女「あれ、こんにちは」
男「いや、どなたですか」
女「あいさつもできない人間に教える名前などない!」
男「こんにちは」
女「うふふ」
男「で、誰ですか?」
女「人です」
男「いや、そういうことではなくて」
女「humanです」
男「無駄に発音いいな」
男「ところでなんでうちの押入れにいるんですか」
女「不審者です!食べちゃうぞ!」
男「通報しますよ」
女「ごめんなさい勘弁してください」
女「なんか、自宅の押入れに入って見たんですよ、
そしたら壁がなくて、うちの押入れってこんな広かったっけ?って
思って進んでるうちに気付いたらあなたの家の押入れにいました」
男「どうなってんだうちの押入れ」
男「とにかく、帰ってください」
女「えー、いいじゃないですか、押入れ開通記念ですよ!」
男「誰と誰の」
女「あなたとわたしの!これでいつでも行き来できますね!!」
男「来ないし行きません」
女「押入れから出ていいですか?」
男「嫌です」
女「あなたのお部屋の押入れって布団一式しかないんですねー」
男「ちょっやめてください!でてこないでください!」
女「あれ、でれない!どうやら押し入れからはでられないみたいですね」
男「今人生で初めて神に感謝しました」
女「あ、わたしのことですか?いやーてれるなー」
男「ちがいます」
女「今何してるんですか?」
男「レポート書いてるんです」
女「なんの生態についてですか?キリン?」
男「なんで生態限定なんですか、違いますよ」
女「わたしキリンに乗りたいんですよー!
観察に行く時はぜひ誘ってください」
男「その前に話聞いてください」
なんとか終わりのめどが立ったので
書きます。覚えてくれている人はいるのだろうか
コンコン
父「男、いるか」
男「まずい、父さんだ・・・」
女「ご挨拶したほうがいいですかね!!」
男「何言ってるんですか戸閉めて隠れて!!」
女「でも未来のお義父さんになるかもしれない方ですし!!」
男「シーッ!!部屋に連れ込んでると思われるじゃないですか!!」
父「・・・男?誰と話しているんだ?」
男「なんでもないです父さん!!ちょっとねずみが押し入れに!!」
女「ひどい!!!」
ガラッ
父「男、レポートのほうは順調か?
最近たるんでいるそうじゃないか。お前が出ている講義の
教授が言っていたぞ。怠けるなよ」
男「はい、分かっています父さん」
女「・・・・・」(なんだこの雰囲気・・・)
父「私の顔に泥を塗るような真似だけはするなよ」
男「・・・はい。」
女「・・・・・」
ガララッ
男「・・・・はぁ。」
ガラッ
女「なんですかあの人!!なんですかあの人!!」
男「父さんだよ。俺が通ってる大学の教授をやってる」
女「この世で私が嫌いな人種の一つは、偉そうな教授です」
男「・・・・俺もそうだよ」
男「でも、家族だから」
女「家族だから?」
男「どうしても、嫌いになれないんだ」
女「・・・・」
男「父親だからね」
女「家族だからって何も言い返さないのは、違うよ」
女「あなたはとてもとても頑張ってる。私にはそう見えます」
男「どうして?」
女「目の下の隈に、パソコンの周りの栄養ドリンクの空き瓶」
男「!!」
女「見ず知らずの私にくらいは、
本音言ってもいいんですよ?」
男「・・・ありがとう」
男「父さんはさ、テレビに出てるくらいの有名な教授なんだ」
男「だからさ、必然的に俺は周りから期待されてた。
でも俺はほんとダメなやつでさ、ろくに勉強しなかったんだ。」
男「そんな俺を見た父さんは、いろんなコネと金つかって
今の大学に俺を無理やり入学させたんだ。」
男「笑っちゃうよな、俺本当はあんな有名な大学入れるような
頭じゃないのにさ。」
男「だから周りと話が噛み合わないし、友達だっていない」
男「広義には毎回出てるけど、父さんの息子だからって
単位もらったり、レポートだって他人のを金で買ったりしてるんだ。」
男「最低だよ、俺は」
男「父さんも多分、気づいてるんじゃないかな。
俺がどうしようもないやつだってことにさ」
女「じゃあ、今書いているレポートは?
