拓海「魔人偶像高峯のあ」 (40)

前回の続き。

注意点

・シンデレラガールズのメンバーでネウロやってみた

・キャラ崩壊あり

・元ネタの都合上、アイドルが死んだり、犯人になったり、え、はん、することあり

・地の文が混ざることあり

捕捉

この中に出てくる『輝』『偶像』の読み方は特別な場合を除き、『かがやき』『アイドル』に固定されています。

特別な場合の例:星輝子

前回

みく「魔人偶像高峯のあ」
みく「魔人偶像高峯のあ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1394295762/)

読まなくてもだいたい通じるように書きます。今回は「巣」。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1394712297

某TV局

スタッフ「前川さん、お疲れさまでした。いい食べっぷりでしたね、これは使えますよ!」

みく「あんなに美味しいお肉食べさせてもらったんだからこっちがお礼を言いたいくらいだにゃあ。みくの中ではまだイベリコ豚ブームは終わってないのにゃ!」

スタッフ「ははは、その飾り気のないキャラが人気の一つなんでしょうね。ところで、おたくの敏腕プロデューサー、もとい、人気急上昇アイドルのあさんは?」

みく「いやあ、今日はこのまま直帰だから送迎の必要はないって。…残念だにゃあ。(…あの化け物と一緒にいたら気が休まらないし、むしろラッキーだにゃ!)」

のあ「…何か失礼な気配を感じたわ」ガシッ

みく「何でここにいるにゃあ! 痛い痛いギブギブ! 無表情でアイアンクローはあかんて!」ギリギリ

のあ「その話は後でもできるでしょう? …貴方、皆さんによろしく伝えておいてくれるかしら?」

スタッフ「あ、は、はい! それじゃあお疲れさまでした! 前川さんお帰りでーす!」

スタッフ一同「お疲れ様でしたー!」

みく「何で数?離れたラジオ局から一瞬で来れるのにゃあ…」

のあ「大きな仕事が入ったわ。ラジオ番組の曜日担当よ、…私と貴女でね」

みく「またスゴく優秀なのがしゃくにさわるにゃあ…」

私の前を歩く銀髪の美女、彼女の名は魔人『高峯のあ』。今の私の生活はこの化け物に名実共に支配されているといっても過言ではない。

――彼女が、私の関わった事件を解決し、生のエネルギーである『輝』を喰べたそれ以来、あるときは『アイドルみくにゃん』、またあるときは『探偵みくにゃん』として、私は人間ではない彼女の隠れ蓑となっているのだ。

みく「で、一体わざわざ何の用にゃ、のあにゃん。…聞くまでもないと思うけど」

のあ「…もちろん、『輝』の気配を感じたのよ」

みく「で、なんだけど。…ここにあるのかにゃ? その『輝』が」

私達の前に建っているのは薄汚れた雑居ビル。どうみても…、

みく「ヤバい気配しか感じないにゃあ…、ねえ、のあにゃん…!?」ブッ

のあ (兎状態)ダラダラ

みく「(ちょっとのあにゃん!? 何で正体丸バレしてるにゃ!? 顔すら隠しきれてないにゃ!)」

のあ「…お話は後にしましょう、みく。『輝』が、…待っているわ」カツカツ

みく「もう、…『輝』があるってことはここで事件が?」トコトコ

のあ「ええ、…鮮度は落ちているけれども、熟成された『輝』もまた、美味ね…」カツカツ

みく「鮮度?」トコトコ

のあ「…発生から時を経ているということ、例えるなら…迷宮入り事件、あるいは発覚すらしていない事件」カツカツ…ピタ

階段を上りきった先にはありきたりな金属のドア。掛かっているプレートには『財前プロダクション』の文字が書かれている。

みく「…ねえ、本当に入るの?」

のあ「…入らなくてもいいわよ? その場合は…ね」

みく「嫌な予感しかしないから開けるにゃ…」

ドアを開いた先には汚れた天井、どよんとこもった空気。そして…、

傷顔P「ア"ァ"? 写真の納期が遅れてるだぁ!? チッ、分かった、俺も全力尽くすからそっちも死ぬ気で間に合わせろ! …もし遅れたらてめえを殺して俺も死ぬ」

巴「…ええ加減にせんかい、うちらの揉め事はうちらで解決する言うとるじゃろ。次に親父の名前が彼方さんから聞こえてきてみい、…のう、ケジメはつけようや?」

乃々「…ここに隠れていればきっと誰にも見つからないですよね、そしていつまでも、社会の荒波に沈んだもりくぼは静かな時を貝のように過ごすんです…。私にお仕事なんてむーりぃー…」

