P「響のマンションが全焼してから一ヶ月」 (222)

ゴオオオオ

響 「ここは・・・」

響 「自分の・・・家」

ゴオオオオ


響 「燃え・・てる?・・・・・・いけない!火事だ!!」バッ

響 「貴重品を持って、それと、それと・・・!」

いぬ美 「わんっ!・・・カヒッ・・・カヒッ・・・」

響 「いぬ美!」

響 (そうだ、まずみんなを避難させないと!)

響 「みんな!火事だぞ!すぐに逃げるんだ!」

響 「いま扉を・・・」スカッ

すみません
書き忘れたけどこれは

P「響のマンションが全焼!?」

の続編です

響 「あれっ」スカッスカッ

響 (触れない・・・なんで!?)

ゴオオオオ

響 「あぁ・・・ああ・・・」スカッスカッスカッ

ゴオオオオオオオオオオ

いぬ美「カヒッ・・・ヒュー・・・ヒュー・・・」

ハム蔵「ヂュ・・・ヂ・・・キィイィ・・・」

ねこ吉「フーッ・・・フーッ」

響 「どうして触れないの・・・みんな・・・」

響 「早く、早く逃げないとみんなが」


響 『みんなが 死んじゃうよぉ!!!』

ハッ

響 「・・・!!」ガバッ

シィン……

響 「また、あの夢・・・」ハァハァ

響 (このところ、毎晩だぞ・・・)チラ

響 (まだこんな時間・・・)

響 (・・・・・・)

響 (なんで、あんな夢を見るんだろう)

響 (みんなは、ただちょっと)


響 (家出をしているだけなのに)


響 (ただ、あの火事でみんな驚いて逃げ出しちゃっただけなのに)

響 (・・・・・・)

響 「あれからそろそろひと月になるっていうのに」

響 「みんな、いったいどこにいるんさー」ポツリ

響 (それに、なんでだろう)


『・・・カヒッ・・・カヒッ・・・』


響 (あの声が、耳にこびりついて離れない)

響 「・・・・・・ぅぇっ」ウプ

響 (今日も、眠れそうにないな)

~翌日 765プロ~

P 「あの火事から、…もうじき一か月ですね」

小鳥「もう、そんなになるんですね・・・」

P 「最近の響は、少しずつ元気を取り戻しているように見えませんか?」

小鳥「私たちの前でも、少しずつですが笑ってくれるようになりましたもんね」

律子「事故直後の、収録中ずっと作り笑顔で無理やり演技している響は、見ていて痛々しかったですからね・・・」

楽しいかよ
ただでさえ臭いってハンデを負ってる響をいじめて楽しいのかって聞いてんだ
腐ってやがるぜ>>1

律子「それに比べれば、確かに元気になってきたと思います」

P 「仕事の数も、また少しずつ増えてきてる」

P 「実家に帰らず、アイドルを続けるって聞いたときは少し心配したけど・・・」

P 「一度も涙を見せないし、強い奴だよ、響は」シンミリ



貴音「・・・・・・」

伊織「・・・・・・」

亜美「二人ともどうしたの?難しい顔してー」

貴音「いえ・・・」

伊織「ううん、なんでもないわ」

亜美「そう?ならいいけど・・・」


千早「今はまだ笑顔が、少し空虚に感じる時がありますけど・・・」

雪歩「でも、たとえ空元気だとしても」

雪歩「それで少しずつでも心の穴が埋まっていってくれればいいと思います」

P 「・・・ああ、そうだな!」

ガチャ

響 「はいさーい」


春香「あ、響ちゃんおはよー」

美希「響おはようなのー!」

響 「おはようー。ってあれ、どうしたんだ?みんな集まって」

P 「ん?いや、大したことじゃないんだが」

P 「響は強いなって話をしててな」

響   「強、い ・・・? 」

貴音「あなた様!」

P 「おわっ!な、なんだ貴音」ビクッ

貴音「あ・・・。いえ、その・・・今日の仕事のことで、ちょっとお聞きしたいことが」

P 「おお、そっか。じゃあ、ちょっと向こうで話をしようか」スッ

貴音「はい。ぜひお願いします」テクテク

伊織「・・・・・・」

真 「響おはよう!待ってたんだ」

響 「おはよう真。待ってたって、どうしたの?」

真 「今日は僕と一緒にCM撮影だろ?実は、ちょっと打合せしたいことがあるんだ!」キラキラ

響 「あ、うん。そうだね。準備したらすぐいくさー」

真 「やりぃ!じゃあ先にいってるねー」タタッ

響 「了解さー」テクテク

律子「ほら、あなたたちも解散。仕事の準備しなさい」シッシッ

春香「はーい」


亜美「・・・ハッ!ねぇねぇ真美!あみまみちゃんの新しいネタ思いついた!」

真美「えっ!なになにー!」

亜美「真ん中に大きなボールを置いてさ、亜美と真美がその両脇にエビぞりになってるの」

真美「うんうん・・・あ、もしかして!」

亜美「そう、ボールに眼鏡を掛けたらさ」

亜美「あら不思議!律っちゃんにみえるよ!」

千早「 」ブフゥ

美希「 」ブフォ


律子「あ、あんたたちねー!」ワナワナ


ワイワイガヤガヤ


小鳥「ふふ、うれしいわ・・・。少しずつ、前の765プロが帰ってきたみたい」

~応接間~

真 「………でさ、僕がこう、50mを走ってくるだろ?」タタタタ

真 「当然一番でゴールするよね」

真 「で、ここで・・・こう、さりげない決めポーズ!」キャルルーン

真 「こんな感じでアドリブ入れたいんだけどどうかな!」キラキラ

響 「うーん、今回のCMって、真は陸上部で、自分はそのマネージャーって設定だったよね・・・」

響 「だから、そんなかわいいポーズしちゃだめじゃないか?」

響 「それにそのポーズ、全然さりげなくなかったぞ」

真 「だ、だめかな。かわいいのに・・・」

響 「そのかわいさは次の機会までとっておくさー」

真 「あ・・・うん。そうだね!プロデューサーにそういう仕事取ってきてってお願いしよう!化粧品とか!」

響 「うんうん、それがいいさー」

真 「プロデューサーってば、なんか肉体系の仕事ばっかりとってくるんだよな。リポDとか、正義の味方とかさ」ブツクサ

真 「この間なんて、バク宙で燃える薪を飛び越えて・・・っと、ごめん」

響 「え、・・・あぁ、大丈夫大丈夫。真は気を使いすぎさー」ヒラヒラ

真 「でも・・・」

                                   、_人_从_人__/
                                   _)
 ,..r;;:  (  人)  ) ,;`ー、          | ヽ丶       _) 消  動
 ヾゞ、  ゞ'´   '`´   `ヾ、     ─|─           _) 毒   物
          -‐':、ゞ'``  ,l      / | ヽ            _) だ  は
ヾ、 ゞ;;.  ,r-、   `ヾ、    ヽ、                   _)  l
, rヾ    ,r!/r'ヽ    '`      \      _|_      _) っ
   _,,,.,ノ、_ ヽ,       `ゞ;;    ;:、    /|        `) !
,r‐'''" ,.r ,イ彡ミミヾ、      ``  ´;;i             V^V⌒W^Y⌒
__,.;;,ィ'´ ,:;;;;彳彡ミ;j`、        `i;:、      オ

