勇者「貴女は?」魔王「ま、魔王だ…!」 (48)
行くよ!
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-魔界-
勇者「ここら辺にあるはず…」
勇者「(かなり荒れているな…)」
勇者「(魔王の住む城は大きくはないらしい…)」
勇者「アレかな?」
-半壊した館を見つけた-
勇者「本当に魔王はいるのか…?」
勇者は館の中へ入った…。
-館-
勇者「暗いな…荒れ方も酷い…」
ボキッ
勇者「な、なんだ!?」
-白骨化した遺体を見つけた-
勇者「おいおい…嘘だろ?」
勇者「魔王も…」
(数日前に魔界を中心に原因不明の災害により魔界は大きなダメージを受けた…)
(人間の議会は魔界に調査隊を派遣、災害支援を名目に魔界を占領)
(そして魔王城周辺の調査に俺が選ばれた…)
(内容は魔王の安否確認)
勇者「クソ…よく見れば死体だらけじゃないか…」
勇者「さっさと終わらせてしまおう…」
(魔王もダメだと思ってた…その時は)
勇者「半分以上見回ったが…」
勇者「後は最上階か…」
?「貴様…誰だ!?」
勇者「な!?」
?「お前達が…許さない!」
ジャキーン
勇者「待て…俺は!」
?「黙れ…!よくも私の家族を…」
勇者「誤解だ!」
?「うるさい…!消えろ!」
バシュ
勇者「く…刀背打ちだ!」
?「うう…」バタン
勇者「かなり衰弱していたな…この娘は一体?」
-数時間後-
?「う…此処は?」
勇者「起きたか?」
?「き、貴様は!」
勇者「待て…動くな!」
?「うるさい…!」ウルウル
勇者「大丈夫か?」
?「大丈夫な訳あるか…!お前達のせいで!」
勇者「人間は何もしていない!」
?「嘘をつくな!」
勇者「災害が起きたんだ!」
?「さ」
?「災害…?」
勇者「ああ…人間側も多少は被害を受けた」
?「信じるか!」
勇者「とりあえず…名前が訊きたい」
?「私は…側近だ!」
勇者「貴女が…側近か!」
側近「私を知っているのか?」
勇者「ああ…こう見えても俺は勇者なんだ!」
側近「ゆ、勇者!?」
勇者「そうだ…それより魔王は?」
側近「うう…」ウルウル
勇者「どうした?まさか…」
側近「行方知れずだ…」ウルウル
勇者「そうか…」
勇者「行方知れずか…」
側近「お前…まさか魔王様を!」
勇者「討伐じゃない…『保護』が任務だ」
側近「私は討伐か…?」
勇者「いや…弱ってる可愛い子を斬るほど冷血じゃあない…」
側近「か、可愛い…だと//」
勇者「それより、腹減ってないか?」
側近「減ってない…」グゥ
勇者「ライスボールだが食べろ…」
側近「うう…//」パクパク
勇者「(魔王は生きているのだろうか…)」
-夜-
勇者「側近…」
側近「なんだ…?」
勇者「俺は魔王を探すが…」
勇者「魔王の特徴が分からない…」
側近「だからなんだ?」
勇者「側近も元気になったら探すのを手伝ってくれないか?」
側近「何を言ってる…!探すに決まっているだろう!」
勇者「いいのか…?」
側近「お前を信頼したんじゃない…ただ魔王様を探すのに数が多い方がいいからな…」
勇者「ああ…早く元気になれよ!」
側近「無論だ!」
-深夜-
勇者「そろそろ…寝る」
側近「ああ…私もそうする」
勇者「流石に同じ部屋はマズイなよな?」
側近「な…//あたりまえだ!」
