モバP「のあさんと、一緒に」 (50)
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控え室・夜
のあ「……」
コンコン
のあ「……大丈夫よ」パタン
ガチャッ
P「のあさん、ここに居たんですね……って、その衣装……あのLIVEから着替えていなかったんですか?」
のあ「見た目通り、動くことに関しては有能な衣装……それに、事務所の衣装だから直ぐに脱ぐ必要は無いでしょう」
P「あー、確かに動きやすそうです。……今まで本を読んでいたんですね」
のあ「ええ。……今まで、ということは、結構な時間が経っているのね」
P「はい。もうスタッフの人やアイドル達はみんな帰りましたよ。ここ、事務所と親交のあるスタジオなので、自分が最後の戸締まりを任されちゃいまして」
のあ「それで私が最後、ということ」
P「そういうことです。時間はまだあるので、着替えとかは急がなくて大丈夫ですよ」
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のあ「……P。視線が泳いでいるわ」
P「あっ、すみません。いや、のあさんに対して眼のやり場に困っちゃって……」
のあ「バニーガールという衣装は、元々視線を惹き付けるのを主としたもの。私が着ることは正解だったようね」
P「そうですね。のあさんは美人でミステリアスなので、バニーガールになると不思議な妖艶さが際立ちます」
のあ「………………ぴょん」
P「ああ、その台詞とウサミミの手真似、まさか前回と同じように言われるとは思ってませんでしたよ。可愛らしさもあって凄く良かったです」
のあ「……まだ視線が泳いでいるようだけれど」
P「おおう、視線が外れないように眼を見て話します……」
のあ「前回は猫耳メイド、今回はバニーガール。私にさせるとは、貴方の手腕には驚くばかりね」
P「すみません。似合うと思ったので」
のあ「謝る必要は全く無いわ、私はただ褒めただけ。貴方の働きは、私の輝きへ直接繋がっている」
P「今回も、のあさんがLIVEで一番輝いてましたよ。観客の視線釘付けで、対戦相手の子には申し訳ないと思えるほどでした」
のあ「……そう、それでいい。貴方は私を一番輝かせることが出来る。それ以上に必要なことなど無いわ」
P「ありがとうございます。……初めてのあさんと会った時は、こうなるとは思いもしなかったですねぇ」
のあ「……スカウトされたときの事かしら?」
P「はい。地方に出ていたときに夜道を散歩していたら、女性が一人夜空を見ていたんですから驚きましたよ」
のあ「……」
P「その姿がとても幻想的で、美しくて……もう『この人しかいない』と思いましたね」
のあ「……」
P「スカウトしたら二つ返事で了承してくれたのも、また驚きましたけど……どうして了承してくれたんですか?」
のあ「……私があの場所で貴方にスカウトされ、ここへ至るのは必然だった。ただ、それだけよ」
P「そうですか……それなら、必然の神様には感謝してもしきれないですね」
のあ「……そんな貴方だからこそ、必然となったのかもしれないわ」
P「初めの頃は……というか少し前までは、ちょっと衣装をサイバー寄りにしすぎていたな、と思ってまして」
のあ「私は、貴方の選ぶ物に口出しする気は無いわ」
P「自分の持ってくる衣装、のあさんは文句も言わずに必ず完璧に着こなしてくれるので……」
のあ「私はただ衣装という外套を身に纏っているだけ。私を私と位置づけるのは、衣装でなく貴方の技量よ」
P「いえ、のあさんのおかげで……いや、違いますね。のあさんと自分の頑張り、ということですね」
のあ「私は貴方に従うだけ……けれども貴方がそう感じたのなら、そうなのでしょう」
P「少し雰囲気を変えようと思ったのが、あの雛祭りの衣装なんです。まぁ、カラコンは使ったんですけども」
