大魔王「勇者と子作りしろ」魔王「ヘァッ!?」4 (323)


魔王が魔王になるお話 4スレ目です。




注意点


・エロあり 時々リョナありです。


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・魔王 28歳 男

姉勇者の夫であり、反逆者。
イケメンだがキモオタ。箱○信者+きのこの山信者。
アイマスではあずさPとして活躍していた。2の存在はなかったものと思っている。
好きなタイプはお姉さんタイプ。
姉勇者のマンカス食べたいほど真剣に愛している変態。

・姉勇者 自称20歳 女

魔王の妻。頭のネジが2・3本抜けている天才な残念な美人。
銃>>>越えられない壁>>>剣 な勇者らしくない勇者。
大魔王さえも倒せる怪しい弾を所持しているらしい。
性行為よりキスやハグのほうが好き。
魔王のことは愛しているが、少し言動には引いている。

・妹ゆーしゃ ピー(18歳以上です)歳 女
魔王のことはおにいちゃんと呼んで慕っている。かつては恋愛感情を持っていたが今はそれほどらしい。
姉勇者の妹の娘で、勇者としての素質は非常に高い。
姉離れしたのか最近は姉勇者より側近と仲が良い。
空気を読むことに長けすぎていてちょっと最近空気。

・側近 18歳 女

若いながらに魔王の側近の位を手に入れた努力家ビッチ。
ノーブラ、ノーパン。パンツ履いていないから恥ずかしくない。
食べても食べても太らない体質。肌も荒れない。
そのため姉勇者には羨ましがられている。だがビッチ。
1週間に一度、魔王としているらしい。夏にしゃぶりたいのは棒キャンディー。

・老婆 年齢不明 女

姉勇者の付き人。若い頃の職業は武道家。
約200kmの距離をルーラ使わずに数十分で移動できるほどの力を持っている。
姉勇者をからかって遊ぶことが趣味。
ン十年前に姉勇者の父と共に大魔王と戦い、あまりの力の差に仲間をおいて逃げた事がある。

・父 年齢不明 男

姉勇者の父親。
ご冥福をお祈りします。

・四天王1 年齢不明 男

マミった。

・四天王2 年齢不明 女

四天王の中では二番目に年上だが、魔王城に攻め込んできた勇者にやられて何十年か眠っていたため精神年齢は一番年下。
報われない。よくいじめられる。いじめられないために皆の前では男口調だが、実際は敬語キャラだったりする。
嫌いなタイプはいじめる人。


・四天王3 年齢不明 オカマ

悪知恵がはたらくオカマ。人をいじめるのが大好き。
その上四天王の中では一番強いのだからたちが悪い。
好きなものはイケメンの男。


・四天王4 年齢不明 男

DQNの兄ちゃん。しかし歳は一番下。
めんどくさがりやだが、出世願望は非常に高い。
嫌いな食べ物は納豆。剣術より魔法のほうが得意。


・大魔王 年齢不明 男

魔王のお父さん。何を考えているのかわからない。
息子を殺したいのか、それとも殺したくないのか。
何をしたいのか。すべてが不明。


次回は一週間の間に投下させていただきます。

ここまで見てくださりありがとうございました。


魔王「ウララララアァッ!」ブンッ

魔物達「マンマミーヤ!!」

姉勇者「……」ドドドッ

魔物達「モウナニモコワクナイ!!」

側近「こい、……つら、キリがないな!」

妹ゆーしゃ「つぎからつぎへとでてくるね!」ブンッ

魔物達「ウギャーォ」


魔王「ウオオオォオッ! 魔王を無礼るなーっ!!」ブンッ

ズバババッ!!

姉勇者「……」

姉勇者(本当にキリがないわね)

姉勇者(弱いものほど数でくる、というものだけれど……このままじゃ数に押されるわ)ドドドド

魔王「巣だーっ! 巣を破壊するんだー! ストーム1! 蟻は地下からやってくるぞー!!」

姉勇者「……」

姉勇者(蟻、ね……)


側近「あ、姉っ、このままじゃ数に押されるぞ!」ブンッ!

姉勇者「えぇ、そんなの見ればわかります。……」

姉勇者「…………」

側近「な、何か妙案はないのか!」

姉勇者「……」

妹ゆーしゃ「おねえちゃん!」

姉勇者「……そう、ね。試してみる価値はあるかしら」ブーン

側近「う、って、きゃあっ! は、蜂ィ!?」


魔王「うぉっ!」ブーン

姉勇者「蜂型のロボットです。魔王様方には攻撃しないようプログラムされていますから安心してください」

魔王「は……蜂……? はっ! もしかしてゾンビ化ですか! ゾンビパラダイスですか!!」

姉勇者「あら、よくご存知で。まだ試作段階ですけれどね」

魔物達「ウギャーォオオ!…………お、お、……オオオオ!」ウオオオォ!!

魔王「あ、暴れだした」


魔物A「ウォオオオッ!」グシャッ

魔物B「ウギャッウ!! ギャゥウ!!」ブンッ

姉勇者「ゾンビ化、というより操り、といったほうが正確でしょうか」

姉勇者「攻撃対象は私達以外の生命体。ゾンビのように噛んで増えることはなく、刺されたら近くにいる味方を攻撃するだけしかできなくなる。死ぬまで、ね」

魔王「……」

魔王(お姉さんの可愛さも末恐ろしいが……)

魔王(人間が考える兵器はなんでこう……怖いものばっかりなんだろうな)


姉勇者「さ、この隙に抜けましょう」

魔王「そ、ソッスネ……」

魔物C「ウォオオオッ!!」

妹ゆーしゃ「じゃま!」ブンッ

魔物C「ヒィギィィッ!!」ズササッ

側近(同胞が哀れに操られている姿というのも……どこか心が痛むな)


タタタタタタッ

魔王「……」

魔王「なんとか魔物の群れからは解放されたみたいですね」キョロキョロ

姉勇者「そうですね。あそこで私たちを潰す気でいたのでしょう」

妹ゆーしゃ「なんだかしずかすぎてぶきみだよー」

姉勇者「もう少しでC地点。だから、あえてここは警備が薄くしてあるのよ」

側近「……」タタタッ

側近「姉……」



姉勇者「なんでしょうか?」

側近「お前が放った虫。……どうだ?」

姉勇者「あぁ、はい。虫、ですね」

姉勇者「…………。観測した結果によりますと、場所は変わってはいません」

側近「では私達が掴んだ状態のまま、四天王様は待機していると?」

姉勇者「そう見て間違いないでしょう」

魔王「……なんともまぁ、余裕ぶっこいてくれますな」


妹ゆーしゃ「それだけ強いってことなの……かな」

姉勇者「ええ、そうでしょうね。彼らは強い」

姉勇者「だからこそ、私達は勝てる」

姉勇者「そうですよね、魔王様」

魔王「ああ、そうだ」


魔王「どんなに強かったとしても、この緩慢さが命取りだ」

魔王「そして俺たちにはカードがない」

姉勇者「少なくても魔王様が死ぬことはないでしょうね。カードを持っている限り、四天王は誰一人魔王様に勝てないでしょう」

魔王「お姉さんたちも……死ぬなんてこと、絶対ありません」

側近「……」


姉勇者「ふふ、そうですね。そうなら良いのですけれど……」

姉勇者「…………!」

魔王「どうかしましたか?」

姉勇者「……。いえ……」

姉勇者(……四天王1の姿だけが観測できない)

姉勇者(リーダー格であるあの1が……)

姉勇者(これはいったいどういうこと?)チラ


側近「……」

姉勇者(と、いっても側近様が知っているはずもなし)

姉勇者(視点を切り替えてみましょう。もしかすると待機場所に……)カチ……カチ……

姉勇者「…………」

姉勇者「いない……?」

魔王「……。お姉さん、なにか問題でも?」


姉勇者「……」

姉勇者「……。四天王1の姿が……見当たらないんです」

側近「えっ……?」

姉勇者「他の者は全員観測できたのですが……彼だけは……」

側近「ちょ、ちょっと待て。姉! そ、それはどういうことだ?」


姉勇者「……」

姉勇者(こんな大事な時にいない、となると……)

姉勇者(……錯乱させるため? ……だとしたら弱すぎる)

姉勇者(今、私たちを狙うため……。でも、ないわよね。流石に1対4は辛すぎる)

姉勇者(なら……)

姉勇者(彼がいない理由は……)

姉勇者(ひとつしかありえない)


姉勇者「……あくまで仮説ですが」

側近「ああ、かまわん。なんだ?」

姉勇者「……死んだのではないでしょうか?」

側近「…………」

側近「……は……?」


側近「死ん……。待て、姉。仮説だからといってそんな突拍子もないことは……」

姉勇者「彼らは私達に観測されていることを知っている」

姉勇者「知っていてなお、元々の配置についた」

姉勇者「しかしそこに1の姿だけはない」

姉勇者「……。錯乱目的の為だったとしたら4人全員がいなくなればいいこと」

姉勇者「ここまではわかりますか。側近様」

側近「だっ……だから死んだとでもいいたいのか!」


姉勇者「ええ。そうです。これは錯乱目的のためでも、私たちを殺すための策略でもなんでもない」

姉勇者「彼は死んだためここにはいない。そう考えたほうが合理的でしょう」

側近「馬鹿なことを言うな! 1様が……1様がそんな簡単に死ぬはずないだろう!」ガシッ

魔王「待て、落ち着け側近!」

側近「魔王様! 魔王様も1様の実力はご存じですよね!? な、なら……」


魔王「確かに1の実力は知っている」

魔王「しかし……お姉さんの話を聞く限りでは……その可能性も捨てきれん」

側近「……!」

魔王「捨てきれん、ということだ。本当に死んだかどうかはわからん」

側近「…………魔王様」

妹ゆーしゃ「……んー、そっきん」


側近「……なんだ?」

妹ゆーしゃ「なんとなく、そっきんのいいたいことはわかるよ」

妹ゆーしゃ「でも、しんじゃったことをひてーしてもしかたないんじゃないかな?」

側近「……は?」

妹ゆーしゃ「そっきんが1ってやつにどーゆーきもちをもってるのか、わかんないんだけど……」

妹ゆーしゃ「わたしたちがどのみちたおす、んだったら……いまいなくても、いても、どっちもおなじっておもう」

側近「…………!」

妹ゆーしゃ「ちがうかな……?」


側近「それは……」

魔王「妹の言うとおりだ」

魔王「1は……。生きていたとしても俺達が殺す相手だ」

側近「……」

魔王「もう死んでいたとするならば、死期が少し早かっただけのこと」

魔王「関係がない話だ」


姉勇者「精々警戒しておいたほうが良い、程度でしょうね」

側近「……」ギリ

姉勇者「…………」

姉勇者「側近様の気持ちはよく分かります。元上司を思う、部下の心」

姉勇者「しかしその気持ちを抱いたままですと、己を滅ぼしますよ」

側近「…………そんなの……分かっている」


側近「だがな、姉。お前は違うかもしれないが、私たちは自分の同胞を——」

魔王「側近!」

側近「っ!」

魔王「それは……言うな」

魔王「言ったところで……何も変わらん」

側近「魔王様……」

姉勇者「……」


側近「…………」

側近「申し訳ございません。……軽率でした」

魔王「……ああ」

姉勇者「……」

姉勇者(でもこのタイミングで1が死ぬなんて、ね)