里菜「もー、それってまぢアリエンティー!ちょ、信じないとかそうゆーんじゃないってぇ! だいじょびだいじょび、アタシが一緒してあげるから☆」

みく「…帰りたいにゃあ」

その時、掴んでいたドアが急に開かれた。

拓海「…何だアンタら、入社希望なら悪いが飛び入りは受け入れてない、それ以外ならとっとと消えろ、アタシたちは今忙しいんだ」

みく「はい、消えるにゃ」

のあ「…消えたいのはやまやまなのだけど、みくにゃんが言って聞かないの…ここにいる貴女達の…助けになりたいと」

拓海「…助け、だァ?」

のあ「…隠しているのでしょう? この部屋で起こった事件を」

全員「…!」

のあ「そして何らかの理由で警察にも伝えていない…そんなところかしら」

拓海「テメエ…」

傷顔P「よせ、拓海! …そこのお嬢ちゃん、よく見りゃCGプロの前川みくかい? …チッ、どこでそんな情報を手に入れたんだ?」

のあ「…アイドルではなく、探偵みくにゃんとしての勘よ。…外れたことはないの」

巴「探偵…?」

のあ「ええ、今はアイドルとしての評判が勝つでしょうけど…ところでどうするのかしら、何なら知り合いの警察を紹介してもいいのだけど…」

傷顔P「ま、待て待て! …確かに最近ここで事件があったよ。…犯人も見つかっちゃいねえ」

のあ「…表情から見て、軽いものではないのね」

傷顔P「…殺人だよ。俺たちの社長が…3日前に殺された。…生前の社長のお達しでな、表向きは事故死って事になってる。…で、一体おたくらがなんだってこんな零細プロダクションに来て、そんなこと聞くんだ?」