のあ「仕事としてあの衣装を纏うとは、不思議な体験だったわ。……貴方は終始笑顔だったわね」
P「いやぁ、凄く綺麗だったんですよ、のあさん。神秘的過ぎてカメラマンさんも息を呑んでましたし、あの仕事を選んで大正解でした」
のあ「……そう。私は、あの後の催しが目的だと感じたのだけれど」
P「雛祭りのパーティですか? のあさん、祝った記憶がないと言ってたので、即興でやっちゃいました。あー、ばれちゃってましたか」
のあ「……貴方の手の回しようには、毎度驚かされるばかり。私は、貴方のそういう部分が気に入っているわ」
P「それはそれは、恐縮です」
P「ハロウィンの時は、獲れた仕事が『サイバネティックビューティー』というものだったので、原点回帰みたいなことになりましたね」
のあ「……貴方、私の私服姿に関心を示していたわね」
P「いや、まさか始めにのあさんの私服姿の撮影から入るとは思っていなかったんです。仕事場でのあさんの私服姿というのは珍しいなぁ、と」
のあ「それと、私のプライベートも気にしていたわね」
P「あー……えっと、のあさんの私服姿って、そのままモデル撮影出来るほど綺麗なんです」
のあ「……そう?」
P「それはもう。だから、もしかしたら普段の日には、勧誘やナンパとか色々、声を掛けられているんじゃないかなーと」
のあ「……それは、心配? それとも嫉妬かしら?」
P「お恥ずかしながら、たぶん両方です。嫉妬の方が強めかも……いえ、なんでもないです」
のあ「……私の心を奪えるのは、貴方の才能と、貴方の獲る仕事。……ただそれだけよ」
P「……あ、ありがとうございます。なんだか、安心しました」
P「そういえば……あの『ミステリアスメイド』の仕事を獲ったのを伝えた次の日、なんで事務所でメイド服を着ていたんですか?」
のあ「前にも伝えたわ。私がメイド服という衣装を着飾る意味を見いだすのも、貴方の仕事であると」
P「あの後も、定期的にメイド服だったりしてましたよね。……もしかして、気に入ったんですか?」
のあ「貴方が思うのなら、それはきっと正しいわ。貴方の考え得ることも、可能性に基づいているから」
P「そうであってもおかしくはない、ということですね。では、そう思うようにします。メイドなのあさんは可愛らしかったので、またしてくれると嬉しいですね」
のあ「……貴方の壷に見合っていたのね。……そう、起こりうる事象の一つとして、考えておくと良いわ」
P「ああ、のあさんが何日かあのメイド服を着ていたおかげで、『にゃん・にゃん・にゃん』もスムーズに進められましたよ」
のあ「……あの二人の空気が柔らかくなったのは感じられたわ」
P「みくもアーニャも、初めは『のあさんとの距離感が分からない』と自分に相談してきていたんです。お弁当事件のアレも、空気を和ませる計算の内だったんですか?」
のあ「お弁当……知らないわね」
P「…………」
のあ「……………………」
P「……ハンバーグ、お好きなんですね」
のあ「……そうね。好みという境界で示すのであれば、好物の方へと針が振れるわ」
P「猫耳メイドのお仕事から『にゃんにゃんにゃん』の結成とドリームフェスティバル参戦……それで今回のセクシーバニーパーティ」
P「……のあさんには、結構辛いスケジュールを組ませてしまっていますね。今更過ぎて申し訳ないんですが、体の方は大丈夫ですか?」
のあ「……今まで、私が駄目であった事象はあったかしら?」
P「いいえ、ありません、完璧でした。でも、ないからこそ心配でもあるんです」
のあ「……」
P「完璧であり続けるのあさんが、突然完璧でなくなったとしたら。それはきっと、のあさんに何かがあって、一大事なんだと思います」
のあ「私は駄目になったりなどしないわ。そのために、常に万全であり続ける行動は起こしている」
P「……それなら、良いんです。でも、もしも何かあったら、いつでも言って下さい。自分は……のあさんの為のプロデューサーなんですから」
のあ「……」
