真墨「バケモンだと……?何処に……?」

真墨「こっからは何も見えねえけど……!」

真墨「……まぁ行ってみないとな」

真墨「ゴーゴービークル、発進だ!」


『発進シフト・ON!ダンプ!フォーミュラー!ジャイロ!ドーザー!マリン! GOッ!GOッッ!!』





ゴゥウウン……

シルバー「来たか……!」

シルバー「ああこの、出てくんなッ!死んじまうぞ!」

シルバー「戻れっての!」

人々の行列はとても一人で抑えきれる人数ではなく、
シルバーの腕をくぐり抜けてなお、ゲルトルート目掛けて進んでゆく。




シルバー「あ……?真墨のヤツから通信か!何だ!」




ブラック『バケモンなんて、どこにもいねぇじゃねえか!』

シルバー「ハァ!?目の前にいるだろうが、気味悪いバケモンがよぉ!」

イエロー『そうだよ!いるじゃん!』

ブルー『……?イエローにしか見えてない、のかな……?』

シルバー「何でもいいからちゃっちゃと片付けてくれよ!」




レッド『いいや、俺たちには見えないが、確かに存在している。レーダーを見ろ。』

ピンク『見れば見るほど、おぞましい怪物ですね……奴の体に薔薇が付着しています。』

ピンク『ダークシャドウがばら蒔いていた薔薇はおそらくこの怪物からの物でしょう』


シルバー「明石!?さくら姉さん……!?」

シルバー「あぁもう、こまけえ事は後だ!」







レッド『イエロー・ピンクのサポートとレーダーを基にそのバケモノとやらを撃破する。いいか皆』

ブラック『アタック!』



   『合体シフト・オン!ダンプ!フォーミュラ!ジャイロ!ドーザー!マリン!』


             『ボウケンフォーメーション!』




                『轟轟合体!』


5つのマシンと5つのネオパラレルエンジン、そして5つの心が一つになり……
鋼鉄の巨人が君臨する!




        『ダイボウケン!合体完了!ファーストギア・IN!!』





ダイボウケン・コクピット内……


ブルー「確かにレーダーに反応がある!10時の方向!」

ブラック「あぁ!まずは……あの行列からこいつを遠ざけるぞ!」

『ハァッ!』


ガチィイイイッ!

ゲルトルート「グワァォ……!?」

脚部のビッグアームを展開、魔女の胴体を捕らえる。


ピンク「3時の方向に人のいない広場があります!そこに投げ飛ばしましょう!」

イエロー「よぉし!おりゃああ!!!」



ゴゥンッ!

ゲルトルート「グゥウウウ!?」

ドォンッ!ダァンッ!



シルバー『フゥ……ひとまず安心だぜ』




レッド「ここでなら思う存分戦える。行くぞ!」

ブラック「おうよ!」

ゲルトルート「グアォゥ……」


月光煌く夜空の下、薔薇の魔女とダイボウケンが相対する……!



『ゴービッカー!』

ガァンッ!

ゲルトルート「グゥアッ……」

ブルー「手応えあり……だよね」

ピンク「えぇ、確かに怪物の体に命中しています!」

イエロー「このまま一気に……」

『ゴースコッパー!』

『ハァッ!』

ガァンッ!

ゲルトルート「ガァウッ!?」

ゴースコッパーの一撃がゲルトルートを突き飛ばした!

シュルシュルシュル……バチィッ!

イエロー「うわあっ!?」

ブラック「何だ!?今のは!」

ピンク「……蔦です!怪物の蔦が絡みついてます!」


ゲルトルート「グゥゥ……」


ゲルトルートは何重にも蔦を絡め、ダイボウケンを締め付ける!


ブルー「ああもう!ダイボウケンの操縦が効かない!」

ピンク「このままだと、怪物の攻撃を受け続けます!」



ゲルトルート「オオオォ……」





ブラック「あいつ、近づいて来たぞ!」

イエロー「早く脱出しないと!」


レッド「いや、……待て!」

ピンク「えっ……?」

レッド「今、奴はきっと俺たちが動けないと思い込んでいる」

レッド「これはむしろチャンスだ。奴が慢心しがら空きの懐に一撃を叩き込む、な」

ブラック「そうか……よぉし!」

ブルー「でも、どうやって蔦から脱出を!?」


レッド「それはだな……」

ブラック「ネオパラレルエンジンの出力を一瞬で引き上げれば蔦を引き裂くくらい可能……」

ブルー「やっぱり、結局それが一番だね」

ブラック「ただし、それはマシンに重大な負荷がかかる……チャンスは一回きり、その一度で相手に必殺技を叩き込む……」

ブラック「相手が射程範囲に入るまでこらえろ……だろ?」

レッド「……あぁ。」

ピンク「了解!」

ゲルトルート「グウウウ……」

バシィッ!バシィッ!


イエロー「うわぁっ!」

コクピットから火花が散る。

イエロー「ほ、本当に持つの?」

ブラック「あぁ、大丈夫だ!」


ゲルトルートが距離を詰めて行く。










レッド・ブラック「……今だッ!」

『ネオパラレルエンジン!出力全開!』

ブチィッ!ブチィッ!

ゲルトルート「グァオ!?」


                   『轟轟剣!』


ダイボウケンの全身のパラレルエンジンが最大稼働し、轟轟剣にエネルギーを滾らせた!





               『アドベンチャードライブ!!』



ゲルトルート「ガアアアアッ!?」


その一撃は、ゲルトルートの身体を断ち砕いた!



ゴォォォォォォォォ……


ドォォォオオオオオオオオオオオオンッ!


ゲルトルートの体はたちまち爆発を伴い消滅していった


イエロー「……勝った!」

ブルー「はー、見えない敵と戦うなんてどうなるかと思ったけど……」

ブラック「あぁ……でも何で見えないんだ?菜月とさくら姉さんにだけ見えてんのか?……あと映士も」

ピンク「どうやら、そのようですね……不可思議です。」

レッド「……新たなネガティブシンジケートの可能性も否定出来ん。」

ブルー「あのおびき出された人たちから何か無いか、調べてみよう」








まどか「よしっ!ロボが魔女をやっつけたよ!」

マミ「急いでグリーフシードを回収しましょう。早めに処理しないと、また孵化したり予想外の自体が置きかねないわ。」

ほむら「え……?へ……?」

まどか「ん?どしたの、ほむらちゃん」

ほむら「いや、だって……ロボットが出て来たんですよ……?何かわからない、ロボットが……」

ほむら「どうしてそんな平然と……!?」

まどか「えぇ、そんなのみんなもう慣れっこだよ」

マミ「私達が生まれる前からずっとそうでしたもの。今更驚く方が……」

QB「ここ30年近くはほぼ毎週どこかで巨大な怪物とロボットが戦っているね」

ほむら「何で……?どうして……?」

ほむら(今までこんなのなかったのに……)





シルバー「よし、やったぜ!」

ゲルトルートが倒された途端、薔薇も同時に消滅。
おびき寄せられた人たちは一斉に倒れた。

シルバー「おい、大丈夫か?……息はあるな。」

シルバー「念のため、サージェスレスキューで検査しておくか」

コツンッ

シルバー「んぁ……?なんだこれ……?」

シルバー「あの爆発の方向から飛んできたけどよ……つまりあのバケモン体の一部か何かか?」

シルバー「ハザードレベルは……3?……一応、反応がある分、回収しておくか。」





ザサッ

マミ「ちょっと待ってください!」

シルバー「ん?あ、そこの女の子!ストップだ!」

ほむら「……?」ザッ

シルバー「確かにバケモンは倒されたがビルが崩れたまんまだ、いつ瓦礫が降ってくるかわかんねぇからそれ以上近づいちゃダメだ!」

マミ「その黒いのは」

シルバー「あぁ、コイツか?まだ正体がはっきりしてないから、俺たちで解析してみるからよ、じゃあな!体に気ィつけろよ!」

マミ「だからそれはグリーフシードって……あぁ」

ザッ……



まどか「……行っちゃった」

マミ「もう、戦隊の方なんだから話くらいちゃんと聞いてよ……」

ほむら(え……?なんで二人共あの存在を普通に受け入れてるの……?)

ほむら(ここまで世界がまるごと違うイレギュラーなんて初めて……)

まどか「どうするんですか、マミさん、グリーフシード取られちゃいましたよ……?」

ほむら「取り返しましょう……!あれがないと……!」

マミ「……そうしたいのは山々だけれど、もう追いつけないわ……。今回は諦めるしかなさそうね」

マミ「でも今回はともかく、問題はこれからよ……?もし、あの人たちが解析した結果、グリーフシードが魔女の卵だって知られて……」

マミ「あの人達と私達で取り合いになる可能性もあるわ……もしそうなったら……」

ほむら「私達の手元に回るグリーフシードがなくなる……!?そんな事になったら私達……!」

QB「あまりにも致命的すぎるね」

まどか「だけど、向こうは戦隊ですよぉ!話せばきっと……」

マミ「そうだと良いんだけど……」





真墨「どうやらバケモンの近くにプレシャスらしき物が落ちてたらしい。映士が回収して本部に戻ったとよ」

真墨「サージェスレスキュー隊員達がもうすぐここに来る。ここで倒れてる人達を念のため、検査するらしいぜ」

菜月「あれ~?さくらさん、この人達薔薇持ってないよぉ?」

さくら「怪物の消滅と共に薔薇も消滅したと思われます。」

さくら「……今となってはその薔薇がどんな効果でどんな目的で人々を操っていたのか、分からずじまいですが」

蒼太「おっと、大丈夫、そこの可愛い女の子?立てる?」

さやか「ん……あれ?どこここ……!?」

さやか「あれ……あそこにいんのまどか……?ほむら……?マミさん……?3人で何やってんだろ……」

明石「怪物の消えた跡に何かほかに残った物があるかもしれん。俺たちも捜索するぞ。」





明石「そこの君たち、そこから先は危ない。ここは俺たちに任せて、君たちは離れていてくれ」

マミ「貴方達は……さっきの銀色の人の仲間……ですか?」

明石「銀色……映士のことか。彼は俺たちの仲間だ。」




真墨「ブッ……なんだよあいつら……あの格好……!コスプレかよ」

蒼太「こらこら、女の子の服装に口出ししないしない」

菜月「格好良いと思うけどなぁー……ねぇ?さくらさん」

さくら「……私の趣味には合いませんね……いや、でも黒い子の服装は……」

まどか「どうします、マミさん……?やっぱりあれは私達に必要な物なんですって言っておいた方が……」

マミ「……果たして話が通じるかしらね」

ほむら「でもグリーフシードを全てあいつらに取られたら私達もう……」

まどか「できますよ!話し合えば絶対通じますって!私達だって、街の平和を守る為に戦ってる者同士なんですから!」

マミ「そうね……鹿目さんがそう言うなら……」








明石(……この地点にはビルの距離からして瓦礫は落ちてこないな……)

3人に注意を促した跡、明石は瓦礫だらけの道路へ乗り出した。
その後、周りを見渡し、何もない事を確認する。

明石「映士が黒いプレシャスを回収していたと言ったが……それ以外には残った物は何もないようだ」

明石「……ん?待て!ここは危険だ、それ以上……」

まどか「すいません!さっきのえーと……黒い物の事でお話がありますっ!」

明石「黒い物……?君たち、怪物から出て来た物の事を知っているのか?」

マミ「えぇ……あれは私達に必要な物なんです……!」



蒼太「あれ?チーフが女の子達と話してる」

菜月「あの服どこで売ってるのかな……?教えてもらお!」ダッ

真墨「おい!菜月……」

さくら「菜月には困ったものですね……」




明石「そう、か……あれは君たちの宝だったんだな……」

ほむら(宝……?)

マミ「宝とは違うんですけど……でも、無きゃ困るんです!」

明石「それはすまない事をした。だが、怪物を生み出した以上危険だ、俺たちの方で解析をしなくてはならない。」

明石「少しの間だけ俺たちの方で預からせてくれ。」

まどか「あの……これからもグリーフシード、貴方達で回収する……んですか?」

明石「……それは今は何も言えない。解析の結果が出るまでしばらく待ってくれ。」

ほむら「巴さん、これじゃさっき言ってた取り合いに……」

まどか「お願いします、グリーフシードだけは私達に譲ってください!」

明石「そんな大事な物なのか……?」






菜月「暁さ~ん!何話してるの~!」

蒼太(一人で女の子と話すなんて、ちょっとずるいよね)

マミ「……!」

菜月「ねね、この服すごいかっこいいね!帽子も!何処に売ってたの?菜月にも教えてよ!」

さくら「菜月、初対面の場合はまず挨拶を……」

真墨(ピンクの子の衣装……近くで見ると……結構キツイな……)

まどか「マミさん、もう私達の事全部話しちゃいましょうよ!」

まどか「私達が、あの魔女っていう怪物と戦う為に、魔法少女になったって事!」

明石「魔法少女……?」

マミ「えぇ、そう……鹿目さんの言うとおりよ、私達は魔法少女。だから、あのグリーフシードが無いと魔法が使えないの。」

マミ(信じてくれる、なんて期待はしないけれど……)

さくら「魔法少女って……いや、確かに古代から魔女の記録などは多数ありますが……」

蒼太「ほんとにいたんだ……驚きだね……。またプレシャスが絡んで……」






菜月「魔法少女!かっこいい~~~~!!!!」

菜月「魔法使えるの!すごい!見せてよ!」


マミ「……え?」

菜月「え!じゃあその服も魔法で作ったの!?いいなぁ、菜月も欲しい!」

マミ「信じるんですか……?」

菜月「信じるよ!嘘つきには見えないもん!」

真墨「魔法って……いくらなんでもそりゃねーよって思うけどよ……でも格好がな」

ほむら(ロボットで戦ったりする方が信じられない……)


明石「そうか。なるほど。君たちの理由も解った。」

明石「グリーフシードと言ったな。あれは解析が終了次第、すぐ君たちに返す。」

真墨「おい、一旦戻るぞ」

菜月「えー、もっとお話したい!」

真墨「えー、じゃないだろ、それにお前、明日休暇じゃねぇか」

菜月「あ……そうだった!じゃあ、またあしたね!」




まどか「……?結局、グリーフシードについてはわかってくれた……んですよね?」

ほむら「そのようですけど……」

マミ「それなら、とりあえずこの件については一安心出来るかな……」

マミ(あの黄色い服の人……私のこと、……)










…………………………………………………………



ダークシャドウ・本拠地

シズカ「どどどど、どうしましょう!ゲッコウ様ぁ~!!」

シズカ「売った薔薇のせいであんな事になったからDSカンパニーの株大暴落ですよぉ~!」

ゲッコウ「ムゥ……」

ここまで

学校、通学路
ほむら「昨日の人達って信じて大丈夫なんでしょうか……」

まどか「んもう、ほむらちゃんったら心配性なんだから。大丈夫だよ、きっと」

マミ「そうよね……。少なくとも悪い印象は受けなかったけど……」

マミ「今日、昨日のあの黄色い服の方がまたこっちに来るって言ってたけど……」

ほむら「会うんですか……?」

マミ「無視して突き放すのもちょっとどうかと思うし」

QB「だけど、あまり魔法少女以外をこの件に絡ませるのはあまり得策とは言えないね」

QB「思わぬ犠牲が出てしまうかもしれないよ」

マミ「……」


さやか「おーい!ごめんね、寝坊しちゃった!」

マミ「美樹さん……!」

マミ(この話はここまで……ね。)

まどか「あ、キュゥべえ!鞄の中に隠れて!」

QB「そういうならそうするけれど、美樹さやかに僕の姿が見えて不都合な事があるのかい?」

まどか「こんな事にさやかちゃんを巻き込む訳にはいかないよ……!」

QB「どうしてだい?仲間が増えた方が効率的じゃ……」

ほむら「……私も同感です。これ以上増えてグリーフシードの供給が追いつかなくなれば……」

ほむら「美樹さんを魔法少女にするのには反対です!」

マミ「確かにそうね。……私達みたいに魔法の相性が良いとも限らないし……。」

まどか「さやかちゃん、もし私達が戦ってる、って知ったら、私達を助けようってすると思うから……」

ほむら「良いから隠れて!」

QB「わかったよ……」ゴソゴソ




マミ「美樹さん、昨日道端で倒れてたって聞いたけど大丈夫……?」

さやか「それね、あたしも不思議だったんだけど……」


まどか「さやかちゃん!おはよう!」

さやか「うん!たくもう、あたし放って3人で何の話してたのかなぁ~?」

まどか「もう!そんな変な話してないよぉ!」

さやか「そう……?」


さやか(昨晩の事聞いた方がいいかな……?)

さやか(でも見間違いの可能性もあるし……)

さやか(なんか、隠し事してそうなんだよなぁ……)

さやか(まどかが今まであたしに隠し事なんてする事無かったのに……)





翌日昼、サージェス本部

映士「えぇ!そんな大事なもんだったのか!?アレ!」

さくら「そうらしいですが、こちらで解析もしなくてはなりませんから、持ち帰った判断は正しいです。」

蒼太「でも、女の子の話を無視して帰って来たってのは、あんまりよくないよね」

映士「だーから!悪かったっつってんだろ!今度会った時に返しておくからよ!」


菜月「そうだ、今日休暇だからあの魔法使いの女の子達に会いに行ってくるね!」

菜月「いっぱいお話聞きたいの!」

真墨「お前、今日平日だぞ!どうみてもあの子達学生だろ、昼間からじゃ会えないぞ」

菜月「あ!そうだったね……」

真墨「ってか良いのかよ、そんな簡単に会って!プレシャス狙いの嘘かもしんねーんだぞ!」

明石「まぁ良いだろう。この件を調査するのに頼りがいのある仲間になるかもしれんぞ」

明石「昨日あの子たちが話していた事が本当かどうか確かめる事もできるしな」

その時、モニターに通信が映し出される。


明石「牧野先生!映士が回収した物について何かわかりましたか」

牧野『いやぁ……解析したのですが、あれだけでは……』

牧野『中に何も入っておらず、何かの抜け殻であるという事だけは確かなのですが、それ以外の情報が何も……』

牧野『現状では、ただの物体としか』

明石「そうですか……」

映士「何だ?おっさんにも解らない事があるもんだな!」

牧野『ムム……』

牧野『しかし一つ気になる点がございましてね』

牧野『この物体なのですが、材質が地球上……過去のプレシャスデータと照らし合わせても、どれとも一致しないのですよ』

牧野『分析の結果、地球上には存在しない物質で……宇宙プレシャスとはいくつか近い物があったのですが』

牧野『もしかすると、地球外の物体の可能性も』

真墨「ん……?じゃああのバケモンとか言うのは宇宙怪獣って事か?」

さくら「断定はできませんが、……その可能性も考えられますね」

映士「おいおい、宇宙に薔薇があるかよ!」

菜月「そんなのわかんないよ?宇宙にだって地球と同じような星があるかもしれないって、前に本で読んだもん!」

牧野『とにかく、情報不足としか……すみません』

明石「いえ、足りない情報は俺たちの足で探すだけです。」

蒼太「まだまだあの街にかかわらないといけないみたいだね、僕の方でも情報集めてみるよ」


マミ「……ごめんね。何日もつきっきりで付き合わせちゃって。」

また、別の魔女の気配を察したのか、放課後、3人で行動を共にする。


まどか「今日は予定ないから大丈夫ですよ……!」

マミ「そういえば何日も慌ただしい事が続いてたから聞いてなかったけど、暁美さんの魔法……ってどんなのかしら……?」

まどか「なんか急に消えたり出たりしてたよね……?瞬間移動とか……?」

ほむら「時間を止める魔法です……」

マミ「時間停止……!そんな魔法もあったの……」

マミ「それは便利よね……私達二人と相性が良いわ。」

QB「不思議だね……いったいいつどこでそんな魔法を……」

マミ「キュゥべえと契約した訳じゃないの?」

ほむら「……」

QB「僕と契約しない限りそれはありえないはずなんだけれど……」

まどか「まぁ魔法少女だし、不思議な事のひとつやふたつくらい、ね?」

マミ「……確かに鹿目さんの言うとおりかしらね。うふふ。」

菜月「あ!いたいた!みんな~!」

まどか「あ 昨日の人……」

マミ「えーと、こんにちは」

菜月「こんにちは~!あ、私ね、間宮菜月っていうの!よろしくね!」

ほむら「……よろしくお願いします。」

まどか「あの、私鹿目まどかって言います、えへへ、はじめまして」

ほむら(巴さん、名乗って大丈夫なんですか……?)

マミ(名前くらい平気よ。そのくらいしないと、本当に味方かすらわからないわ。)

マミ「私は巴マミ。見滝原中学校の三年生です。」

菜月「まどかちゃんに……マミちゃん!マミちゃんだって、菜月の苗字と最初のふたつ同じだよぉ!偶然!」

マミ「そ、そうですね」



ほむら(口では冷静を装ってるけど、どうしてかなぁ……完全に心を許しきっちゃってる……)

ほむら(……まどかと巴さんの反応を見るからして、今は友好的な態度でいるのが先決……だよね)

ほむら(下手に警戒して、関係が悪化するのも避けたいし……何より)

ほむら(あんなロボットがいる以上、こっちの戦力に引き込まないと……)




ほむら「暁美ほむらです。」

菜月「ほむらちゃんか……!みんな、よろしくね!」

菜月「みんな、私と友達になってほしいの!お願い!」

まどか「もちろんですよぉ!」

QB「間宮菜月……だね。」



菜月「うわぁ!何この子!かわいい!」

まどか「えぇっ!?いや……それ程でも……照れます……」

QB「……僕が見えるのかい?」

QB「とても魔法少女の素質は感じられないんだけど」

まどか「……///」

菜月「そしつ?」

マミ「……そんな事良いじゃない、……これから魔女退治に行くんだけれどもし良ければ見て行きませんか?」

菜月「本当!行く、行く!」




その夜、菜月は3人の少女の激闘を目にした。
見たこともない光景に菜月はただただ、驚きと感動を覚えるしか出来なかった。




そして、翌日。

QB「おはよう。マミ。昨日の魔女は少し手ごわかったようだけど、もう大丈夫かい?」

マミ「全然平気!最近、すごく調子が良いの。」

マミ「今までずっと一人で戦ってきたけれど……鹿目さんと出会って、暁美さんとも出会って……」

マミ「菜月さんとも友達になって……。」

マミ「今まで、魔法少女の使命とかで、誰かと関わることをずっと避けていたけど、同じ使命を持った人と出会えるなんて思ってもなかった。」

QB「……間宮菜月は違うんじゃないのかい?」

マミ「私の事を知って、応援してくれる人がいるだけでも、心強いのよ。」

マミ「……こんなに朝日が綺麗に見えるなんて……いつ以来かしら」

マミ「もう一人で孤独に怯えていた事がまるで嘘みたい。」

QB「良好な精神を保つのはもっともだけれど、あんまり油断しない方がいいよ」

マミ「うんうん、そうよね、私に向けられている期待を裏切れないもの。」

サージェス本部。

菜月「ホント!マミちゃんたちすっごぉぉぉ~~~~くかっこよかったんだからぁ!」

真墨「本当かよ……まだ信じられないけどな」

菜月「嘘じゃないよ!真墨は菜月が魔法使いさんとお友達になったのが羨ましくてそんな事言ってるんだね!」

蒼太「でも、菜月ちゃん嘘つくの得意じゃないでしょ?言ってることは少なくとも本当だと思うけど」

さくら「集団幻覚を見せるプレシャスの恐れも……」

明石「いや、ダイボウケンに戦闘データは残っていたんだ。」

明石「少なくとも怪物が街を破壊したのは事実だ。それに関わるのであるならば、全てが嘘というのはありえないハズだ。」

菜月「そうだよね!」

映士「ま、世の中にゃ信じられないけどホントの事も山ほどあるしな」

映士「俺からすりゃ、サージェス財団がボウケンジャーなんて作ってた方がよっぽど信じられなかったぜ?」

真墨「……で、それが本当だとして、どんなの見てきたんだお前は」

菜月「えーとね……なんかね、魔女っていう悪い奴がいて、それをやっつけるのが魔法少女なんだって!」

菜月「おっきい銃でドーン!って!かっこよかったんだ!」

真墨「って、あんなバケモンがウジャウジャいんのか!?」

菜月「そうみたい……。結界?に隠れてるって。」

明石「俺と真墨と蒼太がその魔女を視認出来なかったのは……?」

菜月「女の子にしか見えないらしいよ」

映士「俺様には見えたぞ!」

真墨「お前、案外女々しい所あるってことじゃないか?」

映士「何言ってんだ!俺様、男らしさの塊だろうが!!」



さくら「……その、魔法の力の元はどこから?」

菜月「なんかね、猫みたいなのと契約するんだって。お願い一つ叶えてくれるって。へんてこな見た目だったけど……名前なんだったかなぁ」

真墨「猫……?そいつの調査も必要じゃないのか?」

菜月「でもあの子はマミちゃんの大事なお友達なんだよ……?取り上げるのはかわいそう」

蒼太「ふぅん……契約ねぇ……」

映士「なんだよ蒼太、そんな顔して」

蒼太「契約ってのは、何か得するかわりに、した方も何か損しなくちゃならない、そういう物のはずだけど」

映士「その魔女ってのと戦うのがお前の言う損ってやつじゃねぇのか?」

真墨「願いを叶えて貰って魔女倒すのすっぽかす奴もいるんじゃねぇか?……俺だったらそうするけど」

菜月「なんか、グリーフシードがないと魔法が使えなくなるって言ってたよ?魔女をやっつけると出てくるんだって、えいちゃんが持ってるやつだよ」

蒼太「……魔法が使えなくなって、そんな困る事ある?」



明石「情報不足のまま憶測だけで判断するのは危険だ。余裕のある内は情報収集にのみ専念する。」

明石「俺たちがまずすべき事はあの魔女と呼ばれる怪物の正体と人々の安全だ。」

映士「俺様の出番だな!」

そう言うと、映士はサガスナイパーを起動させた。

映士「魔女がこれを落とすって事は、魔女はみんなこいつを体の中に持ってるっつー事だろ?じゃあよ」

映士「見滝原まで行って」

映士「こいつで逆探知してやりゃ……」



病院内……

さやか「はぁ……今日もまたまどかほむらマミさんの三人であたし置いてけぼり?」

さやか「これはもうどう考えてもなんか3人で秘密の……」

さやか「仁美が喜びそうな事でもしてるのかぁ~~~!?」

さやか「……はぁ。」

さやか「薔薇事件の時に見た3人、やっぱりまどか達だったのかなぁ……。」

さやか「……そんなわけないか。」



さやか「……恭介、来たよ」

病院、駐輪場付近……

QB「危なかったね、もう数分遅れていれば完全に孵化していた所だよ」

まどか「こんな所でもし魔女が孵化したら……」

ほむら「病院の人達がみんな魔女に食べられてしまいます……」

まどか「ギ……ギリギリセーフ……!」

マミ「迂闊にしていられないわ。早く魔女を退治しないと……!」

ほむら(もし今まで通りなら……この魔女は……)

ほむら(でも今回は私が一緒に戦える……!最悪の状況だけは免れるはず……!)

マミ「入るわよ!」


ヒュゥゥゥ……

結界内……

まどか「何ここ……お菓子……?」

ほむら(この結界……やっぱりあの魔女!……巴さんとは一番相性の悪い……!)

マミ「まだ魔女が完全に孵化していない内に倒さなきゃ!」

ほむら「待ってください!相手の作戦です!油断させて、その隙を狙う魔女かもしれません……!」

マミ「大丈夫よ、私達3人なら。」

マミ「2人も心強い仲間がいるんですもの。絶対、負けたりしないわ!」

マミ(そう……一人で戦ってた時は、いつも結界の中に入るのが、怖くて、怖くて、たまらなかった……)

マミ(でも今は、一人ぼっちじゃない……もう、何も怖くない……!こんな気持ちは初めて……!)

マミ(体が軽い……こんなに心の温もりがあったかいなんて……)

まどか「絶好調ですね!マミさん!よぉし、私も頑張るぞ!」



ほむら(マズイ……!巴さんの最大の弱点はこの油断……!)

ほむら(巴さんから目を離しちゃいけない……!)


マミ(あれ……?キュゥべえどこいったのかしら……?)





3人は使い魔をなぎ倒し、進んでゆく。





映士「さ、お前ら、置いてかれんなよ」

見滝原に、6人は到着していた。

映士「サガスナイパー・サガスモード!」

『サーチスタート!』

グリーフシードの情報を認識させ、魔女の居場所を探知した。

『……HIT!』

映士「こっちだ!」

病室内……

恭介「……これは、レアなCDだね」

さやか「でしょでしょ!店の隅っこに置いてあったんだ!」

さやか「あたしね、恭介のおかげで最近クラシックにちょっと詳しくなってきちゃって!」

さやか「それでね、最近あたしもちょっとハマってきちゃって……」

恭介「そう……」

恭介「……」

恭介(でも……こんな物いくら聞いたって……)

さやか(恭介……泣いてる……)

さやか(そうだよね……バイオリンも弾けないのにこんな曲聞いたって……)

さやか「……きっと、恭介の腕も治るよ!だから……」

恭介「そうかな……。お医者さんも、みんな僕の腕を見るたび、諦めたような顔するけど」

恭介「それに、動くようになっても元のように動くか……」

さやか「そんなの考えすぎだって!ね!」

さやか「あ、きっとお腹すいてるよね?ちょっとコンビニ行ってお菓子買ってくるよ!」


さやかは病院から退き、近くのコンビニでいくつか買い物を終え、再び病院への帰路へ歩いていた。。



さやか(……。なんでだろう、何で何も出来ないんだろう……。)

さやか(どうして恭介だけがあんな目にあわなくちゃいけないのよ……)

さやか(どうして、恭介だけが生きる意味を奪われて、何もできなくなって、……)

さやか(あたしなんか生きていても誰も感動させる事も、勇気づける事も出来やしないのに……)

さやか「……奇跡か、魔法でもあれば……」




さやか(……!?)

さやか(なんか、今、白い猫みたいなのが……?)

さやか(猫……?猫なのかな……?変な耳ついてたけど……)

さやか(駐輪場の方走っていった!気になる!)

さやかはキュゥべえを見つけ、駐輪場へ向けて走っていった。



さやか「……あれ?こっちじゃなかったのかなぁ……」

さやか「見間違い……幽霊……?」

さやか「幽霊はありえないよね……別に誰の恨み買うような事して……」

さやか「壁になんか刺さってる!?……なにこれ、……松ぼっくり……とかじゃないよね」

さやか「……」

さやかは、そっと壁に刺さっていたグリーフシードに手を伸ばした。
触れた途端、結界はさやかを飲み込んだ。


さやか「……うわぁっ!?」

病院、駐輪場……

映士「……ココだ!」

真墨「何も無いように見えっけど」

蒼太「どうやってその結界に入ればいいの?」

菜月「なんか、魔法で結界開けて入ってたけど」

さくら「魔法……という事は、魔法を使わなければ結界の扉は開かないという事でしょうか」

真墨「でも俺たちに魔法使える奴なんて……」

明石「映士、頼むぞ」

映士「俺様に任せろよ!……高丘流・邪気貫通!」


映士の術が結界の扉を開いた。

菜月「おー、えいちゃんすごい!」

真墨「……入るぞ。相手の陣地の中に侵入するんだ。どんなトラップが仕掛けられているかわからないからな。」

明石「その通りだ。」

菜月(真墨ったら張り切っちゃってる……)



さくら「ここは……甘い匂いがしますね……」

明石「菓子で出来た洞窟か……!?」

菜月「食べていいのかな?」

さくら「ダメに決まってるでしょう」

明石「今まで鍾乳洞や鋼鉄で出来た洞窟は冒険した事があるが……こんなのは初めてだ……!」

菜月「あ!あれ、魔女の使い魔だよ!」

映士「ちっこいな!」

蒼太「……戦闘員もいるみたいだね。あいにく僕らには見えてないけど。」

真墨「生身で行くのは危険すぎる。行くぞ、みんな!」




『レディ!ボウケンジャー!スタートアップ!』

『ゴーゴーチェンジャー!スタートアップ!』


掛け声と共に、アクセルラー・ゴーゴチェンジャーを起動させ、6人はアクセルスーツを身にまとう。



ブラック「ハッ!明石、今のチーフの力、思い知らせてやるよ」

レッド「お手並み拝見と行こうか」

ブルー「僕たちには相手の姿が見えませんが、レーダーを使えば座標を確認出来ます。」

シルバー「俺様がついてる上に相手の姿が見えるんだ、大舟に乗ったつもりでいてくれてもいいんだぜ?」

ピンク「シルバー、この状況での油断が一番危険です」

イエロー「よぉーし……」

ブラック「魔女は結界の一番奥に潜んでんだろ?」

ブラック「結界の奥に到達後、魔女を殲滅。」

レッド「あぁ。」


レッド・ブラック「アタック!」




二人が指を鳴らすと同時に6人は結界の最深部へ走り出す。

『サバイバスター!』

ブルー「レーダーの座標だけでも、狙い打つだけなら簡単!」

ピンク「えぇ。しかしブルー、ここは私とイエロー・シルバーが先に立ちます。」

ブルー「頼りにしてるよ!」



シルバー「……ん?あそこに人がいるぞ!」

ブラック「マジかよ……」

シルバー「おい、しっかりしろ!」

さやか「……」

ブルー「あれ?この子……」

イエロー「大変!大丈夫なの!?」

レッド「いや、息がある。気絶してるだけだな。」

レッド「この周辺にこの子以外に人間の生命反応は……奥に3つ……」

イエロー「きっとマミちゃんだよ!」

レッド「あぁ。まずはこの子を無事結界の外まで助け出さなければならない。」

レッド「使い魔達を視認出来て結界の扉を開けるのは映士だけか……」

レッド「なら」



ブラック「蒼太と映士はその子連れて外に脱出しろ。その子を安全な場所に連れて行ったあとは、万が一に備えて外で待機だ。」

レッド「……」

ブラック「へっ!」


ブルー・シルバー「了解!」


ブラック「4人で魔女をぶっ倒すぞ!」

イエロー「うん!」

ピンク(真墨もチーフとして任命されただけあって、状況に応じた的確な判断をできるようになりましたね)




結界、最奥……

ほむら「あの奥にいる人形がこの結界の魔女です!」

まどか「けっこう可愛いと思うけどなぁ……」

ほむら「きっとあの姿は私達を騙す為の囮です!きっと敵は狡猾な罠を……」

まどか「えっ……そ、そうだよね!うん!」


シャルロッテ「……」ポンッ!

向いあった途端、シャルロッテは使い魔を生み出し、3人に向けて放った。




ほむら「使い魔が……まずはこいつらを倒しましょう!」

まどか「うん!」

マミ「いえ、二人はここで使い魔の相手をして。魔女の相手は私がする。」

マミ「二人になら、安心して背中を預けられる!」

マミ「二人の事、信じてるんだから!」

ほむら(ダメ……これじゃあ……また……)


「キーッ!キキーッ!」

まどか「使い魔が邪魔して進めない!」

まどか「早くやっつけて私達もマミさんの所に……!」

ほむら(……!)カチッ

ほむら(時間を止めて……一気に!)

時間を停止させ、動きの止まった使い魔へ向けて銃を放つ。


……そして、時は動き出す。


ドォォォォンッ!


まどか「うわっ!?」

ほむら「急がなきゃ!鹿目さん!」

まどか「今のほむらちゃん!?すごい!一瞬でみんなやっつけられたよ!」




シャルロッテ「……」

マミ「悪いけど、もう決めさせてもらうわ!」

銃でシャルロッテを叩き、宙へ放り投げた。

マミ「……ティロ・フィナーレ!」

ドォオオオオオオンッ!

放たれた弾丸がシャルロッテの体を貫いた!
だが、シャルロッテの仮の体を脱ぎ捨て、本体が姿を現す!





シャルロッテ「グァォ……」グゥゥゥゥンッ


マミ「へっ……?」


ほむら「マズイ……!時間を……っ!」

「キキッ!」

ほむらが盾に手をかけようとした瞬間、使い魔が一斉にほむらを抑えにかかった!

ほむら「うあっ!?離れて!……離れてッ!!」


まどか「マミさぁあああんっ!!!!」







病院、駐輪場……

ブルー「よっと。無事脱出出来たね。……まだこの子は目覚めてないみたいだけど」

シルバー「そのへんに寝っ転がしておくのもこの年頃の女の子にゃあキツイよなぁ……」

シルバー「この病院にいたんだ、待合室かどこかに座らせておけば大丈夫だろ」

ブルー「……もし目が覚めたら、なんて説明すれば」

シルバー「全部、夢だって言っておけばいいんだよ。今回のことには関わらない方がいい。」

ブルー「そうだね……。」

蒼太「じゃあ、待合室まで連れて行くよ。」

魔女の結界、vsシャルロッテ

マミ「えっ……!?」

マミの目の前にシャルロッテが牙を剥き迫っていた。


バシュンッ!

シャルロッテ「ウガァッ!?」

まどか「間に合った……!」




しかし、間一髪の所でまどかの放った矢がシャルロッテの頬を射抜いた

シャルロッテ「……」ギロッ

シャルロッテはまどかを睨み、次はまどかを仕留めようとまどかへ急接近し始めた。


まどか「えいッ!おりゃあ!」

バシュンッ!バシュンッ!


シャルロッテ「グゥゥッッ!」

迫り来る魔女へ矢を打ち放つが、傷ついた側から身体を脱ぎ捨て、まどかを噛み砕こうと迫り来る!


まどか(こっちに……来る……!?止められない……)

まどか(マミさん、ほむらちゃん……ごめん……!)


ほむら(離れて!今すぐ時間止めないと……まどかが、まどかが……!)

使い魔「キキッ!」

ほむら「鹿目さん……!!!逃げて!!」






「ラジアルハンマー!ライトニングアタック!」

ドォンッ!

しかし、突如として飛んできたラジアルハンマーの一撃に、シャルロッテは吹き飛ばされた。



まどか「……誰!?」

ほむら「……あれは!この結界に……!?」

ダダダダッ!

ほむら「うわぁっ!」

ほむらの体にまとわりついていた使い魔達も、撃ち落とされた。





ブラック「……間に合ったぞ!」

レッド「中央に巨大な怪物の反応がある。」

ピンク「えぇ。恐らくそれがこの結界の魔女でしょう。」

イエロー「マミちゃん!まどかちゃん!ほむらちゃん!大丈夫!?」



マミ「ボウケンジャー……さん?」

レッド「魔女を倒す。だが、ここは奴の結界の中。何が起こるかわからん。」

レッド「警戒を怠るな。」

ピンク「奴の武器はあの牙です!」



イエロー「マミちゃん!どうしたの!?座り込んで……!?」

マミ「……」

イエロー「魔女めぇ~!よくもマミちゃんをいじめたな!」

ピンク「あ、待ちなさい!イエロー!魔女に近づきすぎるのは危険です!」





イエロー「……バケットスクーパー!」

ボウケンピンクの忠告も聞き入れず、ボウケンイエローは魔女へと飛んだ。

イエロー「……許さないんだからね!」

魔女へ向かって走り出す。





シャルロッテ「……グゥ」

イエロー「スクーパーファント……うっ!?」


マミ「な……菜月さん!?」


イエロー「か……体が……重い……ッ!?」

突然、ボウケンイエローの体の動きが鈍った。






イエロー「どうして……急に……動けな……うわぁっ!?」

シュゥゥゥゥゥ……ン


菜月「アクセルスーツが!?」





ブラック「変身が解けた!?」

レッド「イエローから魔女を遠ざけるぞ!」

『サバイバスター!』


レッド・ブラック・ブルーの3人が魔女へ向けてサバイバスターを放つ。


シャルロッテ「グァァォウ!」

シュゥゥゥゥ……



ブラック「そんなバカな!」

しかし、3人の放ったサバイバスターは、シャルロッテをすり抜ける。



シャルロッテ「グワアアアアッ……」


菜月「ひっ……!?」

シャルロッテが菜月へ牙を剥いた。


……ガオンッ!




病院、待合室。

さやか「……あれ?どこここ……待合室か」

さやか「えーと、コンビニでお菓子買って……戻ってくる途中で……」

さやか「変な猫みたいなの見つけて……」

さやか「……薔薇の時もあたしおかしかったし、二度もこんな事あるなんてあたし変だよ!」

さやか「夢遊病かな……」

さやか「き、きっとそうだよ!あたし疲れてたから道端で寝ちゃったんだ!もう、いけない子だな」

さやか(……。やっぱり、あの時見たまどかとあたしに起こる事って関係あるのかな……)

さやか「そ、そんな事より恭介にお菓子持ってかなきゃ!……」














ブラック「オイ……嘘だろ……」



ブラック「菜月……菜月ぃいいいい!!!」





菜月「ん?」

ブラック「……えッ!?」

ピンク「菜月!あの一瞬でどうしてここまで……!?」


魔女の牙の前にいたはずの菜月が、3人の足元に座り込んでいた。



菜月「……わかんない、いきなりここに……」



ほむら「今度は間に合いました……!」

まどか「ほむらちゃん……!」


魔女が牙を閉じる瞬間、ほむらが時を止め、菜月を後方へ投げ飛ばした。




まどか「もう一度……えいッ!えいッ!」

ほむら「巴さん!しっかりして下さい!」




マミ「……そうよ、私が何とかしなきゃ……」

マミ「私のせいで菜月さんが危険な目に遭ったんだから……私が……」




シャルロッテ目掛け、再びまどかが矢を放つ。
マミも震える手足で銃を支え放つ。

シャルロッテ「グァォ!」ニュルンッ!


まどか「また脱皮!」

ほむら「今です!」


ドォンッ!

脱皮する瞬間、ほむらは爆弾を作動させた。


ほむら「体内からの攻撃なら、やつの脱皮で回復出来ない!」


シャルロッテ「グァアア……」


ほむらの目論見通り、シャルロッテは体内からのダメージに耐え切れず、動きを止めた。

ほむら(もっと沢山爆弾を飲み込ませないと……!)


シャルロッテ「グゥゥゥ……アアアアアア!」

ガオンッ!


まどか「何……してるの……?床を食べてる……!?」

QB「そうか。お菓子の魔女、体外へのダメージは脱皮でゼロにして、体内へのダメージは……」

QB「この床全体に広がる結界のエネルギーを摂取して治癒するんだ。」

まどか「キュゥべえ!?今まで何処行ってたの!?」

ほむら(もっと強い攻撃で、一撃で、体内から爆破する、それがこの魔女への最善手!)





ブラック「クソッ!どうなってんだよ!さっきのラジアルハンマーは通じたのにどうしてサバイバスターは……」

ブラック「あいつに近づけばアクセルスーツは使い物にならなくなるしよ……」

ピンク「あの牙と再生力は驚異です。生半可な攻撃では、かえって奴を刺激するだけに」

ピンク「体内への攻撃も、半端な威力では倒すには至りません。」

レッド「脱皮を封じてやれば勝機はある。」

レッド「ここからなら少なくともヤツに攻撃自体は届かせる事が出来る。」

レッド「さっきのブラックの攻撃は通じたんだ。ならば……」

ブラック「……そうか!」

ブラック「アクセルテクター!」

ブラック「デュアルクラッシャー・ミキサーヘッド!」


デュアルクラッシャーを構え、シャルロッテへ狙いを定める。


シャルロッテが動きを止めた一瞬を狙い、引き金を引いた。



ブラック「GOッ!!」



シャルロッテ「グゥッ……!?」

ドォッ……ビキビキビキッ!

シャルロッテの体はたちまちハイパーコンクリートに包まれる。
身動きを封じられ、石像と化した魔女が落下する。



まどか「あれ……?魔女が石になっちゃった」

まどか「石にしちゃえば、脱皮も出来なくなる!そうか!石にしちゃえば……」

まどか「私には出来ないけど……」


マミ「……助かったの?」

ほむら「魔女の魔力が消えていません……!結界が消えるまで安心はできません」




ブラック「……はぁ、通じて良かったぜ!」

菜月「そうか!固めればいいんだ!」

菜月「でも魔女がやっつけられたら結界も消えるはずだよ!?」

ピンク「早く奴の体を破壊しましょう。」




シャルロッテ「グゥゥゥ……」


ほむら「……!?」


シャルロッテ「ウゥゥゥ……ウウウウウ!!!」

ミシミシミシッ……

石化したシャルロッテの体に亀裂が走った。
そして、シャルロッテを覆っていたハイパコンクリートが弾け飛ぶ。



シャルロッテ「グゥゥ……」

まどか「これでもダメ……!?」


ブラック「デュアルクラッシャーも効かないのか!?」

シャルロッテ「……ウゥ」



ピンク「いいえ、破られはしたものの、奴は消耗しています。」

ピンク「奴が体制を整えられないうちに止めを刺すのが先決です。」


ブラック「ならもう一度……」




シャルロッテ「ウウウウ……ウォアアアアア!!!」


敗北を察したのか、シャルロッテは口を大きく開き、再び床を食べ始めた。


まどか「また回復しちゃう!」

マミ「……鹿目さん!魔女が少しずつ大きくなってるわ!」

ほむら「……魔女が巨大化!?」

QB「あぁ。あの魔女は今結界のエネルギーを摂取して全て自分の力に変えようとしている。」

QB「このままでは魔女にみんな飲み込まれてしまうよ」



レッド「総員退避だ!」


レッドの呼びかけに応じ、全員が結界の外へ向けて走り出す。



マミ(……!足が震えて走れない……!)

菜月「マミちゃん!しっかりして!」

菜月「……掴まっててね!」


マミを背負って菜月は走り出す。

病院、駐輪場……


レッド「ハァッ!」

まどか「みんな無事!?」

ほむら「……うん」

ブラック「……菜月は!?」





5人から少し遅れ、菜月とマミが結界から脱出した。

しかし、そのすぐ背後まで巨大化したシャルロッテが迫っていた!



まどか「……っ!マミさん!後ろっ!」






ブラック「デュアルクラッシャー!ドリルヘッド!」

ブラック「GOッ!」


シャルロッテ「グゥッ!?」


迫っていたシャルロッテの顔面めがけ、ドリルビームを放った。
シャルロッテはわずかに怯み、菜月とマミが逃げ出せる程の隙を作り出した。

菜月「ありがと、真墨!」




シャルロッテ「……ガァアアアウ!」


巨大化した口を広げ、七人を飲み込もうと迫る。



ブラック「まだ来るか……!」






『ダブルウォーターシュート!』

ズガァンッ!


シャルロッテ「グァッ!?」


『ゴーゴーファイヤー!エイダー!ポリス!』

ゴーゴーファイヤーの放った一撃に、シャルロッテは吹き飛ばされた。






シルバー「緊急轟轟合体!」


『サイレンフォーメーション!』




シルバー「ジャッキアップ!」


ガシィィィィンッ!

ゴーゴーファイヤーの車体が立ち上がり、その姿は無敵のファイターへと変化した!


シルバー「サイレンビルダー!合体完了ォ!ファーストギア・IN!」

ブラック「映士!あの野郎また良い所に!」

レッド「グッジョブ!」


ほむら「また、ロボットが……!?」

まどか「頑張れ!ロボット!」




シルバー『へっ!いいとこどりは俺様の専売特許だぜ!』

シルバー『この恵方巻き野郎は俺様が相手をしてやる!オラ、かかってこいよ!』



シャルロッテ「グゥウウウウ……」


シルバー「……!」


巨大化し、現実世界に具現化した魔女とサイレンビルダーの激闘の火蓋が切って落とされた!



シルバー「ナックルバルカン!」

先手を制したのは、サイレンビルダーだった。
両腕から放たれた光弾がシャルロッテを打ち抜いた

シャルロッテ「グアアアアッ!」

シルバー「脱皮した!?気味ワリィ!」


ピンク『奴は脱皮を繰り返し再生します!ゴーゴーミキサーと合体して下さい!』


シルバー「おう、さくら姉さん!」


『発進シフト・オン!ミキサー!GOッ!GOッッッ!』

『合体シフト・オン!ミキサー・パワーオン!』


シルバー「緊急轟轟武装!」


サイレンビルダーからポリスが分離し、左腕にゴーゴーミキサーが合体した。


シルバー「サイレンビルダーミキサー!合体完了!」




シルバー「へっ……その巫山戯た顔毎固めてやるぜ!」

シルバー「……ウォールシュート!」


バシュゥウウウウウウウウ!



シャルロッテ「グアアアアッ!?」

ビキビキビキッ……

シルバー「ざまぁみろ!石ころにしてやったぜ!」


シャルロッテ「……グアアアアアアッ!!!」


バキッ!バキッ!バキィィィィッ!



シルバー「何!?脱出しただと……ッ!?」



シャルロッテ「ガァァアアアアウッ!」


ガキィィィイイイッ!


シルバー「グァッ!こいつ、サイレンビルダーを食うつもりか!」

ハイパーコンクリートから脱出したシャルロッテがサイレンビルダーに食らいつく!



恭介の病室……


さやか「な、何あれ!?」

恭介「あ……ロボット……でも何と戦って……」

さやか「変な黒い怪獣と戦ってるんだよ!」

恭介「……?」

さやか「見えてないの!?いるじゃん!あそこに!」

恭介「……何言ってるんだい?」

さやか「いるよ!」

さやか(あたしにしか見えてないの……!?)

さやか(あたし本当に最近どうかしてるよ……)




病院、駐輪場

ピンク「巨大化してパワーも強力になっています!ミキサーで固めたあとは間髪入れずに攻撃して下さい!」

シルバー『おい!それを早く言ってくれって!』

まどか「どうしよう!ロボが食べられちゃう!」

マミ「でも、どうしようも……」

QB「魔女が自力で巨大化なんて初めて見るよ……」

QB「こんな芸当が出来るのはこの魔女しかいないだろうね」

ほむら(私があの時一撃で仕留めていられれば……)








ゴゥウウウウウンッ……


ブラック「ゴーゴービークル発進だ!」

ブルー『その必要は無いよ!みんな!ゴーゴービークルに乗って!』

菜月「蒼太さん!」

ブルー『シルバーがサイレンビルダーを出動させたって聞いて、待機させてたんだ!』

レッド「俺たちもダイボウケンでシルバーと共に魔女を倒す!行くぞ!」

4人がゴーゴービークルへ搭乗する。



『合体シフト・オン!ダンプ・フォーミュラー・ジャイロ・ドーザー・マリン!』





            『ボウケンフォーメーション!』




                『轟轟合体!』


五つのマシンが一つになり、鋼鉄の大冒険者が降臨する!



  


       『発進シフト・オン!ドリル・クレーン!GO!GOッ!』
 

                『轟轟武装!』

           『ドリル・クレーン!パワーオン!』





        『ダイボウケンドリル&クレーン!合体完了!』

レッド「シルバー、もう一度ウォールシュートだ。その瞬間、俺たちが魔女を打ち砕く!」


シルバー「おう、了解した……いつまでも噛み付いてんじゃねぇ!」

シャルロッテ「グァォッ!」


サイレンビルダーがシャルロッテを引き離した。



シャルロッテ「グ……アアアアアア!!!」



イエロー「今度はこっちに来た!」

ブルー「ダイボウケンも食べるつもり……?」

レッド「イエロー、ピンク!奴の喉目掛けてクレーンを射出しろ!」

ピンク「了解!」



『ワイヤーフックパンチ!』


シャルロッテ「グゥアアアッ!?」

シャルロッテの喉にクレーンフックが直撃した!

『ハぁッ!!』


シャルロッテを宙へ放り投げる。



シルバー「ウォールシュート!」


バシュゥゥゥッ!ビキビキビキ……


シャルロッテ「ア……ガ……」




ブラック「今だッ!」



シルバー「よっしゃ!決めるぜ!」

レッド「あぁ。同時攻撃だ。」


サイレンビルダーからミキサーが分離し、再びポリスと合体する。






                  『トリプルリキッドボンバー!』


                   『リフトアップストライク!』






放水弾とドリルの合体攻撃がシャルロッテの体を貫いた!



