モバP「クールな2人の宇宙紀行」 (82)
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□ドーム・舞台裏
\ワァァァァァァ!/
スタッフ「「LIVE、お疲れ様でーす!」」
晴「お疲れ様っしたー!」
のあ「……お疲れ様」
晴「のあさん、その衣装超カッコよかったな! すげーマッチしてるっていうかさっ」
のあ「……そう。あなたも、歌う事がとても楽しそうだった。その心は、かけがえのない事よ」
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晴「そういやのあさん、LIVEの時とかよくステージ天井の星を見てたけど、あれってなんか楽しいのか?」
のあ「……そうね。ただ、星を見るという行為が好きなだけ。……深い意味は無いわ」
晴「ん、そっか。良く分かんねーけど、のあさんが楽しいならいっか」
のあ「あなたは、星は好きかしら?」
晴「あー、好きかどうかだったら好きかな。綺麗なもんは嫌いじゃないぜ」
のあ「……そう」
晴「? ま、いっか。……そういや、またPが来ねーなぁ」
のあ「そうね」
晴「前はリハ終わったら直ぐに飛んで来てたってのに、最近は全然来なくなっちまって……なにしてんだか」
のあ「……」
スタッフA「お二方、お疲れ様です」
のあ「……お疲れ様」
晴「あ、おつっした!」
スタッフB「やー、晴ちゃん、可愛かったよー」
晴「可愛い……あー……あざっす」
スタッフC「次の出番まで時間があるので、控え室で待っていて頂けますか? こちらからお呼びしますので」
のあ「ええ、了解よ」
スタッフB「晴ちゃん、次も可愛さ全開でお願いしますよ!」
晴「……はい、頑張るっす。それじゃオレ、控え室戻るんで。のあさん、行こうぜー」テテテテ
のあ「……そうね、失礼するわ」カツカツ
「オツカレサマデシター」「オツッシター!」
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控え室
晴「…………ふー。……はぁ」
のあ「……不機嫌のようね」
晴「不機嫌っつーか……あ、いや、不機嫌なんだと思う。うーん……」
のあ「私と居るのは……つまらないかしら?」
晴「は!? いやいや、ちげぇよ! のあさんカッコイイし、一緒にユニット組めたのはすげー嬉しいんだ。でもさ……」
のあ「……」
晴「毎回毎回、台本の台詞がどーもオレ好みじゃないんだよ……『はるちんの出番だよっ!』ってなんだよ……」
のあ「それがアイドルということ。あなたも分かっているのでしょう?」
晴「ん、これでファンが喜んでくれるんならいいんだけどさー。なんか、方向性が違うんだよ」
のあ「……」
晴「こう、アイドルって可愛いだけじゃないじゃん? 格好良かったり、のあさんみたいにミステリアスだったりさ」
のあ「……そうね。十人十色でなければ、私達は輝けないわ」
晴「それで、オレは可愛いアイドルを目指してるってわけじゃねーんだ。だから、Pのやり方にはあんまし納得いってねーっつーか……」
のあ「……」
晴「前からずっとカッコイイ衣装にしてくれーって話してんのに、前々回はバニーだわ今回も台本酷いわで……なんかなー」
のあ「……」
晴「Pってやっぱり、ろ、ロリコンとかなんじゃないか? オレにこういう恰好ばっかりさせるし……」
のあ「……」
のあ「……晴」
晴「ん、なんだのあさ……って怖っ! のあさん、な、何か背後からオーラ出てるぞ!?」
のあ「あなたを輝かせているのは、他でもない彼よ。あなたは、覚悟をしてこの場所に居るのではないのかしら?」
晴「いや、そうだけど……と、とりあえずその背後の化身っぽいの消してくれって! 怖いから! 必殺シュートしそうだから!」
のあ「……そう」
晴「あ、治まった……オレ、何かのあさんを怒らせることしたか?」
のあ「……晴、あなたは年齢にそぐわない技量を持っているわ。今回のLIVEも、それが感じられた」
晴「そ、そうか? それは嬉しいけど……」
のあ「ただ、あなたはまだアイドルの世界を深く知れていない。今、あなたがしている行いは、今後に繋がるための鍵でもあるの」
晴「……鍵?」
のあ「そう、アイドルの道には、多くの開かない扉がある。その扉を開くには、より多くの鍵が、経験が必要になる」
晴「……あ、色々やることで、技術が身についていくって事か。サッカーの基礎練とかもそうだもんな」
のあ「あなたが毛嫌う事も、あなたの成長には必要になる可能性を秘めている。経験という事象は、人をより成長させるわ」
晴「そ、そうなのか……のあさんは、腐抜けたオレを見てそう言ってくれて…………ん?」
のあ「……晴?」
晴「……いや、あのさ、気のせいかも知れないんだけどさ」
のあ「……何かしら」
晴「もしかしてのあさん…………オレが腐抜けたことよりも、Pのやり方に愚痴を言ったことに、オーラ出してたわけじゃないよな?」