姉勇者(事故なはずはないし、勇者が倒したとも思えない)


姉勇者(なら内部での……。魔物が1を殺した、ということになる)

姉勇者(……)

姉勇者(殺せるのは四天王か、大魔王か……)

姉勇者(だとしても、余裕ぶっこいてくれるじゃないの)


姉勇者(ひとり欠けても、私達は勇者と魔王を殺せる、という意思表示とも読めるわ)

姉勇者(……むしろ、四天王がいなくても大魔王だけで私達を倒せる、っていうような)

姉勇者「……」

姉勇者(たかが殺害癖があるだけの輩にしては、挑戦的じゃないの。自分が正義の味方とでも勘違いしているのかしら)カチャ

姉勇者「魔王様、側近様。そろそろおしゃべりはおしまいですよ」

魔王「……!」カタ


魔王「C……地点ですね」

姉勇者「ええ」

妹ゆーしゃ「……ゆ、ゆか……こわれるの?」

側近「…………ああ、そうだ。妹、お前はこっちに」


姉勇者「……!」

姉勇者「今、魔物が作動ボタンを押しました。20秒後に床が落ちます」

魔王(10秒後に開く扉に飛び込んで……そして……)

姉勇者「カウント。14…13……」

側近(今は考えるな。妹を守って……そして……)

側近(そして……?)

側近(私は…………。その後何が残っているんだ……?)

姉勇者「11……10!」

ガチャン!


姉勇者「今です! 飛び込んでください!!」タッ

魔王「アイアイサーッ!」ズサササッ—!

側近「妹いくぞ!」

妹ゆーしゃ「うん!」ダッ

4…3…2…1…
ズギャァアン!!
姉勇者「……」
魔王「……」
側近「…………」
妹ゆーしゃ「うわー、こわー…………」
姉勇者「魔王様! 側近様、妹ちゃん! 生きていますか?」


魔王「はい! 生きています!!」

側近「……こっちも生きているぞ」

妹ゆーしゃ「ぞー!」

姉勇者「よかった……」


姉勇者「ここからは……別行動です」

姉勇者「お互い気をつけていきましょう」

側近「……」

魔王「勿論です、お姉さん」

妹ゆーしゃ「きをつける!!」

側近(私には……何も残っていない……?)

ここまで見てくださりありがとうございました。

次回も一週間の間に投下させていただきます。

>>1です
続き遅れていて申し訳ございません。ちょっと夏コミにでることになり
私生活が忙しくなっています……。
夏コミあけまでもしかしたら更新できないかもしれません。
申し訳ございません……。
よろしければ待っていただけると幸いです。

また、らくがきですが側近を描きました。
初期のほうは非処女プギャーwwwされてた側近が
今では一番人気ありそうでちょっと嬉しいです。
http://dl3.getuploader.com/g/maoyu/1/002.jpg

うpろだを借りたので、
うpろだのアドレスも載せておきます。
http://ux.getuploader.com/maoyu/


1です。夏コミが終わって一息ついたので明後日辺りから更新再開します。
長々としてしまい申し訳ございません。

なんとなく老婆の若き頃をらくがきですが描いてみました。
格闘家です。
http://dl7.getuploader.com/g/maoyu/2/02.jpg

ちなみに夏コミではゲームを作りました。


側近(尊敬する……1様は……死に……)

側近(仮に私達が生き残ったとしても……魔王様は姉と……)

側近(……)

側近(私には……)

側近(私は……)

側近(この戦いが終わってしまったら……)


側近(私は……一人になってしまう、のか……)

姉勇者「側近様?」

側近「——!」

姉勇者「大丈夫ですか? お怪我でもなさったんですか」

側近「い……、いや、大丈夫だ」

姉勇者「……」ピク


側近「そ、それよりも……ここから別行動……。別行動、なのだろう」

姉勇者「……」

姉勇者「ええ、そうですね」

姉勇者「妹ちゃん」

妹ゆーしゃ「なにー?」

姉勇者「任せたわよ」


妹ゆーしゃ「……?」

姉勇者「任せたわ、妹ちゃん」

姉勇者(私では……無理だけれど、妹ちゃんなら)

妹ゆーしゃ「……?」

妹ゆーしゃ「……」チラ

側近「……」

妹ゆーしゃ「んー……」


妹ゆーしゃ「……わかった! まかされたよ!!」

姉勇者「ええ、ありがとう。妹ちゃん」

妹ゆーしゃ「うん! そっきん! いこう!!」

側近「えっ……?」

妹ゆーしゃ「いつまでもぐずぐずしてたら日が暮れちゃうよー」


側近「あ……ああ、そうだな」

妹ゆーしゃ「おねえちゃん、わたしたちいくから!」

妹ゆーしゃ「ぜったい、ぜったいいきてあおうね!!」

姉勇者「ええ。生きて会いましょう」

タタタタッ

姉勇者「……」

姉勇者「…………」

姉勇者「行った、か」

魔王「……お姉さん」


姉勇者「魔王様? どうかなさりました?」

魔王「いえ……。その……」

姉勇者「……」

姉勇者「なんでしょうか、魔王様?」

魔王「……」

魔王「生きて、くださいね」

姉勇者「…………ふふっ」


姉勇者「ふふっ、ふふふっ……何を言い出すと思ったら」

魔王「でも、お姉さんは……」

姉勇者「魔王様、私は死にません」

魔王「……」

姉勇者「夫を残して逝く妻がどこにおりましょう。私は貴方より先に死ぬつもりはありませんから」

魔王「お姉さん……」


姉勇者「行ってください、魔王様」

魔王「……」

姉勇者「どうか後悔だけはないように」

魔王「…………」

魔王「……はい」

姉勇者「必ず、また会いましょう」

魔王「はい!」

タタタタッ!

姉勇者「……」

姉勇者「…………死なない、か」


姉勇者「側近様が相手する四天王2様は、癖がありつつも死ぬ」

姉勇者「私が相手する四天王4様は……死なない」

姉勇者「それは魔王様が相手する四天王3様も同じ、か」

姉勇者「厄介な魔物ですね。死なない魔物をどう倒せというのか」

姉勇者「…………」

姉勇者「……しかし」カチャ

姉勇者「恐らく、私は勝てる」



姉勇者「……」

姉勇者「さて、私も行きましょうか」スクッ

姉勇者「……当面の心配は側近様のみ」

姉勇者「心の憂いをどう取り除けるか」

姉勇者「…………」

姉勇者「妹ちゃんにかけるしかないわね。情けないけれど」

タタタタ……


——
————


タタタ……タ

側近「……」

四天王2「……!」

妹ゆーしゃ「あ、まものだ!」

四天王2「…………」

四天王2「まさかお前が来る、とはな」

側近「2、様……」

妹ゆーしゃ「しりあい?」

側近「……ああ、一応な」


四天王2「……来い。全部跳ね返してやる」

側近「……」

妹ゆーしゃ「えぇ……と」

妹ゆーしゃ「たしか、このまものは『とくしゅのーりょく』があるんだよね」

側近「そうだ、2様は『どんな攻撃も受け付けない』」

側近「鉄壁、というべきか。防御力だけなら4人の中でトップクラスだろう」

妹ゆーしゃ「……」グッ


妹ゆーしゃ「ちょっと試しに」タッ

妹ゆーしゃ「えいっ!」ブンッ

四天王2「——!」

ガキンッ!!

妹ゆーしゃ「うわあッ!!」サッ

ズサササッ!

妹ゆーしゃ「……」

妹ゆーしゃ「なに、いまの? かべ?」

四天王2「結界だ」


妹ゆーしゃ「……」

妹ゆーしゃ「えーと、よくわかんないけど、けっかいでカードするってことなのかな」

側近「そういうことだな」

妹ゆーしゃ「それがめちゃくちゃつよい?」

側近「そうだ」

四天王2「だから私はどんな攻撃も跳ね返す、けして喰らわない。分かるか、幼き勇者よ」

妹ゆーしゃ「……やっかいだ」


側近「……」

側近「2、様」

四天王2「なんだ?」

側近「ひとつだけ、お聞きしたことがあります」

四天王2「……?」

四天王2「なんだ、言ってみろ」

側近「1様は……」

側近「1様は……死んだのですか」

四天王2「!」


側近「ここにはもういない。……それはわかっているんです」

四天王2「……。…………そうか。そういえばお前たち恋仲、だと」

側近「……」

四天王2「…………」

四天王2「……」

四天王2「そう、だ」

側近「——」

四天王2「おに……。1は……死んだ」

側近「……そん、な」


側近「どうして、どうしてですか!」

四天王2「そんなの……簡単だ」

四天王2「我々魔王軍を裏切った。それだけだ」

側近「……!」

側近(私に……色々と情報を回してくれていた所為か……!)

側近(だとしたら……私の……私の所為……)


妹ゆーしゃ「!」

妹ゆーしゃ「そっきん!」

側近「……!」

妹ゆーしゃ「いまは……いまはそんなことかんがえているときじゃないよ!」

妹ゆーしゃ「おわったあとのことなんて……かんがえたっていみがない!」

側近「……」

妹ゆーしゃ「いまはこいつをたおす、それだけだよ!!」ブンッ!

四天王2「……」ガキンッ!!


妹ゆーしゃ「また……ぼうぎょ……!」

妹ゆーしゃ「このっ! このっ!!」ブンブンッ!

四天王2「……意味がない」

ガキンッガチャン!!

妹ゆーしゃ「っ! こわれない!!」ブンッ!

バキンッ!

四天王2「弱い!」

妹ゆーしゃ「くっ」


側近「……」

側近(私も……私も戦わなきゃ……)

側近(でも……)

側近(…………)

側近(……だめだ。先が見えない)

側近(ここで勝ったって、負けたって、私は……)

側近「……」フルフル

妹ゆーしゃ「……!」


妹ゆーしゃ「そっきん!」ブンッ

側近「——!」サッ

妹ゆーしゃ「おそい!」

ガッ!!

側近「がッ——!?」

ズササッ!!