ドォオオオオオオンッ……


シャルロッテの体は粉々に砕け散る。




レッド「……ミッション完了。」

ブラック「あぁ……ん?」

ブラック「それ俺の台詞じゃねぇか!」


病院、駐輪場……


まどか「やったっ!またロボが勝った!」

ほむら(どうなるかって思ったけど……)

ほむら(今は巴さんが無事で安心……)






菜月「みんな~!魔女やっつけたよ!はい、グリーフシード!」

さくら「念のため、ハザードレベルを測定させて下さい。」


ピッ……


さくら「ハザードレベル・3……」

明石「やはり倒した後ではそうなるか……」

蒼太「グリーフシードから魔女のデータは採れそうに無いですね。」


まどか「あの、さっきはありがとうございます!」

菜月「こっちこそ、菜月の事助けてくれてありがとうね!」


映士「あぁ、この前は悪かったな、話聞かないでグリーフシード持って帰っちまってよ」

映士「俺様は高丘映士だ。よろしくな。これ、お近づきと侘びの印だ。」

QB「高丘……?」

映士「えーと、黄色い髪の子は……マミだったな!君にはこれだ」

マミ「あ……ありがとうございます……?パプリカ……?」

映士「桃色の子は、まどかだろ?これ!」

まどか「あ、わざわざどうも!セロリですね!」

映士「黒いのがほむら……。君にはナスだ!」

ほむら「……ありがとうございます。」

映士「素直だなぁ。ウチの黒いのとは大違いだぜ!」

真墨「何だと!?」



QB「うん……。魔女の無駄に被害が増えなくて何よりだよ」

菜月「あ~!名前なんだっけ!」

QB「キュゥべえだよ」

菜月「そうそう!キュゥちゃんだよ!」

さくら「あなたが彼女たちに魔法の力を……?」

QB「そうだよ。」

さくら「聞きたい事がいくつかあります。」

QB「どうして君が……?魔法少女でも無いのに。聞かれれば答えるけど」

さくら「……一体どのような仕組みで彼女たちは魔法を使えるようになったのですか……?」

QB「彼女たちの願いから『ソウルジェム』を作り出したんだ。」

まどか「これですよ」

さくら「……失礼。」

ピッ

さくら「ハザードレベル・36……。」

QB「彼女たちの心のエネルギーだからね。」


さくら(今の内に聞ける事をいくつか聞いておきましょう。)

さくら「契約によるデメリットは」

QB「まず無いと言えるね。あるとすれば、それは魔女と戦う事さ。魔女との戦いは見たとおり危険を伴う。」


映士「まぁまぁまぁ!まずは挨拶だろ、さくら姉さん!」

映士「お前はキュゥべえ!お前は白いからカリフラワーな!」

QB「君は野菜を生で食べるのか。調理をすると栄養価が損なわれるからね。効率的には良い判断だよ」

映士「なんだお前、理屈っぽいなぁ。そんなんじゃくたびれちまうぞ?」







真墨「なんだ、また見えない何かと話してるぞ」

蒼太「僕らはまた置いてけぼりだね……」

明石「……そうだな。」




その後、9人は解散し、サージェス本部、それぞれの家へ戻った。





……その晩、マミの家。


QB「いやぁ、それにしても今日は危なかったね。あの魔女は強力だった。」

QB「危うく、鹿目まどかやマミも死んでしまう所だったよ。」

マミ「……そうね。」




マミ(そうだった……魔女との戦いって、命懸けの戦いだったんだ……)

マミ(仲間が出来たからって、それを忘れて、浮かれて、私は……)

マミ(鹿目さんや暁美さん……それに菜月さんを危うく死なせちゃう所だったんだわ……)

マミ(忘れちゃいけなかったのに……先輩のくせに、二人を守れなかった……)



QB「ま、結果はみんな生き残ったんだ。悔やむことは無いよ」




マミ(また、自分の事だけ考えて、誰かを見殺しにする所だったんだ……)

マミ(あの時みたいに……)




こ↑こ↓まで
今後も適当に理由つけてロボ戦は入れたい

一つ前の戦隊は魔法で戦っていたことは
この世界では知られていないのかしら

やはり戦隊といえばロボ戦は欠かせない
ダイボウケンやダイボイジャーは迫力があって良かったな
できれば巨大戦にも魔法少女が絡んで欲しい

>>132
毎年新戦隊現れてるような世界なんで
一般人はどの戦隊がどうやって戦うか一々覚えてられないとかでお願いします

>>134
パラレルエンジンは思いの力で作動するとかプレシャスの力を取り出すとか便利な設定あるんでそのへんも考えてます
しばらくロボ戦空気になるけど許してください

サージェス本部……



牧野『皆さん、魔女との戦闘ご苦労様です。君たちのデータのおかげで魔女について、いくつか判明しました。』

明石「ありがとうございます、牧野先生。」」

真墨「じゃあ、おっさん……まず聞くけどどうしてあん時菜月のアクセルスーツが消えちまったんだよ。」

牧野『えぇ。君たちから転送された結界からのデータを元にすると……』

牧野『あの結界では深入りするとネオパラレルエンジンからのアクセルスーツの転送が途切れてしまう、と思われます。』

菜月「……そうだ!じゃあ前みたいにパラレルエンジンを強化すれば!」

牧野『いえ……菜月さん、残念ですが、それは……』

牧野『ゴードムエンジンの時は転送を妨害するジャミング、でしたが今回は届かせる事自体が出来ないのです……。』

明石「いや、結界内で全く使えない訳じゃあ無いんだ。戦う術は十分ある。」






さくら「サバイバスターの効果が無かったのは……」

牧野『それは……魔女の体は、結界の中では我々の世界とは別の物質で形勢されています。』

牧野『我々の世界で通用する為に作られたサバイバスターでは、魔女の体をすり抜けてしまうのです。』

蒼太「そうそうそうた!僕も少し一緒に研究したけど、通用するとすればネオパラレルエンジンの力を使った必殺技か、デュアルクラッシャーしか無いね。」

蒼太「もしかすると、ズバーンも通用するかもしれないけど。」

牧野『その通りです、蒼太君……。しかし、それでも魔女に対して100%の効果を望めるかどうか……』

さくら「つまり……我々だけで魔女を倒すのは、難しいと?」

牧野『不可能ではないですが、あまりにも危険すぎるという事です。』




映士「結界から引っ張り出しゃ通じるんだろ?だったら、片っ端から引っ張り出して倒せば良いじゃねぇかよ」

真墨「昨日のは魔女が自分から出て来たんだろ!だいたいどうやって引っ張り出すんだよ……」

映士「クレーンでこう、グイッ!と」

明石「……その作戦も視野に入れておく必要があるな。」


さくら「……一番望ましいのは、魔法少女と共に戦う事です。」

菜月「そうだね!マミちゃんたちならきっと一緒に戦ってくれるよ!!」

牧野『……気休めにしかならないと思いますが、魔女の体から放たれる独自の波形を解析して、アクセルスーツを改良しました。』

牧野『これで、明石くん、真墨くん、蒼太くんの3人はアクセルスーツをまとえば魔女を視認出来るようになります。』

蒼太「本当ですか!」

菜月「すごい!」

牧野『あと、転送域の限界に近づくと、アクセルラーから警告音が鳴るようにしました。これくらいしか出来ず、面目ないです……』

明石「それだけあれば十分です。感謝します。」



牧野『あとですね、例のキュゥべえという生物ですが……』

さくら「えぇ……隙を見つけて、ハザードレベルを計測しました。ハザードレベルは16です。」

映士「さくら姉さん!……抜け目無いぜ」

真墨「……大したこと無いんだな。」

牧野『はい……しかしですね、太古からの記録に、いくつかそのキュゥべえ君と類似した記録がありましてね』

牧野『これに関しては私が聞きかじっただけで、全然解らないのですが……一応。』

明石「それは、俺たちでも資料を集めてみます。」

菜月「キュゥちゃんの……先祖かなぁ」

真墨「魔法を使うことのデメリットは魔女との戦い以外無いって言ってたんだろ?さくら姉さん」

さくら「確かにそうは言っていました。しかし」

蒼太「価値観が違うかもしれない相手の言う事を鵜呑みにしちゃいけない……でしょう?」

さくら「そうです。私達で調べる事を怠る訳には行きません。」



ボイス『みんな、話は聞いたよ。魔女から回収したグリーフシードは大したプレシャスではないそうじゃないか。』

ボイス『そんな意味の無い物集めるよりも、もっと他にやる事あるとボイスは思うんだけど』

真墨(またコイツ、口挟みに来たのかよ……)

明石「お言葉ですが、ボイス。魔女は人を食物にします。それを放っておくのは我々の使命に反するのでは?」

ボイス『んー……そうなのは解ってるけど、君たちの本来の使命はプレシャスの確保だからね?』

ボイス『まーぁ、君たちが勝手にやる分には文句は言わないけど、本来の業務に支障が出ないようにしておくれよ』

真墨「わーってるよ!」

ボイス『君たちが勝手な事すると禄なことにならないからね。正直今回の件もボイスは心配で心配でたまらないんだよ』

菜月「でも女の子が戦ってるんだよ!」

ボイス『とにかく、本来の任務を怠らない事。それだけは絶対守ってね』





ブツンッ……



さくら「……」

蒼太「まぁ、ボイスはああ言ってたけど僕たちも牧野さんも、見滝原の魔女の正体を探る……事に異論は無いよね」

さくら「はい。今後も調査は続行……ですよね、真墨。」

真墨「あぁ。当然だろうが。ああ言われたら余計やりたくなっちまうよな」

明石「人命を守るのは何よりの最重要任務だ。魔女を野放しにするのは危険すぎる。」




明石「それに……」


映士「それに……?」

明石「魔女の結界……まさかまだこの世界……この地球に俺たちの踏み入れていない世界があったなんて……」


明石「魔女の結界への冒険……!……冒険してみたいと思わないか!」







菜月「わははははは!やっぱりそんなんだと思った!」

真墨「そう呑気なこと行ってられるかよ……まぁいつも通りだけど」

映士「やっぱ変わんねーな、お前は!」


明石「……あの子達の事も気になるしな。……あの子達は見滝原中学校に通っているらしい。」

明石「牧野先生から下準備の方は既に頼んでおいた。さくら、蒼太。突然で悪いが、潜入捜査、よろしく頼むぞ」

さくら「はい。」

蒼太「了解!」



映士(……あ、挨拶しておいたのに満足しちまってグリーフシード返すの忘れちまった……)

映士(……ま、いいか)


通学路……

さやか(……昨日はなぁなぁにしちゃったけど……恭介……。)

さやか(本当、どうして良いのかわからないよ……あたしに会うたびに苦しそうな顔して……)

さやか(あんなCD聞かせて……こんなの恭介にとっちゃ嫌がらせだよね……)

さやか(もう、会わない方が良いのかな……)

さやか(でもそんなことしたら一人ぼっちになっちゃう……)



さやか(まどかはまどかでマミさんやほむらと付きっきりだし……)

さやか(一応あたしのこと気にかけてくれてるけどさ……避けてるようにも見える……)

さやか(……?待ってよ……これじゃまるであたしが一人になりたくないから恭介の所に行ってるみたいじゃん)


さやか「あぁもう!考える事多すぎてもうわけわかんない!」



仁美「さやかさん、おはようございます。……どうしたのですか?そんな目を細めて」

さやか「ん?……何でも無いよ……。ほら、3人待たせちゃ悪いよね、急ご!」



さやか「みんなおはようね!」

まどか「うん、おはよう!」

ほむら「おはようございます」

マミ(……。)

マミ「お、おはよう、美樹さん」



その後、5人はいつも通り、登校した。




仁美「今日私日直だから、日誌取りに行ってきますわ!」

まどか「うん、行ってらっしゃい!」

マミ「また休み時間ね!」

ほむら「はい。」

さやか「……。」



まどか「……あれ?どうしたの、さやかちゃん。私の顔じっと見て」

さやか「ねぇ……。まどか、もしかしてだけどさ」

まどか「……?」

さやか「あたしに隠し事とか、してないよね……?」

まどか「……」

まどか「す、する訳無いじゃん!さやかちゃんに隠し事なんて!もう、さやかちゃんったら!」

さやか「そう……。それなら良いんだけど」


数分後、教室……

和子「さて、今日は突然ですが、教育実習生をご紹介しまーす!はい!どうぞ!」

ガラッ

まどか「へっ!?」

ほむら「どうして……?」



蒼太「えー、今日からこのクラスで教育実習をさせて貰う、最上蒼太です!よろしく!」


さやか(あれぇ……?あの人どっかで……)


蒼太「早くみんなの事を覚えて、みんなと仲良く思い出を作れるよう、頑張ります!」

蒼太(……!まどかちゃんにほむらちゃん!中学校に来るんだから覚悟してたけどいきなりとはね……)


蒼太「まずは、僕の自己紹介からしたいと思います!僕の好きなことは、冒険!」

蒼太「世界の色んな所を旅する事が大好きです!」

蒼太「みんなも、自分の本当にやりたい事を見つけて自分だけの宝を見つけられるように頑張って欲しいです!」


和子「はい、自己紹介ご苦労様。これから一ヶ月、蒼太先生にはこのクラスで先生をやってもらいます!」

和子「みんなも、蒼太先生が困ってたら手伝ってあげてくださいね!」


まどか(あ、あの人先生だったの……?)

ほむら(どうしてここに……?私達の調査かな……?)


職員室


蒼太「ふぅ……。ああやってみんなの前で話すのって緊張するよね。まさかまどかちゃんとほむらちゃんも一緒なんて」

蒼太「ま……僕に与えられた任務だからちゃんとしなきゃ。可愛い女の子とも話せるし!」

蒼太「教師の仕事の傍ら、情報収集もちゃんとしなきゃ。」

蒼太「学校の生徒達から入ってくる情報もバカに出来ないし。」

さくら「蒼太くん、状況はいかがでしたか」

蒼太「……まぁ好印象かな。さくらさんは?」

さくら「私は3年生の教室でしたが……。特に変わったことは。」

さくら「生徒の一人に巴さんがいましたが……。」

蒼太「そっちも?僕も入っていきなりまどかちゃんとほむらちゃんがいたからビックリしちゃって!」

さくら「……とにかく、お互い気を引き締めましょう。いつどんな情報が入ってくるかわかりません。」

蒼太「了解!」



蒼太「っと……一時間目が始まっちゃう!」

さくら「あ!私は授業ありますので、これで」

蒼太「頑張ってね、さくらさん!」

蒼太「僕は待機だけど……」

蒼太「そういえば、クラスに一人学校に来てない男の子がいたっけ。名簿で確認しよう。」

蒼太「名前は……上條恭介……君か。」

蒼太「へぇ~!バイオリン奏者でどのコンクールに出ても必ず優勝するんだ……!」

蒼太「僕も聞いてみたいなぁ……。」




蒼太「……!? 去年の末に交通事故に遭って、入院中……?」

蒼太「腕の怪我でバイオリンも弾けなくなって……」

蒼太「……。」

蒼太「事故で自分のやりたい事が出来なくなるって……きっと……凄い悔しいだろうなぁ……。」




昼休み、屋上……

さやか「……仁美は日直、3人はちょっと遅れるって……」

さやか「あーあ、なんか、訳わかんなくなっちゃうなぁ……。こんなに一杯頭で抱えるのって初めてかも……。」

さやか「……はぁ。どうするんだろう、これから……。」




QB「何か、叶えたい望みでもあるのかい……?」

さやか「……そうそう。何か望みでも叶えてくれる魔法のランプでもあれば……ん?」

QB「やぁ」

さやか「っ!?」

QB「初めて会うね。僕の名前はキュゥべえ。」

さやか「は……?え……?」

QB「僕は君のお願いを何でも一つ叶えてあげる。だから……」

QB「僕と契約して魔法少女になってよ!」

さやか「何これ……どっから動いて……え?よく出来てるなぁ……?」

QB「僕の話は理解出来たかい?」

さやか「魔法……?まっさか、そんなおとぎ話みたいな事……」

さやか「戦隊とロボとサンタがいても魔法少女なんている訳ないに決まってるし……!」

QB「冷静に考えたらそっちの方がおかしいんじゃないかな」

さやか「っていうか何こんなのと真面目に話してるのよ……」

QB「君は昨日病院の窓から化物を見ただろう?あれは魔女といって、呪いから生まれ、人間を餌にする厄介な敵さ。」

QB「……と言っても、あれは相当イレギュラーなパターンだね。」

QB「さっき言った通り、彼らは人間を食う。だから、それを退治するのが、魔法少女なんだ。」

QB「理由の無い自殺や殺人……その多くは魔女の仕業さ。」


さやか「自殺……殺人!?それってあの怪物が……?」

QB「そうだよ」

さやか「……何、幻聴が変な事言い出してる……。あたしって中二病の才能合った……?」

QB「まぁいつでも願いを言ってくれれば叶えるよ。またね。」

さやか(悩みすぎて幻聴まで……もうダメかも……)

さやか「でも、一つだけ願いかぁ……叶えるとすれば……」

さやか(恭介……。)



仁美「さやかさん、お待たせしましたわ!」

マミ「ごめんね、待たせちゃって……」

さやか「あぁ、良いんです良いんです!」

さやか「まぁお詫びにマミさんの弁当をちょっと貰えれば……」

まどか「さやかちゃん、そんな事言ったらダメだよ、私だって貰うつもり……あ、えと、じゃ、ないですよ、マミさん!」

さやか「そういえば、ほむらの弁当も一回食べてみたいなー、なんて思ったりして」

ほむら「別に構いませんけど……」

まどか「えー!ホント!じゃあ交換しようよ!」




マミ(あんな目に遭ったのに、二人共、いつもと変わらなないように接してくれる……。)

マミ(私を恨んでるようになんか見えないけれど……)

マミ(私も、気にしすぎない方が良いのかな……)


そして、いつも通り学校の授業が進み、放課後……


さくら「はぁ……予想以上に疲れた……」

さくら「大勢の人の前で話すのがあんなに疲れるなんて初めてです……」


初めての教育現場での活動に疲労したさくらは学校の近所にある喫茶店に来ていた。


「はい、こちら、苺パフェです、ごゆっくりどうぞ」

さくら「どうも……」

さくら「疲れた時は、甘い物に限ります」





さくら(……それにしても、今日は随分と混んでますね……)

店内を見渡すと、次々に席が埋まっていく。

詢子「……ところでお姉さん、この辺に住んでるのかい?」

さくら「え……はい、最近越してきたばっかりで……」

詢子「へー!転勤とか?」

さくら「見滝原中学校で教育実習の為に来ました。」

詢子「その学校、ウチの娘も通ってるんだよ!え!じゃあクラスは!」

さくら「3年B組で実習をさせて頂いてます。」

詢子「あー、ウチの娘のクラスじゃないかぁ……あ、ひょっとしたら先輩のマミちゃんのクラスって事も……」

詢子「って、わからないよね、悪い悪い」

さくら「……巴さんの事でしょうか?なら、同じクラスなのですが……」

詢子「そう!きっとその子で間違い無いんだよ!」

詢子「……あんた、若いのに偉いねぇ……。私なんかその年の時将来の事なんか考えないでダラダラ生きてたけど……」

詢子「……ふつつかな事聞くようで悪いけど、彼氏とか、いるのかい……?」

さくら「え……?」

ミスしました

>>149の前に一つ挟むの忘れました

「えー、もう席無いのかい……?そりゃ残念だわぁ……また今度にするよ」

「誠に申し訳ありません!……ですが相席なら……」

「そう?ならお願いね」


「あの、こちら、相席よろしいでしょうか……?」


さくら「は、はい、席ありますよ、どうぞ」

詢子「ごめんねー、邪魔しちゃって。」

さくら「いえいえ、構いませんよ。」

詢子「……ところでお姉さん、この辺に住んでるのかい?」

さくら「え……はい、最近越してきたばっかりで……」

詢子「へー!転勤とか?」

さくら「見滝原中学校で教育実習の為に来ました。」

詢子「その学校、ウチの娘も通ってるんだよ!え!じゃあクラスは!」

さくら「3年B組で実習をさせて頂いてます。」

詢子「あー、ウチの娘のクラスじゃないかぁ……あ、ひょっとしたら先輩のマミちゃんのクラスって事も……」

詢子「って、わからないよね、悪い悪い」

さくら「……巴さんの事でしょうか?なら、同じクラスなのですが……」

詢子「そう!きっとその子で間違い無いんだよ!」

詢子「……あんた、若いのに偉いねぇ……。私なんかその年の時将来の事なんか考えないでダラダラ生きてたけど……」

詢子「……ふつつかな事聞くようで悪いけど、彼氏とか、いるのかい……?」

さくら「え……?」



詢子「まだ若いんだから、仕事ばっかやってちゃ勿体無いって!」

さくら「……。」

詢子「あ……。なるほどね。思いの人はいるけどいくら伝えても伝わらないってか」

さくら「えっ……どうして……」

詢子「なんとなく、ね。わかるもんさ。年の功ってヤツよ?」

詢子「きっとあんたみたいな子が好きになる男なんだ。もっと私が振り回してやるんだ!くらいの気持ちでアタックしてもへこたれねーって」

さくら「そう……ですかね……」

詢子「気持ちってのは、そんくらいしないと伝わらないよ!脅かしてやるくらいの気合がないとダメさ」

詢子「……なんて、何で熱く語ってるんだか。ま、おばさんの戯言くらいに思ってくれて結構だけど。」

さくら「いえ……!確かに、そうかもしれません……。」

詢子(この子の顔前にどっかで見たことある気がするなぁ……)

詢子(……前にバラエティで見たっけ……あぁでもあれはチャラいキャピキャピした子だったしなぁ……この子な訳無いよな)




放課後、帰り道……

まどか「ごめんね、さやかちゃん。今日は用事無いから、遊ぼう!」

さやか「……。」

まどか(マミさんが、私がさやかちゃんに言われた事気遣ってくれて今日はほむらちゃんと2人で魔女退治するって言ってくれて……)

まどか(ううん、魔法少女の事が秘密でも、私とさやかちゃんは友達なの、変わらないんだから!)

まどか「今まで行けなかった所さ、一緒に行こう!そうだ、あそこの展望台から、今日は綺麗な流れ星が見れるって……」

さやか「ごめん、今日はあたしに用事があるんだ……。」

さやか「恭介の奴、あたしがいないと寂しがっちゃうから、はは!だからまた今度さ……ね」

まどか「え……いや、大丈夫だよ!私の事気にしないで!そうだよ、また今度にすれば良いんだよね」

まどか「……じゃあね!またあした!」

ここまで
夜くらいにもっかい投下考えてます(やるとは言って無い)

病院……


さやか「……来たよ!恭介!今日は面白いCD見つけてさ!」

さやか「イタリアのコメディアンが作曲したらしくてさ!クラシックなのに派手な曲調でデスメタルの要素も入ってるって……」

恭介「……あぁ、さやか……。」

さやか(……弾けない曲を聴かせるなんて、辛いに決まってるのに)

さやか(でも今恭介にしてあげられる事ってこれしか思いつかないよ……)

さやか「この曲は恭介も知らないでしょう?ま、あたしも知らないんだけど、だから」

恭介「さやか……もうやめてくれないか……そういう事……僕を苛めてるのかい……」

さやか「……え……そんなつもりじゃ」

さやか「恭介、音楽好きだったから……」

恭介「手も動かない……弾けない……もう……」

恭介「今日言われたんだよ……腕はもう動かないって……どんだけ足掻いてももう二度と……」

恭介「諦めるしか無いんだ……もう……奇跡か魔法でも無い限り……」

さやか「やめて……泣かないで恭介……!諦めないで……」

さやか(奇跡……魔法……?)

病院から飛び出したさやか……

さやか(奇跡……魔法……!もしアイツの言ってた事が本当だったら……!)

さやか(願いを一つだけ叶えるって……!)

さやか(信じてる訳じゃないけど……ダメで元々だよ……!)

さやか(確か……キュゥべえだっけ……!何処……!何処にいるのよ……!)

ドンッ!

さやか「うわぁっ!!」

蒼太「うっ…!って、大丈夫!?」

さやか「あ……はい……なんとか……って先生!?」

蒼太「さやかちゃん!どうしたのさ、そんな急いで」

さやか「先生ごめん!今急いでるんだ!」

蒼太(確か……さやかちゃんって上条君の幼馴染だったよな……)

蒼太(上条君と会って、もし少しでも勇気づけられたら……って思って来たけれど……さやかちゃんが急いでるって……)

蒼太(何か買い物に行くのにあんなに焦る事なんて……無い)

蒼太(あの顔……何かを夢中で探してる顔だ……上条君のお見舞いの後に病院を飛び出して必死で何か探している……)

蒼太(まさか……!)



蒼太「さやかちゃん、もしかして、願いを叶えて、魔法少女になるつもりじゃ……!」

さやか「……!どうしてそんな事知って……!?」

蒼太「……やっぱりね。」

蒼太「僕がこの街に来たのは、魔女っていう怪物の調査の為なんだ……。」

さやか「……。」

蒼太「さやかちゃん、……きっと君が願う事って、上条君の事だよね……?」

蒼太「……まだ、諦めるのはもうちょっと待っても」

さやか「無理だよ……もう……これ以上あいつを苦しめたら……あいつ、どうなるか……」

蒼太「だけど、諦めたらそれで何も届かなくなるんだ……!上条君が立ち直れるように僕だって協力するよ!」

さやか「先生……冒険が好き、やりたい事を見つけて、って言ったよね……」

さやか「あいつはやりたい事も奪われて……バイオリンだって出来なくなって……」

さやか「あたしはもう一度あいつにバイオリンをさせてあげたい……もうこれ以上あいつの泣く姿なんて見たくない……」

さやか「先生は多分わからないと思うけどあいつもう……毎日、毎日、自分の手を見て、悲しんで……」

さやか「あたしが勇気づける度に何度も何度も治らないって現実を突きつけられて……きっともうこれ以上耐えられないんだって……」

蒼太「……でも、魔法少女になったら、あんな危険な怪物と、命を危険に晒して戦わなきゃいけなくなるんだよ……」

さやか「それぐらい、もう覚悟してます……。」

さやか「あたしは、この街を魔女から守る為に戦うって、覚悟してます……ッ!」

蒼太「っ……」

さやか「……それじゃ」

蒼太「……待って!」








蒼太(……ダメだ……見失った……)


蒼太(上条君の腕……そんな酷い怪我だったなんて……)

蒼太(諦めるな、って言いたいけど、これ以上二人を苦しめる事になる……)

蒼太(もし僕が冒険する事が出来なくなったら……そんなの、考えただけで……)

蒼太(だけど、とにかく、さやかちゃんをあんな危険な事に巻き込みたくない……!)

蒼太(今はさやかちゃんを止めないと……!)




さやかを捜索し、途方もなく歩いていると、通りかかった公園で男が数人が集まって焚き火をしていた。



蒼太(……!焚き火……!?この公園……火器使用禁止だよ……。)

蒼太(子供も遊んでるのに危ないなぁ……)

蒼太「ちょっとそこの皆さん!ここ、焚き火禁止ですよ!」

蒼太(こっちは急いでるのに……!早く追いつかなきゃ!)

「はよう油まみれになろうぜ」

「世の中に絶望したんだけど……焼いてかない?」

「ああ~いいっすね」

「オイル塗ろっか」






蒼太(……!なんだあの目……この匂い……!ガソリン!?)

蒼太(もしかして、集団自殺……!魔女の仕業……!)

蒼太「……やめて!火から離れて!」


蒼太が火を消そうと人々の中に乗り込む。
だが、人々は蒼太を押さえつけた。


蒼太「くッ……!」

男「死んじゃうよホラホラ!」ユラァ……

蒼太「ダメだ!それは!」




一人の男が火の中にガソリンを注ぎ込んだ。




ゴォォォォォゥッ!

「「……!」」



ブルー「……危ない、あと少しでみんな燃えちゃう所だった……!」

間一髪、ブロウナックルから放つ竜巻で火を消し飛ばした!


ズモモモモモ……

ブルー「……!結界が!」

ブルー「みんな離れて!」

結界に飲まれる寸前、ボウケンブルーが操られていた人々を結界から救い出した。

ブルー「……!しまった!」



ブルー「女性がいたのか……結界に飲み込まれた!助けないと……!」

ブルー「みんな!魔女が現れた!」

アクセルラーから5人へ向けて、通信を送る。

ブルー「なんとか僕が足止めする……!」


イザベル結界内……



ブルー「あれがこの結界の魔女……!」

ブルー(僕一人で魔女を倒そうとするよりも……まずはあの人の安全が第一!)


ブルー(……!あそこだ!……アクセルスーツの転送域が間に合うか……!)


ミヒャエラ「キィーッ!」

イザベルは使い魔を数体召喚し、ボウケンブルーの行く手を阻む。

ブルー「……サバイブレード!ハッ!」

ジャキィッ!

ミヒャエラ「ギャアアアア!!!」

シュゥウウウ……


サバイブレードに切り裂かれたミヒャエラは次々消滅してゆく。


ブルー(使い魔になら普通の攻撃が通じる!)


ブルー「サバイバスター!」

バシュウウウ!

ミヒャエラ「ギ……」

ドッパァアアアアアンッ!


ブルー「うわっ!?」

ブルー(今の爆発……!)

ブルー(奴はレーザー攻撃をすると爆発を起こすんだ……!)

ブルー(もしあの人の近くで爆発させてしまったら……!)

ブルー(あの人を助けるまで、サバイブレードしか使えない……!ブロウナックルじゃあの人まで巻き添えになりかねない!)

ブルー「ハッ!」

ボウケンブルーは女性目掛けて走り出した。

ブルー「まだ……転送域内だ!ハッ!」

ジャキンッ! ジャキンッ!

ミヒャエラ「「ギィィィヤァァアアアア!」」


ブルー(あと数メートル!このまま……!)

ビーッ!ビーッ!ビーッ!……

ブルー(!これ以上……!いや、まだ手が届く!)


ブルー「……届け……!」


ミヒャエラ「ギ……!」

囚われた女性に手を伸ばしたが、手が届く寸前の所でミヒャエラが女性を連れ去った。



ブルー「……!」



ミヒャエラ「ギィッ!」


ブルー「あそこまでは近づけない……!」

連れ去った女性の周囲からミヒャエラが再び発生、円陣のように取り囲んだ。


ブルー「囲まれた……!もしサバイバスターで撃てば……」

ブルー「いや……なら、魔女を先に倒せば、結界は消える……!」

ブルー「アクセルテクター!デュアルクラッシャー・ドリルヘッド!」


ブルー「これなら魔女にも通じるハズだ!」ガシャッ


シュゥゥゥゥ……

イザベルは使い魔を発生させた。
その使い魔は、イザベル本体と女性を囲むミヒャエラを繋ぐ一直線上に現れる。


ブルー「!これもダメだ!この状況で魔女を爆破させたら……」

ブルー「爆破が連鎖して……!」


ブルー「魔女とあの人を繋ぐ使い魔を倒すしか無い!」

シュゥゥンッ!


ミヒャエラ目掛け、サバイブレードを投げた。
しかし、直撃する寸前、別のミヒャエラが身代わりとなる。


ブルー「……!なら、あの方法なら……!」

ブルー「だけど、これは……あと1メートル、それだけこっちに奴らが近づかないと……」


ブルー「……!あの人はむしろ魔女に引き寄せられて行ってる!」

ブルー(このまま捨て身で救助に行くしか無い……か)






ブルー「……それしか無い!」






「たあああああああああああああッ!!!」



ブルー「くッ……ハッ……!? 」


ザシュゥッ!


「……はぁッ!くらえ!これで……どうだッ!」

ドォッ!


ブルー(……さやかちゃん!……もう契約してしまったのか……)

結界に突入してきたさやかがイザベルと女性を繋ぐミヒャエラを蹴散らした!


さやか「よぉし、いっちょ魔女をやっつけてやりますか!」

さやか「その前にこの使い魔を……」



さやか「……!だ、誰!?どうして戦隊の人が魔女と戦ってんの!?」

ミヒャエラ「ギィ……!」

さやかの姿に気圧されたか、女性を取り囲んだミヒャエラ達が少しずつ後退して行く。


さやか「ビビってんのかよ!……今すぐ倒して、そこの人もちゃちゃっと助けてやるからな!」


ブルー「危ない!後ろ!」

さやか「……うわっ!このっ!」


さやかが後方へ攻撃を転換させた隙を突き、女性を取り囲んだミヒャエラがさやかに攻撃の手を伸ばそうとしていた!




ミヒャエラ「ギ…ギ…ギ!」





ブルー「おっと、僕を忘れてもらっちゃ困るよ……!」

ブルー「さやかちゃんのおかげで君たちを射程範囲まで引き寄せる事が出来た……今だ!」

ブルー「ブロウナックル!」



ゴォォォォォォォォォォゥッ!


ミヒャエラ「ギィイイイイイイッ!!!」

バシュウウウウッ!


女性「うっ……」

ブルー「おっと、しっかりして!」


ブルー「……竜巻の中心っていうのは、まったく風の吹き荒れない無風地帯!」

ブルー「だから、真上から放てば、周りを囲んだ使い魔だけ吹き飛ばせる!」

ブルー「人質は助け出した!あとはあの魔女を倒すだけだ!」

さやか「もう!倒してもキリがない!」




ブルー「さやかちゃん!跳んで!」

さやか「えっ!?どうして名前知って……!まぁいいや、えいッ!」


ブルー「ブロウナックル・ナックルキャノンッ!」

ゴォオオオオオオオッ!ドォオオオオッ!


「ギィィィィヤアアアアアアアアア!!!」



放たれた猛竜巻が結界の地面にゆらめいていたミヒャエラをまとめて吹き飛ばした。


さやか「はぁあああああああッ!」

その反動を受け、さやかはさらに高く飛び、そして急降下!



さやか「これで……終わりだああああああッ!!!!」

イザベル「コォォォォ……」

ブルー「魔女がエネルギーを滾らせてる!さやかちゃんを狙い打つつもりだ!」

ブルー「……デュアルクラッシャー!ドリルヘッド!」


ブルー「GOッ!!!」



ドォンッ!

……ゴオオオオオオオオンッ!


イザベル「カァッ!?」

ドリルビームがイザベルに命中、破壊するには至らなかったが、イザベルの滾らせたエネルギーを拡散させた。



さやか「らああああッ!!!」


ジャキィィィィィンッ!!




……ドオオオ━━━オンッ!



さやか「魔女が……爆発した……!」


さやか「……!やった!初めてのくせに、こんなでっかい魔女やっつけるなんて、才能アリアリかも!」



シュゥゥゥゥ……


ブルー(結界が消える……!)

公園……


さやか「……あ、誰か知らないけど、とりあえず助けてくれてありがとーございます」

ブルー「……」



蒼太「……さやかちゃん。」

さやか「ブッ!?先生!?」

さやか「先生って戦隊の人だったの……!だから魔女の事調査してたんだ……!」

さやか「そうか、通りであの時名前を……」


蒼太「どうして、こんな危険な事……」

さやか「え……?だってそりゃあ、……」

さやか「あいつの苦しんでる顔、もう見たくないし……」

さやか「少なくとも、あたしの願いは、命懸けで戦うのに足る理由なんです……!」

さやか「それに、あんな怪物がこの街に蔓延ってるなんて、あたしがやらなきゃ、誰がやる!って……」

さやか「でも、少なくとも、後悔なんてしてません。これはあたしが心から願ってた奇跡なんです。」

蒼太「……」

さやか「あ、もう日も暮れたし、帰りますね。また教室で会いましょう!」


タッタッタ……

映士「おい!魔女って何処だ……!」

明石「遅れてすまない。……逆探知に手こずってしまってな。」

蒼太「いや……もう倒したよ……。」

真墨「なんだ、もう終わっちまったのかよぉ」

さくら「……蒼太君、一人で……?」

菜月「どうしたの、蒼太さん、そんなしょぼくれて」

蒼太「僕があの時、止められていたら、さやかちゃんがこんな……魔法少女になる事なんて……」

映士「おい、もしかして、また誰か契約したのか!?」

菜月「さやかちゃん……って誰……?」

蒼太「……うん。さやかちゃんが、幼馴染の上条君の腕を治す為に……」

蒼太「もし僕が二人をもう一度勇気づけるような力があれば、さやかちゃんを危険に放り出す事なんか……」






明石「……それもいいじゃないか、蒼太。」

蒼太「……え?」

明石「ま、確かに、お前は止められなかったのかもしれん。だがな、それは彼女自身が覚悟の上で自分で決めた決断だ。」




明石「……これから先起こるかもしれない悔やんでも悔やみきれない後悔も、耐え難い絶望も、……全部道だ。」

明石「俺たちだって、そうしてきた。……今までの決断に、一つも間違いなんて無かった。」

明石「……間違いがあるとすれば、それは、自分の本当の気持ちと向き合うのをやめて、冒険そのものを諦めてしまう事じゃないのか」



明石「好き好んで命を賭けてるのはお互い様だ。……俺たちの宝と同じように彼女の願いにもそれに足るだけの価値はあるって事だろう」

明石「……その決断が正しかったかどうか……決められるのは自分自身しかいない。」

明石「むしろ俺は良いと思う。ちょっとやそっとの説得じゃ動じない程の確固たる決意を胸に持っている。」



明石「……その決意、気に入った。……仲間にしたくなったな。」





菜月「あ、また暁さんが格好良い事言ってる!」

映士「……ま、そういう事だ、別にお前が落ち込むような事じゃねーぞ、蒼太、これからって事だろ」

真墨「……くせぇ事かもしんねぇけど何をするべきかわかんねぇお前じゃねぇだろ、蒼太」



蒼太「……!そうだ……僕が今すべき事はここで悩んで、立ち止まる事じゃなくて……」



蒼太「さやかちゃんにどんな事があっても、笑顔を忘れさせない……!それが僕の冒険……!」






その晩、さやかの家……




さやか「あーあ、……綺麗な宝石、これあたしから出て来たの?」

QB「あぁそうさ。それは君の心だ。僕は君の心の力をソウルジェムとして作り出した。」

QB「魔法も、全て君の心の力さ。」

さやか「清き魂は清き肉体に宿る!あたしの心ってそんなに清らかかなぁー!ま、自信はあるけど!」

さやか「今日からこの街の平和は、さやかちゃんがガンガン守りまくっちゃいますからね!」

さやか「恭介もまどかも、仁美も、マミさんも、ほむらも安心して暮らせるようにねー!」

オチないけどこれで
今後もオチなしのぶつ切りが続きますがご了承ください

翌日、通学路……

さやか「みんな!おっはよう!」

まどか「わっ!びっくりしたぁ……朝からびっくりだよぅ、もう……」

仁美「……?随分ご機嫌ですわね……。何か良い事でもありましたの?」

さやか「えへへ。ま、ちょっとねー。」

まどか「何があったの?」

さやか「ふふふ、秘密、秘密!」

マミ「……元気なのは良いけど、あんまり浮かれすぎて転んだりしないでね」

さやか「ちょ、失礼な!そんなどんくさい子に見えますか!」

ほむら「……。」


ほむら(美樹さんがこんなに機嫌が良いって……もしかして……)

ほむら(いや、でもインキュベーターとの接触は避けてきたはずなのに……!)

ほむら(……私の考えすぎかな……だと良いんだけれど……)

サージェス本部……。

明石「……。」


明石(……魔法少女の資料を探してみたが……どうやらどれもキュゥべえとか言う奴の契約で誕生する魔法とは違う……)

明石(今の所……太古からの魔法に関する記述は全てインフェルシア関係か……)

明石(グリーフシード……ソウルジェム……。これらの要素が含まれる資料は見当たらない……。)

明石(ソウルジェム……?『ソウル……?』)

明石(菜月は確か、ソウルジェムは彼女自身から生み出されると言っていた……。)

明石(もしそれが『心の力』であるとするならば……パラレルエンジンを作り出したレオン・ジョルダーナの……)

明石(心の力で作動するパラレルエンジン……『心の力』を研究していたレオン・ジョルダーナが魔法少女のソウルジェムについて調査していた可能性もある……か。)



明石(現在サージェスにはパラレルエンジン以外の資料は無いが……この研究結果を書籍に残している事も考えられる)






……………………




明石(やっぱりな……。どうやら一般に売り出されている本に心の力の調査結果をまとめた書籍があるらしい)

明石(もう廃盤になってるようだが……書店に片っ端から問い合せてみるか。)



そして、明石は書店に問い合わせた。そして、数分後……。


明石「風見野の書店に一つだけ置いてある……。」

明石「風見野……ここからそう遠く離れていないな。見滝原の隣町か。」


職員室……

授業の無い、空き時間を使い、蒼太は街の魔女と思われる情報を収集していた。
スパイ時代の技術を利用し、いくつかの機関にハッキングを仕掛け、公に回らない情報を集めていた。




蒼太「……やっぱりね。この街の年間の行方不明者数、ほかの街に比べて段違いに多い。」

蒼太「あまり公にならないけど……早乙女先生達から聞いた情報と照らし合わせれば、全部納得出来る情報ばかりだ。」

蒼太「特に多いのが女の子、女子中学生、女子高校生程度の年齢……か。」

蒼太「魔法少女として、魔女と戦って命を落としている……だとすれば!」

蒼太「……どうして今まで気づいてあげられなかったんだ……!」

蒼太「……?……この記録は……」

蒼太「外傷が全くない遺体……? どういう事……?」

蒼太「魔女に殺されるなら、体に外傷がないなんて事、ありえない……。」

蒼太「そもそも、結界の中で死んでしまったら、結界ごと消えるハズじゃ……?」

蒼太「それがどうしてそんな魂が丸ごと抜かれたような遺体が……?」

蒼太「『遺体の周囲から回収された物品には……ガラス?の破片みたいなのが必ず落ちている』」

蒼太「ガラス……?宝石……?これってソウルジェムの事じゃ……」

蒼太「ソウルジェムと死に何か関係があるのか……?」








風見野、書店……


明石「……何とか、無事に購入出来たな」

明石「少し立ち読みした所、これは有益な情報に間違い無さそうだ。」

明石「早い内に読み進めないとな……」


明石は、書店から退出した。








明石「……?」



「万引きだー!捕まえろ!」


明石(万引き……?)


少し離れたスーパーから、赤い髪の少女が万引き犯として、走って出て行くのを明石は見た。



「うっせーな、しつけーんだよ……!ちょっと眠ってろお前!」



明石「!あれは……ソウルジェムか……!」


「ん……う……?」





「……落ちたな。そのままじっとしてろな、アタシが逃げるまでよ!」




明石(間違い無い。今のは、魔法少女だ。)

明石「まさかこんな所でも会えるとはな。」

明石「っと、その前に……」ジャラッ

明石(これだけあれば足りるだろう、多分……)


明石は、眠っている店員の近くに小銭を数枚置き、その場を去る。










橋の下……

杏子「へっ……とりあえず、今日の分の飯は確保、確保……」

杏子「いっただきまーす!」


杏子「へへ、うめぇ、うめぇ……!」ムシャムシャ







明石「……俺にも少しくれないか。丁度、昼飯時だからな。」スッ


杏子「やだね、誰がやるもんか……」

杏子「……?」


明石「どうした、そんな顔でこっちを見て」







杏子「……何だこのオッサン!?」





明石「俺か……?俺は明石暁だ。プレシャス回収を」




杏子「そういう事聞いてんじゃないんだよ、……」

杏子「何の用だって聞いてんの!」

杏子「まさか、万引きにネチネチ文句つけに来たとか言うんじゃあ無いだろうね?」



明石「いや……。どうやら君の様子を見てると今日一日まともな物を食べてはいないようだ。それなりの事情があるんだろう。」

明石「ま……それについては文句は言わない。無論、褒められた事じゃないが……」


杏子「ンなこたぁ覚悟の上でやってんだよ。それだけか?ならとっとと」


明石「君は、魔法少女だろ……?」


杏子「……ハァ?……それに文句言いに来たの?」

杏子「『魔法を悪に使っちゃいけない』だの偉そうな説教かますんじゃねーだろうな?」

明石「魔法少女である事に関しては文句は無い。それは君自身が選んだ道だ。」

明石「……俺は君に協力を願いに来た。」

明石「今、俺たちサージェスは魔女の正体を調査している。その為には魔女のデータがもっと必要だ。」

明石「しかし俺たちでは結界内に潜む魔女の居場所を探る事は出来ん。」

明石「映士のサガスナイパーを使う方法もあるが、それは魔女が活動し始めないと使えない。あまりにも効率が悪い。」




杏子「サージェス……?あの世界中の宝だかなんだかを集めてるっていう連中か?」

杏子(ジャケットについてるバッジはサージェスのマークだから嘘はついてないみたいだが)

杏子「で……?その、情報収集の為に足でまといを背にして戦えって?」

杏子(だいたいサガスナイパーって何だよ……アイツよりセンスねーの……)


明石「俺は自分の身は自分で守る。そして、使い魔退治くらいなら出来るさ。」

明石「グリーフシードは必要無い。使い魔を退治する魔力も節約出来る、互に得をする取引だと思うが、どうだ?」

明石「さっきの魔法の使い方を見るに、君は相当の熟練者と見る。それを見込んでの頼みだ。」




杏子「ハッ……成程ねぇ。確かに、それは良い提案だよねぇ……」

杏子「でも、誰かと馴れ合うなんてごめんだね。アタシは一人で自分のために生きていくって決めてんだ。」

杏子「誰かの協力なんて必要ねぇ。とっとと帰んな。」



明石(……まぁ、初めから受け入れられる等とは思ってもいなかったが)

明石(だが例え事情があるとしても万引きする子を放っておく訳にはいかない。)

明石(それに共に戦う仲間は一人でも多い方が良い。)

明石(とはいえ……このまま正面から行っても難しいだろうな。……真墨と同じタイプか。なら……)

明石(こういう場合は……一度引く。強引な手だが致し方ない)





明石「そうか……。熟練者の魔法少女なら、この程度、朝飯前かと思ってたのだが……。」


明石「自信が無いなら仕方ない。」

杏子「自信が無い……?随分舐めた口効くね。」

杏子「冷静に考えろよな。いきなり現れたおっさんに協力しろ、って言われて素直に信じるなんて……」

杏子「普通に考えれば解るよな?」







明石(やっぱりな)

明石「……違うのか?」

明石「……目の前にあるチャンスをみすみす逃すのはそうとしか思えないが……」

明石「もしも、俺が君を騙していたとしよう。……そうなった時に自分じゃ対処出来ないと察したからじゃあないのか」




杏子(黙って聞いてりゃ……!)

杏子「……いいぜ、乗せられてやんよ、その鼻へし折ってやる。」

明石「……そう来なくてはな。」

杏子「ただ、お前がどんな目にあってもアタシは助けねーからな?」

杏子「お前が怪我しても、自業自得って事だ。そんくらい覚悟しろよ。」

杏子「それに、アンタの事、信用した訳じゃないからな。ちょっとでも変な事してみろ。その時は……」

杏子「今日目と鼻を合わせた相手をぶっ飛ばさないで受け入れてやるだけ、ありがたいと思えよ」

明石「あぁ。用心する。」

杏子「ケッ……」

杏子(いきなり現れて偉そうに……癪に障る奴だ……。大人気ねぇにも程があるぜコイツ……)



明石(……ま、とりあえずとっかかりは掴めた。)

明石(女子中学生相手にイヤミを言うのは良い気もしないが……そんなのは過ぎた事だな、気にするような事じゃない)


学校、昼休み、屋上……

さやか「……ふー、今日も屋上一番乗り、……?」

さやか「あれ、蒼太先生?」

蒼太「あ……!さやかちゃん!君も屋上で食べるんだ」

さやか「いっつもそうですよぉ?蒼太先生はどうして?」

蒼太「……この学校、屋上がすごく綺麗でさ……。こういう所で食べるの、良いな、って」

さやか「ま、確かに清々しいですよね。特に昨日みたいに一仕事終えた次の日のはね!」

蒼太「うん……。さやかちゃん、魔法少女の事なんだけど……」

さやか「はい?」

蒼太「僕も、魔女退治協力するよ!……後方支援しか出来ないけど、それでも僕はできる限りの事、するから!」

さやか「いえ、もちろんですよ!蒼太さんがいれば怖いもの無しっす!」

さやか「二人で街の平和、守りましょう!」

蒼太「そうだね……!」

蒼太(……初めから、誰かの為に戦える……なんて、さやかちゃんは凄いな……。)

蒼太(僕なんかより、ずっと……)

蒼太「そういえば、まどかちゃん達とは一緒に戦ったりしないの……?」

さやか「……え?まどか……?」

蒼太「……まどかちゃん達も、さやかちゃんと同じ、魔法少女だって……キュゥべえ?が教えてくれたりしてる物だとばっかり……」

さやか「いえ……。」

蒼太「そう……。でも、みんなならきっと一緒に戦ってくれるよ!」

さやか「……。」

さやか「そうです……かね……。」

さやか(やっぱり……。何か怪しいって思ってたら……)

さやか(でも……当たり前だよね……。あたしだってまどか達に隠そうってしてたんだし……)

まどか「お待たせ、さやかちゃん!」

ほむら「遅れてすみません……。」

マミ「美樹さん、今日は美樹さんが欲しがると思って、いつもよりちょっと多めにお弁当作って来たのよ!」

さくら「……こんにちは。さやかさん。……会うのは初めてですね。」

さくら「マミさんのクラスで教育実習生をさせて頂いている、西堀さくらです。……担当教科は世界史です。」


さやか「あぁっ……ど、どうも、みんな!」

さやか(指輪……ポケットに手入れて隠しておこう……)

さやか「マミさんのお弁当、美味しそうだなぁ!」

さやか「あ、あとさくら先生?いつもマミさんがお世話になってます」

マミ「え……? ふふっ……」

まどか「さやかちゃん、マミさんは先輩だよぅ……」

さくら「いえ、こちらこそ、よろしくおねがいします。」

マミ「……まぁ、挨拶はそこまでにして、お弁当食べましょう。」

ザッ

さやか「……すごい!」

蒼太「これ、一人で作ったの!?」

マミ「えぇ……。家事には、慣れてますから」

まどか「い……いただきますっ!」

さやか「えいっ」ベシッ

まどか「いだっ!」

さやか「もう、ただでさえ食いしん坊なんだから、ほっといたら全部食べちゃうでしょ!」

まどか「うぅ……」

マミ「まぁまぁ、心配しなくても大丈夫だから。暁美さんも、遠慮しなくて良いのよ?」

ほむら「ありがとうございます……。」

さくら(……私のお弁当より綺麗……。)




ほむら(さっきから美樹さん、頑なに手のひらを見せようとしない……。)

ほむら(もし契約したのなら、指輪があるハズ……)

ほむら(それを見せないってもしかして……)




そして、放課後間際、職員室。
蒼太はサージェス本部へ電話をしていた。



蒼太「で……ごめんね菜月ちゃん、みゆにご飯あげておいて、よろしくね」

菜月『それは良いけど蒼太さん、蒼太さん、最近帰り遅いでしょ?』

菜月『だから最近みゆちゃん元気無いよ……?』

蒼太「……、近いうちに早く帰れるようにするから、そう言っておいて!」

菜月『うん……わかった……。』


冒険の再現率が高いな。かなりの冒険通と見た。
赤青は色毎に担当が決まってて良いんだけど、なんか青がどっちも凹みそうなタイプだよな。

>>191
蒼太君結構ナイーブですからね
昔の事が絡むと特に

サージェス本部

菜月「今日も蒼太さん、帰り遅いって。……多分さくらさんも」

菜月「二人共、マミちゃん達と一緒に魔女退治だって。」

菜月「……菜月もそろそろマミちゃん達と会いに行きたい。」

真墨「んな事言ったって仕方ないだろ。サージェスからの正式な命令じゃ無い以上、本部には常に3人以上残らないといけねーんだから」

映士「おう……そういや明石何処行ったんだよ」

菜月「カザミノ?って所まで本買いに行ったみたい」

映士「風見野……ってそんな離れて無いだろ? せいぜい3時間ありゃ十分帰って来れるじゃねぇか」

映士「あいつ出て行ったの昼前くらいだろ……?もう5時だぞ?」

映士「あいつ……まさか!」

真墨「……!」

菜月「もしかして、魔」


映士「迷子か?」

真墨「……」

菜月「無いよー、それは」




病院……。

さやか「そっか……。まだ、リハビリあるよね……。」

恭介「まだ退院まで時間は結構かかるみたいでさ……でも、医者の人もすごいびっくりしてたよ……。」

恭介「いきなり手が治るなんて……何がどうなってるのかさっぱり……」

恭介「さやかの言う通りの奇跡だよね、これ……。」

さやか「ほらね。……もう、悩まなくて良いんだよ、恭介。」

蒼太「……良かったね、腕が治って。」

恭介「はい……?」

蒼太「……僕は最上蒼太。ちょっと前から見滝原中学校のさやかちゃんのクラスで教育実習生をやってるんだ。」

蒼太「はじめまして、よろしくね、恭介君。」

恭介「はぁ……。どうも……。」









その後、しばらく、他愛のない談笑が続く。





さやか「……あ、もうこんな時間。ごめんね、ちょっと用事あるから。」

蒼太「うん……。僕も。じゃあね、学校で待ってるから!」











風見野……



杏子「で……?ここが魔女の結界だけど」

明石「あぁ……。流石に、手際が良いな。」

杏子(今日会ったヤツといきなり行動を共にするってのも良い気分じゃないが、あんな事言われちまって引き下がるのも気分が悪い。)

杏子(クソッ……つくづく人を口車に載せるのが上手いヤツだ……初対面のクセに人の神経逆撫でする技術に長けてやがる)

明石「……頼む。」

杏子「……。」




落書きの魔女、結界内……


杏子「……なんだ、この結界。センスねー落書きだらけじゃねぇか」



アーニャ「ぶぅん!」



結界に侵入した二人の前にアーニャの大群が現れる!



杏子「群れ雀共がウジャウジャと……!」

杏子「こんだけ使い魔がいるって事はこの結界は当たりだね!」


明石「そうか……使い魔がいるのか……」


杏子「あ……?もしかしてオッサン、使い魔、見えねーの……?」

明石「まぁな」

杏子「は?」

杏子「おい、じゃあどうすんだよ……」

明石「……ちょっとした冒険だな。」





杏子「お前……ふざけんな!」

杏子「アタシはお前が自分の事は自分でするって言うから仕方なく連れてきたんだぞ……!」

杏子「お前みたいな足でまといの世話なんかゴメンだ!」



明石「いや、何も出来ないとは言って無いぞ。」


杏子「使い魔も見れねーでどうやって倒すって……オイ!後ろッ!」


アーニャ「ぶぅぅぅぅぅん!」



その時、明石の背後から、一体のアーニャが明石目掛けて突撃してきた。



杏子「バカ!さっさと避けろつってんだよ!」









「ボウケンジャー!スタートアップ!」


「……ボウケンジャベリンッ!」





アーニャ「ぶっ!?」

ザシュッ! ドォォォォンッ!



杏子「……へ?」


レッド「生身の状態では見えないが、アクセルスーツを纏えば使い魔と戦う事はできる。」



杏子「え……!?あんた……戦隊のヤツだったのか……!?」

レッド「あぁ。轟轟戦隊ボウケンジャーだ。」

杏子「何戦隊かまではどうでもいいっつうの……」

杏子「第一あんたら人数多い上に数多すぎて誰が誰だか言われても毎年毎年覚えてらんねーから」


レッド「さぁ、魔女を倒しに行くぞ。アタック!」

杏子「オイ!待て!……どこまで他人を振り回しゃ済むんだ!」





レッド「サバイバスター!」


バシュゥッ!バシュゥッ!


杏子「どぉらあああああ!」

ザクッ!ザクッ!ザクッ!



二人は、アーニャを倒し、結界奥まで進んだ。







結界最深部、vsアルベルティーネ……



アルベルティーネ「ウフフ、フフフ!」


杏子「アイツか……。さっさとぶっ倒しちまおうか」

レッド「あぁ……」

ビーッ!ビーッ!ビーッ!


レッド「……すまんが、俺はこれ以上近づけない。魔女の討伐は君に任せた。」

杏子「はぁ!?」



杏子(そういやコイツさっきから、使い魔退治としか言って無かったっけ……)

杏子(いや……?魔女に近づけないフリして、後ろから撃つって可能性もな……)

杏子(ここらでいっちょ一芝居打って確かめてやるか……。)



杏子「だぁッ!」

杏子は魔女へ向けて跳んだ。



アーニャ「ぶぅうううん!」


杏子「……しまった!」


杏子の周囲からアーニャの大群が襲いかかる。




バシュゥッ!バシュゥッ!バシュゥッ!

ドォォォォォンッ!

杏子(……!)