;; ヾ、彡;;;ノリ;jjjjj;;;jr' i   . ノ;;:'' `゙`、 ``ー、                   ,ィ
彡冫;;il;;;ミ;;;;;y;レ  ,t'´           ,.、ー、  ゝ     ォ             i|l;
;'イ;;;'ヾ``ヽ、ィ;;i ,ri'´    ヽ ヾノ ,ry' il'Y゙r    ヽ、            ,j|l;;
j'´ '´ '´/ゞ';;::`´ヽ    ``´ー  ゙i ;;: ,r'      )  ,r、       ,rヾlir'ミ,
  / ,;:' '´/ ー≡;i{、      /ヾr'´  ,.   '`;;:、 〉ゝ  r-ー-、_ ,{i=i= }i、
ーr-、j ,! ,;',;'ィ;;:イ''``ゞ、_,、-‐'´ヽ:;/ 、 ``ヽ  ;:、 `' (´  `ゞ、;;;;'',,fi、,≡:;イ==、
,,:'  ``ゞ、,;;ゞ、 "´イ ,... `'彡 ,/´  `ヾ、ヾ   '    ー、  ii;j `i;;!'´ニil';;;;ゞr、_,r'ミ
'   ー‐─ ,rー'゙ー─-、_j;:r'´     ヾ,ゞ         、 ゞ,ミ;:l;;l  ,!  ,!,i;;'´¨/
;.   r-‐;;'"}            ``ヾ、  ノ       ,;;;: (i,;)))、,,:;!、__,:};!_,.、l
....   _,,,ィ、 i        'ヾ人  、}( /     ノ   ,r'i  r'"ヾ-‐i‐-:;イ, / ヾ

響 「・・・確かに、家が燃えちゃったのはすごくショックだったけど」

響 「いつまでも落ち込んでいたら仕事にならないさー」

真 「響・・・」

響 「それに、いつまでもくよくよしていたら」



響 「みんなとまた会った時に、怒られちゃうもんね」ニヘ


真 「・・・・・・え?」

響 「だから、自分一生懸命頑張らないといけないんだ」

響 「早く元気にならないと」

真 「ね、ねぇ響、それって」ヒヤ


ガチャ


P 「あ、ここにいたか。おーい、響、真―。そろそろ出発するぞー」

響 「あ、プロデューサー。はーい」

響 「よしっ、真、そろそろ時間だってさ。がんばろうね」スック

真 「あ・・・うん、そうだね」


真 (今の、どういう意味だろう)

真 (なんだか、胸の中がすごくざわざわする)

――――――――――――――――――

~収録後 765プロ ~

伊織「ふぅん・・・なるほどね」

貴音「それで、わたくしたちの所に相談へきたという訳ですか」

真 「うん、うまく説明できないんだけど、とにかく変な感じなんだ」

真 「伊織はあの時社長が部屋を見つけるまでの間、響を泊めていたし」

真 「貴音は響と昔からすごく仲がいいだろ」

真 「だから、二人なら何かわかるかなって」

貴音「・・・・・・」

伊織「・・・・・・」

真 「ふ、ふたりとも・・・?」

伊織「ねぇ、貴音、真。あの・・・事故の後、響が泣いているとこって、一度でも見たことある?」

真 「・・・いや、見てない」フルフル

貴音「わたくしも同じです」

伊織「そう、私もよ。私の家に泊まった時も、その後も」

伊織「でも、それってどうなのかしら」

真 「それは」

伊織「一緒に暮らしていた大切な家族をいっぺんにうしなったのよ?」

伊織「それなのに、仲の良かった貴音にすら一度も涙を見せていないなんて・・・」

伊織「響の性格を考えると、ちょっと・・・ううん、絶対おかしいわ・・・!」

貴音「・・・響が」

真 「貴音?」

貴音「響が一度も泣いていないとすれば・・・それは、もしかしたら」

貴音「響の中で、何かがねじれてしまっているのかもしれません」

真 「ねじれ・・・?」

貴音「・・・・・・」コクリ

貴音「真。伝えてくれて感謝します」

貴音「このまま傷が癒えれば・・・と思っておりましたが・・・やはり、そうもいかないようですね」

伊織「なにか考えが、あるのね」ゴクリ

貴音「いえ、それはこれから考えます」

真 「な、なんだ・・・」ズル

貴音「ですが、このままにしておくつもりはありません。響への思いを胸に・・・」グッ

貴音「わたくしはわたくしが信じる行動をとるのみ、です!いざっ!」ガタッ

貴音「響ぃ!!」バァァン!!!!

P 「 ! 」ビクッ

小鳥「 ! 」ビビクッ

貴音「響!響はいますかー!」ウロウロ

貴音「ひびきー?」ウロウロ

小鳥「ひ、響ちゃんなら・・・」

P 「ひ、響なら今日は直接家に帰ったよ・・・」ドキドキ

貴音「 ! 」ガーン

貴音「め、面妖な・・・」ヨヨヨ

伊織「アタックは明日に持越し、ね」

貴音「・・・そうですね。幸いなことに明日は久方ぶりのおふ」

貴音「全身全霊をもって、響と向き合いましょう・・・!!」めらめら

真 「アハハ、頼もしいよ・・・」

~響の家~

響 「ただいまー」ガチャ

シィン…

響 「・・・」

響 「・・・ははっ」

響 「社長が借りてくれた部屋、ペット可なのはいいけどちょっと広すぎさー」

響 (いや、自分がそういうとこがいいって言ったんだっけ?)

響 (よく覚えてないさー)

――――――――――

響 「・・・・・・」モグモグ

響 「・・・・・・」ザブン

響 「・・・・・・」ブオー

―――――――――――

響 「さっぱりしたさー」ポスン

響 「・・・・・・」

響 「・・・・・・」

響 「・・・・・・」

響 「・・・・・・そうだ」ムクッ

響 「・・・・・・」アシタノジュンビ

響 「これでよしっと」ポスン

響 「・・・・・・」

響 「・・・・・・」ボー

響 (あれ?)