のあ「……」
晴「……」
のあ「……気のせいよ」
晴「そ、そうか、気のせいか……? まぁとにかく、少し気が楽になったよ。ありがとな、のあさん」
のあ「……そう思えることが、あなたの美点よ」
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コンコンコン
晴「ん、誰だ? 入って良いぞー!」
ガチャッ
P「2人ともお疲れ様。さっきのLIVE、リハの時よりも良かったよ」
晴「おー、Pじゃん。LIVEの後に居なかったけど、何処行ってたんだ?」
P「LIVEが終わる直前に、やらなきゃいけないことがあってな。ごめん、迎えに行けなかった」
晴「ふーん? ああ、そうだP。本番前から聞きたかったんだが……今回の台本も、お前のプロデュースなのか?」
P「ああ、あれなぁ。どうも今回のディレクターが、前々回の晴を甚く気に入っていたみたいでさ」
晴「前々回……ああ、バニーか……」
P「そう、バニーはるちん。あの恥じらいがどうとか言うことで、今回もそれに似た運びにしたわけだ」
晴「……なんだ、お前が一方的に決めた訳じゃないんだな?」
P「いや、それでも俺のプロデュースと言うことには変わりないよ。……あ、でもちゃんと可愛かったぞ?」
晴「か、可愛いとかはオレ苦手なんだっての。くそー、もっとカッコイイ仕事とかないのかよ? ……今までのも悪くは無かったけどさ」
P「……おお? 晴からそんな言葉が出るとは思わなかったな。実はあのプロデュース路線で良かったのか?」
晴「ち、ちげーよっ! のあさんから教えて貰ったんだよ、何事も経験みたいなこと!」
P「……そうなんですか、のあさん?」
のあ「私はただ、晴のポテンシャルについて話しただけよ。どう感じ取ったかは、晴にしか分からないわ」
P「なるほど。……でも、のあさんのおかげで、晴も楽になれたと思います。ありがとうございます、のあさん」
のあ「……貴方は、私に感謝してばかりね」
P「そうですか? はは、のあさんにはとても頼らせて貰っているので、自然とそう言ってしまっているかも知れません」
のあ「……そう。ただ、頼らせているのは……貴方だけとも限らないわ」
P「あー、プロデューサーですからね。多方面から期待されてしまっているのは確かに……ダメにならない程度に頑張りますよ」
のあ「……そうね」
晴(のあさん、それって……)
のあ「貴方の働きは、私達に直結するわ。けれども、貴方自身が保てなければ、私達もアイドルとして形を保てない」
のあ「ダメにならない程度ということは、ダメになる寸前と同義。近い将来にダメになっては、全く意味がないわ」
P「う、そうですね……」
のあ「今の私達は、確実にアイドルしての階段を上っている。しかしそのスピードは、常に最高速である必要はない。……もう分かるかしら?」
P「は、はい、定期的に休み入れます……。自分が倒れたら、2人をプロデュース出来ないですからね」
晴(……いや、今の思いっきりPを心配しただけだよ! 気付けって! ああ、言いたいけど言える雰囲気じゃねえ!)
晴(と、いうかさ……)
のあ「……P。LIVEの後、貴方自身に予定はあるのかしら?」
P「LIVEの後だと、はる……じゃなくて、○○社で今後の番組の為の打ち合わせが入ってまして……」
のあ「……そう。明日以降のスケジュール、変更する気では無いわね?」
P「ええ、分かってます。2週間後くらいには自分のスケジュールが空くので、そこらに休みを入れますよ」
のあ「ならいいわ。忘れないように……貴方の体は、貴方だけのものでは無くなっているわ」
晴(のあさんのこの言い方からするとさー……)
P「うぬぬ、責任重大ですね。見境無く仕事入れてたツケが来たって感じですかね……」
のあ「見境無く、ではないのでしょう? 貴方の掴む仕事は、常に私達を輝かせるエッセンスになりうるものばかり」
のあ「私達が貴方の仕事に従属するのは当然よ。ただ、なにも無知というわけではないの」
P「……のあさんにそう思って頂けるのなら、仕事の獲り甲斐があるものです。これからも、頑張りますよ?」
のあ「そう。期待に背かず、貴方自身の歩調で……楽しませて頂戴」
晴(オレの思った事、やっぱり気のせいじゃないよなぁ……)
P「……おっと、もうこんな時間か。のあさん、自分ちょっとやることがあるので、終わりまで晴をお願いしますね」
のあ「ええ。ただ……私が居なくとも、彼女は平気よ。彼女の強かさ、理解しているのでしょう?」
P「もちろんですよ。だからのあさんと一緒にプロデュース出来るんです。単に、のあさんにお願いすると安心出来るだけですから」
のあ「……そう」
晴「ちょ、当の本人が居る前で恥ずかしくなるような会話すんなよ! なんかこう、褒められっとムズムズするじゃん!」
P「はは、晴はそこら辺がまだ弱いかな。こういうのには、軽くあしらう位の気概が無いと」
晴「無茶言うなって……。あー、オレも、もう少し冷静さってのが必要なのか?」