のあ「…探偵が事件現場に現れておこなうことなんて決まっているわ。今からみくにゃんがその事件を解決するのよ」

みく「にゃあー…」

乃々「へっ…」

巴「何じゃと…?」

里菜「まぢで!?」

拓海「…そーかい、よく分かった、おい傷顔P! 力づくでも追っ払う! 文句言うんじゃねーぞ!」

傷顔P「おい拓海!」

拓海「黙ってろ! 嫌いなんだよ、こういう何にも知らねえでかき回す奴が。…安心しろよ、傷はつけねえから」

のあ「…なるほど」

みく「!?」トスッ

のあにゃんの意思で動いた手が長髪の彼女の首筋に触れる。

拓海「」バタッ

それと同時に彼女は床へと崩れた。

みく「…え?」

全員「…!!!」

のあ「…みくにゃんはこう見えて数多の修羅場を潜ってきたのよ。敵に回すべきではないと思うわ」

みく「フニャッ!? うそ、ちょ、待って! 今のみくじゃ…」

傷顔P「…!」

のあ「どうかしら、…私達はただ事件を解決することを望んでいるだけなの。…必ず、解決してあげる。もちろん、何の見返りもいらないわ」

傷顔P「…今の言葉に嘘はねえな?」

のあ「ええ、…そうよね、みくにゃん」

みく「そりゃ、お金とかはちひろさんの管轄だしにゃあ…みくたちが自由に扱える範囲を越えてるにゃ」

傷顔P「…いいぜ、おたくらにやってもらおうじゃねえか。ただし解決できなかった場合、他言は無用だ。もし、それを守れないようなら…」

部屋中の視線がギラリと私たちを見つめる。…そして、その視線に怯む暇もないまま、のあにゃんが核爆弾級の一言を放つのだった。

のあ「そうね、その場合…いえ、解決できなかった場合はみくにゃんをこちらの事務所に引き渡すわ」

みく「…え、ひどくない?」

書き溜め切れたので今日はここまで。

わりとノリで突っ走ってるのでまだトリック考えてない。というわけで何日か待たせると思います。犯人と動機は決めてますが。

今回口調が独特のアイドルが多いので間違えてしまうかもしれません。全力で防ぎたいと思いますが違和感感じたときは伝えてくれて構いません。

次回は早ければ土曜日です。

>>9 あ、本当だ、申し訳ない。次回から訂正します。

傷顔P「…クックック、おもしれえじゃねえか姐ちゃん。なら事件を解決したらコイツらのうちどれか一人アンタらの事務所にくれてやるよ、それでおあいこだろ?」

巴「また傷顔Pは…」

乃々「相変わらずですね…もりくぼが選ばれるとは思いませんけど」

のあ「いいわ…お互いにとって愉快な賭けになったようでよかったわ」

みく「よくないにゃ! 何でみくの関与してないところで、みくが景品になってるのにゃ!」

のあ「…?」キョトン

みく「その顔すれば許されると思ったら大間違いにゃ! もし、」

のあ「…もし? もしこの事件を解決できなかったら、とでも言うのかしら。…私を誰だと思っているの? 魔界の『輝』を全て味わい尽くした…『偶像』よ」

みく「…そ、そんなこと言ったってにゃあ」

のあ「では、…事件のあらましをみくにゃんと私に教えてくれるかしら」

傷顔P「殺されたのはうちの社長、財前時子。事件は3日前…俺らが仕事を終えた後のことだ…」


巴『社長、社長!』

時子『…』ムニャ

傷顔P『あー、止めてやれ。最近お疲れだからな、寝かせてやってくれ。…しっかしよくこんな目に痛いシャンデリアもどきの下で寝れるよな、成金趣味っつかなんなのか。おい、里奈、メモ取ってくれ』

乃々『それなら毛布でもかけてあげた方が…』

傷顔P『おう、そうだな。…『いつもの店で待ってます』っと、うし、行くぞお前ら』


傷顔P「その後、仕事終わりの拓海と合流して近所の小料理屋で待ってたんだが一向に来る様子がない」


傷顔P『…駄目だな、電話に出やしねえ』

里奈『帰っちゃったんじゃないのー?』

傷顔P『分からん。見に行くけど、付いてくるか?』


傷顔P「その後、全員引き連れて事務所に戻ったんだが…確かに社長はそこにいたよ…」


傷顔P『しゃちょ…!?』

拓海『…!』

巴『どうしたんじゃ、傷顔P、拓海姐さん?』

傷顔P『来るな!』

里奈『なになに…っ!? え、ちょ、じょ、冗談だよね?』ヘタッ

傷顔P『おい乃々! 触るな!』

乃々『しゃ、社長さん…? 嫌、…いや、し、心臓が』ダキッ


傷顔P「ただし、落とされたシャンデリアに頭を潰されて、…な。…ああ、そこにあるやつだよ。俺達もそれだけなら事故と判断するかもしれねえさ、だがシャンデリアを支えるケーブルは明らかに人為的な方法で切り落とされていたんだ」

巴「ドアの鍵はかかっとらんかったからの、今は外部犯に絞って仕事の間に探っとうところじゃ」

のあ「…貴方達の誰かが犯人だという可能性は?」

巴「考えたがそれはない、うちらはソレが落ちた瞬間に現場にはおらんかった。何なら料理屋の人間に聞いてもらっても構わん」

乃々「拓海さんは遅れて来ましたけど…そもそも眠っている相手に気づかれず、シャンデリアを落とすのは難しいですし、仮に出来たとしても大きいから絶対に足を怪我します…拓海さんにはそんな怪我なかったですから」

里奈「それにコレ鬼重いから、一人で持ち上げんのは難しいんだよねぇ」

傷顔P「…そんな感じで何もかも全てが謎なんだよ」

みく「それなら…犯人に心当たりはないのかにゃ?」

巴「ありすぎる、といったところが本音じゃな。…うちら個人はもちろんじゃけど、社長もこの事務所建てるため表では言えんようなことやっとったと聞くけぇ」

里奈「…それでもアタシ達をこんなとこまで連れてってくれた大切な人なんだよね」

傷顔P「…あの人に会わなきゃ今でも俺なんかは路地裏の溝鼠だ。世間からは誉められるような人じゃないが俺達は全員あの人に感謝してる。ここにいる人間はあの人に繋がった家族みたいなもんだ」

拓海「…アタシは感謝なんてしてねえけどな」

書き溜め切れたので今回はここまで。

来れたら今日の深夜。無理そうだったら明日。

傷顔P「拓海!」

拓海「バカ野郎…、アタシがオチてるうちに勝手に話進めやがって」

のあ「…あら、予想より早かったわね」

みく「ふにゃあ…今一番そっとしておきたい人だにゃあ」

拓海「…お前覚えてろよ、後で千倍にしてシメてやる」ピキピキ

みく「ニャッ…! みくじゃないのに…」

傷顔P「拓海…今のは黙ってられねえぞ」

拓海「ハ、何が黙れないんだ!? 意に沿わない仕事させる上危ない橋渡らせたアイツの事か? …正直思うんだよ、このまま犯人が見つからなくてもいいって。アタシ達だけで解決しようって言ったのもその為だ、アイツが頼んだことだし本望だろうな」