レッド「油断するな!」



杏子「……まんざら信用出来ない訳でも無いみてぇだな……。」

杏子「……だぁッ!」


槍を構え、アルベルティーネに突進する!

だが、その瞬間、アルベルティーネは姿を消した。


杏子「空振り……!何処行った!」

杏子(結界の中じゃ逆に反応が強すぎて魔女の気配を察知出来ない!)



アーニャ「ぶぅううううん!」



杏子「クソッ……自分は隠れて使い魔にアタシらを倒させるのかよ……!」

レッド「まずは使い魔を可能な限り始末する!」






……

杏子「倒してもキリがねぇぞ……!」

レッド「……いや、ひとまず二人の周辺の使い魔を潰した。……これで邪魔をされる心配は無い。」

杏子「でも魔女の居場所がわかんねーんだよ!」

杏子「このままアイツは使い魔を潰させて、消耗してくたばりかけた所を殺しに来る!」

レッド「……そうでもない。」

レッド「魔女を隠れられない状況にすれば良いんだ。」

杏子「どうやって……!」





レッド「……デュアルクラッシャー!ドリルヘッド!」


杏子「バズーカ!?んなもんぶっぱなした所で……」



レッド「……GOッ!」



ゴォォォォッ!ドォオオオオンッ!



物陰に向けてドリルビームを放った。




アルベルティーネ「……ギャアアアアア!?」


杏子「ま……魔女が飛び出してきた!?でも何で解ったんだ!?」

レッド「あぁ。アクセルスーツに内蔵されているレーダーは魔女の探知はできないが魔女の形態は見る事ができる」

レッド「この狭い結界の中じゃ隠れてもこれがある限り無駄という事だ」

レッド「さぁ、ヤツも安心して隠れる事は出来なくなった。ヤツは短期決戦で俺たちを仕留めなければならない。」

アルベルティーネ「ウウウ……」ポンッ!



アーニャ「ぶううううううううううううううううんん!!!」



杏子「また使い魔大群作戦か!芸がねぇの!」

レッド「この使い魔に気を取られている瞬間に魔女は俺たちを狩りに来る。君は後ろで待機していろ。」

レッド「使い魔は俺が始末する。」

杏子「でもお前近づけ無いんだろ!」

レッド「あぁそうだ。だから行くんだ。」


杏子「訳わかんねぇ……何でそんな自信満々なんだよ……」

レッド「困難を目の前にした時こそ心が奮い立つ。それが冒険だ。」

杏子「は?」


レッド「ハッ!」


ボウケンレッドは使い魔目掛けて走り出した。



レッド「レッドゾーンクラッシュ!」


ザシュゥウウウウウウウ!


アーニャ「「「ぶうううう!?」」」」

ドォオオオンッ!



ビーッ!ビーッ!ビーッ!


アーニャ「ぶうううん!」

レッド「ハッ!サバイブレード!」



アクセルラーから響く警告音を気に求めず、アーニャの大群へ殴り込んで行く。



杏子「何やってんだよ……!」




レッド「グッ……!」


アクセルスーツの転送限界域に到達した。
ボウケンレッドの動きが鈍る。



その隙を狙いアーニャの大群が一斉に襲いかかった。


レッド「使い魔如きで俺を倒す事は出来んぞ!」


レッド「……ジャベリンクラッシュ!」


ズガァアアアアアアアッ!


ドオオオオオンッ!





アルベルティーネ「ウフフフフフ!」

取り囲んでいたアーニャは全滅した。
だが、ボウケンレッドが身動きの取れない事を察し、使い魔撃破後の隙を狙っていたアルベルティーネが
上空に姿を表しボウケンレッド目掛け降ってきた!






レッド「……今だ!」

シュゥゥン……


明石「ハァッ!……杏子!」


明石暁はその機会を狙っていた
身動きの取れないアクセルスーツを解き、その場から飛び退く!



アルベルティーネ「ウゥッ!?」





杏子「おっと、アンタの相手はそいつじゃなくてこっちだよ!」

杏子「……だああああらああああああッ!!!」



ザクザクザクザクッ!


アルベルティーネ「ヒィッ!?」


アルベルティーネが呆気にとられた瞬間、杏子の槍が炸裂する!



杏子「……もってけダブルだ!」



ザクゥウウウウウッ!!



アルベルティーネ「ヒ……ギ……」








ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!!!!!!





杏子「よっしゃ!決まり!」




明石「グッジョブ!」







シュウウウウウウ……









魔女撃破後、風見野……



杏子「はぁ……バカじゃねぇの、なんであんな事したんだよ」

明石「共に戦うパートナーを信用しただけだ。別に普通だと思うが」

杏子「パートナー……!?そんなんじゃねぇよ!」

明石「君は俺を受け入れてくれたんだ。ちょっとは信頼してくれたって事だろ?」

明石「本当に嫌だったら何を言われても断っていたハズだ」

杏子「あそこでアンタを助けたのは魔女を倒すのに都合が良かっただけだからな!」

杏子「もしあれが使い魔だったらアンタなんか助けてねーから!」

明石「そうか」



アーニャ「ぶうううううううううん!!」



杏子「!?」

明石「どうした?また魔女か?」

杏子「いや……さっきの魔女の結界で倒しそこねた使い魔が三匹、多分アタシらにびびって逃げたんだろ」

杏子「……ま、使い魔3匹じゃロクな結界も作れねーよな」

明石「倒さなくてはならないな。」

杏子「おいおい、魔女はともかく使い魔退治なんてやってられないからな」

杏子「使い魔倒したって見返りなんて無い。そんなんで魔力消耗するなんてバカらしい。」

明石「……そうか。まぁ、確かに君にとっての魔力消費は生命線だったな。……君の言う事ももっともだ。」

明石「だが、俺としても人間を襲う使い魔を黙認する訳にはいかないのでな。俺は追わせて貰う。」

杏子「勝手にやってろよ」

杏子(何だよ人助け人助けって……)

杏子(……でもコイツ、見てる限りだと、本当のバカ……突き抜けたくらいのバカ……)

杏子(アタシもこいつくらいバカだったら……そんな事今更悔やんでもしょうがねぇけどさ……)



路地裏……


蒼太「……でも、本当に僕ら二人で大丈夫なの……?」

さやか「へーきっすよ!……まだまだあたし、未熟ですし……」

さやか「秘密で強くなって、まどか達が大ピーンチ!の時に颯爽と駆けつける!とかカッコよくないですか?」

蒼太「けど、僕と一緒に戦うよりも、みんなと戦ったほうがこれからの事もあるし、安全じゃないかな……?」

さやか「もう、ヒーローのくせに何そんな情けない事言ってんですか、頼りないですよ!」

さやか(……何て言い出せば言いんだよ……)

さやか(あたしに秘密にしてたって事はあたしを巻き込みたく無かったって事でしょ……?)

さやか(そんな事知ったら……みんなにショック与えちゃうかもしれない……)




さやか「……!こっちから反応です!」

蒼太「うん……!行こう!」












杏子「……ん?なんだこの反応……?魔法少女……?」

杏子「あっちの方か……。何だよ、使い魔なんかに手出しやがって……」

杏子「なんだっけ……?この前なったばっかのトーシローに誰かの為に願ったっていう奴がいるってキュゥべえから聞いたけど……」

杏子「使い魔狩なんて何トンチンカンな事やってんだよ……マミとも違うよな、この反応は……」

杏子「……現実の厳しさってのを教えてやっか……」


見滝原、パトロール中の4人……

マミ「……こっちの方に反応が少しあるわ。恐らく使い魔ね。」

さくら「……私がまともに使い魔と戦闘をするのはこれが初めてです。私の腕がどこまで通用するのか、確かめなくてはなりません。」

まどか「いやぁ、でもさくら先生戦隊の人でしょう!きっとダイジョーブですよぉ!」

さくら「いえ、しかし私達の武器の殆どは結界内の魔女に通用しません……。」

さくら「……非力ですが、後方支援以外は不可能です。」

まどか「え……そうなんですか。ま、そこはそれです、それはそれで心強いですよ!」


さくら(さやかさんが魔法少女になった事を、みんなに言うべきなのでしょうか……。)

さくら(でも、それはきっと本人の意思に任せるべきでしょう……)


まどか「それにしても、ほむらちゃん凄いね!ほむらちゃんの行く道が最短でまっすぐに一直線で魔女にたどり着いてる感じするよ!」

ほむら「……たまたま、です」


ほむら(今まで通りなら、あの路地裏で使い魔をめぐって戦っているハズ……!)

ほむら(……でも、願うなら……使い魔だけに居て欲しい……)






路地裏……


さやか「!ここです!使い魔は3体!」

蒼太「ここか……!」カチャッ


蒼太「レディ!ボウケンジャー!スタートアッ……」






さやか「うああああッ!?」


ガシャンッ!


蒼太「!さやかちゃん!大丈夫!?」

さやか「うっ……いきなり攻撃が……!」

蒼太「……!誰!?」



杏子「あれ、使い魔だよ?見てわかんないの?」


さやか「……!あんた……!」

蒼太「魔法……少女……?」


杏子(なんだコイツ……男引き連れやがって……)

杏子(コイツも戦隊のヤツか……?ユニフォームが明石の野郎とそっくりだ)



杏子「アンタさ、卵産む前の鶏締めてどうすんだよ。もうちょいほっときゃグリーフシード孕むんだからさ。」

杏子「それとも、正義だのなんだの、いい子ちゃんな正義振りかざす為に魔法少女になったとかってんじゃないよね?」


蒼太「……そこの女の子!同じ魔法少女なんだろ!なら争う必要なんて……」

杏子「部外者はすっこんでなよ!」


ガシャーンッ!


蒼太「!結界……!これじゃさやかちゃんの所に……!」

杏子「そっから出てこなけりゃアンタの安全は保証してやるよ。」




さやか「お前……使い魔をほっといたら、人が……」

杏子「はぁ。だから良いんだよそれで。食物連鎖って知ってるよな?」

杏子「人間と魔女と魔法少女ってそういう関係なの。当たり前だよなぁ?」

杏子「強さの順番わきまえろよな」

さやか「ふざけるな……ふざけるなあああ!!」



蒼太「!ここから出られれば……!」



明石「……?どうした、蒼太」

蒼太の背後から、明石が現れた。


蒼太「暁さん……!大変です!あの二人を止めないと!」

明石「杏子……!」





杏子「チャラチャラ踊ってんじゃねーよウスノロ!」

ガキンッ!ガキンッ!ガキンッ!


さやか「うああああっ!」


杏子「よえー、うぜー……よくそんなんで正義の味方ヅラ出来るよね」

杏子「その上言っても殴ってもわかんねぇとなったらもう……」




蒼太「……さやかちゃんが……!」

蒼太「こうなったら僕が……!」


明石「待て」

蒼太「……!?どうして……!」

明石「……今の一瞬の内に、心臓、頭……さやかの急所を狙うチャンスはいくらでもあった。」

明石「だが杏子はそれをしなかった。……杏子は敵の隙を見逃すような事はしない。」

蒼太「……!」

明石「さっき一緒に戦ったんだ。……杏子は人の為に戦う事に何か人一倍、拒絶感があるらしい。」


明石「今杏子はさやかを倒す為に戦ってはいない……。何かを伝える為に戦ってる。」

明石「だがさやかも負けていないぞ。これは思いと思いのぶつかり合いだ。」

明石「……面白い。二人は反発しあい、引き寄せ合う。ツボにハマれば二人はきっと良いパートナーになるな。」

蒼太「でもこのままじゃ、どっちかが、死ぬまでは行かなくとも大怪我に……」

蒼太「それに使い魔だって!」

明石「あぁ。歯止めが効かなくなったらその時は止めてやれ。」

明石「俺は使い魔を追う。頼んだぞ。」




杏子「ハァ……ハァ……ヒヨっ子が……!体力だけは有り余ってんのか……」

さやか「くっ……アンタなんかに負けたら……この街を守れない……!」


杏子「上等じゃねぇかよ……!」



ガキイィイイイン!


槍と剣が衝突し、拮抗する!



さやか「負けるもんかあああああ!!」

杏子「!?こんな力……何処から……!?」


ジジジジジッ……



杏子「くっ……どらぁっ!」


バチィンッ!


さやか「あぁっ!」ダンッ!



杏子「チッ……ビビらせやがって……」

杏子「おかげで無駄な魔力使っちまったよ……これに懲りたら使い魔退治なんて無駄な事すんなよ、目障りだ……!?」


バシュゥッ!



杏子「今度は何だ!?」

まどか「……さやかちゃんをそれ以上いじめるな!」

さやか「まどか……!?」


杏子「何だコイツ!」


ほむら「……!」



杏子「何だ……いかにもひよっこそうなのが二人……?お前ら二人なんかに負ける訳ねぇだろ!」

ほむら「動かないで!」ジャキッ



杏子(コイツッ……!後ろに……!?)



バンッ!シュルルルルル!




杏子「リボンッ!?って事は……!」

マミ「佐倉さん……?お久しぶりね。」




ピンク「ハイドロシューター!」

ガシャアアンッ!

蒼太「!」

ハイドロシューターの放水弾が蒼太を遮っていた結界を破壊した。

蒼太「さくらさん!」







杏子(ウゲッ……3vs1かよ……!)

杏子(チッ……こんな不利なのやってられっか!)


杏子「くそ……今日のところは勘弁してやらぁ。」







まどか「よぉし……!大丈夫……さやかちゃん!」

さやか「……うん。一応ね……。」

まどか「はぁー、一安心だよぉ……」

まどか「え……?」



まどか「さやかちゃん魔法少女だったの!?」

マミ「いつ……!」

ほむら(……もう手遅れだったの……)



さやか「ごめん……内緒にしててさ。」

さやか「でも、まどか達も内緒にしてたんだもん……。言い出せなかった。」

まどか「……私も、ごめん…。」






蒼太「……一緒に戦う仲間が増えて良かったじゃん!ね、さやかちゃん!」

さくら「後方支援しか出来ない我々よりも、彼女たちと戦った方が安全ですね。」


まどか「ほらさ、一緒に戦おう!……私もさやかちゃんと一緒に戦えるなんて嬉しいよ!」

ほむら「……」



さやか「でもさ……さっきの戦いじゃあさ……あたしだけ完全に弱かったじゃん……。」

さやか「そんな訳にいかないよ……みんなのお荷物なんかになりたくない……。」

さやか(前だって蒼太さんのアシストがあってやっとまともに戦えたのに……)

さやか(みんなと入り乱れて戦うなんて事になったらどうなるか……)


蒼太「でも一人だけで魔女と接近戦なんて無茶じゃない?……」

蒼太「もしさっきみたいな状況になっても、僕じゃ止められないかもしれない」

蒼太「だから……」


さやか「そんな心配しなくて大丈夫ですよ……先生は何も心配なんかしないで……」


さくら「ですが我々の力だけでは魔女に対処仕切れません。万が一の状況を考えて組んだ方が得策です」

さくら「より安全な方法で、実戦経験を積んだ方が互の為にも……。」




マミ「そうね……じゃあ、私と美樹さん、蒼太先生の3人で組みましょうか……」

マミ「私も蒼太先生も、どっちも遠距離からの攻撃しか出来ない……美樹さんとぶつかり合う事もないわ。」

マミ「……これなら理にかなってるでしょう?」


蒼太「そ、そうだよ!……マミちゃんは先輩なんだから、安心出来るって!」

さやか「……それなら……。」


マミ「それじゃ、決定!これからは私・美樹さん・蒼太先生と鹿目さん・暁美さん・さくら先生で行動しましょう!」


さくら「私から、異論は無しです。」



蒼太「じゃ、決まった所で、暗くなってきたから帰ろうか」





QB(暁美ほむら……君は……)

QB(何故、あんな遠くから感知できない程度の反応をここまでピンポイントに探し当てる事が出来たんだい……?)

QB(まるで、ここで二人が争っているのを知っているかのような動きだ……。)

QB(彼女は何を知っているんだい……?聞いても、答えてくれないだろうね。)

QB(彼女の記憶を読み取る事ができれば……記憶……)

QB(高丘映士……彼は僕が見えるだけではなく、脈拍、体温……どれも普通の人間と比べると異常だ……)

QB(これに近い生物は……僕が見てきた中ではアシュだね。)

QB(もし高丘映士があの高丘一族であり、それがボウケンジャーとして戦っているのであれば、ここ数年で封印されたアシュが一度甦ったという事だ。)

QB(アシュの呪術であるならば、彼女の記憶を読み取る事ができるはずだ。)

QB(……試してみる価値はありそうだね。)



帰り道……

二人きりになった、蒼太とさやか。

蒼太「……心配無いって。一番大事なのは、信頼出来る仲間だよ!」

さやか「仲間ですか……?」

蒼太「そうだよ!……僕だって一人でみんなの笑顔を守れた訳じゃない。」

蒼太「僕がつまづいても、手を差し伸べてくれる仲間たちがいるから、僕は今こうしてられる。」

蒼太「僕の一番の宝物がそれなんだ。」

さやか「宝……ですか……。」


蒼太「君にもきっとあるハズなんだ、君にしか見つけられない宝が。」

蒼太「さやかちゃんにしか見つけられない宝……。」

さやか「あたしにしか見つけられない宝……」

さやか(あるのかな……そんな物……)





さやか「そういえばさっき蒼太さんと一緒にいた赤いジャケットの人、誰なんですか……?」

さやか「あの悪い魔法少女の事知ってる……みたいでしたけど」


蒼太「あぁ……あの人もさくらさん達と同じ僕の仲間なんだ。」

蒼太「あの子……杏子ちゃん?と一緒に戦ったと言ってたよ」


さやか「えっ……じゃああの人もアイツと同じ……!アイツに加担してるって事じゃないですか!」

蒼太「……暁さんは悪い人じゃ無いよ。確かにちょっと一人で先走り過ぎな所はあるかもしれないけど……」

蒼太「……暁さんが仲間にしたって事は、あの子もきっと悪い子じゃ無いんだと思う。」

さやか「そんな訳無いですよ!アイツはグリーフシード欲しさに人を犠牲にしようとした!」

さやか「そんな事するヤツ、悪人以外に何があるって……」

蒼太「きっと何か理由が……」

さやか「理由があれば人殺しを容認するんですか!アイツは自分のために人を苦しめてる!」




さやか「……すいません、蒼太先生と言い合ってもどうにもならないよね……。」

蒼太「……。」



蒼太(自分の為に誰かを傷つける……か)

蒼太(……嫌なこと思い出しちゃったな。)

さくら「マミさん、ご協力、感謝します。」

マミ「いえ……別に。ただ後輩の事、面倒見るのはやらなきゃいけない事ですから……」

さくら「……あまり無理をなさらずに。私達はいつでも力になります。」


さくら「……私達は人数が減る事になりますが……」

まどか「ほむらちゃんがいるから大丈夫ですよ!だって時間止められるんです!」

ほむら「……できる限りは、します……。」

さくら「私達二人に合わせて戦っていただけるのは、頼もしい限りです……。」



マミ(うん……暁美さんがいれば、私がいなくても大丈夫よね……。)

マミ(……私が美樹さんのサポートをしなきゃ……。)

マミ(……もう危ない目に合わせた事とか、悔やんでる訳にはいかない……。私にはみんなを守る義務がある……。)

マミ(だから……私がしっかりしなきゃいけないの!……落ち込んでいられる暇なんて……)








杏子「ハァ……ハァ……。さやかの野郎……トーシローのくせになんてバカ力だ……」

杏子「このアタシを怯ませるなんて力が何処に……」



明石「気持ちだよ。」



杏子「……なんだアンタ、また追っかけてきたのか……。」

杏子「気持ち……どういう意味だ……?」


明石「あの時、彼女の心には『君を倒したい』という強い思いがあった。」

明石「その何としても相手に勝ちたいと思う気持ちが爆発し、一瞬だけ杏子に匹敵する力を生み出したんだ。」


杏子「……」


明石「……だが、気持ちだけでは打ち勝つ事はできない。彼女には実力が足らなかった。」

明石「ま……きっとその強い気持ちがあれば今後彼女は急成長して行くだろうな。」



杏子「そんときはまたぶちのめしてやらぁ……!」




明石「あぁ……。俺も期待してるぞ。君達がどれほどのコンビネーションを見せつけるのか」

杏子「はぁ……?コンビネーション……?あんなトーシロと組めって……?」

杏子「冗談言うのも大概にしろよ!そんな事する訳無いだろ!」

明石「……そんな事はその内解る事だ。」

明石「それより、あの時君は彼女を使い魔を退治しようとした……という理由だけで攻撃した。」

明石「使い魔を退治しようとしたのは俺も同じだが……何故彼女だけに?」


杏子「あん?……そんな、てめーなんかろくに使い魔なんて探せねーだろ」

杏子「あそこであんたの邪魔して無駄な魔力を使うくらいなら使い魔3体程度いなくなってもどうでもいいさ」


明石「……そうなのか」

杏子「何だよ、ジロジロ見やがって……」




明石「……」





杏子「……。」







杏子「何だよ……!」

明石「……何か、思いを伝えたかった……そうじゃないのか?」



杏子「……。」




杏子「……ああやって、何の得にもなんねぇ、誰かの為を思ってだかなんだか知らんけど貴重な願いを使ってさ……」

杏子「そういうの見ると虫唾が走っちまうんだよ……」

杏子「魔法ってのは自分の力だ。だから徹頭徹尾自分の為に使うべきなんだ」

杏子「人間は皆自分の為に戦ってんだ。自分の欲望に背いてたら絶対どこかで歪が自分に跳ね返ってくる」

杏子「そのくせアイツは一人で全部背負い込もうってしてんだよ……」

杏子「自分の為に戦わないとロクな目にあわない。……身をもって経験したのさ」


杏子「その点、アンタは違うんだよな。……アンタは自分の為に戦ってる。」

杏子「アンタ言ったろ……冒険だのなんだの……何かをする過程こそがアンタの喜びなんだろうよ……」

杏子「人助けだって、助けちまえばそれで万事OK、アンタは全部満足さ……」

杏子「ある意味、究極の自己中かもな……ま、そんくらいじゃなきゃ曲りなりにも正義のヒーローなんかやってらんないだろうけど」



明石「……まぁな。否定はしない。」

明石「でもな……。人間は絶望から這い上がる力がある。」

明石「君の言う歪……その壁にぶち当たって、もう奇跡には頼れない……。」

明石「その時に本当の思いと向き合って一歩を踏み出す……それが冒険だろう。」

杏子「本当の気持ち……か。確かにアンタは向き合ってるかもな……。歪も乗り越えたんだろ、多分。」

杏子「あんたは間違いなく強い人間だよ。……でもあんたみたいに強い人間ばっかじゃないのさ」

杏子「……そこで迷っちまって、ポッキリ折れちまう人間もいるんだよ。」

杏子「今の自分の絶望に耐えられなくなって、目の前の奇跡に頼っちまう人間が耐えられると思うか……?」

杏子「むしろほんのちょっとの絶望で人間はあっさり死んじまうんだよ……」

杏子「……思いの力とか、そんなんで簡単に解決できりゃあ誰も困んねえよ」




明石「時には迷い道もある。……俺も何度も迷ったさ。」

明石「でもその度に仲間が俺を導いてくれた。」

明石「……仲間がいなかったら俺も今頃は折れてたかもな」


杏子「仲間……か。」

杏子「アイツにそんな仲間、いるのか……」


明石「いるじゃないか」


杏子「まぁ……あのマミと二人のひよっこ共は仲間かもしれねぇけど……」


明石「……ま、この場にいない第三者の事をいくら話してもどうしようもないな。……その内解る事だ」

杏子「自分から話降って閉めがそれかよ……!」

明石「……もう帰るのか」

杏子「あぁ……適当なホテルの連中だまくらかして泊まって来るんだよ」

明石「……」スッ

ヒラッ

杏子「なんだよ……紙なんか投げて……」

杏子「千円札……?」


明石「無駄な魔力は使うべきじゃないんだろう。」

明石「明日の食事はそれを使ってくれ。」

明石「……また会ったら頼むぞ。」







杏子(何だよ保護者ぶりやがって……むかつく……)

杏子(……腹いせにこの金全部ゲーセンでスッてやろうか……)

QB「そうか……こんな所で戦い、死んでいたのか。」

QB「この武装は……怒りの鬼神・ガイ……そして、大いなる獣・レイ……」

QB「……多少の不純な反応はあるが……恐らくアシュと見て間違い無いだろうね。」


キュゥべえが立っていたのは……ボウケンジャーがクエスターとの最終決戦の場であった。



QB「君達は昔から随分僕たちの邪魔をしてくれたね。」

QB「それを封印してくれた高丘の一族はありがたい存在だよ。」

QB「まさか、君達を倒す存在が君達の最も嫌う人間とアシュの混血児だとはね。因果な物だよ」






時は遡り……十数年前。
『百鬼鏡』より現世に開放されたアシュ。
その目的は人間の殺戮。


ガイ「あぁ……?なんだお前ら……変なカッコしやがって」

レイ「ただの人間か……?」




二人の前に数人の魔法少女が立ちふさがった。
アシュを倒す為に、人々を守る為に、この存在を許してはおけない。



ガイ「何だ何だ、ただの人間がこの俺様達を倒そうってそれはちょっと……」

ガイ「思い違いが激しすぎんじゃねーのォン?」

レイ「どうする……?ここで排除するか?」

ガイ「まーまー、何も俺たち二人がかりでまでやるようなこった無いだろ」

ガイ「ま、俺様がチョチョイとやってやっからお前はそのへんで見てろ」

レイ「あぁ。」



「覚悟しろ!」

「許さないんだから!」

「たぁッ!!」


ガンッ!






ガイ「……ガァッ!?」



レイ(……ガイの奴を吹き飛ばした……!?いや……)



ガイ「ど……どうなってやがる!?……この俺が吹っ飛ばされるなんて……ッ!」




「ッ……!」

「トドメだああああああ!」



その内の一人、リーダーとして仕切っていた魔法少女がガイへ向け走り出し
槍をガイの胸部目掛け、突き刺した!

ザンッ!




ガイ「ガッ……クッ…………」


レイ「……。」






「……!」


ガイ「クッ……クッ……ククッ……」

「……!?」







ガイ「なぁ~~~~んちゃってぇ~~~~~~♪」



少女の槍は確かにガイの胸を捕らえた。
だが、ガイの体表を貫く事は出来なかった。





レイ「お前は相変わらず悪趣味な芝居が得意だな……。」

ガイ「だってェこっちの方が面白いんだもん!」




「そんな……!」

「えいッ!!!」




リーダーの少女の危険を察して後方で待機していた少女たちも再び攻撃を始めた。



バシュゥッ!ザンッ!ズシャッ!





ガイ「カスが効かねぇんだよ!」



「ひっ……!」

ガイ「待てって。まさかここまでやって逃げるとかツレない事言わないよな。」

逃げようと背を向けたリーダーの少女の肩を掴む。




ガイ「まずはその……目障りなキラキラしたヤツをぶっ壊してやんよッ!」

ガシャンッ!バキィッ……


「うぁッ……」


バタッ



ガイ「あれれ~ン?もしもぉ~し、もしもぉ~し」


ガイ「お……?なんだコイツ、宝石砕いたら死んじまったぞ?」

レイ「あぁ、そいつらは『魔法少女』とか言う奴らだ。……その宝石はソウルジェムと言って奴らの魂だ」

レイ「当然それを砕けば奴らは死ぬ。……お前には伝えない方が楽しめると思って言わなかったんだが」


ガイ「おいおいおいおいおいおいおいおい!ジョーダンだろジョーダン!」

ガイ「なんで元の人間より弱っちくなってんだよ!」

レイ「俺に聞くな。」

レイ「逆をいえばそれさえ砕かなければ半永久的に戦えるぞ。」

ガイ「さっき戦ってわかったけどよ、こいつら全然強くねーもん!そんなんと戦いたくねーよ!」

レイ「人間の力に期待するな。」

ガイ「ま……ストレス解消には良いかもな……!」


ガイ「……さ、逃げられるもんなら逃げてみなちゃいっ♪」


「あぁっ……うわぁあああああああああっ!!!!!」













QB「……魔女になる前に君達は何人もの魔法少女を殺してくれたね。」

QB「かと言って僕らではアシュに対抗する術はなかった。」


QB「ま……君達の細胞の破片を回収させてもらうよ。」

QB「……無駄な殺生や侵略行為は契約に反するからしてはいけないのだけれども、記憶を読み取るくらいなら問題ない。」

QB「これを僕の体で試験的に培養して、その呪術のメカニズムを解明する。」

QB「そうすれば、より効率的な契約ができる。」

QB「利用させて貰うね。」




翌日、サージェス本部……


蒼太「杏子ちゃん、そんな事言ってたんだ……。」

明石「あぁ。……少し手は強引すぎたが、杏子はさやかの事を傷つけようとしてた訳では無いようだ。」

明石「何が杏子をそこまで駆り立てるのかは知らないが……。」

明石「あの様子だと、過去に誰かの為に戦って、それが原因で誰かを傷つけてしまったらしい。」

映士「それで自分の行いで誰かを傷つけんのが怖くて突っ張ってんのか……?」

映士「だとしたらよ……ただ不器用なだけでホントは優しい奴なんじゃないか……?その杏子って子は」




さくら「しかし……。さやかさんを襲撃した以上、争いになる危険性はあります。」

さくら「戦闘になれば、どちらかが負傷を負う事も。悪意が無いからと言ってこのままにしておく訳にはいきません。。」

映士「それは……そうだけどよぉ……」

明石「まぁな……そこはその時になってから考えよう」

菜月「その杏子ちゃんって子……一人で暮らしてるの……?」

さくら「万引きを繰り返しているという事は、そうであると考えられますね。」

菜月「じゃあ……一人ぼっちで寂しいんじゃないかな……。」

菜月「その子……お父さんもお母さんもいないんじゃ……」



明石「……。」

明石「……俺はこの書籍から今日はいくつか情報が無いか探ってみる。」

明石「……蒼太。昨日調べたというデータをまとめて俺に寄越してくれ」

蒼太「了解。プリントしてまとめてあるよ」


明石「あと、見滝原にはさくらと蒼太、あとこの中の一人が向かう3人体制で当たる事にする。」

明石「明確な命令が出れば、6人全員で行けるんだが、現状はこれが限界だ。」

真墨「で……?今日は誰が行くんだ?」

明石「真墨、お前だ」

真墨「え!?」

明石「出来ないのか?」

真墨「ばかやろう!お前に出来て俺が出来ない事なんかあるもんか!」

真墨「行ってくる!」

菜月「この時間行ってもまだ登校時間だよー」




さくら「では、……学校に向かいます。」

蒼太「あ、もうこんな時間か……。遅れちゃう、じゃあね!行ってきます!」






学校、教室……

さやか(マミさんと組むの……心配だなぁ……)

さやか(……あたしがするヘマのせいで迷惑かけちゃったりしたら……)


QB(それなら心配無いと思うよ。マミは君よりベテランで、素質もあるからね。)


さやか(ゲッ……あんた聞き耳立ててたの……趣味悪いわー)

QB(魔力をコントロール出来れば僕が念話に入り込む事も出来なくなるよ)

さやか(それより素質って……?)


QB(才能……って言った方がわかり易いかな)

QB(元々持ってる魔力さ。)


さやか(才能……って、……)

さやか(あーもう!不公平だぁ!)



マミ(美樹さん……心配しないで。ちゃんと経験を踏めば才能なんて微々たる差よ)

マミ(だから私についてきてね。)


さやか(う……はい!……強くなってまどかとほむらをびっくりさせてやる!)

マミ(……)

マミの教室……


マミ(……美樹さんが戦うのは、二人の為……。)

マミ(鹿目さんはずっと暁美さんに付きっきりだし……。)

QB(そうだね。まどかにとってのほむら、ほむらにとってのまどかは互に守らなくちゃいけない存在のようだ。)

QB(さやかにとってのまどかもそうだね。)

マミ(……ううん、私は先輩なんだ……。)

マミ(美樹さんは私を頼りにしてくれてる……しっかり守らなくちゃ)

QB(……君のために戦ってくれる存在はいないのかい?)

QB(例えば……間宮菜月、とか)

マミ(……。)

マミ(私って、みんなにとっての先輩でしか無いのかな……。)







ホテル、入口……。


バタンッ!

杏子「いっで!何すんだこの野郎!」

「このガキ勝手にホテルに忍び込みやがってよ……人間の屑がこの野郎……」

杏子(クソ~!ヘマしちまった……!)

杏子(忍び込んでたのがバレちまうなんてよ……不運にも程があるぜ……)

「俺のことねぇ!おじさんの事本気で怒らせちゃったねぇ!」

杏子「こうなったら魔法で眠らせて……」




「ズンズンズンズン!」



「!?何だこいつ!」


ズバーン「ズ・バーン!」

ガシッ

杏子「え!?ちょ、ちょっと待て!」

ズバーンは杏子の身体を抱え走り出した。


杏子「ふざけんな!やめろバカ!」

「あのガキ!逃げやがって……覚えてろ!」






……………………………………………………………






ズバーン「バーン!」

杏子「なんだここ……取り壊し予定の空家……?」

ズバーン「ズンズン!」

杏子「その前にお前何もんだよ……人間じゃねーよなどう見ても」

ズバーン「ズバーン!」

杏子「……明石の差金か何かか?」

ズバーン「ズンズン!」

杏子(今のは……頷いてたから合ってるって事だよな……?)



杏子「ならちょうど良かった……腹減ってたんだ。これ使ってコンビニであんドーナツとコーラ買ってこい」

ズバーン「ズン!」

……数分後



ズバーン「ズンズン!」

杏子「あ……早いじゃん」

ズバーン「バーン!ズバズバ!」

杏子「……ちゃんと言われたとおり買ってきてんのな」

ズバーン「ズン!」バリッ

杏子「おい!食うのはあたしだぞ!」

ズバーン「バーン」スッ

杏子「!?よせよ、あーんなんてやらなくても一人で食えるから!」

杏子「おら、よこせ!」

ズバーン「ズン……」シュン

杏子(落ち込んだ……?)



杏子「あ~……」モニュモニュ

杏子「……食うかい?」

ズバーン「ズンッ!ズンッ!」パァァァァ

杏子(今度は元気になった……)

ズバーン「バーン!」グシャッ

ズバーン「ズン……」


杏子(口がないから食えないのか……)

杏子「あぁもう!落ち込むな!」

ズバーン「ズン!」






杏子「はぁ……今……11時か……」

杏子「……普通だったらみんな学校行って……。友達と遊んで……」

杏子「……なんて考えても仕方ねぇよな……。」

杏子「……昼寝でもするか……。」






学校、放課後……。

さくら「……では、昨日のチームに別れ、魔女の探索に出かけましょう……。」

まどか「私達は……こっちのルート探すけど……」

さやか「ごめん……今日、あたし、途中までしか付き合えない……。途中から用事あるから抜けさせて貰うね……」

蒼太「うん、了解したよ」

真墨「おう」

マミ「じゃあ……私達チームは今日は途中までね……。」

ほむら「分かりました……。」

真墨「……じゃあ出発するか」




まどか・ほむら・さくら・真墨チーム……



ほむら(……)

まどか(えーと……この人……誰……?)

まどか(うーん、どっかで見た……というかさくら先生の仲間だからボウケンジャーの人だよね)

真墨「えーとよ……俺は伊能真墨……。ボウケンジャーのチーフをやってる……。よろしくな」

まどか「あ、そうなんですか!てっきり一番偉いのはあの赤い人かと……」

真墨「……」ムッ

さくら「現時点で、チーフは真墨です。……今後はどうなるかは真墨次第ですが……。」

真墨「この先も変わんねーよ!さくら姉さん!」

まどか「……ライバルですか……?」

真墨「……まぁ、そんな所だな。」

真墨「明石は俺の超えるべき壁なんだ……。だから、俺はあいつを超える為に冒険するんだ。」

まどか「へー、かっこいいですね」

ほむら「超えるべき壁ですか……」


まどか「……そういえばさ……さやかちゃん達、大丈夫かな……」

さくら「マミさんの実力と、蒼太君のサポートを考えれば心配ないかと……」

まどか「……また、あの子と会ったりしたら……。」

まどか「さやかちゃん……上条くんの為に願って、誰かの為に闘うって決めたのにさ……」

まどか「それなのに、誰かと闘う事になるっておかしいと思うんだ……。」

ほむら「仕方ないんです……それは。私達は何かを願った……。」

ほむら「……誰かとぶつかり合う事になったって当然の代償でしか無いんです……。」

ほむら「それと引換にすべてを諦めなければならないんです。献身なんてありえない。」

ほむら「自分自身でさえも……。」

まどか「でも、……私達……同じ人間なんだから……。」

まどか「伝えあえばきっと分かり合えるよ……」

さくら「そうですね……。相手を知らず敵と決め付けるのは軽率です。」

ほむら(……いつも美樹さんには、誰の言葉も届かない……。)

ほむら(もう……美樹さんの事は……諦めるしか無い……。)

真墨「……そういえば二人は何の願いでその魔法少女ってのになったんだ?」

さくら「……もし差し支えなければ。」

ほむら「……。」

まどか「そういえばほむらちゃんの願い、まだ聞いてなかったなぁ……なんて」


ほむら「……」

まどか「あぁ、いや、嫌だったら言わなくても良いんだよ?」

さくら「えぇ。あくまで差し支え無ければなので……まどかさんは?」

まどか「私……?私は……」

まどか「ちょっと前に。弟……タツヤって言うんですけど……タツヤが事故に遭っちゃって……。」

まどか「それで……何で私、事故で苦しんでるタツヤの為に何も出来ないんだろう……って思ってたらキュゥべえと会って……。」

まどか「タツヤを助けたいって願いで魔法少女になったんです」




真墨(やべっ……なんか空気重くしちまった……)

真墨「す、すまねぇ……嫌な事思い出させちまったな……」

まどか「良いんです、もう過ぎた事ですしタツヤだって元気ですから!」

さくら「……そういう事だったんですね。」

まどか「それで……困ってる人を助けたいから……。だから私は今の私に満足しています。」







さやか・蒼太・マミチーム

さやか「……今日は魔女の気配が見つかりませんね……。こんなもんなんですか?」

マミ「えぇ……日によっては連続だったり、一週間くらい一度も出会えなかったりとかまちまちだわ。」

蒼太「……魔女探索を続けてたら、また昨日の子と会うんじゃないかな……」

さやか「そうなってもこっちは3人ですよ。」

蒼太「……戦う前に話をつけておくべきだと思う……。あの子も悪気があったと限らないし……」

さやか「アイツは使い魔を放っておくんですよ!それが悪じゃなくて何なんですか!」




マミ「あの子……佐倉さんって言うんだけど、あの子ね、以前私と組んで戦っていたの。」

マミ「自分の願いのせいで家族を失ってしまって……それから……。」

マミ(あの後……佐倉さんはどう変わってしまったのかしら……)

さやか「どんな事情があったって悪人を放っておく訳にはいきませんよ!」

さやか「あの逃げた使い魔が狙うのは次はあたしの友達かもしれない……そんなの許せません!」

蒼太「あの使い魔は暁さんがやっつけておいたよ……。」

蒼太「……僕の仲間が言ってたんだ。あの子はきっと悪い子じゃないって……」

さやか「アイツとつるんでるなんて……その暁って人はあたしも信用できません……。」

蒼太「大丈夫だよ……暁さんは……」

さやか「蒼太先生……それ以上は言わないでください……」

さやか「それ以上言われると蒼太先生の事まで信用出来なくなるから……」

蒼太「……。」




空家……


杏子「……ふわぁあああ……」

杏子「なんだ……もう夕方じゃねーの……」

杏子「あれ……?あのズバズバ野郎いねーぞ……」

杏子「……帰ったんだろ……多分」



杏子「……あいつ、今日も使い魔退治とかやってんのかな」

杏子「うっとおしい。……目障りなんだよな……」




杏子「……なんとか説得出来ないもんかなぁ……」









ズバーン(剣状態)「……」







ほむら・真墨・まどか・さくらチーム……


まどか「……魔女の反応です」

さくら「使い魔ではなく、魔女……ですか?」

まどか「えぇ。この強い反応は間違いありません。」

真墨「魔女と戦うのか……!へっ、腕が鳴るな!」

さくら「二人のアクセルスーツでは魔女と正攻法で戦う事は出来ない事、忘れないでください」

真墨「わかってるってさくら姉さん!そこでどう戦うのがちょっとした冒険だろ?」


まどか「そうです……呪いの魔女を倒すんです!みんなで!」

真墨「え……?呪い?」

さくら「はい。呪いを振りまく魔女です……。」

真墨(そうだった……魔女って確か呪い……)

さくら「……怖いのですか?」

真墨「ばか言うな!そんな事あるもんか!」


ほむら「……結界の扉を開けます、入ってから、どんな攻撃が来るかわかりません。絶対に油断は禁物です。」

真墨「あぁ……さくら姉さん、行くぜ!」

さくら「はい。」



『ボウケンジャー!スタートアップ!』


ブラック「……アタック!冒険したいヤツはついてこい!」

ほむら(……うるさい人!)

まどか「はーい!」

ピンク「いつになく上機嫌ですね。暁さんと張り合えるからでしょうか」








さやか・蒼太・マミチーム……



さやか「……ごめん、今日あたしこの時間までだわ……すいません。」

蒼太「うん……。じゃあ、気をつけてね!」



そう言い残し、さやかはその場から去って行った。



蒼太「……僕たちはどうしよう。残って魔女を探す……?」

マミ「いえ……これだけ探してもいないのであれば、これ以上探しても見つからないでしょう……」

蒼太「……そうなんだ。やっぱりベテランはそういうの解るんだね」

マミ「……まぁ」

蒼太「じゃあ僕らも早く帰ろうか。夜道は危険だから、危険な道通っちゃダメだよ?」

マミ「はい」








蒼太(……とは言ったけど、何かあるかわからないからね。昨日の子とばったり会う可能性もある)

蒼太(帰るのはもう少し後にしてからにしよう)


ここまで

フィギュアーツの残り三人は何時になるのだろうか

……魔女の結界内



ブラック「……なんだぁ?何も見えやしねぇ」

ピンク「この結界……明かりが一切ありません。」

ピンク「レーダーで反応を探りましょう。」

ブラック「そうだな……」

ほむら(これは……暗闇の魔女!こいつの弱点は光!)

ほむら(……閃光弾を使えば簡単に倒せる相手!)



ブラック「ッ!みんな離れろ!魔女がぶちかましてくる!」



ボウケンブラックの呼びかけに応じ、3人はそこから飛び退いた。


ズライカ「ギィィィィィィアアアアアア!!!」


ブラック「……近づいてくれるとは好都合だぜ!ラジアルハンマー!」

ブラック「ハンマー……ダイナマイトッ!」



ゴォオオオオオオンッ!



ズライカ「キィッ!」


ブラック「チッ!外した!」

ピンク「……ヤツは奥へ逃げます!」

まどか「暗くて何も見えないよ……」

ほむら「鹿目さん、魔法を使えば視力を強化する事が出来るよ!」

まどか「えっ……し、知ってたよ!もちろん!でもありがとうほむらちゃん!」




病院……


さやか「えっ……もう退院したんですか……?」

「そうよ……昨日のうちにね」

さやか「……そうですか。」

さやか(どうして教えてくれないんだよ……恭介のヤツ……)



さやか「ん……?テレパシー……?誰から……」

さやか「……!この前のヤツ!」





ブラック「俺たちもレーダーだけじゃ頼りない。ヘッドランプを使おう」

ピンク「!使い魔が押し寄せてきます!」

ブラック「使い魔は俺たちが対処する!二人は道が開けてから魔女に突撃してくれ!」


『サバイブレード!』


ブラック・ピンク「ハァッ!」


カキィンッ!カキィィンッ!カキョウインッ!



ウラ「「ギャアアアアアッ!」」




まどか「行くよ!ほむらちゃん!」

ほむら「はいッ!」



二人は魔女への距離を詰めて行くッ!





まどか「はぁああああッ!!」



バシュゥンッ!


ズライカ「ヒィッ!?」


ほむら(……時間を止める!)


カチッ……




ほむら(そして今のうちに閃光弾をばらまいて!)





カチッ




……シュパパパパパパパパーン!

ズライカ「ヒィイイイイイイイイイアアアアアアアッ!」


ほむら「よしッ!」

ピンク「二人共!避けてください!」



まどか「了解しました!」サッ








ブラック「ラジアルハンマー!ライトニングアタック!」

ピンク「ハイドロシューター!シューターハリケーン!」



二人が避けた間を突き、二人の必殺技がズライカへ炸裂する!





ドオオオオオオンッ!


ズライカ「ヒアアアッ!」



ブラック「よしっ……!動きが止まったッ!」



まどか「今だッ……!」シュゥゥゥゥ……



まどかは弓矢にエネルギーを込めた。




まどか「ハアアアアアッ!」




バシュウウウウウウウッ!



ズライカ「ヒ……」




ドバアアアアアアアアアアアアアンッッッッッ!








シュウウウウウ……


ピンク「結界が消滅します……。無事撃破できました。ミッション完了です。」










真墨「よしッ!初めてのコンビネーションにしてはなかなか冴えたんじゃないか?」

さくら「そうですね。……まどかさんとほむらさんが上手く立ち回ってくれたおかげです。」

真墨「おい……ちょっとは俺の事褒めてくれよ……」

さくら「いえ、真墨の指示があってこそですよ。下手にバラバラにならないよう指示を仰いだのは状況把握能力が優れている証拠です。」


まどか「やった!やったよほむらちゃん!」

ほむら「うっ!」

まどか「あれ?照れてる?」

さくら「しかし奴の弱点が光……なのはともかく、閃光弾を大量に持っていたなんて用意周到ですね。」

ほむら「……いえ……たまたまです」

真墨「……」

真墨(そういやあの病院で戦った魔女へ最初に最善手を打ったのもこの子だったよな……)

真墨(……なんか、全部知ってるような……?でも明石みたいな見透かす感覚とも違うんだよな……)

真墨(まるであらかじめ知ってるみたいな……)


橋の上……



さやか「何だよ……こんな所に呼び出して……!」

さやか「どういう風の吹き回し?」

杏子「……いやさ。アンタと話つけたくてさ」

杏子「あんた、坊やの腕を治す為に一回しか使えない願いを使ったんだって……?」

さやか「それが何だっての!?」



杏子「……それで?……魔法ってのは自分のために使うべきなんだ。」

杏子「何もいいことなんかありゃしないんだ、他人の為に使っても……。」

杏子「……あんたになんか見返りあったか……?」

さやか(……。)

さやか「見返りなんていらない!あたしはみんなを守れればそれで良いの!」

さやか「マミさん達と一緒にみんなを守る……!それだけでいいの!」

杏子「そんな事やってたらいつかお前だって……」



さやか「あんたに心配されても嬉しくない。自分だけしか考えないあんたなんかにね!」

杏子「……そうかよ……。」

杏子「話だけじゃこれもうわかんねぇな……」

杏子「ちょっと痛めつけてやらなきゃダメだってはっきりわかんだね!」



空家……



ズバーン「ズンッ……!」

キュイーン!

ズバーン「ズ・バーン!」





剣状態から変形したズバーンが空家から飛び出した。


橋の上……

さやか「……やるっての?いいよ……あんたを倒して、この街を平和にする!」

杏子「この野郎……!」

杏子はソウルジェムを掲げ、魔法少女へ変身した。

杏子「遠慮はしねぇよ!この街で一番弱い魔法少女ちゃん!」






マミ「……そこまでよ。佐倉さん。私の後輩にそれ以上手出しはしないで。」

さやか「マ、マミさん!?」

杏子「……マミ!?」

マミ「……手出ししたいなら私を倒してからにして。」

杏子「ウザい奴にはウザい仲間がいるもんだね……」

杏子(クッ……マミとまともに戦えるか……?いや、さやかも加勢するとしたら……)

杏子「こうなったら……!」



マミ「ッ!」

杏子「邪魔すんな!」

バシッ!

マミ「……!?」

マミが変身しようとソウルジェムを出した瞬間、マミの手の甲を槍の柄で叩き、ソウルジェムを吹き飛ばさせた。
ソウルジェムはトラックの荷台へ降りる。

マミ「なんて事を……!ふざけないで!」

杏子「これでお前は手を出せない……すっこんでろ!」

マミ「……!?」

バタッ……




さやか「マミさん!?」

杏子「へっ……なんだいきなりブッ倒れて……」

さやか「マミさん!しっかりしてください!」

杏子「おい……マミ……死んでるぞコイツ……!?」



QB「今のはマズイよ……いくらなんでもマミを投げ飛ばすなんてどうかしてるよ」

杏子「何言ってんだよ……?オイ!どういう事だ!」












街の中を最上蒼太は彷徨っていた。
蒼太にはさやか達を探索する能力は無いが、街の中を適当な宛をつけて歩いている。


蒼太(人目につくような場所ではやらないハズ……!路地裏を探せば……)

蒼太(……目立たない場所で、派手に戦える程の場所なんて限られているから……)

蒼太(……もちろん、これが全部無駄足……喧嘩になってないのが一番なんだけど……)





蒼太「あれ……ズバーン!?」

蒼太「どこに向かって走ってるんだろう……」

蒼太「そういえばズバーンって……争いを好まない性格……争いがあれば争いを止めるために……」

蒼太「もしかして……!ズバーンについて行けば!」


橋の上……

QB「ソウルジェムは君達の魂そのものさ。元の弱い体で戦ってくれなんて頼めない。」

QB「……君たちの魂は運用しやすいよりコンパクトな形態が与えられる。……合理的じゃあないかな。」

さやか「それ……って」

杏子「あたしら……ゾンビにされたようなもんじゃねぇかよ……ッ!」

QB「?便利な事じゃないか。君たちは心臓を破られても、どんな重症を負っても無敵だ。ソウルジェムが存在し続ける限りね。」

さやか「ゾン……ビ……!?」

QB「それより、マミのソウルジェムを取り返す方が先なんじゃないかな……」













蒼太「橋の上に……さやかちゃん!杏子ちゃん!?」

ズバーン「ズンッ!ズンッ!」

蒼太「この先に行けって……?」

ズバーン「バーン!」

蒼太「あのトラックを追いかければいいのか!……スタートアップ!」


ブルー「……ブロウナックル!」

ブォオオオオオ!