響 (自分、いつも何してたんだっけ?)

響 (テレビ、料理、編み物・・・なにもやる気がしないさー)

響 (他には・・・・・・)

響 (・・・・・・)

響 (もう、寝よう)


響 (でも)


響 (寝たらまた、あの夢を見るのかな・・・) ブル

響 (・・・どうしよう、寝るのが怖い)

響 「でも」


『響は強いなって話をしててな』


響 「・・・寝なきゃ。明日も元気に仕事、しないと」モソモソ

響 (目を閉じれば、自然に眠れるはず・・・)

響 (今まで普通にやってたことさー)スゥ

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ



響 「・・・・・・あぁああ!!」ガバッ

響 「・・はぁっ・・・はっ・」ハァハァ

響 「また・・・・・・」ハァハァ

響 「・・・うぷっ」

ダダッオエエ

響 「げほっ・・・ごほっ」ハァハァ


『カヒッ・・・ヒュー・・・ヒュー・・・』
『ヂュ・・・ヂ・・・キィイィ・・・』


響 「!」ビクン

響 「・・・ぅああぁぁ」オエエ

響 「はぁっ・・・はっ・・・・・・もう、やだ・・・」

響 「自分、謝るから」

響 「早く、みんなかえってきてよ・・・!」

~翌朝~

響 「・・・」カガミノマエ

響 「ひどいクマだな。パンダみたいだぞ」

響 「また化粧で隠さないと・・・」チョイチョイ

響 「うん。これで完璧さ―・・・さぁ、今日も元気に行こうか!」

響 「・・・行ってきます」



ガチャン

~765プロ~


貴音「おはようございます」 ガチャ

P 「おはよう・・・ってあれ、貴音?どうしたんだ、今日はオフのはずだろ?」

貴音「はい。ですがわたくしは、今日は響と一緒に過ごすと決めているのです」キッパリ

P 「お、おお、そうか」

P (すごい気迫だ・・・あぁ、そういえば昨日も響を探してたな)

P 「・・・響は今日は雑誌の撮影があるだけだから、夕方までには戻ってこられると思うぞ。それまで待っててくれるか?」

貴音「・・・わかりました。では、わたくしはこちらで、あなた様と響の帰りをお待ちしております。」

P 「ああ、わかった。なるべく早く帰ってくるようにするよ」

P (・・・・・・)

P 「そうだ。貴音。最近、響の様子はどう見える?」ポツリ

貴音「 ! 」ドキ

P 「いや、なんだ、この間はああ言ったが、実は最近の響は、なんだか少し様子がおかしいような気がしてな・・・」

P 「どこがという訳じゃないんだが・・・いや、すまん、変なことを言って」

貴音「いいえ、あなた様。わたくしも同じように感じております。だからこそ」

貴音「今日、響と・・・」ハッ

トントントン
 ガチャ

響 「はいさーい」

P 「おぉ、響おはよう」

貴音「おはようございます、響」

P 「おはよう、プロデューサー。あ、貴音もいたんだね」

貴音「おはようございます、響」

貴音「・・・・・・」ジッ

響 「ん?どうしたんだ、貴音。自分をじっと見つめて」

貴音「・・・いえ。・・・では、あなた様」

貴音「どうか、お早いお帰りを」キュッ

P 「・・・任せろ。高速ぶっ飛して帰ってくる!」

小鳥(やめてください)

――――――――――――――――――


亜美「ねぇねぇいおり~ん、なんか今日テンション低くない?」

伊織「そんなことないわよ」

伊織(まったく・・・こんな時に収録だなんて・・・)

伊織「・・・さぁ、今日もこのスーパーアイドル伊織ちゃんの魅力で、さくっとファンを虜にしちゃいましょうか」

あずさ「あらあら・・・」ウフフ

律子「さぁ、今日も気合入れていくわよー!」

三人「「「おーー!!」」」

伊織(貴音、正念場よ・・・頑張りなさい)

ブロロロロ…

~収録後~

ガチャ

P 「ただいま戻りました」

響 「ぴよ子、貴音、ただいまー」

小鳥「おかえりなさい。すごい!ほとんど時間通りでしたね!」

P 「ちょっと収録が押しましてね。高速ぶっ飛ばしてきました!」きりっ

小鳥「ちょっと!」

貴音「響、おかえりなさい・・・今日はいい天気です。休憩したら、散歩に行きませんか?」

響 「うん、いいよー。 ・・・ 貴音と散歩なんて久しぶりさ―」

貴音「ふふ、そうですね」

響 「ねぇねぇ、自分疲れてないし、せっかくなら今すぐいこうよ」

貴音「わたくしは構いませんが・・・大丈夫なのですか?」

響 「うん。今日の撮影はほとんど座ってるだけだったし、全然元気さ―」

貴音「わかりました。ではせっかくです。少し遠くまで歩いてみるとしましょう」 フフ

響 「じゃあプロデューサー、ぴよ子。いってきまーす」

貴音「行って参ります」

P 「おう、気を付けてな」

小鳥「言ってらっしゃーい」

貴音 (感謝いたします。あなた様) ボソ

P  (響をよろしくな、貴音)ボソ


ガチャ
  トントントン

貴音 (お任せください。わたくしが響を・・・!)グッ

テクテク…

響 「本当にいい天気さー」

貴音「はい、そうですね。」

響 「なんだか、どこまでも歩いていけそう」

貴音「ええ、本当に。・・・そうだ、響。」

響 「ん?なに、貴音」

貴音「わたくし、実はちょっと行きたい場所があるのですが」

貴音「・・・そこを、目的地にしてもよろしいですか?」

響 「いーけど・・・そこってどこなの?」

貴音「それは・・・とっぷしーくれっとです」

響 「えー。気になるさー」

貴音「・・・・・・」

響 「ま、いーや。行き先が分からないってのも楽しみの一つだもんね」

貴音「ふふ、そういうことです」

響 「じゃあ、目的地向かってレッツゴーだね」

貴音「ええ、では早速参りましょう。こちらです」

テクテク…

テクテク…

響 「でねー」

貴音「まぁ、それは」

テクテク…

テクテク

響 「いま、どれくらいー?」

貴音「だいたい7割くらい、といったところでしょうか。

響 「そっかー。・・・んー、なんかこの道、見覚えがある気がするさー」

貴音「・・・・・・」

テクテク

テクテク…

響 「もうすぐ?」

貴音「ええ、もうすぐです」

響 「なんか貴音、だんだん暗くなってきてない?・・・もしかして、疲れちゃったのかー?」

貴音「いえ・・・その・・・」

響 「疲れたならすぐに言ってね。急ぐことはないさー」

貴音「はい、ありがとう響。ですがわたくしは・・・」



わんっ



響 「 !!!! 」

響 「え、今」

貴音「響?」

響 「いぬ美の声がした・・・」

貴音「え?」

響 「いぬ美の声がしたんだ!!貴音!」ガッ

貴音「お、落ち着いてください、響・・・」

響 「落ち着いてなんていられないさー、いぬ美たちが戻ってきてくれたんだ!」ダッ

貴音「待ってください、響!今の声は・・・!」

響 「おーい、みんなー!どこだー!!」タタタタ…

貴音「響っ!!」ダッ

タタタタタ…

響 (みんな・・・みんな・・・)