のあ「……平気よ。貴方が私のプロデューサーであることは、常に心に留めているわ。そして、私は貴方のアイドルでもある」
のあ「伝えるべく事象があった場合には、必ず伝えるつもりよ」
P「のあさん……」
のあ「貴方を、信じているもの」
P「……はいっ、自分も信じてます」
のあ「ふっ……『信じる』という言葉を、貴方は子供っぽいと笑うかしら」
P「のあさんの『信じる』という言葉ほど、信用されていると思える言葉なんてないですよ」
のあ「そう。なら、貴方は貴方らしく、貴方の思うがままに突き進むといいわ。私は、ただそれに従うだけ……」
P「えっ、それは……困りますね」
のあ「……!」
P「の、のあさん、どうしました? 急に顔色を変えて……」
のあ「……理由を、聞いてもいいかしら」
P「困る理由、ですか?」
のあ「……ええ」
P「えっと……先ののあさんの発言の時も思ったんですが……のあさんには、ただ従って貰いたくはないんです」
のあ「……」
P「従って貰うだけじゃなくて……一緒に。自分と一緒に、進んで貰いたいんです」
のあ「……共に」
P「アイドルを輝かせる事が出来るのはプロデューサーだけ。だけど、引っ張っていくだけじゃ、アイドルがただの操り人形になっちゃいます」
P「自分としては、アイドルと……のあさんと、進むべき道を一緒に選んで、進んで、切り開いていきたいんです」
のあ「……」
P「これからも、ずっと。一緒に進めたらなぁと、前から思っているんです。……あはは、今更ですよね。ようやく言えて、良かったです」
のあ「……」
P「……あれ、のあさん? もしかして自分、何か変なこと言いました?」
のあ「……言葉は、特に日本語という言語は、解釈によって多くの意味を持つわ」
P「え? ……まぁ、確かにそうですね」
のあ「便利な言語ではあれど、数多の意味を持つあまり、相手には正確に伝わらない。そんな危険と表裏一体でもある」
P「言葉の齟齬によるすれ違い、というのも多いですよね。日本語が難しい言語と言われる由縁もそこだと思います」
のあ「ただ、その解釈の相違は、相手との距離を縮めることにも繋がる。この意味が分かるかしら?」
P「勘違いから始まる何か、って事ですか。ああ、そういうのって素敵ですね」
のあ「アイドルとプロデューサーは相互の関係。でも……」スッ
P「? どうされたんですかのあさ」
のあ「……」グイッ
P「んむぅっ!?」
のあ「……」ググッ
P「ちょ、のあさ……!? した、入れっ……!」
のあ「……ん」
のあ「……はぁっ……LIVE前に話したように、月と兎のような隔たりのない関係も、悪くないと思えるようになったわ」
ドタンッ
P「痛っ、転けて腰を………………はっ!? の、のあさん、いきなり何を!?」
のあ「深い交わりは初めてだったかしら」
P「いや、自分はそれ自体が……じゃなくてですね!?」
のあ「安心しなさい、私もキス自体が初めて。ファーストキス、と言う物よ」
P「ええっ!? あ、その……あ、ありがとうございます? いや、違う違うそうでもなくて!」
のあ「何を焦っているのかしら。こうなることも必然。私をプロデュースする時点で、覚悟はあったのでしょう?」
P「あの時に言っていた覚悟ってそういうことだったんですか!?」
のあ「それと、私の想いは既に伝えているわ。貴方に惚れた、と」
P「あの時の言葉ってプロデュースの事じゃなかったんですか!?」
のあ「私からはこれが全て。……貴方は、どうなのかしら」
P「えっ」
のあ「私は、昔から貴方の返事を待ち望んでいる。……これで通じた?」
P「あ、えっと……」
のあ「……惑うのは、不変で在り続けたいからかしら。疾うの昔に、不変などという言葉は意味を成さなくなっているわ」
P「……」
のあ「私自身と、貴方自身は不変の存在。そうあるからこそ、想いはイコールで繋がるわ。けれど……想い自体は不変ではないの」
