日向「罪木と結婚した」 (56)
※アイランドモードクリア後前提
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日向(希望のカケラとやらを集めて、あの妙な島をみんなで出てからもう1年が経つ)
日向(そして今、俺は…)
罪木「日向さぁん!お帰りなさい…ですぅ!」
日向「ああ、ただいま」
罪木「はわわぁ!ごめんなさいぃ!」
日向「ん?どうした?」
罪木「もう、私も『日向さん』ですよねえ…えへへ…」
日向「~!!」カァァァ
日向(そう、俺はあの島で知り合った罪木と結婚してこの未来期間管理区域で二人で暮らしている)
日向(罪木、いや蜜柑は不器用なところがあるから、こうして専業主婦をしてもらっているんだ)
罪木「ご、ご飯もちゃんと用意してありますよ!」パタパタ
日向「あっ…おい!」
どんがらがっしゃーん
罪木「あぁぁっ!こ、転んでしまいましたぁ!…あれっ?」
ふにっ
日向「うん、あのさ、そういうのは食後に…しようかっ…!」
罪木「はっ…はははははいぃ!何卒宜しくお願いしますぅ!」
罪木「そ、それで、今日は疲労回復及び発癌予防に効く献立なんですけどいかがでしょうか」
日向「いや、いつもながら凄いと思うよ。結構美味いし」
罪木「あ、どうも…そうやって褒めてもらえるとやっぱりうれしいです…」
日向「いやいやそれほどでも…あ、電話だ」
罪木「あ、取りますね…もしもしつみk…日向です…あ、はい、かわりますね」
罪木「お仕事のところの人です…」
日向「ああ、未来機関の人か…もしもし、今かわりましたけど」
朝比奈「ああ、日向?ごめんごめん、仕事帰りにいきなりかけちゃって」
日向「朝比奈さん?」
朝比奈「そうそう!あの、ちょっとだけいいかな。
できるなら罪木ちゃん…今は蜜柑ちゃんだっけ、の聞こえないところで聞いてくれる?」
日向「は?…あ、はい。ごめん、ちょっと向こうで会話するよ。時間かかりそうだから先に食べててくれ」
罪木「あ…分かりましたけど…」
日向「ごめんな…あ、お待たせしました」
朝比奈「あのね、今から言うこと、できるだけショック受けないで聞いてほしいんだ」
日向「…」
朝比奈「蜜柑ちゃんは殺人鬼なんだ…元だけど」
日向「は?冗談すか」
朝比奈「そりゃそう聞こえると思うけどさ…」
日向「はいそうですかと言えるとでも」
朝比奈「ホントは黙ってるつもりだったんだけどさ、
あなたたちみんな、そうなんだよ…あの時、島に集まった人たちは」
日向「何、言って…」
朝比奈「ごめん…だけどその記憶を消して…矯正して…~…」
日向(駄目だ、思考がついていけない…何を言っているかもう脳が理解しようとしてない)
朝比奈「でも今は、蜜柑ちゃん以外は再発の可能性がないわけ」
日向「今、なんて言ったんですか?」
朝日奈「言い直すと…蜜柑ちゃんには殺人衝動再発の危険性があるって」
日向「それを俺が治せるって言うのかよ?!」
朝日奈「わからない…けど…」
日向「もういいです…分かりました…」ブツッ
日向(どうすりゃ…いいんだよ)
―未来機関
苗木「どうだった…?朝日奈さん」
朝日奈「無理だよ…一発で理解しろだなんて。他の人だってそうだったんでしょ?
しかも日向には…」
苗木「分かってる…でも、この問題を僕たちの方で何とかしようとすれば余計に…」
朝日奈「こっちだってそんなこと分かってるけど!けど…!」
―日向の家
日向(蜜柑が殺人するのか…?)
日向(俺のことも殺すのか…?)