みく「…」ゾクッ

傷顔P「拓海…てめェ…」

のあ「…みく、こんなつまらない三文芝居の観客になることはないわ。…さっさと捜査に入らせてもらいましょう」

のあにゃんがそう言うと共に、『@』の形をしたフィルターのような物が体に覆い被さってきた。

のあ『錆びた昼行灯(イビルフィルター)…』

みく 「な、何にゃ、ブッ!」

のあ「半径10メートル以内の私達を『背景』にまで引き下げた…簡単に言えば今の私達は、…『極端に目立たない』。彼等には私達がここにいて『何をしているか』は認識できるけど、その内容までは『目がいかない』。漫画のモブキャラクターのようにね。…本当なら」

一瞬でのあにゃんが喧嘩中の傷顔Pさんの背後に近づき、鈍い刃を首に当てる。だけど傷顔Pさんは動じた様子がない。それどころかのあにゃんにすら気づいていないようだ。

みく「…!」

のあ「…このように暗殺に適した道具なのだけど、目立たないよう捜査をするのにも適しているわ。…ただ、あまり続かないの。急ぎましょう、みく」

みく「…ねえ、のあにゃん。犯人ってもしかして…この中にいたりする?」

のあ「…どうしてそう思うのかしら」

みく「えーっと、カン…かにゃ」テヘッ

のあ「鯖缶以下ね」

のあにゃんが天井に張り付いた状態から、商品価値の無い雑魚を見るような目で見下ろしてくる。

みく「え…何にゃ、いきなり?」イラッ

のあ「貴女を見下しているのよ…みく。意外と天井が低いわね。…それはさておき、『輝』も高みから俯瞰してこそ、その姿を現すの。カンで『輝』を見るなんて…無機物にも及ばないわ。大人しく中身を食い尽くされた鯖缶のように転がっていなさい…」ゲシゲシ

みく「…! いい加減にするにゃ! いつまでも借りてきた猫と思ったら大違いにゃ! この…化け物!」

拓海「あァ? そうか…アタシは化け物か、ナメられたもんだなァ?」

みく「いや…! その…! 」

のあ「…♪」

みく「(いつの間にか戻してやがったにゃあ…!)」

のあ「…貴方達、みくにゃんはもう事件のトリックと犯人の見当がついたようよ。…残るは謎解きだけ、…でもそれには少し場を整え、必要なものを揃えなければならないわ」

拓海「…それを口実に逃げる気か?」

傷顔P「お前、追っ払いたいんじゃなかったのか?」

拓海「ここまでコケにされたんだ。タダで帰せるか」

のあ「心配しないで。…みくにゃんが人質役を自ら買って出てくれたの。もしも私が戻ることがなければ…鍋にするなり、皮を剥いで三味線にするなり好きにすればいいわ…」パタン