のあ「変わるからこそ、人であり、関係という言葉が生まれる。私は、その先を見たい」
P「……覚悟が、必要なんですよね? のあさんをプロデュースするには」
のあ「それを決めるのも貴方よ。貴方の言葉が、貴方の願いが、私を変える鍵になる」
P「そうですか………………その、自分も、のあさんが好きですよ」
P「……あの日、出会ったときから、ずっと」
のあ「……そう」
P「……はい。一目惚れだったと、思います」
のあ「…………そう」
P「……は、はい」
のあ「……これで私達の通常が、また一つ積み重なった。更に尊くて、愛おしい物に」
P「な、なんだかそう言われると照れますね」
のあ「……でも、今宵はまだ足りない」
P「え?」
のあ「積み重ねることに限度なんて存在しないわ。積み重ねましょう、より多く、より深く」コツッ
P「それって、どういう……」
のあ「安心しなさい。私は、誰にも懐くこと無いわ。……飼い主以外には」コツ コツ
P「……のあさん、何でまたこっちに迫って来るんですか? あの、ちょっと……?」ズリズリ
のあ「……あの猫耳メイド衣装の時には、既に手なづけられていたのかもしれない」コツ コツ
P「き、聞こえてますか? のあさ」ズリズリ
ガツッ
P「……え、後ろに、壁? というか、いつの間にか部屋の隅に……追いやられた?」
のあ「そして今回も。かつて神獣と扱われた兎であっても、今となっては飼い主という存在の元に成り立っている場合が多いわ」コツ コツ
P「のあさん、落ち着いて下さい! 人が来たらどうす…………はっ!?」
のあ「貴方は、見事に私の全てを捕まえたわ」コツ コツ
P「そうだ……もう誰も居ないんだった……!」
のあ「だから……宣言通りに、かまってあげるわ。……いえ、かまってあげたいの」カツッ
P「の、のあ、さん?」
のあ「貴方という、プロデューサーに、一人の男性に……」シュルッ
P「!? のあさん、脱ぐのストップ! それ以上はダメですって!」
のあ「……一つ、言っておくことがあるわ」パサッ
P「はい!? な、なんですか、というか脱ぎながら言わないで――」
のあ「あのフォーマット……本に書いてあったのだけれど。……兎は、常に発情しているそうよ」
P「……へ?」
のあ「黒兎は何色にも染まらない。けれど、私は貴方にだけ染められるわ。今宵は……貴方の白に染まるわね」グッ
P「え、あ、ちょ、そこは――!」
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数時間後・某所 車内
ブロロロ…
P「……のあさん、マンションに着きましたよ」
のあ「……地下に駐車場があるわ。今回はそこに停めて貰えるかしら」
P「? ……はい、分かりました」
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地下駐車場
ガチャッ バタン
のあ「……送ってくれて感謝するわ」
ガチャッ バタン
P「いえ、プロデューサーですからこれくらいは。……あの、のあさん」
のあ「?」
P「なんと言いますか……今日の事は……」
のあ「……三回戯れた事かしら」
P「か、回数の話じゃないですよ!? その……すみませんでした」
のあ「貴方が畏まる事も、謝る必要なども無いわ。貴方は、私の行動に応えてくれただけ」
P「いえ、やはり」
のあ「あの時の貴方は、冷静と情熱と、それと危機感を合わせた表情をしていたわ。私に見せるその顔は、とても私を……」
P「!? ストップストップ! あ、あの時の様子を説明して欲しいわけでもないです!」
のあ「なら、貴方が気にすることは何一つ無いわ。私達の通常が、より良い物になった。ただそれだけの事よ」
P「……それでも」
のあ「あの時、あの一時に、プロデューサーの貴方は居なかった。私達の通常は、必ずしも仕事を介して生まれる物では無いの」
のあ「……それとも今、ここで私が頭を地に付ければ良いのかしら」