ボウケンブルーはブロウナックルから放たれる竜巻を利用し宙を舞い、トラックを追いかける。








さやか「マミさんっ……マミさんッ……!」


蒼太「……これ。」

さやか「蒼太先生……?」


蒼太はマミの手のひらにソウルジェムを戻した。



マミ「う……ん?」

蒼太「……マミちゃん!しっかりして、大丈夫!」


マミ「……私、どうしていたの……?」




杏子「……」


杏子「知らない方が良いんじゃないか」

QB「僕の方から説明するかい?」

杏子「うるせえ!」


ズバーン「ズンッ……!」

QB「おや……」

階段を上ってきたズバーンが突如キュゥべえに襲いかかり始めた。



ズバーン「ズンッ!ズンッ!」

QB「やめてくれ。僕を潰しても無駄なのは知ってるだろう、君も」

杏子「お前……何でここまで!?」

蒼太「ズバーン!落ち着いて!」

QB「やれやれ。撤退するよ。」


マミ「……どうなってるの……?」








QB「……ふぅ。確かあれはレムリア文明の……大剣人ズバーンだね」

QB「どうして僕を目の敵にするんだろう わけがわからないよ」

QB「……そんな事よりも今問題なのは……見滝原を担当していた個体だ。」

QB「アシュの細胞を培養した弊害かな……?通信がとれず行方不明。」

QB「早くアシュの呪術のデータを採取したいんだけれど……」

繁華街……


真墨(……このまま帰るのもつまんないな……。コンビニで立ち読みでもして帰るか)

真墨(ん……?何か誰かが俺の跡をつけてる気が……)

真墨(悪趣味なヤローだ……。物陰に隠れて様子を伺おう)

スッ




真墨(やっぱりな……顔はよく見えねぇけどあいつが俺をつけてんのか。何が目的か吐かせよう)

真墨「……動くなッ!」ガチャッ


物陰から現れ、真墨はサバイバスターを突きつけた。


ほむら「……!?」

真墨「お、お前っ……わ、ワリィ!」

ほむら「いえ……すみません……。」

真墨「おう……でも何で俺の事コソコソつけてたんだよ……」

ほむら「頼みたい事があって……」

真墨「頼みたい事……?」









真墨「ワルプルギスの夜……?」

ほむら「はい。ボウケンジャーの皆さんにはそれを手伝ってもらいたいんです。」

真墨「そりゃあ……でかい怪物ってんなら手伝うけどよ……」

真墨「なんで……?皆何も言わなかった……どうしてお前だけ知ってんだ」

ほむら「……統計です。」

ほむら「……伝えたい事は伝えました。では……。」

真墨「おい!……消えやがった。」

真墨「やっぱアイツ何か隠してるな……」

ここまで
本編の劣化焼き直しみたいな展開だけど次回からはもうちょっとマシになってるといいな

……山奥。


ジャリュウ「ウオォォ~ン!リュウオーン陛下ァ~!」

ジャリュウ「コンナミズボラシイ姿ニナッチマッテヨォ~!」

山奥。ジャリュウ一族、唯一の残党である二人のジャリュウがリュウオーンの遺体を運び歩いていた。


ジャリュウ「デモヨォ~!黄泉ノ心臓……ッテノヲ使エバ生キ返ルンダロォ~!」

ジャリュウ「バカヤロー!ソノ場所ガワカラネーンジャネーカ!」

ジャリュウ「ウゥ……俺タチニプレシャスヲ探ス力ガアレバ」


QB「何かお困りかな?」


ジャリュウ「何ダコイツ オ前知ッテルカ?」

ジャリュウ「知ルワケネージャン!」



QB「その男の遺体が創造者・リュウオーンだね。」

QB「どうやら、生命エネルギーが枯渇しているせいで怪人形態を維持出来ないらしい。」

ジャリュウ「何言ッテンダコイツ」

QB「だから……」


キュゥべえは腕を伸ばしリュウオーンの体にエネルギーを与えた。

ジャリュウ「……リュウオーン陛下!?」

QB「少しだけアシュのエネルギーを分け与えたのさ。」

パァァァ……

ジャリュウ「スグ戻ッチマッタゾ!?オイコラ!」

QB「当然だよ。これしきのエネルギーで維持できる時間なんてほんの数秒だ。」

QB「それで……だ。僕と取引をしてみないか?」

QB「エネルギーを継続的に供給できるのは君達の探す「黄泉の心臓」だね。」

QB「僕はそのありかを……正確な位置までは把握できないが、大体の位置は探索できる。」

QB「それを教えるかわり、そのリュウオーンの細胞をほんのちょっぴりだけ欲しいんだ。」


ジャリュウ「ドウスル……!?」

ジャリュウ「デモヨォ~!乗ルシカ無イダロォ~!」

ジャリュウ「ソウダナ」


QB「じゃあ契約成立だね。リュウオーンの細胞を少しだけ貰う。」

QB「黄泉の心臓の潜む場所は……あ、君達運がいいね。ちょうどこの山奥だ。」

ジャリュウ「エッ何ソレハ」

QB「じゃあ、契約完了。じゃあね。」

ジャリュウ「オイ!ドコニアルカッテ聞イテンダヨ!」

QB「言っただろ、大体の位置しかわからないって」

ヒョイッ トテトテトテトテ……


ジャリュウ「待チヤガレコノヤロォ~~~~」





QB「さて……リュウオーンの細胞も得た。」

QB「そして、あの瞬間リュウオーンの記憶を読み取った……。」

QB「大神官ガジャ……!君まで復活していたのか」




翌日、サージェス本部……

菜月「マミちゃんたちがゾンビ……うそ……でしょ……」

真墨「本当かよ……蒼太……そのソウルジェムが本体ってのは……」

蒼太「……うん。本当だ……」



菜月「おかしいよ!マミちゃんは街を守る為に戦ってたんだよ!なのにそんなの……」

さくら「……やはり価値観の違う相手でしたか……。」

さくら「……こんな裏があったとは……。」

蒼太「さやかちゃん……。自分が人間じゃないって事知って……。」


明石「……ソウルジェムを砕かれん限り無敵か。確かに理には叶ってるな。」

明石「だが、そんなウィークポイントをさらけ出しているのは致死的すぎるな。」

さくら「暁さん!?いくら何でもそんな言い方!」

菜月「そうだよ!マミちゃん達、死んだような体にされて……どうしてそんな事言えるの!」


明石「まぁな……。現に彼女たちは苦しんでいる。」

明石「……だが苦しんでいるのは紛れもなく生きている証拠だ……。」

明石「例え体が何者になっても、心がある限り彼女たちは人であり続ける……。死んでなんかいない。」

映士「あぁ……。俺も明石と同じ意見だ……。」

映士「……例え体がバケモンでもよ……自分の気持ちがあるんだからな……。」


真墨「まぁ……そうだけど……」

蒼太「だけどそんな簡単にさやかちゃんたちが割り切れるかどうか……」


映士「自分の思いに、引くか進むかどっちかハッキリさせないとダメなんだよ。……体がどうだとか関係ねぇ」

菜月「でもマミちゃんたちはまだ中学生なんだよ!?誰もえいちゃんみたいに強い訳じゃ……」

映士「戦うって使命を持った者に、ガキだとか女だとか、そんな甘ったれた事言ってちゃ進めねえよ!」

映士「強くなくたって自分の心と戦うくらいはしねぇと」



明石「俺も簡単に割り切れるような問題じゃないってわかってるさ。」

明石「……俺は何度もくじけそうになった。その度に何度もお前たちが支えてくれた。」

明石「……支えてくれる仲間がいれば、なんとかなるもんさ。」

明石「本当の自分を忘れかけた時に誰かから気づかせて貰えた事なんてしょっちゅうじゃないか」





ボイス『みんな!ワルプルギスの夜が来るって本当かい!?』


さくら「ボイス!何故そんな慌てて!」


ボイス『いや、それは緊急事態だ!魔女や魔法少女でどこかにつっかかりを感じてたんだけど……』

ボイス『正式な命令として出すよ みんなで見滝原に向かってくれ。』


菜月「……!」

明石「そういう事だ。行くぞ。」




明石(ソウルジェムが魔法少女の本体……)

明石(蒼太のくれた資料にあった外傷の無い遺体……それはソウルジェムを砕かれ死んでしまったと考える……)

明石(しかしジョルダーナの記録にあった事例が気になる……)

明石(『魔女狩りの生贄』として処刑される事になった宝石を持った少女……)

明石(その少女の宝石は処刑される寸前黒く穢れ、そして弾け飛んだ。)

明石(そして、記録者のジョルダーナを除いてそこに集まった処刑執行人……生贄の少女を含めて全員が一瞬の内に消え去ったという話だ。)

明石(宝石がソウルジェムだとすれば、黒く穢れきった時にソウルジェムは……)



牧野の部屋

牧野「しかしボイスがワルプルギスの夜という単語にそれまで反応するなんて……。」

牧野「ヴァルプルギス・ナハト……ヨーロッパ地方のお祭りの名ですが」

ボイス「お祭りなんてめでたい物じゃぁ無いよ牧野先生。」

ボイス「まぁボイスも全部が全部覚えてる訳じゃないんだけどね。魔法少女とか魔女の事とか全然覚えてなかったし」

ボイス「転生する度に記憶を全て引き継げる訳じゃないし。ただ、ワルプルギスの夜だけはとっても危険だって事で覚えてたの」

学校……



まどか(本当……なんですか……?私達の体が……そんな……)

マミ(……私も信じられないけど……本当らしいわ……)

マミ(キュゥべえがそんな事秘密にしてたなんて……)

マミ(……美樹さんは……どうしてるの……?)

まどか(……学校に来てません……。)

マミ(何でキュゥべえはそんな大事な事黙っていたのかな……)

ほむら(……何を言っても、聞かれなかったから……で通すような奴です)

ほむら(決定的に価値観が違うから……何を言っても奇跡の対価としか言わないでしょう……)

まどか(ほむらちゃんは平気なの……?)

ほむら(……今更悔やんでも仕方ないんです……。)


さやかの家……

さやか「こんな体になって……」

さやか「恭介の腕を治せると思って……正義の味方になれて……で……心がどんどん曇ってく……」

さやか「どうしてかなぁ……いくら街が平和になっても……あたしが恭介と一緒に幸せになれないなんて……」

さやか「どうして……どうして……うぅっ……」

さやか「もう……死んでる体で……どうしろって……」

杏子『いつまでしょぼくれてんだよ、ボンクラ。……ちょっとついて来い、顔貸せ』

さやか「……え?」




杏子の教会……



さやか「……どういう風の吹き回し……?こんな所に連れ込んで何する気……?」

杏子「……やっぱあんた、昨日のこと、ショックだったりする……?」

杏子「あたしはさ……自業自得だって思ってんだ……なんだかんだで好き勝手出来るしさ。」




杏子「ちょっと長い話になるけど良い……?あんた見てると色々思い出しちまってさ……。」


























……


さやか「何でそんな話あたしに……?」

杏子「さっきも言ったろ……全部が全部誰かの為に戦ってたりするとさ……必ずどっかでしっぺ返しが来るんだって。」

杏子「そんなら開き直って自分の為に生きろ……って事が言いたいんだ」

杏子「自分の為の後悔なら背負えるもんさ、案外……」



さやか「へぇ……あんたにもそういう所あったんだね……意外……」

さやか「でも……ごめん。あたしは後悔しない為に……誰かの為に戦うって決めたんだ……。」

さやか「これがあたしの本当の思いだから……あたしのやり方だから……。」

さやか「この力を正義の為に使うのがあたしの報われる道なんだ……。」


杏子「……ッ……お前……」


さやか「あたしはあたしのやり方を曲げたくない。……もし文句があるなら、ぶつかったってあたしはあんたを恨んだりしない……。」

学校、職員室……

さくら「……?暁さんから通信……」

アクセルラーに明石からの通信が届いた。

さくら「はい。こちらさくら。」

明石『あぁ……一つ伝えておきたい事があってな』

さくら「……なんでしょう」

明石『昨日読んだレオン・ジョルダーナの記録にソウルジェムとグリーフシードと思わしき記録があった。』

明石『きっとこれはソウルジェムが穢れ切った時の運命を示唆している記録だと思われる……』

明石『お前はあのキュゥべえという奴と話ができるだろう。……この話について聞いておいてほしい事がある。』

明石『……もし、ソウルジェムが穢れ切った時……魔法少女は……魔女に変貌するかという事をだ……』

さくら「……!」

さくら「……どういう事ですか!魔女に変貌……!?」

明石『……確証は無い。だが事実だとすれば……』

明石『……キュゥべえという奴の反応を見ればお前なら察せるハズだ……。』

明石『……頼む。だが、彼女たちがいない所で聞いて欲しい。この事実を知って、今の彼女たちでは耐えられないかもしれん……』

さくら「……了解。」

明石『キュゥべえと解析が出来次第、すぐこっちに知らせてくれ。みんなには俺から伝えておく。』


……
さやか(……。いや良いんだ、これで……。)

さやか(誰かの為に戦えれば……あたしは満足のハズなんだよ……!)


QB(……?学校へは行かないのかい?)


さやか(……アンタ!どうしてあたしを騙してのうのうと……!)

QB(騙す?……僕は嘘なんかついてないじゃないか。説明は少しだけ省略したけれど)

さやか(……どうしてあたしをこんな目に……!)

QB(戦いには合理的じゃないか。)

QB(そんな事より、学校へは行かないのかい?まどかたちが君のことを心配しているようだよ。)

さやか(っ……!)








学校、教室……




蒼太「……じゃあ、今回の授業はここまで……」



ガラッ……

さやか「……おはようございます。」



蒼太「……さやかちゃん!?」



さやか「……遅刻してきて、すいません……。職員室には挨拶に行ってきたから……」

蒼太「……そう。……良かった……。」

さやか「……。」





休み時間……



「……もう怪我の方は大丈夫なのか?」

恭介「うん……まだ足がギクシャクしてるけど、来週までには歩けるくらいにはなりたいな……」



まどか「……さやかちゃんも声かけないの……?」

さやか「……」







仁美「さやかさん、話があります。」

さやか「……え?」

























……


仁美「……丸一日だけお待ちします。……その間にどうすれば後悔しないか決断してください。」

さやか「う……」

放課後……




さくら「……さやかさんの様子は、如何でしょうか……」

まどか「一応学校には来ましたけど……まだ、自分の体の事でのショックは引きずってるみたいです……。」

さくら「……。何とかして、私達で元気づけてあげられない物でしょうか……。」

まどか「そうですね……。私達がやらなきゃ……!」


さくら「しかし、まどかさん自身は平気なのですか……?」

さくら「貴方だって状況は同じなハズ……。もし辛いなら、今は自分の事で精一杯になっても構わないですよ……?」

まどか「……。でも私はキュゥべえに願ってなきゃ、タツヤが死んじゃったかもしれないんだ」

まどか「だから……その代償なら、割り切れるかな……あそこでタツヤを失うよりはマシだったから……」

まどか「マミさんも事故で死んじゃうよりマシだからって少しは割り切れてるみたいです。」

さくら「……無理はしないでくださいね。」

まどか「解ってます……。」


さくら(どうして、まどかさんは誰かの為であるなら……自分の身の事を気にかけないのでしょうか……。)


さくら「……本日は魔女退治はするのですか……?」

まどか「はい……。」

QB「そうだね。……君みたいに事実に落ち込まないでやるべき事をやる事ができる魔法少女は中々いないよ。」


まどか「キュゥべえ……!」

QB「……ん?さっき、奇跡の代償として仕方ないって事、自分で言ってたじゃないか」

さくら「……キュゥべえと話しても何の解決にもならないでしょう……。」

さくら「まどかさん、私は少し仕事が残っています……。すぐ終わるので、先に学校の外で待っててください。」

まどか「はい……。」



QB「じゃあ僕も……あれ?何でしっぽを踏みつけているんだい?」

さくら「……話を聞かせて貰います。」

QB「あぁ、構わないよ。」

ここまで
時々キングクリムゾン発動してるけどそのへんは本編と同じような会話されてるって事でお願いします

そして、さくらはキュゥべえに明石から頼まれていた伝言をぶつけた。





QB「その通りさ。魔法少女のソウルジェムが穢れ切った時、魔法少女は魔女になる。」

QB「しかし人間が、君達だけの知識で魔女に達するなんて珍しいね」

さくら「っ……!!白饅頭野郎……!」

さくら「どうしてそんな事を……ッ!」

QB「……彼女たちの奇跡の為の契約さ。通常じゃ起こりえない奇跡を起こした。」

QB「その結果としては……妥当だと思うのだけれど。」

QB「これに関しては双方の価値観の違いも現れるけどね。だけれど、聞かれれば答えたんだ。僕らは嘘をつかない。」

QB「知ろうともせず軽率な行動をとった責任はあるんじゃないかな……?」

さくら「彼女たちは……そんな……考える余裕なんて無いほど追い込まれていた!」

さくら「それをお前は……!」

QB「じゃあ余裕の無い状況に追い込まれて、そこから先に行けただけで本望じゃないのかい?」

さくら「何故あの時、デメリットは無いなどと嘘を……!」

QB「嘘じゃあないよ。君達の得になる取引なのだからね。」

QB「まぁ魔女と戦うのがデメリットというのは確かだ。魔女になる前に死んでしまっては何の意味も無い」

QB「……正直これ以上話しても双方の価値観の違いが致命的すぎてどうにもならないと予測するから僕は失礼するよ」


さくら(これ以上話しても奴らには……!クッ……)

QB「あ、そうだ。一応、念のため警告しておきたい事がある。」

QB「……この街を担当していた個体が一つ、行方不明だ。」

QB「……僕たちは複数で一つの意識を共有してるから普通はありえない。」

QB「だが、その個体は……アシュの細胞を試験的に取り込んだ個体だ。それが行方不明となると……」

QB「君達は用心しておいた方が良いんじゃないかな。」

さくら「クエスターの細胞を……!アレはそんな簡単に扱って良い物ではありません!」

QB「僕としては合理的な方法を模索していただけさ。ただ、それが失敗に終わってしまった。」

QB「これからどうなるか、皆目見当もつかないけどね」



さくら(ッ……彼女達を利用した挙句……!クエスターの細胞まで……!)

さくら(許す訳には行きません……!こんな卑劣な奴らを……!)






マンション……




ピンポーン……

マミ『はい……誰でしょうか……』


菜月「菜月だよ!会いに来たよ!」

マミ『菜月さん……。 入って……どうぞ』






菜月「……久しぶり!元気だった……?」

マミ「……。」

菜月「……ごめんね。そんな訳無いよね……。」

マミ「私の事は良いんです……それよりも……」

マミ「私がしたヘマのせいで美樹さんにあんな残酷な事を知らせてしまった自分が許せないんです……。」

マミ「私は美樹さんの先輩なのに……。私が美樹さんを安心させなきゃいけないのに……。」







菜月「……うん」

菜月「そうだ!!今度二人で遊びに行こう!気分もサッパリしてリフレッシュしたら、少しはいい風吹くかもしれないよ!」


マミ「でも、私が魔女を倒さないと……」

菜月「それはさくらさんやまどかちゃんに任せてさ。一日くらい任せても大丈夫だよ!」

菜月「真墨やほむらちゃんもいるんだし!さやかちゃんは蒼太さんやえいちゃんに任せて!」



マミ「なら……」

菜月「よしじゃあ決定!……明日とか大丈夫かな?菜月の休暇が明日なんだけど……」

マミ「大丈夫です……」

菜月「じゃあ明日!迎えに来るから!」



マミ(……菜月さんは私の為に来てくれる……。)

マミ(ちょっとだけ……救われるかな……。)




















夜、街中、魔女探索中のさやか、蒼太……

さやか「……こっちの方です……。」

蒼太「あ……うん……。」

蒼太「マミちゃんとは一緒に魔女退治は……しないの……?」

さやか「……あたしのせいであんな事になったのに……会いに行けないですよ……」



蒼太「だけどさやかちゃん、大丈夫なの……?ちょっと休んで心落ち着けても……。」

さやか「いいんです……あたしがしなきゃいけないんです……。」

さやか「先生だけじゃ、魔女を探す事もまともに戦う事できませんよね……。」


蒼太「……折角上条君も学校に来れるようになったのに……」

さやか「こんな体で……もう恭介に抱きしめてなんて言えない……ゾンビなんだから……」

蒼太「そんな事無いよ!なんでゾンビだったらそんな苦しんでるのさ……」

蒼太「それは生きている証拠じゃないの……?」

さやか「……。」

蒼太「さやかちゃん……君の本当の気持ちを忘れないで……。」

蒼太「上条君の事……好き……なんでしょ……?ずっとお見舞いして、大事に思ってたんだよね……?」

蒼太「それは魔法少女の使命とは関係無いから……。君の確かにある心の声なんだから」

蒼太「苦しかったらみんなに頼ったって」

さやか(良いなぁ……先生は……)

さやか(人間を捨てなくたって戦えて……仲間も居て……)

さやか(……どうして先生を恨んでいるんだろう……嫌な子だ……)



さやか「……こっちから……魔女の反応が……!」






魔女の結界、工場……


蒼太「……!もう人々が魔女におびき寄せられてる!」





「俺ぁもうダメなんだ……こんな工場満足に切り盛り出来ないんだ……車一つ満足に修理できないなんて……」

「もう疲れた~やめたくなりますよ部活~」

「ぶつけたのは俺なのにどうして先輩を売っちまったんだ……俺は人間の屑だ……」

「大切な植木鉢……種から大切に育ててたんだよなぁ……高かったんだよなぁ……」




集められた人々は絶望し、恨み言を呟いていた。



蒼太「この周辺に危ない物は無い……早く魔女を倒せば!」

さやか「結界の扉を開きます!」

蒼太「うん、ありがとう!……スタートアップ!」



二人は変身、結界内に侵入した。

結界内、vsキルスティン



ブルー「……誰か一人捕らわれている……!」

アクセルラーのレーダーが結界内に囚われた生命反応を一つ発見した。

ブルー「……あそこだ!僕じゃ近づけ無い……!」


さやか「仁……美……?」

ブルー「仁美ちゃん!?」


ブルー「……使い魔は僕が打ち落とす!さやかちゃんは仁美ちゃんを救助して!」


さやか(……)


さやかは仁美の元へ走って行く。



仁美「……きっと私は、ここにいる天使さんに、素晴らしい世界に連れて行ってもらえるんですわ……」

仁美「生きている体なんて邪魔なだけ……」

仁美「……さやかさん?さやかさんもこの神聖な儀式に……」


さやか(……。もしここで仁美を助けなかったら……恭介はあたしを選んでくれるのかな……)

さやか(恭介が振り向いてくれないのって仁美のせい……?仁美と恭介が結ばれなかったらあたしに気づいてくれる……)

さやか(こんな、死んだような体でも……)







ダニエル「ゲヒッ……」

ブルー「さやかちゃん!使い魔が!早く退避して!」

ブルー「サバイバスター!」


バシュゥッ!

ダニエル「オブェッ!?」


ドォォオオンッ!


さやか「ハッ……!?」

さやか「そ、そうだ、仁美を連れて行かないと!」




さやかは仁美を連れ、ボウケンブルーの元へ跳ぶ。




ブルー「さやかちゃん、大丈夫!?どうしたの……?」

さやか「……」

さやか(仁美を助けなければいいって……なんであんな事思っちゃったんだろう……)


ブルー「仁美ちゃんは僕に任せて。いつも通り後方から援護するから。」

さやか「……はい。」




「ゲヒヒヒヒヒヒヒヒヒイヒヒ!」




ブルー「ハァッ!」

バシュゥッ!バシュゥッ!バシュゥッ!



「ギィィィィハァァアアアッ!?」


ドォンッ!


さやか「はぁあああああっ!」


ダニエル・ジェニファーが打倒された間を縫って、キルスティンへ走る。




ブルー(あと少し……!)

ブルー(だけどこの結界……何だ……?奇妙な……壁一面にテレビが……)




キルスティン「キ……ヒヒヒ……」


キルスティンは不敵に笑った。
そして、次の瞬間……結界に埋め尽くされたテレビから映像が映し出された。

さやか(何……これ……?戦争……?)





……………………………………





『じゃあ……次はどうします?鳥羽さん。』

『僕たちの情報操作であの政府が内部崩壊したみたいですよ……。』

『やっぱりね。あの国の政府は隠し事が多すぎた。ちょっと流出させるだけで簡単に崩れるんだ』








………………………………………

ブルー(この記憶は……僕の……!)




………………………………………






『はぁあ。これだ、このスリルがあるからスパイはやめられない。』

『このドキドキ……これでこそ僕の……!』






…………………………………………





さやか(え……?蒼太……さん……?)

さやか(蒼太さんがこの……戦争を……?)

さやか「嘘……でしょ……?」






ブルー(まずい……使い魔が……!)

ブルー「……さやかちゃあああん!!」











工場外………


映士「ったくよぉ、何で俺様だけ一人なんだ……」

映士「俺様と一緒に戦わねぇなんて損だぜ、損!」


高丘映士は一人、サガスナイパーの探知機能を使用し魔女の気配を探っていた。


映士(サガスナイパーじゃ効率悪いけどこれしかねぇもんなぁ……。)



『ヒット!』


映士「!?魔女か!……方向は……あの工場!」











vsキルスティン……

蒼太「……さやかちゃん、しっかりして!」



その後、サバイバスターでは使い魔を倒しきれなくなったボウケンブルーが変身を解き、さやかの元へ駆けつけた。
生身の体でレーダーを頼りにサバイブレードを手にし、使い魔達に応戦する!





蒼太「……ハァッ!……」


ダニエル「グァガッ……」


蒼太「……まずは逃げないと……魔女から離れて……!」






ダニエル「ゲヒィィィ!」

ジェニファー「グググググ……フ」




使い魔が蒼太とさやかを取り囲む。





蒼太「まずい……!逃げられない……!」



「ゲヒャアアアアッ!!!」









「サガスナイパー!」



バシュゥッ!バシュゥッ!バシュゥッ!



「ヒギイイイイイッ!?」




ダニエル・ジェニファーは砕け散る。






蒼太「……シルバー!」



シルバー「さぁて、間一髪って所だな。どうやら俺様は格好良いタイミングで現れる宿命にあるようだぜ」


蒼太「シルバー頼む!……スコープショット!」

シルバー「おうよ!」




蒼太のスコープショットから放たれたワイヤーをサガスナイパーで絡め取り、二人を引き寄せる。



蒼太「助かったよ!」

さやか「……。」


シルバー「結界の扉は開きっぱなしにしてある!その子達連れて逃げろ!」

蒼太(仁美ちゃん連れて脱出……!)




シルバー「確か結界の中じゃ攻撃は通じないんだっけな……。じゃあ引きずり出してやる!」


『発進シフト・ON!クレーン!GOッ!GOッ!』








工場外……




仁美「……ん……私、こんな所で……」

蒼太「こんな所で寝てたら、風邪ひくよ。もう夜も遅いんだし」

仁美「あっ……は、はしたない!先生!?……ご迷惑おかけしました!」










蒼太「……さやかちゃん、……立てる……?」

蒼太「……シルバー……いや、映士が助けに来てくれて」

さやか「……嘘……ですよね……」

さやか「先生が……先生が自分の楽しみのために戦争を起こしたとか……あれ全部ウソですよね……」

蒼太「……」

さやか「どうして答えないんですか……答えないって……」


QB「残念ながら本当だよ、さやか。」

QB「彼はサージェス入団以前、幾多の国や企業を崩壊させたスパイだったのさ」

QB「……それが原因でクーデターを引き起こした事もある。」

QB「その彼がどういう経緯で今サージェスにいるのかはわからないけれど、彼の情報操作の腕は……世界でもトップクラスだろうね」






vsキルスティン……

シルバー「ゴーゴークレーン!ワイヤーフック発射だ!」


ゴゥッ!シュゥゥゥゥ……


ゴーゴークレーンから放たれたワイヤーフックが結界目掛けて発射された。


キルスティン「キヒッ……」


しかしゴーゴークレーンのワイヤーフックはキルスティンの身体をすり抜ける。


シルバー「やっぱりな。だがそんくらい予想済みだ!」

シルバー「……床ごと引っこ抜いてやるぜ!」



ワイヤーフックが結界の床ごとキルスティンを結界の外まで押し出した!

ゴォッバンッ!ズズズズズズ……


キルスティン「ヒヒ!?」



工場内……



キルスティン「ギ!?ヒィィィ!?」

シルバー「へっ!結界の外は初めてで慌ててんのか?」

シルバー「ハッ!」

バシュゥッ!バシュゥッ!

キルスティン「ガァッ!」


シルバー「結界の外に追い出しちまえばサガスナイパーの攻撃も全部通じる!」


シルバー「おっと、逃がさねぇぜ……サガスナイパー!スナイパーモード!」


シルバー「……サガストライクッ!!!」





バシュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!



キルスティン「ギハァアアアアアアアアアア!!!!」



ドオオオオオオオオンッッッ……





シュゥゥゥ……



シルバー「結界も消えたな……グリーフシードも回収……」











さやか「どう……して……」

さやか「どうして、そんな事……」




蒼太「……。」


さやか「……最低ッ……」

さやか「どうしてそんな悪人が今更正義の味方ヅラ出来んのよ……!」

さやか「あんたの言った信頼できる仲間って……宝って……」

さやか「じゃああんたのせいで仲間も居場所も大切な人も失った人はどうなるっていうのよ……」


蒼太「確かにさやかちゃんの言うとおりのことを僕はしてきた……それは事実なんだ……」

蒼太「でも、誰かの笑顔を守りたいって……」




さやか「それで罪滅ぼしのつもり……?」



さやか「希望を潰された人はどうでもいいって言うの……?」


さやか「何で……何であんたなんか信じたのかな……自分のために誰かを傷つけてきた奴なんか……」

さやか「……もう嫌だ……何を信じていいかわかんないよ……もう……もう……」

さやか「あんただけは正義の味方だって……仲間だって信じてきたのに……」


さやか「もう……あんたとは戦えない……」








蒼太「……待って……さやかちゃ……」


蒼太は、走り去るさやかの背を追いかける事は出来なかった。
その場に膝をついてうなだれた。










蒼太「……」

蒼太「もう、誰かに涙を流させない……過去の涙を背負って行くって決めたのに……」

蒼太「何で……また……」

蒼太「僕のせいで……また誰かに涙を流させる事になるなんて……」









映士「…蒼太、こっちの方は片付いたぞ」




映士「おい……蒼太どうした、……さやかの奴が走って行きやがったけど」











映士「……!?おい、どうしたってんだよ!さやかのヤツは何処行った!?」


その時、アクセルラーにコールが響いた。





映士「……何だ。」


ボイス『ちょっとちょっと、帰り遅いんじゃないの。ボイス、皆で向かって良いとは言ったけどちゃんと夜には帰れって言ったよね?』



映士「……あぁ。すぐ戻る。」


















さやか(……あんな奴だったなんて思わなかった……)

さやか(でもあたしもあの時……仁美を助けなければ良かったって思った……どうして……)

さやか(これじゃ正義の味方失格だ……最低だ……あいつと同じだ……)

さやか(ゾンビで、考える事も最低で……あたしもう救いよう無いよ……)

さやか(あたしの本当の気持ちって……誰かを恨む事なのかな……)


さやか(嫌だ……あたしだけは……あたしだけは正義の味方で居たいのに……)

ここまで
放送当時空気空気言われてた蒼太が一番出番多い気がする

書き溜めに時間割きすぎてこっちの投下が疎かになってしまった
明日には投下出来ます。
今最終決戦書いてるところなので無事に完結は出来るかと


………

QB「最上蒼太……君の記憶を読み取らせて貰ったよ。」

QB「さて。アシュの呪術は使えるようだ……もっとも、対象の半径一m程度まで近づかないと使えないけれどね」

QB「次は……君の記憶を見せてもらうよ……『大神官ガジャ』」

QB「以前は海水を元にしたエネルギーで海を支配していたが……冒険者の力によって封印された。」

QB「しかし再び甦った時に生み出したゴードムエンジン。そのテクノロジーを知りたいのさ。」




アシュ・リュウオーンの細胞を取り込んだインキュベーターが今立っている場所は、
ゴードム文明・大神官ガジャが眠る柩の前……ゴードム神殿であった。




QB「……大神官ガジャ。少しだけ目覚めてくれ。」


ギゴゴゴ……


柩の蓋をずらし、石像となって眠っている大神官ガジャの体に少しだけエネルギーを与えた。






ガジャ「ムッ……ハッ……何故……目覚メテオルノダ……?」

QB「やぁ。大神官ガジャ。」

ガジャ「貴様ハ……ソウカ……」

ガジャ「ヤットワタシノオ願イヲ叶エニキタノカ……いんきゅべーたヨ……」



ガジャ「いんきゅべーたサン……ワタシノオネガイハ……」


QB「何度も言ってるだろう。いい加減わかってよ。僕は第二次成長期の女性としか出来ないって」


ガジャ「ソウカ……!ナラ用ハ無イワ……!」


ギゴゴゴゴ……



QB「……また眠りに着いたか。まぁいいよ、さっきの一瞬でゴードムエンジンの記憶は読み取ったからね。」

QB「僕は帰るよ。ん……?何だい、これは」

QB「小石かい……?にしては生命反応があるけれど……」






サージェス本部……

明石「そう……か。」

菜月「ウソ……なんで……なんで……」

映士「魔女が……魔法少女のなれはて……って事かよ……」


さくら「キュゥべえ本人が、言っていました。……予想以上にあっさりと。」

菜月「なんで……?なんでキュゥちゃんそんな酷い事するの……?」

さくら「……彼らには感情が存在しないようです。」

さくら「何を聞いても、奇跡の対価だとしか思っていない。……我々との価値観の差が決定的です。」

真墨「でも魔女にしたって何の得があるってんだよ!」

さくら「何か目的があるのは間違い無いようです……」

菜月「目的があるからって女の子達が犠牲になるんだよ!」

映士「何の目的があるんだよ!」

さくら「そうです、もちろん許せません……!女の敵……!」



明石「……確かソウルジェムは絶望すると穢れると言っていたな……。」

さくら「はい……。」

菜月「何で暁さんはそんな冷静にいられるの……?」

明石「……どうしようもない現状を嘆いても仕方ない。俺たちがすべき事は彼女達のグリーフシードの供給を途絶えさせない事……」

明石「彼女達が絶望しないようにサポートする事だ。」


明石(人間は……絶望から這い上がる力を持っている……誰もが夢を見る権利がある……)

明石(誰かの私利私欲の為に命を奪われる事は決して許されない……。)

明石(俺はもう……誰も失うものかと決めた。諦める訳にはいかない。)



明石は静かに拳を握り締める。


真墨(明石……冷静を装ってはいるけど……相当頭に来てんな……)






蒼太「……確かに、そうですね……。」

菜月「……どうしたの、蒼太さん。昨日から随分元気無いけど……」

映士「昨日さやかと何モメてたんだよ」


蒼太「いや……ちょっとね……。昔のことさ……。」

蒼太「僕がスパイ時代のことでさ……」

蒼太「もう後ろは振り返らないって決めてたのに、まさか今になって昔僕がやった事で誰かを傷つけるなんて思いもしなかった……っていうか。」




真墨「……まぁ良いんじゃねぇの。そうやって苦しんだ者同士の方が案外くっついた時しっかりするかもしれないんだぜ」

蒼太「うん……。」








蒼太「ごめん、そろそろ学校行ってくるよ……」

さくら「蒼太くん、今日は休日です……。」

蒼太「あ……そうだったね……。」

蒼太(……僕はどうやってさやかちゃんに会えば良いんだろう……。)

蒼太(さやかちゃんは今自分の使命……正義に囚われてる……。でも、僕の言う事を信用してくれる状況じゃない……。)




映士「あぁ、さくら姉さん、わりぃ、これさやかに届けてくんねぇかな」

さくら「……構いませんが」

映士「多分あいつグリーフシード持ってないと思うんだよ……まどかちゃん経由なら渡せんじゃないかと思って」





牧野の部屋……

牧野「……?ゴードム神殿から不思議な反応?」

ボイス『そーなんだよね。ほんのちょっぴりなんだけれど。』

ボイス『もしかしたら、調査の必要あるかもしれないね。』

ボイス『……まぁ、もう少しだけ考えてみるよ。』

……


杏子「……お前、また使い魔退治なんてやってんのか……昼間からご苦労な事だねぇ……。」

さやか「……あんたか……杏子……。」

杏子「何でそんな事するのか……」

さやか「決めたんだ……あたしだけは誰かの為にだけこの力を使う……自分の為に戦ったりしないって……」

杏子「……それならマミとでも組めばいいだろ……何も一人でやる事なんか……」

さやか「一人でやるんだ……一人で魔女も倒せないならあたしに存在価値なんて無いじゃん……。」

さやか(またマミさんにあたしのとばっちり食わせる訳にはいかないよ……)

さやか(こんな誰かを恨むようなあたしがマミさんと一緒になったら……マミさんまで恨みかねない……そんなの嫌だ……)

さやか(あたしは守られてばっかりで、その上、マミさんに迷惑かけて……そんなの……)



杏子「……お前みたいなヒヨッ子が一人で街を守れるかよ……」

杏子「……あたしが仕込んでやるから、あたしに……」

さやか「言ったよね……一人でやるって……あんたの助けなんかいらない……」

さやか「自分の為にだけ戦ってるんでしょ……?自分の為だけに……」

さやか「そんな事言う奴の言う事信じられると思う……?」

杏子「自分の為に戦うって、あたしはこれも自分の為で……」

さやか「……あんたの自己満足……?」

さやか「もしこれで誰かを傷つけたりしたらあんたは自業自得で済ますんだろうね……」

さやか「……誰かを傷つけて開き直るなんてあたしには無理だわ……だからあんたはあんたでやりなよ」

杏子「おい……お前……!」

杏子「あのバカ……意地はりやがって……」


見滝原……


菜月「マミちゃん達が魔女に……でも、そんな事させないんだから……!」

菜月「菜月達が頑張って、グリーフシードを集めて……。」

菜月「でもそのグリーフシードって元々……」



菜月「ああもう、菜月まで暗くなっちゃダメだダメだ!」

菜月「……今日だけはマミちゃんと遊ぶんだ……。だから、それ以外は考えない……!」


アクセルラーに通信が入る。


菜月「ん……?」


ボイス『もしもしイエローちゃん?急な命令だけど、ゴードム神殿まで向かって欲しいんだ』

ボイス『座標データはそっちに転送するからみんなとは現地集合でよろしくね』

菜月「……え?ちょっと待ってボイス、私は今からマミちゃんと……」

ボイス『サージェスの任務と、遊びどっちが大切か考えて欲しいなーってボイスは思うんだ』

菜月「……」

ボイス『さぁ、早く早く!』






……路地裏。





さやか「また、一匹使い魔を倒した……。」

さやか「戦ってる時だけは……誰かを恨んだりした事を忘れられる……。」

さやか「はは……やっぱ石ころゾンビなのかな……ならいっそ、このまま戦い続けた方があたしも楽かもしれない……」

さやか「こうやって……用済みになって死んで行く方が……ゾンビなんだもん、それが当然……」

さやか「こうやり続けてれば誰かを恨むことも無いんだよね……」




まどか「……さやかちゃん!」

さやか「まど……か……?どうしてあたしの……」

まどか「そんなに魔法使ってたら、簡単に探せるよ……」

まどか「さやかちゃん、なんで……そんなに疲れてるの……?」

さやか「そんなのあたしが弱いからに決まってんじゃん……。弱いから、こんだけしなきゃまともに戦えないのよ……」

まどか「そうじゃないよ……さやかちゃん、どう考えてもおかしいよ……そんなの……」

まどか「私にはただ……怒って、暴れてるようにしか見えないの……」

まどか「ねぇさやかちゃん……悩みがあるなら私にも言ってよ……友達でしょ……?」

まどか「私だってさやかちゃんの力になりたい……だから……」


さやか「何で……何であんたはそんなに優しいのよ……」

さやか「どうしてそんなにあたしの為にしてくれるの……」

さやか「そんな事言われたら仁美を恨んだ自分が惨めになっちゃうじゃん……」

まどか「さやかちゃん……そんな風に考え……あっ!待って!」







さやか(杏子と話せば誰かの為に戦うって自分に躍起になって……)

さやか(でもまどかと話せば……何の見返りも求めないまどかと比べて仁美を恨まなきゃ何も出来ない自分が浮き彫りになって……)

さやか(何でなんだろう……こんな中途半端なんだろう……もう嫌だよ……)






マミの家……


マミ(結局昨日は何も出来なかったな……。)

マミ(でも今日は……菜月さんと……)

マミ(……菜月さんだけは私を私として接してくれる……。)

マミ(先輩でもなく、私として……。)



トゥルルルルル……

マミ(電話……?)



マミ「はい、巴です……。」


菜月『マミちゃん……ごめん……。』

マミ「え……?」

菜月『今日、私……急用が入っちゃって……今日一緒に遊べなくなっちゃった……』

マミ「……」

菜月『ごめんね……本当にごめん……菜月が悪いんだだから……』

菜月『また今度……』

マミ「はい……心配しないでください……平気ですよ……」

菜月『うん……じゃあまたね……』




ガチャッ


マミ(そうだよね……。)

マミ(菜月さんには菜月さんの使命があるんだ……。)

マミ(私の為だけにいてくれる訳じゃない……。)




海岸……

明石「……集まったか。みんな。」

真墨「で……?この海のどっかにゴードム神殿が眠ってるって……?」

真墨「またガジャが復活しようとしてるって訳じゃないんだろ?」

蒼太「うん……。僅かに生命反応が感知されただけだけど、相手はガジャだから……」

明石「あれ以来、この周辺の警戒は厳重に行っていたんだ。」

さくら「クエスターの細胞を取り込んだキュゥべえとの関連性も否定できません。」

菜月「……」

映士「何だ菜月……確かお前マミちゃんって子と約束か何かしてたんじゃなかったか」

さくら「しかしサージェスに所属している以上、ミッションが最優先です……。」

さくら「残念ですが……従わないと……」

明石「……まぁいい、とにかく突入するぞ。」

明石「真墨、指示を仰げ。」

明石「……もしかすると相手の狙いは俺たちをこっちに引きつけてその間に見滝原を攻撃するかもしれん。」

真墨「……そうだな。じゃあ……」

真墨「蒼太、さくら姉さんはここに残ってくれ。明石と映士は俺と神殿に突入する。」

真墨「菜月は見滝原に戻れ。相手はそっちを狙ってくるかもしれない。」

菜月「……!本当!わかった!ありがとう真墨!」

真墨「あくまでミッション中だからな、何かあったら連絡しろよ!」


マミの家……

菜月「……いる?マミちゃん……!」

マミ「菜月さん……?任務があるって……」

菜月「さっきはごめんね。……でももう今日は大丈夫だから!」

マミ「……すいません……わざわざ私なんかの為に……。」

菜月「気にすること無いよ!さ、急ご急ご!」


マミ(また私のせいで菜月さんに迷惑かけさせちゃったな……)

マミ(本当は任務につかなきゃいけないのに……)








ゴードム神殿内……

レッド「……変わった所は何も無い、か……」

ブラック「思い過ごしだったんじゃねーの……?ガジャだってこうやって石のまんま眠ってるんだし」

シルバー「なぁ……このままガジャを破壊する事って出来ないのか……?」

レッド「それは無理だ……。奴の体はゴードムの心臓・脳髄と同じで破壊する事は出来ない。」

レッド「だからこうして封印しておくのが俺たちのできる事だ」


ブラック「そうだったな、そういえば……あれ」

レッド「この小石……ハザードレベル・15。」

シルバー「カースか……?」

レッド「……。小石の上を何者かが歩き回り、いくつか採取して持ち帰った形跡がある……。」

レッド「足跡から見るに……これは……猫程度の大きさの四足歩行生物……。」

シルバー「それってあのキュゥべえじゃねぇのか……!?」

ブラック「そう考えるのが普通だよな……」

レッド「奴ら……カースも利用するか……。クエスターの細胞も得たと言っていたな」

レッド「何か企んでいるのは間違い無い。……ゴードムの神殿にやってきたのもまさかこれだけを採取するのが目的ではあるまい」

ブラック「柩の淵にも足跡があるぞ……それにこの砂の後見ろ。」

シルバー「この手形……!キュゥべえの耳とそっくりじゃねぇか!」

レッド「そういえば……クエスターは呪術によって相手の記憶を読み取る事が出来たな」

シルバー「あぁ……レイの野郎が得意な呪術だ」

レッド「……ガジャの記憶から何かを読み取った。サージェスが感知したのは記憶を読み取る為に一度だけ蘇生させられたガジャ……。」

シルバー「なるほどな……」


海岸……



蒼太「何か異変は……?」

明石「いや、得にガジャ自身は依然封印されたままだ。封印が解かれる気配も感じられなかった。」

さくら「……杞憂で終わりそうで何よりです」

明石「安心するのはまだ早い……むしろ余計に厄介な事になるかもしれない」

明石「……クエスターの細胞を得たキュゥべえが訪れた痕跡がある。」








ここまで
今更だけど>>109
>レッド・ブラック・ブルーの3人が魔女へ向けてサバイバスターを放つ。
じゃなくて
>レッド・ブラック・ピンクの3人が魔女へ向けてサバイバスターを放つ。
でした

……




蒼太「……映士、一つ頼みたい事があるんだ」

映士「どうした……?構わねぇけど」

映士「お前の頼みごと……ってさやかの事か……?」

蒼太「うん……。人間じゃなくても誰かが好きっていう気持ちがあるって知ってるの、多分映士が一番だと思うから……」


……夜


ビル、屋上……。

杏子「魔女か……。いまいち乗り気にならねぇな」


杏子「……!?誰か戦ってる……!さやか……!?」

杏子「おい、ちょっと待てよ!何だこの反応!こんなに魔力ダダ漏れってただ事じゃねぇぞ……!?」

杏子「どこまでアイツは……!」



結界内、vsエルザマリア……






さやか「はは……ははは……なんかもう訳わかんなくなっちゃった……」

さやか「もう自分がわからない……誰と比べても惨めな自分しかいないって……」

さやか「忘れたい……自分から逃げたい……」


エルザマリア「クアアアアアアッ!」

バシュゥッ!バシュゥッ!バシュゥ!


ザクッ!ザクッ!ザクッ!

エルザマリア「……ガッ!?」


ガキィィィィンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!


エルザマリアは触手をさやかへ突き刺す。
しかしさやかは自らの体への痛みを遮断し、走り詰め寄る!


さやか「ははは……痛みなんて簡単に消しちゃえるんだ……こうすれば頭の感覚も鈍って何も考えなくて済む……」



杏子(あの野郎!何て無茶な戦い方だ!あんなんで持つ訳ねぇだろ!)




エルザマリア「クアアアアオオオオオッ!」


ゴゴゴゴゴゴ……ズシャアアアアッ!

自らの身体そのものを巨大な触手に変えさやか目掛け突進する!




杏子「ハアアッ!」

さやか「……ッ!?」


ザンッ……

杏子「うっ……!」

カランッ……

ヒュッ……

杏子「ちっとばかしかすめちまったか……この程度の傷……大した事ねぇ……槍落としちまったけどよ……」

杏子「それよりさやか……危ねぇの……!あのまま突っ込んでたらお前バラバラだったぞ!」

さやか「邪魔しないでよ……」

杏子「変な意地張るのいい加減にしろよ!死んじまうぞ!」

さやか「もう死んでるんだよ……ここで死んだら用済みって事じゃん」

さやか「正義の為にしか戦わないって……もうそれしか無いんだよ……意味がさ……」

さやか「才能がないからさ……こうでもしないと魔女を殺せないのよ……」



エルザマリア「クアアアアアアッ!」

バシュゥゥゥゥゥゥウウウッ!


杏子(やべぇ!魔女の攻撃が!)

杏子「とにかく逃げるんだよ!……おい何してんだよ、まさか向かうつもりじゃ……」

さやか「ここで逃げろって……?あたしの存在価値から逃げろって……!」

杏子「クソッ……間に合わねぇ……終わりかよ……ここで……!」









シルバー「スナイパーガトリングッ!」




ダダダダダダダダダダッ!


ドォンッ!


シルバー「……危機一髪!大丈夫か!」

さやか「あんたあの時の……」

杏子「誰だ……確か銀色のヤツ!」


シルバー「何でだ……何でさやかの奴そんな傷だらけでボロボロなんだよ……!」


杏子「あたしはさやかを連れて結界から出る!魔女は何とかしてくれ!」

シルバー「おう!任せておけ!」







エルザマリア「クァァアアアオッ!」

バシュゥゥウウウッ!

シルバー「サガスピア!……サガスラッシュ!」


ザシュゥゥッ!


エルザマリア「クアアアア!」


エルザマリアは触手を盾とし、サガスラッシュを防ぐ



シルバー「効かねぇ……!だけど必殺技しか通用しねぇんだろ……!」

シルバー「どうする……!?デュアルクラッシャーでもあの触手のバリアは壊せねぇぜ!」



ザシュゥッ!

シルバー「がぁッ!?」

地底から現れた触手がボウケンシルバーを撃つ!

シルバー「クソッ……近づけねぇ上に向こうからは一方的に攻撃できるなんて卑怯にも程があるぜ……!」


シルバー「ハァ……ハァ……あれは……!杏子の槍……!」


シルバー「魔法で作ったあの槍なら……!魔女にも効くハズだ……!スコープショット!」


スコープショットから放つワイヤーで槍を引き寄せる。



シルバー「チャンスは一度だけ……無駄には出来ねぇ……!」



エルザマリア「コォォォォォ……」



シルバー「スナイパーモード!サガストライクッ!」



ドォォオオオッ!……


エルザマリア「ケケケ……」

シルバー「おらあああああッ!!」


エルザマリアは再び触手を盾にサガストライクを防ぐ。
しかし一瞬だけ触手の壁に空いた穴……そこへ目掛け槍を投げ込んだ!



ザシュウウウッ!


エルザマリア「クアアアッ!?」


シルバー「今だ!アクセルテクター!デュアルクラッシャー・ドリルヘッド!」

シルバー「……GOッ!」


ドォオオオンッ!


ドリルビームが杏子の槍を伝い、エルザマリアの体内へ破壊エネルギーを送り込む!



エルザマリア「ガ……ア……」

ビシッ……ビシビシッ……


シルバー「奴の体に亀裂……!いや、待て……!」


エルザマリア「ク……アアアアアア!!!」

ビシッ……シュゥゥゥ……

シルバー「傷が塞がって行く……!再生してんのか!?冗談じゃないぜ!」

シルバー「……ミキサーヘッド!……GOッ!!」




ドォッバアアアア!



エルザマリア「ヒギッ……」

ビシビシビシ……


エルザマリアの身体をハイパーコンクリートが包み込む。
槍から放たれたエネルギーが内部で乱反射しエルザマリアの体を破壊して行く!




……ドオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッ!!!!








シュウウウウ……




シルバー「ハァ……ハァ……やったぜ。」

シルバー「杏子の槍が無きゃどうなってたか……」

シルバー「結界が消えて行く……。グリーフシード……」



シルバー「……この魔女も最初はただの女の子だったのかな……だとしたら……すまねぇ……。」

シルバー「けどよ……俺様たちはみんなの平和を守らなくちゃならねぇんだ……許してくれ……な。」


………

ベンチ……

杏子「……ちったぁ落ち着いたかよ……立てるくらいには回復したか……?」

さやか「……どういう風の吹き回し……?」

さやか「他人の為に戦ったりしないんじゃなかったの?……グリーフシードが目当てなんでしょ……?」

杏子「お前……もういい加減にしろよ……!」

さやか「何……?あたしに借り作って、あたしからもグリーフシード巻き上げようって……?ならいいよ、その通りにしてあげるから」

さやか「……じゃあね」ダッ



杏子「さやか……!」

杏子(何でだよ……アイツを助けたい……アイツを助ける事があたしの……望みだったハズなのに……)

杏子(あたしのせいで余計アイツを正義に縛り付けちまった……)

杏子(また……何でかな……あたしっていつもこうやって……誰かを助けたいって思っても結局……余計に人を不幸にして……)




……………………



さやか「バカだよ……何でなんだろう……誰に対しても恨みや妬みしか出てこない……」




映士「……」

さやか「映士さん……。」

映士「何だよ……あの戦い方……!死ぬつもりか……!」

さやか「そうかもね……。この程度で死ぬんだったらあたしなんて必要無いんだよ……こんな石ころゾンビなんて……」




映士「いつまでそうやって逃げてるつもりだよ……!」

さやか「逃げてるって何……?あんたあたしの事なんて知らないよね……?知った風な口を聞いて……」

映士「知ってるよ……。全部蒼太から聞いた……。」

さやか「蒼太……?あの自分の為に誰かを傷つけて正義の味方面してるヤツがどうしたって……」

映士「あいつは、今まで色んなもん失わせて、ずっと過去の過ちを背負うって……。でもさやか、お前はまだ何も失ってない……まだ間に合う!」

さやか「失うよ……もうすぐ……大事な人も全部恨んで……」

さやか「誰かを恨んだり呪ったりがあたしの本性なの……そんなの……救われるわけ……」

映士「甘ったれてんじゃねぇよ……それが逃げてるって事だろ……!」

映士「どうして誰かを恨むのが本性な奴が誰かを傷つけた自分を憎んでんだよ……!」

映士「……好きなんだろ、その……腕を直した奴ってのが……」

さやか「こんな体で……?こんな体で何をしろってのさ……こんな、ゾンビみたいな体で……」


映士「バケモンなのが何だ……体がなんだ……!それはお前の思いだろ……!」

さやか「……ただの人間のあんたに何が解るって……」

映士「解るよ……!誰かが憎くて仕方ない気持ちも……。俺だって似たようなモンだ」



映士「でもさやか……お前のその体は、お前が誰かを愛して、命を投げ出すのも覚悟の上でそいつに幸せになってほしかったって思いの……」

映士「誇りの姿じゃねぇか……!」


映士「お前は惨めなんかじゃねえ……!むしろ上等だ……!」

映士「甘ったれてんじゃねぇよ……それが逃げてるって事だろ……!」

映士「どうして誰かを恨むのが本性な奴が誰かを傷つけた自分を憎んでんだよ……!」

映士「……好きなんだろ、その……腕を直した奴ってのが……」

さやか「こんな体で……?こんな体で何をしろってのさ……こんな、ゾンビみたいな体で……」


映士「バケモンなのが何だ……体がなんだ……!それはお前の思いだろ……!」

さやか「……ただの人間のあんたに何が解るって……」

映士「解るよ……!誰かが憎くて仕方ない気持ちも……。俺だって似たようなモンだ」



映士「でもさやか……お前のその体は、お前が誰かを愛して、命を投げ出すのも覚悟の上でそいつに幸せになってほしかったって思いの……」

映士「誇りの姿じゃねぇか……!」


映士「お前は惨めなんかじゃねえ……!むしろ上等だ……!」

さやか「……。」

さやか「……ごめん、映士さん……。……映士さんはあたしには眩しすぎるよ……」

さやか「映士さんの言ってる事は頭で理解は出来るんだけどさ……」

さやか「あたしは映士さんと違って……助けに来てくれた親友だって恨んだんだ……」

さやか「あたしが自分の為に戦ったらどうなると思う……?」



映士「自分の為に戦うってのは……おい!待て!」


映士「ッ……」




QB「説得は失敗かい、高丘映士」

映士「お前……!」

QB「なかなか言った通りにならないね。人間の感情というのは理解の範囲を超えている」

映士「どうしてだよ……どうしてお前らはこんな酷ぇ事すんだよ……!」

QB「酷い事と言われるのはおかしくないかい?彼女達の望みを……」

映士「だからってあいつらをあんな体にして……挙句の果てには魔女になるだって……!?ふざけんなよ……!」

映士「何が目的でそんな事するんだよ……!」


QB「……高丘映士。君はエントロピーって言葉を知ってるかい?」

QB「簡単に例えるとだね……焚き火をして得られるエネルギーは木を育てる労力には足らないんだよ」


……

QB「……つまり、僕たちは宇宙の寿命を伸ばす為にやってるんだ……。だから恨まれる筋合いなんて無いハズなんだが……」

映士「その為にお前たちは……女の子の命を奪っていったのかよ……!」

QB「あぁそうさ……。ほんの少しの犠牲で宇宙が救われるんだ。……長い目で見れば得じゃあないのかい?」

QB「これは僕らに与えられた使命であるんだ。」


映士「使命って何だ……!誰がそんな事決めた……!」


映士「他に何かあるハズだろ……!誰も悲しませずに解決する方法が……!」

映士「だから……!今すぐこんな事はやめようぜ……探そうぜ、俺たちと一緒に、別の方法を……」


QB「もし僕がここから手を引けばいつか宇宙ごと全生命が死滅する事になる。それに」

QB「君達の予想以上に宇宙の衰退は早いんだよ。もし仮に君達がエントロピーを補う技術を持ったとして間に合う保証は?」

QB「そもそもそこまで人類の文明が到達する保証もない。僕たちがやらなければならないんだよ。」

QB「それに、僕らが叶えた願いは君達の文明を上のステージへ引き上げた事もある。」

QB「僕らがいなければアシュはともかく人間は……まだ裸で洞穴に住んでたんじゃないかな」

QB「僕らと君達は理想的な関係にあると思うんだけど……認識の違いは覆せないようだね。」

QB「でも少しだけ予想外だったよ。てっきり君みたいな人間は僕の目的を知った時に僕を一方的に憎悪するだけだと思っていたが……」

QB「まさか僕たちの目的を理解してくれるだなんてね」









ここまで
映士の父ちゃん属性は異常だと思います
しかし集まりの悪い戦隊だな

…………………………





明石「……インキュベーターと話していたようだな。」

映士「明石……?お前どうして……」

明石「お前と蒼太が話しているのを見て、何かあるんじゃないかと気になってな」


菜月「二人共!さやかちゃんが……!」

菜月「今マミちゃんがさやかちゃんを追いかけて……!」



明石「菜月……」



明石「インキュベーターと何を話したんだ……?」

映士「使命……か……」

映士「なんつうか、柄にも無く同情しちまったつうかな……おかしいよな……」

菜月「えいちゃんは、キュゥちゃんの言う事を許すって言うの!?」

映士「俺だって許せねぇよ……!宇宙の為だからって、誰かを糧とするなんてのはよ……」





……………………………















明石「エントロピーか……。」

映士「……あいつらがいなけりゃ、俺たちの世界だってこうしていられなかった……。でもあいつらのやってる事は許せねぇ……」

映士「どうしてこんなどっちつかずなんだろうな……。おまけにさやかを救う事すら出来やしねぇ……」

映士「……らしくねぇぜ、俺様……」



明石「そうか……随分人間も舐められた物だな」

映士「……?」

明石「確かにインキュベーターの言ってる事はそうかもしれない。だがそんなのただの奴らの憶測だ。」

明石「人間が誰かを犠牲にした奇跡が無いと前に進めないとは俺は思わない。」

明石「プレシャスは人間の夢の結晶だ。それが全て奴らの奇跡の結果だろうか。」


明石「……俺の言ってる事もただの憶測だ。だけど俺は人間が好きだ。だから俺は人間の夢の力を信じる。」

明石「奴らの起こす奇跡なんか無くとも、人間は必ずここまで辿り着けた。……俺はそう思う……。」




菜月「さやかちゃんは……!?」

明石「それは……もう彼女自身を信じるしかない。」

明石「自分の本当の気持ちは俺たちが与えてやれる事じゃない。彼女が気づくかどうかだ……。」

明石「俺たちはどんな道があるか、教える事はできるかもしれない。けれど進むか、どの道を選ぶか決めるのは彼女自身だ」

明石「『自分の宝は何か』『どうして戦うのか』……決めるのは俺たちじゃない。」

明石「俺たちは言葉で出来る事のすべてを伝えたら……信じて待つだけだ」

明石「今は跳ね除けられてもずっと頭に血が上ったままに人間はなれないもんだ。冷静になってから効いてくるかもしれんぞ」


映士「だけどあいつ、魔女になっちまったら……」

明石「……急ぐ必要はあるが、焦っても余計に事を深刻にする可能性がある。」

明石「彼女の周りにはまだ沢山仲間がいるじゃないか。」

明石「力を合わせればきっと彼女の心に手が届く。……そう信じる。」






…………




マミ「嘘……美樹さんがそんな……」

杏子「わりぃけど全部ホントの話だよ……ったく、お前はこんな一大事に何処ほっつき歩いてたんだよ……!」

杏子「マミがいねぇとまともに戦う事もできねぇのかよ……」

杏子「マミがいりゃあちったぁアイツも頭冷やせたかもしんねえのによ……」


杏子「何でお前がついていながらこんな事になってんだよ……!」

杏子「お前は……お前がいなきゃダメなんだよ……!」

マミ(私が昨日……菜月さんと遊ぶ事を優先したせいで……美樹さんを……)

マミ(どうして……私が美樹さんを助けなければならないはずなのに……肝心な時に私は……)

マミ(また自分のせいで目の前の誰かを失う事になるの……?)