拓海「…結構度胸あるじゃねえか。ま、座れよ」

みく「(にゃ…、にゃあぁ………!?)」

ちひろさん…そして死んだPちゃん。

傷顔P「いや、もし新進気鋭のニューアイドル、前川みくが入るなんてことになったらこの事務所も大躍進間違いなしだな」

巴「こっちの出した条件も忘れとらんじゃろうの?」

里奈「でもみくみく入ったら実際事務所の売上アゲアゲ☆だよねぇ!」

拓海「…」カツカツ

みくは今…、売り渡されるかどうかの瀬戸際です。


のあ「…次は」

瞳子「あら、あなた、確か前川さんの…」

のあ「奇遇ね、服部刑事」

瞳子「ええ、前回の事件の件で伺おうとは思ってたんだけど…」

忍「ちょっと立て続けに事件入っちゃってね。あ、先輩、買ってきましたよ! あんパンと食玩!」

瞳子「食玩は必要ないわよね、返してきなさい」

忍「…うぅ」トボトボ

瞳子「…ところで、今日は前川さん一緒じゃないの?」

のあ「…ええ、みくにゃんに頼まれておつかいよ」

瞳子「…ふぅん」

のあ「…何かしら」

瞳子「ああ、ごめんなさい。あなたっておつかいっていうイメージじゃなかったから。工藤なんかはそのまんまだけど。…別に深い意味はないの、気を悪くしたなら謝るわ」

のあ「気にしないで。…そのくらいで私は揺るがないもの」

瞳子「そう、それより事件なら警察として手伝いましょうか?」

のあ「…大丈夫よ。きっとみくにゃんが今頃犯人を快刀乱麻の勢いで、追い詰めているところだから…」

みく「…」ドヨン

拓海「…(木刀カツカツ)」

みく「(のあにゃーん! 早く戻ってくるにゃ! こんな空間耐えられるわけないにゃ…いっそ隙を見て…)」

拓海「逃げられると思うなよ?」

みく「ニャフンッ!?」

拓海「もしアイツが帰ってこない時はキッチリ詫び入れて貰わなきゃなぁ…」

みく「…(それ以前にこの事務所に御厄介になるのにゃあ…)」

拓海「…ハァ、傷顔Pもどうかしてるな。外の人間に事件解かせようなんてよ。…しかもこんな頭のネジ飛んだような猫娘にだぜ?」

みく「…なんでそんなに内部で解決しようとするのにゃ? 社長さんの遺志だって言ってたけど、えっと、あなたは…」

拓海「拓海、向井拓海だ」

みく「拓海ちゃんの主張もあるんでしょ? どうせ黙っててもいつかバレちゃうだろうし…社長さんにも家族がいるんだろうし…」

拓海「…何も知らねえ外部の人間が偉そうに言うんじゃねえ。ここに家族がいる人間なんていない。ここは『そういうところ』だ」

みく「『そういうところ』?」

拓海「世の中は幸せな人間ばかりじゃないってことだ。アタシは好き勝手やってたら家族にも先公にも見捨てられた、誰がとは言わないが虐待や、ガキが見るもんじゃないものを物心つく前から見てる奴だってここにはいる。ここはそういうはぐれものの吹きだまりなんだよ。多分アタシ達が死んでもここにいる人間以外誰も悲しみやしない。だからアタシ達だけでこの事件を解決しようって言ったんだ」

みく「…それってひどい話」

拓海「ひどくねーさ、それくらいがアタシ達の存在する意味なんだ。…だったんだ」


拓海『なあ、シャチョーさんよ。空しくならねえか? アタシ達の存在する意味なんて、下手したら雑草だぜ』

時子『今さら何を言っているのかしら。貴女達は私の出世の足掛かりよ、卑しい貴女が踏み台になれるだけありがたいと思うのね』

拓海『チッ』

時子『心配しなくともいいわ。貴女達が死んだとしても、私は全く気にもかけない、…まあ、墓くらいは作ってあげる。『間抜けな下僕、ここに眠る』とでも記しておきましょう』

拓海『アンタなあ』

時子『現状に満足なさい、拓海。貴女より不幸せな人間はいくらでもいるわ。だけど貴女は違う。私の下僕という誉れある立場で精一杯輝くことができる。無限の可能性がある、それ以外に貴女はまだ何か足りないのかしら?』