P「! ち、違います、のあさんに何かして欲しいわけじゃ無いんです! ただ……」
のあ「……ただ?」
P「……プロデューサーとアイドルという問題もあるんですが、その……」
のあ「……その?」
P「さ、最後くらいは自分がリードしてあげたかったな、って……いや、自分も初めてだったんですけども」
のあ「……」
P「うぁ、すみませんなんでもないです! そ、それじゃあのあさん、部屋に着いたらしっかりと休んで……」
のあ「……少し話があるわ。車の鍵、掛けて貰えるかしら」
P「って、え? は、はい、分かりました……」ピッ
ガコッ
P「なんで車外に居るのに鍵を……今はいいか。それで、話ってなんですか?」
のあ「……貴方は、孤独とは相容れない存在。だから、兎にはなれないわ」
P「……プロデューサー、ですからね」
のあ「そして、イコールで繋がる私も、孤独とは相容れることは出来ない。私は、貴方と在る事で、私という存在となるの」
P「のあさんが言っていた、プロデューサーとアイドルは相互の関係……というやつですね」
のあ「……まだ分かっていないようね」
P「?」
ガシッ
のあ「……いいわ。さぁ、行きましょう」コツコツ
P「……え、どこに? エレベーター乗るんですか?」テトトッ
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「○○階、ドアガヒラキマス」ゴウン
のあ「……あの控え室で貴方が発した言葉。覚えているかしら」コツコツ
P「え? じ、自分、やっぱり何か変なこと言いましたか!?」テトテト
のあ「いえ、貴方の言葉に奇妙さを感じ取ったことなどないわ。貴方の言葉は、私にとって常に白で在り続ける……」コツコツ
P「……あの、それじゃあなんで今、自分はこうしてのあさんに手を引かれているんですかね?」テトトト
のあ「……ただあの言葉を、私が汲み取った意味での結果にしたいだけ。……着いたわ」コツッ
P「『高峯』の表札……ここ、のあさんの家ですか? マンション最上階に一室だけって、とんでもない所なんじゃ……?」
ピピッ ガチャッ
のあ「……開いたわ。さぁ、P」
のあ「中で、続きを始めましょう?」
P「……え? えっ、のあさん、えっ!?」
のあ「……何を驚いているのかしら。控え室での情事の続きをすると言っただけよ」
P「じょっ……!? 十分に驚く要素ありますからねそれ!?」
のあ「貴方は兎ではない、それは私も同じ。より私を知るものにこそ、私という存在を預けられる」
P「そ、それは嬉しいですけど……」
のあ「それとも……貴方は、私を拒むのかしら」
P「……拒めるわけ無いじゃないですか。その……好きなんですから」
のあ「……そう。それなら、結果は収束し、自ずと一つに導かれるわ。……それと、部屋に招く時点で、貴方は察しなさい」
P「あっ……す、すみません」
のあ「貴方に教えることがあるなら、それは教わること。この後、貴方に直接……教えてあげるわ」
P「お、教わることを教える? よ、よろしくお願いします、でいいのかな……?」
のあ「……覚悟はしておきなさい」
のあ「今宵は……月が綺麗ね」
P「……そういうことを言うのあさんが、綺麗ですよ?」
のあ「…………」
P「……す、すみません。変なこと言いましたね」
のあ「いえ……私の部屋の天井は、ガラス張りになっているわ。月も、星も、夜空も、よく見えるでしょう」
のあ「瞬く星の下で、貴方と想い、貴方と過ごす。……悪くない夜になるわ」
P「のあさんと一緒なら、何処だろうと悪くない夜になりますよ」
のあ「……野外が良かったのかしら」
P「そ、そういうことじゃないです!」
のあ「……立ち話も、そろそろ終わらせましょう。入ると良いわ」
P「話の切り替え早いですよのあさん……。……失礼しますね」
バタン
P「ここがのあさんの家……玄関が既に一部屋くらいの広さがありますね」