側近「……ぅ、い、妹。何故私に攻撃……」

妹ゆーしゃ「いいかげんめをさまして!」

側近「……!」


妹ゆーしゃ「ねぼけてないで! わたしたちはいきのこらなきゃいけないんだよ!!」

側近「……」

側近「でも……」

妹ゆーしゃ「だって、でも、からつづくことばはいいわけだけ!!」

側近「——!」

妹ゆーしゃ「それに、そっきんはひとりじゃないよ」

側近「……なっ」

妹ゆーしゃ「わたしがいるよ」


側近「……」

妹ゆーしゃ「そっきんにはわたしがいる! そっきんは、じぶんでおもっているよりひとりじゃない!!」

妹ゆーしゃ「だからなぐった! いきのこってほしいからなぐった!」

妹ゆーしゃ「わたしばかだから……、わたし、なんていっていいかわからないけど……」

妹ゆーしゃ「いっしょにいきよう、そっきん。わたしたちはつらくても……それでも、それでもいきなくちゃいけないんだよ!」

側近「……!」



側近(……)


側近(そう、だ)

側近(……それでも、それでも、生きなくては)

側近(私は、側近……)

側近(魔王様に従える者。それ以下でも、それ以上でもない)

側近(それ以外に生きる道はなし)

側近(たとえ……愛されなかったとしても。愛されたとしても)

側近(……魔王様には必要、なのは確かなのだ)

側近(それだけで……それだけでいいじゃないか)

側近(それだけで……)

側近「……」


側近「……」

側近「……ありがとう、妹」

妹ゆーしゃ「……! そっきん!!」

側近「そうだ、今はなんとしても生き残らなければならない」

側近「こんなところで遊んでいる暇はないな」

妹ゆーしゃ「そうだよ!」

側近「……」

側近(何も、考えるな。私は私。それだけ……それだけだ)


四天王2「……」

四天王2(二人何か話しているから邪魔しないほうがいい……よね……多分)

側近「2様」

四天王2「!」

四天王2「作戦会議は終わりか? どんなにお前たちが頑張ったところで私の防御は——」

側近「確かに、貴女の壁は打ち破れないでしょう」

側近「私や、妹だけであったら」

四天王2「……?」


——


姉勇者『鉄壁、ですか』

側近『そうだ、2様の防御力は他の魔物とは違う』

姉勇者『……ふむ、それは魔法でも?』

側近『ああ。お前みたいに新しい魔法とやらでも……恐らくな』

姉勇者『それはやっかいですね』

側近『何かいい作戦はないか? このまま正面からいっても勝ち目はないだろう』

姉勇者『そうですね……』


姉勇者『……』

姉勇者『まず前提としてお聞きしますが、攻撃力はどうなのでしょうか?』

側近『それほど……。というか、私より下かもしれない』

姉勇者『長けているのは防御のみ、ということですか』

姉勇者『ならば、最悪の場合でも負けることはないのですね。勝つこともないのでしょうが』

側近『そう、だな』

姉勇者『……ふむ』


姉勇者『……』

姉勇者『こちらの手札は側近様と妹ちゃん』

姉勇者『私の弾を使いたくなく、その上で突破……』

姉勇者『…………』

姉勇者『……』

側近『……む、難しそうか?』

姉勇者『いえ、そういうわけではないのですが、側近様にできるかな、と思いまして』

姉勇者『側近様は少々頭が残念なので』

側近『んな!?』


側近『な、何を!』

姉勇者『まぁまぁ、怒らないでください。本当のことを言っただけですから』

側近『なおタチが悪いわ!!』

姉勇者『あら、私はネコですよ。気が合いますね』

側近『そっちの話はしていない!!』

姉勇者『あらそうですか? で、あるなら話を戻しましょうか』

姉勇者『いいですか、側近様。私の言うとおりに動いてください』

姉勇者『私が提案する作戦は——』


ここまで見てくださりありがとうございました。
久しぶりの投下でした。

次回は一週間後に投下させていただきます。


——


側近「2様」

四天王2「な、なんだ」

側近「あの頃のこと、覚えていますか?」

四天王2「あの……頃」

側近「昔、勇者が攻めてこんできて2様が封印された時のことですよ」

四天王2「—— ッ!」ビクッ


四天王2「なっ、なな、そ、そ、それがどうした!」

側近「惨め、でしたね」

四天王2「……!」

側近「私は魔物から聞いただけですが……。まさか、たかが人間である勇者にボロ負けとは」

四天王2「……」フルフル

側近「……メラッ」フンッ

四天王2「なっ……うぐっ!?」バンッ

側近「あれ……どうしましたか? 防御、忘れちゃったんですか?」


四天王2「な、う、うるさい! そういうわけじゃない!!」

側近「もしかして過去の話をされて傷心気味、ですか。同じ魔物として恥ずかしいですね」

四天王2「う……ぐ……」

側近「……」

妹ゆーしゃ「そっきん……?」

側近「……」

側近(姉の作戦だとはいえ、心が痛むな)


——


姉勇者『精神攻撃、ですよ』

側近『……は?』

姉勇者『あら、何度も言わないとわかりません?』

側近『い、いやいや。精神攻撃とは……その……どういうことだ?』

姉勇者『そのままの意味ですよ。外から壊れないのであれば、中から壊せばいい』


姉勇者『精神攻撃でズタボロになり、防御もろくにできないところをボッコボコ!』

姉勇者『いやあ、最適な作戦ではありませんか』

側近『……』

姉勇者『あら、側近様。どうしましたか? いい案だと思ったんですけれど』

側近『確かに……その、いい作戦だとは認めるが……』

側近『お前、本当に勇者か?』

姉勇者『勇者ですよ?』

側近『……鬼子だ』ボソ

姉勇者『え?』

側近『なんでもない』


——


側近(2様は……確かに精神攻撃には弱い方だった、と思うし有効な手であることは承知だが……)

側近(罪悪感がどうも……)

側近(……)

側近(しかし、勝つためには必要な手段なんだ。このまま攻めていこう)チラ

妹ゆーしゃ(おねえちゃんのあんかなあ……。そっきんそういうこというまものじゃないから……)

妹ゆーしゃ(なら、そっきんのしじまちで、これからはせめていこう)グッ

四天王2(何この人たち怖い……)ブルブル


四天王2「そ、その程度で……。何を言う側近!」

側近「声が震えていますよ、2様 メラゾーマ!」ブンッ

四天王2「ッ! ぁ……」

ガキンッ!

側近「遅いですよ!」

四天王2「ッ! 熱っ!? い……っ……!」ブルッ

四天王2(全部……じゃないけど、それでも防げた……)

四天王2(にしても威力すご……。前の側近はこんなに魔力なかったはずなんだけど……)


四天王2(精神攻撃……だよね。それで防御できなくなってからの攻撃)

四天王2(そんなの私が耐えられるわけない〜!)

四天王2(これもあの勇者の作戦、なの? ……う、ぐぅ……)

四天王2(なんにせよ、このままじゃ私は……負ける)


四天王2(撤退……。駄目、兄さんたちに怒られちゃう……)

四天王2(でもでも……このままじゃ負けちゃうし……。どうすればいいんだろう)

四天王2(……)

側近「2様、……反応が出来なくなったらだんまり、ですか。滑稽ですね」チラッ

四天王2「う……」

妹ゆーしゃ「えいっ!」ブンッ

四天王2「しま——! うぐっ!!」バンッ

ズササッ——!!


側近(妹の攻撃が直撃。……生身自体はそこまで防御力があるわけではないし、立ち上がることも難しいだろうな)

四天王2「……う、ぅう……」

四天王2(い……ったあ……。うぅ……どうして私だけがこんな目に……)

四天王2(前のときも魔物たちに身代わりにされて封印されちゃうし……。いつも兄さんたちにいじめられるし……)

四天王2(もう立ち上がる力もないし……。どうしてこんな目にばっか会っちゃうんだろうな……)


四天王2(……)

四天王2(……でも、ここで負けちゃったら……私は兄さんみたいに……)

四天王2(……!)ビクッ

四天王2(それは嫌! あんな死に方……絶対に嫌!!)

四天王2(なんとかして倒さないと……。倒さないと……!)

四天王2「う……うぅ……」ユラ……

側近(……立……った? まだそのぐらいの体力あるってことか)


四天王2「私は……負けません……」

四天王2「私は……私は負けちゃいけないんです……!」

四天王2「たとえ、どんな手を使ったとしても…………!!」

四天王2「——」ググッ

パーンッ!

側近「——!?」

四天王2「……」ググッ

側近「……な、なんだ……これ……?」


妹ゆーしゃ「けっかいがたくさん……」

四天王2「私が……私の結界を甘く見ないでください!」

四天王2(約3万、それが私が張れる結界の量——!)

四天王2(全部展開させれば、防御だけじゃない。攻撃にもなる)

四天王2「う……ぐ……」ビクッ

四天王2(ただ……それだけ私に負荷がかかるのも事実……)フラフラ……


四天王2(この子たちが圧迫死するか……。それとも私の限界がくるのが先か——)

側近(この量……。こんな展開されたら…………)

側近「妹! 逃げろ!! できるだけ遠くに!!!」

妹ゆーしゃ「え、そっ……そんなこといったって——! うわっ」バキンッ

側近「くっ……四天王の名は伊達ではないか……!!」


四天王2「……ッ……!」フラッ

パッパッ……パパパッ

四天王2「もっと……展開……。展開……」

側近「2様……!」

四天王2「展開……展開……」

側近「くっ……言葉も通じないか」

パッ

バキンッ!!

側近「ぐっ……!!」

側近(このままではこっちがやられる……)


側近(しかし2様の限界も近いはず……!)

四天王2「展開……展開……展開……」パッパパパッ

側近(……。だが……、力が衰える気配はない……)

側近(くそっ……考えなくては……何か……何か案を)

側近(この状態から脱することができる……案を……!)


姉勇者『魔王様の部屋……正確にいえばその周りに張られていた半球体の結界ですが、どうやら磁石と似た性質らしく、似たような極を発生させる魔法を使いますと——』

姉勇者『魔法の解読・解除はこうみても専門でして。5秒あれば可能です』

姉勇者『側近様、この爆弾みたいなものは、ですね。ま、爆弾なのですが……魔力の流れだけを一時的に散乱させるものです』



側近「——!」


側近「そうだ……」

側近「たとえ相殺されるとしても……。魔法、……魔法。魔法か!!」

側近「妹! 聞こえるか!!」

妹ゆーしゃ「うん! きこえる!!」

側近「お前の目の前にある結界。それに魔法を打つ」

側近「そうしたら……殴っても、なにしてもいい。押し返すんだ」

妹ゆーしゃ「おしかえ……す?」


側近「確かにそれだけじゃこの結界は破れまい」

側近「しかし少しずつなら押し返すことはできるはず……」

側近「それで2様を潰せたならば上等……! そうでなくても結界の張る流れをくい止められたら………………」

側近「妹、できるか?」

妹ゆーしゃ「……」


妹ゆーしゃ「うん、やってみる」

側近「力の出し惜しみはするなよ! メラゾーマ!!」ピロロン

妹ゆーしゃ「っ!」バンッバンッ

ガキンッガキンッ!!