P「冷静さというか、こういうことは今後どんどん言われることになるからな。習うより慣れろってやつだ」
のあ「そのためには、相手に見合う褒め言葉が必要になるわ。あなたには、それが従来の人間より度数を超えているだけよ」
P「晴、12歳で大分考えが出来てると思うよ。ファンのために苦手な可愛い台詞も言おうとするなんて、この年代の子にはあり得ないくらいだ」
のあ「先程のLIVEも、晴の力が合わさってこそだった。……それは確かよ」
晴「にゃっ、バッ、止め、止めろってば! 恥ずかしくて死にそうだっての!」
P「はは、真っ赤だな。でも1度言われれば、似たようなことを言われたときに慌てず、それなりの対応が出来るだろ?」
のあ「言ったでしょう? ……経験は、人を成長させるのよ」
晴「そうかもだけどよ……Pものあさんも、よくそんな事恥ずかしがらずに言えるな!」
P「俺は言い慣れてるからなぁ」
のあ「……恥ずかしいと思うから、羞恥心が出てくるものよ」
晴「ぐぅ……オレものあさんぐらいのクールさが欲しいぞ……」
のあ「私にも、照れや羞恥という感情はあるわ。ただ、それが相手には目視出来ていないだけ」
P「のあさん、結構照れたりしてますからね。今回も、緊張されてましたし」
晴「……え? のあさんが照れてた? 緊張? 嘘だろ?」
のあ「……どうかしらね」
晴「い、今のそれが照れなのか? え、ちょっと、マジで分かんねーぞ!?」
P「晴もそのうち分かるようになるって。のあさん、プライベートだと凄くかわ」
のあ「P、時間はいいのかしら?」
P「え? ……あっ、そうだった! す、すみませんのあさん、晴のことお願いしますね」
のあ「……任せておきなさい」
晴「……」
P「晴も、姿は見られないけど応援してるからな」
晴「ん、お、おお、急いで転けたりすんじゃねーぞ? オレらのプロデューサーがドジとか笑えないからな!」
P「ああ、分かったよ。それじゃ、失礼しましたっ」ポロッ
ガチャッ バタンッ タタタタタタタタ…
のあ「……」スッ
晴「ったくPのヤツ、慌っただしいなぁ……なんか、結局オレの事恥ずかしがらせに来ただけじゃねーか……」
のあ「……晴、口角が上がったままよ」ペラッ
晴「っ! 気のせい! 気のせいだよ!」
のあ「……そう、なら気のせいね」パタン
晴「そうそう気のせい…………って、そうだのあさん。やっぱりさっきの、オレの気のせいじゃなかったよな?」
のあ「……何のことかしら?」
晴「のあさんがすげーオーラ出してたヤツだよ。……あれ、オレがPを悪く言ったから怒ったんだよな?」
のあ「先にも言ったでしょう。それは」
晴「っと、気のせいとは言わせないからなっ。のあさん、Pの事めっちゃ心配してんのバレバレだぞ!」
のあ「……」
晴「あと、さりげなくPの空き時間とか聞こうとしてたろ? あとPのことべた褒めだったし、流石にオレでも分かるっての!」
のあ「……そう」
のあ「……」
晴「……」
のあ「……」
晴「……あー、その」
のあ「……」
晴「……のあさん? な、なんか言ってくれよ?」
のあ「……晴」
晴「っ! な、なんだ?」
のあ「……秘密よ?」シー
晴「え? あっ、おう……け、結構あっさり認めんのな……。のあさんが人差し指を口にやる動作って、すげー様になるなぁ……」
のあ「気のせいと思われなければ、その事象は相手の認識になる。それを無理に否定する権利は、誰にも無いわ」
晴「……のあさん、Pの事好きなのか?」
のあ「……あなたがPを慕う程度と同じよ」
晴「んなっ!? お、オレは別にPのこと、そこまで好きってわけじゃ……」
のあ「苦手とすることを我慢して、Pについていく理由は何かしら?」
晴「うっ」
のあ「今日のLIVE、『Pが居ない』と不安を表面に出していたのは、誰かしら?」
晴「不安ってわけじゃ……ぬぐぐ……分かったよ! 確かにPの事は嫌いじゃねーけど……のあさんは絶対オレ以上に好きだろっ!」
のあ「……そうかしら」
晴「オレから見たら、そうとしか思えねーよ。のあさん、Pと話す時はいつもより口数多いし……なんか、嬉しそう?だったぞ」
のあ「……そう」
晴「のあさん、Pのどこが気に入ったんだ? 確かに仕事は凄いみてーだけど、それ以外は普通の人間だし……」
のあ「……」
のあ「……それなら晴。これを見て頂戴」スッ
晴「ん、なんだコレ? ……手帳?」
のあ「Pのスケジュール帳よ。彼がこの部屋から出て行くとき、落としていったわ」
晴「はぁ? おいおいアイツ、変なとこでドジしてんじゃねーよ……。ってかのあさん、話の続き……」
のあ「とにかく、中を見てくれるかしら。付箋の付いているページが、今日のスケジュールよ」
晴「? お、おう。よくわかんねーけど、見りゃいいんだろ?」ペラッ
『☆月11日
AM1:00 昨日の書類まとめ
AM5:00 事務所、一部書類の郵送・他、ちひろさんの手伝い
