のあ「みく……スシローに行くわよ……」みく「いやぁぁぁにゃぁー……」 (25)

みく「どうしてのあちゃんはみくに酷いことばかりするのにゃ? みくがお魚嫌いだって知ってるでしょ?
お昼だったら牛角へ食べに行こうよ!そしたらみくも借りてきた猫みたいに大人しく奢ってもらってあげるにゃ」

のあ「ふっ……甘いわねみく……寿司という固定観念に囚われては駄目よ……
最近の回転お寿司屋さんの発展はそれはそれは目ざましいのだから……貴女も、体感してごらんなさい……」

みく「どうでもいいにゃぁ。みくは焼肉が良いのにゃぁ」

のあ「さぁ……行くわよ……」ガシッ

みく「いやぁぁぁあにゃぁぁぁ……」ズルズル



みく「おうどん美味しいにゃぁ……」ズルズルズズッ

のあ「ふっ……」

凛「……」

まゆ「……」

のあ「まゆ……誕生日、おめでとう……」

凛「えっ、此処で!?」

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まゆ「あっ……ありがとうございます……」

のあ「今日は……好きなものを頼むと良いわ……凛……貴女も遠慮は無しよ……」

凛「はぁ……どうも……?」

のあ「……後三つね。貴女達は……何が食べたいかしら……?」

凛「えっ、えっと……のあさんは何を頼んだの?」

のあ「チョコレートパフェよ……」

凛「いきなり!?」

のあ「それだけの価値があるのよ……」

みく「寿司食えにゃぁ」ズズッズルッ

のあ「前川……面白い冗談ね……」

凛「私からしたら二人とも大概だけど……いっかもう……まゆは? 何か食べたいのある?」

まゆ「えっ、えっとぉ……どうしましょうぅ……?」

凛「……うん。本当に、どうしよっか……」

のあ「……そう。その時ではない……のね。ではまず……私が二人に百パーセントジュースを御馳走するわ……
注文はいずれ……その時が来れば自然と流れてくる……回転寿司とはそういうものなのだから……」

みく「みくはコーラが良いにゃぁ」ズルッズルッ

のあ「……ガリの汁でも啜ってなさい……」

凛「……!」ソワソワ

まゆ「っ……」オロオロ

みく「……」ズズズッズルッ

のあ「……二人とも、こういうところは慣れてないのかしら……?」

凛「えっ、あっ、まぁ……うちは食べるとなるとお正月とかの出前だから……」

まゆ「そ、そうですねぇ……まゆもあんまり回転寿司というのには馴染みがありませんねぇ……
声を出して注文というのが、ちょっとぉ……でも、最近はタッチパネルになっているんですねぇ」

凛「みたいだね。私もニュースでしか知らなかった。プロデューサーの連れてってくれるところは、
紙に書いて渡す方法だったし」

のあ「……そう。今日は存分に楽しみなさい……特にまゆ。貴女にとって一年に一度の特別な日なのだから……」

みく「それなら回らないお寿司屋さんに連れてってあげた方が良かったんじゃないのかにゃぁ……?」ズルルッ

のあ「……そう。みくがそれを望むなら、貴女の誕生日、覚悟しておきなさい……でもそうね、ただ連れて行くだけじゃ面白くないわ……
……私が握ってあげる……その日は最高のお寿司を貴女の胃に届けてあげるから……」