妹ゆーしゃ「くっ……」バァアンッ!

ギギ……

妹ゆーしゃ「ちょっと……動いた……!」


側近「その調子だ! メラゾーマ!!」ピロロン

妹ゆーしゃ「っ! えい!!」ガンッガンガンッ!!

ギギ……

妹ゆーしゃ「まだまだ!!」バンバンッ

ギ……

妹ゆーしゃ「ぅ……つよ…………い」

妹ゆーしゃ「でもまけないよ! おねえちゃんとやくそくしたんだから!!」バンッ!!


四天王2「——」

四天王2(結界が乱されている……)

四天王2(……でも、この程度でどうにかできない私じゃない)

四天王2「……展開、展開」パパッ

妹ゆーしゃ「うわっ! またあたらしいかべが!」

側近「うぐ……。妹、大丈夫だ。まだ勝機はある! メラゾーマ!!」ピロロン

妹ゆーしゃ「……うん!」バンッ!

ギ……

妹ゆーしゃ「ちょっとしか……うごかない」


妹ゆーしゃ(だめだ、もっと……もっとちからをこめなくちゃ……)

妹ゆーしゃ(ここでまけたらおねえちゃんとはもうあえなくなる……)

妹ゆーしゃ(おねえちゃんとのやくそくも……おにいちゃんとのやくそくも……まもれなくなる)

妹ゆーしゃ(わたしは……わたしはしんじゃいけないんだ!)

妹ゆーしゃ(いきて、いきておねえちゃんたちを——!!)

妹ゆーしゃ(わたしだってゆうしゃなんだ。こんなかべなんかにまけない!!)バァンッ!

ギ……

妹ゆーしゃ「っ! いたい!!」


ポタポタ……

妹ゆーしゃ「て……、ちがでてる……」

妹ゆーしゃ「……」

妹ゆーしゃ「……でも、たたかなくちゃ……」

妹ゆーしゃ「いたくてもがまん! わたし、がまんできる!」

妹ゆーしゃ「おにいちゃんやおねえちゃんのにくらべたら、わたしのいたさなんて……」バァンッ!!

ギ……

妹ゆーしゃ「う、ぎ……」プルプル


側近「妹……!」

妹ゆーしゃ「だいじょうぶ! そっきんはこうげきをつづけて!!」

側近「だが……お前の手……」

妹ゆーしゃ「いいから! まほううたないとわたしもどうにもできない!」

側近「ッ……。メラゾーマ!」バンッ

妹ゆーしゃ「う、あ……あああ゛ッ……ああ゛!!」バンッ

ギギ……


妹ゆーしゃ「あ、ああ゛ああ゛あッ!!」バンバンバンッ

ギギギ……

妹ゆーしゃ「もうすこしッ、もうすこしなんだ!! もうすこしで……たおせるんだ!」

妹ゆーしゃ「わたしが、わだしがここでたおれたら、もうだれもすくえないんだ!」ガンッ

妹ゆーしゃ「うごけ……うごけうごけうごけうごけ!!」バンバンッ

ギギ……


四天王2「……ッ!」パリンッ

四天王2(……ひとつ、うまく結界が張れなかった……! あの攻撃の所為!?)

四天王2「てんか……うぁ゛っ……!?」ブルッ

四天王2「……ッ……!」

パリンッパリンッ

四天王2「おの……れ……」

四天王2(私の体力も……もう少しで限界……)

四天王2(だけど、あの子供の体力も……もうすぐ限界なはず)


四天王2(……)

四天王2(これは意地)

四天王2(私も、彼女たちも……同様に強い)

四天王2(どちらか勝つか……それは)

四天王2(どちらの意思が強いかによる)

四天王2「……」グッ……

四天王2「勝つ……。私は……勝つ……」

四天王2「絶対に……もう、勇者なんかに負けないんですから!」パッ


妹ゆーしゃ「かつのわたしたち!」

妹ゆーしゃ「いきて……いきておねえちゃんにあうまでは、ぜったいまけないんだから!」バンッ

側近「そうです、2様。私たちは死なない!」

四天王2「私だって……! あの時の私とは違うんです!! もう……もう私は……あんな屈辱は……!!」パパパッ

妹ゆーしゃ「わたしだって……わた……しだって!!」バァンッ!!

ギギ……


妹ゆーしゃ「う……」ビクンッ

妹ゆーしゃ(しかいが……なんかおかしい……)

妹ゆーしゃ(ぼやけて……みにくい……)

妹ゆーしゃ(でも……たたかなくちゃ……。たたかないと)バアンッ……

妹ゆーしゃ(たたかないと……。おねえちゃん……)バン……

妹ゆーしゃ(う…………)バ……

……バタン

側近「——! 妹!!」

ここまで見てくださりありがとうございました。

次回は一週間以内に投下させていただきます。
よろしくお願いします。


妹ゆーしゃ「…………」

側近「くっ……妹! 妹……しっかりするんだ!!」

四天王2「……」フラ

四天王2「……勝った……?」


四天王2「私が……勝った……?」

四天王2「は、はは……」

四天王2「はははは! ははははっ!!」

側近「2様……まだ私が」

四天王2「魔法だけしか使えないやつが何を言うか!」パッ

側近「うっ、……! がはっ……!」ギギギ


側近「く、くそ……。メ、ラゾ……」グ

四天王2「たかが魔法で私の結界を破れると思ったか!」グググ

側近「ぁ゛っ……!?」ビキ

側近「…………」

四天王2「は、はは。はははっ!! ははは……う……」フラ

四天王2「……」バタン

パリンッ!パリンッ!

四天王2「……」

四天王2(私も……もう限界……か)


四天王2(いいや……勝てたし……)

四天王2(このまま寝ても……。もういいよね……)

四天王2(兄さんたちには……怒られない、よね)

妹ゆーしゃ「それは……どうかな」

四天王2「——!?」


側近「いも……うと……?」

妹ゆーしゃ「……」フラ

四天王2「なっ……まだ立つ体力があっただと!?」

妹ゆーしゃ「わたしだって……だてにおねえちゃんのいもうと、やっているわけじゃない……!」

側近「……」ホッ


四天王2「う……」フラッ

四天王2「あ……っ」バタンッ

妹ゆーしゃ「そっちは……たつたいりょくもない、かな」

四天王2「なにを……! ……なに、を……」パリンッ

四天王2(くそ……。これ以上結界を出す力は……)

妹ゆーしゃ「ゆだんたいてき、おねえちゃんがいってたとおりだね」

四天王2「——!」

側近「まさか……倒れたのも……苦戦していたのも演技……か」

妹ゆーしゃ「たしょう」

四天王2「〜〜!」


妹ゆーしゃ「こんなよわっちいけっかい、もうこわくなんかないよ!」バァンッ!!

パリンッ

四天王2「な——ッ!?」

妹ゆーしゃ「ぼうぎょりょくもさっきほどじゃない。きりょくがぬけてやくただつになったのかなッ!?」バンッ

パリンッ!!

四天王2「くっ……」フラ

四天王2「ちく……しょう……」


パリンッ……パリンッパリンッ……!

四天王2「……くっ」

四天王2(これ以上結界は出せない……。出した結界はどのみちこの体力じゃやられるだけ……)

四天王2(なす術なし、か)

四天王2(……)

四天王2「……」

シュン

妹ゆーしゃ「——!」

側近「結界が……消えた?」


四天王2「どのみち、このまま結界を展開させたままでも負け、ます」

四天王2「なら展開させておく意味はありません」

四天王2「殺したいのであれば……殺してください」

四天王2「その覚悟は……できています」

妹ゆーしゃ「……!」

側近「2、様……」


妹ゆーしゃ「……」

妹ゆーしゃ「…………」

側近「妹……」

側近「その……殺すのか?」

妹ゆーしゃ「……」

妹ゆーしゃ「わたしは……」


妹ゆーしゃ「わたしは……ころしたく、ないよ」

側近「——」

妹ゆーしゃ「……」

側近「……」

側近「……」フゥ

側近「2様」

四天王2「」ビクッ


側近「私は……私たちは貴女を殺しません」

四天王2「え……?」

側近「貴女の能力は……。後に作られる魔王軍に必ず役に立ちましょう」

側近「だから殺さず生かします」

側近「魔王様の為に」

四天王2「それは……」

四天王2「だけど」

側近「だけど、も、しかし、も、ありません」


側近「貴女の結界は並外れたものです」

側近「……それはいずれ戦力になるでしょう」

四天王2「側近、さん」

側近「別に貴女に同情したわけじゃないですから」

四天王2「……」

四天王2「…………」


側近「私たちは行きます」

四天王2「分かり、ました……」

四天王2「貴女たちを止める力はもう私にはないですから」

四天王2「好きにしてください……」

側近(嘘ではないだろう。現に彼女の顔は……痛みで歪んでいる)