拓海『…アンタ絶対マトモな死に方しないな』

時子『そうね、私が殺されたら警察には言わないで。嫌いなのよね、野犬みたいで。まあ、そう簡単には殺されないでしょうけど』ニヤッ

拓海『どの口が言うんだか』ククッ


拓海「(…社長よぉ、結局殺されちまったじゃねーか。アンタ、これで満足って言えんのか?)」

みく「けど…安心したにゃ」

拓海「アン?」

みく「さっき社長さんが殺されてもいいようなこと言ってたでしょ? だから拓海ちゃんが犯人かも、って思ってたんだにゃ。でもちゃんと社長さんのこと思ってたんだって」

拓海「お、思って、なんて気色悪い言葉使うんじゃねーよ!」

みく「それなのにあんなこと言って誤魔化して。素直じゃないにゃあ」ニコニコ

拓海「誉めてくれてありがとな、お礼に小顔になるよう顔の形変えてやるよ」

みく「あ、ごめんなさい、ごめんなさい、出来心やねん、顔は止めて」

のあ「この刹那に親交を深めたのね…素敵なことだと思うわ」スッ

みく「のあにゃん!」

拓海「よう、よく帰ってきたな。謎解きとやらの準備は出来たのかよ」

のあ「ええ、…これから私がみくにゃんの推理を披露するわ。覚悟、することね…」

のあにゃんが『輝』を食べる準備を整えた。おそらくこの場に食糧はあるのだろう。輝く悪意を持った…犯人が。

のあにゃんの食事が、始まる。

今日はここまで。休みはたくさん書けます。

続きは明日ですかね。
うまく行けば月曜日に終了。

のあ「…先に2つ確認しておくべきことがあるわ」

里奈「確認?」

のあ「…ええ、まずこのシャンデリア、照明としての機能はない、ただの飾りね?」

乃々「あ、はい…社長さんが華やかになるからって、買ってきたんですけど…繋げるところが無かったらしくって」

のあ「…次に、この事務所の天井。ジプトーンという材質でできているわ」

傷顔P「ああ、学校の音楽室みたいな奴だろ? そんな名前だったんだな」

のあ「この建材は、防音、消音のため表面に穴が空いているから気が付きにくいのだけど…いくつかネジ穴が空いているわ」

巴「んー? おお、確かに」

のあ「確認は済んだわね…では、準備が必要よ。…しばらく退席していてちょうだい」

拓海「なんだってんだ…」ガチャ

のあ「…」

みく「…ひどいにゃのあにゃん! …基本ひどいけど。突然置き去りにするなんて! 」

のあ「…ごめんなさい。お詫びと言ってはなんなのだけど、これを買ってきたわ」ガサ

みく「そ、それは! あのマルメターノ精肉が1日5個限定で販売する伝説のハンバーグ!?」

のあ「…ええ、これで、許してもらえないかしら」

みく「許すに決まってるにゃ!」

のあ「…取りに来てくれるかしら」

みく「化け物にもいいところあるのにゃ! 少し見直したのにゃ!」

のあ「そう、…それで済むなら、…安いものよ(紐引っ張る)」グイッ

みく「(ネットトラップに引っ掛かり宙吊り)フニャーッ!? 何!? なんなんこれ!」

のあ「…シャンデリアの準備は完了。…あとは、……貴方達、待たせたわね」

のあ「…先に2つ確認しておくべきことがあるわ」

里奈「確認?」

のあ「…ええ、まずこのシャンデリア、照明としての機能はない、ただの飾りね?」

乃々「あ、はい…社長さんが華やかになるからって、買ってきたんですけど…繋げるところが無かったらしくって」

のあ「…次に、この事務所の天井。ジプトーンという材質でできているわ」

傷顔P「ああ、学校の音楽室みたいな奴だろ? そんな名前だったんだな」

のあ「この建材は、防音、消音のため表面に穴が空いているから気が付きにくいのだけど…いくつかネジ穴が空いているわ」

巴「んー? おお、確かに」

のあ「確認は済んだわね…では、準備が必要よ。…しばらく退席していてちょうだい」

拓海「なんだってんだ…」ガチャ

のあ「…」

みく「…ひどいにゃのあにゃん! …基本ひどいけど。突然置き去りにするなんて! 」

のあ「…ごめんなさい。お詫びと言ってはなんなのだけど、これを買ってきたわ」ガサ

みく「そ、それは! あのマルメターノ精肉が1日5個限定で販売する伝説のハンバーグ!?」

のあ「…ええ、これで、許してもらえないかしら」

みく「許すに決まってるにゃ!」

のあ「…取りに来てくれるかしら」

みく「化け物にもいいところあるのにゃ! 少し見直したのにゃ!」

のあ「そう、…それで済むなら、…安いものよ(紐引っ張る)」グイッ

みく「(ネットトラップに引っ掛かり宙吊り)フニャーッ!? 何!? なんなんこれ!」

のあ「…シャンデリアの準備は完了。…あとは、……貴方達、待たせたわね」

乃々「やっとですか…!? 一体これはどういう状況なんですか、そうか、これは夢なんですね。だったらもりくぼ帰っていいですよね…?」

傷顔P「おうおう、帰るな乃々。…しかし、これはホントにどういう状況なんだ?」

のあ「みくにゃんは自らシャンデリア役をかって出てくれたの…『みくは猫だから落ちながら土下座できるにゃ!』なんて言ってね…」

みく「(言ってないにゃそんなこと! ちくしょう、縄が食い込んで声が出ないにゃあ!)」

のあ「…そんなことは置いておきましょう、…今回の事件、ネックとなるのはシャンデリアの落下時刻とその重量。貴方達の証言からも、落下現場にいない人間は必然的に犯人の可能性がなくなる。それが犯人の狙い…」

拓海「…」

のあ「…だけどみくにゃんの推理によると犯人はその場にいる必要はなかった」

里奈「どうゆうこと?」

のあ「…そろそろかしら」

のあにゃんが呟いたとたん、私の体は重力に従い、机に叩きつけられた。

みく「フギャアッ!?」ドカンッ!