マミ(誰かを助けなきゃいけない……なのにどうして何もできないの……?)



まどか「さやかちゃんは何処に行ったの……!?」

杏子「さぁね……知ってたらこんな所でお前らとダベってるかよ……!」

まどか「……一緒にさやかちゃんを探そうよ……杏子ちゃん……」

杏子「うるせぇ……そんな青くせぇこと……」


……………


…………………………………

まどかの家……




まどか「……ただいま。」

詢子「遅かったじゃん。……飯、出来てるぞ」

詢子「友達と遊んでたのか……?」

まどか「うん……まぁ、そんな所かな……」

まどか「……なんか今日は疲れた……ごめん……もう寝る……おやすみ……」


詢子「……」


詢子(飯も食わねえで……)

詢子(ここ最近だよな……あいつがこんな鬱屈して毎日毎日ドンヨリしてんの……)




翌日……





ほむら「……ワルプルギス出現の範囲はこのあたりです……。」

真墨「ふぅん……随分詳しく知ってるんだな……。」

ほむら「根拠は統計です……。」

真墨「……まぁいいけどよ。ワルプルギスが実在するのは確かだし……。」



真墨(さやか……って子の事は、蒼太達に任せたんだ……俺は、ワルプルギスの対策を考える方に没頭しねぇと……)



真墨「で……作戦会議っつったって相手がどういうやつかわから……んああああ!?」

ほむら「……!」チャキッ




真墨「……ッ!?」

真墨(何でいきなり銃突きつけてんだコイツ!?)

真墨「バカ、お前!そんなもん……!」





QB「やれやれ、招かれざる客って事かい……君にとって重要な情報を持ってきたのだけれど」スッ

QB「美樹さやかの消耗が激しい。このままだと厄介な事になるよ」



ほむら「……そう。聞くだけの事は聞いたわ……。消えて。」



真墨「お前……!俺がいなくなったらだれがダイボウケンを操縦すると……」


QB「そうかい……。もうちょっと温厚に受け入れてくれても良いんじゃないかな……。」


ほむら「それ以上近づかないで……!」


真墨「は……?」

真墨(なんか話が噛み合ってねぇな……?)

真墨(っていうかほむらの銃口……よくみりゃ俺の小腿……?足先……?そんなとこ狙ってどうすんだ……?)

真墨(……アクセルラーのレーダーを確認しよう……)

真墨(……俺の足元になんかいる!……あのキュゥべえとかいうヤツか!)

真墨(この野郎……!脅かしやがって……!蹴り飛ばしてやる!)


ドガッ!


QB「きゅぷっ!?」


ザザザザザ……!



キュゥべえは真墨の踵に部屋の奥まで蹴り飛ばされた。





ほむら「……ありがとうございます」

真墨「良いんだよ、あいつにむかついてんのは俺も同じだからよ」









………………

QB「さて……暁美ほむらに近づいて記憶を読もうと思ったけどそれは失敗か」

QB「まぁ、僕としては機会はいつでもあるからね。」

空家……

コンコン……

杏子「……誰だよ」


明石「気に入ったか、この空家。」

杏子「お前か……」



明石「まぁな。……いくつか飯を買ってきた。ズバーンの回収したレシートを見る限りだと甘い物が好きらしいな」

明石「だが……冒険者たるもの、栄養を偏らせるのは感心しない。映士から野菜をいくつか貰ってきた。」


明石は、杏子へパン、野菜等が入ったビニール袋を差し出した。


杏子「……。」



明石「さやかの事だろ……。どうした……?」



杏子「さぁね……何でいっつもこうなっちまうんだろうな……」


杏子「あたしさ……自分の願いのせいで家族を死なせちまってさ……それで誰の為にも力を使わねぇ、自分の為に使うって決めたのに」


杏子「でもさやかを見てよ……昔の自分とだぶっちまったっていうか……また誰かの為に戦おうって」


杏子「さやかを救う事が昔の自分へのケリの第一歩だって思ったんだけどよ……結果がこれかよ……」


杏子「あたしのせいでさやかを余計正義に縛らせちまったんだ……あたしのせいで……」



明石「何も救えないと決まった訳じゃない、ここで止まったら何も」


杏子「あんたには力がある……けどあたしにはねぇんだよ……誰かを救う力が……」

杏子「力もねぇくせに強がりやがって……バカみてぇだ……!」



ガチャッ バタンッ!


杏子は走って空家から飛び出した。



明石(……もしさやかの心に手を伸ばせるとしたら……もう蒼太か杏子しかいないだろう……。)

明石(二人とも過去の罪を背負って前に進もうとしてる。だから……)






ガチャッ バタンッ!


杏子「……」


明石「……?」



十秒と経たない内に杏子が再び空家へ帰って来た。


そして、明石の持ってきた袋を奪い、もう一度出て行った。



明石(丸っきり全て拒絶されている訳ではないようだな……)




……………………………




街中……


さくら「……蒼太君や高丘さんもまださやかさんを見つけられていないそうです」





まどか「……あんな戦い方してもさやかちゃんの為にならないよ……」

さくら「さやかさんの事、聞いたのですね……」

まどか「はい……杏子ちゃんから……」

まどか「どうしてかな……私、さやかちゃんの友達だったのに……さやかちゃんに幸せになって欲しいのに……」

まどか「これっぽっちも思いが届かない……何で……どうして何も届かないのかな……」

さくら「今は……みんなを信じるしか出来ません……。悔しいけれど、それしか……」

まどか(私には何もできる事が無いなんて嫌だよぉ……タツヤが事故に遭った時もそうだった……私はただ見る事しか出来なかった……)

まどか(奇跡が無いと私って誰も助けられないのかな……)


さくら(私の宝は、心からの笑顔……でもその笑顔の意味って一体……?)

さくら(私はどうして笑顔になりたいの……?私の笑顔は……誰の……)




……………………

路地裏……

さやか「……。」




路地裏に展開された、使い魔の結界。
使い魔を退治し終えた美樹さやかが結界から戻った。








ほむら(美樹さんの魔力反応が弱い……。この分じゃ相当穢れが溜まってる。持ってあと二日が精一杯……。)

ほむら(でも、あの状態に陥ったら私の話なんか聞いてくれない。……誰の言葉だって届かない……。)


ほむら(もし魔女になれば……巴さんが耐えられない。そして、佐倉さんが、美樹さんと一緒に……)

ほむら(……そんな状況にさせる訳にはいかない……。少しの戦力の減退も避けなければいけない。)




ほむら(時間を止めて……前方に周り、ソウルジェムを砕く……。)

ほむら(そうすれば……みんなには使い魔に殺されたって説明すれば良い。)

ほむら(勿論みんな悲しむだろうけれど……魔女になるよりは受け入れられるハズ……。)



ほむら「……ごめん、美樹さん。もう、これしか」



QB「さやかを殺すのかい……?」

ほむら「……インキュベーター!」

QB「やぁ、暁美ほむら。……また僕を拒絶するのかい?」

ほむら「……今はあなたに構ってる暇なんて無い!……」

QB「おや、さやかはもう行ってしまったようだが。」

ほむら(……!魔力探知の範囲外まで……!)


路地裏、物陰……



真墨(何だよあいつ……いきなり外に出ていきやがってよぉ……)

真墨(何の前兆もなしにいきなり立ち上がって飛び出してったんだぜ!……やっぱ考えてる事解んねぇとこあるんだよな)

真墨(……路地裏で何かと話してる……見えないあたり、キュゥべえとかいうやつか……)

真墨(……レーダーの反応見る限りだとそうか。何話してるのかはわかんねぇけど)


真墨(……待てよ……?魔女もキュゥべえも素質がある~とかいうのにしか見えないんだよな)

真墨(で、その波形を解析して可視化したアクセルスーツなら……見る事ができるんじゃないか?)


真墨「イチかバチか、試してみる価値はあるな。……スタートアップ!」


ブラック「おっと……!予想通りだぜ」




QB「さやかに気を取られすぎたね。おかげで君の記憶を読み取る事ができたよ。時間遡行者・暁美ほむら。」

QB「過去の幾多の世界を切り替え、並行世界を横断し君の望む未来が訪れるまでこの一ヶ月間を繰り返してきた。」


ほむら「……ッ!」








ブラック(そうか、通りで……)

ブラック(見透かしてんじゃなくて全部知ってたんだな。魔女の最善手も、どの魔女とどいつが相性悪いとかも)

ブラック(ワルプルギスが現れるのも全部経験済みって事か……)

ブラック(待てよ……?)

ブラック(……じゃあどうしてあいつは時間遡行なんてやらなくちゃならなかったんだ……?)



QB「成程、……通りでさやかが魔女になるのを予期できたはずだ。」

QB「そして鹿目まどかの内に秘められた異常な程の因果もそれで説明がつく……」

QB「まぁ、生憎だがその魔力は彼女の願い……子供の蘇生の為に使われたから魔法少女としての能力はあまり大したことではないのだけれど」

QB「しかしお手柄だよ、ほむら。君のおかげで彼女が魔女になった時に得られるエネルギーはノルマを大幅に満たす……。」





QB「ところで暁美ほむら、君は鹿目まどかの為に契約したようだけれど、他の……巴マミや美樹さやかの事はどうでもいいのかい?」

QB「さっき見た所だと、君は美樹さやかを殺そうとした。どうして、鹿目まどかの親友である美樹さやかを躊躇無く殺せるんだい?」

QB「魔女となったケースはともかく、何故、今なんだい?もし、美樹さやかが死んだ事をまどかが知ったりしたら耐えられると思うかい?」






ブラック(あいつ……!殺そうとしてるだって……!?)

ブラック(何考えてやがるんだ……いくら何でも戦力を減らしちまうのは不利すぎるんじゃねぇのか……!)

ブラック(いくら繰り返してるとはいえ躊躇無く人殺ししようとするっておかしいだろ……!)

ブラック(でも待てよ……ほむらの奴も動揺してやがる……!)



ブラック(……今はほむらよりキュゥべえとかいう奴の言う事でほむらが絶望しちまうのを防ぐ方が先だ……!)




ほむら「ッ……」



QB「……君の契約内容も少し理解に苦しむね。何故鹿目まどかの命を望むなら鹿目まどかの蘇生を願わなかったのか」

ほむら「私は……自分の手で鹿目さんを……!」




ブラック「……サバイバスター!」


ズギュゥゥゥンッ!


カキィィイイインッ!


ブラック「何……跳ね返され……がぁッ!!」バシュゥゥンッ!



QB「いきなり攻撃するとは、卑怯じゃないのかい、ボウケンブラック。」

ブラック「うるせぇ……相手を騙すわ、追い詰めるわするような奴に言われたかねぇよ……」

QB「僕は真実を言ってるんだよ。彼女が幾多の並行世界の美樹さやか達を救わなかった事も、自分の望みの為に救えるはずだった鹿目まどかを見殺しにした事も」


ほむら(私がまどかを見捨てた……?私の望みの為に……?)

ほむら(違う……そうじゃない……私は……まどかの為を……)


QB「鹿目まどかの為を建前に自分の障害を排除しようとしてた事も、何がまどかを悲しませるのかも理解していない」

QB「全て間違いなくほむらがしてきた事だよ」


ほむら「違う……そんなんじゃ……」

ブラック「こんな奴の言う事に聞き耳立てんじゃねぇ!」

ブラック「黙ってろ……!アクセルテクター!デュアルクラッシャー・ミキサーヘッド!」

ブラック「……GOッ!」


バシュゥゥゥゥ!ビキビキビキビキ……

ハイパーコンクリートがキュゥべえの体を包み込む。


ビシッ……バァアアアアンッ!


ブラック「破られた……!?」

QB「凄い……これがアシュとリュウオーンの力か……。」

QB「さっきはエネルギーを納めていたから不覚を取ってしまったが、こういう風に使えば君の攻撃を弾くなど造作もないね」

QB「もしこれにゴードムエンジンが加われば……僕は自分自身でも想像できないよ」

ブラック(リュウオーンだと……!?)



QB「さて、続きだ。」

QB「今までの世界が救われなかったのは君がまどか達の仲を不仲にしたせいもあるんじゃあないかい?まぁ、憶測だけどね」

QB「僕の憶測通りだとすれば、君の存在が一番まどかの悲しみなんじゃあないかな」


ほむら「っ……」

ブラック「ドリルヘッド!……GOッ!」

ゴォオオオオオッ!


QB「無駄だよ。」ガキィィイイインッ!


キュゥべえはドリルビームを弾き返す。


ドォオオオオンッ!

ブラック「ガハァッ……」

ブラック「くそっ……こうなったら……」


『発進シフト・ON!ジェット!GOッ!GOッッ!!』





QB「さぁね。真実は今となっては確認不可能さ。でもね、もし君がこれからも時間遡行を繰り返せばその分だけ鹿目まどかに因果が蓄積する。」

QB「そして……何回かまではわからないが、積もり積もった因果が鹿目まどかが魔女になった時に爆発して……鹿目まどかは最強最悪の魔女になるだろう。」

QB「まぁ、それは僕らの世界ではないからもし出来るならこの世界で魔女になってほしいのだけれども」

QB「だから、是非この世界で絶望し、魔女になって……きゅぷっ!?」


ドォォオオオオオオオォンッ!

       ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォンッ!




キュゥべえの周囲に爆発が起こる。
ゴーゴージェットの放つレーザーだ。


QB「……逃走かい?」


ブラック「ほむら!コイツに乗れ!」






ゴォオオオオオオオオ……

ゴヒュウウウ…………………






QB「……やれやれ、逃げられてしまったよ。まぁいいさ、遅かれ早かれ結果は同じだよ。」

QB「それにしても、この細胞を手に入れてからかな……どうも「心」というものが少しだけ理解できるような気がする」



QB「さてと……こうもしてられない。早く例の物を完成させないとね」

QB「この宇宙の平穏を守る為にね」






ここまで
映画までには完結する予定

………………………………………………………



喫茶店……


さくら(何も出来なかった……さやかさんを見つける事も……)

さくら(蒼太君達も必死で捜索しているのに行方不明……真墨が発見してもまた行方不明……)

さくら(さらにリュウオーン・ゴードムエンジンを取り込んだインキュベーター……)

さくら(それに、ワルプルギスの夜、……。乗り越えなくてはいけない壁は高い……。)

さくら(食事に時間を割く訳にはいきません。……て早く済ませなければ……。)










詢子「あ、いたいた先生、ちょっと聞きたい事あるんだけど良いかな……?」

さくら「はい……?」

さくら(まどかさんのお母さん……?)


詢子「あのさぁ、最近うちの娘が夜中しょっちゅう出歩いているらしくてね~……」

詢子「でね、先生と一緒に外歩いてるっていう情報が入ってね……ちょっと話聞きたいんだけど」

さくら「……ご心配かけてすみません。」

詢子「別に怒ってる訳じゃないよ。ただ親としてなんとなくわかっちゃうんだ。あいつが何か隠してるって」

詢子「危ない事してるのが確かだって事もね。……あいつは良い子さ。素直に生きてる。」




詢子「……だけど誰かの為になら自分の命だって平然と投げ捨てる。……前向きな自殺衝動っていうのかな」

詢子「弟のタツヤってんだけれど、その子が事故にあった時さ……あの子は自分が死んでもいいから、何とかして助けられないかって医者に土下座してまで頼んでた。」

詢子「その時からだっけね……優しい子なんだけどちょっと自分を顧みなさすぎっていうか……」

さくら(やはり……まどかさんは昔から……。誰かを救いたいから、自分を顧みない人だったのですね……)



詢子「で……話戻すけどさ……。」

詢子「隠したいなら隠せばいいけど嘘はやめて欲しい。中途半端に言うのもな」

詢子「教えるか、教えないか、0か100か。そっちの事情もあるしね、強制はしない。」

さくら(……まどかさんが魔法少女という事は教えるべきでしょうが……しかし、いずれ、魔女になる事を教えてしまう訳にはいきません。)

さくら(いくら親御さんといえども……半端な情報の漏洩は避けるべき……。)


さくら「申し訳ありません。私からは教えられる事は何も……。」

詢子「……そうかい。でも仕方ないよね、お姉さんにも色々事情はあるんだろうし」

さくら「だけど、身勝手なお願いで恐縮ですが……。まどかさんの側にいて下さい、まどかさんがどうしたいのか……」

さくら「私は答えを持っていません……。でも、あなたならきっと、まどかさんの事を、どうすればいいかわかっている……。」

さくら「だから……お願いです。」

詢子「はい。わかったよ。」



……………………………………………………


公園……

杏子(昼間から公園のベンチで昼寝……。はぁ……。)



杏子(……。救えねえ……何にも、あたしにゃ……)

杏子(なら……こっからさっさとおさらばしちまえば良いのにな……)



杏子(考えても……無駄……だよな……)

杏子(何でこんな……モヤモヤしちまうのかね……)



グイグイ


杏子(ん……?)

杏子「何だよ……」



タツヤ「ねーちん、もっとしゃきっとせんかいっ!」

タツヤ「ぼーっとしてんじゃないっ!くうかい!くうかい!」





杏子(何だコイツ……)


智久「あぁ、ごめんね、ちょっと目話したら迷惑かけちゃって……」

杏子「……そうかよ。」



タツヤ「うー!」


智久「こらこら、ごめんなさいしなきゃダメだよ?」


タツヤ「うぃっ!せっぷく!せっぷくする!」

杏子「そこまではしなくて良いだろ!」

智久「ハハ……いや、この子何処でこんな台詞覚えたのかな……?」

智久「やっぱりママがTATSUYAから借りて来てる映画のせいかな……?」



智久「でも、タツヤこう見えて人の優しさ、みたいなの見抜くの上手なんだ。……優しい子なんだね」

杏子「……そんなんじゃねえよ……自分勝手の塊さ……自分の事しか考えないで……」


智久「いいじゃない、自分を喜ばそうってしてるのはいい事だよ?」

智久「優しくて、自分も喜ぼうなんて。……そんな事出来るの、中々いないよ」




杏子「優しくなんてないって……」



……………………………………………………


まどかの部屋……




まどか「……。」

詢子「……ちょっと、話いいか」

まどか「ん……?」



詢子「で……?どうしたってんだ一体。」

まどか「何でも無いよ……。」

詢子「そんな訳あるか。何日も暗くなって。親に隠し事出来るだなんて思うなよ」

まどか「う……」

詢子「さやかちゃんの事か……?」

まどか「えっ……!?」

詢子「やっぱりな。どうせお前がこんなにうじうじ悩む事なんか友達の事か飯かしか無いんだから、カマかけたのさ」

詢子「で……喧嘩でもしたか……?」



まどか「……その……さやかちゃんがね……。やってる事も言ってることも間違ってないし、正しいのかもしれないけど」

まどか「でもそのせいで、酷い目に合って……それで、正しい事をしようってする度にどんどん自分を傷つけて……」

まどか「それで私はさやかちゃんを助けたいって思っても全然届かなくて……」

詢子「そうか……。」

詢子「で……?お前はさやかちゃんを助けたい……それで、まぁ色々上手くやって助けたとするよ」

詢子「その時お前はどうしていたいの?」

まどか「え……?」

詢子「さやかちゃんが笑って、それで終わり……って事?」

まどか「……」

詢子「あんたは優しすぎる子だよ……。だから、自分のことも全く考えない。相手の事ばっか考える。」

詢子「まぁあんたにはそのつもりは無いだろうけど、相手にはそのせいでちょっと胡散臭く思われるのかもしれない」

詢子「……握手ってなぁ、こっちから手差し伸べてるだけじゃ出来ないんだよ……。」

詢子「こっちが握手しよう、って相手に伝わって相手も手を差し伸べてくれて初めて握手になるのさ……。」

詢子「一方的な気持ちじゃあ、出来ないんだよ」


詢子「ま……正しくしてりゃ、人の為にしてりゃハッピーエンド……って訳にはいかないのさ。」

詢子「だけどそういう時にこそ、自分がどうでありたいか、どうしたいかをハッキリさせとけば、ちょっと転んでも立てるだろ」

詢子「相手がどうなってほしいかより、自分がどうなりたいか、だよ。」

詢子「もっと自分勝手になっていいのさ。自分の為に、さ」

まどか「自分の為……?」


まどか(私は……どうなりたい……?どうしたいんだろう……)


ここまで

……………………………




マミの部屋……


菜月「ごめんね、マミちゃん、私が遊びに誘ったりしたから……」

マミ「……」

マミ「いえ……菜月さんのせいじゃないです」



マミ「それよりも、今は美樹さんを探すか、魔女を見つけ出さないと……。」


菜月「うん……」

街……



菜月(マミちゃんの顔……すごく落ち込んでる顔だ……。)

菜月(あの顔は……なんていうか、大事なものを失った時みたいな顔……。)

菜月(……マミちゃんはさやかちゃんの事が心配で今にも張り裂けそうなくらい悩んでる……。)


菜月「……」

菜月「……マミちゃん……どうして、マミちゃんはそんなに誰かを救う事に一生懸命なの……?」

マミ「え……?」

マミ「……でもそれが私のやらなきゃいけない事、だから……。誰かを救う事が、私の生きる意味だから」

マミ(誰も救えない私にきっと意味なんて……私は、強くなくちゃ……)

菜月「ううん、誰かの為にひとりでも戦ったりする事はすごく格好良いし、菜月も憧れる。」

菜月「だけど、……頑張りすぎるのも良くないよ……。誰かを頼ったって良いんだよ……?」

マミ「……」


マミ「でも、私のせいで菜月さんがあんな危険な目にあって……それなのに、誰かに頼ったりしたら……」


菜月「菜月も、菜月のせいで真墨たちにいっぱい、いっぱい迷惑かけたし、危険な目にも遭わせた。」

菜月「だけど、誰も菜月のことを恨んでなんていない。みんな菜月の事を信じてくれる。」


菜月「ちょっとくらい弱い所を見せても、きっと誰もマミちゃんのことを恨んだりしないよ」

菜月「そうやって弱い所も知ってもらって、一緒に進むのが……友達、なんじゃないかな……」



菜月「菜月は、危険な目にあった事よりも、こうやってマミちゃんと友達になれた事の方がずっと、ずっと、ずっと嬉しいから!」


菜月「魔法少女だとか関係無い!マミちゃんはずっとマミちゃんだよ!」

菜月「……どんなことになったって、菜月はマミちゃんの友達だよ!だから……」

菜月「自分を大事にして……ね?」

マミ「……」







街……



まどか「……さくら先生、お待たせしました。……行きましょう、……。」

さくら「……はい。」



……………………………………………


まどか「……いやぁ、昨日ママにちょっとびっくりしたこと言われちゃって……」

まどか「もしかして、バレたのかな……って思ったけど、それは無いみたいで安心しました」

さくら(すいません……私のせいです……)


まどか「……私がどうでありたいか、か……」






暫く歩いていると、まどかのソウルジェムが僅かに反応した。

まどか(……。ソウルジェムが……)

さくらのアクセルラーに通信が入る。

さくら「……!はい、こちらピンク…… 菜月!?」





イエロー『き、聞こえる!?さくらさん!良かった、通じて……』

イエロー『大変なの!今、マミちゃんと一緒に魔女と戦ってて!その魔女がすごい強くて……』



さくら「わかりました。今すぐ結界を探索します。みんなには私から連絡しておきます」

ピッ



まどか「やっぱり、魔女が……!」

さくら(今集まれるメンバーは……私と……)






街……



杏子「……結局、自分でも何したいんだか……なんかスッキリしねぇよな……いっつもいっつも……」

杏子「出来ないって解ってるクセによ……みっともねぇな……」










………………………


杏子「……!魔女の反応だ……!」


杏子(結界の中で誰かいんのか……)

杏子(マミ……!?こいつもいつも以上に魔力使ってんじゃねぇか……!)

杏子(らしくねぇの……!)



明石「……魔女の結界が現れたらしいな。」


杏子の元に明石が現れた。
明石もさくらからの連絡を頼りに魔女の結界へ向かう途中であった。


杏子「……お前……」

明石「さくらから通信があった。……杏子も行くのか……?」



杏子「……。まぁな……。でも……。」


暫く悩んだ杏子の姿を見て、明石は何かを察した。
少しだけ笑い、話し始めた。


明石「やっぱりな。俺が見込んだ通りだ。」

明石「……杏子の思いは死んでなかった。誰かを救いたいという思いはな」

杏子「いっそ諦めちまった方が楽でいいのに……やめちまった方が楽なのに何故だろうな……こんなことしちまうの……」




明石「……迷ってるのは進んだ証拠だ。」

杏子「……」

明石「誰かを守りたい。……その真実からお前は逃げなかった。己の過去に臆せず前に進んだ。……だから迷ってるんだ。」






杏子「……でもよ……ねぇんだよ……あたしには力が……」

杏子「下手に動いちまえばまた誰かを余計傷つけるかもしれねぇ……!」


明石「奇跡なんかじゃない。お前自身が自分で出した真実は決してお前を裏切ったりしないさ」


明石「それに……俺は今まで一度たりとも仲間に裏切られたことは無い。」

明石「真墨も、蒼太も、菜月、さくら、映士、牧野先生、ズバーン、ジャン……誰一人として、俺は裏切られる事はなかった。」

明石「言っておくが俺が杏子を仲間にしたのはかわいそうだとかいう理由じゃない。」

明石「……一目見て解った。お前の心の中には、俺たちと同じ何かが輝いてる。」





明石「俺は杏子を信頼している。……あとは杏子が自分を信じるかどうかだ。」



杏子「……あんたを信じて、黙ってついていけって……?」

明石「それで構わん。……思う通りやってみろ。」




杏子「……別に助けに行く訳じゃねぇから……」

杏子「ただ、あいつに死なれるとなんか……見捨てちまったみてぇで気分悪いだけだからな……」



……………………………………………………………………………


銀の魔女、結界……

魔女の結界。見渡す限りの暗闇。
鋼鉄の大地に、錆の空が広がる中、無機質な音を挙げ
熱い血流れぬ鋼の魔女と、巴マミ、ボウケンイエローが戦っていた。




マミ「ハァ、ハァ、ハァ……」

イエロー「マミちゃん!大丈夫!?」



マミ(この魔女……強い……今まで戦った事が無い程に……)



ギーゼラ「ンゴゴゴゴゴォォォォォ!」




イエロー「……サバイバスター!」


バシュゥゥゥンッ!



ギーゼラ「ギ……?」

イエロー「やい!こっちに来い!」



ギーゼラ「……」



ギーゼラ「ゴォ……」


ギーゼラは気を逸らそうと放ったサバイバスターを気にもとめず、マミへ動き出した。


マミ「……!?」


ギーゼラ「ゴォォォォォ!!」



マミの頭上へその巨腕を振り上げた。
そして……



ゴォォオオオオオオオオッ!!!


イエロー(……マミちゃんが……潰されちゃう……!でも……ここからじゃ間に合わない!)

イエロー「……マミちゃあああああああん!!!」


マミ(……ダメ……!逃げられない……!)

マミ(……ここで終わり……なのかな……。)




まどか「スターライトアローッ!!」


バシュゥゥッ!


ズドオオオオオオオオンッ!



しかし、魔女の鉄槌は途中で軌道を反らされ、地を抉る。






まどか「間に合った……!マミさん!菜月さん!大丈夫!」

ピンク「……!紙一重といった所でしょうか……間に合って良かった……。」


イエロー「さくらさん!まどかちゃん!」






ザシュゥッ!

ギーゼラ「……ゴォァッ!?」


杏子「おらよっ!」

まどか「杏子ちゃん!?」

イエロー「やった!杏子ちゃんも来てくれたんだ!」


レッド「今集まれる最大人数が揃ったな。」


杏子「……別にお前らの助っ人になったつもりは無いからな!」


イエロー「ありがとう!助かったよ!」

杏子「だから違うって……」



レッド「援軍だ。頼もしいぞ。」

杏子「違うって……!」


まどか「……ありがとう、杏子ちゃん!絶対分かり合えるって信じてた!」


杏子「抱きつくな!あたしの話聞いてたのかよ!……全くどいつもこいつも……」


マミ「佐倉さん……?」

杏子「ったくよ、一人で寂しいくせに一人で戦いやがって……。」

杏子「一人で無茶ばっかすっから死にそうになんだよ……。」

マミ「……」

マミ「確かにそうかもね……。」

マミ「いつも、一人で強がって……」






杏子「ま……あたしも人の事言えねぇけどさ……。」

杏子「……立てよ。立てるだろ……?」スッ

マミ「……ありがとう。」

杏子「その、さ……。」

杏子「自分を信じろ、って言われたんだけど、どっか自分を信じきれない所があって……」

杏子「……信じられない分誰かを信じようって思って……それで一番最初に信じられる奴は誰か、って思いついたのがさ……あんただったんだ」

杏子「多分……あんたはあたしの帰る場所……きっとそうなんだよな……。」

杏子「前は仲違いしちまったけど、それでもあんたはあたしを心配してくれた……。」

杏子「今更よりを戻そうなんて虫の良すぎる話かもしんねぇけど……頼むよ、マミ……。」


マミ「佐倉さん……。」

マミ(……そうだった……。私は……ただ……ただ……)

マミ(こうやって、私の事を支えてくれる友達が欲しかっただけなんだ……。)

マミ「ありがとう、でも……。私も前みたいに貴方を助ける訳にはいかないかもしれない。」

マミ「……自分勝手なのはわかるけど、私の弱い所も知ってほしい。だから……」

杏子「良いんだよ、それで……。」

まどか「二人とも、私もいること、忘れてませんか!」

まどか「マミさんも杏子ちゃんも、みんなみんな私の友達ですっ!」


イエロー「……そうそう!みんな仲良し!」

ピンク「……力を合わせましょう。一人じゃ出来ないことも、私達なら。」











レッド「そうだ。……信頼出来る誰かを信じる自分を信じる……。……それが自分自身で出した答えだな。」

レッド「……良いじゃないか。俺の見込みは絶対だった。お前を仲間にして良かった。」



杏子「明石……!?ブフッ!?」

マミ「……えっ!?」

まどか「な……何がどうなってんの……!?」





暫しの間、目を離した内に、ボウケンレッドは新たな姿へと変わっていた。
かつて、自分が敵の術中に落ちた時、それでも自分を信じてくれた仲間の想いの結晶である。


イエロー「あ!あれ!菜月達があげたやつだ!」

ピンク「しかし何故今それを……」

レッド(開運)「あぁ。これには……お前たちの思いが詰まってるからな。」

レッド(開運)「例え俺がどんな無様な姿になっても、金魚になっても……お前たちは俺を信じてくれた。」

レッド(開運)「この姿はみんなの思いの結晶だ。……みんなの思いを一つに出来た今なら、相応しいと思ってな。」




杏子「本気かよコイツ……」

杏子(金魚……?)

レッド(開運)「イエロー・ピンクは俺と共に魔女を攻撃。3人は魔女を倒す為の一撃を確実に当てられる隙を待ってくれ。」

レッド(開運)「俺たちで隙を作る。行くぞ。アタック!」



イエロー・ピンク「了解!」

続きは夜に

レッド(開運)(……この魔女の武器は見た所……豪腕……そして、そのとてつもなく硬質なボディだろう。)

レッド(開運)(結界の破壊痕から見てそれは明らかだ……)

レッド(開運)(この魔女の体を覆っている鎧……!これは錆で作られた鎧……!これをいくら攻撃しても意味は無い!)

レッド(開運)「俺たちのすべき事は……攻撃を立て続けに炸裂させ、鎧に穴を作る……!その隙を彼女たちに繋げるッ!」




         『サバイバスター!スナイパーモード!』


          『クライマックスシュート!』



バシュゥゥン!バシュウウウ!バシュウウ!




ギーゼラ「ゴォアアアッ!?」





3人の猛攻にギーゼラが怯む!
その瞬間、ボウケンレッドが地面を蹴りギーゼラへ走り出す!



レッド(開運)「……ボウケンジャベリンッ!サバイブレードッ!」


レッド(開運)「……レッドゾーンクラッシュッ!!」



ザァァアアアアシュゥゥウウウッッ!!



ギーゼラ「ゴッ……!?」

ドォオオオンッ!






イエロー「さくらさん、私達も暁さんに負けてらんないよ!よぉし……バケットスクーパー!」

ピンク「いえ……待ってください……おかしくありませんか……?」

イエロー「……え?」

ビーッ!ビーッ!ビーッ


イエロー「あ……そうだ近づけないんだった……ってあれ!?じゃあ何で暁さんは近づけるの……!?」

ピンク「私も近づけません……。何故……!?」

この時、天候・結界の位置状況・ゴーゴーダンプのコンディション……全てがボウケンレッドに味方していた。




ギーゼラ「ンゴゴゴゴォオオオ!!」ゴォオオオッ!

再びギーゼラが豪腕を振り上げる。

レッド(開運)「……来るッ……!?がっ!」


レッド(開運)(しまった……!段差に足をとられ……!)


ゴウウウウウウウンッ!

ボウケンレッドはその場に転倒した。
ギーゼラの豪腕は虚しく宙を切る。


レッド(開運)「……運は俺に味方しているようだな」





杏子(あれ……?案外あれも捨てたもんじゃなくね……)






レッド(開運)「頼むぞ。ズバーン!」


レッド(開運)「……ゴールデンクラッシュ!!」




ガキィイイイイイイインッッッ!!



ギーゼラ「ンゴァッッッ!?」


レッド「ハッ!」ダッ



ボウケンレッドはその場から飛び退く

ピンク「ハイドロシューター!シューターハリケーン!」

イエロー「デュアルクラッシャー!ドリルヘッド!……GOッ!!」



ドォオオオオオオオオオオオオオオ━━━━ンッッ!!





ギーゼラ「ゴォオオオオオ!?」


ゴールデンクラッシュの傷跡に、二つの銃撃が命中する。
胸部が炸裂し、本体があらわになる。




レッド(開運)「よし……!」



まどか「魔女の鎧が破けた!」

杏子「あのむき出しになったテラテラした銀色がアイツの本体か……!」

マミ「……ハァァァッ!」



ギーゼラ「ンゴッ!」



剥き出しになった銀色の身体を豪腕で覆い隠す。





杏子「おい、まどか、あの腕をぶっ壊すぞッ!」

まどか「オッケー!」

杏子「……ハッ!ぶちこんでやるぜ!」


ゴゴゴゴゴゴゴ


地面から巨大な槍が出現する。



まどか「開放全開ッ!イッちゃえ!ハートのゼンブでえええええッッ!!!」


弓を引き、矢にエネルギーを集中する。
引いた弓を解き、矢を打ち出す。


ザァァアアアアアンッ!!!バシュウウウウウウウウウウウウウッッ!!


……ドオオオオオオオオオオオオンッ!



ギーゼラ「ンゴオオオオオァッ!!!」



杏子「よっしゃあ!両腕をぶっ壊した……!ぶちかませ!」




マミ「この一撃で決めるわ……!ハァァァァ………」




マミ「……ティロ・フィナーレッ!!!!」」




ドオオオオオッ!



ギーゼラ「ンゴオオオオオオオオ!!!」


ゴゥンッ……



黄金の弾丸がギーゼラの胴体をブチ破る
胴体に風穴の空いたギーゼラは糸の切れた人形のように倒れ込んだ!



レッド(開運)「……グッジョブ!」

杏子「やったか……?」

まどか「でも、結界が消えないよ……?」









ギーゼラ「……!」



シュゥウウウウウウウウ………


解き放たれたハズのギーゼラの錆が再びギーゼラへ収束してゆく。



イエロー「待って……魔女の体の傷が塞がって……」

ピンク「エネルギー質量が高まっていきます……! !?この波形は……!」



レッド(開運)「あぁ……。間違いない。魔女の放つ波形に紛れて気づかなかったが……」






レッド(開運)「……ゴードムエンジン……!」




ギーゼラ「……ゴォオオオオオオオオオオオオ!!!!」




ゴォオオオオオオオオオオオオウウウウウウウウウンッッッ!!!





マミ「魔女が巨大化した……!?」

ピンク「ゴードムエンジンの過剰なエネルギーが魔女の身体を……!」

イエロー「でもでも!結界の中で巨大化なんて初めてだよ!ここじゃビークルを呼べない!」

まどか「ま、マジすかぁ~~~!?」

レッド(開運)「総員、結界外に退避だ。」

杏子「魔女に逃げられたらどうすんだよ!」

レッド(開運)「奴は俺たちを敵と定めた。追って来こそすれ、逃げはしないさ。行くぞ。」



6人は脱出するために走り出した。



ギーゼラ「……ンゴォォオオオオオオオ!!!」




ピンク「魔女がおってきます!」

イエロー「頑張って逃げ切らなきゃ……!!」

レッド(開運)「頼むぞ、ズバーン!」



キュイーン……



『ズ・バ━━━━ン!』


ゴゥン……ズゥウウウウウウウウンッ!



ズバーン「ズンッ!」


ガシィィイイイッ!





レッド(開運)「ズバーン、少しの間魔女を引きつけてくれ」

杏子「ッ!?あいつでっかくなれんのかよ!あのズバズバ野郎!」

まどか「ズバババン!?」

イエロー「ズバーンが魔女を抑えている内に早く!」

マミ「結界を開けるわ……!」





シュウウウウウン……

結界外……




杏子「何とか全員脱出できたか……」

レッド(開運)「あぁ。……ブラック、ブルー、シルバーは呼べないが3人だけで出来るな。」

イエロー「もちろん!」


      『発進シフト・ON!ダンプ・フォーミュラ・ジャイロ・ドーザー・マリン!GOッ!GOッッ!!』




まどか「でもどうやって結界の中の魔女を……?」

レッド(開運)「君達も一緒に搭乗してくれ。俺に考えがある。」

マミ「私達がロボに……ですか……!?」



          『合体シフト・ON!ダンプ・フォーミュラ・ジャイロ・ドーザー・マリン!』





                     『轟轟合体!』


                 『ボウケンフォーメーション!!』



ゴォォォォッ……






             『ダイボウケン・合体完了!ファーストギア・IN!!』

……………………………




まどか「す、すごい……ロボットに乗るなんて初めてだよ……!」

マミ「格好良いわ……」


杏子「お、おい、二人とも座ってんじゃねぇよ、あたしの席ねぇから」

ピンク「すいません、杏子さん……」


杏子「どうやって結界を開くんだよ……」

ピンク「そうですね……。ネオパラレルエンジンはプレシャスの力を増幅させる力を持っています。」

ピンク「……結界を開く魔法を使えば、それを増幅させ、魔女の結界に侵入出来るかもしれません。」


マミ「なら……いくわよ」

まどか「はい!」







パァアアアアアア……


魔力を滾らせ、それをネオパラレルエンジンは増幅させる。
ダイボウケンの腕から放たれた魔力は結界をこじ開け……そして




ギーゼラ「ンゴォオオオオオッ!?」

ゴォッ……

結界からギーゼラが現れる。



イエロー「やったよ!結界に入るどころか結界を消しちゃった……!!」

レッド(開運)「効果は絶大だな……ん?」



ズバーン「ズ……ン……」ドォンッ……

ダイボウケンの目の前にズバーンが倒れこむ。




ピンク「ズバーン!?……何故体が錆だらけに……!?」

レッド(開運)「戻れ、ズバーン!」



キュイイイイン……



イエロー「ホントだ……体じゅう錆まみれだよ、ズバーン……」



レッド(開運)「まずは魔女を倒すぞ。」



                   『轟轟剣!』




『ハァッ!!』



ギーゼラ「ンゴゴゴゴゴゴ……」


ガキィィイイインッ!

轟轟剣で斬りつける。
しかし、錆の鎧に阻まれた。


まどか「錆の鎧があるんじゃ攻撃が……!」



ギーゼラ「ンゴォオオオオオ!」


シュバァアアアアアアア!





レッド(開運)「何だ……やつの体から……!これは……!」

ピンク「ダイボウケンの機体が錆びています!」

イエロー「うわあああ……!出力も落ちてるよぉおおお!」

ギーゼラ「ゴォァッ!」


ガァンンッ!

ダイボウケンへ体当たりをぶつける。
ダイボウケンは数歩後退。


まどか「わっ!?」

杏子「大丈夫かコレ……!?」


イエロー「ネオパラレルエンジンの出力を上げて何とかできないの!?」

ピンク「ダイボウケンのままでは出力が足りません!」



マミ「!魔女を見て!」

杏子「あいつ!銀色の本体を……!」



ギーゼラ「ンゴォォォォォ!!」


バシュウウウウ!ガキンッ!ガキン!ガキン!ガキン!



『ぐああああぁっ……!』



ギーゼラは錆を解き放ち、銀色の姿となった。
猛スピードでダイボウケンへ突撃する!





イエロー「こっちは遅くなってんのに向こうは早くなってんの~!?」

ピンク「まずは、ダイボウケンの機体を回復させなくては……」

レッド(開運)「そうだな……!」

    『発進シフト・ON!ドリル!ショベル!ミキサー!クレーン!』




レッド(開運)「ゴーゴードリル、突撃だ!」


ギュイイイインッ!ガァンッ!



ギーゼラ「ンゴォッ!?」



レッド(開運)「魔女の攻撃に隙が出来た!今だ!」



         『合体シフト・ON!ドリル!ショベル!ミキサー!クレーン!』




                  『超・轟轟合体!』



                『スーパーフォーメーション!』






               『スーパーダイボウケン!合体完了!』





まどか「うわわわ、なんか合体したよ……!」





レッド(開運)「ネオパラレルエンジン・出力全開!」


スーパーダイボウケンの体にまとわりついていた錆が解き放たれる。
本来の機動力を取り戻した。

バァアアアアアンッ!


ピンク「機能回復!」

イエロー「よしっ!」




レッド(開運)「魔女は背後か……!まずは奴の動きを止める!」


                   『ウォールシュート!』





バシュウウウウ!……ビキビキビキッ……


ギーゼラ「ンゴッ……」

ハイパーコンクリートに固められ、機動力を封じ込まれる。
動けないギーゼラへ、拳が叩き込まれた。

                   『ショベルアームパンチッ!』



ドゴォッ!



                   『キャノンボールヘッド!』


ドゴォォオオオッ!


頭部にエネルギーを滾らせ、突進。
ギーゼラは吹き飛ばされる。


ギーゼラ「ゴォォアアアアアアッ!?」




ゴォオオオオ………

スーパーダイボウケンの猛攻を耐えしのいだギーゼラだが、その体は既に傷つき、満身創痍。
再び、錆の鎧を纏い、次なる攻撃に備える


杏子「あいつまた錆着やがった……!」



レッド(開運)「いや、かえって好都合だ。……」



                   『トップギア・IN!』






             『    ダブルアームクラッシュ!   』





ズガァアアアアアアアアッ!ゴアアアアアアアアアアアッ!







ギーゼラ「ン……ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」





      ドガアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!





ギーゼラの錆の鎧を突き抜け、スーパーダイボウケンの必殺技が炸裂する!
ギーゼラは爆発を伴い消滅した。





レッド(開運)「……ミッション完了!」






………………………………………









街……



明石「……自分だけの宝、見つかったようだな。」

杏子「うるせ、そんなカッコで言っても格好良くねぇよ……!」


菜月「でもでも、何でそんなかっこで来たの?」

さくら「……まさか、杏子さんに思いの強さを知って欲しいが為に……?」

明石「買いかぶるな、俺を。……その答えは杏子が自分自身で見つけたんだ。こんな事をしなくてもな」

さくら(本当でしょうか……実は少なからず心配していたのでは……)

さくら(……暁さんは子供に過保護な面ありますし……)



杏子「……その、よ……。さっき言った通り」

マミ「……解ってるわよ。……友達、でしょ……?」

杏子「おう……そ、その、……」




まどか「うふふ。……マミさんの笑顔見るの何だか久しぶりだな……。」

マミ「え……?」

まどか「やっぱり笑顔が一番ですよ……。みんなで笑って……。」

まどか「私も、みんなで笑いたい……。……!」

まどか「……そう……!私も、みんなで笑う為に……!」




さくら「まどかさん……?」

まどか「私、ママに言われた事に意味……解った気がします!」

さくら「……!本当ですか!」

まどか「うん……いや、ほんの少し、だけなんですけどね……」

ここまで 法被燃やそうかと悩んだけどやめておきました


まぁ大凶モードあっての開運モードだからその気持ちは良くわかる。
しかしボウケンとまどマギキャラは思った以上に相性が良いな。ところで、やっぱり映ちゃんとQBがコンビなの?


まどかがはっちゃけてるww

>>400
使命じゃなくて自分だけの宝を見つける為に戦ってる連中だからですかね
QBは「目的は正しいがその為の過程が強引すぎる」点がアクタガミと共通してるので意識してます
ズバーンを仲間にしようと言い出したのも映士だったし人外とのコミュは映士の仕事

>>401
ただの声優ネタなので特に意味はないです

…………………………………………………………





明石「どうだ……蒼太。状況は少しか変わったか」

蒼太『いえ……。さやかちゃんがどこに歩いているのかすら見つけられません……。』

明石「そうか……。」

蒼太『……街中で見つけた魔女やワルプルギスに関するデータは本部の方に送っています。……あまり目新しい物はないけど……』

蒼太『……さやかちゃん、大丈夫かな……』

明石「そう弱気になるな。魔女になれば誰かが見つける。誰も見つけないという事は大事には至ってない。」

明石「……何かあったら連絡してくれ。」

ピッ

















………………………………………


蒼太(……今の僕がさやかちゃんの為に出来る事って……)

蒼太(過去の涙を背負って行く……か。)

蒼太(今は……目の前にあるさやかちゃんの悲しみを止めなきゃ……。)

蒼太(その為には何をすれば良い……?)

蒼太(僕は、どういう思いで居れば良いんだろう……)

……………………………………………………………………………




ほむらの家……


ほむら「……。」

真墨(アレのせいか……?尋常じゃなく沈んでるっつうか……)

真墨「ま、まぁまずはそのワルプルギスって奴のデータくれよ、サージェスに持ち帰って何が有効か照らし合わせ……ん?」



トゥルルルルルル……

真墨「……あ、電話鳴ってるぞ」

ほむら「……ちょっと待っててください」




ほむら「……鹿目さん。」

真墨(……あの子からか……)

真墨(そういえばほむらが契約したって理由もその子だつってたっけな……)

まどか『ああ、いや、なんとなく電話したくなっちゃったっていうか……ね?』

まどか『ちょっとの間会ってないから元気かな~って思ったっていうか』

まどか『……今から会えないかな……。さやかちゃんを探すのに協力してほしくて……』

ほむら「……ごめん、鹿目さん……。私は今、無理です……。」

ほむら「……ごめんなさい。」

ピッ




真墨「何の電話だったんだ……?何で断って……」

ほむら「……いえ……」


真墨(あの事が引っかかってんのか……)


真墨「……あんな奴の言う事気にすんなって……あんなんただのあいつの馬鹿げた誇張だっつの」

ほむら「でも、私がやってきた事は全て事実です……。自分の為に、みんなを見捨てて来たことも」

ほむら「……もしかしたら、私のせいでみんなが死んできたかもしれない事も……」

ほむら「でも……時間遡行なんて話、信じるんですか……?」

真墨「今更時の冒険者程度で驚けるかよ……」

真墨「……とにかく、ムカツク野郎の言う事よりも」

ほむら「私は自分の為だけに戦ってきた……。でも、私のたった一つの道しるべも、絶ってきたのは……。」



ほむら「私のやってきた事は全部無駄だったのかもしれない……。たった一つの光も、消して来たのは私自身なんじゃないかって……。」

ほむら「なんでだろう……あの時……自分の弱さを呪って……みんなに認められたかった……鹿目さんと一緒に戦いたかった……だからって……」



真墨(光……か……)

真墨(なんか、あの時の俺と似てんな……闇に魅入られて、大事なモンも全部ぶっ壊しかけた時の俺に……。)

真墨(自分を見失って、何もわかんなくなった時の……思い出したくねぇけど……)





真墨「まぁよ……そんな事考えるのは後でいいじゃねぇか……。」

真墨「目の前のワルプルギスは……どうあってもぶっ倒さなきゃいけねぇ魔女なんだし……」


ほむら「……。」

ほむら(もし、ワルプルギスを倒した所で、まどかは……もう……)


……………………………………………………………………




まどか「さやかちゃん、見つかりませんか……?」

さくら「蒼太くんと高丘さんが捜索中ですが……見つかったという報告は……。」

まどか「……さやかちゃん……」

さくら「……とはいえ、全く無駄足ではありません。真墨からの目撃場所や、発見できなかった場所……」

さくら「それらのデータを基に中学生の足で行ける距離を計算すると……かなり広い見滝原と言えど、残りは……数箇所です」

さくら「あとは……まどかさんのソウルジェムを使って探知すれば、すぐ見つかるハズです!」

まどか「……ホントですか!場所は何処ですか!?」

さくら「……行きましょう!」











………………………………………………………………………










まどか「……あぁっ!!こっち、こっちです!!」

さくら「はい……!魔力の捜索範囲に到達できたのですね……!」

まどか「まぁ一応……でも、ほんの少しだけで……今にも見失っちゃいそうなくらいなんですけど……」

まどか「あぁ、でもさくら先生、探し物のスペシャリストですよね!……ならきっとすぐ!」



………………………………



さくら「一つ……よろしいでしょうか……。」

さくら「まどかさん……。まどかさんが、お母さんから言われた事って……」



まどか「……」

まどか「……私、今まで誰かの為に戦える、ってだけで、誰かの為になれる、ってだけで自分が幸せ……だって思ってた。」

まどか「タツヤを事故から救えて、こんな風に誰かを助けられたら、……って」

まどか「だけど、あの時さやかちゃんに拒絶されて……何で助けられないんだろう、って思ってたらママが」

まどか「『誰かを助けたいなら自分をはっきりさせて、相手にその思いを伝えなきゃ』……みたいな事を言われたんです」



さくら「自分をはっきりさせて、思いを伝える……ですか……?」



まどか「……マミさんや杏子ちゃんみたいに、私も自分の本当の気持ちと向き合わなきゃダメだったんだ」


まどか「戦ってるのは私一人じゃない、魔法少女で誰かの助けになれると思ってたけどそれは思い上がりだ」

まどか「助ける私だけが一生懸命じゃない、助けられる誰かも一生懸命」

まどか「本当の人助けは自分一人の力じゃ無理なんだ」



まどか「私が誰かを助けたいと思う気持ちは、タツヤを助けられなかった負い目なんかじゃない……」


まどか「私は、手を伸ばすだけじゃなくて、想いも伝えなきゃいけない。最短で、真っ直ぐに、一直線……。」


まどか「助けられる誰かにも、手を伸ばしてもらわなくちゃいけないんだ。」





まどか「それで…… !?こっちから反応が……さやかちゃん!」

さくら「……!」



………………………………………………………………………………










さやか「……なんかもう、訳わかんなくなってきた……。」

さやか「本当の気持ち……?どうして戦いたいか……?」

さやか「……全部あたしの中にある答えのはずなのに、全然見つからない……。」

さやか「一番大切なはずの友達から伸ばして貰った手も拒絶して……誰かを呪って……。」


さやか「どうしたいの……?誰かに側にいてほしいくせに、自分が惨めだからって……」

さやか「結局今やってる事は誰かを守る為じゃなくて、自分を忘れる為に戦ってる……。」

さやか「これじゃあ、あたしの一番嫌ってる自分の為だけに力を使う魔法少女そのものじゃん……。」

さやか「……どうして、まどかやマミさんは誰かの為に戦えるの……?何であたしだけこんな、無様なのかな……?」







まどか「……さやかちゃん!」

さくら「無事でしたか……!良かった……。」


さやか「……まどか……どうしてまたここに……」

さやか「何であたしなんかの為にそんなに一生懸命になってくれるの……?」




さやか「どうしてあたしなんかと違って、誰かの為に戦っていられるの……ねぇ……」



まどか「誰かの為なんかじゃ……無いよ……!」

まどか「私が、さやかちゃんの所に来たのは、……また、二人で……」

まどか「また前みたいに一緒に笑いたいから……!」

まどか「私も一緒に、さやかちゃんと笑っていたいから……!」


さくら(……一緒に……笑いたいから……?)