罪木「あのう、創さん?顔色悪いですよ?」
日向「まさか、食べないで待っててくれたのか?」
罪木「私だけ先に食べ終わっても、寂しいですし…冷めても二人の方が美味しいです」
日向(まさかこの中にも毒とか…って何言ってるんだ、疑うな、疑うな)
罪木「やっぱり体調悪いんじゃ」
日向「違うって言ってるだろ!」
罪木「ひっ!」
日向「あ…ごめん…」
罪木「いえ、私こそ…やっぱり、もう今夜は寝た方がいいですよ。
残り物は適当に私が食べておきますから」
日向「悪いな…」
罪木「いえ、お医者さんでもない私にできることなんてこれくらいで…」
―
日向(うう…)
日向(身体が重い…ここはどこだ?)
罪木「お目覚めですかぁ?」
日向「み…かん?」
罪木「創さん、人を痛めつけるときは
どこを集中的にやればいいか言いましたよねぇ?」
日向「何…言って…?」
罪木「大丈夫ですよぉ?ちょっとメスで切り刻むだけですから」
日向「何馬鹿なこと…?!」
罪木「あれぇ?覚えてないんですかぁ?
一番大切な人が死ぬ絶望って興奮するじゃないですかぁ?」
日向「やめろぉぉぉぉぉ!」
―
罪木「はっ!ど、どうしたんですか急に?!」
日向「あ…ここは…そうか…」
罪木「なんかすっごくうなされてましたよっ」
日向「看病してくれてたのか?悪い…」
罪木「謝らないでください!
私だって、ここに来てから謝らないように努力してるんですからっ!」
日向「はは、そうだったな」
罪木「精神的なものですよね、創さんの今の状態は」
日向「そうかもしれない」
罪木「私のせいですか?私がいるからですか?」
日向「そんなこと…ないよ」
罪木「私が日向創さんを選んだのは、私がこの世にいることをあなたが許してくれたから。
この世にいることを謝らなくていいと教えてくれたからなんです…!
それで駄目というなら私はどうしたらいいのか、分からない…」
日向「蜜柑…」
罪木「初めて私を抱いてくれた時、私は無我夢中でしたけど…
嬉しかったんですよ、とっても…えへへ」
日向「よせよ、恥ずかしい。大体、なんだって、突然」
罪木「これ以上…言わせるつもりですか?」
日向「…」ゴクリ
罪木「確か3回目、でしたよね。あの時はまだこの腕の包帯も、脚の包帯も、
取ってなかったんです。いえ、取れなかったんです」サラサラ
日向「蜜柑、お前…」
罪木「だって…だって…この痕は見せたくなかったから…
いっぱい火傷して、落書きして、殴られて、傷つけて、
切り刻んで、縫って、刺して…だから、こうやって、
色も変わってるし形もおかしいんです…」ヒック
日向(分かってはいたはずなのに…こうして目の前で見ると、違う)
罪木「こんな私でも許してくれますか?抱いてくれますか?
一生一緒にいてくれますかぁ?創さぁん…」グスッ
日向(そう、だよな…今は信じるしかないんだ、蜜柑を)
日向「当たり前だろ…今夜は…寝かさないからな…」
罪木「創さぁん!」ギュゥゥゥ
チュンチュン…
日向「身体が重い…あ~…昨日は…ヤバい、恥ずかしい…今日は休みだったっけ」
罪木「ふゆぅ~…創さぁん…」
日向(しまった…お互い裸だ!マズイ!このままだと理性の問題で第2回戦になるぞ!)
日向「蜜柑、起きろ!起きろ!」
罪木「えへへぇ~、もう食べられませ~ん…あ、でも私は食べてもいいですよぉ~?」
日向(くそ~っ!確信犯にしか聞こえない寝言をぉ~!)
