ペトラ「これは私の生きた証」(19)
アニメ最新話ネタバレあり
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ペトラ「…兵長、今、何をされていたのですか?」
リヴァイ「…ペトラ、見ていたのか」
リヴァイ「これは…」
*
オルオ「ペトラ、まだ起きてるか?」
ペトラ「起きてるよ、なに?」
オルオ「…特に用って訳でもねぇが……何をしているんだ?」
ペトラ「…内緒」
オルオ「刺繍か?」
ペトラ「うん、今日休暇だったから街で糸と針と端切れ買ってきた」
オルオ「…そうか…って、おい!そんなことして叱られるぞ」
ペトラ「ちゃんと縫い直すから大丈夫だよ」
オルオ「あのなぁ…」
ペトラ「いた」
オルオ「おい、はらはらさせるな。お前そんなに手先、器用じゃねぇだろ」
ペトラ「あー、血が…」
オルオ「舐めてやろうか」
ペトラ「気持ち悪い。そこの絆創膏取って」
オルオ「…残り俺が縫うか?とりあえず絆創膏巻いてやるから指だせ」
ペトラ「ん…ありがと。でもこれは私が自分でやるよ」
オルオ「…仕方ねぇな、困ったらちゃんと言えよ」
ペトラ「…オルオ」
オルオ「どうした」
ペトラ「ここ、どうすればいいの?」
オルオ「早速だな。で、どこだ?」
ペトラ「ここ」
オルオ「あぁ…表にこの色の糸出したくねぇんだろ?だったらここを掬うようにして縫え」
ペトラ「難しい」
オルオ「こんなことも出来ずによく刺繍なんか始めようと思ったな、お前は」
ペトラ「行動力はある方なんで」
オルオ「…そうだな。一瞬貸してみろ」
ペトラ「…ん」
オルオ「ここ、はこう糸を掬え、で、ここを通す…で、ここから針を出して…わかるか?」
ペトラ「うん、わかった。それでやってみる…ていうか、オルオ上手だね」
オルオ「うちのチビ共がすぐ転んで膝とかよく破ってたからな、このくらいの裁縫は普通にできる」
ペトラ「ああ、まだオルオんとこの弟たち小さいもんね。…でももうだいぶ大きくなった?」
オルオ「多分な。ここ最近帰ってねぇからわからんが…俺似のイケメンに育ってる頃だろう」
ペトラ「面白いこと言うね」
オルオ「どういう意味だ」
*
ペトラ「出来た!」
オルオ「なかなか上手く出来たじゃねぇか。少し形が歪だが」
ペトラ「そこはご愛嬌。兵長もきっと私らしいって思う…はずよ」
オルオ「ま、それもそうだな。出来たなら早く縫い直せよ。もう蝋燭がなくなりそうだ」
ペトラ「うん、大丈夫。あとはこれを中に入れて縫い付けるだけだし」
オルオ「…それは?」
ペトラ「ふふ、ないしょ!」
オルオ「…じゃあ、俺は部屋に戻る。お前も早く寝ろよ」
ペトラ「うん、手伝ってくれてありがとう」
オルオ「おう…あとペトラ」
ペトラ「ん?」
オルオ「くれぐれもそれを兵長に見せるようなことにならないようにな」
ペトラ「わかってる。これは私にとってもお守りというか願掛けみたいなものだから、大丈夫だよ」
ペトラ「これはーーーーー」
ハンジ「ねぇ…少し遠くから見てたんだけどさっきディターに渡したのってペトラの紋章だよね。だってリヴァイ…今回ペトラのしか…」
リヴァイ「…お前には関係ない」
ハンジ「でも…」
リヴァイ「…大丈夫だ」
ハンジ「…!…リヴァイ、それは?」
リヴァイ「ペトラの紋章の裏に縫い付けられていた」
ハンジ「…紋章の裏に?…これは、四つ葉のクローバーの刺繍かな。少し形が歪だけど」
リヴァイ「一度、あいつに遺体の胸の紋章を外すのを見られたことがあった…それを覚えてたんだな、あいつは」
リヴァイ「こんな小細工までしやがって…」
ハンジ「栞?…これも四つ葉…押し花にしてあるんだね」
リヴァイ「……それも刺繍といっしょに紋章の裏に入っていた」
ハンジ「リヴァイ…」
リヴァイ「…最期までペトラらしい…」
*
ペトラ「んー、ないなあ」
リヴァイ「何をしている、ペトラ」
ペトラ「あ、兵長!お疲れ様です」
リヴァイ「探し物か?」
ペトラ「あ、いえ、ただ、四つ葉のクローバーを探していただけです」
リヴァイ「…四つ葉を探すならここじゃなくて城の裏の草むらの方がいいんじゃねぇか?」
ペトラ「ふふ、兵長知らないんですか?四つ葉のクローバーはこういう踏みならされた道端の方に多くあるんですよ?」
リヴァイ「そうなのか?」
ペトラ「幼芽のうちに踏まれたりしたものが四つ葉のクローバーになりやすいそうです。…まあ、私も父から教えてもらっただけなので詳しいことはわからないのですが」
リヴァイ「四つ葉を見つけてどうするんだ?」
ペトラ「押し花にして父への手紙につけようかと思っているのですが…まだ見つけられないんですよね。そろそろ場所を変えようかと…」
リヴァイ「見つけたぞ」
ペトラ「え!」
リヴァイ「そこ、ペトラの足元にある」
ペトラ「わ、本当だ!兵長すごい!私はまだだったのに…ちょっと悔しいです」
リヴァイ「動くな、踏み潰すぞ」
ペトラ「あ、はい…」
リヴァイ「…摘んではみたが、特に感慨とかはねぇな」
ペトラ「もう、兵長!…綺麗な四つ葉ですよ?」
リヴァイ「…お前にやろう」
ペトラ「…!兵長、ありがとうございます!」
ペトラ「私、四つ葉のクローバー好きなんです。見つけたら、なんだか頑張ろうって思えて…」
ペトラ「でも、今日もっと好きになりました!…兵長が見つけてくれた四つ葉…私、大切にしますね」
リヴァイ「親に送る分はどうするんだ」
ペトラ「それは自分で探します!兵長からもらった四つ葉を送ってしまうなんてもったいない!後生大事に肌身離さずとっておきますよ!」
リヴァイ「…そこまでしなくてもいいと思うが…。まあ、夕食には遅れるなよ」
ペトラ「はい!兵長!…今度お返しに私も兵長に四つ葉をプレゼントしますね」
リヴァイ「…草はいらん」
ペトラ「草…」
ペトラ「…じゃあ、別のものを考えておきますね」
リヴァイ「わかった」
ペトラ「…兵長、探してくださってありがとうございました!」
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ペトラ「これはーーーーー」
ペトラ「これは、私の生きた証」
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おわり
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