まどか「さやかちゃんがどんな体だろうと関係無い……また一緒に遊びたい、また一緒に喧嘩したい……!」

まどか「もっと仲良くなりたい……!だから、お願い……。」

まどか「……さやかちゃんは、ずっと、これからも、私の一番の友達だから、ずっと側に居て欲しいから……!」

まどか「私の為に……!私の思いを受け取って欲しい!」



さやか「……」

暫く、沈黙が訪れる。
こわばった顔だったさやかの口元が、ほんの僅かだけ緩んだ。




さやか「……まどか……。ありがとう。あたしの為に来てくれた事は嬉しいよ……」

さやか「だけど、まだ気持ちの整理がつかない……。自分がどうしたいのか、全然解らない……。」

さやか「……もう少しだけ待って……。自分が解るまで待って欲しい……。」



まどか「さやかちゃん……!?何処行くの……!?」

さくら(……!もう残された猶予は……)

さくら(ですが……少しずつですが、さやかさんは迷いから抜け出せている……。)

さくら(あと少し、ほんの少し、……)



…………………………………………………















真墨「……でもいいのかよ、ほかの子達も呼んで作戦立てるべきじゃあないのか……?」

ほむら「……。」

真墨「訓練する暇は無いかもしれないけど、頭の中だけでもシミュレーション出来れば少しかマシだろ……。」



真墨(……って、当たり前だよなぁ……。自分のやってきた事がそっくり否定されちまったんだから……。)

真墨(けどよ……だからって立ち止まってたら何もならねぇぜ……。ほむら……。)





ほむら「……私は今まで、誰かを救う事を最初から諦めて……。」

ほむら「そんな私が今更みんなを救おう……なんて思うなんて、……都合良すぎるよね……」

ほむら「全部自分の都合で……今までの世界全部を……捨てて」

ほむら「今更どんな顔して会えばいいのかわからないよ……みんなに……」

ほむら「私が去った後の世界じゃ、見捨てたみんなが私の事を恨んでいるかもしれない……それなのに、私だけ……」



真墨「だけど……過ぎた事悔やんでもしょうがないだろ。これからの事だけ考えようぜ」

真墨「……きっとお前が今まで何度くじけても立ち上がれたのはその……光、ってヤツのおかげだろ……」






真墨「……俺も偉そうに言ってるけど……実はお前と同じような事しちまってな……」

真墨「……ガキん頃、自分が生き残りたいって理由だけで周りの奴を犠牲にして逃げちまったんだ……」

真墨「その心の闇はどうしても消えなかった……。多分今も消せないんだろうよ……」


ほむら「……じゃあ、どうして貴方は……」

真墨「開き直った。……俺には俺を照らしてくれる光があるんだ、じゃあそれだけ見てればいいってな」

真墨「誰だって、心の中に闇は絶対ある。……絶望しちまったりで闇に囚われちまう事もな……」

真墨「でも……少なくとも、俺の信じたあいつらにはあった。……俺を照らしてくれる光が、よ……。」


ほむら「光……?」

真墨「あぁ……。絶対に消したくない、光……」




真墨「……ほむらが俺たちに協力してくれた。……それも間違いなく本当のほむらがやった事……。」

真墨「なんだ、その……迷ったら望みに進むのが気持ちのいい人生ってもんだろ……?」





真墨(……何て、闇に飲まれちまった、誰かを救いたいなんて思いじゃなくて明石を超えたいなんて思いで危うく地球ぶっ壊しかけた俺がいうのも……)

真墨(随分滑稽だけどよ……。)



ほむら(光……。私の、光は……まどか……。)

ほむら(それだけ……?私の事を思ってくれてるのは、まどかだけ……?)

ほむら(私の光は……「今」は……)



その時、アクセルラーに通信が入った。

真墨「ん……?もしもし、さくら姉さん……?」

真墨「何……!?さやかが見つかった……!」

ほむら「……!?」

真墨「いや……追ってる途中?でもなんとなく居場所は解るんだろ……!」

………………………………………………………………………







公園……。







ベンチ、二人で話し合う仁美と恭介。




恭介「……志筑さん、帰る方角こっちだっけ……。」

仁美「いいえ……。本当は全然逆方向ですわ……。」

恭介「……じゃあどうして……」

仁美「……お話したい事がありますの……。」



物陰……。




さやか(……物影から人の会話、わざわざ魔法使って盗み聞きして……。)

さやか(あたし、いくらなんでもセコすぎだよね……。)

さやか(……でも、ここに来ちゃう……。どうしても二人を追っちゃう……。)

さやか(憎い……?それも少しあるけど、なんか、もっと……。)

さやか(もっと、違う、心が何か寂しいような……)













恭介「……ごめん、悪いけど、今はそんな話しする気分にはなれないよ……。」

仁美「え……?」

恭介「僕、今、自分のやった事で心がいっぱいなんだよ……。」

恭介「さやかに、関係無い事で八つ当たりして……。」

恭介「腕が治った途端、自分の事ばっかり考えて、ろくにお礼も言えないで……」

恭介「さやかが学校に来なくなった途端、今度はさやかがいない寂しさに気づいたっていうかさ……」

恭介「……バカみたいだよね。失わないと気づかないなんてさ……。」

恭介「今はさやかに謝りたい……。許してもらおうなんて思ってないけど、そうでもして一度さやかとけじめをつけたいって」

恭介「だから……ごめん……。」

仁美「いえ……。私も同じ気持ちです……。」

仁美「さやかさんの思いも考えないで、私が無神経な事言って……」

仁美「自分じゃ正々堂々やったつもりでも、今思えば、凄く卑怯なマネして……。」



恭介「……さやかの優しさに甘えてたのかな、僕ら……。」

恭介「さやかなら何言っても許してくれるなんて、内心どっかで考えてた……。」

仁美「自分の都合だけさやかさんに押し付けて……。」


仁美「でも、だからこそ今度はちゃんと正々堂々したい。」

仁美「ずっと一緒だった、友達として、全部ぶつけあいたい……。」

仁美「私も、さやかさんの都合を背負わないとダメだったんですわ……。」

恭介「……そうだね……。」



…………………………




さやか「……違う、そんな寂しい、とか憎いとかそんな感情じゃない……。」

さやか「あたしは、あたしは……ただ……」





さやか「ずっと、恭介の事が……」

さやか「恭介の事が好きなだけだったんだ……」

さやか「仁美ともずっと友達でいたかった……たったそれだけの事だったんだ……」

さやか「それなのに……自分の気持ちに嘘ついて、仁美を恨んで……」



その時、さやかのソウルジェムが鈍く光った。
恭介と仁美の近くで一体の魔女の反応を捕らえた。


さやか「……!魔女……!?こっちに向かってくる……。」



さやか「この方向じゃ、恭介と仁美を……!」

さやか「ダメ……今、目の前にあるあたしの……」

さやか「あたしに向けてくれる優しさを消したくない……」

さやか「みんなあたしに手を伸ばしてくれてたんだ……。それを……その手を……」

さやか「消したくない……一人になりたくない……」





魔女の結界を目掛け、さやかは走り出した。









QB「……やれやれ。君のソウルジェムはほんの少しで魔女になるというのに」

QB「そんな状態で魔女と戦ったりしたら、もう……。」










ここまで
今週以内に続きを

………………………………………………………


駅周辺……

蒼太「さやかちゃんがここにいるって本当!?」

まどか「間違いないです……!すぐ近く、あと少しで……」

マミ「えぇ……私も反応を感じるわ……。」

さくら「残された時間は少ないです。話は向かいながら!」


真墨「おい!……みんな来てたのか……」

菜月「真墨!ほむらちゃん!」

ほむら「ギリギリ間に合いましたか……。」

まどか「うん!……みんなでさやかちゃんの手を握って……」

まどか「一緒にワルプルギスを倒して、……みんなで友達になって……」

まどか「一緒に笑ったり、泣いたり、喧嘩したりしよう!……約束だよ!」

マミ「勿論よ……。私の大切な人を失う訳にはいかないもの……」

マミ「……暁美さんも、ほら!」


ほむら(みんなで笑って、泣いて喧嘩して……。)

ほむら(そうだ、まどかも、巴さんも、佐倉さんも……きっと美樹さんも、全部……)

ほむら(全部、私の「光」だったんだ……。)

ほむら(誰にも、私の心にも闇はある……きっとそれは、普通の人よりも深くて、醜いのかもしれない……。)

ほむら(だけど、こんなにも溢れてる光……きっと今は私を照らしてくれている、光……。)

ほむら(もう二度と、消させてなんかなるもんか……!)



ほむら「うん!急ごう、鹿目さん!巴さん!間宮さん、西堀さん、最上さん、……真墨!」


真墨「おう……ん?俺だけ呼び捨てかよ……まぁ良いけど」

駅………






さやか「うぅっ……はぁっ……はぁっ……」

さやか「良かった……最後に残った……あたしの失いたくない物だけは……」

さやか「失わずに済んだ……。」


QB「……もう限界なのかい?」




さやか「もうソウルジェムも真っ黒……。」

さやか「どうなるんだろう……。これ以上魔法が使えなくなる……?」

さやか「それとも、もしかして、……死ぬのかな……。」


QB「死ぬ……まぁ、当たらずとも遠からずかな」



さやか「いいや、それで良いんだよ……きっと……」

さやか「みんなに迷惑かけて、傷つけて……孤独で寂しく死んで行く、それがきっとあたしにピッタリの死に様……」

さやか「……それでも、最後に残った物を守れた……今のあたしにしてみれば、とんだ奇跡……。」

さやか「無駄じゃなかった……あたしの願った奇跡は、全部、絶望じゃなかったから……。」





QB「……そうかい。」









QB「……で、君は何を企んで此処にいるんだい?」

さやかから少し離れ、暫く歩いたところで
キュゥべえの元にもう一体のインキュベーターが現れる。
その個体は、母性とのつながりを絶ち、あらゆるネガティブの一部を取り込んだ個体だ。



QB「企んじゃ悪いのかい?ワルプルギスを倒す為の戦力は少しでも欠いた方が良いんじゃないかい?その方がエネルギー回収の契約もはかどるんじゃ?」

QB「それももっともだけれど、僕らの契約上、自らの手で彼女たちを傷つける事は許されないとのはずだけれど」

QB「それが間違っているんだよ。契約の目的は宇宙延命だろう?願いを叶えた以上、何をやっても許されるはずだ」


QB「ソウルジェムや魔女の事は契約前でも聞かれれば答えたから代償としては当然だよ。でも僕らが彼女たちを傷つけるのは説明していないからそれは許されないんじゃないかな」

QB「この星は家畜にするにはうってつけの星だ。どうして利用しないのかな?」

QB「今は文明の未発達な星でも今後僕らと並ぶ可能性があるから丁重に扱えと結論づけたじゃないか」

QB「並んで何の意味があるんだい?それよりも、契約・エネルギーを回収を優先すべきだ」

QB「やれやれ……何を企んでいるのか知らないが、僕らが干渉出来るのは契約に関してだけだよ」

QB「律儀に約束を守るから時間がかかるんだよ。譲歩する必要など無い」




QB「……通信が途切れたときから予想はしていたけれど、君には感情が芽生えているね……。アシュの細胞を取り込もうとしたのが間違いだったのかな」

QB「思いの力は凄いよ。今まで契約だの譲歩していたのがバカらしく思える」

QB「確実に僕だったものが、僕ではない何かになっている。……妙だね。……思いの力か、感情という物はとても全てを理解出来ない。」

QB「あぁ。これは『恨み』や『怒り』。僕の中に蠢いている。」

QB「その感情は果たして目的の為の手段と成りうるのかな……」

QB「まぁ、そんな事はどうでもいい。暁美ほむらの記憶によると、魔女の真実を知った時、マミは……」

QB「そういえばアシュの細胞を取り込んだ目的はそれだったね。結果はご覧の通りだけれども」


QB「そうさ。……ごぉっ、んべえっ、おろろぇええええッッ!!」


インキュベーターの口から、無数の小石が吐き出された。
その小石は人型を形作り、動き出す。




「「「「ケケケケケエエエエエッッ!!」」」」



QB「……確かこれはゴードム文明の戦闘兵……カース」

QB「そうだよ。」

QB「まぁ……この星が壊滅するのは惜しいけれど、どうしようもない。他の惑星を探すとするか。」

QB「壊滅なんかさせないよ。この星は僕の管理下、僕が守るんだから。……宇宙の果てから迫る驚異からね」






QB「アシュの残虐さと僕らの使命が交わった結果がこれか……。」


QB「僕を頂点としてこの星は一つになるのさ。人類は多少の犠牲を払う変わりに安全に暮らせる。理想的関係だ。」


QB「はぁ……それはもう、ただの侵略行為だよ」





……………………………………………………………



まどか「……この駅!ここに絶対いるよ!」

マミ「……タイミングが良かったわ。夜だから、簡単に見つかりそう……。」


真墨「そうだな……  ……? おい……何か来るぞ!」







『『『カアアアアアアァァァァァァァァッッッ!!!』』』




駅へ乗り出した七人の前へ、カースの大群が押し寄せた。


さくら「……!見てください!」

菜月「あぁっ!?あれ、ゴードムの……!」

蒼太「……カース……!!」



まどか「な、なんでこんな時にぃ!」

ほむら「誰かが美樹さんの元に行くのを邪魔してる……!」

真墨「アイツか……!」

さくら「とにかく、今は奴らを倒さないと先へ進めません!」

菜月「……そうだね!」

マミ「時間はかけてられないわ!」








   『ボウケンジャー!スタートアップ!』







キュイイイインッ!

ブラック「ラジアルハンマー!」


イエロー「バケットスクーパー!」


ピンク「ハイドロシューター!」


ブルー「ブロウナックル!」


ドドドドドドドドドドドドッ!!!

ドォオオオッ……



マミ「ティロ・ボレー!」

まどか「響けッ!胸の鼓動ッ!未来の先へぇぇぇッ!!」

ほむら「……たああああッッ!!」






……ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!




まどか「……やったかな!?」

ブラック「いや……!まだ残ってる!」


『カァアアアアアアッッッ!!』

ブルー「これだけの攻撃を受けても全滅しないなんて……!」

マミ「こんなのに構ってる時間は無いのに……!」

ほむら(時間を止めてもこれだけの数を一瞬で倒せるかどうか……!)


イエロー「もう!片っ端からやっつけるしかないの……!?」


ピンク「いえ……。アクセルテクター!デュアルクラッシャー!ドリルヘッド!」




ピンク「これで道をこじ開けます!その隙にブルーはさやかさんの元へ行って下さい!」



ブルー「了解!」


ピンク「……GOッ!!!!!」




ドォオオオオオオオオオオッ!ドォガァァアアアアアアア━━━━ンッッ!!!!!!




ブラック「道が開いた!今だッ、行け蒼太!!」



ブルー「行ってくる!みんな!あとは任せたよ!」ダッ!


まどか「よしっ!!頑張って下さい、蒼太先生!」



まどか「しっかしさくら先生は凄いなぁ……。やっぱり、適わないや。」


ピンク「そんな事ないです。……私だって、まどかさんから教えてもらった事だってあるんですから。」



ピンク「私の宝は、私達の、みんなの笑顔……。それを忘れかけてた時に、気づかせてくれたのは貴方だった。」

ピンク「貴方の想いが、私に、私だけの宝の本当の意味に気づかせてくれた。」

ピンク「……みんなで、笑顔になりたいから!」


ピンク「全部終わったら、またみんなで笑いましょう……本当の気持ちで、心からの笑顔で!」



まどか「え……?そうですか……?はい!」

まどか「なんだか分からないけど、褒められるのは嬉しいです!」





ピンク「……まだ敵は残ってます。倒しましょう!」

まどか「了解ッ!」


駅、構内



ブルー(こっちだ……!この駅のホームに生命反応!さやかちゃんで間違いない!)




ジャリュウ「ミギャアアアアッ!!」


ブルー「何ッ!?……ハッ!」




突然現れたジャリュウがブルーの行く手を阻む
すんでの一瞬、ボウケンブルーは横方向に回避、ジャリュウの攻撃は床面を砕く





ジャリュウ「「ミギャアアアッッッ!!」」

ブルー「カースだけじゃないのか!?……確かブラックが奴はリュウオーンの細胞も取り込んだと言っていた……!」



ブルー「こっちも数が多いけれど、モタモタしていられないんだ!……サバイブレード!ハァッ!!」

…………………………………………………………………………


さやか(ダメだ、体に力が入らない……)

さやか(心臓もドキドキしてきた……。死んだような体なのに、不思議だ……)



さやか(死んだら皆悲しむかな……?)

さやか(……いや、きっとこんなあたしがいなくなっても誰も悲しまないよね……)



さやか(こんな、みんなに酷い事して、迷惑かけたあたしなんか……)






杏子『……さやか!おい!そこに居るんだろ!返事しろッ!!』


さやか(……テレパシー……?)



杏子『馬鹿野郎!今まで何処ほっつき歩いてやがったんだ』

杏子『今そこ行くからな……!!動くんじゃねぇぞ!解ったか!!』


さやか(杏……子……?どうして……?)


さやか(でも……もう……)

さやか「……ありがとう、杏子……。」

さやか「でももう、いいよ……あたしの事なんか放っておいて……。」

さやか「それよりも、あたしの達せなかった思い、あんたが受け継いでよ……まどか達と一緒なら、あんたなら出来ると思うから……。」

さやか「あたし、もう……」



杏子『バカ言ってんじゃねぇっ!!あたしはてめぇの思いを受け継ぐとかそんなつもりなんてねぇんだよ!!』

杏子『さやか、お前はきっと昔のあたしなんだ……。きっとあんたを救う事があたしを救う事なんだよ……』

杏子『だからさやか!あたしの為に……あたしの為にあたしにあんたを救わせてくれ!頼む!』


さやか(っ!)






まどか『さやかちゃん聞こえる!?無事!?』


さやか(まどか……?)

さやか(あたしが拒絶しても、何度も何度もあたしに……)



マミ『私達がいる!何でも一人で抱え込もうとしないで……!私達、友達でしょう……!』


ほむら『あなたが死んだら、みんなが悲しみます……!あなたは闇なんかじゃない、光なんです!』


さやか(マミさん……ほむら……)




さやか(みんな……あたしの事、ずっと……)

さやか(あたしの周りにはこんなに優しさに溢れてて……)

さやか(それなのに、あたしは、傷つくのを恐れて、心を鎧って……)


さやか(あたしって、ほんと……)









QB「どうやら、みんなはここにたどり着けそうだね。」

QB「だけれど、穢れがもういっぱいだ。もうそれはソウルジェムとは呼べない。」

QB「見てくれこそソウルジェムだ。だけれど、その中身はグリーフシードと大差ない。今更、どうしようもない。穢れは吸い取れないよ。」

…………………………………………………


ブルー「サバイバスター!」



バシュゥンッ!バシュゥンッ!バシュゥンッ!



ジャリュウ「グハァッ!!!」




ブルー「……ハァッ!!」


ドォンッ!

ジャリュウ「ガァゥッ!?」



背後から迫り来るジャリュウへ回し蹴りを見舞う。






ブルー「こいつらも次から次へキリがない……!倒しても倒しても……!」


ブルー「くっ……!」

レッド「ボウケンジャベリンッ!!」


シルバー「サガスピアッ!」


杏子「おらあああああッッッ!!」


ズシャァアアアッ!


ジャリュウ「「ミギャアアアアアッッ!!!」」





ブルー「レッド!シルバー!……杏子ちゃん!」



レッド「ブルー!ここは俺たちに任せろ。先に行け!」



シルバー「あぁ!」




杏子「そうだよ!今更くよくよすんじゃあねぇぞッ!」

杏子「救いたいんだろ、あんたが!さやかの事を!」



ブルー「……!」



シルバー「それに俺もまだアイツに自分の為に戦うってのがどういう事か伝えきれてねぇッ!」

シルバー「蒼太!お前なら解るだろ、それがどういう事か!」

杏子「……これ持っていけ!あたしのソウルジェムだ!」


ブルー「良いの?これ、凄く大事なんじゃ……」



杏子「百メートル以内だったら大丈夫だ!こっからそんなに離れてないだろ!」

杏子「あたしが魔力を仲介すればこの距離なら直接さやかとテレパシーで話せる!」

杏子「……失くしたりすんなよ!そんな事したらぶっとばすからな!!」



シルバー「あぁ……これも持っていけ!蒼太!グリーフシードだ!」





ブルー「そうか……!ありがとう、みんな!僕が、僕がやらなくちゃいけない事なんだ……!」

ブルー「『さやかちゃんの笑顔を忘れさせない!』……絶対に守り抜いてみせる、その笑顔を……!!」


………………………………………














蒼太『さやかちゃん!聞こえる!?』




さやか(蒼太さん……!?何でテレパシーを……)






蒼太『ごめんね、さやかちゃん……。』


蒼太『僕が今までして来た事は僕がいくら理由をつけても絶対に消えない、』


蒼太『過去の涙を背負って生きて行くなんて僕が決めても、そんなのただの自己満足かもしれない』



蒼太『今更こんな事を言っても、言える資格が無いとしても』


蒼太『自己満足でも構わない……この思いに嘘をつきたくない』


蒼太『……今は、『僕が君を守りたい』!それが僕の本当の気持ちなんだ!』





蒼太『君の優しい微笑みを守る、それが……僕の冒険だから!!』



さやか(本当の気持ち……)


さやか(そうなんだ……自分の為に戦うって事は誰かの思いを踏みにじる事なんかじゃない……)


さやか(映士さんが言いたかったのは、自分の気持ちから絶対に逃げないで自分と向き合って行くって事なんだ……)


さやか(それなのにあたしは、自分からも、みんなからも逃げて、そして……)


さやか(ううん、ここで逃げたらまた今までと同じだ……こんどはあたしが手を伸ばさなきゃいけないんだ……!)



さやか(ここで自分と向き合って一歩踏み出す事……それがあたしの……)



さやか「冒険だから……!」








蒼太「さやかちゃん!」ダッ



その時、蒼太が階段を上りきり、さやかを見つける。
グリーフシードを握り締め、さやかのソウルジェムを浄化する為、一目散に駆け出した





蒼太「間に合ってくれ……ッ!!!」

ここまで
このSSの真墨の髪型は本編じゃなくてゲキレンvs時のセガールみたいな髪型の方
あと>>334>>335で二重投稿してましたすんません

……………………………………………………






まどか「……!?大変!こんな時に魔女が……!?」


マミ「何ですって……!?……本当だわ……場所は……美樹さんのすぐ近く……」


マミ「美樹さんの反応が消えた……結界に飲み込まれたのかもしれない!」





ほむら「っ……!?」

イエロー「え……嘘……そんな……」


ピンク「さやかさんの反応が消えた……?」


ブラック「おい……って事は……蒼太の奴……間に合わなくて……」


ブラック「あいつは……さやかは……」


…………………………………………








ジャリュウ「グ……アァッ……」



レッド「ジャリュウは残り三体か……。」


シルバー「あぁ……。」


レッド「俺はブルーの所に行ってくる。後は任せた。」


杏子「任せておけ!」










………………………………………………………………




駅……




レッド「これは……魔女の結界……!!」


レッド(結界の扉が……!)

結界内……

蒼太「……」



蒼太の目前には、魂の抜けた人形と化したさやかが横たわっていた。
その目に輝きは無く、表情も当然ながら、生を感じさせない。






魔女「グォアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

結界の中に、魔女の咆哮が響き渡る。







レッド「この魔女は……!これは……ブルー!」

レッド「ソウルジェムは……」



ボウケンレッドが結界内に駆けつけた時、蒼太は力なく倒れていたさやかを抱え、
魔女の攻撃の届かない物陰に身を潜めていた。




蒼太「さやか……ちゃん……」




さやかの体からは、全く生命反応が感じられない。
ソウルジェムは限界を迎えていたのだ。


蒼太「クソッ……あと少し、ほんの少しだけ、僕が……早ければ……」



蒼太は目尻に涙を浮かべ、さやかの既に血の通っていない手を握り締める。

ボウケンレッドは暴れる魔女の姿、蒼太の掌を見て多方の状況を把握する。

レッド「いや……」

レッド「まだ望みが完全に絶たれた状況ではない……。」




レッド「……それより問題なのはこれからだ……この状況を奴に知られてしまえば……」

レッド「結界の扉が閉じたら最後、脱出出来なくなる!まずはここから脱出するぞ!」

…………………………………………………………




まどか「……杏子ちゃん!さやかちゃんは!?」



杏子「わかんねぇ……魔女の結界に飲まれたかもしれねぇんだ……」

マミ「美樹さんのソウルジェムはもう限界のはずよ……!」



ほむら「……最悪だ……」

ほむら(よりにもよってこんな状況で……)




映士「魔女の反応って……まさか……」



さくら「……。」






明石「……集まってたか。」


真墨「明石……!」



蒼太「……」


明石と共に、腕にさやかを抱えた蒼太が戻ってきた。




まどか「さやかちゃ……!?」


マミ「ソウルジェムの反応が……無い……」

杏子「死んでんのか……これ……!?」



蒼太「みんな……さやかちゃんは……」

明石「言うな……蒼太。」


蒼太「……でも!」


明石は目を閉じ、首を横に振る。

蒼太「っ……」

まどか「さやかちゃん…!?どうしたの!ねぇ!さやかちゃんっ!起きてよ!ねえっ!ねえっ!」


QB「間に合わなかったようだね。やれやれ、彼の作戦通りといった感じか。」


マミ「キュゥべえっ!美樹さんはどうなったの!どうして倒れて、息もしていなくて、こんな……」





真墨(またアイツか……!?)

真墨(こんな最悪な状況でのこのこ出てきやがって……!)


真墨「おい、そいつの言う事に耳を貸すんじゃねぇっ!」







QB「さやかのソウルジェムは魔女を産んで消滅したよ。ソウルジェムの反応が無いだろう?」

QB「それが動かぬ証拠さ。ううん、あともう少し、数時間くらい早ければね」



菜月「……!」


マミ「え……?美樹さんが、魔女……に……?」

マミ「どういう事……ねぇ……キュゥべえ!どういう事……!!」


QB「言葉の通りさ。……君達のソウルジェムは魂そのもの。それに穢れを溜め込みすぎると、自らが呪いとなる。」

QB「美樹さやかは、ろくにソウルジェムを浄化出来なかった。だから、こんな早く魔女になってしまったのさ」



まどか「何で……!?何で!?ねぇ何で!何でそんな事……!!」


QB「う~ん……聞かれなかったからかなぁ。説明を省略したのがそんなに悪かったかい?」


まどか「どうしてっ……どうして……こんな事する必要があるの……!」



ほむら「……。」

マミ「キュゥべえ……貴方の事、もう信じないわ……。」

ほむら「巴……さん……?」


菜月「ねぇっ!魔女からさやかちゃんを戻す方法は無いの……っ!?」


QB「さぁね。わからないよ。魔法少女は条理を覆す存在だ。」

QB「前例はないけれど、可能性は無い訳じゃあないんだ。」



さくら「少なくとも、可能性が潰えているわけではないという事ですね。」

QB「まぁそんな所だね。」

さくら「もう結構です……もう貴方なんかに聞く事は何もありません……二度と我々の前に姿を現さないで……」


映士「てめぇ……こんなに悲しんでるこいつらの事見て、なんとも思わねぇのかよ……!!」

映士「何も知らねぇ奴ら騙して……!最後は魔女で絶望で終わっちまうなんて、おかしいと思わないのかよ……!」


QB「前にも言ったろう、高丘映士。仕方のない、副作用なんだ、これは。」



映士「っ……いくら使命でもこんな事許されて良いハズがねぇぜ!」

映士「それが命を握りつぶした奴の言う事かよッ!」

映士「こんな事して作った世界なんて……間違ってるに決まってる……!」


マミ「ソウルジェムが魔女を産むなんて……それじゃあ私達、何の為に……」

杏子「まだだ……まだ諦めねぇぞ……」

杏子「さやかは魔女になっちまったけど……でも……!」


杏子「前例が何だ……!諦めちまったら……さやかを見殺しにするのと同じだ……!」

杏子「まだ出来る事はあるハズだろ……みんな……!」



まどか「杏子ちゃん……!」


杏子「なぁ……いいのかよ……こんな……」

杏子「さやかが救えるかどうかまでキュゥべえの野郎に決められて……!」




マミ「……そうね……。最後まで頑張らないと、結果は解らない……。」

ほむら(……魔女になるって事は、魂そのものは消えて、呪いが全てになるという事……。)

ほむら(でも……出来る事をやりきるまで、立ち止まっちゃ何も変わらない……。)




明石「……。」



明石「……このさやかの体はサージェスで保管する。生命維持装置を使えば数日間なら問題ないはずだ。」

真墨「俺たちでもおっさんと協力して戻す方法が無いか考えてみるぜ。……誰か一人こっちに寄越してくんねぇか、ソウルジェムのデータも」



蒼太(……。)

蒼太「いや……。魔女に呼びかける以上、一人も欠けちゃダメだ……。」

蒼太「僕らは今あるデータだけで何とかしよう……。」


真墨「あ……あぁ……。」


翌日、サージェス本部……








菜月「さやかちゃん、無事かな……」


明石「何も死んでしまった訳ではない。希望を捨てるには早すぎる。」


明石「牧野先生が今過去の文献と照らし合わせて方法を探っている。」





蒼太「でも……みんな……もしこれで杏子ちゃん達が絶望したりしたら……!」

真墨「賭けるしかねぇ……今はこの方法に……!信じようぜ、あいつらを!」


さくら「……あのネガティブの力を宿したインキュベーター……奴がワルプルギスの夜を使い我々を倒しに来るのは恐らく確定的でしょう。」

さくら「戦力の面から見ても今回、さやかさんが助かるかどうかが奴に勝てるか否かの分かれ目になるかもしれません。」

さくら「真墨の言うとおり、まどかさん達、そしてさやかさん自身を信頼するしかありません。今の我々には、それしか」




映士「確かにな……。」


明石「あの結界内にボウケンチップをばらまいておいた。魔女が活動を再開すれば、サガスナイパーで追えるハズさ。」



蒼太「……もし、魔女が人間に戻れる方法を見つけられれば、これからも魔女を倒さずに」




ボイス『それは無理だよ、ブルー君。』


映士「ボイス……!?どういう事だ……?」


ボイス『冷静に考えてもみなよ。グリーフシードを解析して、少しでもソウルジェムと同じような「心の力」が検出されたかい?』

ボイス『厳重に解析したけれども、ハッキリ言って完全な魔女から人間に戻すのは不可能だ。全く別物になっちゃっているんだよ。』

ボイス『心なんかこれっぽっちも残っちゃいない。そこにあるのはただの呪いと人を食べるという行動理由だけさ』



蒼太「っ……!」


ボイス『魔女になる前にどうにかするしかないんだよ』

ボイス『癪だけれども、これに関しては完全にインキュベーター君が上手だ。お手上げ。』





明石(魔女が人間に戻る事は不可能……か……)





サージェス、医務室……





明石「さやかの容体は……」

牧野「生命維持装置を総動員して……最低限、脳死と心肺停止だけは防ぐようにしていますが……」

牧野「この人工的な生命維持だと……もって一週間……。それ以降は腐敗を止められません……。」






牧野「……彼女達がいずれ魔女へと変わる……。それを戻す事は不可能だと……。」

牧野「現実を目の当たりにしてとても辛いのは解ります。……しばらく休暇をとって、心を落ち着けても」





明石「もし、魔女が人間に戻るのは不可能というのであるならば……」

明石「例え彼女たちが絶望の中、助けを求めながら魔女になったとしても、俺たちは彼女たちを倒さなければなりません。」

明石「彼女たちが別の誰かの命を奪うのであれば……今生きている命を優先すべき……。俺はそう思います、牧野先生」



牧野「明石君……」

街中………




杏子「何だお前ら……揃いも揃ってずる休みかよ……」




まどか「うん……。まださやかちゃんの笑顔を見れてないから、私は……」




マミ「魔法少女が魔女になる……って聞いたときは、一瞬頭がおかしくなって、悲しくなって……」

マミ「でも、もしここで美樹さんを助けられる事が出来たなら……私達は絶望で終わらなくても済むのかもしれない……」

マミ「まだ、大切な友達がいるのに、私だけ落ち込んでなんていられない……。」




ほむら「……私も、自分自身の光を、もう二度と消したくない……。もう少しで手が届きそうなのに、諦めて取り逃がしたくない……」





杏子「何だよ、お前ら。……そういえば、あたしとお前ら、最初はいがみ合ってたっけね……」

杏子「マミ……。あたしはあの時あんたが羨ましくて、妬ましくて、眩しすぎて仕方なかった……。」

マミ「佐倉さん……」




杏子「家族が死んで以来、この世に奇跡なんて無い、愛と勇気なんて意味が無いって思っていたけどさ……」

杏子「だけど、自分を信じて前に進める力があたしにはあった。」

杏子「ちょっとでも勇気を持って踏み出しゃ、何か少しくらい変わる……って」

まどか「……私も、私の思いは私だけじゃ意味がない。言葉にして誰かに伝えなきゃいけないんだって。」

まどか「誰もが、繋ぎ繋がる手を持ってる。」

まどか「私の戦いは手を継なぐ事……。」


ほむら「過去を振り向き続けてちゃ、前に進めない。だから今目の前にある大切な物を大事にしなくちゃいけない。」


マミ「こんなに素晴らしい友達と出会えた……私を心から受け入れてくれる友達……。」

マミ「みんなで助け合える事は凄く心強い事なんだって……。怖くたって、みんなと一緒なら……」




杏子「はは……あたしら、みんな互いに互いを必要してんのかね……。」


まどか「……そうだね。」


マミ「だけど、4人だけじゃ私達は未完成だわ……。」

ほむら「5人そろってこそ、ですよね……」



杏子「あぁ……さやか。あたしらだけのの宝は……お前がいなくなれば何の価値も意味もない。」

杏子「だから……今すぐぶん殴って目ェ覚まさせてやるよ……」



杏子「自分だけの宝だなんてバカみたいなもんであたしら、今こうやっていられんだ……。だから……」


杏子「良いだろ……あと少しくらい……バカみたいな事が起きたって……幸せになれたって……」


杏子「頼むよ……神様……」

……………………………………………………………………



廃工場、橋の上………





杏子「……こっちだ。」

まどか「本当にさやかちゃんの所なの……?」

マミ「私達は誰も美樹さんの結界に入ってない。でも……」

ほむら「この反応は昨日感知したものと同じですね……。」


杏子「違ったらまた探すだけさ……。」


まどか「あれ……さくらさん達じゃ……」


杏子「……!」






…………………………………………………



映士「……ここだ。ここに結界の入口があるぜ。」


明石「行くぞ。油断はするな。俺たちの装備が魔女にどの程度通用するのか、忘れた訳じゃ無いだろう。」

真墨「……!おい、みんな!……あいつら来たぞ……。」




杏子「お前らも来てたのか……!」







明石「あぁ。」





明石「魔女を倒す為にな。」

ここまでです
土日中に続きを

週末まで投下できなさそうです

ヤスカおい……ヤスカおい……
タイミングから少々このSSが不謹慎と感じるのですが続けて大丈夫なんだろうか

杏子「えっ……」


杏子「お前今何つって……」




明石「……魔女を倒す。俺たちの任務だ。」





杏子「な……何言ってんだよ……冗談だろ……」

杏子「そこにいるのが誰かわかってない訳ないだろお前が……」

杏子「お前……仲間が大事とか言ってたじゃねぇかよ……」






明石「……ここにいるのはただの魔女だ。」

明石「無駄話している暇は無い。……頼むぞ、映士。」



映士「……あぁ。」





映士の術が結界の扉を開く。
映士を除く5人は結界に足を踏み入れた。




杏子「ふ……ふざけんじゃねえっ!!」

杏子「てめえらさやかを見殺しにすんのかよ!!馬鹿野郎……そんな事させてたまるか……!!」


杏子「あたしらは……あたしらが……さやかを……さやかを……!!」



映士「ゴーゴーチェンジャー……スタートアップ……。」


バシュゥゥゥンッ!


シルバー「俺様達の邪魔をするってんなら、容赦はしねえぜ……。」

シルバー「すまねぇが任務を妨害するならお前たちはネガティブシンジケートと同じだ」



明石「シルバーは彼女たちの足止めを。俺たちは結界に侵入する。……行くぞ。」

まどか「嘘ですよね……さくらさん……」

さくら「……。」


マミ「どうして美樹さんを助けようってしないの……ねぇ……菜月さん……」

菜月「ごめんね……マミちゃん……」


ほむら「……何で……」

真墨「悪いな……。仕方ねぇ事なんだよ、これは……。」





蒼太「許してくれ何て言わないけど……でも……。」

蒼太「こうする他無いって事だけは……理解して欲しい……。」



杏子「理解……!?嫌だね!やってもねぇのに諦める奴の理解なんて……オイ!待てよ!オイッ!」



シュゥゥン……




まどか「結界の扉が……閉じた……」



シルバー「……どうするんだ。おとなしく帰るか、それとも」

シルバー「……俺様をぶっ倒してでも進むか」




杏子「……決まってんだろ……」





杏子「……ぶっ倒してでも進む……!」

マミ「今回ばかりは引き下がれないわ。……美樹さんの命がかかっているんだもの……!」

まどか「ごめんなさい、映士さん……。でも、譲れない気持ちがあるから。」

ほむら「私達の思いを、舐めないで下さい……」



シルバー「……上等ッ!」

………………………………………………………



魔女の結界内……






「グゥオオオオオオオオオッッ!!!!」




レッド「……行くぞ。油断するな。通常以上に穢れを溜め込んでいる。」

レッド「手の内がある程度わかっているとはいえ、攻撃の破壊力は増しているだろう。」


ブラック「……言われなくても、承知の上だ!」

ピンク「パラレルエンジンを使用した攻撃しか通用しない以上、攻撃の間の隙は互にカバーしあわなければなりません。」


ブルー「離れすぎないようにしろ……ってことだね」

イエロー「うん……了解。」



レッド「……アタック!」



…………………………………………


杏子「……ハァアアアアッッ!!!」


シルバー「……サガスピアッ!らぁッ!」


ガキィンッ!





杏子の槍とボウケンシルバーのサガスピアが拮抗する。

ひときわ大きな火花と同時に、二人は飛び退く。




ほむら「……っ!」


ガキュゥッ!



シルバー「……ッ!」


ガキィンッ!


ほむらの放った弾丸を弾く。
だが、次の瞬間、地面からいくつもの黄色のリボンが飛び出し、ボウケンシルバーの体に絡みつく!



マミ「……おとなしくしていて下さい!」



シルバー「君か……マミちゃん……!悪いが、言う事は聞けないぜ!」


ザシュゥッ!


サガスナイパーを振り回し、リボンから脱出する。



……カチッ


シルバー「……ッ!」



そして、走り出さんと一歩を踏み出す。
だが、つかぬ間にほむらが設置した地雷を気づかず踏みつけた。



……ドオンッ!



シルバー「……ッ!ぐぁッ!」

まどか「映士さん……ごめんなさい!」

バシュゥゥッ!




シルバー「ッ!?……がッ……」

さらに追い討ち、まどかが矢を放つ。
その矢はボウケンシルバーの肩を撃った。
そのまま、ボウケンシルバーはもんどり打って倒れる



マミ「暁美さんッ!今よ!」


ほむら「はいっ!」



カチッ……




ほむらは時間を止め、結界の入口へ向かう。

そして、結界の扉を開こうと、手を翳した。





シュゥゥゥ……


ほむら「……!?あれっ……結界の扉が……開かない……!?」





カチッ……シュゥゥゥ……



まどか「ほむらちゃん!結界の入口を開けて!」


杏子「何やってんだよ!あくしろよ……!」


マミ「暁美さん……!?結界の扉が開けないの……!?」


シルバー「こんな事もあろうかと思って……術をかけておいたぜ……!」


シルバー「『百鬼無限封鎖の陣』……!俺様は完全なアシュじゃないから、精々半分ってとこの強度しかねぇが……足止めにゃ十分だ!」




マミ「結界に結界を……!」


シルバー「術式を刻んだ札は真墨に持たせてる……アイツが札を破くでもするか、もしくは……」

シルバー「この俺様をやっつけるか、それしか方法はねぇ!」

肩で息をしながら、膝をついていたシルバーが立ち上がる。


シルバー(とはいえ……いくら女の子でも4人を相手に立ち回るのはキツイぜ……!)

シルバー(だが……向こうも動揺してる。攻撃に魔女を倒す時みてぇな力が感じられねぇ……。)




杏子「そうかよ……だったら……」

杏子「もう覚悟は決めた。ぶっ潰してやる……!」




シルバー「……だが俺様もな……赤ン坊の時からずっとアシュと戦い続けて来たんだ……」

シルバー「こんな所で、おめおめ負けちまう程ヤワじゃねぇ!」





まどか「……。私も、決めました。」

まどか「はぁぁぁぁーッ……」



まどか「……スターライトアロォーッ!!!」

ドォオオオオオシュゥッ!



矢にエネルギーを集中させ、一層強く輝く矢を生成。
弓を引き、そして、一気に解き放つ!



シルバー(このエネルギー量……!間違いねぇ、さくら姉さんが言っていたあの技だ!なら……)

シルバー「……スナイパーモード!サガストライクッ!」



ドシュゥウウウウウウッ!!


……ドォォオオオオンッ!

二人の必殺技がぶつかり合い、そして相殺し爆発する。
双方のエネルギーは拡散し、消滅した。

杏子「…これでも喰らえ……!」



ゴゴゴゴゴゴ……


地を割き、巨大な槍が姿を現す。



杏子「はぁッ!!」


杏子(……こいつを喰らえばアイツもひとたまりもねぇハズだ……だから……)




杏子(でも……こいつは明石の……)

杏子(いや何言ってんだ……あんな奴の……!)


シルバー「……サガスピア!サガスラッシュ!」



ガシュゥウウウウウウンッ!


……ザァシュゥッ!


一瞬、躊躇いが頭をよぎる。
その隙を突き、シルバーのサガスラッシュが槍を繋ぐ鎖部分を切り飛ばす




杏子「しまっ……あぁっ!」


槍の上に自らも乗っていた杏子は、そのまま橋から転落。


ほむら「ッ……!」


シルバー「させっかよ!スコープショット!」




バシュゥッ! シュルルル……


シルバーの打ち出したスコープショットがほむらの左手首に絡みつく。


ほむら「!?」


シルバー「……真墨から聞いたぜ!こうやって触れてる相手の時間は止められねぇって!」


シルバー「そのワイヤーはそう簡単に切れはしねぇっ!……ハァッ!」




そのまま、ほむらの腕を近くに立っていた柱に括りつけた。


ほむら(っ……!盾を動かせない……!)

まどか「……スプレットアローッ!!」


バシュゥウウウウッ……ドドドドドドドドッ!!!




シルバー「アクセルテクター!……らぁあああああッ!!」


ガキィイイイイッ!!


桃色の矢が空から降り注ぐ。
ボウケンシルバーはアクセルテクターを身にまとい、サガスピアを高速回転させ、可能な限り矢を弾く。

バシュッ!


シルバー「ぐぁッ……」


全てのダメージを打ち消す事は出来ず、膝をつく。
辺り一帯が煙に巻かれ、互を見失った中、マミが上空へ跳ぶ
魔力で大砲を作り出し、ボウケンシルバーの位置を探知した。




マミ「悪いけど、少しの怪我じゃ済まないかもしれないわよ!」



シルバー「今度はそっちか……!デュアルクラッシャー!」



シルバー(確かこの攻撃は……菜月の言ってた通りだとすると……!)

シルバー(少なくとも一人で放つデュアルクラッシャーじゃあ打ち消しきれねえ!……向こうの方が威力が上だ!)

シルバー「いや……なら……!」



シルバー「……ドリルヘッド!……GOッ!!」


マミ(っ……?何処へ向かって打って……!)



マミ「そんな事、今はどうでも……ティロ・フィナーレッッッ!!!」


ドォオオオオオッ!!


マミが砲撃を放つ瞬間、ボウケンシルバーは明後日の方向へドリルビームを放った。



ドォオオオオンッ!

……グラァッ……





マミ「煙突……!?」



ドリルビームは廃工場に立つ、巨大な煙突を折り砕く。
煙突は、ボウケンシルバーとマミの間へ倒れ込む!


シルバー「……ミキサーヘッド!……GOッ!!」



バシュゥウウウッ!……ビキビキビキッ……




……ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン……






マミ「うわあっ!?」







ドォオオオオオオオオオオオッ……ズォオオオオオオオンッ……

マミ「うっ……まさか、こんな方法で……」



シルバー「攻撃同士じゃ打ち消しきれねえが……物体に当てちまえばその弾丸は貫通せず爆発するって事だよ……!」

シルバー「ダメ押しに煙突をコンクリートで固めてやった……!俺様の作戦勝ちって所だな……!」








破片の砂埃が舞う中、杏子が再び橋へ登る。
ワイヤーを切り裂き、ほむらも脱出し再びボウケンシルバーの前に立つ。



杏子「ハァ……ハァ……まだだ……まだ終わっちゃいねぇ……」



ほむら「私も……です……。」


まどか「待っててね……さやかちゃん…… ……さやかちゃ……」






まどか「さやかちゃん……!?」

ほむら「えっ……まさか……そんな……」



シルバー「あぁ……もう終わったみてえだな……」








マミ「消えた……結界の反応が……」


杏子「嘘だろ……結界の反応が消えたって事は、さやかは……」


シルバー「……あそこにいんのはさやかじゃねぇ。……ただの魔女なんだって言ったろ。」




シュゥゥゥゥン……






明石「ミッション完了。……足止め、ご苦労だった。」

映士「……遅かったじゃねぇか。」




まどか「そんなっ……」

マミ「本当に美樹さんを……殺したっていうの……?」











杏子「な……なぁ……そのさ……嘘……だよな……?さやかの魔女を倒したとか……さ……」


杏子「そ、そうだよな!お前がさやかを殺すハズねぇもんな……あるんだろ……その手の中に、さやかのソウルジェムがさ……」



杏子「な……そうだよな……なぁ……」




明石「俺たちが持っていても仕方がない。……これはお前たちが持っておくべきだ」




明石は、手のひらに握っていた物を杏子へ投げ渡した。

杏子「……っ」

杏子「……グリーフシード……」


マミ「これ……美樹さんの……?」



杏子「……!」

明石「……。」








杏子「あぁっ……あああああああああああああぁあああああああああっ!!!!」



杏子「ふざけんじゃねええッ!!!てめえええええええええッ!!!!!」





ドガァッ!!



明石「っ……」

菜月「杏子ちゃん……!落ち着いて……」

真墨「いいや……待て……菜月……」





杏子「ふざけんな……ざけんなざけんなざけんな!!」


杏子「さやかはさやかは……あいつはあたしの……あたしの……」


杏子「残された最後の希望だったんだよ……!それを……それをてめえは……ッ!許さねえ……絶対に……」






杏子は槍を作り出し、明石の目前に突きつけた。



蒼太「杏子ちゃん……!?」




杏子「……てめえがさやかにした事をてめえにもやってやる……」




杏子「殺す……殺す……ッ!殺してやる……!」







まどか「……やめて杏子ちゃんっ!!こんな事しても、さやかちゃんは喜ばないよ……!」







杏子「……」


明石「無駄に激昂するな。……命を削りたくないならな。」

明石「……戻るぞ。長居は無用だ。」



杏子「チッ……」



さくら「……すみません……。……ワルプルギス討伐の際には、必ず助力します。」


杏子「うるせえ……二度と顔合わせに来るんじゃねぇっ!!次来たら本当にブッ殺すからな……!」



杏子「クソッ……さやか……さやかぁ……」



ほむら「やっぱり、魔女が人間に戻るなんてそんな奇跡……起こるハズが無かったんだ……」

ほむら「どんな力も……滅びの運命には抗えない……」


まどか「さやかちゃんのグリーフシード……」

まどか(……これって……)





マミ「……ソウルジェムが魔女を産むなら……みんな死ぬしかないじゃない……」

マミ「どんな希望を抱いたって最後は呪いで終わる……それなら、ここであなたも、私も、……」


まどか「マミさんっ……!?」




杏子「よせよ……!……こんな所であたしらが死んじまったら、何の為にさやかはあたしらに希望を託して死んで行ったんだよ……」

杏子「あたしはさやかの気持ちを踏みにじりたくない……お前にも踏みにじってほしくねぇ……だからよ……」

杏子「死ぬとか、絶望するとか、そういうの……せめてワルプルギスを倒してからにしようよ……なぁ……」



マミ「っ……」



杏子「あんたが死んだら、あたしはどうすればいい……?……帰る場所、無くなっちまうなんてもう御免だよ……」


杏子「いつか死ぬにしても、それは今じゃねえ……そうだろ……」

杏子「未来は変えられなくても……自分の明日くらい自分で決められる……そうだろ……」


まどか「マミさん……私達がこんな理由で殺し合うなんて嫌です……」




マミ「……そうね……」

マミ(美樹さん……。)



ほむら「巴さん……。」


ここまで
高橋さんが役者として売れてきたり出合さんがキョウリュウジャーに出てくれたり三上さんが園芸で頑張ってたりボウケン好きには嬉しい事多かっただけに
今回の件は残念でならない

いくら父親が遭難したからって今回やった事は褒められないけれど、
でも明らかな印象操作の記事書くアフィブログも酷いと思うなぁ……

…………………………………………………………………








ワルプルギス襲来、二日前……








サージェス本部、牧野の部屋……。



明石『牧野先生。……ゴーゴービークルの整備と……それと』

牧野「あぁ……順調です。ベストコンディションで挑めるよう、念には念を入れてメンテナンスしています。」

牧野「だから、それまではたっぷり休んでいて下さい。」


明石『はい……。』







牧野「ふぅ……さて、ナンバー10まで整備が終わりました。次は、……ゴーゴーボイジャーの……」



ボイス『牧野博士。ちょっといい?』

牧野「なんでしょうか」


ボイス『うぅん、明石くん達が急に見滝原に行かなくなっちゃったんだ。』

ボイス『ブルー君とピンクちゃんも潜入捜査お休みしてるし』

ボイス『まぁ別にプレシャス回収じゃないから行かなくても文句無いんだけれど、まぁ気になったっていうかさ』

牧野「……彼らには彼らなりの都合があるのですよ」


ボイス『やっぱり、彼女の事かい?』



廃工場にて、杏子が明石を殴りつけてから数日
その日以来、ボウケンジャーの6人は一度足りとも見滝原を訪れる事はなくなっていた。

教会……




杏子「ワルプルギスとかいうのがもうすぐ来る……か」





杏子(……ほむらのデータが正しけりゃ、ワルプルギスの進路はこの教会も壊すって……)

杏子(何であいつがそんな事知ってるかは知らねえが少なくとも嘘はついてるようには見えなかった……。)


杏子(さぁね……こんな教会、恨みこそあれど、思い出なんて無かった……いや)

杏子(思い出はあってもあんな事があった今じゃ、思い出に馳せるなんて出来やしねぇさ)



杏子(ちょっと前までだったら、こんな所捨ててさっさとスタコラサッサ逃げてたのかもしれねえな……)

杏子(死ぬつもりはねぇ。だけど、死ぬ一歩手前くらいまでは頑張ってやろうじゃん。)

杏子(この街にはあたしの帰る場所があるんだ。それを壊させるのは癪だ。)


杏子(さやか……「今」はあんたの分まで戦う。だから……)




…………………………………………………

マミの家……




QB「……調子はどうだい?マミ」


マミ「……。」


QB「やれやれ、無視を決め込むかい。」




マミ(魔女になるなんて、辛いのはきっとみんな同じ……でも……)


マミ(そういう事を考えるのは、明後日からにしよう……いや……)


マミ(……限界まで、生きてみせよう……今は、目の前にある壁を乗り越える事……。)


マミ(あの時、美樹さんは私達を信じて託してくれた……。)

マミ(信じてくれた事を、裏切れない。プライドなんかじゃなくて、信念として)








QB「ふぅん……イレギュラー個体の僕。君の目論見で達成されたのは精々さやかが魔女になる事だけみたいだよ」











サージェス本部……




真墨「……なんか良い作戦思いついたか。」

明石「いや……これだけ資料があっても、動きに規則性が無い。」

明石「規則性が無いというよりは……自然現象のように動いているというべきか」

真墨「確かにな……ほむらのデータによると、世界によってソイツの強さも随分違うらしい。」

明石「無駄な作戦はむしろ命とりになるかもしれんな」


真墨「それにしても、一つ気にならねぇか……?」

明石「……その事か。」

明石「一つの街を通っただけで廃墟にしてしまう程の力を持った魔女が何故こんな風に漂うような動きしかしないのだろうか……だろ」

明石「内包しているエネルギーに比べ、動きが釣り合ってなさすぎる。」

真墨「あぁ……。それほどのエネルギーを標的への攻撃に使うような事になれば」

真墨「いいや、通っただけで街が廃墟になる。『漂うような動き』で『通っただけ』でだぞ」

真墨「もしワルプルギスが全力を出したら……ただじゃ済まないと思うぜ、俺は」



真墨「それにあのクエスターインキュベーターがネガティブの記憶を読み取ったというなら」

真墨「俺たちの戦力も分析した上で勝負にぶつかってくるだろうな……」


明石「……そうだな……。」



真墨「どうしたんだよ。何かいい作戦でも」


明石「いや、ないな。……煮詰まった、少し外を散歩してくる。」


真墨「おいおい……」


……………………………………








外……


明石(奴がどんな手を打ってくるか……それさえ掴めれば、対策の立てようもあるが)

明石(……奴らの科学力が未知だ……。予測を立てるのも難しい……)





明石(クエスターの記憶とゴードムエンジン……か。)

明石(以前、あの魔女に内蔵されていたゴードムエンジンも魔女を操る為の実験だろう)

明石(だが……とてもあの魔女は操られているようには見えなかった。)

明石(ワルプルギスはあんな魔女とは比較にならない程強力だ。たかだか一個体が奴に融合した所で操るのはおそらく不可能だろう……)

明石(だとすれば以前クエスターの使ったあの方法ならワルプルギスを操る事が……)

明石(……しかし、この予測が外れれば致命的だ。……確証が何もない。)











明石が決戦に思考を巡らせている中、
突如として明石の脳内に何者かの声が伝達される。


『聞こえるか……ボウケンレッド……』



明石「っ……!誰だ……?」

明石「いや……この声は聞き覚えがある……!」



『ボウケンレッド……お前たち……いや……すべてのスーパー戦隊に伝えておかなければならない事がある……』








…………………………………………








夜中、リビング……







まどか「……。」

詢子「どうした、こんな夜中に……。眠れないのかい?……嵐が怖くて眠れない……とか?」





まどか「……ねぇ、ママ」

詢子「はいはい」


まどか「……私、何があっても、絶対さよならなんてしないから。」

まどか「絶対、帰って来る……。」


詢子「そうかい……。」

詢子「……安心したよ。タツヤが事故った時みたいなお前はもういねぇんだな」

詢子「何でそんな事言うのかわからないけど、娘の事だ……全部信じてやる」


まどか「……ありがとう、ママ」









ワルプルギスの夜、決戦当日……











……………………………………………………


「うわあ……これは今までに類を見ないスーパーセルですね。」

「暴風、洪水……なんだこれは……。たまげたなあ」




「この辺にぃ、やばいスーパーセル、来てるらしいっすよ」

「やべぇよ……やべぇよ……」

「あーもうめちゃくちゃだよ」

「溺れる!溺れる!ああああもうやだあああああ!」







避難所……


タツヤ「まろかは?ねーちゃんどこいってもーたん?」

知久「ねぇ、本当に僕らだけ来て大丈夫だったのかな……」

詢子「大丈夫だよ……あいつは……絶対生きて帰って来る……!」

詢子「そう約束したんだ……。あいつが今まで約束破った事あったか……?」

知久「……そうだね。……僕らの子供だもん……。」






…………………………


決戦、vsワルプルギスの夜



ほむら(……また、この日……いや……最後の日にしてみせる……)


まどか「遂に来るんだ……ワルプルギスが……。」


マミ「……そうね。」



杏子「……なぁ、あたしから一つだけ言っていいか」

マミ「何かしら、佐倉さん」


杏子「なんか……なんつうか……その……」

杏子「お前らと会えなくなるなんてあたしは嫌だ。……だからよ」

杏子「死ぬなよ。絶対。」



まどか「うん。……私も自分を犠牲にしようなんて、これっぽっちも考えてないよ。」

マミ「死別なんて、私も嫌だわ。そんな悲しい思い、私もしたくないしさせたくない。」

ほむら「みんなで乗り越えるからこそ、意味があるんです……この戦いは。」



杏子「どいつもこいつも甘ちゃんばっかだなぁ、もう……調子狂うよな」


ほむら「……来ます!」



杏子「遂にお出ましか……ワルプルギスの夜……!」














『ウフフフフ……ハハハハハハハハハハ………』



厚い雲を割き、歯車を軋ませ、子供のような笑い声を挙げ、ワルプルギスが姿を現す。

ほむら「っ……!?」


しかし、その姿は……
今まで、幾度も同じ時を繰り返していたほむらの記憶とは大きく違っていた。






まどか「……!? こ、こんなに大きいの……!?」


マミ「暁美さんのデータでもここまで大きくは無かったわよね……!?」



杏子「ま……マジかよ……」



ほむら(今まで時間軸によってワルプルギスの強さは変動してきた……だけど……)

ほむら(ここまで強大なのは初めて……!おかしいよ……ここまで変わるなんて、ありえない……)








QB「……暁美ほむら。相当面食らってるようだね。」

QB「イレギュラー個体から聞いたよ。……君は時間遡行者だって?」

QB「……この世界にはいくつもの『希望』があった。だけどね」

QB「希望が多い分だけ、当然呪いも多い。」

QB「今まで幾多の戦隊に倒された悪しき魂達……。その怨念は、呪いの化身とも言うべきワルプルギスの夜を中心に集まった。」


QB「通常ならば、一体の魔女が抱え込める呪いの量というのはそれほど多くない。」

QB「だが、ワルプルギスは魔女の集合体だ……。抱え込める呪いの上限は無いと行っても過言ではないかもしれない。」




杏子「じゃあ何だよ……あたしらだけでその、30年分の敵と戦えってことかよ……!?」

QB「まぁね。間違ってはいないね。」

QB「怨念が現世に与えられる影響なんて微々たるものだが、……ここまで集まれば話は別だ。」



まどか「……やるんだ、私達が……逃げない……!」


マミ「……そう……ね……何もせず諦めるのは……」



杏子「……クソッ……そうだ……そうだよ……!」

杏子「一度死んだような連中が生きているあたしらに勝てるかよ……!」







ほむら「……私が最初に爆撃します。……それを合図に攻撃して下さい!」



杏子「……わかったよ。」








カチッ……



ほむら「……行きますっ!」




ドォンッ!ドォンッ!ドォンッ!……

ドドドドドドドドドドッッ……!ドォオオオオオオオオンッッッ!!!