みく「んぐっ!?」

凛「ちょっ、みく!?」

まゆ「大丈夫ですかぁ……?」

みく「けほっ、けほっ……う゛~……板前姿の、のあチャンを想像したら噎せた……」

凛「何考えてんの……」

のあ「へいらっしゃい」

まゆ「や、止めてくださいよぉ……」ウクププ

凛「此処、一応公共の環境で、のあさんはアイドルなんだから変な事しない……」ウグッ

みく「(みくのおかげで三人が打ち解けられて良かったにゃぁ)」ズルズルッ

凛「あっ、のあさんのチョコレートパフェが来たよ――って二つ!?」

のあ「えぇ……一つ、食べる?」

凛「いや、私は……」

まゆ「私もぉ……」

みく「みくが食べてあげても良いよ?」

のあ「お断りします……好きなのよ、此処のパフェ。特に下のフレークとパンナコッタが……」

凛「まぁサイズも小さいし……のあさんが太る姿ってのも想像出来ないけど……ちゃんとカロリー計算しないと駄目だよ?」

のあ「それは……かな子の前でも同じことを言えるのかしら?」

まゆ「かな子ちゃんは今関係ないんじゃないですかぁ……?」

のあ「……事態は十分深刻よ」

凛「まぁそうだけど……」

まゆ「でもかな子ちゃんはそれで良いんですよぉ……寧ろ、痩せっ――食べないかな子ちゃんはかな子ちゃんじゃないって言う人が
いるくらいですからぁ」

凛「需要と供給だね……」

のあ「……彼女もまた、プレッシャーと戦っていたのね……まゆ、貴女と同じね……」

まゆ「えっ……どうしてそこでまゆが出てくるんですかぁ?」

のあ「……辛かったでしょう……押し付けられたイメージに応えるというのは……」

まゆ「意味が解りませんよぉ……まゆのイメージって……」

みく「最近のまゆチャンはポンコツ気味だからにゃぁ」ズズッ

凛「ポンコツって……」

まゆ「喧嘩売ってるんですかぁ……?」

まゆ「まゆの一体何処がポンコツなのか……教えてもらいたいですねぇ? ……うふっ」

凛「……まぁ、キャラクターがブレるっていうのはCu組の伝統みたいなものだから……仕方ないかと」

みく「皆には絶対に自分を曲げないみくを見習ってほしいにゃぁ」

のあ「素敵よみく。マグロを食べなさい」カチャッ

みく「いらないにゃぁ」スッ

凛「ちょっと、なんでこっち置くの。……まぁ良いや。頂きます」

まゆ「ブレるって……そんなの菜々さんぐらいしか居ないじゃないですかぁ……」

凛「あの人は……ブレるのがキャラクターみたいなものだから……」

のあ「そう……メルヘンデビューとはそういうものなのかもしれないわね……」

まゆ「後はぁ……基本的に普通の女の子ばっかりですし……そもそも大半がそれほどキャラ定まってないんじゃ……」

のあ「だからこそ、というべきかしら……初めから固定した概念を持って登場した貴女は……潮流に浸食されてしまった」

まゆ「……そんなことないですよぉ。試してみますかぁ?」

のあ「そう言うと思って……呼んでおいたわ」

まゆ「……誰をですかぁ?」

のあ「プロデューサーよ」

凛「えっ」

まゆ「っ!!」

みく「(まゆチャン……目に見えて狼狽しているにゃぁ……)」ズズッ

まゆ「……」ソワソワ

まゆ「……」チラチラ

まゆ「……まゆ、おトイレ行ってきますねぇ」


~トイレ~

まゆ「……今日の服、大丈夫よね……変じゃないわよね……お化粧も……そ、そうだ、凛ちゃんを呼んでダメだしを――」クルッ

のあ「……」

まゆ「あっ……」

のあ「……嘘よ」

まゆ「」

凛「あ、戻ってきた」

のあ「……」スタスタ

まゆ「……」トボトボ

みく「まゆチャン……これ食べて元気出して」

まゆ「……ありがとうございます……」

のあ「みく……一貫にぎりを二枚取って一つのお皿に出すのは卑怯よ……」

凛「のあさんが悪いよ……」

まゆ「……そうですよぉ……大体Cuがそうなら……Coは変な人ばっかりじゃないですかぁ……!」

凛「ちょっと待ってよ。それ私にも飛び火する中傷なんだけど」

のあ「まゆ……以前の貴女なら私がプの字を出した時点で『うふっ。ダウトですよぉ。今頃Pさんは
まゆのお家で』ほにゃららと言って私の背中に刃物を突きつけるくらい造作も無かったはずよ……」

まゆ「くぅっ……!」

凛「悔しがることなのそれ? 寧ろその方がおかしいよ」

まゆ「凛ちゃんには解かりませんよぉ……」

凛「それは私が普通の人だからってことで良いんだよね?」

みく「(凛チャンも大概だからにゃぁ……)」ズズズッ

のあ「まゆ……今の貴女には……登場初期多くのファンとプロデューサーを震撼させた鈍色の輝きは無いわ……
ヤンデレファンクションを智絵里に、神の見えざる手を愛海に取られ――差し詰め今の貴女は―― 一途でちょっと頑張り屋さんな一人の恋する乙女よ!」

まゆ「!!」

凛「いや悪いことなの、それ……」

まゆ「当然ですよぉ……まゆのアイデンティティがクライシスなんですからぁ……!」

凛「……無駄に変なキャラクター付くよりは良いと思うけど」

みく「(言葉の重みが違うにゃぁ)」ズルズル

のあ「……難波さんは言ったわ……『まゆはプロデューサー絡まないとええ子やなぁ』……と」

まゆ「……そうですかぁ……あの人が……うふふふ」

凛「いや、褒めてるんだよ、それ?」

みく「ねぇねぇハマチ頼んでも良い?誰か食べれるよね?」

凛「いや、頼むなら自分で食べなよ」

みく「えー……やだ」

まゆ「うふふふふふふ」

のあ「ふっ……ハッピーバースデイ、まゆ」

凛「折角最近は取っつき易くなったと思ったのに……のあさん。何やってんのさ」

のあ「……私からまゆへの細やかな誕生日プレゼント……こうして一度ならず二度ならず……
ぐるぐると……十六歳の誕生日おめでとう、まゆ」

まゆ「……うふ。ありがとうございます」

凛「(……あれ? 今日十六歳の誕生日って事は……昨日までのまゆは――)」

 ――ふと、凛は考えるのを止めた。いや、それは、止めさせられたとでも言うべきか――……自分が何を
考えようとしていたのかさえ、既に忘れてしまった。

凛「……まぁいっか。とにかくのあさん。あんまりまゆの事を虐めちゃダメだよ?」

のあ「えぇ勿論よ……」

まゆ「うふっ。凛ちゃんは自分の心配をしたらどうですかぁ? 知ってるんですよぉ、昨日プロデューサーさんの
スーツを――」

凛「そ! そ、そろそろ出よう? 最後に何かオーダーするのとかない?」

まゆ「うふふ。まゆはもうお腹いっぱいですよぉ?」ニコッ

のあ「……食後のデザートに、パフェを」

凛「パフェばっかじゃん……ほら、みくは?」

みく「寒ブリ」

のあ「魚頼んでんじゃねーよ」


~劇終~

みくにゃんとのあにゃんと凛ちゃんとまゆがスシローに行ってだべる話が書きたかったのでこれでお終い

まゆ誕生日おめでとう……個性の浮沈は空想につきものですよね そろそろ愛海が堕ちる頃かと

それじゃぁHTML化してきます

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