AM7:00 △社への○道路工事中、ルート1迂回予定
AM8:00 △社・会議室、週刊「アイドル」、打ち合わせ・演出など のあさん
AM10:00 ○○社・8階ミーティングルーム、番組「スポフェス!」・サッカー、打ち合わせ・工程など 晴
終わり次第事務所、晴とのあさん入り □ドームへ送迎
PM1:00 □ドーム、入りから最終LIVEのリハ のあさん・晴
PM2:00 □ドーム、LIVE本番 のあさん・晴 17時まで
PM3:00 ○○社へ連絡・挨拶回り
PM6:00 ○○社8階ミーティングルーム、番組「スポフェス!」、打ち合わせ・詰め 晴
PM9:00 事務所、着き次第明日の書類整理・戸締まり
・
・
・
・
晴「……なんだ、これ。Pのやつ……寝てんのか?」
のあ「……昨日は事務所に泊まっていたわ」
晴「うお、2週間先までみっちり予定書いてやがる。う、嘘だろ、こんなに働くつもりなのかアイツ……あっ」
のあ「晴?」
晴「……なぁのあさん、このスケジュールの横に書いてある名前。もしかして」
のあ「おそらく、私達が担当することになる仕事ね。週刊アイドルの話、Pから聞いているわ」
晴「……! そっか……そうか、アイツ…………」
のあ「……晴」
晴「な、なんだ?」
のあ「……心が、急いているようね」
晴「う……そうだな。その、まさかこんな事決まってるとは思ってなかったからさ……」
のあ「……」
晴「あのさ……この『スポフェス!』ってさ、ガチのスポーツ番組なんだ。のあさん、知ってるか?」
のあ「……そうね、聞いたことがある。あなたが、Pに言っていたわね」
晴「ああ。この番組、年齢別で芸能人とかアイドルが色んなスポーツで試合してさ。毎回毎回、すげー白熱した試合になって、本当に面白いんだ」
のあ「……」
晴「オレ、サッカー好きだから、Pにずっと頼んでたんだよ。『この番組に出られたら、絶対カッコイイアイドルになれる』って」
のあ「……そう」
晴「アイツ、本当に獲ってくれてたんだな。オレに何言われても、このことを一切言わずにさ」
晴「なんだよアイツ……くそ、なんだよ、めっちゃかっこいいじゃねーか……」
のあ「……晴。私がPを慕う理由、聞きたかったのでしょう?」
晴「ん、ああ。……でも、何となく分かった気がするぞ」
のあ「……彼は、時間を削り、私達に全てを注いでいるわ」
晴「ああ」
のあ「ぶつかる風は強くとも、その全部を自分自身で受け止め……私達のために走り続けている」
晴「……うん」
のあ「私はそんな彼のプロデュースに……惚れたの」
晴「……納得。というか、納得出来ない訳がなかったっつーか……うん、アイツ、凄いヤツだったわ」
のあ「……惚れたのかしら?」
晴「ぶっ!? す、清々しいくらいストレートだなのあさん!」
のあ「私の目は、頬を紅潮させたあなたを捉えているのだけれど……」
晴「……『嫌いじゃない』から、ワンランク上がったくらいだよっ。そんなのあさんみたいにベタ惚れって訳じゃ無いっての!」
のあ「……素直じゃ無いわね」
晴「んぐっ……素直じゃ無いのは、のあさんも似たようなもんじゃん。難しく言って、なんかはぐらかしてさ」
のあ「……? 私にとって、これが普通なのだけれども」
晴「それ天然なのかよ!? なんだか、のあさんだと納得出来ちまうのが悔しいぞ……」
コンコンコン
晴「んお、っと、はいー!」
スタッフ「高峯さん、結城さん、そろそろ出番です、よろしくお願いしまーす!」
のあ「分かったわ」
晴「あ、はーい! 了解っす!」
のあ「……積もる話も終わったわね。衣装を整えて……行くとしましょう」
晴「ああ、分かってる。…………よしっと、オレは準備出来てるぜ」
のあ「……服の襟、髪が引っかかっているわ」スッ
晴「あっ。わ、悪りぃな、のあさん」
のあ「晴……私は、平気?」
晴「……おう、カンペキ。最初から、何一つおかしくないぜ。どーなってんだか」
のあ「そう。……行きましょう、晴。私達ユニットの、最後のLIVEへ」
晴「……おうっ!」
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舞台裏
\ワァァァァァ/
~♪ ♪ ♪~
晴「おー、盛り上がってる盛り上がってる。はー……楽しそうにLIVEしてるとこ見てたら、オレまでワクワクしちまうなぁ」
のあ「LIVEを楽しむ心は、必要不可欠よ。それを忘れないように……」
晴「ああ、もちろん。のあさんも、楽しんでるのか?」
のあ「ええ、勿論。今も…………少し……熱を感じる」
晴「……最初から思ってたけど、やっぱりのあさんって不思議な人だな。でも、近寄りがたいってわけでも……ないんだよなぁ」
のあ「あなたが近寄れる技量を持っていたから、こうしてユニットとして成り立っているのよ。他の子では、駄目だったでしょうね」
晴「……そっか。そう言われると、すげー嬉しいもんだな」
晴「オレさ、このLIVEだけっていう短い期間だったけど……のあさんとユニット組めて、めっちゃ楽しかったよ」