ほむらが時間を停止させ、盾の中に収納していた武器のほぼ全てを打ち放った。

ビル一つ程度なら簡単に爆散させられる程の弾丸がワルプルギスの触れては停止する。




ほむら(……解除!)



ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!




「ギャハハハハハ!!」



だが、ワルプルギスは依然として体制を変える事すら無く、笑い続けた。

時間停止を解除した途端、ワルプルギスから巨大な火柱が立ち、それを合図に杏子とまどかが近くのビルに飛び登った。





まどか「……ハァァァッッッ!!!」


バシュゥッ!バァアアアアアアアアッッッ!!



まどかが幾つもの弓を放つ。
それと同時に杏子がワルプルギスへ跳ぶ。





ドォンッ!



杏子「……ドラァッ!!」


ザクゥッ!



杏子「槍をブッ刺してやったぜ……」


杏子「聞こえるか、マミ!コイツにブチ当てろッ!!」




マミ『OK!』

地上……




マミ「……ッ!」


マミ(落ち着いて……佐倉さんが示してくれた場所に当てなきゃいけない……)

マミ(多少の弾丸の軌道の制御は可能……だけど、大幅な制御は出来ない……)




その時、ビルの合間からゆっくりとワルプルギスの巨体が姿を現す。


マミ「……今よ、この位置からなら……!」



マミ「ティロ・フィナーレッ!!!!」








黄金の弾丸は杏子の槍を伝い、ワルプルギスの体内へ直接破壊エネルギーを送り込む!




……ドォオオオオオンッ!

ビルの屋上




まどか「……狙い通り!」

杏子「やったか……!?」








「アハハハハハハハ!ウフフフフフフ!ギャハハハハハ!!」






杏子「何……だと……!?」


まどか「全然効いてないっ……!」





「ウフフフ……ハッハッハ……」







杏子「いや……アイツ、こっちを睨んでる……!?目が無いからわかんねーけど確実にこっちを見てる!」

まどか「って事はちょっとは効いたって事だよね!?」







「フフフフ……ハハハハハハ……」ゴォッ……






杏子「ッ!!逃げるぞッ!!」

まどか「うん!」






ゴオオオオオオオオオオオオッッッ!!


ボオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!


……ゴォオオオオンッッ!!


ワルプルギスの放った火炎が杏子とまどかの居たビルを焼き払った。
たちまちビルは跡形も無く消滅した。

地上……



杏子「わああっ……あぶねーよ……」

まどか「もしあそこに居て逃げ遅れてたら……」ゾッ




マミ「……少しもダメージを与えられていないの……?」

ほむら「これだけ打ってもダメなんて……この時間軸のワルプルギスは強すぎる……!」


杏子「バカ言ってんじゃねえ!まだ始まったばっかだろ!あたしらも余裕あるじゃねえかッ!」


まどか「そうだよ!それに、少なくともあの時、私達を狙って攻撃してきた。って事は……」


マミ「……!」


ほむら「私の時間停止が使えるのは……持ってあと数分です!それまでに……」


杏子「あぁ!こんどはもっと激烈なヤツをだな……」



ズゥンッ……ズゥンッ……



まどか「わっ……!?地響き……!?」

杏子「いや、ちげぇ……この地響きは多分……」



ゴオオオオオオオオオオオッッッ!!



マミ「わぁああっ!!」

ほむら「うぅっ!」




静かに響いた地響き、そして4人を吹き飛ばしかねないような突風。


それと同時に、静かに、そして轟音をあげ、巨大な鋼鉄の巨人がビルの合間を、4人の上空を過ぎ去った。













                    『アルティメットダイボウケン!合体完了!』





                     『サイレンビルダー!合体完了ォッ!』








ここまで

…………………………………………………………







アルティメットダイボウケン、コクピット内……







ブラック「嫌な予感してたけど、やっぱりかよ……」

ブルー「ほむらちゃんのデータをどれも凌駕してる……!」


イエロー「ア、アルティメットダイボウケンよりも大きいよぉ~!?」


ピンク「体長およそ300メートル……アルティメットダイボウケンの約6倍!」

ピンク「ハザードレベル……測定不能!」


ブルー「何だって……!?」


レッド「怯むな!隙を見つけ出し確実に一撃を当てろ!……奴が消耗すれば弱点が見つかるハズだ!」

ブラック「あぁ!」



シルバー『行くぜ!』







ワルプルギスに詰め寄ろうとアルティメットダイボウケン、サイレンビルダーのアクセルを踏み込む。







……ドガンッ!ドガンッ!ドガンッ!





『ぐぁあァァァッ!?』





突如、爆発が2体を襲った。

シルバー『どうしたんだ、一体!』


ブルー「今の攻撃、ワルプルギスじゃないよね!?」


ピンク「……!ワルプルギスの遥か上空から巨大なエネルギー反応ッ!……あれは!」


レッド「何……!?」

イエロー「あ、あれってもしかして……!」





ブラック「……クエスタージェット……!」










『……聞こえるかい、ボウケンジャー……』



レッド「やはり貴様か……。インキュベーター……。」




ゴゴゴゴォオオオオオオオオ………


二体の上空に、ワルプルギスを覆うような巨大な戦艦が出現する。

戦艦から、声が発せられる。その声はインキュベーターのそれだった。


『ゴードムエンジンにアシュ……いや、クエスターの記憶……そして、邪機竜の技術』

『……これだけ揃っていれば予想するなんて簡単だろうね。』

『もっとも、君達の戦力は一つを除いてもう出揃っている。……その一つも大した戦力には成りえない。』

『君達には今ワルプルギスを倒す事は不可能さ。』








シルバー『うるせぇッ!お前の言う通りになると思うんじゃねぇぜッ!』

イエロー「そうだよ!絶っっっ対に負けないんだから!」






『……ワルプルギスの弱点は、攻撃対象を絞らないという事かな。』

『その強大な力も拡散してしまえば薄まる。当然だよね。』

『もしここで君達を再起不能にしたところでワルプルギスは止めを刺そうとはしないだろう。』

『そして、世界をまた漂い始める。……文明を終わらせる程の力を持っていてもそんなんじゃあ、君達のお仲間が総力を上げればなんとかなるだろうね』



『だからこそ、攻撃目標を確実に殲滅するため、ワルプルギスを操る必要がある。……こんな風にね。』





『ハ……ハハ……!?』



クエスタージェットから、赤い稲妻が伸びる。
その稲妻はワルプルギスを強制的に反転させ、そしてクエスタージェットはワルプルギスに取り付いた。


ガシャアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!


『ハハハハハハハッ!!!』


クエスタージェットに取り憑かれ、ワルプルギスは一層強く笑う。




シルバー『あんなでっかいワルプルギスを乗っ取りやがった!?』

ブルー「あんな巨大な魔女を操れるなんて……!あのクエスタージェットは僕らが戦った時よりも何倍も強力になってる!」

ピンク「っ……!」


……………………………
地上……



杏子「何だよあれ……!」






QB「……まさかね。最悪のケースだよ。」

QB「今の彼は使命感よりも感情を優先して動いている。」

QB「アシュ達の細胞を僕らの体で培養するには、相当のエネルギーが必要だ。故に、地球じゃあ簡単に彼のようなのは作り出せない」

QB「きっと彼は、あのマシンや強靭な肉体を創りだすのに、僕らが集めたエネルギーを逆流させただろう。そんなの本末転倒じゃないか。」



QB「あれはもうインキュベーターとは違う何かだよね。」

QB「だけれど、思考のベースは僕らと同じだ。考える事は予測出来る。」


QB「……恐らく、ワルプルギスを支配し彼らを倒した後、彼は……あの母艦を使って一度僕らの母星に戻って、それから……」

QB「帰還後、母星の個体にアシュ・ジャリュウ一族の細胞、そしてゴードムエンジンを植え付けるだろう。……僕らの集めたエネルギーを使うのだろう。」

QB「僕らの個体全てがあのようになったら、今度は圧倒的軍事力で地球侵略を開始するだろうね。」

QB「あの力があれば契約直後に魔女へと変貌させる事も出来るんじゃないかな」

QB「僕らは、軍事力が無いから彼に太刀打ち出来ないだろう。なすすべが無い。……僕の個体はほぼ無限だ。」

QB「無限とも言える彼らに地球人は勝てるだろうかね?」


まどか「な……何だって……」



QB「当然、僕らとしてもそれは避けなくちゃならない。だけどどうしようも無い。」

QB「……活動の拠点を別の星に移さなくちゃならないかもね。」



マミ「地球が……!?」

ほむら「ワルプルギスを倒すのだって精一杯なのに……」



『宇宙を守る為だ……。排除させて貰うよ!!』

ゴォオッ……



レッド「!来るぞッ!」




『ハハハハハ!!』



ワルプルギスは、その豪腕を振り上げ、そして勢いよく振り下ろした。


ドガァアアアアアアッ!!


『ハァッ!』

シルバー「ジャッキダウンッ!……サイレンビルダージャンプッ!」



ゴォオオオオオオッ!!



その場から飛び退き、二体はそれを回避する。






シルバー「女の子の命を犠牲にして……何が守る為だ!頭冷やせッ!」


シルバー「……ダブルウォーターシュート!」




ボシュウウウウッ!!



ズガァッ!!

『……効かないよ。』



シルバー『なっ……ならこれでも喰らいやがれ!……トリプルリキッドボンバー!!』



ボシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッッッ!!!




『無駄だよ』




トリプルリキッドボンバーすらも意に介さず、ワルプルギスは拳を固め、サイレンビルダーを殴り飛ばす。
サイレンビルダーは吹き飛ばされる。



……ゴオオオオオオオオオオオンッッ!


シルバー「がぁアアアアアッッッ!!」

ブルー「シルバー!サイレンビルダーが……!」



『彼の事を気にしているヒマがあるかい?』



イエロー「くるよ!」



ボオオオオオオオオッッ!!


ワルプルギスが豪炎を吐き出す。

アルティメットダイボウケンはそれを空中で旋回し、回避する。





ブラック「……今だッ!」





                    『オーバートップギア・IN!!』


                 『アルティメットブラスターッッッ!!』






ゴォオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!




……ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!









『ハハハハハハ……ハハハハハ……』



必殺の爆炎が炸裂する。
だが、笑い声を歪めず、ワルプルギスは笑い続けた。




ブラック「アルティメットブラスターも通用しねえのか!?」


『ハハハハハハ……』

周囲のビルが持ち上がり、上空で数秒静止後、
アルティメットダイボウケン目掛け、勢いよく落下する。


ゴォッ……






ピンク「ッ!上部からビルが我々目掛け迫ってます!」

レッド「……迎撃するぞッ!!」




ゴォオオオオオオゥウウウンッ……

ドォオオオッ!!




     『ドリルアタック!……ショベルアームパンチッ!!』




ガギィッ!……ボガァッ!!



ガァァッ!

……ドォオオオオンッ!


『……ぐぁああああああッッ!?』


しかし、とても裁き切れる程の量ではない。
背後から迫り来るビルが直撃し、コクピットから火花が散る。
そして、アルティメットダイボウケンは墜落した。


ズゥウウウウウンッ……






ブラック「クソッ……何て力だッ……」

レッド「まだ飛べるか……!?」

ピンク「はい……!しかし、バランサーが僅かに破損しました……機能回復まで数秒の隙が!」






『しぶといね……。だけど……。』


『ゴードムエンジン作動……。次の攻撃は特別に強化する。』



『……耐えられるかな?』


ゴゴゴゴゴゴゴ……

ドォオオオオッ……


ワルプルギスが口部に巨大なエネルギーを形作る。
その炎は、アルティメットダイボウケンの体高と同程度。これをまともに喰らえば再起不能になる事を
5人は直感で察した。



ブルー「まずいッ……!!あれを喰らえばひとたまりも無い!」


イエロー「早くここから飛ばなきゃぁ!」






『……遅いよ。』





ボオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!




シルバー『おらあああああああああッッ!!!』




レッド「……シルバー!」



放たれた豪炎と、アルティメットダイボウケンの間にサイレンビルダーが割って入る。





ボガァアアアアアッッッ!!


シルバー『がァッ……!!』


ズガァアアアアアアッッッ!!!


シルバー『クソッ……耐え切れねえ……限界……ッ……後は任せた……ぜ……!!』








ドガァアアアアアアンッッ!!

ドオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!




サイレンビルダーは大破した。
外装は剥がれ、溶け、無残な姿となって倒れこむ。



ズシャァアアアッ……


『あれ……まぁいいか。ロボットを一体、再起不能にした。』

『残るは君達だけだよ。』

ブラック「……映士……!」

ピンク「機能回復しました!」


レッド「……飛ぶぞ!」




ゴオオオッッ!!



アクセルを踏み込み、上空へ飛び立つ。




レッド「……頼むぞ、ズバーン!」




『……ズ・バ━━━━ン!!!』





レッド「……ズバーンに力を集中させろッ!!」




空中に振り上げられた黄金の剣が、いっそう強く輝き、巨大化する。




                『大聖剣斬りッッッ!!!』




ズッシャアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!


『フゥーハハハハハハ!!!ハッハッハ……!?』




大聖剣が振り下ろされる。
ワルプルギスは腕を交差し、受け止める。



QB『何っ……!?』



レッド「……行くぞ皆ッ!フルパワーだァァァッッッ!!!」




バシュッ……ズッ……ズッ……





輝いた黄金の剣は、僅かずつだが、確実にワルプルギスの腕に食い込んで行く。





QB『ダメだ。このままではワルプルギスが真っ二つになってしまうかもしれない。』


QB『ゴードムエンジン作動!』




『ウフフフフフフ……ハハハハハハ……』


ボォオオオオ……


シュゥウウウウウウウウウッ……


再びワルプルギスの口部にエネルギーが集結してゆく。




QB『エネルギー充填完了!……これで終わりだよ……!!』



ボォオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!


ゴオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!

ワルプルギスの豪炎がアルティメットダイボウケンを包み込む。
火炎がアルティメットダイボウケンのボディを焦がし、溶かし、破壊して行く!




『ぐぁあぁあああああッッッ!!!!』


ズバーン「ズンッ!?」



ワルプルギスに食い込んだズバーンも吹き飛ばされ、完全に優位性を崩す。





イエロー「こ、このままじゃあ!」

ブラック「クソッ……ドライバーが効かねえっ!!」

ブルー「耐熱限界だ!きっと回線が焼ききれてしまったんだ!」



バチィイイイッ!!



レッド「諦めるなッ!……出来るだけパラレルエンジンを作動させろ!」

レッド「アルティメットブラスターを機体の防御に回せ!」

ピンク「アクチュエーター破損!……ナンバー1から5まで完全に機能停止っ……!?」


ブラック「機能停止……だと!?」



バチィッ!バチィッ!


コクピットの照明が消え、火花が散る。


ドォンッ!



ブルー「このままでは……機体が空中分解するっ……!」


ドガァアアンッ!


イエロー「うわあああっ!!」




コクピットからさらに大きな爆発が起こる。
それを合図に、完全にアルティメットダイボウケンは機能を停止した。


 『ぐぁぁッ……!』



バゴォンッ!ドォンッ!

レッド「まだだ……まだ……!」









………ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!!!





限界に達し、遂にアルティメットダイボウケンの機体が大爆発を起こし、個々のビークルとなって吹き飛ばされる!

サイレンビルダーと同様に外装は溶け、破損した無残な姿となり、街に墜落する!








『……終わりだ。完全に……。』



『パラレルエンジンの反応、消滅……』




地上……



まどか「……ウソ……ロボでも勝てないって……」

QB「ここまで追い詰められるかい……」



杏子「あんなのと、どうやって戦えば良いんだよ……!」


決戦、vsワルプルギスの夜……







『パラレルエンジンの反応……消滅……』
















『いや……』




『まだ残っていたか……』


『あの状況で機体の爆発を利用して豪炎から脱出するとは、卓越した判断力だ。侮れないね』





『……ボウケンレッド。』



レッド「あぁ……。まだ終わる時じゃあ無いからな」




アルティメットダイボウケンが爆発する寸前、ボウケンレッドがアルティメットジェットに移動し、
合体を解いた。



豪炎から脱出し、「ダイタンケン」が、ワルプルギスと相対する!


ここまで
アルティメットダイボウケンとサイレンビルダーが並んで戦うと
大体負ける気がする

『……だけど、出力は随分落ちているようだよ』


『そんなんで勝てるのかい?』




ボォオオオオオッッ!



レッド「……ハァッ!」


挨拶換わりと、火炎を放つ。
ダイタンケンはそれを回避し、ワルプルギスへ進む!



ゴォッ……



レッド「今度はビルか!」






レッド「ハァッ!」

ゴォゥッ……


ダイタンケン目掛け、ビルが3棟急接近
ダイタンケンは急降下し、回避する。
3棟のビルは空中でぶつかり合い、砕け散った!






レッド「機動力なら、ダイタンケンの方が上だ!」



ゴォオオオオオッ!!





レッド「……ボウケンフラッシュ!」


バシュウウウウウッ!ドォオオオンッ!





急上昇、ワルプルギスの目前まで迫り、ボウケンフラッシュを放つ!

レッド「……!」




ゴオオオオオオンッ!ガシィイイイッ!!



レッド「ぐぁっ……!?」



『……その程度で倒せると思ったかい?』


『……捕らえたよ。こうすれば得意の機動力も意味無いね』




ワルプルギスの両腕がダイタンケンを捕らえる
ダイタンケンを握りつぶそうと力を強めて行く!




『……パラレルエンジンの反応が弱い。やはりさっきの攻撃から完全に脱出出来た訳じゃあないんだね』

『このままでは握りつぶされてしまうよ。耐圧機能は落ちているようだからね』




レッド「いいや、ここからなら狙えるさ。」






レッド「ビッグレッドボンバーッ!!」




ドォッ!……ドォオオンッ!




『!?』

ズァアアアアアッ……


ダイタンケンの頭部が射出され、クエスタージェットに突撃する。





『……まだ隠し球があったか。でも効かないよ』



『そうか……これが君の作戦か……』

『直接このクエスタージェットを狙い打つ……けど残念だったね』

『こういう事も考慮に入れてある。』


『きっと君達の装備じゃワルプルギスに勝てないと判断したから、こういう手に出るしかなかった。』


『違うかい?ボウケンレッド』

『返答が無い。答えないというのは図星のようだね。』





ダイタンケンを握り、力を強めながら問う。
ボウケンレッドから言葉を返される事は無かった。

数秒の末、インキュベーターは明らかに様子がおかしい事に気づいた。








『いや……!?』


『違う……!これは……!?』










……………………………………………

クエスタージェット、内部……





QB「そうか……それが本当の狙いか……ボウケンレッド……!」


レッド「あぁ。」


インキュベーターの背後にボウケンレッドが立つ。
ダイタンケンに気を取られていた隙にクエスタージェット内に侵入したのだ。



QB「しかし、何故……?ここに侵入するのも予期して、いくつも防御網を張っていたハズなんだけれど」


レッド「この程度、世界一のトレジャーハンター……不滅の牙の手には朝飯前と言った所だ」




QB「そうか……でも、僕の体には君達がネガティブと呼ぶ者たちの力が宿っている。」

QB「……こういう事も出来るんだよ。」



インキュベーターがボウケンレッドを振り返り見た。
すると、突然インキュベーターの体が巨大化。2m程度の大きさとなる。
白かった肌は黒色に変化し、その体表は神話の怪物のように悍ましい。



レッド「その体は……!」


「リュウオーン……クエスター……ゴードムエンジン……それらを元に、さらに強化改造を施した」

「そうだね……。あらゆる災厄の力を宿し、そして人間たちを絶望の淵へ叩き込む……」

「絶望……『デスペラード』と名付けようか」

レッド「……ボウケンジャベリン!……アクセルテクター!」

レッド「ハァッ!」



ジャキィッ!


デスペラード「……無駄だよ!」


アクセルテクターを装備し、デスペラードに突撃する。
その体でジャベリンの突きを受け止めると、腕を振り払い、ボウケンレッドを吹き飛ばす




レッド「ぐぁっ……!」


ダァンッ……



レッド「……サバイバスター!ハァッ!」

バシュッ!バシュッ!


デスペラード「無駄無駄無駄!」

ガキィンッ!ガキィンッ!



デスペラード「ハァアアアッ!!」

バチイィィィッ!



サバイバスターの銃撃を弾き、稲妻を放つ


レッド「があぁあああっ!!!」


ドォオオオンッッ!!!


ガシィッ!


デスペラードはボウケンレッドに迫り、首を捕らえる。


レッド「ぐっ……あぁっ……!」

デスペラード「無駄なんだ……無駄無駄」


ボウケンレッドを投げ飛ばし、壁面に叩きつける。




デスペラード「それなのに何故……?どうしてそんな風に何度も向かってくるんだい?」

デスペラード「……少数の犠牲で宇宙全体が助かる。光栄な事じゃあないか。」

デスペラード「どうして邪魔をするんだ。」


腕を振り落とす。
咄嗟にボウケンジャベリンで受け止める。





レッド「悪いな……俺は人間だ……!」

レッド「いつ来るか解らない滅びよりも……目の前の彼女たちが犠牲になるのを見過ごす訳にはいかないんだ……ッ!」



デスペラード「なら、この地球は僕が管理した方が良いね」

デスペラード「その方が無駄な争いも無い。」

デスペラード「犠牲だって必要な分だけで済むんだよ?」


レッド「……!」

レッド「お前の作る世界に……夢はあるのか……!」





デスペラード「夢……?」



レッド「人が夢見る様々な可能性……!」


レッド「例え矛盾だらけでも、不完全であっても……俺は……」


レッド「人の数だけ夢がある……!生きた証がある……!」



レッド「貴様の作り上げる世界よりも……」

レッド「……そんな世界の方が……俺は好きだ……!」



デスペラード「夢……?そんな物の為に……」


レッド「ハァッ!」

ドォッ!

デスペラード「ガァッ!?」


動揺した隙に腹部へ蹴りを入れる。


デスペラード「それに今、宇宙の果てから強大な驚異がこの星に迫っている……!」

デスペラード「それを退く為にも……」



レッド「……ジャベリンクラッシュ!!」


ジャキィイイインッッ!


デスペラード「……無駄だよ。何度も言わせないでほしい。」


デスペラードは片腕でボウケンジャベリンを受け止める。



レッド「……ボウケンボー!」

ガシィッ!



ボウケンボーのアームがデスペラードの腕を掴み返す!



レッド「……デュアルクラッシャー!……ミキサーヘッド!」

レッド「……GOッ!」


バシュゥッ!ビキビキビキ……


デスペラード「何……!?」


ボウケンジャベリンを、捕らえた腕事ハイパーコンクリートで包み込む!



ボウケンレッド「……ハァアアアアアアアッッッ!!!」


ガシャアアアアンッッッ!!!


デスペラード「グァッ……!?」


窓を突き破り外へ自分の体事放り出す。
飛び出した二人はそのまま重力に引かれ地面へ落下!





ゴォオオオオオオオ……

ヒュゥウウウウウ……




デスペラード「これが狙いか……!全く君達には驚かされるよ……!」

デスペラード「落下中では思うように身動きが取れないだろう。ここで始末させてもらう。」



レッド「……ドリルヘッド!……GOッ!!」



デスペラード「無駄!」


ガキィッ!!ガシュゥッ!


空中でドリルビームを放つ。
しかし、デスペラードの片腕がそれを防ぎ、拡散させる。

ゴォオオオッッ!

レッド「ッ……!」



ドリルビームを放った反動でボウケンレッドは後退する。




デスペラード「ハァアアアッッ!!」


バシュウウウウ!


ドォオオオンッ!


レッド「……ぐああああああっっ!!!」



離れたボウケンレッド目掛け、稲妻を放つ。
ボウケンレッドは吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる!





……ドタアアアアンッッ!!




シュゥゥゥゥ……

明石「ぐっ……がっ……!」


デスペラード「しぶといね。あの高さから叩きつけられて無事だとは」


同時に、デスペラードも地へ降り立つ。






デスペラード「……ここまでだ。」



明石「……ッ!」




ブラック「サバイバスター!!」


バシュゥゥン!ズガァアアンッ!!



デスペラード「!?」



明石ににじり寄るデスペラードに、突然銃撃が炸裂した。



ブラック「明石!しっかりしろ!」

ピンク「暁さん……!」



ブルー「……!あれは……インキュベーター……なのか……!?」

イエロー「あの姿って……前に私達が戦った……!」



デスペラード「そうだよ。ガジャの記憶を頼りに再現した。」

デスペラード「しかし、あんなスクラップ同然の機体からよく生還したね。」



シルバー「俺様達は不死身なんだよ……!行くぞ!」

ズバーン「ズ……ン……!」



デスペラード「ハァアアアアッッ!!!」



バシュウウウウウ!!



デスペラードが5人目掛け稲妻を放つ。
それぞれに命中し、アクセルスーツは火花を散らす。



『うわぁあああああッッッ!!!』



シュゥウウウン……

ドァアアアアッ……


真墨「クソッ……」

さくら「まだです……限界は……まだ……!」


映士「もう一度だ……!次で決着を付ける!」

明石「あぁ……そうだ……!」



アクセルスーツの変身が解かれ、吹き飛ばされた。
だが、決して倒れず、再びアクセルラーを握り、立ち上がった






デスペラード「ふぅん……そうか……。」

デスペラード「……君達に止めを刺すのはたやすい。けど」

デスペラード「君達は侮れない。ここでどんな悪あがきをして逃げ出すかもわからないね。」

デスペラード「だから、……確実に仕留められる方法で止めを刺そう。」









杏子「……明石!」

まどか「な、何あれ……!?キュゥべえ!?」

QB「……らしいね。」



ボウケンジャーの基に、4人の魔法少女が駆けつける。



デスペラード「ワルプルギス、起動だ。」


「ハハッ……」



蒼太「……!?ワルプルギスが……!」

菜月「何で……!?操縦はもう出来ないハズじゃ……」


操縦室内から操縦者が消えた事によって、一時的に動きを停止していたワルプルギスが再び嗤う。



デスペラード「残念だね。離れていても操れるんだよ。ゴードムエンジンでつながっているからね、僕ら」

デスペラード「この火炎ならかすりさえすれば生身じゃあとても耐えられない。」


デスペラード「……逃げられるかな、君達に。無理だよね」




明石「っ……」




デスペラード「終わりだよ。」



「ハハハハハハハハ!!!」





………………………………………

















デスペラード「……?」

デスペラード「発射だ……!発射しろ……!」




デスペラード「……!?どうしたんだ、ワルプルギス……!?早く命令を…… いや……!」

デスペラード「操縦が効かない……!?」

デスペラード「莫迦な!あのクエスタージェットの支配から逃れる事は例えワルプルギスでも不可能だッ!」



デスペラード「違う……!クエスタージェットとの通信は確かに繋がっている!だけど……!」

デスペラード「機能しない!クエスタージェットの回路が……破壊されているッ!?」






明石「……やってくれたか。」


デスペラード「何……!?「やってくれた」とはどういう事だ……!?」


デスペラード「君があの時侵入した時に破壊する暇など無かったじゃないか!」



明石「切り札さ。最後のな。」




デスペラード「切り札?」

…………………………………………………………



「え、えーとぉ……これで壊れたのかな……」

「知らないわよ!私に聞くんじゃないわよ!それよりも、早く脱出しましょうよ、ゲッコウ様ぁ~~~!!」


ボゴォンッ!



「わぁっ!?バクハツした……き、きっと壊れたよね……」


「早く降りましょう!ゲッコウ様!」

「ま、待ってよ!置いていかないで!」



「置いていかれたくないなら早く掴まるのじゃ!間に合わなくなっても知らんぞ!」





………………………………………

………………………………………
デスペラード「何だって……?君達にはもう……」

デスペラード「『ダイボイジャー』とかいう機体を除いて戦力は無いハズだろう……!」

デスペラード「何処にそんな隠し球が……」



明石「隠し球……?お前自身がよく知っているハズだが……」



明石が空を指差す。
デスペラードも振り返り、そして……


デスペラード「……!」


デスペラード「バカな……何故君がここにいる……!?」


デスペラード「君は確かにあの時……!何故……!?おかしい、ありえないよ……!」








バサッ……バサッ……


「ぬぅぅっ!!重いぞ、二人は流石に……」

「うるさいっ!じゃああんた降りなさいよ!」

「じょ、冗談じゃないですよ!どう考えても重いのはシズカさんでしょ!」

「黙れ!ガキんちょがエラソーに言うんじゃないわよ!」


「むぅっ……もうムリ……」



「「わあああああああっっ!!落ちるぅううううう!!!」」




ヒュ━━━━……


   ドシィイイイイイインッッ!



「い、痛いっ……」

「あんたのせいじゃないのよ、全部!」





デスペラード「あの時、確かに魔女になったハズなのに……!」



「うぅっ……痛い……」



デスペラード「美樹さやか……!?」



さやか「見たか!この絶妙なタイミング!」



まどか「さやかちゃん!」

マミ「美樹さん……!」

ほむら「……!」



さやか「えへへ……まぁ、そんなで一番格好良いタイミングで登場でありますよン!」


杏子「バッカ野郎……おせーんだよおおお!!」ガシッ!


さやか「くっ、苦しい!遅いとか言われてもこういう作戦だからしょうがないんだよ!」


杏子「うるせっ!うるせっ!」

まどか「杏子ちゃん、すっごく嬉しそうだね」


マミ「……おかえりなさい。待ってたわ。」







デスペラード「あの時、美樹さやかの魔女は確かに君達が倒した……!」

デスペラード「それに、グリーフシードからソウルジェムに戻るなんて有り得ない!」

デスペラード「い、いや、それ以前に……杏子の記憶だと、さやかのグリーフシードは確かに杏子の手にある!」


デスペラード「何故だ……!さやかは魔女になった……!一度ソウルジェムの反応が無になったのは間違い無いのに!」



映士「……あぁ、あの時、確かに魔女は倒したぜ。……でも別に誰も『さやかの魔女』なんて言って無いだろ」

ズバーン「ズン!」


デスペラード「どういう事だい……?もうさやかのソウルジェムはグリーフシードになるのを防げない程穢れが……!」


明石「まぁ、普通のグリーフシードだったならばそうだろうな。」


蒼太「そうそうそうた!でも、あの時僕が持っていったのはパラレルエンジンで特別に強化したグリーフシード!」

蒼太「普通のグリーフシードよりも穢れを吸い取る力は何倍も強力!」


デスペラード「なっ……」


菜月「それで、えーと……確か、穢れを吸い取れたのは良いんだけど、……」

菜月「さやかちゃんのソウルジェムが……孵化する寸前?で……」


真墨「あぁ。あいつのソウルジェムは半分グリーフシードになっていた……。」

真墨「ソウルジェム、グリーフシード……どっちに転んでもおかしくない。魔力も穢れもほぼ空っぽだ。魔力が探知出来なかったのはそのせいだ」

真墨「いいや、サージェスの総力を挙げても可能性はようやく半分って所か……?」


さくら「それに、時間もデータも少なかったせいでグリーフシードのチューニングも完全には済ませられなかった。」

さくら「……あの時孵化したのは最初に高丘さんが回収したグリーフシードの魔女……」

さくら「手がわかっているとはいえ通常以上の穢れを溜め込んだ魔女と戦うのは骨が折れましたが……」



映士「……もし返し忘れてなかったらどうなるかって、考えただけでヒヤヒヤするぜ!」

明石「蒼太があと一秒でも遅れていたら取り返しがつかない事態になっていただろうな……。」

明石「これも、杏子達、そして何よりさやかが俺たちに手を伸ばしてくれたからだ。」


デスペラード「しかし4人は……!彼女達はさやかが魔女になったと思い込めばどうなるか……!」



明石「こんな危険な状況をお前に知られてしまえば、お前は無理にでもさやかを魔女にしようとするだろう。」

明石「だから早急にサージェス本部で匿う必要があった。……その間、あの作戦が思いついたという訳さ」



デスペラード「君達は何故絶望しないんだ……!何故……!」

デスペラード「君達にとってみれば目の前で美樹さやかが殺されたも同然なんじゃないか……」




杏子「……あの時明石が投げたグリーフシードは……なんつうか、『本物そっくりに作ったニセモノ』……手にとってそう解った」

杏子「で、何でこんな小難しい、手の込んだ事やるのかわかんなかったけど……」

杏子「何となく解ったんだよ。……明石が仲間を犠牲にするハズがねぇって!だから猿芝居にノッてやったのさ!」





マミ「どうだったかしら、私の迫真の演技は」

杏子「演技だったのか……あれ!?……正直ガチで殺されるかと思った……」


デスペラード「ニセモノ……!?」


ほむら「……そう。……『記憶』しか読み取れない貴方には、あの時私達がどう思ったかなんて解らないでしょうけど」


ズバーン「ズンッ!バーン!」


まどか「それに、さやかちゃんは絶対に私との約束を破ったりしない!絶対戻って来るって!」

マミ「今まで私を信じてくれた!だから、私が信じてあげる番!」




さやか「あたしも、なんかみんなの事忘れられなくて……生きなきゃ、戦わなきゃ、逃げたくないって思った……気がする!」


ズバーン「ズンッ!!」


デスペラード「わけがわからないよ……確証も無い物にすがれる……?」


杏子「お前にゃ一生わかんねーよ!」

杏子「……一生もクソも、あたしらがここでぶっ倒してやるけどな!」


ズバーン「ズンズン!」

ゲッコウ「うぅむ……久々にキツイ運動だったわい……こんな重労働何時以来じゃろうか……」

シズカ「あんた達のせいで、DSカンパニーの株大暴落よッ!どうしてくれるの!」



QB「僕に言われても」



ゲッコウ「シズカ……早く戻って休みたいんじゃ……」

シズカ「ヘンッ!ま、ここまで協力してあげた事に感謝しなさい!アホアホボウケンジャー!ちんちくりんなアホガキ共!」

シズカ「じゃぁねぇ~バイバーイ!」


ドロンッ!




蒼太「……素直じゃないんだから。」











デスペラード「……そうかい……」

デスペラード「どの道、ここで君達は倒さないと行けない。」

デスペラード「終わらせてあげる……うぅっぷ、おろろろげえぇぇぇええええッッッ!!!」




デスペラードは口部から大量のカースを吐き出す。

そして、身体を掻きむしり、細胞を散らばらせる。
その細胞は竜人兵ジャリュウへと姿を変える。





「「クワァァアアアアッッッ!!!」」

杏子「また使い魔作戦かよ、どいつもこいつもやることは同じだな!」



デスペラード「いいや、さらに……」


デスペラードの体から赤い光球、そして紫の光球が二つ出現する。
その光は、三つの人型を形作る。




真墨「あれは……!リュウオーン……!それにアシュじゃねえか!」


デスペラード「元はリュウオーンとアシュの細胞を取り込んだんだ。これくらい作れて当然だろう」

デスペラード「……アシュにはゴードムエンジンの力を注ぎ込む。」


ガシッ……シュゥゥゥゥゥ



ガイ「……。」

レイ「……。」


デスペラード「アシュ、改めクエスターの再誕だ。」

デスペラード「そして、3人に読み取った、細胞から抽出した記憶をインプットする。」



シュゥゥゥ……



ガイ「……あ?何だここ……あん?テメェら!ボウケンジャーじゃねえか!」

レイ「理由は解らんが、……甦ったらしいな、俺たちは」

リュウオーン「この体……!私はまだヒトの体に堕ちてはいなかったのか!」



デスペラード「限りなく本物に近い。……どうかな」



杏子「……そこまでして喧嘩売ろうってのか、あたしたちに!」


明石「……準備はいいか。」



『勿論!』

『当然です!』

『ズバンッ!』




明石「さぁ……本当の冒険の始まりだ。行くぞッ!」













              『レディ!ボウケンジャー・スタートアップ!』



               『ゴーゴーチェンジャー!スタートアップ!』



                      『魔法変身!』














『熱き冒険者! ボウケンレッド!』



『迅き冒険者! ボウケンブラック!』



『高き冒険者! ボウケンブルー!』



『強き冒険者! ボウケンイエロー!』



『深き冒険者! ボウケンピンク!』



『眩き冒険者! ボウケンシルバー!』



『ズ・バーン!』











『鹿目まどか!』



『美樹さやか!』



『暁美ほむら!』



『巴マミ!』



『佐倉杏子!』










                    『果て無き冒険スピリッツ!』



                    『勇気の絆が未来を開く!』





                『  轟轟戦隊! ボウケンジャー!!!  』



                 『 魔法戦隊! マギレンジャー!!! 』


映画まで完結出来るか怪しくなってきた
ここまで

レッド「アタック!」




『ハァアアアアッッッ!!』





12人の戦士が、デスペラード目掛けて跳ぶ。




レッド「……お前の野望もそこまでだ!」


デスペラード「やれやれだよ。邪魔しない……って訳にはいかないかな」


さやか「そんな訳無いだろ!」



ガイ「おぉっと、ボウケンジャー!てめぇらはこっから先には行けねぇぜ?」

ガイ「……ここで俺たちにブッッッッ倒されるからなァアアア!!」




デスペラード「僕はワルプルギスの元へ向かうから、ここは君達に任せるよ。」


デスペラードがワルプルギスを目指し、ゆっくりと背を向け歩き始めた。

12人が追おうとするが、カース、ジャリュウ、そしてガイ、レイ、リュウオーンが阻む。

レイ「……利用されるのは癪だがボウケンジャー共を叩き潰せるのなら、俺はそれでいい。乗ってやろうではないか」

リュウオーン「……フンッ!」








杏子「……待ちやがれっ!!」

さやか「ワルプルギスを復活させられたらあたしの努力何だったの!」






カース『クワァアアアアアアッッッ!!!』

ジャリュウ『ミギャアアアアアアッッ!』



シルバー「ガイ、レイ、リュウオーンに、カースにジャリュウ……」



シルバー「ここは俺様たちに任せてお前たちは先に行け!」


ズバーン「ズバンッ!」



マミ「……えっ……」


まどか「で、でも私達であのインキュベーターを倒せるのかな……」


シルバー「弱気になってんじゃねえよ!大丈夫だ!昔ならいざ知らず、今のお前らならな!」



ピンク「まどかさん。……貴方の笑顔を、信じてます!」

まどか「……はい!さくらさん!」


イエロー「今のマミちゃん、きっと、絶対すっごい強いから!みんなと力を合わせて!」

マミ「……分かりました、菜月さん!」


ブルー「さやかちゃん。君の勇気は、絶対に君を裏切ったりしない。……頑張って!」

さやか「了解、蒼太さん!」


ブラック「ヘマすんじゃねーぞ!ほむら!」

ほむら「うん……真墨!」




レッド「杏子……お前がチーフだ。頼んだぞ」

杏子「ったりめえだ、明石!……行くぞ、皆!」



まどか「うん!」





五人の少女たちは、デスペラードの跡を追う。
戦闘員の軍団、そして3人の幹部とボウケンジャーが相対する!






ガイ「おーい、おい、おい!いいのかよ、あんなガキんちょでも居た方が死ぬまでの時間伸びていいんじゃねーのォン?」

レイ「この俺が同じ相手に二度負けると思わない方が良いぞ」


リュウオーン「ボウケンレッド……貴様はよくも我が夢の力の結晶のこの体を……!『人間』等と罵ってくれたな……!」

リュウオーン「覚悟しろ……!貴様らにはもっとも残酷な死を与えてやる!かかれ!ジャリュウども!」

「「ミギャアアアアアアアアアアッッッ!!」」


ジャリュウとカースの軍団が七人目掛け押し寄せる。



レッド「頼むぞ!ズバーンッ!」




ズバーン「ズバンッ!……ズゥゥゥゥバズバズバズバズバ━━━━ンッ!!」




ズシャズシャズシャズシャァァ━━━━ッ!!




「「ギャアアアアアアアッッ!?」」




必殺ズバズバンキックの黄金の斬撃が戦闘員の群れを蹴散らす!




ガイ「にゃ……にゃにぃ~~~~!?」

ダッ!

レッド・ブラック『サバイブレード!ハァッ!』


ジャキィィッ!


リュウオーン「グァッ!?」


ズバーンの起こした爆炎の中からボウケンレッド・ブラックの二人がリュウオーン目掛け飛び出し、
リュウオーンの身体を切り裂く!




リュウオーン「おのれぇ……!」

ゴォンッ!ゴォンッ!



リュウオーンも背に装備した2丁の剣を振り回す。


ブラック「くっ…………ハァッ!」



猛攻を掻い潜り、一瞬の隙を突き前方へ踏み込む!
そして、リュウオーンの脇腹に一撃を加えた!




ジャキィィンッ!



リュウオーン「ごぉぁっ……!?」




レッド「ハァッ!」ダッ


ブラックの肩を踏み台に、ボウケンレッドはさらに高く舞う。
そして、急降下と同時にリュウオーンの身体を縦に斬り裂いた!


ズシャァァアアアッッ!



リュウオーン「ぬあぁぁぁぁあああッッ!!!」




ブルー・イエロー『サバイバスター!』


ズギュゥゥゥンッ!


レイ「ガァッ……!クソッ!……」


ボウケンブルー・ボウケンイエローがレイを狙い、サバイバスターを放つ。
光弾はレイの胸部に直撃し、レイは数歩後ずさる


レイ「うっとおしい奴ら……ッ!ダラァッ!」



ダダダダダダッ!

レイはグレイボンバーの銃弾を二人に放つ



ブルー「ハァッ…… シュートッ!」


バシュゥッ!

ボウケンブルーは後方へ宙返りし、弾丸の隙間を狙いトリガーを引く。


バァンッ!

レイ「グァバッ!?」


イエロー「今だ、行くよッ!ハァァッ!!」


バシュゥッ!



さらに、追撃、ボウケンイエローがレイの顔面目掛けトリガーを引く。


バァンッ!

レイ「グァッ……キ……」



ガイ「高丘のォ~~~~!ここで『遭ったが百年目』って奴かぁ~~~~~?」

ガイ「大人しく地獄の閻魔のオヒザでオネンネしなちゃいよォーッ!!」


シルバー「うるせぇっ!コピーの癖に口調までそっくりそのままかよ!……行くぜさくら姉さん!」

ピンク「ミッション中はコードネームです!……サバイブレード!」

シルバー「サガスピア!」



ガイ「ヌァアアアッ!」


ダダダダダッ!

ガイは二人目掛けグレイブラスターを浴びせる。


ピンク・シルバー「ハァッ!」ガキィッ!


ボウケンピンク・ボウケンシルバーは銃弾を弾く。


ガイ「チィッ!」





ピンク「!サバイバスター!」


バシュゥッ!バァンッ!



ガイ「ゲェァッ!?」


銃弾の押収が止んだ瞬間、サバイバスターを放つ。
そして、怯んだ隙にボウケンシルバーが飛び込み、ガイの腹部へサガスピアを突き刺す!





ガイ「て……めぇ……!」


シルバー「……おりゃあぁあああああッ!!!」



ガイの身体を持ち上げ、そしてサガスピアごと振り回し、投げ飛ばす!



ゴォオオオオッ!!


ガイ「おぶぇっ!?」

ガイ「チクショォ……!てめぇら調子こきやがって……」

レイ「……だが、俺たちからすれば勝てない相手ではない。」

リュウオーン「私もおめおめ敗北を認める訳には行かぬ!」


リュウオーン「行くぞ!……我が夢の力!」

ガイ・レイ『ゴードムエンジン始動……!』


リュウオーン「合体!」


             『 アナザースペイシス! 』








バゴォオオオオオオオオオッッッ!!!

……ドォオオオオオオオオオオオオッッッ!!!





『ぐぁあああああああああッ!!!』



3人が手にした銃を一つに合わせる。
放たれた一つの光弾がボウケンジャーを吹き飛ばす!




ガイ「ギャッハハハハハハハ!!ザマァ見ろ!そーゆーの『ブザマ』っていうんだぜェ~ッ!」





イエロー「やっぱ、クエスターとリュウオーンなんだね……!」

ブルー「そうだね……3人まとめて相手はやっぱりキツイ……だけど!」

シルバー「あぁ……!初戦は紛いモン!本物の方が百万倍手応えあるぜ!」


レッド「そうだな。……だがワルプルギスを倒さなければならない以上、ここでこれ以上時間を割くのはまずい」


レッド「……みんな、これを使え!」パァァッ……


ボウケンレッドの手から放たれた5つの赤い光が、5人の手元に宿る。




次第に赤い光が止む。その中から、それぞれ、武器が現れた。




ピンク「!?……この武器は……!」


レッド「説明は後でする。奴らを倒すぞ!」


ブラック「あぁ……わかったよ、今は気にするこっちゃねーな!」



ブラック「……ハヤテ丸!超忍法・影の舞!」




シュゥンッ!




ガイ「な、何だ!消えやがったぞ!」




レイ「バカな……いや!来るぞ!」

ガイ「何……ぐぁああああッ!!!」



ザァッ!

          ズバッ!
 

                 ザシュゥッ!
      ズバァッ!
                

ザクゥッ!
            ザシュゥッ!
                    シュバァッ!


         ガキィッ!




四方八方から迫る斬撃がクエスターの身体を切り刻む!




ガイ・レイ「グァガアアアッ!」


ドォンッ!

ガイ「やりやがって……ただじゃおかねえからな!」






シルバー「らぁっ!……」

シルバー「赤龍双龍剣!……気力遠隔斬りッ!!」



ザシュゥウウウウウウウウッ!!



ドォオオオオオオンッ!!


ガイ「ギャアアアッ!?」











レイ「ガイ!?」



ピンク「ハイブリッドマグナム!マグナムエクスキュージョン!」


ズギュウウウウウウンッ!


レイ「な……ぐぁああああああああああ!!!」


ドォオオオオオンッ!!



リュウオーン「ぬぁあああッ!」ダッ




ブルー「来たね……!ハァッ!」

ブルー「ティラノロッド!……ティラノロッド・サークルムーン!」



ティラノロッドがエネルギーサークルを生み出す。
作り上げたエネルギーをリュウオーン目掛け打ち放った!



シュバァアアアアアッ!



リュウオーン「ぐッ……!」


イエロー「龍撃剣!……ティラノスラッシュ!ハァッ!!」



ズガァァァアアアッッ!



リュウオーン「ぬぐぁあああッ!おの……れ!小癪な!」



レッド「ハァッ!」ダッ!




イエローを飛び越え、ボウケンレッドがリュウオーンへ跳び掛かる。

レッド「リュウオーン!……来い!ズバーン!」


リュウオーン「ボウケンレッド……!」


レッド「……ゴールデンクラァッシュ!!!」


ズバァアアアアアアアアアンッッ!!!



リュウオーン「ぐぅぅぅあああああああッ!!!」




レッド「トドメだ!」

ブラック「おう!」




           『サバイバスター!スコープショット!……スナイパーモード!』




             シルバー「サガスナイパー!スナイパーモード!」







              『『コラボレーションクラッシュッッ!!!』』







バシュゥウウウウウウウウウウウ!!!





ズゴォォンッ!




ガイ「グガァッ……テメェら……覚え……て……ろ……」

リュウオーン「こんな……バカ……な……!」

レイ「ヌ……アァァ……ッ!」






シュゥゥゥ……



ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッッ!!!





クエスター・リュウオーンの三体は6人の光弾を受け、大爆発を起こし消滅した。



レッド「……!グッジョブ!」

シルバー「あばよ、偽物……。地獄で本物達遭えるかもな。」









……………………………………………………





杏子「……待ちやがれってんだ!あたしらに背中向けてんじゃぁねえぜ!」


デスペラード「君たちか。相手にはならないけれども、追ってこられるのは時間の無駄なんだよ。やめてくれる?」


マミ「残念、そういう訳にはいかないのよ。」


デスペラード「そうかい。じゃあ……」ガリガリガリッ!!



デスペラードが自らの身体を掻き毟る。
再び、ジャリュウの軍団を生み出す。





ジャリュウ「「ミギャアアアアアアアアアッッ!!!」」



さやか「卑怯な……!もっと正々堂々……」

デスペラード「卑怯?5人でかかってくる君達に言われたくは無いね」


まどか「私達は一つの力を五等分してるだけなんだよ!」

ほむら「それに、私達の目的は戦う事じゃなくて、……守る事!」


デスペラード「目的のためなら方法はどうでもいいという事かい?じゃあ同じだね。……急がせてもらう。」

さやか「同じにすんな!あんたのやってる事は仲間を捨石にしてるだけ……あ!待て!」


杏子「クソッ……逃げられちまう……!こうなったらこいつらを突っ切ってぶちのめすしか……」






ヒュゥウウウウウウウウウウ…………




ほむら「ッ!? あ、あれ!空から何か!」

マミ「あっ……! 空から何か降ってくるわ!赤い球体……!?こっちにまっすぐ……!逃げて!」

まどか「……うわぁっ!?」





……ズガァアアアアアアアアンッ!!