勇者「わかった…向こうの部屋に行くよ」
側近「ああ…その…」
勇者「?」
側近「お、おやすみなさい…」
勇者「お、おう…」
勇者「おやすみ…」
-翌朝-
勇者「さて…とりあえずどうするか?」
側近「魔王様を探すしかない…!」
側近「魔王様が居なくては、我々魔族は滅びる…」
勇者「ああ…そうだな俺も困る」
側近「ならば探そう!」
勇者「あてはあるのか?」
側近「『都』だ…!」
勇者「都も壊滅的だと聞くが…」
側近「自分の目で確かめろ!」
勇者「ああ…わかったよ」
-都-
勇者「かなり酷いな…」
側近「うっ…」ゲロゲロゲロ
勇者「おいおい…大丈夫か?」
側近「すまない…まさかここまでとは…」
勇者「気になるのは数日で何故白骨化することだ…」
側近「ああ…」
勇者「とりあえず魔王を探そう…避難所をあたるぞ!」
側近「わかった…」
勇者「魔王はどんな魔物なんだ?」
側近「まっすぐで誠実な方だ…」
勇者「なら魔王は幸せだな!」
側近「えっ?」
勇者「こんなにいい部下に慕われて…」
側近「う、うむ…そうだな」
勇者「さあ!急ぐぞ」
-避難所-
勇者「さあ…着いたぞ?」
避難所と呼ばれる大きな地下室には多くの被災者と白骨化した遺体が安置されていた…。
側近「うう…」ウルウル
勇者「辛いのはわかるが…魔王を探そう」
「おい…人間だ!」
「何しに来やがった!?」
「あいつら…」
勇者「私は人間の国より任命された勇者だ!」
勇者「私は魔族の皆さんを支援するために来た!」
?「本当にそうかしら?」
?「勇者ともあろうお方がわざわざ支援をしに来るわけがないんじゃない?」
?「目的はおそらく魔王でしょ?」
「魔王様を討伐に…」
「おのれ…人間ども」
勇者「ああ…そうだ!目的は魔王だ!」
勇者「だが…支援も行う!」
?「へぇ…なら[ピーーー]!」
側近「待て…!コイツは!」
?「貴女は?魔族のくせに人間とべったりくっついて恥ずかしくないのかしら?」
側近「グヌヌ…言わせておけば!」
勇者「落ち着け…側近」
勇者「名乗れよ…お前」
?「いいわ…私は『サキュバス』よ」
勇者「ほう…サキュバスねぇ」
サキュバス「貴方みたいに偉そうな男…大ッ嫌いなの♪」
勇者「で?俺をヤル気か?」
サキュバス「ええ…どうせ貴方達人間の仕業なのでしょ?」
勇者「残念だが違う…」
サキュバス「嘘をつくなっ!」
勇者「だが本当だ!!」
サキュバス「なら無理矢理でも認めてもらうわ!」ガツ
勇者「な…!?(こんなに大勢いる中での戦闘は…)」
サキュバス「くたばれ…ッ!」
側近「ハッ!」
サキュバス「なに…?」バタン
勇者「一体何が…!?」
側近「大丈夫か?勇者!」
勇者「ああ…お前が?」
側近「ただの催眠魔法だ…怪我もしていないだろう…」
勇者「助かった…ありがとう!」
側近「あ、あたりまえだ…!」
サキュバス「……」グッタリ
勇者「とりあえずコイツは縛っておこう…」
側近「賛成だ…」
「おい…やられたぞ!?」ザワザワ
「俺たちも同じように…」ザワザワ
側近「黙れ…!」
側近「私は魔王軍の副将軍の側近だ…!」
「おいおい…嘘だろ?」
「聞いたことはあるが…」
側近「勇者殿は敵にも関わらず支援活動をしにはるばるおいでなさった!」
側近「無礼はこの私が許さん…!」ギロ