側近「妹、いこう」

妹ゆーしゃ「うん……でも」

側近「大丈夫だ、行こう」


妹ゆーしゃ「うん、分かった」チラ

四天王2「……」

妹ゆーしゃ「ほんとうにいっちゃうよ?」

四天王2「好きに……してください」

妹ゆーしゃ「……」

四天王2「これで殺されても……貴女方に殺されても……結果は同じですから」

妹ゆーしゃ「……」


妹ゆーしゃ「いこうか、側近」

側近「ああ……」

タッタッタ……

四天王2「……」

四天王2「…………兄さん、ごめんなさい」

四天王2「……」バタンッ


————
——


四天王4「……」

四天王4「…………」

四天王4「いつまでたってもこねえなあ」

四天王4「……俺の相手はいったい誰だ?」

四天王4「魔王様か? 側近か……」

四天王4「それとも……」


四天王4「あの悪魔、か」

四天王4「……」

四天王4「どちらにしても叩き潰すまでだが」

姉勇者「—— あら。いったい“誰が”、“誰を”叩き潰すおつもりで」

四天王4「——!」


姉勇者「ご機嫌よろしゅうございます、4様」

四天王4「てめぇは……」

姉勇者「お互い顔を合わせるのは初めて、でしたっけ?」

四天王4「…………」

四天王4「クク……ハハ、ハハハッ!!」

姉勇者「あら、お楽しそう。私も交ぜて頂きたいものですわ」


四天王4「ハハハッ——!! ハハハッ! まさかてめぇみたいな奴が、俺を倒せると思って目の前に現れるとはな」

四天王4「舐められたもんだぜ、俺もよ」

姉勇者「……」

四天王4「って、ことは……」

四天王4「3が……魔王様ってところか。俺の実力は、お前ぐらいだと!? そう言いたいのか、なぁ悪魔よ!!」

姉勇者「悪魔……悪魔ねぇ」

姉勇者「下僕が主に悪魔と吠えるか。たかが四天王如きが」


四天王4「——」

四天王4「主、ねぇ」

姉勇者「4、そこをお退きなさい。私は貴方になんの恨みも持っていない」

姉勇者「今であれば3回回ってワン、と吠えたら先ほどの発言聞かなかったことにしてやろう」

姉勇者「どうする、4」

四天王4「はは……ハハハハハッ!!」

四天王4「てめえ、馬鹿じゃねーの」


四天王4「主だか、なんだか知らねーが、俺の主は大魔王様、一人だけだ」

四天王4「てめえは主でもなんでもねえ。ただの悪魔だよ。勇者」

姉勇者「——」

姉勇者「そう、あくまでそんな態度をとるのね。悪魔だけに」

四天王4「ああ、そうだ」

姉勇者「あ、スルー……」

姉勇者「まぁ、それもそれでいいでしょう。悲しいことではありますが」スチャ



姉勇者「さて、何個か質問をしましょうか」

四天王4「ああん?」

姉勇者「貴方も時間稼ぎができて嬉しいことでしょう? 私の考えに従いなさいな」

四天王4「……」

姉勇者「そう、いい子。案外、頭の回転は早いのかしら?」

四天王4「ク……ハハ……。てめえほどじゃねーよ」

姉勇者「—— と、いう発言から考えてみて貴方は私のことを知っているわね。いったい何を知っているのかしら、ぼうや?」


四天王4「……」

姉勇者「貴方から見たらどうせ私は死ぬ人間」

姉勇者「そして私から見たら貴方は—— 倒されるべき魔物」

姉勇者「本音で言ってもなんの問題もないわよ。ぼうや」

四天王4「ハッ……、言ってくれるじゃねーか。丁度いい、こっちも聞きたいことは山ほどあるんだ」

姉勇者「あら、この私に質問してくると?」


四天王4「……」

四天王4「てめえのことは調べさせてもらったぜ」

姉勇者「あらまぁ、女性のプライバシーを覗くなんていやらしいこと」

四天王4「てめえが作ったあの機械もな」

姉勇者「……」

姉勇者「あらあら……。知られていましたか」


四天王4「お前だろう、あの勇者を探し当てるシステム、パラメータ具現化、それができるシステムを作り上げたのはよォ」

姉勇者「……」

四天王4「カード自体は違う奴が作ったっぽいが、あのどでかい機械をつくり、そして魔王軍に持って行かせたのも……全部お前の差し金だろう」

姉勇者「あら……やだ……」

姉勇者「“そこまで”情報が漏れていましたか。いやはや、魔物も案外侮れませんね」


四天王4「どうしてそれをする必要があった」

姉勇者「……」

四天王4「お前、さっき自分で言った言葉を忘れたわけじゃねーだろうな」

四天王4「本音で言ってもなんの問題もない、んだろう。答えてみろよ」

姉勇者「……」

姉勇者「…………ク」

姉勇者「ク、ハハッ……あ、はは、ははははっ!!」

四天王4「……」


姉勇者「面白い! 傑作、傑作ですよ!!」

姉勇者「魔物如きにソコまで見破られるなんて。魔王様ぐらいしか気づかないと思っていましたが…………正直舐めていました」

姉勇者「……良いでしょう。話してやるぞ、下郎」

姉勇者「元々あれは魔物達を捕まえて、魔物の強さを測り、それに対抗する武器開発の為に作るはずだった、新世代のシステム——」

姉勇者「要は世界平和の為に必要だった母なる存在」

四天王4「世界平和……だァ……?」


姉勇者「ええ、貴方が今思ったとおり。これは表向きの事情」

姉勇者「裏はなんの意味もない、ただ単に“市場を乗っ取る為だけの道具”」

姉勇者「結果的にその地その地に合った武器開発、高いレベルになるほど多くの魔物を殺せ、快楽を得ることができる集団催眠によるレベルというシステム——」

姉勇者「その他もろもろ、あの機械によって人間の世界が多少平和になったことは……私も認めざるを得ない結果です」

姉勇者「しかし同時に、顧客を無理やり手にしたことで他の会社は潰れ、武器市場が荒れたこともまた事実——」

姉勇者「そうして集団催眠という事実を隠すために殺された人数も……ばかにはなりません」


四天王4「……だから、俺たちにそれを譲ったと」

姉勇者「ええ。作り手として、世界平和どころか死者を生んでしまったシステムを放っておけなかった」

姉勇者「だから魔物に譲った」

四天王4「あのままいけば魔物を全滅させることはできたのに、か」

姉勇者「他の方法でも魔物を全滅させることはできたでしょう」

姉勇者「あのシステムが生んだのは、それすら撲滅させること」

姉勇者「あのシステムでしか魔物を全滅させられないという現実を人にすり込むこと」

姉勇者「……それだけです」


姉勇者「まぁ、作っている段階で気づけばよかったんですが、あの頃は私も馬鹿でしたからね」

四天王4「……」

姉勇者「さて……。私の回答は以上です」

姉勇者「他に何か質問は? 今の私であれば……下郎の意見に耳も傾ける余裕はありますから」

四天王4「チッ……言ってくれるぜ。悪魔よ」

四天王4「なら最後の質問だ」


姉勇者「最後? ばかに遠慮しますね」

四天王4「てめえのその余裕はどこから来てるか、だ——!」

魔物A「ゲヘヘ……4様? もうやっちゃっていい? やっちゃっていいかな!?」

魔物B「待てよ、A。まだ何にも命令されてないだろ! まだ待ってろよ」

ワイワイガヤガヤ

ワイワイガヤガヤ

四天王4「ざっと100匹。それを前にしてよくもまぁ、自信有りげに立っていられるなあ。悪魔!!」

姉勇者「……」

姉勇者「あらあら……」


姉勇者「たかが魔物如きに舐められたものですねえ……」

四天王4「は……?」

姉勇者「……」

姉勇者「“貴方は私に勝てない”」

姉勇者「“私は貴方には負けない”」

姉勇者「それは、そう。もう決められた事なんですよ」スチャ

ダダダダダダダダッ!!

四天王4「——!?」

魔物A「」バタンッ

魔物B「」バタンッ

四天王4「なん……だと……?」

ここまで見てくださりありがとうございました。
今回は色々と回収する話でした。また、四天王2の√はありません、ご了承ください。

毎日は無理かもしれませんが、できるだけ日を置かずに次を投下したいと思います。
よろしくお願いします。

>>1です。
すいません、私生活がごたごたしていてなかなか来る機会がありませんでした。
週末までには投下したいと思います。ごめんなさい!


姉勇者「……」

魔物A「zzz……」

四天王4「……!」

四天王4「なんだ、こいつら……寝てる……?」

魔物B「zzz……」

魔物C「zzz……」

四天王4「……」

四天王4「ハッ……そういうことかよ」

四天王4「殺生はお嫌いってか。勇者サマにしては手ぬるいなぁ! おい!!」


姉勇者「あらあら、酷い言い草」

姉勇者「いらないお客様を追い払ってあげたのに」

四天王4「ああん?」

姉勇者「元々あの魔物たちだって貴方には必要ないでしょう?」カチャ

四天王4「…………」

バァンッ!!


四天王4「……ッ!!」

姉勇者「だから、ほら。貴方は避けることすらもしない」

姉勇者「弾丸は見えているでしょう。その眼で。確かに」

姉勇者「貴方の頭をぶっ潰してぐちゃぐちゃに殺し仕留める。貴方の眼たちはその未来すら予測できたはず」

姉勇者「ねぇ、4様。確かに貴方は死なないはずですよ。そんな身体をしていたら」

四天王4「……ハッ…………ハハッ!! ハハハハッ!!」ジジジジッ!!


姉勇者「羽虫の群体でできた体とは便利なものですねえ。そんなすぐに頭を形成している虫たちも生み出すことができるんですか」

四天王4「そういう風にできてるんだよ。弱い人間と違ってなァ!! たかが一度、頭を心臓を突かれたぐらいで死ぬような魔物なんていらねぇ……」

四天王4「死なない魔物こそが正義だ。つええんだよ」

姉勇者「一研究者としては貴方の体には非常に興味がありますね。……ここで死んでしまうのが惜しい」

四天王4「死ぬ? この俺が? 有り得ない。有り得ねぇ!! お前が俺を殺せることなんて無理なんだよ!」

姉勇者「……」


四天王4「お前が言うようにさっきの糞おせえ攻撃だって視ようと思えば視えた。わかるだろ、お前の動きなんて俺には止まっているようにしか視えない」

姉勇者「わかりますとも。だからこそ私は“ためらわずに攻撃ができた”」

姉勇者「今、貴方の眼は確かに私を捉えている」

姉勇者「一匹足りとて、私の動きを捉えていないものはなし」

姉勇者「人を超えた視覚。貴方の止まっているような、という表現も嘘とは思いにくい」

姉勇者「貴方が本気になりさえすれば、私とて簡単に殺されるでしょう」

姉勇者「それこそ“羽虫を殺すように”」ニコニコ


姉勇者「それをしないのは気まぐれか、それとも狙いがあってのことか」

姉勇者「なんにせよ、私がここに立っていられるのは奇跡と言って違いはない」

姉勇者「だから一応感謝はしていますのよ。一応」

四天王4「……」

四天王4(確かにこいつの言うとおり、こいつが立っていられているのは奇跡)

四天王4(俺が一度でもこいつを殺したいと思えたら、殺すことなんて簡単にできる)

四天王4(だが……)

四天王4(ソレをわかっていながらの、この余裕はなんだ……?)


四天王4(俺の能力に気づいた相手は畏怖し、せめて命は……と乞う)

四天王4(しかし、この女は違う)

四天王4(俺を恐るどころか笑っていやがる)

四天王4(なんなんだ。こいつ……)

四天王4(この状況で勝機があると、本気で思ってるのか?)