罪木「はっ…はわわわぁ~!私、なんてはしたない格好をぉぉ!」
日向「ま、まあ昨日は乱れてたしな、色んな意味で」
罪木「だっ…だとしても…あられもない格好ですぅ!」
日向「まあ毛とか色々丸見えだな」ニヤニヤ
罪木「ふぇぇぇ!と、とにかく、着替えてご飯用意してきますぅ!」
日向(はー…理性はなんとか持ったか…)
日向「さて、と。今日は休み…ということは蜜柑も本気出して朝ご飯を作るんだろうな」
日向「のんびり着替えさせてもらうか…」
日向「そう言えばみんな元気かな…」
日向「何人かとは仕事場で今も会うけど…他の奴らは、どうしてるんだろうな…」
罪木「…」ガジガジ
日向「あ、蜜柑。おはよう…って今日はもう言ったっけ」
罪木「はっ…はわわっ…おはようございますっ…!」
日向「そんなシャキッとしなくていいぞ。
そりゃ爪噛むのも猫背もいい癖ではないけどさ、
だからって俺が嫌いになるわけじゃないし」
罪木「そう…ですか?」
罪木「あ、じゃあささくれに待ち針を刺したり抜いたりするのもいいですかね?えへへ…」
日向「いや、悪いとは言ってないけど、意識するくらいならやらない方がいいかな」
罪木「ですよねえ…」シュン
日向(あ~…いつもの蜜柑だ…)
罪木「あ、じゃあささくれに待ち針を刺したり抜いたりするのもいいですかね?えへへ…」
日向「いや、悪いとは言ってないけど、意識するくらいならやらない方がいいかな」
罪木「ですよねえ…」シュン
日向(あ~…いつもの蜜柑だ…)
日向「しかし蜜柑はどんどん料理が上手くなるよなあ」
罪木「本当ですか?!毎日火傷しながら頑張ってるかいがあります…」
日向「そこまでしてたのか?無理しなくていいんだぞ」
罪木「いえ、私にとって火傷なんて掠り傷にもなりませんから…」
日向(確かに、な…)
罪木「あ…ごめんなさい、私、また、変なことを…」
日向「いや、別に気にする必要ないって」
罪木「私は不器用だから…こういう時も…」
日向「だーかーらー!卑屈モードになるなって!ところで、気になったんだけどさ」
罪木「はい?」
日向「そのビニール袋、なんだ?」
罪木「あっ…これはただのゴミですよ?」
日向「ホントか?ちょっと見せてみろって」
罪木「ダメですっ!ダメですってばぁ!」
日向「蜜柑!」
罪木「はいぃ…!」
ドサドサドサドサァッ!
日向「この沢山ある奴って…ホラー映画か…全部?」
罪木「はい…そうですけどぉ…」
日向「なんで捨てようとしたんだよ、しかも隠してまで?
俺は蜜柑がこういう18禁のスプラッタ映画好きなのは知ってるぞ?」ホラ
罪木「だって…こういうの見る人は…殺人鬼になるって…!ニュースでっ…!」グスッ
日向「蜜柑…まさか」
罪木「はい、聞いちゃったんです、私…!創さんが私のこと殺人鬼だったって、
何度も聞き返してて…気付いちゃって…!だから…なるべく…普通の女になりたいって…!」
日向「蜜柑…!」
罪木「でもそんなの無理でっ!だって、元から普通がどういうことか分かんないからっ!
やっぱり私はどうあがいてもおかしいのかなって!」
日向「確かに蜜柑はちょっと変わってるかもしれないけど、俺は好きだし、
それが殺人鬼と関係あるのか?!」
罪木「前、夢を見たんです…創さんを殺して、私が笑ってる夢…興奮してる夢…!」
日向「…?!」
罪木「それも昨日のことじゃないです、本当は結婚してから、何度も…!
それが昨日の話で昔の私の記憶だって、気付いたんです。
私…気持ち悪くて…そんなのが私だって、認めたくなくてっ…!でも…!」ヒック
日向「もう、分かったよ。蜜柑」
罪木「分かった、って…え…?」
日向「蜜柑がたとえ昔殺人鬼だったとしても、今の蜜柑が元に戻ることはないよ」
罪木「そんなのっ…だって…!」
日向「確かに俺はカウンセラーでもないし預言者でもないけどさ、
でも信じることはできるよ。俺は蜜柑を信じてる。蜜柑は…?」
罪木「そう…ですね。私も、創さんを信じます。
もう恐がりません、昔の私には」
日向「とりあえずさ、蜜柑の好きな映画、見よう?」
罪木「朝から血塗れですよ?気色悪くないですか?」
日向「蜜柑はそういうの好きなんだろ?」
罪木「は、はいぃ…お恥ずかしながら」
日向「じゃあ、見よう。買うくらいだから何度でも見たいんじゃないのか?」
罪木「見たいです!凄く見たいです!