それがなによりの証じゃないですか。
男さんは、だめ人間だけど、努力してます。」
男「これは・・・ただのきまぐれだよ」
女「きまぐれだったら、
そんな何日も徹夜したみたいな顔しませんよ」
女「お父さんと、ちゃんと話してみたらどうですか?
私に今話してくれたこと、ぜんぶ」
男「・・・・勇気が無いんだ。ずっとこうやって生きてきたから」
女「じゃあ、何かやりたいことはないですか?
楽しいことを思い浮かべれば、たいていの辛いことは
平気ですよ!」
男「簡単に言ってくれるね」
女「男さんには、できますよ。
私がついてます!」
女「じゃあ、私はそろそろ帰りますね!」
男「待って!!・・・いない」
男「押し入れの壁、いつもと変わらないじゃないか・・・」
男「ありがとう、女さん。いつかまた押し入れが繋がるまで
俺は待つよ」
男「・・・・大丈夫。俺にはあの娘がついてる」
ガラッ
男「父さん、話があるんだ」
父「なんだ男、いきなり改まって」
男「俺、大学辞めるよ。ごめん」
父「・・・そうか」
男「いままでやってきたことは、決して許されることじゃ
ないから。その責任は、自分でとるよ」
父「お前、私が知っていることに気づいてたのか」
男「うん、本当にごめん。ありがとう、父さん」
男「俺、この家を出ようと思うんだ。」
父「大学を辞めて家を出て、どうするんだ?」
男「・・・キリンに乗りに行こうかな」
もうちょっとで終わります
超展開すぎてごめん
もう少し女と男の普通の会話いれればよかったかな
あの日以来、押入れが繋がることは無かった。
―今日はアパートへの引越しの日だ。
なるべく家と大学から離れたかった俺は、
遠い県外の部屋を借りた。
これからはアルバイトを探して、キリンの生息地である
アフリカに行く資金を貯めるつもりだ。
父さんは、「金を出そうか」と言ってくれたけど
それは遠慮しておいた。自分で働いて稼いだ金で行きたかったから。
男「っよし!まずはご近所に挨拶だな」
ピーンポーン
隣人「はーい」
男(この声は・・・?)
ガチャ
女「!!!」
男「!!!」
男&女「「押し入れの・・・・!!?」」
男「あっあの!!!!」
男「キリン!!!キリンに乗りに行きませんか!!!」
女「ふふふ!喜んで!」
これで終わりです
見てくださった方、レスくれた方ありがとうございました
ちなみに男と女の押入れはアパートでも
つながってます
たまに女が晩御飯食べに来たりします、押入れ経由で。
おまけ
男「俺、大学辞めたんですよ。で、父とも話しました」
女「私が何かの人だったら、あなたに賞をあげたいくらいです」
男「女さんとキリンに乗ることを想像して、勇気を出しました」
女「・・・・!!」
1です、続き書きます
女「帰ります」
男「えっ!?なんでですか」
女「こっち見ないでください!!」
男「顔が赤いですけどもしかして・・・」
女「・・・そうです!!だからこっち見ないで!」
男「風邪ひいたんですか!それならそうと
言ってくださいよ、女さんったら」
女「」
男「とりあえずコンビニ行ってポカリと
風邪薬買ってきますね!」
女「・・・違います」
男「?」
女「好きだばーか!!!」
ダダダダッバンッ(押入れから自分の部屋に走り去る音)
男「風邪じゃなかったのか・・・・」
おしまい
男が鈍いのでやきもきした女さんが
直球勝負に出た話でした
これでほんとうにおしまいです
見てくださった方、ありがとうございました
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