四天王4「……」

姉勇者「……」

四天王4「気に入らねぇな……。お前のその態度」


四天王4「格下の人間は、格下らしく這いつくばってればいいんだよ」

四天王4「なのに、その堂々とした態度はなんだ? お前は死にてえのか? ええ?」

姉勇者「いいえ、生きたいですよ。少なくても今は」

姉勇者「しかし、そうですね」

姉勇者「私も何個か質問に答えていただきたい。それさえ答えて頂ければ、私も素直に死ねるというもの」

姉勇者「それとも他の女勇者にさせているように、魔物の子を孕んでやってもいい」

姉勇者「どうでしょう。4様。お答えいただけますよね」


四天王4「嫌だと言ったら?」

姉勇者「それはそれで構いませんよ。しかし、貴方とて自尊心がおありでしょう?」

姉勇者「こんな貴方を舐めまくっている女を屈せずこともできず勝利したところで、なんの面白みもない」

姉勇者「特に勝利など当たり前だろう貴方の身になってみれば、相手の精神をボコボコにすることが唯一の楽しみだとさえ思える」

姉勇者「だとしたらここで私を殺しても、貴方にとってはなんの旨みもない」

姉勇者「お答えいただければ、私も貴方の靴ぐらい舐めてもいい。貴方が望むなら何の言葉も言ってあげましょう。どうですか、4様」

四天王4「…………」

四天王4「……いいだろう。面白い、のってやろうじゃないか」

姉勇者「……ふふっ、ありがとうございます」


姉勇者「質問は四つ。どれもシンプルなものです」

姉勇者「一つ目、魔王様についてお聞かせいただきたい」

姉勇者「魔王様のお母様は何者ですか?」

四天王4「……」

姉勇者「どうせ殺す身。何を喋っても怒られないとは思いますが」

四天王4「知らねえ。ただ魔物じゃない、としか答えられないな」

姉勇者「本当に?」

四天王4「本当だ」

姉勇者「……。では次の質問です」


姉勇者「魔王様が“勇者”であったら、誰が“魔王”だと思いますか?」

四天王4「は……? てめ、何いってやがる」

姉勇者「だからそのままですよ。魔王様が勇者であったら、どなたが魔王だと思います?」

四天王4「あいつが勇者……。……いや、でも……。…………!」

姉勇者「……」

四天王4「……」

姉勇者「さて、どなたが魔王だと?」

四天王4「…………。魔王の血筋から魔王が生まれないのであれば、……それこそ人間の神みたいに家畜小屋から生まれるんじゃねぇか」

姉勇者「ははっ、面白いことをおっしゃる」


四天王4「……そもそも、てめぇが言っていることが本当だったとしても、嘘だったとしても、おかしいことだらけだ」

四天王4「あいつが勇者……。…………まだ、その仮説はいいとして。それが本当だったら魔王が不在ということになる」

四天王4「魔王なければ勇者は生まれない。大魔王様が魔王ということもないだろう。って、ことは、なんの為にお前らはここにいるんだ」

四天王4「意味がねぇじゃないか。まだ魔王も勇者もどっちもいないって言われたほうが納得する」


姉勇者「いいえ。こうとも考えられますよ」

姉勇者「もう魔王は勇者に敗北している。残っているのは魔王に仕えていた魔物だけ」

姉勇者「それが暴れているのが今の世の中。今、私たちがやっているのは残飯処理ということです」

四天王4「だったら……いつ魔王は勇者に敗北したんだよ! そんなの……おかしいだろ。俺たちは聞いたことも」

姉勇者「ええ、同意見です。だから聞いたんですよ。魔物は知っていると思って」

姉勇者「だがその様子では本当に知らないようだ。私が聞いたのが間違いでした」


姉勇者「これは直接大魔王とやらに聞いたほうが早いかもしれませんね」

四天王4「……だが……でも!」

姉勇者「次の質問です。貴方は同胞を殺せる魔物ですか?」


四天王4「……」

姉勇者「あらら、まさか4様とあろう方が同胞も殺せないということはありませんよね」

姉勇者「お強いんでしょう? 人を殺せるように、魔物も殺せますよね?」

四天王4「……何、言って……。そりゃ、当たり前だろう」

姉勇者「拍子抜けしちゃいました? こんな質問で」

四天王4「……」

四天王4(何……考えてやがるんだ。この質問、意味がまったく……)


姉勇者「でも……私が掴んだ情報では、ちょっと間違いがあるんですよね」

姉勇者「私が知っている4様は、けして魔物は殺せない弱虫なんですよ」

四天王4「……は? てめ! そりゃどういう!!」

姉勇者「殆どの魔物が言っていましたよ。“4様は優しくて虫一匹殺すことができないみかけだけの魔物”だって」

四天王4「んだとッ!!? んなわけないだろ!!」


姉勇者「すいませんねえ、私も4様が魔物を殺している姿を見ていないものですから」

姉勇者「本当かどうか分からなくて」

四天王4「ハァッ!?」

姉勇者「なら、4様。殺せますよね? そこにいる青いのなんてどうでしょう」

スライム「zzz……」

四天王4「!」

姉勇者「そいつは私とて簡単に倒せる相手ですよ? まさか……。ねぇ……4様が殺せないなど……ありえませんよね? ふふっ……」


四天王4「馬鹿にしてんのか……てめ……」

姉勇者「いいえ。馬鹿になど、とてもとても」

姉勇者「ただ私は自分で見なければ信じないものですから」

姉勇者「できればでいいんです。4様が弱虫でなければ」

姉勇者「そいつ、殺せますよね?」

四天王4「……」ビキッ


四天王4「俺を舐めるのもいい加減にしろよ……?」

四天王4「こんなよええ魔物なんでなぁ!! 殺すなんて簡単なんだよッ!!」ジジジッ!!

バンッ!!

スライム「ピギァァアアアアアア!!!」

スライム「な……なんで……いつも……ぼくら、ばっか……r」

ベチョッ……

四天王4「ハッ……。見たか? こんな雑魚、殺すなんて簡単なんだよ!」

姉勇者「ええ。“見ましたとも、確かにこの目で”」カチ


四天王4「ああん? 弾切れか?」

姉勇者「最後の質問です。……4様。貴方は正義の為に戦える魔物でしょうか」

四天王4「正義?」

姉勇者「ええ、そう。正義。魔物には魔物なりの正義がありましょう。その為に戦っているのですか?」

四天王4「……」

四天王4「少なからず、そういうもんだろ」

姉勇者「ではたとえば、一人を犠牲にすることで二人を助けられる状況だったとしたら、貴方は一人を犠牲にするのですか?」


四天王4「……? 当たり前だろ。それがなんだっていうんだよ」

姉勇者「正義の反対はまた別の正義と、どこぞの誰かが言っておりましたが、どうやらそれは正解だったようで」

四天王4「は? お前、何言って」

姉勇者「私は信じていました。魔物は人間とは違う思考を持っていると」

姉勇者「自己愛に正義などの名をつけ、自己満足している人間とは違う正義を教えてくれるものだと、心底信じておりました」

姉勇者「……だけど、それは違うようですね」


姉勇者「何も変わらない。殺すことを良しとする。殺す権利があると思い込む」

姉勇者「そんなの正義ではない。道徳の欠片すらない。正義とは、善とは、そんなチンケな正しさであるはずがない」

四天王4「なら……何が正義だっていうんだよ」


四天王4「少数を見捨てることで多数を助けられるなら、てめぇもそうするだろう。それを良しをしないのは、少数を見捨てたことによる罪悪感でしかねえ」

姉勇者「そこが私たちの限界です。だから、この世で正しさなど掲げることがおこがましい」

姉勇者「正義というのあれば、自分が善と言い切れる生き物がいるのであれば」

姉勇者「自分を合わせた全員を救うことができるもの以外に有り得ない」


四天王4「そんなの」

姉勇者「ええ、無理です。だから私たちは善にはなりえない」

姉勇者「なりえない奴らが……正義など、救うなど、……そもそも前提からしておかしいのですよ」

姉勇者「だから、私はソレを壊すんです」

姉勇者「せめて誰ひとり、誰も殺すことができないと。誰かを殺さなければ成り立たない正義など正義ではないと、正義を掲げる善人に教えるために」カチ


四天王4「……てめえ……。気でも狂ってんじゃねぇか……?」

姉勇者「自分の理解の範疇を超えると、自分を正当化したがるのは人間と同じですね」

姉勇者「それもいいでしょう。それが貴方の考えであれば」

姉勇者「ならば見せてください」

姉勇者「それが正しさなのだと」

姉勇者「誰かを殺すことは、正しいことなのだと——」バァンッ!!

サッ!!