ジャリュウ『ゲハァッ!!!』

さやか「ゲホッ……なんだよ……もぉ……」




『ここか……。ワルプルギスの夜というのは……。』


まどか「どーなってんの……これ……」



『奴は……悪しき魂の集合体か……!私の体に眠る魂が奴に呼応している……!』


杏子「誰だよ……あんた……!」






杏子「それよりあんたも、戦隊の奴……?じゃあここ任せていいか……?」



『構わない。』




ほむら「じゃあ、お願いします!急ごう!」

さやか「おえぇ!?名前くらい聞こうよ!」

まどか「後でゆっくり話せばいいよ!行こ!」

タタタタタッ……









『……行ったか』



ジャリュウ「何ダ!キサマハ!邪魔スルンジャネェ!」



赤い球体の中から、深紅の体が姿を現す。
それは、ジャリュウの軍団を睨みつけ、そして、声高らかに名乗り出る。




                 『悪しき魂よ!聞け!私の名は……』




              『赤の魂を受け継ぐ者!スーパー戦隊・アカレッド!』

映画までに完結するとキッパリ言ったばかりだったのに スマンありゃウソだった

ジャリュウ「アカ……レッドォ……?フザケタ名前ダ!ブッ潰ス!」



ジャリュウ『ミギャアアアアアアアアォオオオオオオ!!!』


アカレッド「……行くぞ!」


ジャリュウの軍団、そしてアカレッドが互に走り寄る!
ジャリュウの攻撃を裁き、肘鉄、確実な隙を狙い蹴り。確実にジャリュウの軍勢を減退させて行く。



ジャリュウ「ヌグアアアアア!!!」

ザクゥッ!


バシィッ!


ジャリュウの剣を受け止める。
そして、投げ飛ばす。



アカレッド「ヌゥンッ!……」



パァアアアアッ……



ジャリュウ「グヌッ!?何ダ!」






               「ソウル降臨!嵐のスカイックパワー!ゴセイレッド!」






ジャリュウ「へ、変身シタァ~~~~!?」


ゴセイレッド「トォォォォッ!……スカイックソード!」バッ!

ゴセイレッド「レッドブレイクッッッ!!!」



ズシャアアアアアアアアアアアッ!!!



ジャリュウ『ギャアアアアアッ!!!』


ドォオオオンッ!!!


ジャリュウの数十体を襲う斬撃。
それと共に、ジャリュウの軍団の一部が抉られる。




ジャリュウ「カカレ!」

ダッ!



ゴセイレッドの後方からジャリュウが迫る。




ゴセイレッド「……ハァッ!」





              「ソウル降臨!体に漲る無限の力!アンブレイカブルボディ!ゲキレッド!!」



ゲキレッド「ゲキヌンチャク!」


バシィッ!


ジャリュウ「ギハァッ!!」



ゲキレッド「ゲキワザ!咆咆弾!」



ガォォォォォォォォォンッ!!!




……ズガァアアアアアアアアッ!!




ゲキレッド「……残るは貴様らだけだ!」



ジャリュウ「ナ……!」



続けざまの攻撃に、ジャリュウの軍団はほぼ全滅。
十数体が残るのみとなった。



ゲキレッド「……トォッ!」



                「ソウル降臨!マッハ全開!ゴーオンレッド!」



ゴーオンレッド「……ロードサーベル!……GOッ!」



ジャリュウ「……ッ!」


ゴォオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!


ゴーオンレッド「サーベルストレート!!!」




ズガァアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!






ジャリュウ「ギャ……アァ……!」





ドガァアアアアアアアアアンッ!!




シュゥゥゥゥン……



アカレッド「……片付いたか。残るは……ヤツだけだな」

アカレッド「任せたぞ。歴代のスーパー戦隊と同じ魂を持つ、5人の少女達よ」



…………………………………………






まどか「ハァァッ!!」バシュゥツ!



デスペラード「ッ!」ガキィンッ!


デスペラード「……もう追いつかれたか……。」



デスペラードの背目掛け、まどかが弓を打ち放つ。
振り返り、片腕で弾き返す。そして、臨戦態勢に構える。



デスペラード「いよいよ、君達との戦いは逃れられないようだね。」

デスペラード「ところで。僕は君達の実力、特性を十分に理解している。」

デスペラード「何が出来て、何が出来ないのか。どのような戦いをすれば、君達は不利になるか。」

デスペラード「唯一の不安要素、暁美ほむら。……だが君の時間停止はもう使えない。君自身がよく解ってるはずだ」


ほむら「っ……」



デスペラード「それでも、鞘走るかい?」


さやか「当たり前だ!」


デスペラード「勝目の無い戦いに身を投じるかい?敗北必須だと僕自身が忠告している。」

デスペラード「それでも?忠告を無下にするのかい?」


杏子「うぜぇ!」


デスペラード「……君達の思いつきがどの程度通用するかなんて、たかが知れているんだよ。果たして勝算は……」


まどか「……思いつきを数字で語れるかよッ!」


マミ「キュゥべえ。もうあなたの言う事には耳を貸さない事にしたの。……あなたと私の友達、どっちの言う事を信用すると思って?」


マミ「だから……行くわよ!ティロ・フィナーレ!!」



ズドォオオオオオオオオオオオンッ!!





デスペラード「無駄ッ!」


弾丸を片腕で爆散させる。デスペラードの腕は依然として無傷だ。

デスペラード「じゃあ、死のうか」ダッ!





まどか(来たッ!)



まどか「……マジカルスコールッッ!!!」


パァアアアアアッッ……ドドドドドドドドド!!!



デスペラード「ッ!」



空中に放った矢が分裂、雨のように降り注ぐ。
デスペラードは両腕で防ぐ。だが、気圧され、一歩だけ後ずさる。



カチッ……



デスペラード「何……!地雷……!」



ドガァアアアアンッ!!!






まどか「よしっ……!」









デスペラード「惜しかったねぇー……」

デスペラードの足元で爆発が起こる。
しかし、次の瞬間、空中にデスペラードが浮遊していた。



デスペラード「まどかの矢を囮に地雷を踏ませる……作戦としては良いけれど……」

デスペラード「だけど、暁美ほむら。君、同じような事を既にボウケンシルバー相手に実行済みだね。」

デスペラード「知識さえあれば、瞬時に何か理解し回避する事なんて簡単なんだよ」

デスペラード「……同じような手は二度通用しな……」




………ドゴォオオオオオオッッ!!!



デスペラードの後頭部から爆発が起こる。そのまま、地面へ叩きつけられた。




デスペラード「何だって……!」


ズダァンンッ!!




ほむら「そう……通用しない事は解っていた……だから」

ほむら「お前の跳ぶ軌道を予想して、あらかじめ爆弾を投げていた……!」

ほむら「ありったけの魔力を込めた爆弾を!」



まどか「イェイッ!やったね、ほむらちゃん!」






デスペラード「成程……君達も同じ手は使ってこないという事か……」

デスペラード「だけれど、地力じゃあ僕の方が断然上だ……小細工が効かなくなるのも時間の問題だよ!」ダッ!




ガキィンッ!



爪を構え、突進する。しかし、突如として現れた鋼鉄の壁に爪は阻まれる。




デスペラード「盾……!?」




さやか「剣だッ!」


目の前には、自身の身体の数倍はあろうかという剣が聳え立つ。


デスペラード「美樹さやか……!」

デスペラード「莫迦な……!君程度の魔力じゃあ、こんな巨大な剣を精製するなんて不可能なハズ……!」


さやか「たぁッ!!……今度の剣さばきはどうだァアアアアアァ―――ッ!!!」


ジャキィッ!

剣から飛び降り、勢いに任せデスペラードに肉薄する。
剣を携え、デスペラードの目前振り回し、剣戟を浴びせる!




デスペラード「ギャバァッ!?……何故だ……この力は……!」

デスペラード「以前の美樹さやかとは比べ物にならない程上進しているッ!」



さやか「残念!あたしも、ずっと隠れていた訳じゃなくてこっそり訓練していたんだよ!」



デスペラード「人間が僕の与えた力を使わずに強くなるだって……!?」



杏子「お前のやった事はただ適当に願い叶えて武器を手に握らせただけだ、うぬぼれんじゃあねえ!」

杏子「お前がいくら願いを叶えようと、結局そのあとに進むのは自分の足なんだよ」

杏子「あたしらの冒険を、お前ごときに見限られてたまるかよ……!」



杏子「ドラぁあああ!!!」ダッ!


デスペラード(跳んだ、来る……。この射線、……顔面狙いか。防げる。)

デスペラード(言った事の割には、君は僕の予想を覆す事なんて出来やしないじゃないか)




杏子「ハァアアアアッ!」


……ジャキイィィィッ!!



杏子「……どうだ!」




デスペラード「な……何……!?」



頭部を覆い、防御体勢に構える。
しかし、頭部への直線上に向かって来る予測は大幅に外れた。
杏子の槍がデスペラードの腹部に食い込む





杏子(バカが……見当違いのところ防ぎやがって……マヌケもいいところだぜ……)

杏子(だけど変だな……なんか……一瞬ソウルジェムが熱くなったような気が……)




デスペラード「グッ……!」


ガシッ!



杏子「えっ……」


デスペラード「ガガム・ゲードム……」


ビシビシビィッ!


腹部に突き刺さった槍を掴み、呪文を唱える
槍は石化し、崩れ落ちた






デスペラード「いくら君達が牙を剥いても所詮はエネルギー回収の為の道具だ」

デスペラード「僕に対抗出来るなんて思わないでくれ。」


まどか「杏子ちゃんの言った事全然解ってないんだね……」

マミ「だけれど……こっちの手の内が知られている以上、不利な事に変わりは無いわ……。なら、あれを使うのが一番」

ほむら「でも、私達で使えるんですか……?」

さやか「うん!あたしは訓練したからね!」


杏子「まぁ……四の五の言うよりやろうぜ!」

杏子「ちょっとした冒険だな」



ほむら「……そうですね!」







デスペラード「何をする気だい……?」


掌に火の玉を作り出し、5人目掛け投げつける。
5人の手前で大爆発を起こし、5人は爆風に包まれる

ズァアアアッ!!

ゴォオオオオオオオオオオンッ!!





まどか「……ハイドロシューター!シューターハリケーン!」


バシュゥウウウウウッ!ボォォォンッ!


デスペラード「!……おぶぇっ!」



大爆発の中、まどかが一人飛び出した。
高圧水流が燃え盛る炎事デスペラードを吹き飛ばす



ほむら「ラジアルハンマー!ハンマー……ダイナマイトッ!」



ズゴォオオオオオッ!


デスペラード「グハァッ!?」



続けて炸裂したハンマーの衝撃
さらに、数メートルその体は跳ね飛ばされる!

デスペラード「なら……!」



パシュゥッ!


爪を硬質化させ、手裏剣のように打ち放つ
射線上にさやかが立ちはだかる




さやか「ブロウナックル!ナックルキャノン!」



ブォオオオオオオオッ!!!ゴォォオオオオッ!


デスペラード「ギャアアアッ!!」



竜巻が爪手裏剣を巻き込み、進路を翻しデスペラードの身体を削り取る。



マミ「行くわよ!……バケットスクーパー!スクーパーファントムッ!」


ジャギィイイイイッ!!!ジャギィイイイイイイッ!!!

大爪が、デスペラードの肉体を抉りとる。
ダメージに耐え切れず、吹き飛び、倒れる。


デスペラード「グウゥッ……」

杏子「ボウケンジャベリン!……ついてこい、みんな!」



さやか「うん!」



杏子を先頭に、5人が連なりデスペラードに突撃する。



シュゥウウウウッ!

杏子「……ハァアアアッ!……レッドゾーンクラッシュ!」


ジャキィィイイイイッ!


デスペラード「ガフッ!?」


すれ違いざまに、ボウケンジャベリンの刃がデスペラードを切裂く。
さらに、4人が追撃を加える





さやか「たぁッ!!」


バキッィ!


ブロウナックルを装備し、殴りつける。



まどか「だぁッ!!」


ボギャァッ!


続け、ハイドロシューターの打撃


マミ「ハァッ!!」

ほむら「えいッ!!」


バゴォッ!ドゴォオオオッ!!



バケットスクーパー、ラジアルハンマーを叩き込む。



デスペラード「ギ……ハァッ……」


杏子「ハァァァッ……ジャベリンクラッシュ!!」


ザッシャァアアアアッ!!ドォオオオオッ!!



止めの一撃、振り返りざまの斬撃!
デスペラードは地を転がり、数メートル後退する


……ダァンッ!

デスペラード「グバァッ……」

デスペラード「くっ……いい加減にしてよ……君達の弱点は知り尽くしてると言ったじゃないか……!」

シュゥゥ……

シュバァッ!


再び、爪を硬質化し、手裏剣のように飛ばす。






さやか「……叩き落としてやるッ!」




5人が爪弾を叩き落とそうと攻撃を放つ。
しかし爪弾は進路を歪め、攻撃を避け5人へ突き進む。



マミ「なっ……!」


デスペラード「この方法は使いたくなかったが……仕方ない。」

デスペラード「この爪弾は僕の操作で自由に動く。……ソウルジェムを砕くくらい簡単な程にねッ!」





ほむら「しまっ……!」



……パキィンッ……


連戦の消耗が予想以上に激しかったのか、5人の動きは鈍っていた。
5人の、宝石が砕かれる音が響き、糸の切れた人形のようにその場に倒れふす。



ズシャァッ……




デスペラード「……終わりだ。哀れな幕引きだ。」

デスペラード「僕の作ったプレシャスである以上、僕には決して逆らえない。……当然の理だ。」

デスペラード「君達の命の火を無駄に摘むのは、僅かながら、確かな損害だが……だけど、これからの宇宙の延命で君達の死に報いるとするよ」




5人の死体を尻目に、振り返り、ワルプルギスの夜へ歩き出す。
その瞬間、腹部に痛覚が走る。


ジャキッ!




マミ「デュアルクラッシャー!ドリルヘッド!」




マミを先頭に、4人が支え、デスペラードの腹部にデュアルクラッシャーを突きつけていた

デスペラード「なっ……どういう事だ……!?」

デスペラード「確かに君達のソウルジェムは……命の火は……確かに折り砕いたハズ……!」

デスペラード「なのに……何故……!?ハッ……!」


もう一度振り返り、後方を見る。
ほんの数秒前まで転がっていた5人の死体が、忽然と姿を消していた。




デスペラード(おかしい……!これは……!「幻惑の魔法」……!?)

デスペラード(莫迦な……杏子の魔法は使えなくなっていた……!)





                  『GOッ!!!』





ドギャァアアアアアアアッッ!!!




引き金を引く。
ドリルビームは腹部をブチ破り、デスペラードは宙へ吹き飛ばされる。



デスペラード「ギャバアアアアアアアアッッッ!!!」



マミ「もう一度!みんな、私に魔力を集中して!」





               『ハァァァッ……!!……GOッ!!!』


マミ「ティロ・フィナーレ!!」




ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!



一際巨大な破壊エネルギーが螺旋を描きデスペラード目掛け一直線!
激突し、巨大な爆発が広がる!





ズギュゥゥウウウウウウウウウウウウウッ!




デスペラード「ヤッダーバァァアアアア!!!!」


……ドガァアアアアアアアアアッッ!!

破壊エネルギーが体を削り取り、貫き、そして
空の彼方まで吹き飛び、遥か上空で爆発四散した。

…………………………



さやか「やった……か」

マミ「当然よ!」

さやか「だけど杏子……今の何だったの……?」

さやか「なんかいきなりあいつ、あたしらにそっぽ向いて攻撃撃ってたけど……」

杏子「さぁな……。トチ狂ったんじゃねぇか……?」



杏子(何だったんだ……さっきの……てっきり使えなくなった物とばっかり……)



まどか「よし!……あとはあのワルプルギスをやっつけて……」






ゴゴゴゴゴゴゴ……


杏子「地震!?」

ほむら「いえ……このパターンは……」





デスペラード『残念だったね……まだ終わっていない。むしろここからが本番だよ……!』




ズゴグワァアアアアンッ!!!





さやか「あ、あいつもでっかくなれんの!?」




ズォンッ……ズォンッ……


巨大化したデスペラードが静かに歩みを進める。



デスペラード『チーキュ……いや、地球の食物というのは不思議だね。』

デスペラード『どういう原理か知らないが、宇宙人が摂取すれば身体を巨大化させられる食物があるとは。』

デスペラード『実在するとは思わなかったね。』




杏子「踏み潰される……!逃げるぞ!」







…………………………………

…………………………………







レッド「成程……。奴も巨大化能力を備えていたか。……ま、想定範囲内だ」


杏子「でもどうすんだよ……もうあんたらのマシンはズタボロ……!」


レッド「いや、まだ奥の手はある。」


まどか「奥の手……?」


ボウケンジャーと、魔法少女が合流する。
ボウケンレッドのアクセルラーにコールが鳴る。

ピッ



レッド「牧野先生、『アレ』が完成しましたか!」

牧野『はい明石君!頼まれていた物の準備が完了しました!今すぐそっちに転送します!』


ピッ





まどか「まだ戦う方法があるんですか……?」

レッド「あぁ。……だが、使うのは君達だ」


ほむら「え?」



ヒューッ……ドサッ

ほむら「わっ!?」

杏子「な……何……これ……」

さやか「あぁ!これか!これが用意してた……!」

マミ「何……かしら……これ ゲーム……?」


5人の手元にボウケンドライバーが転送される。



レッド「説明は牧野先生がしてくれる。君たちは至急ゴーゴービークルに搭乗してくれ」


杏子「何だかわからねぇけど……解ったよ」

……………………………………………




ゴーゴービークル、コクピット




マミ『す、凄い……私、ロボのコクピットに居るんだわ……』

ほむら『それで……これをどうするんでしょうか……』



牧野『あぁ、皆さん無事搭乗しましたか。では……ご説明を。』

牧野『えー、本来、パラレルエンジンというのはですね、プレシャスに秘められた夢の力を……』


杏子「原理はどうでもいい、どうすればいいかだけ教えてくれ」



牧野『……失敬。皆さん、そのボウケンドライバーをセットして下さい。』


まどか『はい!……こう……かな……?』ガチャッ



牧野『そうです。……それで、ドライバーの端っこに、皆さんのソウルジェムをセットする部分がありますね』


マミ「でも、私達操縦法なんて……」

さやか『それに、このマシンボロボロだよ。動くの……?』


牧野『大丈夫です!先ほど言ったとおり、パラレルエンジンは人の思いの力……ソウルジェムを使えばそれをより強い状態で取り出す事が出来ます』

牧野『それに……。解析する際にさやかさんのソウルジェムを使わせていただけたのは何よりの幸運でした!』

牧野『みなさんの使う自己回復の魔法……それを増幅する事で、マシンの自己修復が可能となってます!』

牧野『ソウルジェムの穢れも心配しないで下さい!ゴーゴーダンプに完璧にチューニングの完了したグリーフシードを積んでいます!』



牧野『さぁ、君達の思いを一つにして下さい!君達の思いが、全て……ダイボウケンの力となるのです!』




杏子「……やる……か!」


杏子「ゴーゴダンプ!」


ほむら「ゴーゴーフォーミュラ!」


さやか「ゴーゴージャイロ!」


マミ「ゴーゴードーザー!」


まどか「ゴーゴーマリン!」


ガシャッ……ゴォォォ!


5人がマシンのアクセルを踏み込む
それと同時にマシンがそれぞれの色に輝き、亀裂は塞がり、再び駆動し始める。














        『合体シフト・オン!ダンプ!フォーミュラ!ジャイロ!ドーザー!マリン!』


                   『ボウケンフォーメーション!』




                       『轟轟合体!』


5つのマシンと5つのネオパラレルエンジン、そして5つの心が一つになり……
鋼鉄の巨人が君臨する!




                   『ダイボウケン!合体完了!』



次の投下で最後になります
映画は見たけど私の小さい脳味噌じゃ理解しきれませんでした


最近は基本形態で決着が多い気がするな(シンケンとか電王とか)
とりあえずスコップの活躍期待してるぜ。

>>588
どっちも小林脚本ですね ゴーバスもトドメはエースだったし
スコップは活躍できそうにないです



ズゥンッ……





デスペラード「まだ邪魔する気か……!露ばらいもそろそろやめにしないか」





さやか「す、すごい……ロボにまで……こんな体験、絶対できないよ!」

まどか「いやぁもう……カンドー……」





再び立ち上がったダイボウケンと、デスペラードが相対する。




デスペラード「ゴォオオオアアアアッ!!」ゴアッ!



口を開き、悍ましい牙が姿を現す。
喉の奥から火炎が湧き上がり、ダイボウケン目掛け進む





ゴォオオオッ!


……ドォオオオオオッ!!!




デスペラード「……燃え尽きたか」






ズゥンッ!


大爆発の中、ダイボウケンの豪脚が踏み出され、デスペラードの目前に肉薄する。







デスペラード「何ッ!?」



              『 轟轟剣! アドベンチャードライブッ!!!』






ズバッシャアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!



デスペラード「ギャパァーッ!?」


シュゥウウウウ……




……ドォオオオオンッ!!




杏子「……やったぜ。」







斬撃がデスペラードを砕き飛ばす
倒れ、無様と言えるような姿でダイボウケンを仰ぎ見、言葉を紡いだ。





デスペラード「何故だ……その力何処から生まれ出てる……!?」


デスペラード「何を握って力と変える!?君達の宿している物は何だ!?」


デスペラード「それは僕の作ったモノか!?君達の心に宿したそれは一体何だッ!何なんだッ!?」







レッド「……思いの力だッ!!」




デスペラードを見上げ、ボウケンレッドが叫ぶ。

デスペラード「思いの力……だと……!」





レッド「人間は古来から、夢を見続けて来た……希望を持ち続けたッ!」

レッド「未来へ進み続ける為に……!思いを叶える為にッ!」



デスペラード「莫迦な……この世界の希望は……この世界の文明はッ!」

デスペラード「全て僕たちがもたらした!僕たちの契約による福寿品にすぎないハズだ!」

デスペラード「人間が自ら進む事等……有り得るハズが無いッ!」



レッド「お前が作り出したのは所詮、仮初の希望だ……本当の希望はッ!」


レッド「人間の生きる力……夢を見る可能性!」


レッド「今……彼女達の胸に宿っているのは……偽りの無い、未来へ受け継がれる輝く希望ッ!」


レッド「自ら歩み、そして掴み取った宝!……絶望を覆す為の、……真の夢の力……」



レッド「 ……冒険者の魂だッ!!! 」





デスペラード「夢……だって……?」








レッド「……!」

ブラック「っと、明石、熱くなってるところ悪ぃけどまさかこのまま見てるだけ……とか言わないよな」

ブルー「僕らも、助太刀しなきゃね」

イエロー「牧野さん、ダイボイジャーの準備OK?」


牧野『勿論!最終リミッターも解除しておきましたよ!』


ピンク「了解……!これで支度は十全です、……まどかさん達と一緒に戦えます」



レッド「……あぁ。」




………………………


デスペラード「クッ……このままじゃあ、持たない……」

デスペラード「クエスタージェットを修繕している暇は有り得るだろうか……いや……」

デスペラード「今や木偶の棒、呪いの偶像と化したワルプルギス……倒されるのは時間の問題だ」

デスペラード「やむを得ない。……こんな方法、使いたくなかったが……」



ダッ!


デスペラードが飛び立ち、ワルプルギスの胸部に張り付く。
その体はワルプルギスに吸収され、飲み込まれる。




シュゥウウウウウウウウウッッ……



ゴボッ!ガボッ!ギュオオオオオオオオオオッッ!!


 


さやか「な、何やって……!」

ほむら「ワルプルギスに飲み込まれた……!?」




デスペラード『……ワルプルギスと一体化した。クエスタージェットのゴードムエンジンを直接僕の体につなげた。』


デスペラード『こうすることで、ワルプルギスは僕の意のままに動く。蹂躙する力を思いのままに使い尽くせる』


デスペラード『……こんな事をすれば、母星に帰る事は愚か、契約する事すらもままならない。』


デスペラード『だけれど……そんな事は……後で考える事にしよう……。』


デスペラード『いいや、猶予何て本来なら存在しない。……本当の最後の手だ』


ドシュゥウウウウウウウウッ!


ワルプルギスの身体が赤黒く輝く。
同時に、再び突風が巻き起こる



ゴォオオオオオオッ!





『ハ━━━━ッハハハハハハハハ!!!ギャ━━━━ハハハハハハハッ!!!』




『ゴードムエンジン再始動!ワルプルギスの全エネルギーを稼働させるんだ!』

………………………………………………………

ダイボウケン、コクピット内



杏子「……って……調子に乗ってもられないみたいだな……」


さやか「ねぇ……そういえばさ、これってあたし達の魔法も増幅させられるんだったよね……」

さやか「じゃあ、そこに転がってる他のマシンも治せる……んじゃない?」

マミ「そう言われれば……そんな感じもするわね……。」

まどか「やっちゃいます?やっちゃいましょう!」

ほむら「はい!」






さやかを中心に5人が魔力を送り込む
ダイボウケンの胸部から青い光が円状に広がり、大破したビークルの傷を塞げてゆく。





パァアアアアアアアッ……




ブゥンッ……






………………………………








牧野『映士くん!サイレンビルダー、ナンバー6からナンバー10までのパラレルエンジンが復活しました!』



シルバー「よぉし!サンキューな!お前ら!」


ボウケンシルバーはサイレンビルダーへ走ってゆく。






レッド「俺たちも行くぞ。……ブラック。頼む。」


ブラック「アタックだ、みんな!……」


ブラック「ボイジャー!アンドック!」




            『発進シフトオン!ボイジャー・アンドック!!GO!!GO!!』

……………………………………




マミ「私達も、合体よ。」

まどか「了解っす!」







            『合体シフト・ON!ドリル・ショベル・ミキサー・クレーン・ジェット!』






                      『 究極轟轟合体! 』






                  『アルティメットフォーメーション!』






…………………………





ゴォオオオオッ……


ゴーゴーボイジャーが5つに分離し、フォーメーションを組む。





                 『合体シフト・ON!』



                  「コマンダー!」


                  「キャリアー!」
  

                  「ファイター!」


                  「アタッカー!」


                   「ローダー!」




                  『 超絶轟轟合体! 』






               『 ボイジャーフォーメーション! 』








……………………………………………


……………………………………………




ガシィイイイイイイイイッ!






               『アルティメットダイボウケン!合体完了!』



                 『サイレンビルダー!合体完了ォ!』



                    『ズ・バ━━━━ン!』


                  『ダイボイジャー!合体完了!』




                 『『『 ファーストギア・IN! 』』』


ゴォオオオオッ……



大地を震わせ、空を切り裂き、その身体を輝かせ、炎を打ち砕き4体の鋼鉄の巨人が君臨する。
ワルプルギスを目前に、臨戦態勢を構える。



ワルプルギス『お揃いかい……?』


ゴォオオオオオオッ!


ギュルルルルルルルッ!ズシャァッ!

4体が揃うや否や、間髪入れずに火炎を浴びせる。
だが、火炎はダイボイジャーの両拳によって打ち消された。




ワルプルギス『な……』



レッド「このダイボイジャーも俺たちの思いの力で動いている。貴様の得たデータ等宛にはならん」

レッド「畳み掛けるぞ。アタック!」




ボウケンレッドの呼びかけに全員が応える。
ボウケンシルバーがアクセルを踏み込み、ハンドルを押し倒した。



ゴォッ!






シルバー「らぁあああああッ!トリプルリキッドボンバーッッ!!!」


ボシュゥッ!ボシュゥッ!ボシュゥウウウウウウッ!!!


ドガァアアアッ!


ワルプルギス『ファッ!?』


放水弾が腹部に命中する。僅かに体制を崩す。



ズバーン「ズ……ン!ズバババババババババ━━━━━━━━ン!!!!」



ズッシャアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!



追い討ち、必殺ズバズバンキック。









                   『ハイパーチャージ!』



ゴォオオオオオオッ……


ダイボイジャーの両拳が高速回転。
圧倒的破壊力を拳に宿しワルプルギス目掛け跳ぶ






               『アドベンチャー・ダブルスクリュー!!!』




ゴガァアアアアアアアアアアッ!ズゴァアアアアアアアアアアアッ!!


ドゴォオオオオオオオオオオッ!!!


ワルプルギス「ギャヒャァアアアアアアッ!!!」




腹部にエネルギーを纏った拳を打ち込まれ、体勢が傾く
がら空きになったワルプルギスにアルティメットダイボウケンが迫る!




ゴォォオオオオオオオ………






                 『オーバートップギア・IN!』





              『 アルティメットブラスター!!!! 』





ボォオオオオオオオオオオッ!!ギュゥウウウウウウウウウウッ……!



……ドガァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!


ワルプルギス「ギャァアアアアアアアアアアッハハハハハハハハ!」



ズガァアアアッ……


胸部から炎のエネルギー弾をワルプルギスの腹部に打ち込む
ワルプルギスの腹部には風穴が空き、地面へ墜落。
巨体が地面に激突。半身が陥没する。

杏子『……どうだッ!』


ほむら『あの笑い声も、消えてなくなった……!』







ワルプルギス「……」


ワルプルギス「………フフフッ……」


ワルプルギス「ハァーハハハハハハ!!!!」


シュゥゥゥゥ……


ブラック『な……!』

ピンク『傷が塞がって行く……!?』


再び笑い始めると同時に、腹部に開いた風穴が埋まってゆく



ワルプルギス「君達のマシンは、治癒魔法によって修復された……。」

ワルプルギス「魔女の集合体であるワルプルギスの夜が同じ事を出来ないとは……思わないよね」


ワルプルギス「君達がいくら攻撃したって無駄なんだよ。」




ゴォォォッ……


傷を完治させ、もう一度ワルプルギスの巨体が宙に浮遊する。









ブルー『成程……。そういう事なら、安心したよ』

イエロー『私たちの攻撃が全く通用しない訳じゃあないもんね!』


レッド『あぁ……。総員、全力を尽くしワルプルギスの夜を殲滅する!……アタック!』





『『『了解!』』』

ボウケンレッドの呼びかけに魔法少女5人が応える。




                 『ボイジャーキャノン!!!』



ドドドドドドドドドドドドド!!!



ドゴォォオオオッ!



ワルプルギス「ギャハハッ!?」



ダイボイジャーの体じゅうに装備されてある砲身が展開、ワルプルギス目掛け一斉射撃。
背後で、アルティメットダイボウケンが飛び立ち、ワルプルギスの顔面目掛け急接近!




杏子「やっさいもっさいィィイイイイ!!!」



               『アルティメットビーム!』

ガシャッ……バシュゥッ!





ワルプルギス「ぐッ……落としてやるッ!!」




ゴォオオオオオオオッ……!

   ズォオオオオオオッ……







さやか「……!上!ビルが降ってくるよ!」

マミ「回避しきれない……!なら……!」




                    『バリアブルタイフーンッッ!!』



シュゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!

ゴオオオオオオオオオッ!!

アルティメットダイボウケンの腹部に合体したゴーゴージャイロの翼から竜巻が放たれる
竜巻はビル群を粉々に吹き飛ばす



ワルプルギス「なっ……」




ほむら『今です!』

まどか『突っ込むよッ!!』


ガシィッ!


アクセルを踏み込む


ビルの破片の霧の中、アルテイメットダイボウケンを僅かに見失ったワルプルギス
ほんの一瞬、目を離した隙にワルプルギスの首元にアルティメットダイボウケンが迫っていた。



ワルプルギス「ギャハッ……!?」







                    『 ダブルアームクラッシュ!! 』



ズシャアアアアアッ!ズガァアアアアアアアッ!ギャリリリリリリッ!


ドゴォオオオオッ!




ワルプルギス「ハハハハ……無駄だよ!」


ドゴッ!

ワルプルギスの首元にショベル、ドリルの斬撃を炸裂させる
しかしワルプルギスは笑い声を歪めず、祓うようにアルティメットダイボウケンを叩き落とす


ドギャアアアアアッ!!



ほむら「あああぁっ!!」


マミ「まずいわ!今の衝撃で両腕が……!」


さやか「えぇっ!?」


叩きつけられた衝撃で、アルティメットダイボウケンの両腕が分離し、吹き飛んだ。
制御が崩れ、空中でバランスを崩し落下してゆく。


シルバー『……!エイダー!ポリス!分離だッ!』


ガシィッ……ガシャァッ!!



まどか「わぁっ……!何か、違うのくっついた!」



ボウケンシルバーのコールに応え、分離したゴーゴーポリス・ゴーゴーエイダーがアルティメットダイボウケンの両腕に合体する。
吹き飛ばされたドリル・ショベルはサイレンビルダーの両腕に合体する。




シルバー『こういう合体も出来るんだぜッ!』




                   『アルティメットダイボウケンエイダー&ポリス!合体完了!』



                     『サイレンビルダードリル&ショベル!合体完了ォ!』






後方に退避し、アルティメットダイボウケンが腕を突き出し照準を合わせる
サイレンビルダーが再び屈伸、ワルプルギス目掛け飛び出す







                       『ナックルバルカンッ!』



                   『ダブルアーム・リキッドボンバーッッ!!』




ドドドドドドドッ!!


ザシュゥウウウッ!ギュルルルルルルルッ!ボシュゥウウウッ!




ワルプルギス「ギャハァッ!?」



歯車部分に必殺技を炸裂させる。
歯車の一部に大きな亀裂が走り、一瞬、ワルプルギスの動きが鈍る。

シルバー『グッジョブだぜ!お前ら!』



サイレンビルダーの両腕、ドリル・ショベルが分離し、再びアルティメットダイボウケンに合体する
そのままアルティメットダイボウケンはワルプルギスの顔面目掛け飛んでゆく。



ワルプルギス「ハハハハッ……ギャハハハハハッ!!!」

ゴォッ!


ワルプルギスがアルティメットダイボウケンへ豪腕を伸ばす。
その瞬間、ダイボウケン・ダイタンケンの二体へ分離した


ズシャァアアアッ!!


さやか「このまま走り抜けてやるッ!」



ダイタンケンに杏子、さやかの二人が、ダイボウケンにまどか、ほむら、マミの3人が搭乗。
ダイタンケンは空から、ダイボウケンはワルプルギスの腕を伝い顔面へ接近する!




ズシンッ……ズシンッ……





杏子『行くぜ!』

マミ『解ったわ!』







ゴォオオオオ……



                  『ダブル・ボウケン・ミッション!』



                 『 アドベンチャードライブ!! 』



                  『 ボウケンフラッシュ!! 』




ズガァアアアアアアッ!!!


二つの攻撃が顔面の一部を切り欠く
ワルプルギスが口を開き、二体を焼き落とそうとエネルギーを蓄える。




マミ「!退避よ!来るわ!」



ワルプルギス「ギャハハハハハハ!!……ガハッ!?」


吐き出される寸前、ワルプルギスが怯む。
ワルプルギスの歯車部分に黄金の剣が突き刺さっていたのだ。




レッド「今の内だッ!早くそこから降りろ!」


ダイボイジャーの拳がズバーンを撃ちだしていた。
ダイボウケン、ダイタンケンは地上に飛び降りる。




ズバーン「ズンッ!!」



ガキィッ!




歯車を蹴り上げ、ズバーンも着地する。



着実に体に破壊を与えられ、再生しきれない程、ワルプルギスは消耗していた。




ワルプルギス『グァバッ……こうなったら……最期の手段ッ……!!』

ワルプルギス『全ゴードムエンジン始動!エネルギーを全開ッ!』



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……





ブラック『オイ!……何だアレ!?』

ブルー『あんなエネルギー、もしかわせば……この街が吹き飛ぶかもしれない!』




まどか『街が吹き飛ぶ……!?』

マミ『学校には街中の人が避難しているのよ!なんとしても守らなきゃ!』







ワルプルギス「ゴォッ……バッ……」


ワルプルギスの口から、自身の体程の大きさのある巨大な獄炎の球体を創りだす。
火炎は、太陽のごとく白色に輝いていた。



ワルプルギス『最期だ……!』



ゴォオオオオオオオオオオオオオッ!!!



火炎弾は5体目掛け、打ち出された。
空気を焦がし、道に散らばるビルの破片を蒸発させ向かってくる




レッド『みんな……!こっちもパラレルエンジンを全開にするんだッ!フルパワーでコイツを打ち消すッ!』




『『『ハァアアアアアアアアッ!!!!』』』











……ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッッッ!!!


5体の体が輝き、火炎弾にぶつかる
火炎弾は爆発し、5体を丸ごと飲み込む程の大爆発を生み出す。
5体が盾となり被害は最小限に抑えられたが爆風が廃墟となった街をさらに吹き飛ばした。


爆風が収まり、静寂が訪れる。
立ち上る煙幕の中からはマシンの稼動音等、一切響かない。


ワルプルギス『……希望、……希望なんかよりも、やはり絶望の方が勝ったか……。』


ワルプルギス『遂にッ……!遂にやったぞッ!ボウケンジャーをッ!』


ワルプルギス『ボウケンジャーどもを絶望の淵に叩き込んでッ!そして』


インキュベーターに埋め込まれたクエスターの細胞
細胞に刻まれた微かに記憶……ボウケンジャーへの復讐心。
その怒りの記憶が、ワルプルギスを支配していた。

そして、たった今、その復讐は果たされた。
その叫びはインキュベーターでもワルプルギスでもない。紛う事なきクエスターの叫びだ




ワルプルギス『僕がこの星の守護者となる……!この星のッ!』

















                      『ゴーゴービークル!全車突撃!』














ワルプルギス『ハハ……!?』

ワルプルギス『な……何だって……!?』





レッド『ゴードムエンジンを破壊する!』

杏子『おうよッ!!』




ゴォオオオオオオオオオオッ……!ドゴォッ……!


爆煙を吹き飛ばし、分離した18体のビークルがワルプルギス目掛け、発進した。
ビークルはワルプルギスの体を旋回、体当たりし、確実にダメージを刻んでゆく





ワルプルギス『な……くッ……!』


ガキィィィィッ!ゴォオオオオッ!!


『ハァアアアアアアアッ!!!』



……ドゴォオオオオッ!!



ワルプルギス「ハハ……ガハ……ァアアアア!?」

ワルプルギス『な……!ゴードムエンジンが……ッ!』

ワルプルギス「ハハハハハ……ハハハハハハ!!!」

ワルプルギス『ガァッ……制御が……体の制御が効かないッ……!!』


遂に、ワルプルギスの体内、及びデスペラードに埋め込まれていたゴードムエンジンが破壊される。

満身創痍のワルプルギスが制御を外れ、暴れようとする。だが、デスペラードが動きを制御せんと作り出した
クエスタージェットがそれを阻害する。



ワルプルギス「ギャハァッ……ガッ……ギャッ……ハッ……!」



レッド『ッ!』


ワルプルギスが動きを鈍らせる。
18機のビークルはそれと同時にワルプルギスから退避した。







ゴォオオオオオオ……

 ……ガシャァッ!




分離していたビークルは再び合体する
ゴーゴーボイジャーにはボウケンジャーの6人が、
ダイボウケンには魔法少女の5人が搭乗する。

アクセルを踏み込み、ダイボウケンが跳ぶ。
ゴーゴーボイジャーの機上に立ち、パラレルエンジンを連結させる。









ゴゴゴゴゴゴゴォォォ………







        『『『『『 ボイジャーダイボウケン!!! 搭乗完了ッッ!!!』』』』』



ドドドドドドドドド……


ワルプルギス『ッ……!!』

ワルプルギス『ギャハッ……ギャハッ……』


ゴォオオオオオッ!!





 『『『ハァアアッ!!』』』


ザシュゥッ!ザシュゥッ!!



ギアを踏み込み、ホイールが回転し、大地をうならせ、ゴーゴーボイジャーが動き出す
危険を察したか、ワルプルギスが火炎を放つが、轟轟剣によって捌かれる。





レッド『……来いッ!ズバーンッ!!』


ズバーン「ズバーンッ!ズバズバ!」


ボウケンレッドの呼びかけにズバーンが聖剣へと変形し、ダイボウケンがズバーンを握り締める。



『『『『『 ハァアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!! 』』』』』



バシュゥウウウウウウウッ!!!



11人の心が一つになり、パラレルエンジンを伝いズバーンに注ぎ込まれる。
11人の想いを受け取ったズバーンは刀身を虹色に輝かせる!







ワルプルギス『グァッ……く……来るなァアアアアアアアアアッッッ!!!!』




ダイボウケンが剣を振り下ろした。
虹色に輝く刀身がワルプルギスを断ち砕く!







      『『『『『 スーパーライディングアドベンチャードライブッッッッッ!!! 』』』』』








ズッッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!




ワルプルギス「ギャ……ハ……ハ……」



ワルプルギスの体に、歯車に、十字の虹色の斬撃が刻み込まれる
そこから走る亀裂が徐々にワルプルギスの身体を蝕み、全身に広まった。













   ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ━━━━━━━━ンッッッ!!!!






亀裂から光が漏れ、ワルプルギスの体が僅かずつ崩壊を起こす。
そして……、ワルプルギスの体は大爆発を伴い、砕け散った。














ほむら「……!!」





マミ「ワルプルギスが……消え……!」



さやか「えっ……もしかして……」

まどか「倒して……倒し……!」

杏子「あぁ……あぁ……!!」

マミ「見て……空が晴れて行く……!」







ほむら「あぁっ……あぁっ!!」

ほむら「やった……やったああああああああ!!!」


まどか「!?」







レッド『……グッジョブッ!』




ブルー『ワルプルギスの反応、完全消滅!……間違いないよ!』

ブラック『よっしゃっ……!!……ほむらの冒険も、とりあえず達成ってとこかな……。』

イエロー『やったぁ!みんなと一緒に勝てたよ!マミちゃんっ!!』




シルバー「……。」






ピンク『……?高丘さん?』


シルバー『いや……。まだ、全部は解決しきってねぇ……。』

















……………………………………………………………






地上……



ワルプルギスは消滅し、雲が裂け、青空が広がる。
しかし、ビルは破壊し尽くされ、暴雨が止んだ後も、浸水していた。






まどか「……こんなに、街がめちゃくちゃに……。」


さくら「いえ……。まどかさん、避難所の無事は確認済みです。」

真墨「まぁ……。こんなに壊れちまったけど、大丈夫だろ。……みんな生きてんだからな」

蒼太「そうそう、そうた! 時間はかかるだろうけどね。」


ほむら「はい……!」


ビシッ!ビシビィッ……


ほむら「……!?」


バキィッ……


ほむら「えっ……!?盾が……砕けた……」

真墨「おっ……何でだ?」

ほむら「……あの時の約束を守れたから……かな……今の、この世界で……。」


QB「いや、よくやったね……。あのワルプルギスを倒すなんて……」

菜月「キュゥちゃん……!?」

QB「あのイレギュラー個体も消滅した。……心配事の種は一先ず消えたという所かな」





さくら「貴方たちを放っておけばまた世界中で魔法少女が増え続ける事になる……。」

さくら「目的が何であろうと、少女たちの命を脅かす行為を、我々は許しはしません。」


杏子「そうだよ。これ以上あたしらみたいになる奴らが出るのは御免だ。」

さやか「杏子の言う通りだッ!よくも、あたしらを騙してくれたな!」


さやかが剣を構える。
しかし、映士がさやかの前に手を伸ばし、さやかを停める。


さやか「映士さん……?」



映士「おい……キュゥべえ。」


QB「なんだい、高丘映士」

映士「俺もさくら姉さんと同意見だ。」

QB「……前にも言ったとおりだけれど、宇宙の為なんだ。……それに、僕らがいなければこの世界は」


映士「あん時はお前に流されちまって納得しちまったけどよ。……やっぱりお前の言う通りだとは俺様は思わないぜ」


映士「確かにお前は一歩二歩後押しはしたのかもしれねぇ。でも今までのこの道のり……歩んだのは全部人間の力だ」


QB「へぇ」


映士「今日見て解っただろ……人間には絶望を覆す程の想いがあるってよ」






映士「それに宇宙がどうとか別にお前らだけの問題じゃねぇ」

映士「なのにお前たちが、使命と思い込んで今まで女の子の命を奪い続けてきた事……それは許せねぇ」

映士「それはお前たちだけの使命じゃなくて俺たちだって何とかしなくちゃいけない事なんだよ……。」


映士「だから言わせて貰うけどよ。……お前たちのやり方は間違ってる。」




映士「……こんな事もうやめようぜ。……今は見つからなくても、いつかは誰も犠牲にしない方法が見つかるハズだろ」






QB「ふぅん……。 僕たちも、そのつもりだったんだ。」

まどか「え……?」

QB「まぁ、これは……僕らの存在がバレてしまった以上、君達スーパー戦隊は総力をあげて僕らを潰そうとするだろう、という意味の」

QB「いわば逃げの策だったのだけれど、でもまさか君達が手を差し伸べるとはね。予想外だ。」


QB「……今まで、僕らは希望と絶望の相転移が一番効率の良いエネルギー産出方法だと思っていた。」

QB「だけれど、さっきの……君達のロボットのエネルギーを計測してね。」

QB「そしたら、……どうやら『夢の力』とやらは……一度に生み出すエネルギーこそ少ないが」

QB「継続的に観測すれば、絶望のエネルギーよりも、高いエネルギーを産出するらしい。」



マミ「どういう事……?」

QB「……君達の命は魔女にして終わり、というのは非効率極まりなかったという訳さ」

QB「君達を家畜のように扱うのは元々無理が合ったようだ。」

QB「だから……。この宇宙の今後は君達に任せようか。君達なら問題なく解決できそうだという判断に基づいてね。」

QB「もう、この星には関わらないとしよう。……あと一度だけ、彼女達のソウルジェムを濁らないように改修するためには立ち寄るだろうけれど」



映士「本当か……!」


QB「君達の命を奪うような真似は……もう出来ないさ。契約も行わない。何一つ、この星には関わらない。」


QB「それじゃあ、さようならだ。……」






真墨「……解決した……っぽいな」

蒼太「うん……。相変わらず僕らには見えないけど」

明石「あ、あぁ……。まぁ、解決したならば、越したことはない。」









まどか「……待って、キュゥべえ!」



QB「何だい?」


まどか「希望が力になる……。だったら、キュゥべえが伝えてよ」

まどか「世界中の、悲しんでる人たちに。」

まどか「私には届かない手でも、キュゥべえなら伝えられる。」

まどか「『私達は悲しんでも、前に向かって行ける。きっと手を繋げられる』……ってさ」

まどか「私には少ししか伝えられないから。キュゥべえにしか出来ないから。」




QB「……。契約もしない。人間とは言葉による繋がりしか持てない僕らが……かい?」




QB「繋いだ手だけが紡ぐもの……か。」

QB「感情を持たない僕らが、果たして、伝えられるのだろうか……。君達のように、手を繋げられる事を、希望を伝えられるのだろうか……。」




杏子「……ちょっとした冒険……だろ?」


QB「……。」













…………………………………………………








数日後……








…………………………………………………











牧野『えー、……インキュベーター君の言う通り、彼女達のソウルジェムが改修されたのを確認出来た訳ですが……。』

牧野『しかし、依然として魂は切り離されたまま……。』

明石「彼女達の魂を元に戻す方法。……そのアテはあります。」

牧野『はい……。しかし、何故、レーシング場に……?』



牧野と通信をしながら、明石はあるレーシング場へ向けて歩いていた。
翌日にレースを控えたレーシング場には観客は誰一人いない。








レーシング場内……






走輔「よっしゃ!コンディションもバッチリ!これで優勝間違いなし!だっぜ!」

早輝「復帰して初めての試合だもんね。……走輔ならスマイル忘れないから大丈夫だよね!」


美羽「応援してるからね。……アニもこう見えて結構走輔の事心配してたんだから」





範人「お~い、みんな~!僕らに話したい事があるってお客さんだよ~!」


範人に連れられ、明石が七人と合流する。



走輔「ん……?うおおおッ!!!あ、あんた、確か……!」

連「ズバリ、俺たちの先輩……轟轟戦隊ボウケンジャー、ッス!」

軍平「かっこよすぎる……」


連「で……話したい事って?」


明石「あぁ……説明するよりも、これを読んでくれ」


明石は、ソウルジェムの研究を綴った書類を渡した。


走輔「なんだ、コレ……ソウルジャム?」


大翔「お前が読んでも解らないだろ、走輔……。」

大翔「魂と体を切り離す……? これを元に戻すのを手伝ってほしいと」


早輝「魂と体が別々って……それって!」

連「ズバリ!炎神ソウルと炎神キャストの関係と一緒ッス!」


明石「あぁ。……君達なら、元に戻す手立てを探し出せると思ってな」


走輔「そーゆー事ならお安い御用だぜ!俺の相棒たちなら、何とかなるだろ!……魔法の事はマジカルワールドもあるしな」






明石(マジカルワールド……!?)








走輔「……そういえば、先輩。あれ知ってますか、あれ……」

走輔「確かアカレッドとか言う奴が言ってたけど宇宙からなんか凄い奴らが地球に来てるって……」


明石「あぁ……。」


走輔「名前は……なんてったっけな……」

大翔「ザンギャ……ザンギリ……いや……ザンギャ……」



走輔「まぁいいや。いざって時はいつでもマッハ全開!炎神戦隊ゴーオンジャーが助けに行くぜ!」

走輔「なんせ俺たち……『正義ノミカタ』だからなッ!」


明石「あぁ。よろしく頼むぞ。」










………………………………


サージェス本部……


牧野『えー……今回の件でですね。解決したとはいえ、まだ世界中から魔女が居なくなった訳ではありません……。』

牧野『既に魔女になってしまった少女……。使い魔から成長した魔女……。』

牧野『我々サージェスが中心となって全世界の魔法少女を援助する事を決定しました。』

牧野『武器の支給や、魔女の探索など彼女達の負担を僅かでも消すことが出来れば……と。』

牧野『三浦参謀長からも協力の要請を頂けました。』

牧野『……もう彼女達が孤独な戦いに身を投じる事の無いように、と。』



牧野『あとは……宇宙の寿命を伸ばす手立ても考えなくてはいけませんね……。』

牧野『中々、忙しくなりそうです』


真墨「ま……。とにかくいい方向に向かってるって事だな……。」

さくら「世界中の魔法少女達が過酷な宿命を辿る事はもう無い……そういう事ですね。」



菜月「みんな~!マミちゃん達から手紙!手紙だよ~!」

蒼太「へー!どれどれ!」


映士「お……5人で撮った写真も入ってんのか!……良い顔してるじゃねぇか、みんな」


真墨「俺にも見せろよ。 ん……?誰だ、コイツ……。……!?」

真墨「えぇええええええええ!?コイツ……ほむらかよ……変わりすぎだろ……」


蒼太「髪を下ろしただけでしょ?……まぁ随分変わったと思うけど……」

蒼太「さやかちゃんは上条君と上手く行ってるみたいだね。……良かった。」

蒼太「将来のお嫁さん候補に入れようと思ったけど……さやかちゃんが幸せならそれで……痛っ!」


蒼太「ごめん、みう!……冗談だよ」

みう「ヽ(`Д´)ノ」ガジガジ



菜月「マミちゃん、友達に囲まれて、幸せそう……。」

菜月「あの寂しそうだった顔が笑顔に変わって本当に良かった!」

さくら「えぇ。本当の、心からの笑顔ですね。」

さくら「まどかさんの継なぐ手は誰かに伝わって……。きっとみんなの思いを束ねる事が出来るはずです。」



明石「杏子達は一人じゃない。仲間と力を合わせればどんな困難にも立ち向かえるさ。」

明石「もう……何があっても挫けない。」






映士「で……気がかりな事は無くなった……訳じゃ無いんだよな」

蒼太「そうだね……。」

真墨「アカレッドが言ってた……だっけ」

さくら「はい。……おかげでインキュベーターがクエスタージェットを用いた戦術を使う事が予測出来たのですが」

映士「あいつにとってもこの地球を侵略されるのは困るだろうからな。だから母星に帰る為にクエスタージェットが必要だって事だ。」

菜月「そうそう。ワルプルギスじゃ宇宙で上手く動けないから、そういうの使うって。」


明石「アカレッドが甦ったという事はただならぬ状況じゃない。全てのスーパー戦隊に関わる程の巨悪だ。」


明石「きっと俺たちの体験した事の無い程のな……。」




6人が微かな不安にかられる中、モニターに通信が映し出される。
焦りの形相をした牧野からであった。



牧野『みみみみ、皆さんっ!!た、大変ですっ!!!』


映士「おっさん!?」

牧野『ち、地球へ向かって、数え切れない程の大艦隊が……それに!』

牧野『通信が!今切り替えます!』


牧野が通信を切り替える。
赤と白の二人の戦士が画面に映し出された。


アカレンジャー『全スーパー戦隊!……危惧していた時が遂にやってきた!』


真墨「アカレンジャー!?」


アカレンジャー『今、この地球に恐るべき侵略の魔の手が迫っている!』


ビッグワン『そうだ!……奴らの名は……『宇宙帝国ザンギャック』!!』


明石「ザンギャック……!」


ビッグワン『我々は総力を挙げてこれを迎え撃たなければならない!34のスーパー戦隊全ての力を合わせる時だ!』

アカレンジャー『我々の力を結集して地球を守るんだ!』




アカレンジャーの言葉を最後に、通信が途絶えた。




蒼太「本当に予想以上の敵みたいだね……」

菜月「……!」

さくら「宇宙帝国……。我々が戦ってきた敵とは、規模が違います!」

映士「そんな連中が地球に攻めて来たって事か……。ただ事じゃあねぇのは確かだな」

6人が、立ち向かう為の決意を固める。
皆、地球を守る為に、戦う覚悟を心に決めた。
それを見た明石が背を向け、指示を仰ぐ


真墨「行くぞ、明石。」



明石「みんな。俺たちの全力で立ち向かう。……」







明石「ボウケンジャー!総員出動!」






ボウケンジャー、及びすべてのスーパー戦隊が身を投じた戦い――
後に「レジェンド大戦」と呼ばれる戦いで彼らは一時的に戦う力を失う事となる。

しかし、力を失ったとして、彼らの冒険魂は消える事はない。






 命がけの冒険に、今日も旅立つ者がいる


  密かに眠る危険な秘宝を守り抜くために、あらゆる困難を乗り越え進む冒険者達――!!

おわり
こんな長くて陳腐なのを読んでくれてありがとう
若干不謹慎なタイミングで終わる事になったのは予想外

乙です。
戦隊濃度の濃さが凄かった。
けど、まどマギ勢もそれに負けない活躍の場が用意されていて良いクロスだった。

ところでなんでほむらじゃなくてめがほむにしたのかな。
闇堕ちは結果論だけどクーほむの方が真墨との相性は良かった様にも思うんだけど。

>>631
まどかを契約済にしたかったからです
クーほむで契約済ルートは無かったハズ

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