晴「初めは話しづらかったけど、タメ口で話してものあさん怒んねーから、すげー練習の時も楽でさ」
のあ「あなたがあなたを出せるのは、その口調がある故。それを蔑ろにするのは、私の役目ではないもの」
晴「ま、そーゆーわけで、LIVEまで来れたんだ。のあさんと一緒でマジで良かったよ、へへ」
のあ「……そう。私も、フレッシュアイドルと組めて……面白かったわ」
晴「んなっ、そこでそれ言うなよ! いや、間違ってねーけど、それはねーよ!」
のあ「あなたはもうすぐ、そうなるのでしょう?」
晴「そうだけどさぁっ、あーもう! やっぱりのあさん分かんねー!」
のあ「……ふふっ」
晴「あっ、笑った。のあさん……今、笑ったよな? ……今更だけど初めて見たぞ」
のあ「そうかしら? 結構感情は出しているつもりなのだけれど……」
晴「マジかよ、オレが気づかなかっただけ? Pぐらいになりゃ直ぐ分かるんだろーが……難しいな、オイ」
のあ「Pになる必要は無いわ。晴そのもので、私に向かって来て頂戴。あなたは、あなたなのだから」
晴「……そうだな、そりゃそうだ。んじゃ、オレはもっとオレなりに、これからものあさんを知ってくからな!」
のあ「……ええ、楽しみにしているわ」
\ワァァァァァァァァァ!/
のあ「……前のユニットのLIVE、終わったようね」
晴「さて、オレらだな。このLIVEでオレらの出番は終わり、かー」
のあ「ええ。これが、私達のユニットとしてのラストステージ。Pがいないのが、残念ね?」
晴「お、オレを見ながら言うなよっ。そりゃ残念だけど、アイツはオレらのために別の所で頑張ってくれてんだ、仕方ねぇよ」
のあ「……そうね」
のあ「晴。もうあなたなら、これからの私達が何をすべきか、分かっているのでしょう?」
晴「……ああ、もちろん。伊達にPのアイドルやってないからな!」
のあ「……そう、頼もしいわね」
『さぁお次は、あのユニットが再び登場だー!』
のあ「彼が私達に、時間を費やし役目を与えてくれているのなら……」
晴「オレらはアイドルとして、きちんとあいつに応えて、輝いてやんなきゃな!」
のあ「……パーフェクトよ、晴。さぁ……行くわよ」
晴「まっかせろ! 行っくぜー、のあさんっ!」
『それでは出て来て貰いましょう、NOA-HAL――!』
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番組D(ディレクター)「いやー、2人ともご苦労様! LIVE、大盛り上がりだったよ!」
晴「すげー……じゃなかった、オレも、凄く楽しかった、です!」
のあ「この高揚感……やはり、LIVEは良いものね」
D「いやー、晴ちゃんの活躍っぷり、大人顔負けだ。12歳とは思えないくらいしっかりしてると思ったね!」
晴「あ……へへ、ありがとうございます。次もあったらよろしくお願いしまっす!」
D「おお、言ってくれるねぇ。上に掛け合っておくから、機会があったらまた担当させてくれると嬉しいよ」
のあ「……ありがとうございます」
晴「ありがとうございまっす!」
D「高峯さん……だったね? 晴ちゃんを支える、素晴らしい出来だったよ。どうだい、これから一杯……」
のあ「……申し訳ありません。この後、仕事が……」
D「そうかー、残念だ。ああ、君たちのプロデューサーにも言っておいてくれ。『君の熱意が気に入ったから、今度呑みに行こうか』とね」
のあ「……確かに、聞き届けました。では、私達はこれで…………晴」
晴「あ、おう。えと、お、お疲れ様でしたっ!」
「「お疲れ様でしたー!」」「オツシター!」
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□ドーム・スタッフ専用通路
晴「ふー、シャワーも浴びてスッキリしたし、これで今日の仕事も終わりかー!」
のあ「完璧な仕事だった。晴、良くやってくれたわ」
晴「のあさんカンペキ主義だもんな、相棒が下手こくわけにはいかないっての!」
のあ「……そう。あなたと同じユニットで、光栄だったわ」
晴「ふふん、もうあんまし照れないからな! のあさん結構褒めてくれるし、来ると構えてりゃなんとかなるもんだな!」
のあ「そうかしら? そういう晴の姿……可愛いわよ?」
晴「んなっ…………かっ、可愛いは無し! そりゃ不意打ちってヤツだろっ、ファールだ、ファールっ!」
のあ「……ふふ。もう少し、慣れていく必要がありそうね」
晴「……あ、そうだ。なぁ、のあさん?」
のあ「なにかしら?」
晴「LIVEが終わった後、ディレクターの誘いを断ってたけどさ。オレらってもう今日は仕事終わりなんじゃねーのか?」
のあ「……時には、嘘も方便となるのよ」
晴「うお、さらっと嘘吐いたのかよ……意味のない嘘なんて吐かない方がいいんじゃねーの?」
のあ「それに、意味がないわけでも、強ち嘘でもないの。まだ私達の中で、仕事が終わっていない人が居るでしょう?」