四天王4「—— ハッ!! そんな止まっているような弾、あたるとおも——」


四天王4「——!!」ズキンッ

四天王4「ゥ……!? が……ハッ…………!?」ガクッ

姉勇者「……」

四天王4「!? ……が、アアァッ……!! アアアァアアア!!?」

姉勇者「お前が俺を殺せることなんて無理。確かにそうです。“私には貴方を殺せない”」

姉勇者「でも——」

姉勇者「“貴方自身が貴方を殺すことはできますよね?”」ニヤァ

ここまで見てくださりありがとうございました。
次は一週間後ぐらいに更新します。 冬コミ受カッテシマッテピンチダ……

——

四天王4「が……アアァァ……!! ク、オォオオオッ!!?」ジタバタ

姉勇者「……1分30秒」

四天王4「——! ハァ……ハァ……。いったい、何が……?」

姉勇者「……」

四天王4「てめえ……何しやがった……!? おい、答えろ!! 答えろよ!!」

姉勇者「……15秒」

四天王4「ハッ、なにいってやが—— アァァァアッ!!?」


姉勇者「生物が痛覚を持っている意味をご存知でしょうか?」

姉勇者「何かしらの危険を回避するため。自己防衛機能として痛覚は備わっている」

姉勇者「生命活動をして必要不可欠な要素。いえ、生き続けるためには痛覚とは必要なものなのです」

四天王4「ガ……は…………は…………」ガクガク

姉勇者「……そして、説明する必要もなさそうですが、貴方の身体は、一番痛みを感じたときの状態になっています」

姉勇者「……1分30秒」


四天王4「——! ハァ……ハァ……。…………」フラッ

姉勇者「約1分30秒毎に15秒の休憩。大丈夫ですか?」

四天王4「何……だ、これ……どうしてこんな……」

姉勇者「感覚という個人差があるものは……脳によってどう感じたのか、を処理されています」

姉勇者「熱いか、冷たいか。それらのことも同じく」

姉勇者「15秒」

四天王4「ギ……ァ…………ア……!」ブルブル


姉勇者「それが熱い、と脳内で処理されたらそれは熱いことになる。例え冷たいものでも」

姉勇者「私の弾はそれに似た性質を持っています」

姉勇者「怪我をしていないのに痛みを感じる——」

姉勇者「痛みを感じるはずがないのに、痛みとして処理されるように脳に働きかける」

姉勇者「人はそれを—— 催眠と言います」


姉勇者「催眠弾。気絶しない程度の激痛を貴方が貴方自身にかけてしまう」

姉勇者「条件は私の弾を視てしまうこと、弾音を聞いてしまうこと。弾を受けてしまうこと」

姉勇者「それらのどれかが当てはまれば催眠は完了」

姉勇者「疑いようはありませんよね。実際に貴方はすべての目で私の弾を視て、現在に至っているわけですから」

姉勇者「1分30秒」


四天王4「………………」ブルブル

四天王4「嫌だ……」

姉勇者「……」

四天王4「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」

四天王4「止めてくれ! 止めてくれ!! 止めてくれよ!!」

姉勇者「私の手では無理です。貴方の脳が勝手に痛みを感じているだけですから」

姉勇者「15秒」

四天王4「ヒッ——!?」


姉勇者「敵を殺さずに戦闘を終わらせられる武器」

姉勇者「しかし、この弾にも致命的な欠点があります」

姉勇者「それが何かわかりますか?」

姉勇者「……」

姉勇者「答えられないですよね、申し訳ございません」

姉勇者「それは」


姉勇者「何かを殺したことがない人間には催眠がかからないこと」

姉勇者「そして——」

姉勇者「何かを殺したものでも、殺した個体×6分間、その痛みに耐えればその痛みは終わるということ」

姉勇者「記憶というのは実に曖昧。だけれど、引き出しを開ければ案外覚えるもの」

姉勇者「貴方が覚えている数だけ、貴方は苦痛を味わう」

姉勇者「15秒」


四天王4「ハァー……! ハァ……! 嫌だ嫌だ!! もう止めてくれ!! 止めてくれよ!!!」

姉勇者「貴方は、貴方が殺した分、貴方の心が貴方を殺している」

姉勇者「それだけ、なんですよ。4様」

四天王4「殺しただけじゃねえか!! 俺はただ……!!」

四天王4「人も……魔物も。同じだろう! 何かを犠牲にしなきゃ生きていけねぇ」

四天王4「何かを殺さなければ生きていけないのはテメェも同じだろう!! なの……がぁああっ!!?」

姉勇者「私の幸福は誰かの不幸の上に成り立っている」


姉勇者「否定はしません。ただそれが自然の摂理というのであれば、私はそれを憎みます」

姉勇者「偽善者と笑われてもいい。しかし、私たちは法を作り、法を守り、破る奴を人の手で裁き、生きている」

姉勇者「人は神と同じ。他者を裁ける生物なのですよ」

姉勇者「そして、裁かれる生物」


姉勇者「私の行動を間違っているというのであれば、貴方の言うとおり私を殺してそれを証明してください」

姉勇者「貴方が一体どのくらい生命を殺してきたのかは知りませんが——」

姉勇者「一週間でも痛みを耐えることができたならば、私を殺せるはずでしょう」

姉勇者「……父でもできなかったことを……貴方が耐えられるとは思えませんが」スタスタ


四天王4「が……ッ……ハァ……。待、てよ……どこ、いく……んだよ」

姉勇者「旦那様に会いに行かなければいけませんので」

四天王4「待てよ……俺を……こ、のままで……」

姉勇者「ええそうです。頑張ってください」

四天王4「ま……う、ぐあ……あああぁあああ!!」

姉勇者「……」


四天王4「あああぁあああ!! ああああぁああああいやだああああぁああ!!!」

四天王4「あああぁあああああ!!」

姉勇者「声をあげられるようならまだ大丈夫ですよ」

四天王4「あ…………ああぁああああ!! もう嫌だああああぁああ!! 痛いのはいやだあああああああ!!」

姉勇者「15秒の休憩ですよ。喚いていると体力を消耗するだけでは」

四天王4「あと10……うわああぁああああ!! ああぁああああああぁぁあああ!!」

バキッ!!

姉勇者「……」


バキッ……!

グチャ……!

バキキッ!!

姉勇者「…………15秒の休憩があるのは何故か分かりますか?」

姉勇者「痛みに慣れないため。痛みを恐れさせるため」

姉勇者「大食い大会で一番きついのは食べているときではなく、休んでいる間だと聞きます」

姉勇者「痛みもまた同じ」

姉勇者「痛くないときが一番痛いんですね。きっと」


バタンッ

姉勇者「だから皆、15秒の間に自害する」

姉勇者「……魔王様」

姉勇者「貴方はどうなんでしょう。痛みに耐えて、私を殺すんでしょうか」

姉勇者「……いいえ。貴方は私を殺しませんね」

姉勇者「ただ……私のことを抱きしめるだけ……」

姉勇者「それが一番私を傷つけていると知っているのに……」


姉勇者「私が生き続けることが……あの子に対しての償いになるんでしょうか……」

姉勇者「……」

姉勇者「こんなの、ただの殺害行為だとわかっているのに……」

姉勇者「…………ぅ……くっ……ぅ……」

姉勇者「こんな……大人にはなりたくなったのに…………」

姉勇者「嫌ね……こんな女…………」カチッ

バァンッ!!


——
————

タッタッタッ

魔王「訳分かんねえ。どういうことだよ……」

魔王「全然予告と違うじゃないか……。あの予告はなんなんだよ!! 山登りはどうした山登りは!! ピアノしかあってねーぞ!! どうなってるんだ!!」

魔王「ちくしょう……ハメられたんだ。予告なんてもう信じないぞ! ……ん?」キッ

魔王「……」クンクン


魔王「今……お姉さんの霊圧が……消えた……気がする」

魔王「い……いやいや。……いやいやいや」

魔王「………………」

魔王「……………………」

魔王「うわあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」ダダダッ


四天王3「……さて、相手は誰かしら」

四天王3「女だったら容赦なくいかしてもら……」

魔王「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

四天王3「!?」

魔王「そこをどけええええええええええええええ!!!!!! 俺はお姉さんのところに行くんだぁあああああああああああ!!!!!!!」

四天王3「ちょ……お、落ち着きなさいよ!! 何よいきなり!!」

魔王「うるせえぇええええ!! ブゥウウスゥウウウゥゥゥゥゥ!!!!!!!」

四天王3「なんですって!?」


魔王「てめえと戦っている暇はないんだよぉおおおおおおおお!! うあらああああああぁっ!!」ブンッ

四天王3「ヒッ! ウグッッ……!?」

バキッィッ!!

魔王「ハァハァ……ハァ……やったか!?」

四天王3「…………」

魔王「完全に沈黙。お姉さん助けにいかないと!!」

四天王3「……」バキ

魔王「え?」


モキュ……バキッ……

魔王「うわ……グロ……。なんだよ、ぴぴるぴるぴるぴぴるぴーかよ……。何年前のネタだよ。なんで再生してるんだよ……」

四天王3「……ふぅ……。あんたねえ、いきなり人の首飛ばすなんてダメじゃない!!」

魔王「」


魔王「3さん。……3さんダジャレじゃないです。3さんっていったらたまたまサンサンになっただけでダジャレじゃないです」

四天王3「分かるわよそのくらい」

魔王「オカマさん、俺の嫁が死んでいるかもしれないです。なう」

四天王3「だから? というかその呼び方やめてくれる?」

魔王「通してくれませんか? 正直死なない敵とかキモいんで戦いたくないんです」

四天王3「あんた……人間界に行って帰ってきたと思ったら妙に強気じゃない……」ビキッ


四天王3「そもそも、あんたの嫁……あの女勇者か。死んでくれたほうがこちらにとっては有益なんだけれど」

四天王3「まぁ、何かずる賢そうなやつだったけれど、たかが勇者に私たちが敗れるわけないし」

四天王3「ということで、あなたもここで死んでくれた方がいいんだけどぉ?」

魔王「……」


魔王「同じ魔物として殺し合うのは嫌だったんだがな……」

四天王3「顔はイケメンなんだから最初からそういうキャラでくればいいのに……」ジー

魔王「お姉さん、貴女の命が第一に心配ですが、次に俺のお尻の処女が心配です……」

魔王「こんなことならお姉さんに奪ってもらえば良かった……」

魔王「お姉さんに掘られる……。フタナリ……」

魔王「フヒッ……wwww」

四天王3「……声、出てるわよ」

魔王「お前を殺してお姉さんを助け出す!!」

四天王3「今更カッコつけてもカッコよくないわよ」


魔王(しかし、再生能力……といったところか。これは厄介だぞ)

魔王(ぴぴるぴるぴるぴぴるぴーで生き返るならどんなに殺しても死なないし)

魔王(どんなにこちらが攻撃しても意味がない)

魔王(むしろ体力を削られるだけ、か)

魔王(お姉さんの霊圧(香り)が消えたことが気がかりだが……)

魔王(この状況をなんとかしない限り、どうしようもない、か)

魔王(お姉さん、俺はどうしたら……)


——


姉勇者『蘇る?』

側近『ああ、4様同様、3様は不死身だ』

姉勇者『それは……厄介ですね。何度でも蘇るんですか?』

魔王『まるでゾンビ。オカマゾンビってジャンルは結構新しいんじゃないか? どう思う妹』

妹ゆーしゃ『しゅじんこーがオカマゾンビなの?』

魔王『ああ、それで他の人間をオカマゾンビするために噛みまくるんだ』


妹ゆーしゃ『びじゅあるしだいだとおもう』

側近『可愛い女の子みたいな男が主人公なら日本では売れるんじゃないですか?』

魔王『いっそ胸があったらいいな……』

側近『そこまでいったら男の娘ゾンビじゃないですか?』

姉勇者『話が脱線してますよ』

魔王『お姉さんがゾンビなら俺は噛まれたい……主に下半身』

姉勇者『魔王様、このような場でそういう発言は……』

側近『そうですよ、元の話に戻しましょう』ムッ


姉勇者『ええ……と。おそらく力技ではダメですね。……ん、やっ……。ちょ、……魔王様。今はくっつかないでください』

魔王『ハァハァ……お姉さん……おっぱい……触っていいですか……?』クンクン

姉勇者『……ッ〜! もう! 妹ちゃんが見ている前でそういうことしないでくださいって何度言ったら!』

妹ゆーしゃ『もうだいぶなれたし、わたしはいいけどね』

側近『……』ジトー


姉勇者『そもそも3様は魔王様が倒すんですよ! 肝心な魔王様がコレじゃどうしようないです』

魔王『お姉さん』

姉勇者『はい』

魔王『お腹が減っているときに目の前にご馳走があったら食べます?』

姉勇者『……毒が入っている可能性を考えて、まずは』

魔王『そういうのなかったら』


姉勇者『食べますね』

魔王『そういうことです』

姉勇者『どういうことですか』

魔王『お姉さんは俺にとってはご馳走なんですよ!』

姉勇者『…………』


姉勇者『…………分かりました。とりあえず魔王様離れてください』

魔王『何も分かってない!』

姉勇者『パイズリ禁止にしますよ』

魔王『はい、ごめんなさい』スッ

姉勇者『これを置いておきます』

側近『なんだこれ?』

姉勇者『通信機です。私隣の部屋に行きますので』

魔王『どうして!?』


姉勇者『魔王様が発情するからです。では失礼します』

魔王『この世の終わりだ!!』

側近『魔王様、私抱いてていいですから』

魔王『それは……チョット……』

側近『……』

妹ゆーしゃ『しゅらばだ!』


——


魔王(そうだ……俺お姉さんに夢中でまったく話聞いていなかった……)

魔王(えーと、その後何話したっけ……? なんか対策聞いた気がするけどよく覚えてない)

魔王(っべー……)

魔王「ここで精神と時の部屋にいけるとかそういう機能ないですかね?」

四天王3「いや、何言ってんの?」

ここまで見てくださりありがとうございました。
かなり更新遅れました、ごめんなさい。
次は一週間以内になんとかやってみます。


魔王(待て……冷静に。とりあえず冷静に考えるんだ)

魔王(攻撃する→殺す→蘇生されるという流れがある限り、攻撃をし続けても無意味だ)

魔王(むしろこっちの体力が失われていくだけ。これは得策ではないと考えるべきだろう)

四天王3「……」

魔王(それを見通してか、3から攻撃を仕掛けてくる様子は、ない)


魔王(奴にとって“攻撃される”から“蘇生する”ことは、俺に攻撃を仕掛ける以上に容易いのだろう)

魔王(つまり奴にとっては“蘇生することが攻撃”で、相手を倒す最も確実な手段……!)