響 (戻ってきてくれたんだね・・・)

響 (こんなに心配させて・・・)

響 (ちょっとだけメッ!ってして、それから)



響 (それから、思いっきりぎゅーってしてやるさー!!) タタタタ…


貴音「まって、お願いです!待ってください、響!!」タタタ…

響 「確か声は、こっちの方から・・・」ハッハッ


わんっ


響 「いた!!いぬ美!!」バッ



知らない犬「 わんっ 」



主婦「こら、知らない人に吠えたらだめって言ってるでしょ! 」



響 「・・・・・・!」ハッハッ

響「・・・・・・」ハッハッ

主婦「すみません、この子、吠え癖がなかなか治らなくて・・・」 

響 「ぁ・・・・・・」ハッハッ



響 「・・・・・・」ハァハァ

響 「・・・・・いえ」

響 「大丈夫です」ヘラ

主婦「すみません、それでは・・・」ペコ

響 「はい」ペコ


知らない犬「わんっ」


タタタタ…コラーヒッパルナーー!


響 「・・・・・・」

響 「・・・・・・」

響 「・・・・・・」


貴音「響!・・・ぜぇ・・・はぁ・・・響!!」 ハァハァ

響 「・・・貴音」

貴音「ひび・・・ぜぇ・・・ちょっと・・・まって、ください」ゼェハァ

貴音「・・・ふぅ・・・はぁ・・・よし」

貴音「響」


響 「貴音、ごめんね」


貴音「・・・えっ?」

運ちゃん「ふんふーん」ブロロロロ

響「・・・さよなら」ダッ

キキー……ドン!

響 「突然走り出して。・・・自分、ちょっと間違えたさー」

貴音「・・・」

響 「さっきの犬、近づいてみたら全然いぬ美じゃなかったさー」

貴音「・・・・・・響」

響 「まったく、みんなどこにいるんだろうな」

貴音「響」

響 「戻ってきたら、きついお仕置きを・・・」


貴音「響!!!」


響 「 ! 」ビクッ

貴音「・・・・・・・」フルフル

響 「貴音、どうしたんだ、腕が震えてるぞ…」

貴音「今回の散歩の目的地。わたくしはあなたに伝えませんでしたね・・・」

響 「・・・うん」

貴音「・・・・・・」

貴音「わたくしがあなたを連れて行こうとしていた場所・・・」

貴音「それは・・・」



貴音「墓所です」

響 「・・・え」

響 「・・・お墓?」

貴音「正確には、あなたの家族が眠る場所・・・です」

響 「・・・・・・」

響 「え?」

響 「ごめん。自分、貴音が何を言っているのかわからないぞ」

貴音「・・・忘れてしまったのですか、響」

貴音「いえ、響が忘れるはずがありません」

貴音「・・・彼らを、埋葬した時のことを」

響 「・・・・・・」

貴音「街並みに見覚えがあるのも当然です」

貴音「以前わたくしたちは、彼らを弔うため皆でここへ来ているのですから」

響 「・・・・て」

貴音「結局あの日、あなたは最後まで言葉を発しませんでした」

響 「・・・・めて」

貴音「ただひどくうつろな目で、彼らの亡骸が埋葬されてゆくのを、じっと見つめておりました」

響 「・・・やめて」

貴音「お願いです。どうか、思い出してください、響」

響 「・・・いや・・・」

貴音「彼らはもう、あの火事で・・・」


響 「やめて!!!!!!」


シィン….


貴音「ひび・・・」

響 「なんだ・・・貴音は何をいってるんだ・・・?」 フラ

響 「わからない・・・!自分、全然わからないぞ!!」

貴音「お、落ち着いてください、響!」

響 「みんなは、みんなはただちょっと家出してるだけさー!!」

響 「たぶん、家が火事になって、それで自分の元気もなくなっちゃって」

響 「それで、そんな情けない自分に怒って出て行っちゃったんだ!!」

貴音「お願いです、響・・・!どうか・・・」

響 「だから・・・」

響 「・・・ ・・・ そうだよ」

響 「だから、自分が元気になったら」

響 「また、元気になって」フラ

響 「誰とでも笑いあえるようになったら」

響 「すぐにみんな帰ってきてくれるはずさー」ヘラ

貴音「・・・・・・ぅぁ」

貴音「・・・・・・」ポロポロ

響 「う、っうわ、貴音!?」

貴音(ここまで・・・とは・・・響・・・)ポロポロ

貴音「・・・響。響ぃ」ボロボロ



響 「・・・もう・・・どうしたの貴音・・・」

響 「あ、も、もしかして、自分が怒鳴っちゃったからか?」 オロオロ

貴音「違う、違うのです、響・・・」ボロボロ

貴音(響・・・わたくしの声は、もう)

響 「ごめん、ごめんよー、貴音ぇ」ヨシヨシ

響 「大丈夫、大丈夫だから・・・。さ、765プロに帰ろう?」

貴音「ぅ・・・うぇ・・・うぁぁあ」ボロボロ


貴音(もう、あなたには届かないのですか・・・!)