晴「え? ……あー、ああ、居たな、居たわ。毎晩毎夜、仕事の他にもオレ達の分まで頑張ってるヤツ」
のあ「あなたは先に事務所へ送るわ。あなたの親族が、事務所へ向かいに来るのは聞いているから」
晴「……で、のあさんはどうするんだ?」
のあ「○○社に行くわ」
晴「んじゃ、オレも付いてくよ」
のあ「……時間を消費するだけよ?」
晴「親父達にはメールしておけば大丈夫だからな。それに……」
のあ「……」
晴「なんかのあさんが、待ち遠しそうに見えるんだ。きっとオレにナイショで、Pとどっか行く気なんだろ?」
のあ「……」
晴「折角今日は頑張ったんだ。のあさんだけ抜け駆けなんてズルイじゃん? それとも、のあさんはオレといるとつまんねーか?」
晴「……ま、ホントの所は、Pに色々言ってやりてーこともあるし……な?」
のあ「……この1日で、随分と扉を開いたのね」
晴「Pとのあさんのせいだよ。のあさんのことがようやく分かったの、一番の収穫かもなー」
のあ「……そう。それなら……メールは早急に送ると良いわ。親には、心配をさせないものよ」
晴「了解っと! へへ、あんがとな、のあさん!」
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のあ「……この1日で、随分と扉を開いたのね」
晴「Pとのあさんのせいだよ。のあさんのことがようやく分かったの、一番の収穫かもなー」
のあ「……そう。それなら……メールは早急に送ると良いわ。親には、心配をさせないものよ」
晴「了解っと! へへ、あんがとな、のあさん!」
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PM8:00
○○社 エントランス
P(よーし、これでようやく晴のサッカー番組の段取りが決まった。あいつ、喜ぶだろうなぁ)
P(さてと、ちゃちゃっと事務所に帰って………………ん?)
晴「あ、おせーぞP! 遅くまで仕事しすぎだ!」
のあ「……待っていたわ。終了時間、聞き逃していたわね」
P「え? のあさんと、は、晴ぅ!? 何でこんなところに……?」
晴「なんでもなにも、お前のこと待ってたに決まってんだろ?」
のあ「晴の言う通りよ。晴、奥のエレベーターがこの階に付く度に、そわそわしていたもの」
晴「ぶっ!? の、のあさん、それ言わなくていいっての!」
P「あ、ああ。いや、待っててくれたってのは嬉しいんだけど……晴、両親の迎えはどうしたんだ?」
晴「ちゃんとメール送ったよ。ほら、『のあさんに任せた』って返信も来てるぜ」パッ
P「……本当だ、なら大丈夫か。あー、色々と驚いたぞ……」
のあ「……P」
P「? なんですか、のあさん」
のあ「……遅くまで、お疲れ様。LIVEは、完璧にこなしてきたわ」
P「……ありがとうございます。LIVEに関しては、2人を信じていたので大丈夫ですよ」
のあ「……そう」
晴「……のあさん、嬉しそうだな」
のあ「そう見えるかしら?」
晴「おう、なんかわかんねーけど、嬉しそうってのは雰囲気でな」
のあ「……そう」
P「……2人とも、なんかやけに距離が縮まってないか?」
のあ「……彼女が、多くの扉を開いただけよ」
晴「へへ……らしいぞ、P」
P「? お、おう。まぁとにかく、仲が良いのはいいことだ。これからもよろしくやるかもしれないからなー」
晴「……ん、よろしくやる? なんだそれ?」
のあ「……P?」
P「おっとそうだな、じゃあ言っておくか。晴……『スポフェス!』、お前の出演決まったぞっ!」
晴「あ、おう、知ってる。あんがとな」
P「……おろ?」
のあ「P、ドームの控え室で、これを落としていたわ」
P「あっ、スケジュール帳!? ああ、無くしたかと思ってたんですよ……ありがとうございます、のあさん」ギュ
のあ「……中身、晴に見せてしまったの。貴方は秘密にしていたかったと思ったのだけれど……」
P「あー、なるほど。確かにネタバレの宝庫ですからねコレ。まぁ、落とした俺が悪いですし、黙ってるのも悪かったかなぁと……」
晴「……そんなことねーよ。Pは驚かせてくれようとしたんだろ? コレ見たとき、十分びびったっての」
P「……そっか、なら目的は達成できたか。それじゃあ帰ったら、番組の日程とかいろいろ伝えるからなー」
晴「おいおい、なんでPがそんなに嬉しそうなんだよ」
P「いや、これでようやく、晴がやりたいことをさせてあげられると思ってな。これからちょっとずつ出来るよう、頑張るよ」
晴「こ、こいつ……ふん、それで駄目になるんじゃねーぞ? のあさんも言ってたけど、Pの体はPだけの体じゃないんだからな?」
P「はは、分かってるって。きちんと休みはとる。それでいいだろ?」
晴「言ったな? 約束だかんな! ……それと、いつまでのあさんの手、両手で握ってんだ?」
P「へ? あっ、ああ、すみませんのあさん! 握っているのすっかり忘れてました……」