勇者「(凄まじい威圧感だ…)」
「おい…やられたぞ!?」ザワザワ
「俺たちも同じように…」ザワザワ
側近「黙れ…!」
側近「私は魔王軍の副将軍の側近だ…!」
「おいおい…嘘だろ?」
「聞いたことはあるが…」
側近「勇者殿は敵にも関わらず支援活動をしにはるばるおいでなさった!」
側近「無礼はこの私が許さん…!」ギロ
勇者「(凄まじい威圧感だ…)」
勇者「(結局魔王は見つからなかった…)」
勇者「(王は魔王を生け捕りにしてどうするんだ…?)」
勇者「(謎の白骨化も気になる…)」
側近「勇者!」
勇者「うわっ!」ゴテン
側近「す、すまない!怪我は!?」
勇者「ああ…大丈夫」
側近「考え事か?」
勇者「ああ…ちょっとな…」
側近「そうか…」
勇者「魔王に会いたいか?」
側近「ああ!む、無論だ!」
勇者「そうか…とりあえず飯にするか!」
二重投下してた…
-夜-
勇者「廃墟でのキャンプか…」
側近「私は…好きだぞ…こういうの…」
勇者「もし…」
側近「?」
勇者「もし魔王が亡くなっていた場合…お前が魔王になるのか…?」
側近「分からない…いや…私は向いてない」
勇者「どうして?」
側近「私の決めた事で誰かが苦しむのは嫌なんだ…いくら良く扱われてもイヤだ」
勇者「そうだな…!向いてない!」ハハハ
勇者「だけど…お前はいい魔王にはなれると思うよ…?」
側近「そ、それは…お世辞か?」
勇者「本当だよ…本当!」
側近「むむ…有り難く受け取っとく…」
勇者「明日も魔王探しだ!寝よう!」
側近「ああ…」
-翌朝-
側近「おい…起きろ!」
勇者「うう…もう少し…」
側近「起きないと…何をしよう…?」
勇者「考えてないのかよ!」
側近「あ…おはよう!」
勇者「おはよう…」
側近「今日はどこへ向かう?」
勇者「俺にも分からない…」
側近「魔王様の故郷はどうだ?」
勇者「ああ…そこへ行こう!」
側近「だが遠いぞ?」
勇者「俺に任せろ!」
-数時間後-
側近「まさか馬とは…」
勇者「1頭だけだが軍から借りた!」
側近「私は…?」
勇者「俺の後ろに掴まれ!」
側近「な…!?」
勇者「それしかないだろう…」
側近「人間の…しかも異性と…//」
勇者「おい…?顔赤いぞ?」
側近「うう…//」
勇者「嫌なのは分かる…だが、頼む…我慢してくれ」
側近「い、嫌ではないんだぞ…!本当にだ…//」
勇者「なら何だよ…?」
側近「か、体を密着させて…だな//」
勇者「ああ…!行くぞ!」
側近「な、待て…!」
-魔王の故郷-
勇者「そんなに遠くなかったな…」
側近「ああ…そうだな」
勇者「それに被害もほぼない…」
側近「そうみたいだ…」
勇者「あとその話し方は自然となのか?」
側近「いや…」
勇者「なら普通に話せよ?」
側近「それは…」
勇者「まあいいや…いずれ普通に話してくれ」
側近「わかった…いいだろう…!しかし…」
勇者「ん?」
側近「絶対に魔王様を倒さないで欲しい…」
勇者「いや…そんな事しないから!」
側近「や、約束…だよ?」
勇者「ああ…あとその話し方の方が断然イイ」
側近「素は見せたくなかったけど…」
勇者「まあ…聞き込みだ!」
側近「うん…」
勇者「あの…」
村人A「なんだべ?」
勇者「魔王に関して心辺りはないか?」
村人A「ここで生まれ育ったくらいだべ…てかアンタ人間じゃねえべか!?」