どうしようもなく逃げ惑う人々の姿を目に焼き付けたいですぅ!」
日向(ここだけ聞くと確かに犯罪予備軍なんだよな…ははは)
―
罪木「凄くいい映画だったと思います!創さんは…?」
日向「う、うん、絶望感が凄かったと思うぞ」
罪木「絶望…そうですよね…」
日向(まさか…あの夢と同じ…)
日向(そうだ…「絶望」…蜜柑は…)
罪木「でも今は違いますよ?」
日向「え?」
罪木「私が買った映画には、共通点があるんですよ?分かりますか?」
日向「さあ、見てないし何とも」
罪木「生存者がいるんです、それも最後まで」
日向「生存者…?」
罪木「おかしいですよね?みんな殺されてるのに、
なんでこの人だけ死なないんだろうって…でも私も考えてみればおんなじなんです」
日向「同じって…」
罪木「本当はこの世にいなくてもいいのに、『未来』に僅かな『希望』を託してる。
自殺してもいい状況なのに…」
日向「蜜柑…!」
罪木「私は創さんに希望を託してるから、
未来に希望が持てるんです…だから、さっきはいろいろありましたけど、
今は断言できます…私は創さんを殺さないって…!
私は…創さんが悲しむような人殺しはしないって…!」
日向「それが…自分と向き合った結果なのか…蜜柑の」
罪木「結局、朝に創さんといざこざがあって、映画を見てる間もずっと考えてて、
そう確信したんですけどね…なんて、私らしくない、ですか?」
日向「いや、俺の目の前にいるのは俺の大好きな蜜柑だ」
罪木「やっぱり…創さんは…私の希望です…未来です…大好きですっ…!」
日向(まーた俺は恥ずかしいことを言ってしまったな…)
―次の日
日向(結局昨日の夜も蜜柑とヤリまくってしまった…)
朝日奈「おっはよー、日向!」
苗木「日向クン、おはよう」
日向「あ、おはようございます」
日向(くそ、腰が痛い…限界だっ…蜜柑の看病を振り切って出たのが祟ったか…!)
苗木「今日は新しい仕事仲間を紹介したいんだ」
日向「へ?」
罪木「あ…罪木蜜柑です…お茶汲み、清掃、コピー取り…
死なない程度になんでもやりますので何卒…」
日向「蜜柑?!」
罪木「はわわわぁ!創さぁん?!
そんな、夫婦で一緒の職場なんて聞いてないですよぉ?!」
苗木「夫婦で隠し事はしちゃダメだと思ってね」
日向「まさか、蜜柑が自分で?」
朝日奈「そうなんだよね、
いつまでも守られてるばかりじゃ嫌だ、同じように働きたいって
言うから同じ職場を紹介してあげたってわけ」
日向(蜜柑も変わろうとしてるんだな、こりゃ負けてられない)
すってーん
日向「はい?」
罪木「ふぇぇぇぇ!転んでしまいましたー!」
日向「ちょ、蜜柑!」
苗木「あはは…夫婦仲がいいんだね」
朝日奈「苗木も霧切さんとこんな感じな癖によく言うよ」フンッ
苗木「き、霧切さんとはまだここまでは」
朝日奈「まだ…ふーん、まだ?!で、今はどこまでいってるの?」
苗木「問い詰めないでよ!」
ワーワーギャギャー
日向(これからも慌ただしい日常は続くけど)
日向(俺も、蜜柑も、絶望には負けない…希望に向かって進んでいく)
日向「頑張ろうな、蜜柑」
罪木「はい、創さん」ギュッ
日向(まあ、俺も蜜柑の笑顔が希望なんだけど…)
日向(少なくとも蜜柑の誕生日までは、黙っておくか)
終里
というわけで以上です
ありがとうございました
それと9~12の朝日奈さんの漢字ミス、32の連投ミス失礼しました
罪木蜜柑ちゃんは可哀想可愛い
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