のあ「……気にしていないわ」キュッ
晴「……で、番組は分かったけどよ。結局よろしくやるってなんのことなんだ?」
P「あ、ごめんごめん、話が逸れてた。晴が『スポフェス!』に出演する事になった時、丁度のあさんの話も上がってさ」
P「実は、打ち合わせ途中でどうも欠員が出ちゃったみたいでな。その埋め合わせ役として、のあさんも晴と一緒に出演できそうなんだよ」
晴「はぁ!? な、なんだそれ、すげーな!」
のあ「……」
P「それで、どうせなら晴とのあさん、一緒に映して宣伝できないかなーと思ってさ。……今回のユニット、解散せずに続けようと思うんだ」
晴「おお、マジか!?」
P「ああ、マジだ。プロデュースしている2人の折角のユニットなんだ。前から解散するのは惜しいと思ってたんだよ」
晴「よっしゃあ! のあさん、また一緒にLIVEとか出来るんだな!」
のあ「そのようね。……嬉しく思うわ」
晴「へへっ、オレもだよ!」
P「ということで、それの打ち合わせで時間押しちゃってなぁ……2人とも、こんな時間まで待たせちゃってすまなかった」
晴「いんや、良いこと聞いたから全然気になんねぇよ」
のあ「……そうね。そもそも、私達が勝手に来ただけよ。貴方が気にすることでもないわ」
P「まさか晴まで来てくれるとは思ってなかったよ……。そうだ、ほら晴、これでジュース買ってくるといいぞ」コインッ
晴「お、なんだP、気前良いじゃん?」
P「わざわざ来てくれたお礼のひとつってことで。ありがとな」
晴「はは、なんならジュース奢って貰いに、迎えに行くのも悪くなさそう……なんてな。サンキュ、ちょっと買ってくる!」タタタタタ…
のあ「……相変わらず、元気な子ね」
P「のあさんも、わざわざ来て下さってありがとうございます。最近、こうして仕事終わりに来てくれてますよね」
のあ「……そうね。迷惑だったかしら」
P「そんなわけないじゃないですか。いつも1人でとぼとぼ帰っていたので、誰かが居てくれるって凄く嬉しいんですよ」
のあ「……P、この後の予定は?」
P「スケジュール帳、見たんですよね? 見たとおりですよ。事務所で書類整理と、戸締まりだけです」
のあ「……帰路にはつくのかしら?」
P「あー……」
のあ「……貴方が帰れるよう、助力するわ」
P「うう、すみません……のあさんにはご迷惑ばかり……」
のあ「私がそうしたいだけよ……貴方に、ね」
P「もう足向けて寝られないくらいですよ……」
のあ「……それと、聞きたいことがあるのだけれど」
P「あ、はい、なんですか?」
のあ「晴が望んでいた番組……どのような売り文句で、私を推薦してくれたのかしら?」
P「あっ…………あー、ばれてました、か」
のあ「無知ではないと、控え室で言ったわ。突然の欠員だからといって、直ぐにキャストを入れるなど……普通なら、ありえないことよ」
のあ「私が出演する事になった理由。それは、貴方の働きにしか考えられないわ」
P「……のあさんは、俺の事お見通しですね」
のあ「いいえ、ただ理解出来ているだけよ。貴方が、私を簡単に見抜くのと同じように……」
P「えーっと、その、言わなきゃ駄目ですかね?」
のあ「その方が好ましい結果になる、と伝えておくわ」
P「そ、そうですか? いや、これ本人の前ではちょっと恥ずかしいんですが……」
のあ「……それは、どんな意味で? 貴方、晴は簡単に褒めていたでしょう?」
P「晴はまだ子供ですし、褒めやすいんですよ。あ、いや、のあさんが褒めにくい人だとか、そういう事じゃないですよ!?」
のあ「ええ、分かっているわ。貴方の判断には従う……けれど、その過程を気にしていないわけではないの」
のあ「教えてくれるかしら。貴方は、私をどう売り込み、褒めてくれたのか……」ズイッ
P「あー……えっと、その……」
タタタタタ……
晴「よっ、待たせたな! こういうとこの自販機って、少し安いのな。なんか得した気分だわ」チャリン
P「お、おう晴! 早かったじゃないか。飲み物はそれでいいのか?」
晴「おう。といっても、これ以外に欲しいの無かったんだよ。後はお茶とかコーヒーばっかりでよー」
P「あー、会社の自販機だからなぁ。……の、のあさん、晴も来ましたし、この話はまた今度……」
のあ「……そう」
晴「……? P、のあさんとなんか話してたのか?」
P「ん、いや、晴が気にすることでもないよ」
のあ「……」
晴「……ほほぉ?」
P「どうした、晴?」
晴「……なんだP、オレをおいて何処か行こうとか、そういう話でもしてたのか? 仲間外れは止めろよ?」
P「おいおい、そんなわけないだろ。……なんなら、今から3人でご飯食べに行くか? のあさんも、まだですよね?」
晴「おっ、じゃ、そうすっかな!」
のあ「……そうね」
晴「のあさん、どっか行きたいところってあるのか? オレ、ここらで何あるかわかんねーからさ」
のあ「……この辺りの地理は、私もまだ把握していないわ」