勇者「ああ…まあ」
村人A「はじめて見た…まあこんな田舎だけどゆっくりしてけ!」
勇者「人間に対して警戒などはないのか…?」
村人A「警戒…?何でだ?」
勇者「一応戦争してるから…」
村人A「ああ…そうだねぇ大変そうだね」
勇者「まあ…ありがとう」
村人A「おうよ!」
勇者「(この感じだと過疎に情報が行ってないみたいだ…)」
勇者「(戦争で盛り上がっているのは首都だけか?)」
側近「あの…」
吸血鬼「はいって…魔王ちゃん!?」
側近改めて魔王「静かに…!」
吸血鬼「ご、ごめん…でもどうして…?」
魔王「首都辺りに謎の現象があって…」
吸血鬼「聞いてないよ…!」
魔王「大きな揺れの後で皆の肉が溶けて…」
吸血鬼「うう…それで?」
魔王「勇者を含めた人間の軍が調査隊を組んで首都を占領したんだ…」
吸血鬼「ええ…!?」
魔王「しかも奴ら…私達と戦争中なんて言ってる…」
吸血鬼「ちょっと関係は良くなかったけど…」
魔王「いや…記憶の改ざんだと睨んでる…」
吸血鬼「訳が分からないよ…」
魔王「とりあえず今私は勇者に監視されてる…」
吸血鬼「ええ!?勇者」
魔王「一応…側近ということになってるから…」
吸血鬼「わかった…で、私はどうすれば?」
魔王「私が魔王だとバレないように…」
吸血鬼「うん…」
魔王「あと『私たち』は貴女の家に泊まっていい?」
吸血鬼「え…?」
-吸血鬼の家-
勇者「ここを…?いいのか?」
吸血鬼「はい…魔王様のお知り合いなので(本当に来た…)」
側近「私もお世話になります…(ごめん…吸血鬼)」
勇者「宿無しだから助かった…ありがとう!」
吸血鬼「いえいえ…とんでもない(うう…これは大変)」
側近「私からも本当にありがとうございます!」
吸血鬼「ごゆっくり…」ハァ
勇者「じゃあ…風呂借りるよ?」
吸血鬼「な…ダメです!(血液風呂がバレてたやばい…牛の血だけど…)」
勇者「ここが風呂ね…」
吸血鬼「らめぇぇぇぇ!」
勇者「オープン」ガチャん
風呂は全体が金で貼られ、ワイン樽と血風呂が…
吸血鬼「あわわわ…」
勇者「うわあああああああああ…」
勇者「なるほど…吸血鬼ですか…」
吸血鬼「黙ってました…すみません…(何でこんな目に…)」
勇者「で…吸ったことあるの?」
吸血鬼「ないです…本当です!」
側近「勇者…せっかく泊めてもらってるのに…」
勇者「わかった…信じる…」
吸血鬼「良かった…(グヌヌ…吸血処女がバレた…)」
側近「(ごめん…本当にごめん…吸血鬼)」
勇者「とりあえず…もう寝たい…」
吸血鬼「はい…おやすみなさいです…」
側近「おやすみなさい…勇者」
勇者「うん…おやすみ…」トコトコ
吸血鬼「私は外に…(これは…)」
側近「ご一緒します…(私がバレるのも時間の問題…)」
「「作戦会議」」
-納屋-
吸血鬼「勇者…どうするの!?」
魔王「う…ん」
吸血鬼「バレたらやられちゃうよ!?」
魔王「多分…」
吸血鬼「もう仕掛けようよ…」
魔王「いや…まだ様子を…」
吸血鬼「魔王ちゃんが死んじゃうなんてイヤだよ…!」
魔王「死なないよ…」
吸血鬼「私…勇者を吸う…」
魔王「だ、駄目だよ!」
吸血鬼「魔王ちゃん…!」
魔王「駄目…絶対に…」
吸血鬼「なんか変だよ…魔王ちゃん…」
魔王「……」