~数日後 765プロ~

ザワザワ

亜美「うっわ、お姫ちん目ぇまっかだよ・・・大丈夫?」

律子「貴音あんた、それ、尋常じゃないわよ・・・!」

貴音「いえ、大丈夫です。それよりも、今日は集まって頂きありがとうございます」

真美「ねぇお姫ちん、緊急会議って言ってたけどどうしたの?」

亜美「しかも、『ひびきんには内緒で~』なんて」

やよい(あ、もしかして!)ワカッチャイマシタァ

やよい「響さんへのサプライズパーティの準備だったりして!」ワクワク

伊織「・・・残念だけど違うわ」

やよい「え・・・い、伊織ちゃん・・・?顔、なんだかこわいよ・・・」ビク

伊織「・・・そうなんでしょ、貴音?」

貴音「・・・はい・・・その、とおりです」

真 (・・・ああ、そうか)

真 「聞かせてよ、貴音。何があったのか」

真 「ボクも・・・いや、ボクたちも、響の力になりたいんだ」グッ

貴音「・・・真」ジワッ


貴音「・・・・・・ふ・・・ぅ・・・」ポロポロ


春香「た、たぁっ、た、貴音さん!?」ガタッ

雪歩「四条さん、だ、大丈夫ですか!?」ガタタッ

あずさ「・・・・・・」ススッ

貴音「ええ、ありがとう。大丈夫です・・・大丈夫」ポロポロ

あずさ「・・・・・・」ヨシヨシ

美希「あの、これ・・・ミキのティッシュ、使っていいよ」ソッ

貴音「あずさ、美希・・・・・・感謝します」スンスン


あずさ「・・・話してちょうだい、貴音ちゃん」


あずさ「みんなで一緒に、考えましょう?」

―――――――――――――――――――――――――――

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

シィン….

社長「・・・そんなことになっていたとは・・・」

社長「なんということだ・・・」

P 「どこか様子がおかしいとは思っていたが・・・まさか・・・まさか・・・」ググググググ

貴音「申し訳ありません・・・。もう、わたくし一人の力では、どうすることも・・・」ウルッ

社長「いや、そんなことはない!君が、君がいなければ・・・もっと、取り返しのつかないことになっていたかもしれん!」

社長「よく、よく私たちに相談してくれた!ありがとう、ありがとう、四条君・・・!!!」ボロボロ

貴音「高木殿・・・」ウルウル


美希「社長、ボロボロ泣きすぎなの」ボロボロ

律子「あんたもでしょ、まったく・・・ぐすっ」ハンカチオサエ

やよい「うわあああああああああああああん!響さああぁぁああああああん!!!」ビャー

亜美「ちょ、やだ、泣かないでよ、やよいっちー!!」ビエー

真美「そうだよ、真美たちまでつられて泣いちゃうでしょー!!!」ビエー

ビャアアア!!!


雪歩「み、みんなお願いだから、泣き止んで・・・わ、わた、しまで・・・・・・」ボロボロ

みんなええ子やあ…… (;_;)

伊織「まったく、あのバカ・・・なんでそんなことになってるのよ・・・」グスッ

伊織「この伊織ちゃんがついててあげたっていうのに・・・そんな・・・」ぽん

伊織「私のせいだわ・・・。こんなことなら、強引にでもずーっとうちに泊めていれば」ウゥッ

真 「いや、ボクだって・・・気付くチャンスはたくさんあったはずなんだ・・・」ギリ

真 「あの時だって・・・くそっ、ボクが、あの時!あの時ちゃんと聞いていれば!!」ポロポロ

真 「くそぅ!どうして!くそおおぉぉ!!」ダァァァアアアン!!!!

小鳥「そんなこといっちゃだめ!」

真「小鳥さん・・・」グスッ
伊織「小鳥ぃ・・・」グスッ

小鳥「これは、私たちの中の誰のせいでもないの。自分を責めちゃだめよ」

小鳥「響ちゃんを助けてあげたいんでしょう?なら、私たちは、前を向いていなきゃ」グシッ

春香「響ちゃん・・・まさかそんなことになっていたなんて・・・」ポロポロ

春香「こんな、ほっとけない・・・ほっとけないよ!」ポロポロ

春香「みんなで、何とかしなきゃ・・・ね、ちは・・・や・・・ちゃんも・・」ビク


千早「・・・・・・ッッッ!!」ギリギリギリギリギリギリギリ


春香「わ、え、ちょ、千早ちゃんっ!ねぇ、しっかりして千早ちゃん!」ユサユサ

千早「・・・はっ!・・・ご、ごめんなさい・・・他人事とは、とても思えなくて、つい・・・」ハァハァ

春香「・・・ほら、手、力ぬいて・・・そんなに強く握ったら、アザになっちゃうよ・・・」ソッ

千早「え、えぇ、そうね・・・・・・ありがとう、春香」 ソッ

ドパァアアァン!!!!  

全員「「「「「「「「「「「「「「「 !? 」」」」」」」」」」」」」」」

シィン…


あずさ「・・・みなさん、一度、落ち着きましょう」スッ


真 (あ、あずささんが手を叩いた音か・・・びっくりした)

あずさ「このままみんなでただ泣いていても、何も解決しません」キリッ

あずさ「一度落ち着いて、どうするべきか」グスッ

あずさ「考えましょう・・・って、あら?」ポロポロ

あずさ「あらあら??」ボロボロ

あずさ「せっかく凛々しく決めてみたのに、もう、私ったら、駄目ねぇ~」ボロボロ

律子「わぁぁ!!大丈夫ですかあずささん!!」ワタワタ

美希「このティッシュ使ってなの!!」ワタワタ


ギャーギャーギャーギャー


貴音(よかった・・・皆に相談した私の判断は・・・)

貴音(間違って、いなかったのですね・・・)グス

>ドパァアアァン!!!!  