それと同時に、目に見えない糸のような物が部屋の両側、壁と棚の隙間に入っていく。

全員「!?」

のあ「…驚いたかしら? 時限式の落下装置よ」

拓海「…一体、何なんだよ、これは!」

のあ「…あのシャンデリアは『切り落とされて落ちた』のじゃない、『初めから切り落とされていた』の。そしてそれをピアノ線で部屋の両端に繋ぎ止めていた。…線が天井に張り付き、さらに見えないよう間に留め具を入れ、シャンデリアが落ちると同時に掃除機の要領で巻き取られるように…ね」

巴「じゃあ、一体どうやって落としたんじゃ!」

のあ「…シャンデリアの重量はここでもキーワードになってくるわ。…この壁の耐えられる重さはシャンデリアの半分より少し重い程度…そこでこれを使った」

そう言うとのあにゃんは床に落ちたいくつかの車輪みたいな部品を取り上げる。

のあ「これは単純な滑車なのだけど…シャンデリアに接続した動滑車と天井に接続した定滑車を組み合わせることによってシャンデリアの重量を分散し、…なおかつ留め具としても利用した。…シャンデリアにもネジ穴が空いているわ」

里奈「…よく分からないんだけど、それを使ってシャンデリアを支えるピアノ線が壁から落ちないようにしてたってことでいいのかな?」

のあ「その認識で構わないわ…そしてこの定滑車が外れることで、シャンデリアは落下し、他の滑車が外れることでピアノ線は巻き取られる…。外す方法は簡単よ。…何か、焦げ臭い臭いはしないかしら」

乃々「そういえば…ビニールが焦げるような臭いが…」

のあ「確認したように、天井にはネジ穴が付いている…これは滑車を固定していた跡。そして、そこに刺さっていたネジは、…『熱可塑性樹脂』性よ」

拓海「何なんだよ、それは」

のあ「簡単に言えば、熱によって形を帰る樹脂。…例えば熱を加えることでネジの凹凸を無くし、『ネジは穴から外れる』。天井の穴にもわずかに樹脂が付着していた。…この滑車にはタイマー式の加熱機がついているわ」

傷顔P「…なるほどな、それを使えば加熱されたネジが外れ、その場にいなくとも勝手にシャンデリアを落とすことができるって訳か」

のあ「…ええ、被害者は恐らく睡眠薬でも盛られていたのでしょう。…そしてこのトリックが犯人を決定する切り札となるわ。みくにゃんが考えたこの装置の最も大きな欠点がね…」

巴「欠点?」

のあ「…この装置は『必ず犯行後に落下した道具を片付けねばならない』の。…そしてそれを他人に見つからず行うことができるのは…『一番最初に被害者、もしくはシャンデリアに触れた者』のみよ」

全員の目が、一人に集中する。

傷顔P「お、おい。…待てよ!」

のあ「追い詰める手札はまだ残っているわ。…この装置、加熱装置、もしくはその周辺は高温に成らざるをえない。…そしてその状態でも手早く片付ける必要があるわ。…つまり厚手の手袋でもしていない限り『手に火傷を負っている』のよ」

のあにゃんが彼女に近づき、その肩に手を置く。

「手のひらを見せてちょうだい…? 『森久保乃々』」

書き溜め切れたので今日はここまで。

やっぱりヤクザをアイドルに変換するのはキツいね。

連投ミスしてる…申し訳ない。

多分明日で終了。

手をかけられた乃々ちゃんは怯えたように一歩後ずさり、

乃々「…!」ズグリ

のあ「…?」バタッ

ナイフを取り出すとのあにゃんへと突進した。のあにゃんはそのまま支えを失ったように倒れこむ。

みく「…のあにゃん!」

巴「…ッ、それは認めたっちゅうことか、乃々!」

乃々「やっぱり早く追い払っておけばよかったんです…こんなことになる前に」

里奈「ホントに…ホントにそーなの? ののっち…?」

傷顔P「おい、乃々…! 何で、何で社長を殺った!」

乃々ちゃんは髪に手をやり、遊ぶようにいくつかの房を作っている。

乃々「昔から考えてたんです…もりくぼは弱い。そして、弱い者は守られる権利があり、強いものは守る義務がある…と! だけど社長さんはその義務を放棄し、もりくぼを移籍させようとした…!!!」

みく「…!」

乃々ちゃんの房が跳ねあがる。それはまるで、蜘蛛のように。

乃々「…知っているでしょうか、ある種の蜘蛛は、親の庇護を離れたとたん、その親を餌とみなすと…。当然ですよね…守る義務を既に放棄したんですから。…そんなもの、もう既に餌でしかなーいィー…!!!」

みく「そんなのって…!」

乃々ちゃんの髪がぞわりと動き、目が爛々と輝く。

乃々「弱いもりくぼは誰かの庇護を受けていないと生きてはいけなーいィー…! それなのに社長さんはもりくぼを独り立ちさせようとした! つまりこれは社長さんの怠慢!!! もりくぼは義務を怠った社長さんに対する正当な罰を与えたに過ぎないィー!!! いや、むしろ手放した子蜘蛛が行った自然の摂理ィー!!! 恩義があろうが過去があろうが、私にとって守る義務を捨てた社長さんなんてただの餌にすぎないィー!!!」