吸血鬼「好きなの…?勇者が…」
魔王「それは…」
吸血鬼「図星か…そうだよね…イケメンだし…」
魔王「そんなんじゃ…!」
吸血鬼「なら何!?」
吸血鬼「勇者はそんな感情はないんだよ…!」
魔王「うう…」
吸血鬼「魔王と分かれば斬るよ……!」
魔王「斬らないって…」
吸血鬼「出任せだよ…!」
魔王「ち、違う…」
吸血鬼「私…魔王ちゃんに何を思われようと…構わないから…!」ダッ
魔王「ま、待って!」
-寝室-
勇者「zzzzz」
吸血鬼「寝てるな…」
吸血鬼「覚悟…!」
ガシュ…ポタポタ
吸血鬼「嘘…何で…?」バタン
魔王「待って…!あ…嘘…」
勇者「やはり…寝込みを…」
魔王「違う…違うの!勇者…!」
勇者「うるさい…!」ギロ
吸血鬼「うう…痛いよ…魔王ちゃん…」
魔王「大丈夫…私がいるから…」
勇者「側近…お前…」
魔王「…」
勇者「本当は…貴女は?」
魔王「ま、魔王だ!」
…耳を疑った…まさか側近ではなく魔王だったなんて…知る由もない…
魔王「血が…止まらない…」ウルウル
吸血鬼「私…混血だから…」
魔王「喋っちゃ駄目っ…!」ポロポロ
勇者「騙してたのか…!」
魔王「うるさい…!」ポロポロ
勇者「騙してたんだな…!」
魔王「黙れ…!」ポロポロ
勇者「クソ…どうして?」
魔王「仕方が無いじゃない…!」
勇者「保護すると言ったはずだ…!」
魔王「いいから…黙ってよ…」
吸血鬼「魔王ちゃん…ごめん…ね?」
魔王「死んじゃイヤ…」
吸血鬼「でも…回復魔法も駄目じゃん…私」
魔王「助けるからね…!絶対に…!」
吸血鬼「魔王ちゃんは…嘘が…上手だね…」
魔王「吸血鬼…」
吸血鬼「私…死ぬんだよ…?」
魔王「イヤ…死んじゃイヤ!」
吸血鬼「魔王ちゃんは…わがままだね…」
魔王「勇者…助けてくれ!勇者…このままじゃ…」
勇者「俺にどうしろと…?ふざけるのも大概にしろ…!」
魔王「血を…血を頼む」
勇者「いやだ…俺はやられかけたんだぞ…!」
魔王「うう…私の首をやる…だから…!」
勇者「それでも魔王か…!」
魔王「頼む…頼む…」
勇者「つまり…俺はコイツの眷属になれということか…?」
魔王「それは…」
吸血鬼「勇者…早く…楽にして…」
勇者「わかった…」
魔王「そんな事はさせない…!」
勇者「束縛魔法!」
魔王「な…!?」
勇者「準備は…?」
吸血鬼「大丈夫…だよ」
勇者「おやすみなさい…吸血鬼」ガッ
魔王「やめろおおおおおおお」
ザクッ
勇者「ぐっ…」
魔王「な…」
吸血鬼「え…?」
勇者「噛まれない様になら大丈夫かな…と思ってな…」
魔王「手首を…」
吸血鬼「これが…人間の…」
勇者「傷が塞がって…」
魔王「どうして…?」
吸血鬼「凄い…体が…」
勇者「気まぐれだ…」
魔王「ありがとう…なんと言えば…勇者」ポロポロ
勇者「泣くなよ…側近…いや…魔王」
吸血鬼「私は…」
勇者「お前は安静にしてろ…」
魔王「ごめん…ごめん…勇者」
勇者「話は後で聞く…」
魔王「うん…」
-数時間後-
魔王「勇者…手首は?」
勇者「回復魔法で治した…」
魔王「うう…ごめん…勇者」
勇者「謝るなよ…魔王らしくない…」
魔王「ごめん…私…酷い事を…」ポロポロ
勇者「分かってる…」
魔王「吸血鬼の事も…」
勇者「あれは…俺は斬ってしまった…彼女を…」