手叩いた音にしてはおかしいだろwww

―――――――――――――――――――――

P 「さて、落ち着いたところで・・・一度、情報を整理しよう」

あずさ「すみません~」グス

社長「我那覇君は、ハム蔵君たちが亡くなったという事実を受け入れられず」

社長「火事で元気が無くなった自分に怒って家出したと、思い込んでいる・・・」

社長「ということで、間違いないかね」

貴音「はい・・・。ただ、思い込んでいるというよりは、思い込もうとしている。というように見えました」

P 「そうか・・・」

千早「きっと・・・」

貴音「千早?」

千早「きっと四条さんの言った通り、我那覇さんも心の奥底では理解していると思うわ」

千早「ただ・・・突然の事故で家族がいなくなる・・・」

千早「その衝撃は、一人で受け止められるようなものではないと、思う」

あずさ「千早ちゃん・・・」

千早「もしかしたら・・・ううん、きっと我那覇さんは、今もまだ」

千早「涙を流すことすらできていないんじゃないかしら」ギリ

やよい「そんな・・・」

雪歩「涙も流せないなんて、そんなの・・・辛すぎますぅ」フルフル

千早「ええ・・・だからこそ、私は我那覇さんを助けたい」

千早「みんなの想いが、私を救ってくれた。だから今回もきっと、私たちの想いは」

千早「我那覇さんに届くって・・・伝えられるって。そう、信じたいの」

春香「千早ちゃん・・・!」ウルッ

P 「千早・・・!ああ、お前たちの想いは絶対に伝わるさ!」

千早が成長しすぎて涙腺がやばい

亜美「でも、どうしたらいいんだろう・・・?」

あずさ「そうね、いったいどうやって伝えればいいのかしら・・・」ムムム

小鳥「やっぱり・・・歌・・・でしょうか?」

美希「響といったら、やっぱりダンスなの!」


アーデモナイ コーデモナイ


律子「そうね・・・ねえみんな」

律子「なら、こういうのはどうかしら」

~響の家~

響 「あんなに泣いてる貴音、初めてみたぞ・・・」ポスン

響 「悪い事・・・・しちゃったさー」

響 「あ、でも、貴音も変なことを言ってたし、おあいこ、だよね」

響 「でも、また明日・・・謝ろ・・ぅ・・・」スゥ


『お願いです。どうか、思い出してください、響』
『カヒッ・・・ヒュー・・・ヒュー・・・』
『みんなを弔ってやろう・・・響』 
『お願いです、ひびき・・・!どうか・・・』 
『ヂュ・・・ヂ・・・キィイィ・・・』
『別れの言葉はいいのか・・?』
『・・・響。響ぃ』ボロボロ
『フーッ・・・フーッ』 
『・・・そうか、また、みんなで来ような・・・ハム蔵たちの、お墓に』


響 「・・・っ!」ビクンッ

響 「もう・・・ぐちゃぐちゃで何もわからないさー・・・」ボスン

ピリリリリ

響 「ん、メール・・・」ポチポチ


P 『お疲れ様。明後日の仕事なんだが、先方の都合で急きょキャンセルになってしまった(´・ω・`)

だから明後日は事務所でのんびり打ち合わせしような』



響 「・・・」

響 「『了解』・・・と」ポチポチ ソウシン

シィン…

響 「・・・・・・歌でも歌うさー」

響 「いまこーして・・・自分が・・・ここにいるのが」

響 「よくかんがえたら すごくふしぎでー・・・」

~765プロ~


ハイサーイ プロデューサー メールダゾー?

P 「お、響から返信・・・『了解』か。よし、これで明後日の響は押さえたぞ」パタン

美希「全員の予定を急きょ調整しちゃうなんて、さすがは社長なの」

社長「事務所の一大事なのだ。私の頭一つで良い方向に動くなら安いものさ」ハッハッハッ

P 「ありがとうございます。・・・よし、じゃあ明日響は俺が連れまわすから、皆は準備の方をよろしく頼むぞ!」


春香「はい!!・・・それじゃあいくよーっ!765プロ―っ!」

?

「 「 「 「 ファイト、おーーー!!!!!」」」」

?

~2日後~

響 「そろそろ、化粧でごまかすのも限界かな」テクテク

響 「なにか策を練らないと・・・」トントントン

ガチャ

響 「はいさーい」

全員「おはよー!!」

響 「うん、おはよー・・・って、え?なんか今日多くないか?」

~2日後~

響 「そろそろ、化粧でごまかすのも限界かな」テクテク

響 「なにか策を練らないと・・・」トントントン

ガチャ

響 「はいさーい」

全員「おはよー!!」

響 「うん、おはよー・・・って、え?なんか今日多くないか?」

春香「ふふっ、実はね・・・」ススッ

春香「響ちゃん、あんなことがあってからもお仕事ずっと頑張ってたでしょ?」

春香「だから、響ちゃんもしかしたら疲れてるかもってことで」



春香「響ちゃんのために、みんなで劇を考えたの!!!」

?

響 「・・・え、劇?」キョトン

春香「うん!だから、もしよかったら」

春香「私たちの劇、観て欲しいなぁ」ウワメヅカイナミダメ

響 「あ、うん、・・・突然で、ちょっと付いていけてないけど」


響 「みんなが、用意してくれているんなら、ぜひ観たいさー」

春香「よかった!じゃあ、プロデューサーが車出してくれるから、移動しよう!」グイグイ

響 「うわぁ、わかったわかった、すぐ準備するから、押さないでよ春香ぁ」


ブロロロロ…

~スタジオ~

伊織「それじゃー響、しっかりみてなさいよ?」ニヒヒ

響 (まさか全員でこんな劇の準備をしてたなんて、うれしいさー)

春香「それじゃー、始めるよ。タイトルは・・・」

響 (でも・・・)


<導かれし者たちの楽園(EDEN)~その永遠の絆と魂の在り処~>


響 (このタイトルはさすがにないと思うさー)シンパイ


律子(結局題名考える時間が無くて、仮題のまま本番になっちゃったのよ・・・)ガックシ

雪歩(やばいですぅ)

――――――――――――――――

美希『ここほれワン!なの!』ワオン

響 (なんか、タイトルの割にすごくふつうの真面目な物語だぞ・・・)

響 (いろんな童話や765プロのみんなのことなんかをミックスして作ってるみたいだな)

やよい『うっうー!ひまわりの種おいしいですー』カリカリ

響 (楽しいな・・・)

響 (でも、なんだか胸が痛い・・・)チクリ

―――――――――――――――


春香『ああ、みんなどうして!私を置いて行ってしまったの・・・?』

響 (だんだん話が悲しい方向になってきたぞ・・・)



春香『一人はさびしい・・・一人は、つらいよ・・・』



響 (もう、観ているのが、辛い・・・)

響 (でも、みんなが自分のために演じてくれてるんだ)