のあ「家の広さなど、気にする必要はないわ。……靴は脱いだわね。荷物を置いて……こっちよ」グイ
P「あ、はい。廊下もマンションと思えない広さだなぁ……」テトト
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P「ここは……あ、洗面所ですか。にしても広い……」
のあ「ええ。スーツを掛けるクローゼットはそこよ。好きなところに掛けて構わないわ」シュルリ
P「あ、これですね。では、ここに……」カシャン
P「洗面所にスーツを掛けるって、なんだか不思議ですね……って、のあさん!?」
のあ「……何かしら?」スルスル パサッ
P「なっ、なんで服を……裸になっているんですか!?」
のあ「……外という入り乱れた世界から戻ってきた時、貴方はシャワーを利用しないのかしら?」
P「いや、利用しますけどっ……それなら、自分は出て待ってますから!」
ガシッ
のあ「……何を言っているのかしら。貴方も汚れてしまっているでしょう?」
P「へ? …………もしかして、あの……一緒に入るんですか?」
のあ「……『拒めるわけがない』と、貴方は言ったわ。あれは、嘘?」
P「あの時の質問ってこのことだったんですか!?」
のあ「安心しなさい。服なら私が脱がすわ」プチ プチ
P「の、のあさん、Yシャツのボタン、外さなくていいですからっ!」
のあ「……そう。シャワーの前にもう一度、ということね」グイッ
P「どういう解釈ですかそれんむっ!?」
のあ「……ん」
P「……ぷあっ! のあさ、またっ……!」
のあ「……先の戯れでは、貴方の言葉に昂ぶり、私が貴方を捕食してしまったわ」
P「ほ、捕食したって……いや、まぁ、そ、そんな感じでしたけども」
のあ「私は捕食されたりしない。けれどそれは……貴方以外に、と言うこと」ギュッ
P「の、のあさん……」
のあ「……私が貴方のことを考えるのに、理由なんて要らないわ。それは貴方も同じ。だからこうして、私は貴方の目の前に居る」
のあ「……少し、喋りすぎたようね。けれど代わりに、準備は出来たわ」カチャッ
P「あれ、そのベルトって……おわぁ!? い、いつの間に脱がしたんですかのあさん!?」
のあ「ずっと生まれたままの姿というのも、この場所では似合わないわ。……行きましょう、私達の舞台へ」グイッ
P「……舞台ってお風呂の事ですよね? え、本当に一緒に入るんですか? その、心の準備が……!」テトトト
のあ「私と同じ世界へ……歓迎するわ、P」
P「もしかして、お風呂場で……す、するんです?」
のあ「……何処だろうと悪くないのは、私も同じよ。今回こそは、貴方に導いて貰いたい」
P「そういう意味で解釈しちゃったんですか!? 日本語って難しいですね本当に!」
のあ「……安心しなさい。あの時のように……いざ始めれば、言葉は要らないわ。それが、貴方と私でしょう?」
P「あう……わ、分かりました。か、覚悟、決めます…………決めましたっ」
のあ「ふ……流石ね。貴方になら全てを託せるわ。私独りでは決して届かなかった高みへ……行きましょう、P」
のあ「貴方が言ってくれたように……これからも、ずっと一緒に……ね?」
お わ り
寸止めで申し訳ない。今回のSRも、のあさんが相変わらずプロデューサーにデレッデレだったので。
のあさんの台詞は、今までのレアリティで出て来た台詞と、とある歌詞を参考にしています。
過去の台詞を知っている前提で話を進めているので、分からない部分がありましたらすみません。
別の場所ではありますが、以前に
モバP「アイドルとSNS」
モバP「天体観測を2人と」
というのも投下していたりするので、ちらりと見て頂けると嬉しいです。
ここまで読んで下さって、本当にありがとうございました。
CoPとして今、最高に幸せです。のあさんとアーニャと天体観測に行きたい。
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