吸血鬼「私が悪いんです…あれは」
魔王「吸血鬼…安静に!」
勇者「しかし吸血鬼…俺は…」
吸血鬼「正当防衛ですからね…仕方が無いです!…それに…血も頂くことが出来ましたし…」
勇者「お、おう…」
魔王「私は…ずっと騙してた…勇者の事…」
勇者「ああ…うむ」
魔王「その…怖くて…ごめんなさい!」
勇者「魔王…」ダキ
魔王「ゆ、勇者!?」
勇者「全ては人間のせいだ…俺が悪いんだ…」
魔王「勇者…」ダキ
吸血鬼「魔王だけ…ずるい…」ダキ
勇者「な…!?」
吸血鬼「私の…はじめてだったんですから…//」
勇者「…//」
勇者「そろそろ…寝よう…もう真夜中だし…」
魔王「そ、そうね…ごめん…」
吸血鬼「私も血で酔ってしまいました…」
勇者「でも…これで隠し事はなしだ!」
魔王「そうだね…!うん!」
吸血鬼「じゃあ…魔王ちゃんと私はあっちで…」
魔王「な…!?今日は…!」
吸血鬼「いいから…!」
勇者「おやすみなさい…!」
魔王「ゆ、ゆうしゃー……」グイグイ
-別室-
魔王「ちょっと…離してよ!」
吸血鬼「いいから…!」
魔王「何するの…!吸血鬼ぃ…!」
吸血鬼「魔王ちゃん…やっぱり好きなの…?」
魔王「それは…」
吸血鬼「好きならいいけど…その…ずるいよ」
魔王「何が…?」
吸血鬼「私も…その…勇者のことが…」
魔王「もしかして…」
吸血鬼「そう…」
魔王「吸血鬼…その…」
吸血鬼「ライバルってこと…」
魔王「吸血鬼…」
吸血鬼「魔王ちゃん…」
「「これだけは譲らない!」」
-翌日-
吸血鬼「勇者さん♪」
勇者「ん…?おはよう…」
吸血鬼「おはようございます…!」
勇者「魔王は?」
吸血鬼「寝てますよ…?」
勇者「そっか…」
吸血鬼「あの…私…」
魔王「おはよう!」
勇者「お…おはよう」
魔王「朝食つくったよ!」
吸血鬼「あ!それは私が…!」
魔王「でも…つくっちゃったし…」
吸血鬼「ぐぬぬぬぬ…」
勇者「じゃあ…みんなで食べよう!」
そうしていつの間にか3日が経った…
魔王「おはよ…吸血鬼…」
吸血鬼「おはよ…って大丈夫!?」
魔王「ちょっとしんどいだけ…」フラフラ
吸血鬼「無理しちゃダメだよ?」
魔王「でも…」
吸血鬼「いいから♪寝てて」
魔王「うん…」
体調不良は何か風邪だと思っていたが違った…
-夜-
魔王「ゴホゴホ…」
吸血鬼「大丈夫…?」
勇者「具合は?」
魔王「うう…問題ないよ…」
吸血鬼「問題大ありだよ!」クスクス
勇者「まあ…しばらく安静にな!」
魔王「うん…ゴホゴホ」ベチャ
吸血鬼「え…?これ…」
魔王「う…」
勇者「血…だな…」
魔王が吐血をした…原因は不明だ…
-翌日-
吸血鬼「魔王ちゃん…大丈夫?」
魔王「う…」
勇者「(悪化している…これは…)」
吸血鬼「勇者さん…」
勇者「どうした?」
吸血鬼「魔王ちゃん…このままじゃ…」
勇者「ああ…分かってる」
吸血鬼「でもこの田舎に医師は…」
勇者「俺の任務は『魔王の保護』つまり…処分はしない…」
吸血鬼「それは…人間の国に?」
勇者「原因も見つけないと…」
吸血鬼「ぐぬぬ…分かりました…」
勇者「人間の王都ヘ行こう…」
我々は人間の国の王都ヘその日の夜に到着した…
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