響 (最後まで、しっかり観ないと・・・)ギュウウウ

~舞台袖~

真美「ひびきん、すっごく辛そうだよ・・・」

律子「ええ・・・体をきつく抱いて、痛みに耐えるように観ているわね・・・」

伊織「・・・でも、ここでやめる訳にはいかないわ」

伊織「どんなことがあっても、最後までやり遂げましょう」

亜美「・・・うん」

律子「ええ、その通りよ。あと少し、頑張りましょう」

みんな頑張れ

春香『もう、一人は・・・嫌だよ・・・』


響 「・・・・・・・」


貴音『・・・いいえ、あなたは、一人などではありません』

貴音『なぜなら、あなたには、私たちがいるではありませんか』

春香『え・・・』


響 「・・・・・・・」

てす

~舞台袖~

社長「今回は時間がなかった分、演技も拙いし脚本も飾り気がなくストレートすぎる」

社長「もし公開して金など取ろうものなら、客席からの大ブかーイングは避けられないだろう。・・・だが」

P 「・・・ですがその分、この劇にこめた春香たちの想いはそのまま響に伝わるはずです」

社長「ああ。あとは信じよう、彼女たちを」

社長「さぁ、劇もクライマックスだ」

――――――――――――――――――――――――

春香『その日、私は夢を見ました』

春香『そこはきれいな草原で、私はそこに立っていました』

春香『ふと顔を上げると、遠くに、彼らの姿が見えました』

春香『慌てて駆け寄ろうとしますが、足が動きません』

春香『声を出すこともできなかったので、せめて私は、大きく手を 振りました』

春香『そして彼らはそんな私をみると、優しく笑って草原の向こうへ歩いていきました』

おわり
――――――――――――――――――――――――

律子「終わった・・・わね」

P 「春香・・・名演技だったぞ」

小鳥「響ちゃんの反応はどうでしょうか・・・」



パチパチパチ

響 「・・・・・・」パチパチパチ

響 「みんな、すごく・・・よかったさー」パチパチ

響 「ありがとう、うれしかった・・・さー」パチ…

響 「ほん・・・とう、に」


全員「・・・・・・・」


春香「・・・・・・・・響ちゃん?」

響 「あ、あは、なんか自分、観ていたら興奮して喉乾いちゃったさー」ギュ...

響 「だから自分ちょっと、外で飲み物買ってくるね」タタタ…

タタタタ…

千早「我那覇さん・・・」

やよい「私たちの気持ち、響さんに伝わったんでしょうか・・・」

貴音「・・・・・・」

貴音「・・・すみません。お願いがあるのですが」


貴音「ここは、わたくしに行かせてくださいませんか」



P 「・・・ああ、行って来い」

亜美「ファイトだよ、お姫ちん!」

律子「しっかり連れ戻してくるのよ?」

貴音「・・・!」


伊織「ここまでやって失敗したらもう許さないんだからね!」

伊織「ほら、何してるの・・・さっさと追いかけなさい!」


貴音「・・・はい!感謝します!!」タタタタ…

~外~

響 「・・・・・・」テクテク

響 「・・・・・・」テクテク

貴音「……ひ…き、響ーーー!」タタタタ…

響 「・・・貴音」

貴音「ここに居たのですね、響。・・・どうでしたか、私たちの劇は」

響 「・・・さっきいった通りさー。すごく良かったよ」

貴音「ふふ、ありがとうございます。それは、とても喜ばしい事です。皆も喜ぶことでしょう」

貴音「ですが、感想は本当にそれだけ、ですか?」

響 「!」ドキ

貴音「・・・教えて下さい、響。あの劇で、どう感じたのか」

響 「・・・本当は、観ていてすごく、苦しかったさー」ポツリ

響 「それに今も、なんだかよくわからない気持ちで、胸がキューってなって」

響 「ひどく痛むんだ」

貴音「それは」

貴音「・・・・・・」グッ

貴音「それは、きっとあの劇が、響を連れ戻すために作られたものだからです」

ここまでハッピーエンドを臨むのは久しぶりだ

響 「連れ戻す・・・?貴音、自分は」

貴音「以前、同じように二人きりで話をしましたね」

貴音「あの時の話、覚えていますか?」

響 「・・・うん」

貴音「・・・あの話は、やはり真実なのですよ。響」

貴音「・・・どうあっても、それは、変えられない事実なのです」

響 「・・・・・・」

貴音「わたくしは、あの日からあなたを、ずっと見ていました」

響 「・・・!」ドキ

貴音「だから・・」


貴音「あなたがあの日以来、肉を食べられなくなっていることも」


貴音「最近は、ほとんど眠れていないだろうということも」


貴音「・・・わかって、いるのですよ」

響 「・・・・・・」

しえんしえん

貴音「わたくしは、あなたが時間の経過で自然に元気を取り戻せるのならば」

貴音「それが最も良いのだと思い、耐えておりました」

響 「貴音・・・」

貴音「ですが、もう限界です」

貴音「わたくしは、これ以上あなたが傷つくことに耐えられそうにありません」

貴音「もう・・・あなたにそのような顔をさせたくないのです」

貴音「必要なら、わたくしがずっと傍にいます」

貴音「どこにも行ったりしないと約束します」

貴音「だから・・・」ジワッ

貴音「だから、現実から逃げるのはやめてください」ポロポロ


貴音「わたくしたちのもとに、帰ってきてください・・・響」ウッウッ

貴音「うっ・・・うぅっ・・・」ポロポロ

響 「泣かないで、貴音・・・」

貴音「・・・響・・・」グシッ

?
響 「・・・そっか」ポツリ

響 「ごめんね、貴音。自分、貴音たちを傷つけてたんだね」

響 「自分、思い出した。・・・ううん、わかってたんだ」

貴音「響・・・」


響 「みんなは・・・みんなは、もう」

?


響 「いないんだね」

響 「怖かったんだ」

響 「みんながもういないことを認めたら、一人になっちゃうって」

響 「一人は、嫌いさー・・・」

貴音「・・・響は、決して一人などではありません」

貴音「なぜなら、あなたには、私たちがいるではありませんか」

響 「・・・ははっ、あの劇と一緒のセリフだぞ」

貴音「ふふっ、当然です。なぜならあの劇は、ほかならぬ響のために皆で考えた劇なのですから」

響 「それもそうか。なんかはずかしいな・・・ははっ」

貴音「ふふふ・・・」

クライマックスで追いついた

響 「・・・・・・」

響 「・・・夢を、見るんだ」

貴音「夢、ですか?」

響 「うん。あの火事の夢」

貴音「・・・!」

響 「みんなが炎の中で苦しんでいるのに、自分はすぐそばでただ見ていることしかできない・・・最近は、そんな夢ばかり見てた」

貴音「・・・・・・」

響 「自分は火事の時部屋になんていなかったのに、笑っちゃうさー」

数ヵ月後…
そこには元気に走り回るイヌ美たちの姿が!