P「それじゃあ、歩いて直ぐの所にファミレスがあるので、そこに行きましょうか。良いですか、のあさん?」
のあ「……ええ、大丈夫よ」
晴「うし! なぁP、ファミレスなら……今、のあさんと話していた事も話せるよな?」
P「なっ……はぁ!? おま、な、何言ってんだ晴!?」
のあ「! あなた……」
晴「なんだP、もしかして本当にオレの前じゃ言えない話でもしてたってのか?」
P「いや、それは……」
のあ「……いえ、してないわ。ただ、Pがどう私を褒めるのか……そんな話をしていただけよ」
P「の、のあさん!?」
晴「ん、さっき、そんな話を中断したのか? なんだよ、オレは弄るくらい褒めておいて、のあさんは褒めないのかよ?」
P「そういうことじゃないって! そりゃ褒められるけれど、今回は全力で宣伝したから……」
のあ「……全力。俄然、気になってきたわね」
晴「ほほーん、Pの全力褒めか。いいじゃん、オレもすげー気になってきたぞ?」
P「え、待って、本当に話すの? ……晴、お前、控え室の事根に持ってる? 持ってるよな!?」
晴「いやー、そんなことねーよ? へへっ、それじゃ、さっさとそのファミレス行こうぜ!」グイッ
P「っと! 晴、急に腕引っ張るなって……」
晴「ほら、のあさん、手ぇつなごーぜ。こういうこと、のあさんとはしたことなかったからさ」
のあ「……そうね。では、失礼するわ」ギュッ
晴「へへっ、のあさんってあったけーのな。しかし、2人とも背がでけーから、真ん中にいるオレがすげー小さく見えそうだなー」
P「元々、晴は小さくて可愛いぞ?」
のあ「そうね。可愛らしいと思うわ」
晴「んにゃっ……なんで2人して可愛いとか言うんだっての! なんだ、図ってんのか、グルなのか!?」
P「いや、言いたくなるだけだよ。ですよね、のあさん?」
のあ「……そうね、本能よ」
晴「なんで2人して頷きあってんだよ! 本能にそんな機能はねぇよ!」
晴「あー、くそっ。こうなったら、ぜってーPからのあさんの褒め言葉聞き出すからな!」
P「ぐぬっ……黙秘権を行使したいんですけど」
のあ「駄目よ。目には目を、歯には歯を……知っているでしょう?」
P「それ使い方違ってますよね!? ……いや、だったら、俺も2人から褒めて貰えるのか?」
晴「Pって凄いヤツだよなー、よく生きてるよなー、すげーなー」
のあ「……驚嘆に値するわ」
P「……」
晴「……」
のあ「……」
晴「……おし、後はPがのあさんに言うだけだな」
のあ「……ええ、そうね」
P「え、今ので終わり!? おざなりだし具体性もないぞ!?」
晴「P、ファミレスって、こっから出て直ぐの所にあるんだろ?」
P「あるけど、あるけどさ! 明らかに今の言葉じゃ釣り合っていないだろ……」
のあ「……釣り合う言葉は、既に晴と交わしたわ」
P「え?」
晴「あっ!? あーあー、なんでもねーよっ! Pものあさんも、突っ立ってないで行こうぜ!」グイッ
P「あ、おいちょっと」
のあ「……ええ、行きましょう」
晴(のあさん、控え室での事、Pには絶対に言うなよ?)ヒソッ
のあ「……私は、いつ伝えても構わないのだけれど」
晴(潔いな!? とにかく、頼むよマジで……もし知られたら、オレ恥ずかしくて生きていけねぇ……)ヒソソッ
のあ「ええ、晴が望まないのなら黙秘するわ。……あなたが生きていけないことなど、したくないもの」
晴「のあさん……」パァァ
P「あのー、のあさん。結局、今の話ってなんのことなんですか? かなーり気になるんですけど……」
のあ「……いえ、なんでもないわ。そうでしょう、晴?」
晴「おう、なんでもないぜ。ほら、いーから行こうぜP、オレ腹減って仕方ねーんだっ」グイッ
P「うお、そんな引っ張るなって、歩くから、歩くから! そう言われると益々気になるっての……」
晴「ダーメだ、絶対に言わねーからな。な、のあさんっ」
のあ「そうね、あなたとの……約束事」シー
晴「そうそう、これはオレとのあさんの……」シー
晴「2人の秘密、だかんなっ」
のあ「2人の秘密、なのだから」
お わ り
今では遙か昔のツアーカーニバル in スペースワールドでのあさんが居たので、つい。のあさん、相変わらず星が好きなようでなによりです。
のあさんと晴の一部の台詞は、今までに出たそれぞれのレアリティの台詞と、とある歌詞を参考にさせて頂いております。今回は3曲ほど。
のあさんはタメ口などは全く気にしなさそうなので、晴が懐きそうな気がします。のあ晴+P、これは新しい境地。
こうなってくると、晴のSRが気になります。一体どんなカワイイ衣装を着せられるのかが楽しみですね。
ここまで読んで下さって、本当にありがとうございました。
奏ガチャで爆死した傷をアイプロで癒しつつ、晴や鷺沢さんのSRを心待ちにしております。
(アイプロのあさんが予想を超えて可愛かったので、近いうちにまたのあさんの短SS書きたい)
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