拓海「テメェ…!」

乃々「…近づかないほうがいいんですけど、もりくぼはまだ刃物を隠し持ってます。…あなたにも…感謝してるんですよ、拓海さん。社長さんを尊敬していたあなたなら事件を隠そうって言ってくれると思ってましたから」

拓海「黙れ…! 社長を、社長をそんなくだらねぇ理由で…!」

のあ「…まったくね」ムクリ

乃々・拓海「!?」

乃々「な、何でですか? 確かに、内臓の集中する箇所を抉ったのに!?」

のあ「…ええ、偶然腹筋を鍛えていたのが功を奏したようね」カラン

のあにゃんの腹部から折れ曲がったナイフが落ちる。

みく「いやいやいやいや!!!」

のあ「貴女はまるで分かっていないわ…親を失った子供が、その後どれほど危険な目に遭うのかを…」ガシッ

乃々「…!!!」

のあ「…体験するといい。自然の摂理に呑まれて」

乃々「ふ、ふざけないでほしいんですけど…! せっかく、せっかく新たな保護を手に入れようとしたのにぃー…!」

のあ「弱肉強食の摂理、…受け止めなさい」ゾワッ

早苗さんと同じく、その時乃々ちゃんが何を見たのか私に知るよしはない。しかし、乃々ちゃんは目を泳がせ、明らかに何かに怯えている。

乃々「え…あ…」

のあ「さあ…逃げ、隠れ、怯えなさい。…物陰に潜む小虫のように」

乃々「む、むぅりぃー!!!」ダッ

乃々ちゃんは逃げるように外へと飛び出していった。

拓海「クッ、待ちやがれテメェ!」

のあ「…止めなさい」ガシッ

拓海「離せ! アイツは絶対に許せねえ…!」

のあ「あの怯えきった彼女に…何ができるのかしら?」

拓海「アンタに何が分かる…!」

のあ「…事件は解決し、犯人は無力化したの、殺された社長もそれ以上は望まないと思うのだけど…これ以上貴女は何かを望むの…?」

拓海「…! …いや、そうだな、十分だ。…礼は言わねえぜ」

のあ「ええ…」ジーッ

傷顔P「ん? 何で俺を…」

巴「…おい、忘れたんか」

傷顔P「…あ」

里奈「約束は約束だよねー♪」

傷顔P「えーっと、その、何だ。移籍の話は…」

みく「別に気にしなくても、」

のあ「約束は約束よ…みくにゃん、こういうことはなあなあで済ませてはいけないの」

傷顔P「うぅ…こうなりゃ力づくで」

拓海「…みっともないこと止めろっつの。そもそもナイフへし曲げる化け物相手に勝てねーだろ。…おい、アンタ」

のあ「…高峯のあよ」

拓海「アタシがアンタ達の事務所に行ってやるよ。…礼は言わねえがアタシの働きで返してやる」

傷顔P「おい、拓海」

拓海「心配すんなって、たまには顔出すよ。それにここにはまだ里奈も巴もいるだろ。今日からはアンタがここの頭だ、傷顔P、いつかどっかのステージで競演しようぜ」

里奈「キャハハ! 女の子にここまで言わせちゃったら、ちょっち引けないよね☆」

傷顔P「…クソッ。覚えてやがれ、いつかお前の鼻明かしてやるからな!」

のあ「…望むところよ、そうでしょう、拓海」

みく「…あれ、みくは? ねえ、のあにゃん、みくもCGプロの一員なんだけど」

拓海「ああ、世話になったな、傷顔P、里奈、巴、次はステージの上だ」

こうして…新たな仲間を加えたCGプロはまた動き出す。『輝』を産み出す場所として。そして、いつか新たな悪意の『輝』を魔人高峯のあは喰らうのだ。

のあ「…」モッキュモッキュ

みく「にゃー!? それはみくのハンバーグにゃ!?」

拓海「えらく騒がしいな、…ここ」

ちひろ「ええ、楽しいでしょ?」

…それまでは、いや、その時も私は輝き続けよう。『偶像』、前川みくとして。

これにて終了。

ふじりなはいつかリベンジしたいですね。

またトリックと配役思い付いたら書くかもしれません。その時はご贔屓に。

拓海「魔人偶像高峯のあ」
拓海「魔人偶像高峯のあ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1394712297/)

完結しました。お願いします。

>>36 何やってんだろ。

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