というか響のネーミングセンスってぷちますの千早並に壊滅的だよね

響 「でも、あの声が・・・あの、みんなの苦しむ声が」ブル

響 「耳から、離れないんだ」ブルブル

貴音「響!」ダダッ

ぎゅっ

貴音「大丈夫です。響」ギュー

響 「貴音・・・?」

貴音「それは、夢です。ただの、悪い夢なのですよ・・・響」

響 「夢・・・」

響 「そっか・・・夢か・・・」ジワッ

響 「あれ・・・?」ポロポロ

響 「おかしいな・・・今頃になって、涙が」ポロポロ

響 「・・・そうか、自分は」

響 (あれは、悪い夢だって)

響 「きっと、誰かにそう言ってもらいたかったんだ」ボロボロ

貴音「いいのですよ、響・・・好きなだけ。好きなだけ、泣いていいのです」ポロポロ

響 「う・・・うぇ・・・」ポロポロ

響 「うぁぁぁぁぁぁあああぁあ」ボロボロ

響 「ハム蔵、いぬ美、ねこ吉、うさ江・・・みんな、いなくなっちゃったぁ」

響 「助けられなくてごめん、ごめんよ・・・・」

響 「うああぁぁぁあああああああああああああああぁん!!!」ボロボロボロボロ

貴音「・・・・・・・・・」ポロポロ ナデナデ

ーーーーーーーーーーーーーーーー


貴音「落ち着きましたか、響」ナデナデ

響 「・・・うん。ありがとう、貴音。なんだか、泣いたらすっきりしたさー」ハレバレ

貴音「ふふっ・・・響。憑物と一緒に化粧がとれて、ひどい顔になっていますよ」

貴音「くまが真っ黒で、まるでぱんだみたいです。ふふっ」

響 「えっ!ほんとか!!うぎゃー、は、はずかしいぞ!!」カクシ

貴音「ふふっ。765プロに戻ったら、一度ゆっくり眠ると良いでしょう」

響 「うん・・・そうさせてもらうさ―!」

貴音「さあ、では帰りましょうか」


貴音「皆が待つ、わたくしたちの765プロへ」ニコ

~765プロ~

ガチャ

貴音「ただいま戻りました」

響 「ただいま!」

「響ちゃん!」
「我那覇さん!」
「響!!」
「ひびきん!!!!」

ダダダダダダ

響 「うっうわぁ!みんなすごい勢いだぞ」

貴音「それだけ皆、心配していたのですよ」

響 「うがー、そうだよな・・・」

響 「みんな!!!心配かけてごめんなさい!!」

伊織「・・・どうやらうまくいったみたいね」

貴音「ええ、皆のおかげです」

雪歩「よかったですぅ・・・」ベスベス

春香「おかえり、響ちゃん!」

響 「春香・・・ただいま!!!」

春香「あのね、これ・・・みんなで考えたんだけど、やっぱり渡そうと思うの!」バッ

響 「ん?なんだこの箱?」

春香「・・・響ちゃんにとっては、辛いことを思い出させてしまう物かもしれない」

春香「でも私は、私たちはそれでも、響ちゃんにこれは持っていて欲しいって思ったの」

響 「・・・なんだか開、けるのが怖いぞ・・・」 ソローリ


パカッ

響「くび…わ…?」

春香「ここに文字が刻印されてるでしょ?」

響「ヒビキ?自分の名前じゃないか」

春香「ヨツンヴァインになれ」

響 「あ、これ・・・」

千早「あの日、生っすかサンデーで作った」

美希「折り紙の切り抜きなの!!」

響 「・・・・・・」ジッ

美希「美希、それ響のみんなへの気持ちを感じて、すっごくキレイだな~って思うの!」

亜美(うますぎなの ブフォ とか言ってたけどね)


響 「・・・・・・」ジッ

春香「やっぱり辛い・・・かな・・・」

響 「うぅん・・・すごく・・・うれしい」ジワッ

響 「あれ・・・また」ポロポロ

響 「えへへ、自分、なんだかすごく泣き虫になっちゃったみたいだぞ」ボロボロ

春香「響ちゃん・・・」ホロリ

貴音「さぁ、響・・・亜美たちにその顔をからかわれる前に、そろそろ奥で眠ったらどうですか?」

響 「あ、貴音・・・ぅん、そうするさー」グシグシ

響 「じゃぁみんな、おやすみ・・・」テテテ

貴音「ではわたくしも、おやすみなさい」ススス

伊織「あんたはこっちよ」ガシッ

貴音「あぁっ!そんな、ご無体な・・・」ヨヨヨ

アハハハハ…..

-----------------------------------------------
~???~


響 (ここは・・・)

響 (綺麗な草原・・・)

響 (まるで、あの劇みたいさー)ハハッ

響 (・・・もし、あの劇の通りなら、あっちの方にハム蔵たちが・・・なんて)チラッ



ハム蔵『ぢゅぢゅい!』トテテテ…

いぬ美『わふっ』デデデデ



響 『!!』

響 (みんな!)

響 『 っ・・・』

響 (いけない、声を出したら泣いちゃいそうだぞ)ウツムキ

響 (ふぅー、はぁー)

響 (・・・よしっ)カオアゲ


ハム蔵たち『・・・・』ジッ


響 『!!・・・みんな、こっちを見てる』

響 (だめだ・・・やっぱり胸がいっぱいで、何も、言葉にできない・・・)

響 (どうしよう・・・そうだあの劇だと・・・この後確か・・・)

響 (手を、振ってたな)フリフリ

響 (あ、みんな、楽しそうに走り回ってる・・・)

響 (良かった・・・)

ーーーーーーーーーーーーーー

いぬ美 『わふっ!』

響(やがて、いぬ美が大きく吠えると、自分に背を向けて、みんなを乗せて遠くへと歩いていった)

響(いぬ美の背中に乗ったハム蔵がふり落とされないように小さな手でしっかり掴まっているのが)

響(なんだか、おかしかった)







響 『ばいばい、みんな・・・・・・!』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

響 (自分は、きっとこれからも時々みんなを思い出して泣いてしまうだろう)

響 (自分は、それを我慢できるほど強くないから)

響 (でも、それでいいんだ)

響 (これから時間がたてば、きっとみんなを思い出す事も、涙を流すことも自然と減っていくだろう)

響 (それにもし、自分が泣いてしまっても、それを受け止めてくれる仲間がいる)

響 (だから今は、無理に我慢しなくていい。自分のペースでいいんだって、そう、仲間たちが教えてくれた)


響 (ハム蔵、いぬ美、へび香、シマ男、オウ助、うさ江、ねこ吉、ワニ子、ブタ太、モモ次郎)

響 (自分、これからも頑張るから)

響 (自分のこと・・・見守っていてね!)



P 「さあ響、今日も一緒に頑張るぞ!」


響 「なんくるないさーー!!!」


0時に終わるはずだったのに
どうしてこうなったんだ・・・?
わからない、わからないよ・・・・


見てくれた人、遅くまで付き合ってくれてありがとうございました

明日早い人はちょっとでも寝ましょう ノシ



ただよくありがちなんだけど響の語尾のボキャブラリーが少なくて
少し違和感があった

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