魔王(……想像でしかないが)


魔王(で、あるなら、物理で殴る、のではなく、他の手段でこいつをなんとかしなきゃいけないわけだ)

魔王(……だが経験上こいつ性格悪いし、説得は無理だ)

魔王(お姉さんみたいに賢くはないし……)

魔王(あ、あれ?)

魔王(もしかして、積んだ?)


四天王3「いつまで黙ってるのよ。退屈しちゃうわぁ」

魔王(いっ、いや……待て。何か解決方法はあるはずだ!)

魔王(父さんに従っている以上、父さんよりは何かしら劣っている)

魔王(そこをつけば、何か……。なんとかできる)

四天王3「ねぇ、聞いてるの?」

魔王(問題は……それが分からないこと、か)


魔王「お前……なんで父さんに従ってるんだ」

四天王3「え?」

魔王「どう考えても、その能力最強レベルだろう。父に従う理由が分からん」

四天王3「……」

四天王3「二世ちゃんには難しいかもしれないけど、そういうものなのよ。組織ってのは」

四天王3「力強いから上に立てる、って訳ではないし、頭が良いからトップになれるってものじゃない」


四天王3「私は彼に守られているし、彼は私に守られている。その相互関係があるから私は彼に従っているわけで——」

四天王3「一方的ではないのよぉ」

魔王「一方的ではない……」

四天王3「下っ端は一方的なのかもしれないけどね」

魔王「…………」

四天王3「言いたいけど、あんたが戦っている理由は何? 世界平和? 人間が住みやすい世界にでもしたいの?」


四天王3「それとも私念? 何にせよ、あんたがしている行動は、あんたみたいなニートな魔物も、人間側の魔物も、ただの魔物も全部まとめて地獄に叩き落とす行為なのよぉ」

魔王「……!」

四天王3「単純な物語みたいに大魔王様を殺して終わり、って話じゃないのよ。この組織、いえ、国が潰れれば健全な経済活動はできないし、そのツケは人間にも広がっていくわ」

四天王3「国を立て直せば、その分の損失は確実にある。利益が上回るほどの国に出来たらいいけど……。まぁ、あなたには無理でしょうね」

魔王「な、なんだと……」


四天王3「実際にあなたの実力は何? 力が強いことぉ? ははっ、私如き無効化できないくせに?」

四天王3「……なら、経験かしら。兵士として実際に戦った。でも、ニートしてた期間のほうが長いし、同期に比べたら経験不足ね」

四天王3「なら、知識か。言うまでもないわね。何も言い返せない時点で、どうしようもないわ」

魔王「…………」

四天王3「私に勝って、そしてあなたの父さんを倒したところで、“ぼくのかんがえたりそうのまおうぐん”は作れないのよ。二世クン」

魔王「……」プルプル


四天王3「だが、この国は間違っている、というのかしら。人間を殺すのは間違っている、と」

四天王3「領地を争って戦うことは、人間同士でも行われていたことなんでしょ? 実際、私達がやらなくても人間は勝手に戦争して死んでくわ」

四天王3「そこで人間同士が得る利益をちょぉーと分けて貰おうとしているだけなのよ。ハイエナみたいな行為なことは認めるけど」


四天王3「だが、この国は間違っている、というのかしら。人間を殺すのは間違っている、と」

四天王3「領地を争って戦うことは、人間同士でも行われていたことなんでしょ? 実際、私達がやらなくても人間は勝手に戦争して死んでくわ」

四天王3「そこで人間同士が得る利益をちょぉーと分けて貰おうとしているだけなのよ。ハイエナみたいな行為なことは認めるけど」


四天王3「根本的に間違っているのは人間側。……そして、そもそも私達が何もしなくても人間側は私たちを殺してくるでしょう」

四天王3「私達だって「遊び」で人を殺しているんじゃないのよ」

四天王3「それを、あなたは分かってるの? 犠牲にばかり目が行って、その犠牲による利益がどれだけ出るか、が分かってないだけじゃない?」


魔王「だが——」

四天王3「そしてその利益によって、今、私達が存在していることも認めない。理想を求めるばかりで、理想によって流れる血の重さを理解してない」

四天王3「最高の自己否定ね。私達に拳を向けることは—— あなた自身に拳を向けていることにもなるのよぉ? 分かってる?」

魔王「……」

四天王3「ばっかみたい。結局は負け犬の遠吠えじゃな」


バァン!

ビチャッ!!

四天王3「」

姉勇者「……」

魔王「!? お、お姉さん!?」


モキュ……バキッ……

四天王3「ばっかみたい。結局は負け犬の……。…………って、アンタ……」

姉勇者「……なるほど。確かにこれは不死身ですね」

魔王「お姉さん……。おね……ううっ……」

姉勇者「大丈夫ですか、魔王様」

四天王3「ここにアンタがくるってことは……。そう。アイツ死んだの」

姉勇者「ええ、あなたが偉そうに話している間に死にましたよ」

姉勇者「勝手に、ね」

四天王3「…………」


魔王「お姉さん……俺……おれ……」

姉勇者「落ち着いてください、魔王様。あのような戯言に付き合う必要性などありませんよ」

四天王3「戯言……? 妙に大きく出たわね」

姉勇者「あら、お気に召さない? 過去に囚われている可哀想な人、とでも言えばいいんですか?」

四天王3「だけど、事実だわ」

姉勇者「ええ、そうですね。事実です。それで、何か?」

四天王3「は……?」


姉勇者「あなたの仮定通り、こちらが英雄としましょうか」

姉勇者「現在の社会をぶっ壊して、革命して新たな社会を作り出そうとしている」

姉勇者「しかしその社会には、現実味はない。何故なら過去の偉人がした行動を否定した上、自らの動機が矛盾している」

姉勇者「なら、現実味の基準は? あなたが言うように過去の民衆の総意が「むかつく王様の首を切ろうぜ」となった時に現実味など考えているとは思いませんけれどね」


姉勇者「では、過去の偉人がした行為を否定する。それはそうでしょう? 過去の偉人を否定しない限り、反逆しようとなど考えません」

姉勇者「偉人の意見を取り入れつつ、悪いところを直していく。それは改良です」

姉勇者「で、自らの動機の矛盾」

姉勇者「確かに間違えている。ええ、確かに」

姉勇者「しかし前提が間違っているんですよ」


姉勇者「私達は革命しにきたわけじゃない。ただお前らぶっ潰す為に来ている」

姉勇者「早い話、人間魔物滅んでも別にどうでもいいわけです」

姉勇者「だからあなたが語るべくことは、自分たちを殺すな、ということだけなんですよ」

四天王3「……なら尚更おかしいわよ。力でねじ伏せられることを嫌がっているのに、自分たちも力でねじ伏せてようとしているじゃない」

四天王3「結局それってそうするしかない、っていう肯定を示す行為よ」


姉勇者「まさかあなた自分が善良で何の罪もない民とでも思っているのですか?」

姉勇者「人殺しを殺すな、と、第三者から言われるならまだ分かりますが、加害者から言われるとは思いませんでしたよ」

姉勇者「あなたも結局は自分の都合が悪くなるから、という考えで動いているに過ぎないじゃないですか」

四天王3「……」

姉勇者「魔王様、これはただの売り言葉に買い言葉です。大方、逆上させる為の罠ですから、こんな話を真に」受けることありません」


姉勇者「あなたの主張は誰しも持つことであり、それを誤りというのであれば、それこそこの種族に救いなどありません」

姉勇者「だから、胸を張ってください。それがあなたの考えであれば。その考えを正しく思うのであれば」


姉勇者「いつの日かそれが過ちだったかと思うかもしれません。それはその時思えばいいのです。架空である未来の為に心を痛める必要はありません」

魔王「お姉さん……」

姉勇者「たとえあなたが正義になり得たとしても、その結果私が私を殺すことになっても。あなたについていきますから。妻として」


魔王「お姉さん……。すみません、俺……凄い情けなかったです……」

姉勇者「弱気な時は誰しもありますから、お気になさらず」

姉勇者「そんなことよりも」

四天王3「なら……そこまで言うなら、見せてもらおうじゃない。力をね」

姉勇者「目の前のあいつをどうにかしたほうが有意義です」

魔王「……」


魔王「……お姉さんも見ましたよね。蘇生の速さと、正確さ」

姉勇者「……はい」

魔王「ハッタリではありませんよ。あれは」

姉勇者「……」

姉勇者「……何より実証するのが一番です。目、閉じててくださいね」

魔王「え、あ、はい」

チャッ

バンッ!!


魔王「!? あ、あのチート……」

四天王3「」バタンッ

魔王「た、確かにこれを使えば……」

姉勇者「いえ、おそらく“ダメ”ですよ」

モキュ……バキッ……

四天王3「…………」

魔王「!?」

魔王「じ、自害させるのも駄目……? 催眠さえ効かないのか……」


魔王「尚更絶望的じゃないですか! もうなんの手も」

四天王3「……。そうよ、あんた達が私に勝てるわけがない」

姉勇者「…………」

四天王3「それこそ偉そうに語ったとしてもねぇ。ふふっ」

姉勇者(なるほど……)


姉勇者「魔王様、確かにこれは私ではどうしようもないですよ」

魔王「……!」

姉勇者「現状ある武器で奴を仕留めることはできません」

姉勇者「勿論、魔王様の腕や側近様の魔術でも仕留めることができません」

魔王「…………」

姉勇者「ですから——」


姉勇者「魔王様、好きなだけ殴ってしまいましょう。3様が望むように」

魔王「……え?」

ここまで見て下さりありがとうございます。
今度はもう少し早く投下できるように頑張ります。すみません……。

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